JP2561144B2 - 青色発光蛍光体 - Google Patents
青色発光蛍光体Info
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Description
【産業上の利用分野】 本発明は、主としてカラー陰極線管などに使用される
蛍光体に関し、特に、銀とアルミニウムとで付活された
青色発光の硫化亜鉛カドミウム蛍光体の改良に関する。 更に詳しくは、この発明は、輝度、励起エネルギーに
対する輝度特性(電流特性)、及び輝度劣化(膜焼け)
が極めて良好な青色発光の硫化亜鉛蛍光体に関する。
蛍光体に関し、特に、銀とアルミニウムとで付活された
青色発光の硫化亜鉛カドミウム蛍光体の改良に関する。 更に詳しくは、この発明は、輝度、励起エネルギーに
対する輝度特性(電流特性)、及び輝度劣化(膜焼け)
が極めて良好な青色発光の硫化亜鉛蛍光体に関する。
近年、蛍光体には、優れた電流特性が要求される。電
流特性とは、蛍光体膜を刺激する電子線の電流密度に対
して、発光輝度が増加する特性である。電流特性が悪い
蛍光体は、高電流密度領域で、発光輝度が直線的に増加
しない。言い替えると、蛍光体を強く励起した状態で発
光輝度が高くならない。 近年のカラーブラウン管やディスプレイ管、あるい
は、投与管等は、大型化、超高精細度化が進んでいる。
それに伴って蛍光体には発光輝度を高くすることが要求
されている。そのため、蛍光体を励起する電子線の電流
密度を高くして、高いエネルギー領域で使用されてい
る。従って、蛍光体には優れた電流特性が極めて大切に
なっている。 電流特性とは、蛍光体に流す電流密度に対する発光輝
度の直線性である。理想的な蛍光体は電流密度を10倍、
100倍と上昇させると、発光輝度も電流密度に比例して1
0倍、100倍と直線的に増加する。この状態を、発光効率
の電流特性が100%であるという。ところが、実在する
蛍光体は、電流に対する輝度特性がリニアーにならず、
飽和する。 電流特性低下の主な原因として、電流密度が増減した
ときに、発光色にずれが起こることが上げられる。発光
輝度とは、発光エネルギーと、標準観測者の等色函数を
かけ算したものを、可視領域長で積分したものであるた
め、発光色が変化すると、期待したはずの輝度を示さな
くなる。電流密度の増減により、色ずれが起こると、陰
極線管の画面の明るさに対する色再限性が低下する原因
となる。 高精細度、高輝度化が要求されている最近のカラーブ
ラウン管やディスプレイ管は、蛍光体に優れた電流特性
が要求される。特に、投射管等に使用される蛍光体に
は、極めて優れた電流特性が要求される。 また、発光輝度の低い蛍光体は、発光輝度を高くする
ため、電子線の電流密度をより高くする必要がある。蛍
光体は、高い電流密度の電子線で強く刺戟される程、短
期間に劣化して輝度が低下する弊害を生ずる。 優れた電流特性の蛍光体として、銀と塩素、あるい
は、銀とアルミニウムとで付活された硫化亜鉛蛍光体が
開発されている(特公昭52−30158号公報、特開昭55−1
003号公報)。 これ等の公報に示されている硫化亜鉛蛍光体は、立法
晶系のZnS:Ag,Alである。立法晶系のZnS:Ag,Alは、六方
晶系のもに比較して、優れた発光特性を示すことが開示
されている。 この蛍光体を改良する硫化亜鉛蛍光体として、立法晶
系と六方晶系のふたつの結晶構造を含むZnS:Ag,Alが開
発されている(特開昭62−95378号公報)。 この蛍光体は、硫化亜鉛を母体とし、付活剤として、
銀とアルミニウムを用いている。銀とアルミニウムの付
活量は、銀を500〜2000μg/gとし、アルミニウムを250
〜1500μg/gとしている。また、この蛍光体は、六方晶
系の含有率を0%〜12%の範囲に調整している。この蛍
光体は、前述の蛍光体に比較して優れた発光特性を実現
する。しかしながら、青色発光蛍光体として充分に満足
する特性を示すものでは決してない。すなわち、この硫
化亜鉛蛍光体は、輝度劣化において、現在のカラー陰極
線管用の青色発光蛍光体に要求される特性を満足しな
い。 電流特性が良好な青色発光蛍光体として、YAlO3:Ce、
Y2SiO5:Ce、Y2BaSiO5:Ce等の希土類蛍光体が開発されて
いる。しかしながら、これ等の蛍光体は、電流特性は優
れた特性を示すが、輝度特性が劣るという致命的な欠点
がある。 本発明者等は、硫化亜鉛蛍光体に付いて種々の実験を
繰り返し、膨大な試作品を製造した結果極めて得意な現
象を究明した。すなわち、従来から、硫化亜鉛蛍光体
は、立法晶系のZnS:Ag,Alが六方晶系のものよりも優れ
た発光特性を示すとされていた。従って、この蛍光体を
改良した硫化亜鉛蛍光体にしても、六方晶系の含有率
は、12%以下と極めて少量に限定していた。 たとえば、特開昭62−95378号公報には、カドミウム
を含まない硫化亜鉛蛍光体ではあるが、六方晶系の含有
率を0.5〜12%とすることにより、電流特性を改善する
技術が記載される。さらに、特開昭63−150372号公報に
も、硫化亜鉛蛍光体に六方晶系を含有させることによ
り、電流特性を改善する技術が記載される。 これ等の公報に記載されるように、硫化亜鉛蛍光体に
六方晶系を含有させることが蛍光体の発光特性を改善で
きることは知られているが、この蛍光体は、立方晶体の
ZnS:Ag,Alが、六方晶系のものよりも優れた発光特性を
示すとされていたために、改良された硫化亜鉛蛍光体に
しても、六方晶系の含有率を、12%以下と相当に少量に
限定していた。ところが、本発明者等が実際に種々の硫
化亜鉛蛍光体を試作して実験した結果、従来の蛍光体の
基本的な特性、輝度、電流飽和、劣化等を大幅に改善で
きることを見いだした。これは、六方晶系の結晶を50%
以上とするとともに、ZnSの一部をCdSで置換することに
より、AgやAlあるいはZnの付活状態が格段に向上した効
果と推定される。 従って、この発明の重要な目的は、従来の硫化亜鉛蛍
光体の発光特性をさらに改良した特性の硫化亜鉛蛍光体
を提供することある。 すなわち、この発明の重要な目的は、発光輝度、輝度
劣化特性、電流特性共に優れた硫化亜鉛蛍光体を提供す
ることにある。
流特性とは、蛍光体膜を刺激する電子線の電流密度に対
して、発光輝度が増加する特性である。電流特性が悪い
蛍光体は、高電流密度領域で、発光輝度が直線的に増加
しない。言い替えると、蛍光体を強く励起した状態で発
光輝度が高くならない。 近年のカラーブラウン管やディスプレイ管、あるい
は、投与管等は、大型化、超高精細度化が進んでいる。
それに伴って蛍光体には発光輝度を高くすることが要求
されている。そのため、蛍光体を励起する電子線の電流
密度を高くして、高いエネルギー領域で使用されてい
る。従って、蛍光体には優れた電流特性が極めて大切に
なっている。 電流特性とは、蛍光体に流す電流密度に対する発光輝
度の直線性である。理想的な蛍光体は電流密度を10倍、
100倍と上昇させると、発光輝度も電流密度に比例して1
0倍、100倍と直線的に増加する。この状態を、発光効率
の電流特性が100%であるという。ところが、実在する
蛍光体は、電流に対する輝度特性がリニアーにならず、
飽和する。 電流特性低下の主な原因として、電流密度が増減した
ときに、発光色にずれが起こることが上げられる。発光
輝度とは、発光エネルギーと、標準観測者の等色函数を
かけ算したものを、可視領域長で積分したものであるた
め、発光色が変化すると、期待したはずの輝度を示さな
くなる。電流密度の増減により、色ずれが起こると、陰
極線管の画面の明るさに対する色再限性が低下する原因
となる。 高精細度、高輝度化が要求されている最近のカラーブ
ラウン管やディスプレイ管は、蛍光体に優れた電流特性
が要求される。特に、投射管等に使用される蛍光体に
は、極めて優れた電流特性が要求される。 また、発光輝度の低い蛍光体は、発光輝度を高くする
ため、電子線の電流密度をより高くする必要がある。蛍
光体は、高い電流密度の電子線で強く刺戟される程、短
期間に劣化して輝度が低下する弊害を生ずる。 優れた電流特性の蛍光体として、銀と塩素、あるい
は、銀とアルミニウムとで付活された硫化亜鉛蛍光体が
開発されている(特公昭52−30158号公報、特開昭55−1
003号公報)。 これ等の公報に示されている硫化亜鉛蛍光体は、立法
晶系のZnS:Ag,Alである。立法晶系のZnS:Ag,Alは、六方
晶系のもに比較して、優れた発光特性を示すことが開示
されている。 この蛍光体を改良する硫化亜鉛蛍光体として、立法晶
系と六方晶系のふたつの結晶構造を含むZnS:Ag,Alが開
発されている(特開昭62−95378号公報)。 この蛍光体は、硫化亜鉛を母体とし、付活剤として、
銀とアルミニウムを用いている。銀とアルミニウムの付
活量は、銀を500〜2000μg/gとし、アルミニウムを250
〜1500μg/gとしている。また、この蛍光体は、六方晶
系の含有率を0%〜12%の範囲に調整している。この蛍
光体は、前述の蛍光体に比較して優れた発光特性を実現
する。しかしながら、青色発光蛍光体として充分に満足
する特性を示すものでは決してない。すなわち、この硫
化亜鉛蛍光体は、輝度劣化において、現在のカラー陰極
線管用の青色発光蛍光体に要求される特性を満足しな
い。 電流特性が良好な青色発光蛍光体として、YAlO3:Ce、
Y2SiO5:Ce、Y2BaSiO5:Ce等の希土類蛍光体が開発されて
いる。しかしながら、これ等の蛍光体は、電流特性は優
れた特性を示すが、輝度特性が劣るという致命的な欠点
がある。 本発明者等は、硫化亜鉛蛍光体に付いて種々の実験を
繰り返し、膨大な試作品を製造した結果極めて得意な現
象を究明した。すなわち、従来から、硫化亜鉛蛍光体
は、立法晶系のZnS:Ag,Alが六方晶系のものよりも優れ
た発光特性を示すとされていた。従って、この蛍光体を
改良した硫化亜鉛蛍光体にしても、六方晶系の含有率
は、12%以下と極めて少量に限定していた。 たとえば、特開昭62−95378号公報には、カドミウム
を含まない硫化亜鉛蛍光体ではあるが、六方晶系の含有
率を0.5〜12%とすることにより、電流特性を改善する
技術が記載される。さらに、特開昭63−150372号公報に
も、硫化亜鉛蛍光体に六方晶系を含有させることによ
り、電流特性を改善する技術が記載される。 これ等の公報に記載されるように、硫化亜鉛蛍光体に
六方晶系を含有させることが蛍光体の発光特性を改善で
きることは知られているが、この蛍光体は、立方晶体の
ZnS:Ag,Alが、六方晶系のものよりも優れた発光特性を
示すとされていたために、改良された硫化亜鉛蛍光体に
しても、六方晶系の含有率を、12%以下と相当に少量に
限定していた。ところが、本発明者等が実際に種々の硫
化亜鉛蛍光体を試作して実験した結果、従来の蛍光体の
基本的な特性、輝度、電流飽和、劣化等を大幅に改善で
きることを見いだした。これは、六方晶系の結晶を50%
以上とするとともに、ZnSの一部をCdSで置換することに
より、AgやAlあるいはZnの付活状態が格段に向上した効
果と推定される。 従って、この発明の重要な目的は、従来の硫化亜鉛蛍
光体の発光特性をさらに改良した特性の硫化亜鉛蛍光体
を提供することある。 すなわち、この発明の重要な目的は、発光輝度、輝度
劣化特性、電流特性共に優れた硫化亜鉛蛍光体を提供す
ることにある。
本発明の蛍光体は、硫化亜鉛を母体とし、AgまたはZn
を付活剤とし、Alを共付活剤としている。 ZnSの一部をCdSで置換し、さらに必要ならばCDSeで置
換している。従って、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、下
記の組成式で示される。 (Zn1-xCdx)S1-y・Sey:Ag,Al、 この式において、 x、yは、0<x<1、0≦y<1の範囲にあり、 Agの付活量が200μg〜50,000μg/gの範囲にあり、 共付活剤であるAl量が、100μg〜50,000μg/gの範囲に
調整される。Ag及びAlの量は、それぞれこれ以上でもこ
れ以下でも有効性は低下する。 また、この蛍光体は、色調調整のために微量のCu
(銅)を含ませることも可能である。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、結晶構造の50%
以上が六方晶系(高温型、α型)で占めている。 さらにまた、この発明の蛍光体は、付活剤としてAg以
外にも、銅の他、金等の他の付活剤を含有させて、発光
色をわずかに変化させる事や輝度を更に向上させるこ
と、あるいはB,Ce,Ti,P,Si,Geなど結晶性強化剤を併用
することもできる。
を付活剤とし、Alを共付活剤としている。 ZnSの一部をCdSで置換し、さらに必要ならばCDSeで置
換している。従って、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、下
記の組成式で示される。 (Zn1-xCdx)S1-y・Sey:Ag,Al、 この式において、 x、yは、0<x<1、0≦y<1の範囲にあり、 Agの付活量が200μg〜50,000μg/gの範囲にあり、 共付活剤であるAl量が、100μg〜50,000μg/gの範囲に
調整される。Ag及びAlの量は、それぞれこれ以上でもこ
れ以下でも有効性は低下する。 また、この蛍光体は、色調調整のために微量のCu
(銅)を含ませることも可能である。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、結晶構造の50%
以上が六方晶系(高温型、α型)で占めている。 さらにまた、この発明の蛍光体は、付活剤としてAg以
外にも、銅の他、金等の他の付活剤を含有させて、発光
色をわずかに変化させる事や輝度を更に向上させるこ
と、あるいはB,Ce,Ti,P,Si,Geなど結晶性強化剤を併用
することもできる。
結晶構造の50%以上を六方晶が占める本発明の(Zn・
Cd)S蛍光体は、極めて優れた電流特性と輝度劣化特性
を実現する。例えば、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、加
速電圧27KV、電流密度0.5μA/cm2の電子線で励起したと
きの発光輝度が、従来の硫化亜鉛蛍光体に比較して15%
も改善された。この発明の硫化亜鉛蛍光体には、Cd含有
量が6.0重量%、六方晶系含有量は90重量%のものを使
用した。従来の硫化亜鉛蛍光体には、銀とアルミニウム
の付活量は同等で、六方晶系含有率が10%のものを使用
した。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体の発光スペクトルを
第1図に示す。この図は、本発明の硫化亜鉛蛍光体を蛍
光膜とし、加速電圧27KV、電流密度0.5μA/cm2の電子線
で励起したときの発光スペクトルを示している。この発
光スペクトルの硫化亜鉛蛍光体は、発光色を示すx値が
0.147、y値が0.059であった。 この発明の硫化亜鉛蛍光体は、Cdとの相性が極めてよ
く、発光特性を著しく改善できる。Cd含有量に対する特
性を第2図に示している。この図は、六方晶系の含有率
が90重量%である本発明の硫化亜鉛蛍光体のCd含有量に
対する、相対発光輝度(曲線a)と、相対電流特性(曲
線b)を表している。 この明細書において、相対電流特性値とは、従来の硫
化亜鉛蛍光体の電流特性値を1として、相対値を示す値
である。電流特性値とは、電子銃の電流密度が10μAの
時の発光輝度を、電流密度が1μAの時の輝度で割った
値である。理想の蛍光体であって、電流密度が10μAま
で直線的に発光輝度が増加するものは、電流値が10とな
る。実際の蛍光体は、電流密度が10μAまで直線的に増
加するものはなく、10μA以下で輝度飽和を起こすので
電流特性値は10以下の数値となる。電流密度が1μAか
ら10μAと多くしても輝度が増加しない蛍光体は、電流
特性値が1となる。従って、相対電流特性値は1よりも
大きい程優れた蛍光体となる。第2図は、電流特性値の
相対値を示している。すなわち、この発明の硫化亜鉛蛍
光体の電流特性値を、従来の硫化亜鉛蛍光体の電流特性
値で割った値を相対電流特性値として示している。従来
の硫化亜鉛蛍光体には、六方晶系の含有率が12重量%の
ものを使用している。 第2図の曲線bで明らかなように、この発明の蛍光体
は、Cdを含有させることにより、電流特性が改善され、
また、曲線aで示すように、発光輝度が著しく高くな
る。 ところで、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、従来のこの
業界の常識を覆す組成を有する。すなわち、従来の硫化
亜鉛蛍光体と異なって、六方晶系の含有率を著しく高く
している。六方晶系の含有率を高くし、かつ、銀とアル
ミニウムの付活量を特定することによって、この発明の
硫化亜鉛蛍光体は発光特性を著しく改善している。 第3図は、六方晶系の含有率に対する発光特性を示し
ている。すなわち、この図は、六方晶系の含有率に対す
る、発光色(曲線c)と、相対電流特性(曲線d)とを
表している。 ところで、この図に示される本発明の硫化亜鉛蛍光体
は、Cdの含有量を6重量%としている。相対的な基準と
して、六方晶系の含有率が12重量%である従来の硫化亜
鉛蛍光体を使用している。 この図の曲線dから明らかなように、この発明の硫化
亜鉛蛍光体は、六方晶系の含有率が30重量%をこえる付
近から電流特性が改善され、六方晶系の含有率が50重量
%以上となると著しく改善されることを明示している。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、曲線cに示され
るように、六方晶系の含有量を50重量%以上に特定する
ことによって、色純度も良くなることを示している。 さらに、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、優れた電流特
性に加えて、寿命が長い特長がある。この発明の硫化亜
鉛蛍光体の劣化特性を第4図に示している。この図は、
蛍光体膜を励起する電子銃の加速電圧を27KVとし、電流
密度を42μA/cm2とした強制劣化テストの実測値であ
る。 曲線eは、この発明の硫化亜鉛蛍光体の強制劣化特性
を示している。この特性を示す硫化亜鉛蛍光体は、Cd含
有量が6重量%で、六方晶系の含有率が90重量%のもの
である。曲線fは、六方晶系の含有率が12重量%である
従来の硫化亜鉛蛍光体の特性を示している。 なお、強制劣化特性の測定方法は次の方法を使用し
た。パイレックスガラスに蛍光体を塗布した後、アクリ
ルラッカーフィルミング、メタルバックを施して、蛍光
体輝度測定装置にセットした。輝度測定装置は、加速電
圧を27KVに、電子銃の電流密度を42μA/cm2と極めて高
くし、実際の使用状態に比較して極めて高い電流密度で
蛍光体膜を励起して短時間に強制的に劣化させた。一定
時間強制劣化させ、強制劣化試験の前後で輝度を測定し
て、輝度の変化を比較した。輝度測定には、蛍光体の加
速電圧を27kV、電流密度を0.5μA/cm2とした。 強制劣化試験前の蛍光体塗布膜の発光輝度を100%と
して、強制劣化テスト後の蛍光体膜の発光輝度を測定
し、その相対輝度を百分率で表した。強制劣化試験にお
いて、全く輝度低下のない蛍光体は、第4図において、
相対発光輝度が常に100%である横の水平線となる。劣
化の激しい蛍光体ほど、右下がりの曲線となる。 第4図に示すように、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、
従来の硫化亜鉛蛍光体に比較して、極めて優れた特性を
示し、長時間にわたって優れた発光輝度を示すことが明
かである。 ところで、なお、本発明の硫化亜鉛蛍光体は、50重量
%以下の六方晶系ZnS:AG,Alを含むことを特徴としてい
るが、この明細書において、六方晶系の含有率(%)と
は、X線回折図において下記の式で算出した値である。 (式中、H:六方晶系ZnSの含有率 A:六方晶系と立方晶系のZnSの重なった回折線の高さ B:2Q=51.7′の六方晶系ZnS回折線の高さ) なお、上記の式は下記のW,A,ステワード(Steward)
の式から誘導したものである。 R=B/A=H/1.69−0.69H ところで、この本発明の硫化亜鉛蛍光体が、優れた発
光特性を示す理由は次の通りである。六方晶系の含有率
が0〜12重量%であるZnS:Ag,Al蛍光体は、六方晶系の
含有率が低いので、1010℃以下の温度で焼成される。こ
れに対して、六方晶系の含有率が極めて高いこの発明の
蛍光体は、1010℃〜1150℃の高温で焼成される。高温焼
成で製造されるこの発明の蛍光体は、焼成中にAgがスム
ーズに拡散され、これが理想的な状態で硫化亜鉛を付活
することが理由である。また、CdSを含有させると、さ
らに多量のAgが付活できることも、発光特性を改善でき
る理由である。 さらに、この発明の硫化亜鉛蛍光体が、優れた輝度特
性と輝度劣化特性とを実現するのは、粘度分布をシャー
プにできることが理由のひとつである。第5図に、本発
明のCdを含む硫化亜鉛蛍光体と、従来の硫化亜鉛蛍光体
との粒度分布を示している。この図において、曲線g
は、本発明のCdを含む硫化亜鉛蛍光体の粒度分布を示し
ている。曲線hは従来の硫化亜鉛蛍光体の粒度分布を示
している。この図から明かなように、この発明の硫化亜
鉛蛍光体は、粘度分布がシャープで、平均粒子径に近い
範囲に多くの蛍光体粒子が分布し、微小粒子や凝集粗大
粒子が少ない。これに対して、従来の硫化亜鉛蛍光体
は、粒度分布が広い範囲に分布し、微小粒子や粗大凝集
粒子の含有率が高い。粒度分布がシャープな蛍光体は、
塗布状態における輝度特性、輝度劣化特性を向上できる
と言われている。
Cd)S蛍光体は、極めて優れた電流特性と輝度劣化特性
を実現する。例えば、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、加
速電圧27KV、電流密度0.5μA/cm2の電子線で励起したと
きの発光輝度が、従来の硫化亜鉛蛍光体に比較して15%
も改善された。この発明の硫化亜鉛蛍光体には、Cd含有
量が6.0重量%、六方晶系含有量は90重量%のものを使
用した。従来の硫化亜鉛蛍光体には、銀とアルミニウム
の付活量は同等で、六方晶系含有率が10%のものを使用
した。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体の発光スペクトルを
第1図に示す。この図は、本発明の硫化亜鉛蛍光体を蛍
光膜とし、加速電圧27KV、電流密度0.5μA/cm2の電子線
で励起したときの発光スペクトルを示している。この発
光スペクトルの硫化亜鉛蛍光体は、発光色を示すx値が
0.147、y値が0.059であった。 この発明の硫化亜鉛蛍光体は、Cdとの相性が極めてよ
く、発光特性を著しく改善できる。Cd含有量に対する特
性を第2図に示している。この図は、六方晶系の含有率
が90重量%である本発明の硫化亜鉛蛍光体のCd含有量に
対する、相対発光輝度(曲線a)と、相対電流特性(曲
線b)を表している。 この明細書において、相対電流特性値とは、従来の硫
化亜鉛蛍光体の電流特性値を1として、相対値を示す値
である。電流特性値とは、電子銃の電流密度が10μAの
時の発光輝度を、電流密度が1μAの時の輝度で割った
値である。理想の蛍光体であって、電流密度が10μAま
で直線的に発光輝度が増加するものは、電流値が10とな
る。実際の蛍光体は、電流密度が10μAまで直線的に増
加するものはなく、10μA以下で輝度飽和を起こすので
電流特性値は10以下の数値となる。電流密度が1μAか
ら10μAと多くしても輝度が増加しない蛍光体は、電流
特性値が1となる。従って、相対電流特性値は1よりも
大きい程優れた蛍光体となる。第2図は、電流特性値の
相対値を示している。すなわち、この発明の硫化亜鉛蛍
光体の電流特性値を、従来の硫化亜鉛蛍光体の電流特性
値で割った値を相対電流特性値として示している。従来
の硫化亜鉛蛍光体には、六方晶系の含有率が12重量%の
ものを使用している。 第2図の曲線bで明らかなように、この発明の蛍光体
は、Cdを含有させることにより、電流特性が改善され、
また、曲線aで示すように、発光輝度が著しく高くな
る。 ところで、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、従来のこの
業界の常識を覆す組成を有する。すなわち、従来の硫化
亜鉛蛍光体と異なって、六方晶系の含有率を著しく高く
している。六方晶系の含有率を高くし、かつ、銀とアル
ミニウムの付活量を特定することによって、この発明の
硫化亜鉛蛍光体は発光特性を著しく改善している。 第3図は、六方晶系の含有率に対する発光特性を示し
ている。すなわち、この図は、六方晶系の含有率に対す
る、発光色(曲線c)と、相対電流特性(曲線d)とを
表している。 ところで、この図に示される本発明の硫化亜鉛蛍光体
は、Cdの含有量を6重量%としている。相対的な基準と
して、六方晶系の含有率が12重量%である従来の硫化亜
鉛蛍光体を使用している。 この図の曲線dから明らかなように、この発明の硫化
亜鉛蛍光体は、六方晶系の含有率が30重量%をこえる付
近から電流特性が改善され、六方晶系の含有率が50重量
%以上となると著しく改善されることを明示している。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、曲線cに示され
るように、六方晶系の含有量を50重量%以上に特定する
ことによって、色純度も良くなることを示している。 さらに、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、優れた電流特
性に加えて、寿命が長い特長がある。この発明の硫化亜
鉛蛍光体の劣化特性を第4図に示している。この図は、
蛍光体膜を励起する電子銃の加速電圧を27KVとし、電流
密度を42μA/cm2とした強制劣化テストの実測値であ
る。 曲線eは、この発明の硫化亜鉛蛍光体の強制劣化特性
を示している。この特性を示す硫化亜鉛蛍光体は、Cd含
有量が6重量%で、六方晶系の含有率が90重量%のもの
である。曲線fは、六方晶系の含有率が12重量%である
従来の硫化亜鉛蛍光体の特性を示している。 なお、強制劣化特性の測定方法は次の方法を使用し
た。パイレックスガラスに蛍光体を塗布した後、アクリ
ルラッカーフィルミング、メタルバックを施して、蛍光
体輝度測定装置にセットした。輝度測定装置は、加速電
圧を27KVに、電子銃の電流密度を42μA/cm2と極めて高
くし、実際の使用状態に比較して極めて高い電流密度で
蛍光体膜を励起して短時間に強制的に劣化させた。一定
時間強制劣化させ、強制劣化試験の前後で輝度を測定し
て、輝度の変化を比較した。輝度測定には、蛍光体の加
速電圧を27kV、電流密度を0.5μA/cm2とした。 強制劣化試験前の蛍光体塗布膜の発光輝度を100%と
して、強制劣化テスト後の蛍光体膜の発光輝度を測定
し、その相対輝度を百分率で表した。強制劣化試験にお
いて、全く輝度低下のない蛍光体は、第4図において、
相対発光輝度が常に100%である横の水平線となる。劣
化の激しい蛍光体ほど、右下がりの曲線となる。 第4図に示すように、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、
従来の硫化亜鉛蛍光体に比較して、極めて優れた特性を
示し、長時間にわたって優れた発光輝度を示すことが明
かである。 ところで、なお、本発明の硫化亜鉛蛍光体は、50重量
%以下の六方晶系ZnS:AG,Alを含むことを特徴としてい
るが、この明細書において、六方晶系の含有率(%)と
は、X線回折図において下記の式で算出した値である。 (式中、H:六方晶系ZnSの含有率 A:六方晶系と立方晶系のZnSの重なった回折線の高さ B:2Q=51.7′の六方晶系ZnS回折線の高さ) なお、上記の式は下記のW,A,ステワード(Steward)
の式から誘導したものである。 R=B/A=H/1.69−0.69H ところで、この本発明の硫化亜鉛蛍光体が、優れた発
光特性を示す理由は次の通りである。六方晶系の含有率
が0〜12重量%であるZnS:Ag,Al蛍光体は、六方晶系の
含有率が低いので、1010℃以下の温度で焼成される。こ
れに対して、六方晶系の含有率が極めて高いこの発明の
蛍光体は、1010℃〜1150℃の高温で焼成される。高温焼
成で製造されるこの発明の蛍光体は、焼成中にAgがスム
ーズに拡散され、これが理想的な状態で硫化亜鉛を付活
することが理由である。また、CdSを含有させると、さ
らに多量のAgが付活できることも、発光特性を改善でき
る理由である。 さらに、この発明の硫化亜鉛蛍光体が、優れた輝度特
性と輝度劣化特性とを実現するのは、粘度分布をシャー
プにできることが理由のひとつである。第5図に、本発
明のCdを含む硫化亜鉛蛍光体と、従来の硫化亜鉛蛍光体
との粒度分布を示している。この図において、曲線g
は、本発明のCdを含む硫化亜鉛蛍光体の粒度分布を示し
ている。曲線hは従来の硫化亜鉛蛍光体の粒度分布を示
している。この図から明かなように、この発明の硫化亜
鉛蛍光体は、粘度分布がシャープで、平均粒子径に近い
範囲に多くの蛍光体粒子が分布し、微小粒子や凝集粗大
粒子が少ない。これに対して、従来の硫化亜鉛蛍光体
は、粒度分布が広い範囲に分布し、微小粒子や粗大凝集
粒子の含有率が高い。粒度分布がシャープな蛍光体は、
塗布状態における輝度特性、輝度劣化特性を向上できる
と言われている。
この発明のZnS:Ag,Alは、以下に述べる方法で製造で
きる。 原料調整工程 蛍光体原料として、 (イ) 母体原料として、ZnS(硫化亜鉛生粉)、ZnSe
(セレン化亜鉛)、CdS(硫化カドミウム生粉)、 (ロ) 付活剤として、Agの塩化物、硫酸塩、硝酸塩を
使用し、 (ハ) 色調整剤として、Cuの塩化物、硫酸塩、硝酸塩
を使用し、 (ニ) 共付活剤として、アルミニウムの塩化物塩、硫
酸塩、硝酸塩を使用し、必要ならばCl、Br、I、Fのア
ンモニウム塩のうち少なくとも一種を使用する。 (ホ) 雰囲気調整剤としてS粉末、C粉末などを使用
する。 (ヘ) 結晶性強化剤として、H3BO3、CeCO3、TiO2、P2
O5、SiO2、GeO2などを使用する。 原料焼成工程 上記原料を最適量混練し、100℃〜110℃で乾燥し、得
られた蛍光体原料混合物を石英ルツボ、石英管等の耐熱
性容器に充填して焼成を行う。 焼成は硫化水素雰囲気、硫黄蒸気雰囲気、二酸化炭素
雰囲気の硫化性雰囲気中で行う。焼成温度は1010℃〜11
50℃に調整される。焼成時間は焼成温度、蛍光体原料混
合物の量等により異なるが、1〜8時間の範囲に調整さ
れる。 後処理工程 焼成後、得られた焼成物を充分水洗し、100℃〜110℃
で乾燥させ、フルイにかけ本発明の蛍光体を得る。 以上の〜で製造されるZnS:Ag,Alの具体例を以下
に説明する。 (実施例1) 原料調整工程 下記の原料を用意する。 硫化亜鉛生粉 ZnS 1000g 硫化カドミウム CdS 13g 硝酸銀 AgNO3 0.47g 硝酸アルミニウム Al2(SO4)3 0.95g 塩化ナトリウム NaCl 0.4g ホウ酸 H3BO3 0.2g 硫黄 S 10g 上記原料を充分に混合する。 焼成工程 混合された蛍光体原料を、石英ルツボにつめ、これを
炉に入れて、焼成温度1020℃として、2時間焼成する。 後処理工程 焼成品をルツボから取り出し、水洗した後、フルイに
かけて (Zn,Cd)S:Ag,Alで示される組成の硫化亜鉛蛍光体を得
た。 得られた硫化亜鉛蛍光体は、母体である(Zn,Cd)S:A
g,Alに対し、 1.0重量%のカドミウム、 3.0×10-2重量%の銀、 1.1×10-2のAl、 80重量%の六方晶系を含有していた。 この蛍光体は、第1表に示すように、発光輝度特性、
輝度劣化特性、電流特性共に青色発光蛍光体として優れ
た特性を示した。 ところで、第1表において、発光輝度は、従来の青色
発光硫化亜鉛蛍光体を基準にしている。また、輝度劣化
特性の数値は、27KV、42μA/cm2で30分間電子線で励起
して強制劣化試験をさせた後の発光輝度を%で表したも
のである。また、相対電流特性の数値は、前述のよう
に、従来の硫化亜鉛蛍光体を基準にした相対的なもので
ある。 また、第1表において、従来の硫化亜鉛蛍光体として
示されるものは、六方晶系の含有率が10重量%であり、
銀の付活量が650μm/gで、アルミニウムの付活量が320
μg/gである青色発光ZnS:Ag,Alを使用した。 さらにまた、相対発光輝度を示すY(%)は、視感度
補正した相対輝度を示し、Z(%)は青成分としての相
対輝度を示す。 (実施例2) 原料調整工程 下記の原料を用意する。 硫化亜鉛生粉 ZnS 1000g 硫化カドミウム生粉 CdS 10.3g 硝酸銀 Ag2SO4 1.73g 硝酸アルミニウム Al2(SO4)3 3.8g 塩化マグネシウム MaCl2 0.8g 酸化チタン TiO3 0.1g 硫黄 S 50g 上記原料を充分に混合する。 焼成工程 得られた蛍光体原料を、1050℃で2.5時間焼成するこ
と以外、実施例1と同様に焼成する。 後処理工程 実施例1と同様にして、 (Zn,Cd)S:Ag,Al蛍光体を得た。 この蛍光体は母体である(Zn,Cd)S:Ag,Alに対し、 8.1重量のカドミウム、 1.2×10-1重量%の銀、 3.7×10-2重量%のAl、 99.0重量%の六方晶系を含有していた。 上記蛍光体は、第1表に示すように、発光輝度特性、
輝度劣化特性、電流特性共に青色発光蛍光体としての優
れた特性を有している。
きる。 原料調整工程 蛍光体原料として、 (イ) 母体原料として、ZnS(硫化亜鉛生粉)、ZnSe
(セレン化亜鉛)、CdS(硫化カドミウム生粉)、 (ロ) 付活剤として、Agの塩化物、硫酸塩、硝酸塩を
使用し、 (ハ) 色調整剤として、Cuの塩化物、硫酸塩、硝酸塩
を使用し、 (ニ) 共付活剤として、アルミニウムの塩化物塩、硫
酸塩、硝酸塩を使用し、必要ならばCl、Br、I、Fのア
ンモニウム塩のうち少なくとも一種を使用する。 (ホ) 雰囲気調整剤としてS粉末、C粉末などを使用
する。 (ヘ) 結晶性強化剤として、H3BO3、CeCO3、TiO2、P2
O5、SiO2、GeO2などを使用する。 原料焼成工程 上記原料を最適量混練し、100℃〜110℃で乾燥し、得
られた蛍光体原料混合物を石英ルツボ、石英管等の耐熱
性容器に充填して焼成を行う。 焼成は硫化水素雰囲気、硫黄蒸気雰囲気、二酸化炭素
雰囲気の硫化性雰囲気中で行う。焼成温度は1010℃〜11
50℃に調整される。焼成時間は焼成温度、蛍光体原料混
合物の量等により異なるが、1〜8時間の範囲に調整さ
れる。 後処理工程 焼成後、得られた焼成物を充分水洗し、100℃〜110℃
で乾燥させ、フルイにかけ本発明の蛍光体を得る。 以上の〜で製造されるZnS:Ag,Alの具体例を以下
に説明する。 (実施例1) 原料調整工程 下記の原料を用意する。 硫化亜鉛生粉 ZnS 1000g 硫化カドミウム CdS 13g 硝酸銀 AgNO3 0.47g 硝酸アルミニウム Al2(SO4)3 0.95g 塩化ナトリウム NaCl 0.4g ホウ酸 H3BO3 0.2g 硫黄 S 10g 上記原料を充分に混合する。 焼成工程 混合された蛍光体原料を、石英ルツボにつめ、これを
炉に入れて、焼成温度1020℃として、2時間焼成する。 後処理工程 焼成品をルツボから取り出し、水洗した後、フルイに
かけて (Zn,Cd)S:Ag,Alで示される組成の硫化亜鉛蛍光体を得
た。 得られた硫化亜鉛蛍光体は、母体である(Zn,Cd)S:A
g,Alに対し、 1.0重量%のカドミウム、 3.0×10-2重量%の銀、 1.1×10-2のAl、 80重量%の六方晶系を含有していた。 この蛍光体は、第1表に示すように、発光輝度特性、
輝度劣化特性、電流特性共に青色発光蛍光体として優れ
た特性を示した。 ところで、第1表において、発光輝度は、従来の青色
発光硫化亜鉛蛍光体を基準にしている。また、輝度劣化
特性の数値は、27KV、42μA/cm2で30分間電子線で励起
して強制劣化試験をさせた後の発光輝度を%で表したも
のである。また、相対電流特性の数値は、前述のよう
に、従来の硫化亜鉛蛍光体を基準にした相対的なもので
ある。 また、第1表において、従来の硫化亜鉛蛍光体として
示されるものは、六方晶系の含有率が10重量%であり、
銀の付活量が650μm/gで、アルミニウムの付活量が320
μg/gである青色発光ZnS:Ag,Alを使用した。 さらにまた、相対発光輝度を示すY(%)は、視感度
補正した相対輝度を示し、Z(%)は青成分としての相
対輝度を示す。 (実施例2) 原料調整工程 下記の原料を用意する。 硫化亜鉛生粉 ZnS 1000g 硫化カドミウム生粉 CdS 10.3g 硝酸銀 Ag2SO4 1.73g 硝酸アルミニウム Al2(SO4)3 3.8g 塩化マグネシウム MaCl2 0.8g 酸化チタン TiO3 0.1g 硫黄 S 50g 上記原料を充分に混合する。 焼成工程 得られた蛍光体原料を、1050℃で2.5時間焼成するこ
と以外、実施例1と同様に焼成する。 後処理工程 実施例1と同様にして、 (Zn,Cd)S:Ag,Al蛍光体を得た。 この蛍光体は母体である(Zn,Cd)S:Ag,Alに対し、 8.1重量のカドミウム、 1.2×10-1重量%の銀、 3.7×10-2重量%のAl、 99.0重量%の六方晶系を含有していた。 上記蛍光体は、第1表に示すように、発光輝度特性、
輝度劣化特性、電流特性共に青色発光蛍光体としての優
れた特性を有している。
第1表のCIE色度表示のx値、y値から明かなよう
に、実施例1〜2で得られたこの発明の硫化亜鉛蛍光体
は、色純度の高い青色発光を示した。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、相対発光輝度
も、従来の青色発光蛍光体に比較して、YとZの両方を
著しく向上できた。 さらにまた、輝度劣化特性、ならびに、相対電流特性
も、従来の硫化亜鉛蛍光体に比較して極めて優れた特性
を示した。
に、実施例1〜2で得られたこの発明の硫化亜鉛蛍光体
は、色純度の高い青色発光を示した。 また、この発明の硫化亜鉛蛍光体は、相対発光輝度
も、従来の青色発光蛍光体に比較して、YとZの両方を
著しく向上できた。 さらにまた、輝度劣化特性、ならびに、相対電流特性
も、従来の硫化亜鉛蛍光体に比較して極めて優れた特性
を示した。
第1図は本発明の実施例1の蛍光体を蛍光膜とし、加速
電圧27KV、電流密度0.5μA/cm2の電子線で励起した時の
発光スペクトルを示す。 第2図は本発明の蛍光体中に含まれるCdS含有率(%)
と発光輝度(%)及び電流特性の関係を示したグラフ、 第3図は本発明の蛍光体に含まれる六方晶系含有率
(%)と発光色及び電流特性の関係を示したグラフ、 第4図は強制輝度劣化特性を示すグラフ、 第5図は本発明のCdを含む硫化亜鉛蛍光体と、従来の硫
化亜鉛蛍光体との粒度分布を示すグラフである。
電圧27KV、電流密度0.5μA/cm2の電子線で励起した時の
発光スペクトルを示す。 第2図は本発明の蛍光体中に含まれるCdS含有率(%)
と発光輝度(%)及び電流特性の関係を示したグラフ、 第3図は本発明の蛍光体に含まれる六方晶系含有率
(%)と発光色及び電流特性の関係を示したグラフ、 第4図は強制輝度劣化特性を示すグラフ、 第5図は本発明のCdを含む硫化亜鉛蛍光体と、従来の硫
化亜鉛蛍光体との粒度分布を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】下記の〜の構成を有する青色発光蛍光
体。 一般式が (Zn1-xCdx)S1-y・Sey:Ag,Alで示され、 この一般式においてx、yは、 0<x<1、0≦y<1の範囲にあり、 Agの付活量が 200μg〜50,000μg/gの範囲にあり、 共付活剤であるAl量が、 100μg〜50,000μg/gの範囲にあり、 結晶構造の50%以上を六方晶が占める青色発光蛍光
体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1079287A JP2561144B2 (ja) | 1989-03-29 | 1989-03-29 | 青色発光蛍光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1079287A JP2561144B2 (ja) | 1989-03-29 | 1989-03-29 | 青色発光蛍光体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02255791A JPH02255791A (ja) | 1990-10-16 |
JP2561144B2 true JP2561144B2 (ja) | 1996-12-04 |
Family
ID=13685651
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1079287A Expired - Lifetime JP2561144B2 (ja) | 1989-03-29 | 1989-03-29 | 青色発光蛍光体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2561144B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MY109224A (en) * | 1993-02-11 | 1996-12-31 | Samsung Display Devices Co Ltd | Mixed blue emitting phosphor. |
TW567222B (en) * | 2000-04-11 | 2003-12-21 | Toshiba Corp | Phosphor for display and field-emission display |
JP6384806B2 (ja) * | 2014-03-18 | 2018-09-05 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | ZnS蛍光体及びその製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH072946B2 (ja) * | 1985-10-21 | 1995-01-18 | 化成オプトニクス株式会社 | 螢光体 |
CA1288128C (en) * | 1986-12-01 | 1991-08-27 | Gerardus A.W. Vermeulen | Cathode ray tube having a blue luminescing zinc sulphide |
-
1989
- 1989-03-29 JP JP1079287A patent/JP2561144B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02255791A (ja) | 1990-10-16 |
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