JP6555661B2 - 乗員保護装置 - Google Patents

乗員保護装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6555661B2
JP6555661B2 JP2015072553A JP2015072553A JP6555661B2 JP 6555661 B2 JP6555661 B2 JP 6555661B2 JP 2015072553 A JP2015072553 A JP 2015072553A JP 2015072553 A JP2015072553 A JP 2015072553A JP 6555661 B2 JP6555661 B2 JP 6555661B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
occupant
backrest
seat
belt member
belt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015072553A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016190595A (ja
Inventor
義弘 鎌田
義弘 鎌田
誠也 渡邊
誠也 渡邊
勇 長澤
勇 長澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Subaru Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Subaru Corp filed Critical Subaru Corp
Priority to JP2015072553A priority Critical patent/JP6555661B2/ja
Publication of JP2016190595A publication Critical patent/JP2016190595A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6555661B2 publication Critical patent/JP6555661B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、乗員保護装置、特に車両が後方からの衝撃を受けた場合に、乗員の頭部が乗員室を構成する部材に接触することを防止可能な乗員保護装置に関する。
車両に対する後方からの衝突が生じた場合、衝突に起因する慣性力により後方に移動する乗員を保護する装置として、第1膨張部及び第2膨張部によって乗員の頭部を前後方向に移動しないように拘束するエアバッグを備えたエアバッグ装置が知られている(特許文献1参照)。
このようなエアバッグ装置は、衝突によって乗員が移動する先にエアバッグを展開させて受け止めるという保護形態であった。
特開2008−189023号公報
しかしながら、従来の乗員保護装置のように乗員を移動した先で受け止めることとした場合、衝撃の大きさ及び乗員の体重等に起因する慣性力を、乗員の頭部及び頸部で受けることになる。これは、頭部及び頸部、特に頸部に対する傷害値が増大する要因の一つとなる可能性があった。
よって、本発明が解決しようとする課題は、車両が衝撃を受けた場合に、乗員の頭部が乗員室を構成する部材に接触することを防止可能な乗員保護装置を提供することである。
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る乗員保護装置は、車両に対して衝撃が作用したときに、座席に着座している乗員を保護可能な乗員保護装置であって、座席のバックレストの肩部に掛け渡されるシートベルトと、バックレストの後面部に設けられ、シートベルトの一端側を保持し、シートベルトを牽引可能な保持部材と、を備え、バックレストは、シートベルトが牽引されたときに、肩部におけるシートベルトとの接触部位が下方に変形可能な脆弱部を有し、前記脆弱部は、バックレスト内に配置されるシートフレームにおいて、座席の幅方向に延在する上端部から下方に変形して形成される凹部を有する。
本発明によると、車両が衝突に起因する衝撃を受けた場合に、シートベルトが保持部材により牽引されると、乗員の拘束力を高めつつ、肩部におけるシートベルトとの接触部位に対してシートベルトが脆弱部を下方に変形させて食い込む。これにより、乗員の肩部及び胸部の十分な拘束が達成されるので、乗員の頭部が何らかの部材、例えばリアゲート、リアガラス、天井部、又は衝突体等に直接接触することを抑制可能な乗員保護装置を提供することができる。
図1(a)及び図1(b)は、従来の車両に対する後方からの一衝突形態を示す概略図である。 図2(a)及び図2(b)は、従来の車両に対する後方からの一衝突形態を示す概略図である。 図3は、従来の車両に対する後方からの一衝突形態を示す概略図である。 図4は本発明の一実施形態である乗員保護装置を示す概略図であり、図4(a)は乗員保護装置を備える座席の上部を示す正面概略図であり、図4(b)は乗員保護装置を備える座席の側部を示す側面概略図である。 図5は、図4に示した乗員保護装置の一駆動形態を示す概略図である。 図6は本発明の他の実施形態である乗員保護装置を示す概略図であり、図6(a)は変形例に係る乗員保護装置を備える座席の上部を示す正面概略図であり、図6(b)は図6(a)に示した乗員保護装置の一駆動形態を示す正面概略図である。
(従来の後突形態)
まず、従来の車両が後方から衝突された場合について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
なお、図1〜図3は、従来の車両に対する後方からの一衝突形態を示す概略図である。
図1(a)に示す車両100には座席110が備えられ、該座席110に乗員Cが着座している。
車両100は、その後部において、天井部101とリアゲート102とフロア部103と車輪104とを有する。天井部101は、例えばルーフパネル等の車両100の前後方向及び幅方向に延在する部材であり、乗員室の上面部を構成する部材である。リアゲート102は、乗員室の後側の一部に形成される荷室を開閉するドア部材であり、乗員室の後面部を構成する部材である。フロア部103は、その上部に座席110が配置される車両100の前後方向及び幅方向に延在する部材であり、乗員室の下面部を構成する部材である。車輪104は、エンジン等の駆動源からの駆動力が伝達されて回転することにより路面上を転動する、車両100の前後進のための部材である。
また、座席110は、座面部111と、バックレスト112と、ヘッドレスト113と、シートベルト装置114とを有する。
座面部111は、乗員Cが着座する部位であり、フロア部103に対して固定される。
バックレスト112は、乗員Cが背面を当接させることにより、もたれ掛かることのできる部位である。なお、座面部111とバックレスト112とは、リクライニング機能の実現のために固定可能な回転軸等の接続部材を介して接続されている。
ヘッドレスト113は、乗員Cが後頭部を当接させることにより、乗員Cの頭部の安定を図ることができる部位である。バックレスト112とヘッドレスト113とは、伸縮可能な軸体115を介して接続されている。軸体115は、バックレスト112の上端面部である肩部に形成される開口部に対して挿抜可能になっている。
シートベルト装置114は、乗員Cを着座姿勢で拘束する手段である。シートベルト装置114は、ベルト部材116と、リトラクタ117と、アンカ部材118とを有する。ベルト部材116は、衝突等の異常が生じていないときには乗員Cに対して密着して装着される帯状部材である。リトラクタ117は、バックレスト112の後面部に取付けられ、ベルト部材116の一端部を固定すると共に、余剰のベルト部材116を巻取り可能な部材である。図1に示すように、リトラクタ117から引き出されたベルト部材116は、バックレスト112の後側から肩部119を経由して、アンカ部材118まで延在する。アンカ部材118は、座面部111の側部に取付けられ、ベルト部材116の他端部を固定する部材である。
図1〜図3に示す車両100は、座席110が車両100の前後方向に沿って3列設けられる車両、例えばミニバン等である。また、座席110は、ミニバン等の乗員室内において、リアゲート102に近接して配置される後部座席である。
図1(a)に示した初期状態の車両100に対して後方からの衝突が生じると、車両100の乗員室内の座席110及び乗員Cは、まず図1(b)に示す状態となる。なお、図1(b)、図2及び図3においてリアゲート102の後方に示す黒色の矢印は、衝突によって入力される荷重を示している。
車両100に対して後方からの衝突が生じると、図1(b)に示すように、衝突に起因した慣性力により乗員Cがバックレスト112に押し付けられる。衝突により、乗員Cが押し付けられる荷重と、バックレスト112自体の自重に起因した慣性力による荷重とを併せた後方への荷重が、バックレスト112に対して作用する。
図1(b)に示す状態では、乗員Cの背面がバックレスト112に対して沈み込んでいる。このとき、シートベルト装置114は図1(a)に示した車両100に衝突が生じていない状態を維持しているので、乗員Cの肩部、胸部及び腰部と、ベルト部材116との間に隙間が生じる。つまり、図1(a)に示した衝突前では乗員Cとベルト部材116とが略密着している状態から、衝突が生じて乗員Cが後方に移動することによって該密着状態が解除されて隙間が生じてしまう。これにより、シートベルト装置114による乗員Cの拘束力は、衝突が生じた場合に若干低下する可能性がある。
バックレスト112に作用する荷重が大きいと図1(b)に示した状態から座席110及び乗員Cは、図2(a)に示す状態となる。
具体的には、バックレスト112に作用していた後方への荷重によって、座面部111とバックレスト112との接続部材の一部が破断する。該接続部材の破断によって、図1(a)及び図1(b)に示したバックレスト112の初期位置を維持することが困難となる。接続部材が破断しても、乗員Cはバックレスト112に対して更に押し付けられるように慣性力を受け続ける。これにより、図2(a)に示すように、乗員Cはバックレスト112と共に後方に倒れる。
なお、衝突が生じた際に乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間は、図2(a)に示す状態でも残存している。
バックレスト112に作用する荷重が大きいと図2(a)に示した状態から座席110及び乗員Cは、図2(b)に示す状態となる。
具体的には、乗員Cが座席110に対して押し付けられた状態が続くと、バックレスト112とヘッドレスト113とを接続する軸体115の取付部位が変形する。これにより、図2(b)に示すように、バックレスト112が後方に倒れつつ、ヘッドレスト113も後方に倒れ始める。ヘッドレスト113が後方に倒れると、ヘッドレスト113がリアゲート102に当接する。なお、ヘッドレスト113のリアゲート102への当接としては、リアゲート102に設けられる後方視認用のリアガラスに対してヘッドレスト当接する形態も含むこととする。ヘッドレスト113がリアゲート102に当接すると、バックレスト112及び乗員Cの後方に倒れる動作が停止する。
なお、衝突が生じた際に乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間は、図2(a)に示した状態から引続いて図2(b)に示す状態でも残存している。
バックレスト112に作用する荷重が大きいと図2(b)に示した状態から乗員Cは図3に示す状態となる。
具体的には、ヘッドレスト113とリアゲート102との当接によって、バックレスト112、ヘッドレスト113及び乗員Cの後方への傾倒動作が停止しても、乗員Cは後方への慣性力を受け続ける。これにより、乗員Cは傾いたバックレスト112に沿って、後側上方にせり上がるように移動する。乗員Cが後側上方に移動すると、リアゲート102に対して乗員Cの頭部が当接する。
なお、車両100に衝突する衝突体の相対速度が大きい場合、衝突体が図3に示すリアゲート102を乗員室内に向かって前方に押し込む可能性がある。これにより、後側上方に移動した乗員Cの頭部が、衝突体に当接する可能性もある。結果として、乗員Cの頭部の傷害値が上昇してしまうだけでなく、乗員Cが受ける慣性力によって頭部がリアゲート102に押し付けられるので頭部を支持する頸部に対しても大きな負荷が生じ、乗員Cの頸部の傷害値も上昇してしまう。
通常、ベルト部材116の急激な引き出しをロックする機構がリトラクタ117等に組み込まれている。乗員Cが図3に示すように後側上方へ移動する際に、乗員Cの肩部がベルト部材116に引掛かることによって、ベルト部材116の急激な引き出しが生じる。しかしながら、図1(b)で示した乗員Cとベルト部材116との間に生じている隙間によってベルト部材116が余った状態となっているので、乗員Cの後側上方への移動が若干進んだ後にベルト部材116の急激な引き出しが生じ始める可能性がある。したがって、乗員Cとベルト部材116との間に生じた隙間が大きい場合は、ベルト部材116の急激な引き出しをロックする機能が、乗員Cの頭部がリアゲート102に当接する直前まで発揮されない可能性があった。
以上、図1〜図3に示したように、従来の車両100に対して後方から衝突が生じた場合は、乗員Cが後方にせり上がるように移動することによって、乗員Cがリアゲート102に頭部から当接していた。
なお、本実施形態では、バックレスト112の肩部においてヘッドレスト113を支持している軸体115の取付部位が変形しない場合であっても、バックレスト112自体が倒れ続けるとリアゲート102に対してヘッドレスト113が当接することになる。
(基本実施形態の概要)
続いて、図4を参照しつつ、本発明の一実施形態である乗員保護装置1について説明する。
なお、図4は本発明の一実施形態である乗員保護装置を示す概略図であり、図4(a)は乗員保護装置を備える座席の上部を示す正面概略図であり、図4(b)は乗員保護装置を備える座席の側部を示す側面概略図である。図4における車両100及び座席110については、図1〜図3に示したものと同一部材を用いているので、共通の参照符号を付すこととする。
図4に示すように、乗員保護装置1は、ベルト部材2と、リトラクタ3と、凹部41を有するシートフレーム4とを備える。
ベルト部材2は、乗員に当接して乗員を拘束する帯状部材であり、一端部が後述のリトラクタ3に保持されると共に、他端部が図1〜図3に示したようなアンカ部材118等に固定される。上述したアンカ部材118は、ベルト部材2を固定するための部材であり、通常は座席110の座面部111の側部又はフロア部103に固定的に配置されている。ベルト部材2は、リトラクタ3からアンカ部材118までの間に、アンカ部材118とは左右反対側に固定的に配置されるバックルに脱着可能なタングプレートに挿通されている。タングプレート及びバックル(いずれも図示せず)は、ベルト部材2を案内する部材である。
図4(b)に示すように、本実施形態においてベルト部材2は、リトラクタ3に保持される一端部側と、アンカ部材118に固定されるバックレスト112の前面部側との間に、バックレスト112の肩部119に掛け渡されている。なお、肩部119におけるベルト部材2との接触部位を、接触部120とする。
リトラクタ3は、ベルト部材2の一端部を固定的に保持する部材であり、ベルト部材21の巻取り及び繰り出しが可能である。通常、リトラクタ3は、乗員Cの拘束に使用していない余剰のベルト部材2を巻取って収納状態としている。本実施形態におけるリトラクタ3は、バックレスト112の後面部に対して衝突前後でその位置が変動しないように、適宜の固定部材によって装着されている。
リトラクタ3は、衝突発生時にベルト部材2を強制的に巻取る機能を有する。本実施形態において、リトラクタ3による衝突時のベルト部材2の巻取り動作の動力源としては、後述のシートフレーム4に固定的に取付けられるガス発生手段5を用いる。
ガス発生手段5は、乗員保護装置1の駆動の際にリトラクタ3によるベルト部材2の巻取り動作のために、高圧のガスを発生する部材である。ガス発生手段5として、具体的にはエアバッグのインフレータ等に用いられる火薬、又は高圧ガスを充填されたガスボンベ等を用いることができる。
なお、図4に示す実施形態では、図1〜図3に示した形態よりもリトラクタ3を下方に配置しているが、リトラクタ3の上下位置としては本発明の目的が達成され得る限り特に制限されない。
シートフレーム4は、乗員Cがバックレスト112にもたれ掛かる等したときにバックレスト112の形状を維持可能なように、バックレスト112の内部に配置される棒状又は筒状部材である。シートフレーム4は、座席110の幅方向両側に上下方向に延在する上下フレーム部42と、該上下フレーム部42の各上端部の間を座席110の幅方向に渡されて接続する幅フレーム部43とを有する。
図4(a)に示すように、シートフレーム4の上端部である幅フレーム部43の一部において、下方に向かって窪むように屈曲変形されて成る凹部41が形成されている。
凹部41は、幅フレーム部43の一部から下方に向かって突出する凹状部位である。凹部41は、下端部にベルト受け部44を有する。ベルト受け部44は、後述する乗員保護装置1の駆動の際に、直接的又は間接的にベルト部材2が引っ掛かる部位である。
凹部41が形成される位置は、幅フレーム部43の一部であって、バックレスト112における肩部119のベルト部材2との接触部120の下方に対応する位置である。
凹部41は、幅フレーム部43の一部が下方に屈曲変形されることにより形成されている。凹部41は、座席110の幅方向内側に向かって傾斜して形成され、本発明が適用される座席によってはベルト部材2の掛け渡す方向が左右反転する場合があるが、その場合は凹部41の傾斜方向を逆にして座席110の幅方向内側に向かうようにするのが良い。もっとも、凹部41は、その輪郭が曲線で形成されていても良く、例えば湾曲変形されて形成しても良い。
凹部41の大きさ、特に座席110の幅方向の大きさとしては、シートフレーム4の幅方向の剛性を維持することができる限り特に制限されず、本実施形態ではベルト部材2の幅と同等に設定されている。
シートフレーム4において、特に図4(b)に示すように、凹部41は、上下フレーム部42に対して平行ではなく、上下フレーム部42よりもベルト受け部44が後方側に位置するように曲げ変形されて成る。これは、仮に凹部41が曲げ変形されていない場合、凹部41がバックレスト112にもたれ掛かった乗員Cの肩甲骨及びその近傍に当接することによって、乗員Cに障害物として認識されて、着座に係る快適性に違和感が生じる可能性があるからである。
なお、ベルト部材2は本発明におけるシートベルトの一例であり、リトラクタ3は本発明における保持部材の一例であり、凹部41は本発明の脆弱部における凹部の一例である。
(乗員保護装置の駆動)
ここで、図5を参照しつつ、上述した乗員保護装置1の駆動について説明する。
なお、図5は、図4に示した乗員保護装置の一駆動形態を示す概略図である。
本実施形態に係る乗員保護装置1は、図1(b)に示した状態、つまり衝突が生じて乗員Cが受ける慣性力によってバックレスト112に乗員Cが押し付けられる状態となったときに駆動を始めるようになっている。本実施形態に係る乗員保護装置1の駆動時機としては、図1(b)に示す状態から、図3に示す状態、つまり座席110のヘッドレスト113がリアゲート102に当接し、乗員Cが後側上方に移動してリアゲート102に乗員Cの頭部が当接する状態の前までに任意に設定可能である。
まず、本実施形態において乗員保護装置1が駆動するとき、乗員Cは図1(b)に示した状態であり、バックレスト112に押し付けられて沈み込んだ状態の乗員Cとベルト部材2との間には隙間が生じている。つまり、ベルト部材2による乗員Cの拘束力が低下した状態となっている。
車両に適宜に設けられる加速度センサ等によって衝突が検知されると、ガス発生手段5が駆動して、高圧ガスが発生する。これにより、従来のプリンテンショナ等に採用される機構を介して、高圧ガスによってベルト部材2が巻取られる。
ベルト部材2が巻き取られると、乗員Cとベルト部材2との間に生じていた隙間が減少する。該隙間の減少が進むと隙間が無くなるので、乗員Cの胸部に対してベルト部材2が密着する。
更に、ベルト部材2の巻取りが進行する。これにより、ベルト部材2は、肩部119におけるベルト部材2との接触部120に対して、下方に押圧される。バックレスト112は、通常の車両で用いられる座席のバックレストと同様に、内部に発泡ウレタン等の内容物が詰められている。ベルト部材2が接触部120に対して押圧されると、内容物を圧縮しつつベルト部材2が肩部119に対して下方に食い込む。
接触部120の下方にシートフレーム4の凹部41が設けられていることによって、ベルト部材2の食い込みが阻止されることがない。凹部41にベルト部材2が嵌り込むことによって、シートフレーム4の上端部である幅フレーム部43より下方まで食い込むことができる。
図5に示すように、ベルト部材2が凹部41の下端部であるベルト受け部44に引っ掛かると、それ以上のベルト部材2のバックレスト112への食い込みが進行しなくなる。ここで、ガス発生手段5のガス発生が停止する。これにより、リトラクタ3によるベルト部材2の巻取り動作が停止することによって、ベルト部材2のバックレスト112への食い込もうとする動作も停止する。
なお、ベルト部材2がバックレスト112の肩部119から下方に食い込む際に、皮革又は合成樹脂繊維等のバックレスト112の表皮部材は、破断しても良く、繊維の性質に起因する伸縮性によって破断せずに伸びた状態となっても良い。
以上によって、乗員保護装置1の駆動が完了する。乗員保護装置1が駆動すると、衝突に起因して低下していたベルト部材2による乗員Cの拘束力を上昇させ、一定の拘束状態に維持しつつ、ベルト部材2がバックレスト112の肩部119に食い込む。これにより、特に図5(b)に黒色矢印で示すように、図1(b)に示した状態であれば乗員Cとベルト部材2との間に生じていた隙間が、ほとんど無くなる。
更に、ベルト部材2がベルト受け部44に引掛かった状態となることによって、乗員Cの肩部の高さより下方から乗員Cの肩部を乗り越えるような拘束状態となる。これにより、ベルト部材2は、乗員Cの肩部上端だけでなく、肩甲骨近傍部分にも当接することになり、より一層乗員Cの体に沿って密着する拘束状態が実現する。
本実施形態に係る乗員保護装置1は、特に乗員Cの肩部及び胸部を高い拘束力を以って拘束するので、車両100が後方からの衝撃を受けた場合に、乗員Cの後側上方への移動を防止又は低減することができる。これにより、乗員Cの頭部が乗員室を構成する部材に接触することを抑制することができる。
更に、本実施形態において、ベルト部材2は、バックレスト112の肩部119を跨ぐように掛け渡されているので、後方からの衝突が生じた状況だけでなく、車両100がロールオーバーによって乗員Cが上下左右に移動しようとする状況であっても、乗員Cの肩部をベルト部材2によって確実に拘束することができる。
なお、図4及び図5に示したようにリトラクタ3のベルト部材2の巻取り動作によって乗員Cを拘束する実施形態に代えて、該実施形態と同様のガス発生手段5を用いて適宜に付設されるシリンダ及びピストン等を介したリトラクタ3の移動機構を有する形態であっても良い。つまり、リトラクタ3においてベルト部材2を強制的に巻き取らずに、リトラクタ3を例えば下方に移動させることによってベルト部材2を牽引することによって、ベルト部材2がバックレスト112の肩部119に食い込んで乗員Cを拘束することができる。
また、リトラクタ3を下方に移動させつつ、ベルト部材2をリトラクタ3によって巻き取る形態であっても良い。
本実施形態においては、凹部41が座席110の幅方向内側に向かって傾斜しているので、ベルト部材2による肩部119への食い込みが進行するに従って、乗員Cの肩部におけるベルト部材2の当接位置が頸部に近付くことになる。頸部に近い位置で乗員Cを拘束することによって、乗員Cの肩部がベルト部材2から抜けてしまう状況を抑制することができる。
また、凹部41が幅方向内側に向かって傾斜していると、様々な肩幅及び肩部の高さを有する様々な乗員Cに対して、最適な拘束位置がベルト部材2による肩部119への食い込む途中で見つかる可能性が高い。よって、様々な体躯を有する全ての乗員Cに対して好適な拘束状態を実現することができる。
更に、リトラクタ3を移動させる形態を採用する場合、ガス発生手段5に代えて、付勢部材によってリトラクタ3を移動させる形態であっても良い。このような形態としては、例えば衝突が生じていない状態では常に下方に向かう付勢力が作用するように維持される付勢部材を設けると共に、リトラクタ3を固定しておき、衝突が生じるとリトラクタ3の固定状態を解除して、付勢部材の付勢力によってリトラクタ3を下方に移動させても良い。
(変形例)
続いて、本発明に係る乗員保護装置の変形例を図6に示す。
図6は本発明の他の実施形態である乗員保護装置を示す概略図であり、図6(a)は変形例に係る乗員保護装置を備える座席の上部を示す正面概略図であり、図6(b)は図6(a)に示した乗員保護装置の一駆動形態を示す概略図である。
図6に示す座席は、図4及び図5に示した部材と同様の部材を用いているので、共通の参照符号を付すこととする。
図6に示す実施形態においては、上記凹部41に代えて、軟質部材6が配置されている。詳述すると、図6に示す乗員保護装置10では、シートフレーム4の上端部である幅フレーム部43の上下位置が、上記凹部41の下端部であったベルト受け部44の上下位置まで下げて形成されている。また、高さを下げて形成された幅フレーム部43が形状を維持していたバックレスト112の肩部119及びその近傍部分の内部には、座席110の幅方向に沿って柱状の硬質部材7が配置されている。
軟質部材6は、ベルト部材2のバックレスト112の肩部119への食い込みに対する抵抗とならない又はなり難い材料で形成される。軟質部材6は、バックレスト112内において、接触部120の内側から、幅フレーム部43の上部まで配設されている。
硬質部材7は、幅フレーム部43が配置されなくなった肩部119等の形状を維持するための部材であり、軟質部材6より強度が高い材料によって形成されている。硬質部材7の材料としては、例えば硬質部材7が配置される部位に乗員Cの背面が当接しても、シートフレーム4の幅フレーム部43よりも軟質過ぎずに違和感無く着座姿勢を維持し易い材料であるのが好ましい。
乗員保護装置10におけるベルト部材2の牽引形態は、上記乗員保護装置1におけるガス発生手段5とリトラクタ3とによるベルト部材2の巻取りを採用することができる。乗員保護装置10が駆動すると、ベルト部材2がバックレスト112の後面部で巻き取られて牽引されることによって、ベルト部材2からバックレスト112の肩部119に対して押し下げる荷重が作用する。これにより、ベルト部材2が肩部119に食い込み始める。
図6に示す実施形態においては、接触部120の下方に軟質部材6が配設されていることによって、ベルト部材2の食い込みが阻止されることはない。軟質部材6をベルト部材2が下方に圧縮変形させる又は破断させることによって、上下位置を下げて形成された幅フレーム部43に達するまでベルト部材2がバックレスト112に食い込むこととなる。
図6に示すように、ベルト部材2が幅フレーム部43の一部であるベルト受け部44に引っ掛かると、それ以上のベルト部材2のバックレスト112への食い込みが進行しなくなる。
以上によって、乗員保護装置10の駆動が完了する。乗員保護装置10が駆動すると、衝突に起因して低下していたベルト部材2による乗員Cの拘束力を上昇させ、一定の拘束状態に維持しつつ、ベルト部材2がバックレスト112の肩部119に食い込む。これにより、図1(b)に示した状態であれば乗員Cとベルト部材2との間に生じていた隙間が、ほとんど無くなる。
更に、ベルト部材2がベルト受け部44に引掛かった状態となることによって、乗員Cの肩部の高さより下方から乗員Cの肩部を乗り越えるような拘束状態となる。これにより、ベルト部材2は、乗員Cの肩部上端だけでなく、肩甲骨近傍部分にも当接することになり、より一層乗員Cの体に沿って密着する拘束状態が実現する。
本実施形態に係る乗員保護装置10は、特に乗員Cの肩部及び胸部を高い拘束力を以って拘束するので、車両100が後方からの衝撃を受けた場合に、乗員Cの後側上方への移動を防止又は低減することができる。これにより、乗員Cの頭部が乗員室を構成する部材に接触することを抑制することができる。
通常の車両ではBピラー、Cピラー又はDピラー等の骨格部材に取付けられ、ベルト部材2の中継部材であるショルダアンカは、図4〜図6に示した実施形態では配置していない。これは、骨格部材に取付けられたショルダアンカは、乗員Cを前方から後方に向かって拘束することは可能であるが、バックレスト112の肩部119に掛け渡すようなベルト部材2の中継形態になり難いので、肩部119にベルト部材2を下方に向かって食い込ませることは困難であるからである。
なお、ショルダアンカを配置する場合は、バックレスト112の肩部119又はその近傍にショルダアンカを固定的に取付け、ベルト部材2が牽引されたときに、肩部119にショルダアンカと共にベルト部材2が食い込む形態であれば良い。
また、上記リトラクタ3等の保持部材は、バックレスト112の後面部内側に配置しても良い。更に、ベルト部材2をバックレスト112に食い込ませる際の反力をとるために、リトラクタ3を確実に固定可能でかつ取付作業が容易な取付位置として、バックレスト112の後面部における下端部近傍のフロア部103であっても良い。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
1及び10:乗員保護装置、2:ベルト部材、3:リトラクタ、4:シートフレーム、41:凹部、42:上下フレーム部、43:幅フレーム部、44:ベルト受け部、5:ガス発生手段、6:軟質部材、7:硬質部材、100:車両、101:天井部、102:リアゲート、103:フロア部、104:車輪、110:座席、111:座面部、112:バックレスト、113:ヘッドレスト、114:シートベルト装置、115:軸体、116:ベルト部材、117:リトラクタ、118:アンカ部材、119:肩部、C:乗員

Claims (1)

  1. 車両に対して衝撃が作用したときに、座席に着座している乗員を保護可能な乗員保護装置であって、
    座席のバックレストの肩部に掛け渡されるシートベルトと、
    バックレストの後面部に設けられ、シートベルトの一端側を保持し、シートベルトを牽引可能な保持部材と、を備え、
    バックレストは、シートベルトが牽引されたときに、肩部におけるシートベルトとの接触部位が下方に変形可能な脆弱部を有し、
    前記脆弱部は、バックレスト内に配置されるシートフレームにおいて、座席の幅方向に延在する上端部から下方に変形して形成される凹部を有する、
    乗員保護装置。
JP2015072553A 2015-03-31 2015-03-31 乗員保護装置 Active JP6555661B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015072553A JP6555661B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 乗員保護装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015072553A JP6555661B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 乗員保護装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019021625A Division JP6649654B2 (ja) 2019-02-08 2019-02-08 乗員保護装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016190595A JP2016190595A (ja) 2016-11-10
JP6555661B2 true JP6555661B2 (ja) 2019-08-07

Family

ID=57245184

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015072553A Active JP6555661B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 乗員保護装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6555661B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6750643B2 (ja) 2018-03-22 2020-09-02 トヨタ自動車株式会社 車両用シート構造
CN109795385A (zh) * 2019-01-22 2019-05-24 刘安洁 一种汽车被动保护装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09207711A (ja) * 1996-02-01 1997-08-12 Mitsubishi Motors Corp シートベルトガイドの取付構造
JP4457823B2 (ja) * 2004-09-21 2010-04-28 マツダ株式会社 バックドアと後突用エアバッグ装置とを備えた車両
JP2006298091A (ja) * 2005-04-19 2006-11-02 Mazda Motor Corp 車両用シート装置
JP2010058744A (ja) * 2008-09-05 2010-03-18 Toyota Motor Corp 車両用乗員拘束装置
JP4380778B1 (ja) * 2008-11-11 2009-12-09 トヨタ自動車株式会社 車両用乗員拘束装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016190595A (ja) 2016-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3972736B2 (ja) 乗員保護装置
JP4290701B2 (ja) 車両用シート
US8104790B2 (en) Vehicular occupant restraint system
US20180079341A1 (en) Vehicle occupant restraining device
US8616578B2 (en) Occupant protection apparatus
WO2007091575A1 (ja) 車両シート
JP2010083384A (ja) 乗員拘束装置
US11167714B2 (en) Occupant restraint system for a vehicle
US10618437B2 (en) Vehicle seat
JP2020055500A (ja) 車両用シート構造
KR100616008B1 (ko) 차량의 시트벨트
JP6555661B2 (ja) 乗員保護装置
JP2018161966A (ja) 乗員保護装置
JP2018135036A (ja) 車両用乗員拘束装置
JP6537169B2 (ja) 乗員保護装置
JP6751581B2 (ja) 乗員保護装置
JP4290703B2 (ja) 車両用シート
JP2010143422A (ja) 側面衝突用頭部拘束装置
JP4457823B2 (ja) バックドアと後突用エアバッグ装置とを備えた車両
JP2018090224A (ja) シートベルト内蔵車両用シート
JP6649654B2 (ja) 乗員保護装置
GB2519449A (en) Pre-tensioning device for a seat belt of a vehicle, in particular a motor vehicle
JP6927059B2 (ja) 車両用シート
JP6512697B2 (ja) 乗員保護装置
KR20230098605A (ko) 시트 내장 에어백 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6555661

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250