JP6512697B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
このようなエアバッグ装置は、衝突によって乗員が移動する先にエアバッグを展開させて受け止めるという保護形態であった。
前記シートベルトは、前記衝撃の前には重ねられて設けられた複数のシートベルトを有し、前記拡大手段は、前記複数のシートベルトを離間する方向に移動させることにより、前記拘束範囲を拡大する。
まず、従来の車両が後方から衝突された場合について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
なお、図1〜図3は、従来の車両に対する後方からの一衝突形態を示す概略図である。
具体的には、バックレスト112に作用していた後方への荷重によって、座面部111とバックレスト112との接続部材の一部が破断する。該接続部材の破断によって、図1(a)及び図1(b)に示したバックレスト112の初期位置を維持することが困難となる。接続部材が破断しても、乗員Cはバックレスト112に対して更に押し付けられるように慣性力を受け続ける。これにより、図2(a)に示すように、乗員Cはバックレスト112と共に後方に倒れる。
なお、衝突が生じた際に乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間は、図2(a)に示す状態でも残存している。
具体的には、乗員Cが座席110に対して押し付けられた状態が続くと、バックレスト112とヘッドレスト113とを接続する軸体115の取付部位が変形する。これにより、図2(b)に示すように、バックレスト112が後方に倒れつつ、ヘッドレスト113も後方に倒れ始める。ヘッドレスト113が後方に倒れると、ヘッドレスト113がリアゲート102に当接する。なお、ヘッドレスト113のリアゲート102への当接としては、リアゲート102に設けられる後方視認用のリアガラスに対してヘッドレスト当接する形態も含むこととする。ヘッドレスト113がリアゲート102に当接すると、バックレスト112及び乗員Cの後方に倒れる動作が停止する。
なお、衝突が生じた際に乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間は、図2(a)に示した状態から引続いて図2(b)に示す状態でも残存している。
具体的には、ヘッドレスト113とリアゲート102との当接によって、バックレスト112、ヘッドレスト113及び乗員Cの後方への傾倒動作が停止しても、乗員Cは後方への慣性力を受け続ける。これにより、乗員Cは傾いたバックレスト112に沿って、後側上方にせり上がるように移動する。乗員Cが後側上方に移動すると、リアゲート102に対して乗員Cの頭部が当接する。
なお、車両100に衝突する衝突体の相対速度が大きい場合、衝突体が図3に示すリアゲート102を乗員室内に向かって前方に押し込む可能性がある。これにより、後側上方に移動した乗員Cの頭部が、衝突体に当接する可能性もある。結果として、乗員Cの頭部の傷害値が上昇してしまうだけでなく、乗員Cが受ける慣性力によって頭部がリアゲート102に押し付けられるので頭部を支持する頸部に対しても大きな負荷が生じ、乗員Cの頸部の傷害値も上昇してしまう。
続いて、図4を参照しつつ、本発明の一実施形態である乗員保護装置1について説明する。
なお、図4は本発明の一実施形態である乗員保護装置を示す概略図であり、図4(a)は乗員保護装置を備える座席の外観を示す正面概略図であり、図4(b)は乗員保護装置を備える座席を後方から見た内部構造を示す後面概略図である。図4における車両100及び座席110については、図1〜図3に示したものと同一部材を用いているので、共通の参照符号を付すこととする。
第1シートベルト装置2及び第2シートベルト装置3は、特に図4(b)に示すように、シートフレーム120及びベースプレート121上に配置されている。ベースプレート121は、板状部材であり、バックレスト112内においてバックレスト112の形状保持用に配置されて成るシートフレーム120に対して、座席110の幅方向に渡されて固定されている。
なお、アンカ部材118は、車種及び座席によっては図1〜図3に示したフロア部103に固定的に配置されることもある。
なお、第1リトラクタ22は、第1案内部24に対して係合し、第1案内部24の範囲内で移動可能であり、第1案内部24に沿って移動しても係合状態は維持されるようになっている。
ショルダアンカ25は、座席110の前後方向には移動不能で、かつ、幅方向には比較的大きい荷重が作用したときに移動可能となるように、肩部119に対して取付けられる。このような取付形態としては、例えば肩部119に座席110の幅方向に延在するレール状部材を敷設し、該レール状部材に係合状態を維持しつつ摺動可能に構成されたショルダアンカ25を配置することができる。
本実施形態において第1リトラクタ22と第2リトラクタ32とは、図4(b)に示すように隣接して配置されているが、隣接して配置される必要はなく、上下位置がずれていても良い。
ここで、図5及び図6を参照しつつ、上述した乗員保護装置1の駆動について説明する。
なお、図5及び図6は、図4に示した乗員保護装置の一駆動形態を示す概略図である。
具体的には、本実施形態に係る乗員保護装置1は、図2(a)に示した状態、つまり乗員C及び座席110のバックレスト112が後方に倒れつつある状態となったときに駆動を始めるようになっている。つまり、座席110のヘッドレスト113がリアゲート102に当接し、乗員Cが後側上方に移動してリアゲート102に乗員Cの頭部が当接する前に、第1シートベルト装置2及び第2シートベルト装置3を順次駆動する。乗員保護装置1の駆動は、第1シートベルト装置2の一部のみが駆動する一次的な駆動と、第1シートベルト装置2の駆動していなかった残りの部位の駆動、及び第2シートベルト装置3の駆動から成る二次的な駆動とに分けられ、図5には乗員保護装置1の一次的な駆動について示し、図6には乗員保護装置1の二次的な駆動について示している。
なお、このとき第2シートベルト装置3は駆動していない初期状態に維持されるので、第2リトラクタ32は図4(b)に示す初期位置から移動しない。
第1リトラクタ22が下方に移動した距離、つまり縦溝部242の長手方向の大きさを大きく設定すれば、第1シートベルト装置2の二次的な駆動によって第1ベルト部材21の拘束力の上昇幅を大きくすることができる。後側上方に移動しようとする乗員を着座姿勢に留める程度に拘束可能な拘束力を最適化し、縦溝部242の長手方向の大きさを設定するのが好ましい。
仮にショルダアンカ又はリトラクタにおいてシートベルトの幅を大きくする機構を採用したとしても、実際に乗員に当接して拘束に寄与するシートベルトの幅は、一本のみシートベルトを設けた場合と略同一となる可能性があった。
これは、例えばシートベルトの幅を2倍程度に大きくしたとしても、シートベルトの幅はタングプレートに向かって小さくなるので、従来のようにショルダアンカ又はリトラクタから乗員までに距離があると、実際に拘束に寄与するシートベルトの幅は2倍よりも小さくなる。つまり、意図した程度の拘束範囲を得ることが難しかった。
更に、本実施形態において、第1ベルト部材21及び第2ベルト部材31は、バックレスト112の肩部119を跨ぐように掛け渡されているので、後方からの衝突によって乗員が後側上方に移動しようとする状況、又は車両100がロールオーバーによって乗員が上下左右に移動しようとする状況であっても、乗員の肩部を第1ベルト部材21及び第2ベルト部材31によって確実に拘束することができる。
Claims (3)
- 車両に対して衝撃が作用したときに、座席に着座している乗員を保護可能な乗員保護装置であって、
一端部が座席のバックレストの後面部において保持され、バックレストの肩部に掛け渡されてバックレストの前面部側に延在するシートベルトと、
シートベルトによる乗員の拘束範囲を座席の幅方向に拡大する拡大手段と、
拘束範囲が拡大したシートベルトによる乗員の拘束力を上昇させる拘束手段と、を備え、
前記シートベルトは、前記衝撃の前には重ねられて設けられた複数のシートベルトを有し、
前記拡大手段は、前記複数のシートベルトを離間する方向に移動させることにより、前記拘束範囲を拡大する、
乗員保護装置。 - シートベルトの各一端部をそれぞれ独立して保持する複数の保持部材がバックレストの後面部に配置され、
拡大手段は、一の保持部材を座席の幅方向でかつ他の保持部材から離れる方向に移動させる移動手段を有する、
請求項1に記載の乗員保護装置。 - 拘束手段は、保持部材を下方に移動させる第2移動手段、及び、保持部材でシートベルトを巻き取る巻取手段の少なくともいずれかを有する、
請求項2に記載の乗員保護装置。
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