JP3730133B2 - 熱間鋼片の接合方法及び接合装置 - Google Patents

熱間鋼片の接合方法及び接合装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粗圧延後に、先行鋼片及び後行鋼片の端部を搬送方向に互いに突き合わせて接合する熱間鋼片の接合方法及び接合装置に関する。ここに、「先行鋼片」とは、後端部が仕上げ圧延機入側に残った状態で仕上げ圧延されつつある鋼帯をいい、「後行鋼片」とは、仕上げ圧延前のシートバー等の鋼片をいう。
【0002】
【従来の技術】
近年の鋼の熱間圧延においては、鋼片先端の噛み込み不良、鋼片後端の絞り込み、鋼片先端のランアウトテーブル上での走行トラブル、及び鋼片先後端の寸法不良等を防止するために、粗圧延〜仕上げ圧延間で先行鋼片の後端部と後行鋼片の先端部とを次々と接合しながら連続圧延するいわゆるエンドレス圧延が採用されている。このエンドレス圧延における先行鋼片と後行鋼片との接合装置としては、従来、誘導加熱によるものや摩擦圧接によるものがある。
【0003】
これら従来の接合装置は、いずれも、先行鋼片の後端部と後行鋼片の先端部とを互いに対向する端面同士で突き合わせて接合するものであり、先行鋼片及び後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に圧支持するクランプ部を備えている。そして、クランプ部と鋼片との摩擦力によって接合に必要な突き合わせの押圧力(材料の長さ方向に作用する)を得ている。なお、クランプ部による鋼片挟み込みの力をクランプ荷重(クランプ力)という。
【0004】
このような接合装置で良好な接合を得るためには、最大2000kN程度(シートバー幅2m、厚さ40mmの場合)の押圧力を必要とし、その反力をクランプ部と鋼片との平坦な界面同士の摩擦力で受けようとすると、接合装置としては7000kN程度のクランプ荷重を付与できるものが必要となり、設備規模が過大となる。このため、例えば特開平8- 1204号公報に開示されるように、鋼片と接するクランプ部に突起を設けてこの突起を鋼片にめりこませることで、見かけの摩擦係数を増加させ、同じ押圧反力に対抗する摩擦力をより低いクランプ荷重で付与することが行われている。
【0005】
しかしながら、クランプ部に単に突起を設けるだけでは、突起によって形成される鋼片の圧痕が、仕上げワークロールによる仕上げ圧延中に倒れこんでヘゲ等の疵となって製品まで残り、この疵が残った部分は切り捨てを余儀なくされるため、製品の歩留りが低下するという問題がある。一方、これを防止しようとしてクランプ荷重を下げると、押圧反力に対抗できるだけの摩擦力が確保できずに、鋼片が滑って良好な接合が得られにくいほか、この滑りによるひっかき疵も生じるという不具合がある。
【0006】
例えば、図9に示すように、クランプ部101に突起角度βを30°〜70°としたくさび形の突起102を設けた場合、突起102によって形成される鋼片103の圧痕104が、仕上げワークロール105による仕上げ圧延中に倒れこんでヘゲ106等の疵となって製品まで残ってしまう。
上述の問題点を解決するために、従来、図10に示す突起形状を有するクランプ部を備えた接合装置が提案されている(特開平10- 230305号公報参照)。
【0007】
この接合装置におけるクランプ部201には、突起角度βを90°〜140°としたくさび形の突起202が複数設けられている。そして、各突起202の頂点には、ひっかき疵を防止するために丸みRがとられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の図10に示す接合装置にあっては、図9に示すような明らかなヘゲ106等の疵は製品になくなるものの、図11に示すように、圧痕204を仕上げワークロール205によって圧延したことによる微小なへこみあるいは微小ヘゲ206(以下総称して微小ヘゲ206と呼ぶ)が製品203に残存することとなる。これら微小ヘゲ206は、熱延鋼板で出荷される鋼製品等、表面品質に対する要求が厳しくない鋼板では問題とはならないが、ステンレス鋼板や、熱間圧延後さらに冷間圧延工程を経て製造される冷延鋼板等の表面厳格材においては問題となり、切り捨てが余儀なくされていた。
【0009】
従って、本発明は上述の問題点を解決するものであり、その目的は、先行鋼片と後行鋼片との安定的かつ良好な接合が適度のクランプ荷重で得られしかも鋼片の表面に疵が残ることなく冷延鋼板等の表面厳格材においても疵が問題とならない熱間鋼片の接合方法及び接合装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のうち請求項1に係る熱間圧延の接合方法は、熱間圧延に供する先行鋼片と後行鋼片のそれぞれを、鋼片と対向する面に突起を有する2組のクランプにより挟圧支持し、前記先行鋼片の端部と前記後行鋼片の端部とを互いに突き合わせて接合する熱間鋼片の接合方法において、前記突起を、前記鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状のものにするとともに、前記挟圧支持により前記突起を鋼片にめりこませ、圧痕表面と接する接線と前記鋼片表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満の範囲とし、かつ、深さが0.1mm以上0.5mm未満の圧痕を生じさせることを特徴としている。
【0011】
この接合方法によれば、突起により鋼片の表面に形成された圧痕に起因する表面疵が、熱間圧延及び冷間圧延後の鋼板表面に生ずることもなく、さらに、先行鋼片と後行鋼片との突き合わせに十分な、クランプ部の鋼片に対する水平方向摩擦力を得ることができる。
また、本発明のうち請求項2に係る熱間鋼片の接合装置は、熱間圧延に供する先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持し、前記先行鋼片の端部と前記後行鋼片の端部とを互いに突き合わせる2組のクランプ部を備えた熱間鋼片の接合装置において、前記クランプ部の鋼片と対向する面に、前記鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状の突起を有し、前記突起の少なくとも先端から根元に向けて高さが0.5mm以内の範囲における、前記突起の曲面に接する接線と、前記鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたことを特徴としている。
【0012】
この接合装置によれば、突起の少なくとも先端から根元に向けて高さが0.5mm以内の範囲における、突起の曲面に接する接線と、鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたので、先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持した際に突起により形成される圧痕において、圧痕の深さが0.1mm以上0.5mm未満の範囲において、圧痕表面と接する接線と前記鋼片表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満の範囲とすることができる。
この接合装置によれば、先行鋼片と後行鋼片との安定的かつ良好な接合が適度なクランプ荷重で得られ、しかも突起により鋼片の表面に形成された圧痕に起因する表面疵が、熱間圧延及び冷間圧延後に生ずることもない。ここで、突起の曲面に接する接線と、鋼片の表面に直交する線とのなす角(以下接線角度と呼ぶ)を、70°以上としたので、突起により鋼片に形成される圧痕表面と鋼片表面との角度が鈍角化し、後の圧延によっても微小なへこみや微小へげが生じることがない。なお、本発明においては、突起の曲面に接する接線と、鋼片の表面に直交する線とのなす角度はすべて鋭角側の角度で定義するものとする。
【0013】
次に、本発明のうち請求項3に係る熱間鋼片の接合装置は、熱間圧延に供する先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持し、前記先行鋼片の端部と前記後行鋼片の端部とを互いに突き合わせる2組のクランプ部を備えた熱間鋼片の接合装置において、前記クランプ部の鋼片と対向する面に、前記鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状の突起を有し、前記突起の曲面に接する接線と、前記鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたことを特徴とする。
この接合装置によれば、突起の曲面に接する接線と、鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたので、先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持した際に突起により形成される圧痕において、圧痕表面と接する接線と前記鋼片表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満の範囲とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る熱間鋼片の接合装置の概略説明図である。図2は、図1の矢印A部分の拡大図である。
図1に示す接合装置1は、先行シートバー(鋼片)S1及び後行シートバー(鋼片)S2の搬送方向に平行なレール(図示せず)上を走行可能な車輪3を有するフレーム2を備えている。フレーム2内には、先行シートバーS1及び後行シートバーS2のそれぞれをその板厚方向に圧支持する2組のクランプ部4,5が備えられている。先行シートバーS1を圧支持するクランプ部4は、上下ブロック7,8に取り付けられ、上ブロック7にはこの上ブロック7及び上ブロック7に取りつけられたクランプ部4を上下動させるクランプシリンダ11が取り付けられている。一方、後行シートバーS2を圧支持するクランプ部5は、上下目違い防止プレート9,10に取り付けられ、上目違い防止プレート9にはこの上目違い防止プレート9及び上目違い防止プレート9に取りつけられたクランプ部5を上下動させるクランプシリンダ12が取付けられている。そして、クランプ部5は、押圧シリンダ13により搬送方向に前進させられるようになっている。また、先行シートバーS1の後端部及び後行シートバーS2の先端部の周囲には、交番磁界によってそれら端部を誘導加熱する加熱装置14が設けられている。
【0015】
クランプ部4,5の各々は、矩形状体で構成され、図2に最もよく示すように、先行シートバーS1あるいは後行シートバーS2に相対向する平面4a,5a(図2には平面4aのみ図示)には先行シートバーS1あるいは後行シートバーS2にめりこむ複数の突起15が突出形成されている。平面4a,5aはシートバーの挟圧時にシートバーの表面と平行となるように設置されている。突起15は、シートバーの搬送方向及び幅方向において所定ピッチで配列されている。そして、各突起15は、本実施形態にあっては、半径Rを40mmとし、平面4a,5aからの高さhを5mmとした円弧状の突起で構成されている。
【0016】
ここで、円弧状突起15の曲面に接する接線と平面4a,5aに直交する線とのなす接線角度θは、円弧の半径をR、平面4a,5aからの高さをhとすると、その突起15が平面4a,5aと接する部分、即ち円弧状突起15の根元部分では、次の(1)式によって表される。
【0017】
【数1】
Figure 0003730133
【0018】
従って、本実施形態におけるR=40mm、h=5mmの突起15の、突起15が平面4a,5aと接する部分の接線角度、即ちR=40mm、h=5mmの突起15の根元部分の接線角度を図2で示したθ 1 とすると、この接線角度θ1 は、次の(2)式のようになる。
【0019】
【数2】
Figure 0003730133
【0020】
この(2)式で示される突起15の根元部分の接線角度θ1 は70°より大きいため、本実施形態におけるR=40mm、h=5mmの突起15の場合には、円弧状突起15の曲面に接するいたるところの接線について、接線角度θが70°≦θ90°となる。従って、突起15の先端から根元に向けて高さが0.5mmの範囲内の円弧状突起15の曲面に接する接線と平面4a,5aに直交する線とのなす接線角度θは、本実施形態の場合、当然70°≦θ90°を満たしており、後述するように、シートバーS1,S2に対するめりこみ高さを0.1mm以上0.5mm未満とした場合でも当然実際に鋼片にめりこんでいる部分の円弧状突起15の曲面のどこの箇所においても接線角度θは70°以上90°未満となる。
【0021】
次に、先行シートバーS1の後端部と後行シートバーS2の先端部との接合方法について説明する。
接合に際しては、図1に示すように、先ず、先行シートバーS1及び後行シートバーS2をそれぞれクランプ部4,5で圧してそれらの端面に所定のギャップ6をあけて保持し、次いで、加熱装置14により交番磁界を発生させて端部を誘導加熱する。その後、押圧シリンダ13を前進させて先行シートバーS1の後端部と後行シートバーS2の先端部とを相互に押圧させる。これにより、先行シートバーS1の後端部と後行シートバーS2の先端部とは接合される。
【0022】
これら端部を接合する際には、図3に示すように、押圧中の滑り力(押圧反力)は、クランプ力F1によって圧された先行シートバーS1及び後行シートバーS2とクランプ部4,5との界面が突起により凹凸形状となることで生じる耐滑り力(摩擦力)F2で対抗させるようにしている(図3には先行シートバーS1についてのみ図示)。そして、クランプ力F1によって圧された先行シートバーS1及び後行シートバーS2の表裏面には、図4に示すように、クランプ部4,5の突起15により圧痕16が形成される(図4には先行シートバーS1の圧痕のみ図示)。
【0023】
そして、本発明者らは、以下の実験により、円弧状の突起15によって形成される先行シートバーS1及び後行シートバーS2の圧痕16について、圧痕16の開口部における圧痕表面に接する接線とシートバーS1,S2の表面に直交する線とのなす接線角度αを70°以上90°未満とすると共に、突起のめりこみ高さ、すなわち圧痕16のシートバー表面からの深さtを0.1mm以上0.5mm未満として形成されることが適切であることを知見して本発明を完成した。
【0024】
図5は、最も軟らかく疵感受性の強い1000℃の極低炭素鋼をクランプした場合の圧痕形状と仕上圧延後の疵の発生状況との関係を示す実験結果のグラフである。
図5を参照すると、圧痕16の接線角度αが70°以上90°未満で、かつ、圧痕16の深さtが0.5mm未満で仕上圧延後の疵が無いことが確認された。圧痕16の接線角度αが70°以上90°未満で、かつ、圧痕16の深さtが0.5mm以上であれば、仕上圧延後に模様(微小へげ)が発生することが確認されている。また、圧痕16の接線角度αが70°未満であれば、仕上圧延後にヘゲ疵あるいは模様(微小へげ)が発生することが確認されている。従って、圧痕16の接線角度αが70°以上90°未満で、かつ、圧痕16の深さtが0.5mm未満であれば、製品にとっては最適の圧痕とすることができる。
【0025】
なお、この実験においては、円弧状の突起を用いて圧痕を形成させたため、圧痕16の開口部における接線角度αが、他のいずれの圧痕表面における接線角度θ(例えば図4における接線角度θ)よりも小さくなる。つまり、圧痕の開口部における接線角度αが圧痕表面に接する接線と、シートバー表面に直交する線との角の最小値となる。
【0026】
一方、圧痕深さtを限りなくゼロに近づけると、耐滑り力(摩擦力)F2が低下し、先行シートバーS1及び後行シートバーS2が押圧反力により滑ってしまうことがある。
そこで、圧痕深さtの下限値を決定する必要がある。図6は、種々の突起の形状についての耐滑り力F2とクランプ力F1との関係を示す実験結果のグラフである。
【0027】
クランプ部4,5の耐滑り力F2は、先行シートバーS1及び後行シートバーS2に作用する押圧反力(1200kN〜2000kN)に耐える必要がある。図6を参照すると、表面摩擦係数μが0.5にほぼ等しい突起15の円弧半径Rが20mmの場合はクランプ力F1が約1200kN、突起15の円弧半径Rが40mmの場合はクランプ力F1が約1400kN、表面摩擦係数μが0.4にほぼ等しい突起15の円弧半径Rが60mmの場合はクランプ力F1が約1600kNで耐滑り力F2が1200kNとなることが確認された。なお、表面摩擦係数μが0.15にほぼ等しい突起15の円弧半径Rが∞の場合は、耐滑り力F2を1200kNとするためには、クランプ力F1を2800kNよりも大きくする必要があり、クランプ力F1が多大となる。
【0028】
一方、図7は、種々の突起の形状についての圧痕深さtとクランプ力F1との関係を示す実験結果のグラフである。図7を参照すると、突起15の円弧半径Rが20mmの場合はクランプ力F1が約1200kNのときに圧痕深さtが0.1mm、突起15の円弧半径Rが40mmの場合はクランプ力F1が約1400kNのときに圧痕深さtが0.1mm、突起15の円弧半径Rが60mmの場合はクランプ力F1が約1600kNのときに圧痕深さtが0.1mmとなることが確認された。従って、図6及び図7に示す結果より、圧痕深さtが0.1mm以上であれば、耐滑り力F2が1200kN以上となり、先行シートバーS1及び後行シートバーS2に作用する押圧反力(1200kN〜2000kN)に耐えることができることになる。
【0029】
以上の実験結果より、突起15によって形成される先行シートバーS1及び後行シートバーS2の圧痕16が、圧痕16の開口部において圧痕16に接する接線とシートバーS1,S2の表面と直交する線とのなす接線角度αを70°以上90°未満とすると共に、表面からの圧痕深さtを0.1mm以上0.5mm未満として形成されることが適切であることが理解される。これにより、シートバーS1,S2の安定的かつ良好な接合が適度のクランプ荷重で得られしかもシートバーS1,S2の表面に疵が残ることなく冷延鋼板等の表面厳格材においても疵が問題となることはない。
【0030】
なお、図7から理解されるように、突起15の円弧半径Rが20mmの場合はクランプ力F1が約1200kNから約2000kNのときに圧痕深さtが0.1mm以上0.5mm未満を実現でき、突起15の円弧半径Rが40mmの場合はクランプ力F1が約1400kNから約3000kNのときに圧痕深さtが0.1mm以上0.5mm未満を実現でき、突起15の円弧半径Rが60mmの場合はクランプ力F1が約1600kNから約4000kNのときに圧痕深さtが0.1mm以上0.5mm未満となることが確認された。
【0031】
また、図8は、種々の形状の円弧状突起について、圧痕の開口部における接線角度α、すなわち圧痕の接線角度の最小値とクランプ力F1との関係を示す実験結果のグラフである。図8を参照すると、突起15の円弧半径Rが20mmの場合、突起15の円弧半径Rが40mmの場合、及び突起15の円弧半径Rが60mmの場合のいずれの場合であっても、クランプ力F1の大きさに左右されずに、圧痕16の接線角度αが70°以上90°未満であることが確認されている。
【0032】
なお、圧痕16の接線角度αが90°ということは、圧痕が生じていないことを意味し、すなわち圧痕の深さがゼロであることを意味する。この場合、仕上圧延後に疵が残ることはないが、クランプ部4,5のシートバーS1,S2に対する摩擦力が小さく、これらシートバーS1、S2が滑ってしまうことになる
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る熱間鋼片の接合方法によれば、各クランプの突起を、鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状のものにするとともに、挟圧支持により突起を鋼片にめりこませ、圧痕表面と接する接線と鋼片表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満とし、かつ、深さが0.1mm以上0.5mm未満の圧痕を生じさせるので、先行鋼片と後行鋼片との安定的かつ良好な接合が適度のクランプ荷重で得られしかも鋼片の表面に疵が残ることなく冷延鋼板等の表面厳格材においても疵が問題とならない。
【0034】
また、本発明のうち請求項2に係る接合装置によれば、クランプ部の鋼片と対向する面に、鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状の突起を有し、前記突起の少なくとも先端から根元に向けて高さが0.5mm以内の範囲における、前記突起の曲面に接する接線と、前記鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたので、先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持した際に突起により形成される圧痕において、圧痕の深さが0.1mm以上0.5mm未満の範囲において、圧痕表面と接する接線と前記鋼板表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満の範囲とすることができる。これにより、先行鋼片と後行鋼片との安定的かつ良好な接合が適度のクランプ荷重で得られしかも鋼片の表面に疵が残ることなく冷延鋼板等の表面厳格材においても疵が問題とならないものとすることができる。
【0035】
また、本発明のうち請求項3に係る熱間鋼片の接合装置によれば、クランプ部の鋼片と対向する面に、鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状の突起を有し、前記突起の曲面に接する接線と、前記鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたので、先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持した際に突起により形成される圧痕において、圧痕表面と接する接線と前記鋼板表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満の範囲とすることができる。これにより、先行鋼片と後行鋼片との安定的かつ良好な接合が適度のクランプ荷重で得られしかも鋼片の表面に疵が残ることなく冷延鋼板等の表面厳格材においても疵が問題とならないものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱間鋼片の接合装置の概略説明図である。
【図2】図1の矢印A部分の拡大図である。
【図3】先行鋼片に対してクランプ部を狭圧するときのクランプ力と先行鋼片に作用する耐滑り力とを示す概略説明図である。
【図4】先行鋼片の表面に形成される圧痕形状の説明図である。
【図5】最も軟らかく疵感受性の強い1000℃の極低炭素鋼をクランプした場合の圧痕形状と仕上圧延後の疵の発生状況との関係を示す実験結果のグラフである。
【図6】種々の突起の形状についての耐滑り力F2とクランプ力F1との関係を示す実験結果のグラフである。
【図7】種々の突起の形状についての圧痕深さtとクランプ力F1との関係を示す実験結果のグラフである。
【図8】種々の突起の形状についての接線角度αとクランプ力F1との関係を示す実験結果のグラフである。
【図9】従来のクランプ部に設けた突起による圧痕形状及び仕上圧延後の疵の状況の説明図であり、(A)はクランプ直後の圧痕形状の説明図、(B)は仕上圧延直前の圧痕形状の説明図、(C)は仕上圧延後の疵の説明図である。
【図10】従来の接合装置における突起形状を示し、(A)は底面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図11】図10に示す接合装置の突起による圧痕形状及び仕上圧延後の疵の状況の説明図であり、(A)はクランプ直後の圧痕形状の説明図、(B)は仕上圧延直前の圧痕形状の説明図、(C)は仕上圧延後の疵の説明図である。
【符号の説明】
1 接合装置
2 フレーム
3 車輪
4,5 クランプ部
6 ギャップ
7 上ブロック
8 下ブロック
9 上目違い防止プレート
10 下目違い防止プレート
11,12 クランプシリンダ
13 押圧シリンダ
14 加熱装置
15 突起
S1 先行シートバー(先行鋼片)
S2 後行シートバー(後行鋼片)

Claims (3)

  1. 熱間圧延に供する先行鋼片と後行鋼片のそれぞれを、鋼片と対向する面に突起を有する2組のクランプにより挟圧支持し、前記先行鋼片の端部と前記後行鋼片の端部とを互いに突き合わせて接合する熱間鋼片の接合方法において、
    前記突起を、前記鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状のものにするとともに、
    前記挟圧支持により前記突起を鋼片にめりこませ、圧痕表面と接する接線と前記鋼片表面に直交する線とのなす角の最小値を70°以上90°未満の範囲とし、かつ、深さが0.1mm以上0.5mm未満の圧痕を生じさせることを特徴とする熱間鋼片の接合方法。
  2. 熱間圧延に供する先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持し、前記先行鋼片の端部と前記後行鋼片の端部とを互いに突き合わせる2組のクランプ部を備えた熱間鋼片の接合装置において、
    前記クランプ部の鋼片と対向する面に、前記鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状の突起を有し、
    前記突起の少なくとも先端から根元に向けて高さが0.5mm以内の範囲における、前記突起の曲面に接する接線と、前記鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたことを特徴とする熱間鋼片の接合装置。
  3. 熱間圧延に供する先行鋼片と後行鋼片のそれぞれをその板厚方向に挟圧支持し、前記先行鋼片の端部と前記後行鋼片の端部とを互いに突き合わせる2組のクランプ部を備えた熱間鋼片の接合装置において、
    前記クランプ部の鋼片と対向する面に、前記鋼片の搬送方向の断面でみて、円弧状の突起を有し、
    前記突起の曲面に接する接線と、前記鋼片の表面に直交する線とのなす角を、70°以上90°未満としたことを特徴とする熱間鋼片の接合装置。
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