JP2563028Y2 - 陳列棚の棚板昇降装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】本考案は、棚板の高さを無段階に調節し得
る棚板昇降装置に係り、特に、昇降駆動装置を容易に装
着できるようにした陳列棚の棚板昇降装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、棚板の高さを調節できるようにし
た陳列棚は、たとえば図３に示すように構成したものが
知られている。この陳列棚は、左右１対の垂直な支柱(1
01)の下端に、左右１対の水平な脚材(102)が固着され、
左右の主柱(101)及び脚材(102)が適数本の横梁(103)で
連接され、Ｌ字状のフレームを構成している。左右の脚
材(102)の下面には、それぞれ前後１対の支台(104)が装
着されている。

【０００３】主柱(101)は、中空断面の長方形をなし、
その前面に、多数の縦長のスリット(105)が、垂直方向
に所定のピッチで列設されている。左右の主柱(101)に
おける各スリット(105)は、左右対称にそれぞれ同じ高
さ位置に設けられている。

【０００４】棚板保持用のブラケット(106)には、適宜
の厚さの板材が使用され、棚板(108)が載置される水平
な上縁と、主柱(101)に当接される垂直な後縁とが形成
されている。また、後縁には、主柱(101)のスリット(10
5)に挿入される複数個のフック(107)が、スリット(105)
に合致するピツチで突設されている。各フック(107)の
基部の下面には、主柱(101)の前面壁の肉厚よりやや広
幅の切り込みが形成され、フック(107)をそれぞれスリ
ット(105)に挿入した後、ブラケット(106)を押し下げる
ことにより、切り込みがスリット(105)の下辺に係合さ
れ、ブラケツト(106)が主柱(101)に固着される。

【０００５】左右の主柱(101)に列設した多数のスリッ
ト(105)の中、所要の高さ位置のものを選択して、ブラ
ケツト(106)を装着することにより、ブラケット(106)の
装着高さ位置、したがって、ブラケット(106)に載置さ
れる棚板(108)の高さを、スリット(105)の列設ピッチを
単位として、調節することができる。

【０００６】しかし、図３の陳列棚は、棚板(108)の高
さ位置を、スリット(105)の列設ピッチを単位として調
節し得るにすぎず、その中間の高さ位置を細かく調節し
たい場合には、不都合が生じる。また、棚板(108)の高
さ位置を変更するためには、棚板(108)に載置してある
物品を取り下ろして、棚板(108)自体を一旦取り外す必
要があり、不便が多い。

【０００７】図４は、上記の不都合を改善するために、
本出願人が実願平３−７３７２９号として実用新案登録
出願をした棚板昇降装置を備える陳列棚がある。これ
は、左右１対の主柱(110)に沿って、それぞれ昇降可能
に装着した昇降台(111)を、昇降駆動装置により同期的
に昇降できるものであり、各昇降台(111)の前面に各１
個のブラケツト(112)を装着して、棚板(113)を載置し、
左右の昇降台(111)を同期的に昇降させることにより、
棚板(113)の高さ位置を無段階に調節するようにしてあ
る。

【０００８】昇降駆動装置は、互いに内方に向かって開
口するほぼコ字形断面をなす主柱(110)の後面壁に、そ
れぞれ垂直なラツク(114)が固着され、左右の昇降台(11
1)を連接して架設した駆動軸(115)の両端に、ラツク(11
4)に噛み合うピニオン(図示省略)が固着され、また、昇
降台(111)に、主柱(110)内を転動するガイドローラ(図
示省略)が軸支されている。

【０００９】さらに、左側の昇降台(111)の内側面に付
設した歯車ケース(116)の中に、駆動軸(115)に固着した
ウオーム歯車とそれに噛み合うウオーム(ともに図示省
略)とが収容されている。

【００１０】歯車ケース(116)の前面に突出したウオー
ム軸(117)に、クランクハンドル(118)を係着して回転す
ることにより、駆動軸(115)が回転駆動し、さらにピニ
オンがラック(114)に沿って転動するので、昇降台(111)
を昇降できる。このため、棚板(113)の高さ位置を無段
階に調節することができ、また、調節に際して、収容し
た物品を取り下ろしたり、棚板を取り外したりするわず
らわしさがないものである。

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】図４の陳列棚では、ほ
ぼコ字形断面に形成した左右の主柱(110)内に、左右１
対の昇降台(111)に軸支したピニオンやガイドローラが
嵌合し、主柱(110)に沿って垂直方向のみに移動し得る
ように構成してあり、各昇降台(111)を主柱(110)に係着
する場合には、左右１対の昇降台(111)のピニオンやガ
イドローラを、上端の開口部からそれぞれの主柱(110)
内に挿入して、所望の高さ位置まで下降させる必要があ
る。

【００１２】この場合、各昇降台(111)に軸支したピニ
オンは、主柱(110)に固着したラック(114)に噛み合い、
かつ、左右のピニオンを連接する駆動軸(115)に固着し
たウオーム歯車は、ウオーム軸(117)に固着したウオー
ムと噛み合っているため、昇降台(111)の昇降移動は、
ウオーム軸(117)側からしか駆動することができない構
造になつている。

【００１３】したがって、各昇降台(111)をそれぞれの
主柱(110)の上端に係合した後、昇降台(111)を所望の高
さ位置まで下降させるには、ウオーム軸(117)にクラン
クハンドル(118)を係着して回転させる必要がある。

【００１４】しかし、ウオーム軸(117)と駆動軸(115)と
は、回転比が大きいウオーム歯車装置で連結してあるた
め、ウオーム軸(117)の１回転によって昇降台(111)が移
動する距離が小さく、複数段の棚板(113)の中、下段の
ものを保持するための昇降台(111)を、主柱(110)の下部
の高さ位置まで下降させるには、クランクハンドル(11
8)をかなり多数回、回転させなければならず、時間がか
かって、非能率である。

【００１５】また、昇降台(111)を装着する際に、主柱
(110)の上端を越える高さまで持ち上げる必要があるた
め、主柱(110)の高さが大きい場合には、装着操作が不
便である。

【００１６】さらに、陳列棚を設置する室の天井高さが
低く、主柱(110)の上端と天井面との間隔が小さい場合
には、昇降台(111)を主柱(110)の上端から装着すること
ができないこともある。

【００１７】本考案は、昇降台を、適宜高さから主柱に
直接取付けられるようにして、昇降台の着脱作業を簡易
に行なえる陳列棚の棚板昇降装置を提供することを目的
とする。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本考案は、次のとおりに構成されている。

【００１９】互いに内方に向かって開口するコ字形断面
をなし、その後面壁にそれぞれ垂直方向のラックを固着
した左右１対の主柱に、左右１対の昇降台をそれぞれ昇
降可能に装着し、左右の昇降台に水平に架設した駆動軸
の両端にラックに噛み合うピニオンを固着し、駆動軸を
回転駆動して、各昇降台に保持した棚板を昇降させる陳
列棚の棚板昇降装置において、左右１対の主柱の少なく
とも下端部におけるの前面壁を、少なくとも昇降台の垂
直幅に相当する寸法で切除して、昇降台を主柱の前面か
ら装着し得るようにしたことを特徴とする陳列棚の棚板
昇降装置。

【００２０】昇降台を主柱に装着した後、主柱の切除し
た前面壁に一致する断面に形成した補助ガイドレール
を、主柱の切除部に装着して、切除した前面壁を補完す
ることが望ましい。

【００２１】

【作用】主柱の下端部の前面壁を切除したことにより、
この切除した部分を通して、昇降台を主柱の前面側から
装着することができ、主柱への昇降台の着脱が楽になる
とともに、主柱と天井との間隔が狭い場所にも設置する
ことが可能となる。

【００２２】

【実施例】図１は、本考案の一実施例の陳列棚を示す斜
視図である。この実施例は、図４の従来例に準じて、左
右１対の垂直な主柱(１)の下端に、左右１対の水平な脚
材(２)が固着され、Ｌ字状のフレームが形成され、左右
の主柱(１)及び脚材(２)が、横梁(３)及び最下段の棚板
(４)で連接されている。

【００２３】主柱(１)は、互いに内方へ向かって開口す
るほぼコ字形断面をなし、その後面壁に垂直方向のラッ
ク(５)が固着され、かつ、前面壁の下端部が、昇降台
(６)の垂直幅に対応する寸法で切除されている。

【００２４】左右１対の昇降台(６)は、それぞれ板材を
Ｌ字状に折り曲げて形成された対称形をなし、前面にそ
れぞれ棚板保持用のブラケット(７)が突設されている。
左右の昇降台(６)には、水平な駆動軸(８)が架設され、
駆動軸(８)の両端には、ラック(５)に噛み合うピニオン
(９)が固着されている。

【００２５】各昇降台(６)には、ピニオン(９)の上方
に、主柱(１)の内部に沿って転動するガイドローラ(10)
が軸支されている。

【００２６】左側の昇降台(６)の内側面には、歯車ケー
ス(11)が付設され、駆動軸(８)に固着されたウオーム歯
車と、それに噛み合うウオーム(ともに図示省略)とが収
容され、ウオーム軸(12)が歯車ケース(11)の前面に延
び、その先端付近が、ブラケット(７)の内側面に装着し
た軸受(13)で支承されている。

【００２７】図４の従来例に準じて、ウオーム軸(12)の
先端にクランクハンドル(14)を係着して回転することに
より、ウオーム歯車装置を介して駆動軸(８)が回転駆動
し、ピニオン(９)がラック(５)に沿って転動し、左右１
対の昇降台(６)を同期的に昇降させ、ブラケット(７)に
保持した棚板(15)を昇降できる。

【００２８】この実施例は、左右１対の主柱(１)の前面
壁の下端部が、昇降台(６)の垂直幅に相当する寸法で切
除されているので、昇降台(６)は、従来例と同じ主柱
(１)の上端からの装着と併せて、下端部の前面からも装
着することができる。

【００２９】すなわち、複数段の棚板に対応する複数組
の昇降台(６)を主柱(１)に装着する場合に、上半部の昇
降台(６)を従来例と同様に主柱(１)の上端開口から主柱
(１)内に挿入して装着し、一方、下半部の昇降台(６)
を、矢印Ａに示すように、主柱(１)の前面壁の切除され
た下端部に向けて、前方向から装着することができる。

【００３０】このように、複数組の昇降台(６)を上下両
側から装着するようにした場合は、全部の昇降台(６)を
主柱(１)の上端からのみ装着するようにした図４の従来
例に比して、昇降台(６)を所望の高さ位置に設置するま
での移動距離を短くすることができ、特に、下段に設置
する昇降台(６)については、移動距離が大幅に短縮され
る。

【００３１】なお、主柱(１)の前面壁の切除された下端
部は、最下段の昇降台(６)を、切除部から上昇させて、
少なくともガイドローラ(10)が主柱(１)の内部に支承さ
れる位置に設置する場合には、開放されたままでも差し
支えないが、設置位置が低くて、ピニオン(９)やガイド
ローラ(10)が切除部近傍に位置する場合には、安定に支
持できないことになる。

【００３２】このため、各主柱(１)の下端部には、補助
ガイドレール(16)が取付けられるようになっており、保
持ガイドレール(16)は、主柱(１)の切除した前面壁を補
完するようにＬ字状に形成され、所要組数の昇降台(６)
を主柱(１)に装着した後、ボルト(17)により主柱(１)に
装着して、上方の前面壁に連接し、前面壁を構成する。

【００３３】図２は、本考案の他の一実施例の要部を示
す斜視図である。この実施例は、主柱(21)の前面壁の上
下両端部を、それぞれ昇降台(６)の垂直幅に相当する寸
法で切除してあること以外は、図１と同様であるので、
昇降台等の図示を省略する。

【００３４】図１の実施例では、上半部の昇降台(６)を
上端の開口から主柱(１)に挿入して装着するために、陳
列棚を設置する室の天井高さが低くて、主柱(１)の上端
との間に昇降台(６)を挿入できない場合には、全部の昇
降台(６)を下端部から装着する必要が生じる。この場
合、上段部の昇降台(６)を所望の高さまで移動させる距
離が長くなり、図４の従来例における下段部の昇降台
(６)と同様に、時間がかかり非能率である。

【００３５】図２の実施例は、上述のように、主柱(21)
の前面壁の上下両端部が、それぞれ昇降台(６)の垂直幅
に相当する寸法で切除されているので、各昇降台(６)
を、上下両端部とも、前面側から主柱(21)に装着するこ
とができる。

【００３６】すなわち、複数組の昇降台(６)の中、上半
部のものは、矢印Ｂに示すように、上端部の切除部から
支柱(21)内に装着し、下半部のものは、矢印Ｃに示すよ
うに、下端部の切除部から装着することができる。

【００３７】所要組の昇降台(６)を装着したのち、図１
の実施例と同様に、各切除部にそれぞれ補助ガイドレー
ル(22)を装着して、この部分に設置される昇降台(６)を
安定に支持するようにしてある。

【００３８】図２の実施例は、複数組の昇降台(６)を主
柱(21)の上下両側から装着できるため、所定の高さ位置
までの移動距離を短縮することができ、また、主柱(21)
の上端と天井との間隔が狭い場合でも、主柱(21)の上端
側から昇降台(６)を装着することができる。

【００３９】上記の例では、いずれもラック(５)を主柱
(１)内の後部に設けたが、ラックを、歯が後方を向くよ
うにして主柱(１)の前部に設け、かつその下端を、主柱
(１)の切除部分と同一部分で切除してもよい。この場合
には、ピニオン(９)をガイドローラ(10)より上方に位置
させるのがよい。

【００４０】

【考案の効果】(ａ) 複数段の棚板を保持する複数組の
昇降台を主柱に装着する際に、主柱の下部から昇降台を
装着できるので、装着作業が楽に行なえるとともに、所
望の設置高さまでの移動距離を短縮して、設置時間及び
労力を軽減することができる。

【００４１】(ｂ) 主柱の前面壁の上部を切除して、そ
こから昇降台を着脱しうるようにすることにより、主柱
の上端と天井との間隔が狭い場合でも、昇降台を主柱に
装着できる。

【００４２】(ｃ) 主柱の前面壁の上端部をも切除し
て、そこからも昇降台を主柱に着脱しうるようにする
と、さらに便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の陳列棚を示す斜視図であ
る。

【図２】本考案の他の実施例の要部を示す斜視図であ
る。

【図３】従来の棚板の高さ位置を可変とした陳列棚を示
す斜視図である。

【図４】従来の棚板昇降装置を備える陳列棚を示す斜視
図である。

【符号の説明】

(１)主柱 (２)脚材 (３)横梁 (４)最下段棚板 (５)ラック (６)昇降台 (７)ブラケット (８)駆動軸 (９)ピニオン (10)ガイドロー
ラ (11)歯車ケース (12)ウオーム軸 (13)軸受 (14)クランクハ
ンドル (15)棚板 (16)補助ガイド
レール (21)主柱 (22)補助ガイド
レール

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに内方に向かって開口するコ字形断
   面をなし、その後面壁にそれぞれ垂直方向のラックを固
   着した左右１対の主柱に、左右１対の昇降台をそれぞれ
   昇降可能に装着し、左右の昇降台に水平に架設した駆動
   軸の両端に、ラックに噛み合うピニオンを固着し、駆動
   軸を回転駆動して、各昇降台に保持した棚板を昇降させ
   る陳列棚の棚板昇降装置において、 左右１対の主柱の少なくとも下端部における前面壁を、
   少なくとも昇降台の垂直幅に相当する寸法で切除して、
   昇降台を主柱の前面から装着し得るようにしたことを特
   徴とする陳列棚の棚板昇降装置。
2. 【請求項２】 昇降台を主柱に装着した後、主柱の切除
   した前面壁に一致する断面に形成した補助ガイドレール
   を、主柱の切除部に装着して、切除した前面壁を補完す
   るようにしたことを特徴とする請求項１記載の陳列棚の
   棚板昇降装置。