JP2563327Y2 - 型鋼材への上ランナーの取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、梁材等を構成する型鋼材に壁構築用の上ラ
ンナーを取付けるための取付け構造に関するものであ
る。 （従来技術） 境界を仕切る壁の下地施工に際し、Ｈ型鋼から成る梁
材あるいはトラス下弦材などに上ランナーを直付けする
場合、従来は、通常、上ランナーを梁材等の水平フラン
ジ部に溶接してこれを固着する構造が採られる。 しかしながら、このような構造の場合、施工に時間が
かかるばかりでなく、上ランナーが上方に位置している
ので施工作業が面倒であり、また、溶接によって母材の
変質をきたすおそれがある。 （考案の目的） 本考案はこのような問題点に鑑み、壁構築用の上ラン
ナーを取付け金具を介することにより梁材等に簡単に固
定でき、施工性が良好で、梁材等及びランナーの材質に
も影響を及ぼすことのない取付け構造を提供することを
目的とするものである。 （考案の構成） 本考案の特徴は、上記した目的を達成するために次の
構成を備えた点にある。 すなわち、梁材等を構成する型鋼材のフランジ部に取
付け金具を介して上ランナーが取付けられる上ランナー
の取付け構造である。取付け金具は、折り返し可能な程
度に柔軟な金属製板材によって基板とその両側に立下っ
た側板とを有する断面コ字状に形成されている。両側板
は、下端から上記基板に達する切込みを基板の長さ方向
に間隔を置いて少なくとも２箇所設けることにより、対
向する少なくとも一組の固定片とこの固定片を挟んで対
向する少なくとも二組の取付け片とに分けられている。
そして、取付け金具は、基板の上面が上記フランジ部の
下面に当接されると共に取付け片が上記フランジ部の上
面に折返されて基板上面と取付け片内面とによってフラ
ンジ部を挟持することにより、フランジ部に吊り下げ固
定されている。また、上ランナーは、フランジ部に固定
された取付け金具の左右の固定片間に上ランナーの基部
と両側部とが嵌合されることにより、取付け金具に固定
されている。 （実施例） 以下本考案を図示した実施例に基づいて詳細に説明す
る。 第１図は本考案の一実施例に係る上ランナーの取付け
構造に用いられる取付け金具を示している。この金具１
は、折り返し可能な程度に柔軟な金属製板材を折曲する
ことにより、基板とその両側に立下った側板とを有する
断面コ字状に形成されている。基板３の幅は壁構築用の
上ランナー６が取付けられる梁材８たるＨ型鋼の水平フ
ランジ部９の幅とほぼ等しい幅に形成されいる。 両側板2,2には、下端部から基板３に達する切込み2a
が設けられている。切込み2aは両側板2,2の奥行方向に
間隔をおいて２箇所設けられ、この切込み2aによって両
側板は３片に分割されている。前後端に位置する幅狭の
ものは、梁材８への取付け片４でまた中央に位置する幅
広のものは壁用ランナー６の固定片５である。 両側板2,2の長さは別段制限されるものではないが、
後述する使用例から明らかなように梁材８への取付け及
び上ランナー６の固定に支障をきたさない範囲内で適宜
の長さが設定される。 第２図から第４図を参照するに、図中符号８はＨ型鋼
からなる梁材で、その上部フランジ部10には鉄根太11の
端部が載置され、下部フランジ部９の下面に上ランナー
６がその溝部を下向きにして取付けられる。 取付け金具１は、基板３の上面を下部フランジ部９下
面に当接され、取付け片4,4をそれぞれフランジ部上面
側に折返すことにより、上記基板上面と取付け片内面と
で下部フランジ部を挟持するようにして吊り下げ固定さ
れる（第３図及び第４図参照）。図示しないが、取付け
金具は梁材８の長手方向に適宜の間隔をおいて複数個が
下部フランジ部９に固定される。 ランナー６は、基部と両側部7,7を下部フランジ部９
から立下った取付け金具１の左右の固定片5,5間に押し
込むようにして嵌合させることにより、取付け金具１に
固定される。嵌め合わせをきつめにする場合には、予め
取付け金具の固定片5,5の間隔を狭めておく。 スタッド12は上記上ランナー６に従来通りの手法によ
ってその上端部が嵌合される。スタッドを起立させる箇
所に取付け金具が位置している場合、スタッド端部の嵌
め込みがきつくなることがある。このような場合には、
取付け金具１の取付け片4,4は下部フランジ部９を挟持
しているだけであるから、左右の固定片5,5の側端を工
具等で叩きあるいは押すなどしてやれば、取付け金具１
は下部フランジ部９に添って移動される。したがって、
取付け金具１は、一旦、下部フランジ部に固定した後で
あっても、上ランナーの長さ方向所望の位置に簡単に位
置修正できるものである。 なお、取付け金具の梁材等との接合面にポリプロピレ
などの素材によって形成された薄膜状の緩衝テープを貼
着しておけば、梁材等に生じた振動がランナーに伝わる
ことがなくなる。 上記した実施例では、取付け金具の両側板に設けられ
る取付け片と固定片とは前者が２つで後者が１つである
が、両片が交互になるようにして配設され、かつ取付け
片が少なくとも２箇所に設けられるものであれば、その
数の如何を問うものではない。 （効果） 以上述べたように本考案によれば、折り返し可能な程
度に柔軟な金属製板材を断面コ字状に形成して成る取付
け金具の両側板に、その下端から少なくとも２条の切込
みを設けて型鋼材への取付け片とランナーの固定片とを
形成し、取付け片を型鋼材の下部フランジ部に折返して
取付け金具本体を固定する一方、上ランナーを左右の固
定片間に嵌合させて上ランナーを梁材等に取付けるよう
にしてあるので、上ランナーを下方から持ち上げて押し
込むだけで簡単に梁材等の型鋼材に固定できる。しかも
締着具や溶接具を必要としないので、型鋼材の加工も不
要で、型鋼材及び上ランナーの材質にも影響を及ぼすこ
となく楽に施工できるものである。 また、取付け金具の取付け片はフランジ部上面に折返
して固定されるので、異なる厚みのフランジ部を持つ型
鋼材に対しても１種類の取付け金具で対応できるばかり
でなく、フランジ部及び上ランナーに対する長さ方向取
付け位置の修正も簡単に行うことができ、スタッドの起
立組み付けにも支障をきたしたりすることがない。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一実施例に係る取付け構造に用いられ
る取付け金具の全体斜視図、第２図は上記構造が適用さ
れた壁用ランナーと梁材との取付け状態を示す断面図、
第３図及び第４図は取付け金具の梁材への固定と、取付
け金具へのランナーの取付とを示す斜視図である。 １……取付け金具、２……側板、2a……切込み部、３…
…基板、４……取付け片、５……固定片、６……壁用ラ
ンナー、８……梁材、９……フランジ部、12……スタッ
ド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 奥地 進 松原市小川町408番地の１ 奥地建産株 式会社内 (56)参考文献 実公 昭58−44730（ＪＰ，Ｙ２) 実願 昭54−65511号（実開 昭55− 165013号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

1. (57)【実用新案登録請求の範囲】 １．梁材等を構成する型鋼材のフランジ部に上ランナー
   が取付け金具を介して取付けられる上ランナーの取付け
   構造であって、 上記取付け金具は、折り返し可能な程度に柔軟な金属製
   板材によって基板とその両側に立下った側板とを有する
   断面コ字状に形成され、 上記両側板は、下端から上記基板に達する切込みを基板
   の長さ方向に間隔を置いて少なくとも２箇所設けること
   により、対向する少なくとも一組の固定片とこの固定片
   を挟んで対向する少なくとも二組の取付け片とに分けら
   れ、 取付け金具は、基板の上面が上記フランジ部の下面に当
   接されると共に取付け片が上記フランジ部の上面に折返
   されて基板上面と取付け片内面とによってフランジ部を
   挟持することにより、フランジ部に吊り下げ固定され、 上ランナーは、フランジ部に固定された取付け金具の左
   右の固定片間に上ランナーの基部と両側部とが嵌合され
   ることにより、取付け金具に固定されている、 ことを特徴とする型鋼材への上ランナーの取付け構造。