JP2563478B2 - 熱間圧延方法及び熱間圧延装置 - Google Patents

熱間圧延方法及び熱間圧延装置

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Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、例えば鋼，アルミニウム等の金属板，形
鋼，棒鋼等を摩擦係数を低減して圧延し得る熱間圧延方
法及び熱間圧延装置に関する。
＜従来の技術＞ 従来より、例えば、鋼，アルミニウム等の帯板を圧延
するものとして、例えば熱間圧延の場合には、ホットス
トリップミルが、又、冷間圧延の場合にはタンデムコー
ルドミルが各々用いられており、上下一対の回転するワ
ークロール間に帯板を挾むことにより、その帯板を薄く
延ばしている。この圧延の際に発生するワークロールと
帯板との摩擦を減少させるために、従来より、ワークロ
ール表面に圧延潤滑剤等の流体が供給されており、もっ
て塑性変形に要する負荷を軽減している。又、これと同
時に該潤滑剤によってワークロールの摩耗や被圧延材の
表面のキズの発生を防止している。
＜発明が解決しようとする課題＞ しかしながら、例えば熱間圧延の場合、帯板の温度は
約1200℃〜900℃に達しており、ワークロールに供給さ
れた圧延潤滑材は、一般に200℃を超えると燃焼して流
体潤滑材としての機能が失なわれてしまう。そしてワー
クロールのわずか一部に付着している圧延潤滑剤が潤滑
効果を発揮するのみで、その効果は不十分となり、ロー
ル摩耗が増加することとなる。このロール摩耗の増加に
伴い、帯板とロールとの摩擦係数が増大しこのため帯板
の圧下率を維持するのに高い圧延荷重を付加する必要が
ある。
又、従来の熱間圧延においてはワークロールと帯板と
の間には空気以外の流体は存在せず、空気はその圧縮性
のために境界膜とはなりえないので、帯板の全域で金属
同志が接触する境界摩擦状態になるものと考えられてい
る。そのためワークロールと帯板との間の摩擦係数は、
少なくともμ≧0.2となり、圧延荷重の増大，ロールの
肌荒れ，ロール摩耗等の問題がある。
このため、圧延された帯板の幅方向に亙って、帯板に
局部的な突起のようなハイスポット，形状不良，蛇行等
のむらが発生してしまうという問題がある。
以上述べた事情に鑑み、本発明は圧延機のロール摩耗
を低減するとともに、圧延荷重を低くしつつ従来と同様
な圧下率を維持でき、且つコンパクトな圧延装置を得る
ことができる、帯板の熱間圧延方法及び熱間圧延装置を
提供することを目的とする。
＜課題を解決するための手段＞ 前記目的を達成するための本発明の熱間圧延方法の構
成は、被圧延材の表面に多数の凹部を形成し、該凹部に
潤滑用の流体を閉じ込めつつ圧延することを特徴とし、
又、一方の本発明の熱間圧延装置の構成は、被圧延材を
圧延する圧延機の入側に、被圧延材の表面に潤滑用の流
体を溜める多数の凹部を形成させる凹部付与機を設けた
ことを特徴とする。
＜作用＞ 熱間圧延（以下、単に「圧延」という。）の圧延機の
入側に設けた凹部付与機によって被圧延材の表面に多数
の凹部を形成し、その後、圧延機によって圧延される際
に、これら凹部に潤滑用の流体を溜めて閉じ込め、被圧
延材が押圧されるときに上記閉じ込められた潤滑用の流
体が薄く伸ばされ境界膜となる。なお、これら凹部は被
圧延材の圧延に伴って消滅し、圧延処理後の被圧延材の
表面は平滑となる。
＜実 施 例＞ 以下、本発明を詳細に説明する。
第１図は、本発明の圧延装置の概念図、第２図はその
要部拡大図である。これらの図面に示すように、熱間圧
延の圧延装置10は、帯板Ｍを圧延する圧延機11と、この
圧延機11の入側において該帯板Ｍの両面に凹部12を設け
る凹部付与機13とを有している。
この圧延機11には、帯板Ｍを圧延する上下ワークロー
ル14,15、及びこれら上下ワークロール14,15の反力を受
けるよう転接するバックアップロール16,17が、ハウジ
ング18に各々回転可能に支持されている。
又、ワークロール14,15と帯板Ｍとの各々の接触部分
に潤滑用の流体Ｌを吹き付けるように、ノズル19,20が
各々配置されている。
この圧延機11の上流側に設けられる凹部付与機13に
は、第３図に示すような多数の突起21を有する一対の突
起付ピンチロール22,23が搬送される帯板Ｍを挾むよう
にハウジング24に回転可能に支持されている。
尚、この突起21によって形成される凹部12の曲率は、
ワークロール14の曲率よりも大とし、圧延する際に、完
全に押圧されるものであれば該凹部12の形状はいずれの
形状であってもよい。
又、これらピンチロール22,23は、搬送される帯板Ｍ
の塑性変形によって突起21と対応した凹部12が転写され
る程度の圧力にて、該帯板Ｍを挾圧している。
従って、第１図中、右方向に帯板Ｍが搬送されると、
先ず凹部付与機13によって、第４図に示すように帯板Ｍ
の両表面に多数の凹部12が形成される。更に、該凹部12
が形成された帯板Ｍが圧延機11に搬送されると、ワーク
ロール14,15と帯板Ｍとの接触部分に吹き付けられた流
体Ｌがワークロール14,15の接触弧αの内に噛み込まれ
る前に上記凹部12内に溜められる。その後、帯板Ｍが圧
延される際、凹部12内の潤滑用の流体Ｌはワークロール
14,15との表面と凹部12の開口縁部とが接触することに
より、一時的凹部12内に閉じ込められる。又は、ワーク
ロール14,15の表面に付着した液体が、該ワークロール1
4,15の回転に伴って凹部12内に導入される。更に、圧延
されるに従って、これら凹部12内に閉じ込められた流体
Ｌは、凹部12が徐々に接触弧の内で薄く伸ばされること
によって、ワークロール14,15と帯板Ｍとの接触部分に
亙って境界膜を形成する。この境界膜が形成されること
により、従来と比べて流体Ｌが帯板Ｍの圧延時に多量に
接触弧αの内に残り、ロール摩耗が減ぜられる。
又、帯板Ｍに多数の凹部12を設けることにより、この
凹部12に溜まるだけ流体Ｌを吹き付けて封じ込めればよ
いので、流体Ｌの使用量を従来より低減することができ
る。
尚、本実施例においては凹部12を形成させるため突起
付ピンチロール22,23を用いて転造にて塑性加工を施し
たが、その他、プレス加工、更に切削加工によって凹部
12を形成するようにしてもよい。
ここで、本発明のワークロールと帯板との摩擦係数の
減少により、ロールと帯板との間に作用する摩擦剪断応
力τの一般式を以下に示す。
τ＝ａτｂ＋（１−ａ）τｆ ここで、τｂ＝μP:境界摩擦領域 μ：境界摩擦係数 P:ロール面圧 η：液体の粘度 u:液体の速度 h:流体の厚さ a:境界摩擦領域の面積割合 通常、μ＝0.2〜0.5,τｂ≫τｆである。よって、面
積割合ａを小さくすれば、摩擦剪断応力τを小さくする
ことができる。
即ち、本発明においては、この面積割合ａを小さくす
るために、圧延前の帯板Ｍの表面に多数の凹部12を形成
しておき、この凹部12に流体Ｌを封じ込めて圧延するこ
ととしている。よって、帯板Ｍに形成する凹部12に流体
Ｌを閉じ込めることにより、面積割合ａの値を任意に調
節することが可能となる。
又、少量の流体Ｌを凹部12に閉じ込めるだけで、従来
に比べて流体潤滑効果を高めることができる。
尚、本発明において使用する潤滑用の流体Ｌは従来と
同様の鉱物油等の潤滑油あるいは水と潤滑油等の混合物
又は水のみでもよく、更に帯板の温度条件（高温）で液
体状となる溶融塩及びガラス等を使用してもよい。
以上述べたように、本発明では、帯板Ｍの熱間圧延，
冷間圧延を問わず、いずれの圧延においても摩擦係数の
低減を実現することができる。
更に、熱間圧延の場合には、封じ込められた流体の断
熱効果により、帯板からワークロールへ伝導される熱量
を減少することが可能となり、帯板がワークロールによ
って冷やされることがなくなり、又ロールの耐熱性の問
題等に対しても有効である。
このように本発明によれば、従来と比べて圧延荷重を
大幅に低減することが可能となるので、例えばワークロ
ールを支持するバックアップロール及びハウジング等の
圧延機を構成する各部材を、コンパクトに形成すること
が可能となり、又圧延機を廉価に製造することができ
る。
＜発明の効果＞ 以上、実施例，試験例とともに詳しく説明したように
本発明によれば被圧延材の圧延時の摩擦係数を低減する
ことができ、圧延荷重を大幅に低くしても高い圧下率を
得るという効果を奏する。又、圧延ロールの肌荒れ、摩
耗も減少されるとともに流体が断熱剤としての効果を有
しロールの耐熱性も有効となる。更に圧延荷重を低くす
ることに伴い圧延機をコンパクトに構成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第１図は本実施例に係る圧延装置の概念図、第２図はそ
の要部拡大図、第３図は本実施例に係る突起付ピンチロ
ールの斜視図、第４図は凹部が設けられた帯板の斜視
図、第５図は圧延荷重と圧下率との関係を示すグラフで
ある。 図面中、 10は圧延装置、 11は圧延機、 12は凹部、 13は凹部付与機、 14,15はワークロール、 22,23は突起付ピンチロール、 Ｌは流体、 Ｍは帯板である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】熱間圧延における圧延方法において、 被圧延材の表面に多数の凹部を形成し、該凹部に潤滑用
    の流体を閉じ込めつつ圧延することを特徴とする熱間圧
    延方法。
  2. 【請求項２】被圧延材を熱間圧延する圧延機の入側に、
    被圧延材の表面に潤滑用の流体を溜める多数の凹部を形
    成させる凹部付与機を設けたことを特徴とする熱間圧延
    装置。
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