JP6537169B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
このようなエアバッグ装置は、衝突によって乗員が移動する先にエアバッグを展開させて受け止めるという保護形態であった。
まず、従来の車両が後方から衝突された場合について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
なお、図1〜図3は、従来の車両に対する後方からの一衝突形態を示す概略図である。
具体的には、バックレスト112に作用していた後方への荷重によって、座面部111とバックレスト112との接続部材の一部が破断する。該接続部材の破断によって、図1(a)及び図1(b)に示したバックレスト112の初期位置を維持することが困難となる。接続部材が破断しても、乗員Cはバックレスト112に対して更に押し付けられるように慣性力を受け続ける。これにより、図2(a)に示すように、乗員Cはバックレスト112と共に後方に倒れる。
なお、衝突が生じた際に乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間は、図2(a)に示す状態でも残存している。
具体的には、乗員Cが座席110に対して押し付けられた状態が続くと、バックレスト112とヘッドレスト113とを接続する軸体115の取付部位が変形する。これにより、図2(b)に示すように、バックレスト112が後方に倒れつつ、ヘッドレスト113も後方に倒れ始める。ヘッドレスト113が後方に倒れると、ヘッドレスト113がリアゲート102に当接する。なお、ヘッドレスト113のリアゲート102への当接としては、リアゲート102に設けられる後方視認用のリアガラスに対してヘッドレスト当接する形態も含むこととする。ヘッドレスト113がリアゲート102に当接すると、バックレスト112及び乗員Cの後方に倒れる動作が停止する。
なお、衝突が生じた際に乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間は、図2(a)に示した状態から引続いて図2(b)に示す状態でも残存している。
具体的には、ヘッドレスト113とリアゲート102との当接によって、バックレスト112、ヘッドレスト113及び乗員Cの後方への傾倒動作が停止しても、乗員Cは後方への慣性力を受け続ける。これにより、乗員Cは傾いたバックレスト112に沿って、後側上方にせり上がるように移動する。乗員Cが後側上方に移動すると、リアゲート102に対して乗員Cの頭部が当接する。
なお、車両100に衝突する衝突体の相対速度が大きい場合、衝突体が図3に示すリアゲート102を乗員室内に向かって前方に押し込む可能性がある。これにより、後側上方に移動した乗員Cの頭部が、衝突体に当接する可能性もある。結果として、乗員Cの頭部の傷害値が上昇してしまうだけでなく、乗員Cが受ける慣性力によって頭部がリアゲート102に押し付けられるので頭部を支持する頸部に対しても大きな負荷が生じ、乗員Cの頸部の傷害値も上昇してしまう。
続いて、図4を参照しつつ、本発明の一実施形態である乗員保護装置1について説明する。
なお、図4は本発明の一実施形態である乗員保護装置を示す概略図であり、図4(a)は乗員保護装置を備える車両の側部を示す側面概略図であり、図4(b)は図4(a)に示す乗員保護装置の一駆動形態を示す車両の側面概略図である。図4における車両100及び座席110の一部については、図1〜図3に示したものと同一部材を用いているので、共通の参照符号を付すこととする。
つまり、ベルト部材2は、リトラクタから延在し、適宜にショルダアンカを経由して、座席110の幅方向一端側から乗員Cの胸部を斜めに横断し、他端側に配置されるバックルに挿通され、他端側から乗員Cの腰部を横断し、一端側に配置されるアンカ部材4に固定されている。ベルト部材2において、乗員Cの腰部を横断することによって、乗員Cの腰部を拘束する部位を腰部拘束部21とする。
なお、通常の車両においてリトラクタ等に付設されるプリテンショナ装置は、高圧ガスのガス圧を利用してベルト部材2の強制的な巻取りを行う。本実施形態においては、プリテンショナ装置において用いられるガス発生手段を、本実施形態におけるガス発生手段3としても良い。この場合、ガス発生手段3において発生する高圧ガスは、ベルト部材2の巻き取り動作と、アンカ部材4の前方への移動とに利用されることになる。
なお、図4には図示していないが、座席110の左右反対側に配置されるバックルに対しても、アンカ部材4と同様にガス発生手段3が接続されている。
ここで、図4(b)を参照しつつ、上述した乗員保護装置1の駆動について説明する。
車両に適宜に設けられる加速度センサ等によって衝突が検知されると、ガス発生手段3が駆動して、高圧ガスが発生する。これにより、アンカ部材4及びバックルが前方に移動する。
続いて、本発明に係る乗員保護装置の変形例を図5及び図6に示す。
図5は本発明の他の実施形態に係る乗員保護装置を備える車両の側部を示す側面概略図である。
また、図6は本発明における拘束位置変位部材の変形例を示す概略図であり、図6(a)は本発明における拘束位置変位部材の変形例を示す座席の側面概略図であり、図6(b)は図6(a)に示す拘束位置変位部材の一駆動形態を示す座席の側面概略図である。
通常の車両においては、乗員Cの体躯に合わせて着座姿勢を調整するために、座面部の上下位置を変位する構成が採用されている。なお、従来の座面部の高さ調整機構は低速で徐々に上下位置を変位させるが、図5に示す実施形態においては衝突の際に座面部5を迅速に跳ね上げる必要があるので、従来の調整機構は不適となる可能性がある。座面部5の上方向に跳ね上げる機構としては、ガス発生手段3で発生する高圧ガスの一部を利用して跳ね上げる形態、付勢部材によって跳ね上げる形態等を採用可能である。
回動軸71は、座席110の幅方向に延在する軸体であり、バックレスト112が該回動軸71を中心として後方に回動可能に構成されている。なお、バックレスト112と座面部111とを接続する軸体である接続部材は、回動軸71を中心としたバックレスト112の回動が生じるときに破断するような強度に調整しておくのが良い。
フランジ72は、バックレスト112の下端部から下方に突出する鍔状部位であり、例えばバックレスト112の形状保持のためにバックレスト112内に配置されるシートフレームに固定的に取付けることができる。
ブラケット73は、バックレスト112とアンカ部材4及びバックルとをそれぞれ接続する部材である。ブラケット73は、その後端部がバックレスト112から突設されるフランジ72の前部に対して近接又は当接すると共に、前端部がアンカ部材4及びバックルの後部に対して近接又は当接して配置される。
Claims (6)
- 車両に対して後方からの衝撃が作用したときに、座席に着座している乗員を保護可能な乗員保護装置であって、
乗員の腰部を拘束する腰部拘束部を有するシートベルトと、
前記衝撃が作用したときに、前記乗員の腰部を拘束していた腰部拘束部を乗員の大腿部に当接させて大腿部を拘束するよう変位する拘束位置変位部材と、を備える、
乗員保護装置。 - 座席の幅方向一端側に配置され、シートベルトの一端部を保持するアンカ部材と、
座席の幅方向他端側に配置され、アンカ部材から延在する腰部拘束部を保持するバックルと、を備え、
拘束位置変位部材は、アンカ部材及びバックルの少なくともいずれかを前方に移動させる移動部材を有する、
請求項1に記載の乗員保護装置。 - 移動部材は、アンカ部材及びバックルの少なくともいずれかを前方に移動させることのできる高圧ガスを発生可能なガス発生手段を有する、
請求項2に記載の乗員保護装置。 - 移動部材は、衝撃によって後方に倒れる座席におけるバックレストの下端部から前方に延在し、前方に移動するアンカ部材及びバックルの少なくともいずれかに接続されるブラケットを有し、
バックレストが衝撃で後方に倒れるときに前方に回動するバックレストの下端部によって押圧されたブラケットは、アンカ部材及びバックルの少なくともいずれかを前方に押圧して移動させる、
請求項2に記載の乗員保護装置。 - アンカ部材及びバックルの少なくともいずれかの移動中又は移動後にベルト部材の拘束力を上昇させる拘束部材を備える、
請求項2〜4のいずれかに記載の乗員保護装置。 - 座席の乗員が着座する部位であり、高さを上方向に変位可能な座面部と、
乗員の膝部に向かって展開するニーエアバッグ装置と、を備え、
前記衝撃が作用したときに、
腰部拘束部を大腿部に当接させた拘束位置変位部材と、高さが上方向に変位した座面部とによって大腿部を上下両側から拘束し、
さらに、ニーエアバッグ装置によって膝部を前方から後方に向かって拘束する、
請求項1〜5のいずれかに記載の乗員保護装置。
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