JP2560322B2 - 金属帯片の残留応力低減方法 - Google Patents

金属帯片の残留応力低減方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電子部品のリードフレーム等の材料として用
いられる金属帯片の残留応力低減方法に関する。
(従来技術及び発明が解決しようとする問題点) 金属薄板を所定の幅にスリット加工して得られた金属
帯片には、一般に、その両側の側端面即ちスリット加工
によって剪断された切断面に、そのスリット加工に起因
する圧縮応力が残留している。このため、このような金
属帯片をそのまま後工程で加工すると、上記残留応力に
よって、反り、ねじれ等の歪みが発生し、その結果加工
精度が著しく損なわれる場合がある。これは、特に高い
寸法精度が要求される電子部品等において、重要な問題
となっていた。
例えば、集積回路素子用のリードフレームを製造する
場合には、先ず冷間圧延により所定の厚さの金属薄板を
製造し、しかるのち、この金属薄板を所定の幅にスリッ
ト加工して長手状の金属帯片を作製し、この金属帯片に
打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施して目的とするリー
ドフレームを完成することが一般的である。
ところが、上記の金属帯片は、そのまま打ち抜き加
工、曲げ加工等のリードフレーム加工を行うと、得られ
たリードフレームの形状が著しく変形する。この原因と
しては、打ち抜き加工条件が適正でないことなども考え
られるが、前述したように、スリット加工による剪断時
の変形に伴って圧縮応力を残留していることが主たる原
因となっている。即ち、打ち抜き加工を施す前は残留応
力の均衡により全体としては平坦度の高い帯片でも、打
ち抜き後には前記残留応力の均衡を失い、打ち抜き後の
形状と応力との均衡を保つべく変形してしまうのであ
る。そのため、例えばリード端部にリード線を接続する
ボンディング作業等において、リード端部の自動位置決
めが困難になるなどの問題が発生する。
このような金属帯片の残留応力の詳細を確かめるため
に、第3図に示すように、冷間圧延加工により得られた
金属薄板にスリット加工を施して作製された金属帯片1
の長手方向にフォトエッチング法によりスリット加工を
施して、微小な幅を有する複数個の櫛歯状のピン部2を
形成した。この結果、金属帯片1のスリット端面1a、1b
に接したピン部2′(最も外側のピン部)が湾曲してお
り、金属帯片1の長さLを150mm、幅Wを25mm、ピン部
2の長さlを100mm、幅wを1mmとした時、両端のピン部
2′の先端の金属帯片1の上面から反り量を金属帯片1
の歪み量をδ(mm)とすると、δは20〜30mmであった。
このことから、スリット加工により剪断された端面1a、
1b近傍に大きな残留応力を生じていることが確認され
た。
このような、金属帯片のスリット端面近傍に集中する
残留応力を緩和する方法としては、従来、レベラー加工
法、低温焼純法などが提案されている。しかし、前者は
上記のリードフレームのような打ち抜き加工後に厳しい
平坦度を要求される部品用の金属帯片に適用した場合、
充分満足しうる効果は得られず、一方、後者は還元性又
は非酸化性雰囲気中で熱処理を行わなければならず、例
えば、連続光輝焼純炉等の高価な装置を必要とするた
め、実用的であるとは言い難い。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、
金属薄板をスリット加工して得られる金属帯片の残留応
力を低減する方法において、高価な装置等を必要とせ
ず、しかも、リードフレーム等極めて厳密な平坦度を要
求される部品の製造にも適用しうるような極めて残留応
力の小さい金属帯片を実現しうる金属帯片の残留応力低
減方法を提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、金属帯片の残留応力低減方法に適用される
従来のレベラー加工法を改良すべく検討した結果、レベ
ラーのロール径及び金属帯弁の板厚、降伏応力、縦弾性
係数よりなる新たなパラメータを見出し、該パラメータ
を許容残留応力に応じて決められる所定値以下に制御す
ると、優れた残留応力低減効果が得られるとの認識に基
づくものである。
即ち、上記目的を達成するために本発明によれば、金
属板を所定の幅寸法にスリット加工して得られた金属帯
片をレベラー加工することにより、当該金属帯片の残留
応力を低減する方法において、前記レベラーのロール径
をD(mm)、前記金属帯片の板厚をh(mm)、降伏応力
をσ(kgf/mm2)、縦弾性係数をE(kgf/mm2)とした
ときに、パラメータh・E/D・σを6以上に制御する
ことにより、前記残留応力を許容値以下に制御すること
としたものである。
(作用) レベラー加工時に、レベラーのロール径D(mm)、前
記金属帯片の板厚h(mm)、降伏応力σ(kgf/m
m2)、縦弾性係数をE(kgf/mm2)よりなるパラメータ
h・E/D・σを、例えば打ち抜き形状等に応じて要求
される残留応力の許容値に対応する値以下となるように
設定することにより、金属帯片の残留応力をリードフレ
ームの素材として充分満足しうる程度まで低減すること
が可能となる。更に、上記の方法は、通常のレベラー加
工装置を使用することができるため効果な装置は不要で
ある。
(実施例) 先ず、冷間圧延加工により得られた2種の金属薄板か
らスリット加工により、幅25mmの帯片を切り出し、下記
に示す供試材1、2を得た。
供試材1 鋼種:42%Ni鋼 降伏応力σ=62kgf/mm2 縦弾性係数:E=15400kgf/mm2 板厚:h=0.2mm 供試材2 鋼種:SUS430 降伏応力σ=66kgf/mm2 縦弾性係数:E=20300kgf/mm2 板厚:h=0.2mm これらの供試材1、2を第1図に示すようなレベラー
装置によりレベラー加工した。即ち、第1図において、
レベラー装置は、直径Dmmのロール3を上段に9個、下
段に10個交互に配設した構成であり、これらのロール3
の前後に配設された支持ロール7、8により金属帯片6
を支持しつつ、コイラー4、アンコイラー5により、当
該金属帯片6を図中矢線方向に移送しながら、前記ロー
ル3によりレベラー加工を行うものである。
かかるレベラー装置において、ロール3の直径Dを種
々に変化させて、上記供試材1、2のレベラー加工を行
い、しかるのち、加工後の供試材1、2を上記第3図に
示したように、ピン部を有する形状にして、その歪み量
δ(mm)を測定した。そして、本発明のパラメータh・
E/D・σとこの歪み量δとの関係を第2図に示した。
第2図において、供試材1は○印、供試材2は△印で夫
々示してある。
第2図からも明らかなように、パラメータh・E/D・
σが増加するにつれて、歪み量δは減少する傾向にあ
る。即ち、例えば、同一の金属帯片を使用し、板厚を一
定にした場合、ロール径が小さくなる程、歪み量は低減
される。そして、今、製造すべき電子部品例えばリード
フレームの打ち抜き形状の要請から金属帯片の残留応力
つまり歪み量δを10mm以下に制御することが求められて
いる(即ち、金属帯片の残留応力の許容値に対応する歪
み量が10mm以下である)とすると、第2図から、前記パ
ラメータh・E/D・σを6以上となるように制御すれ
ばよいことがわかる。
このように、上記のパラメータと歪み量との関係を予
め調べておき、製造される部品のパターン形状に対応し
て決定される残留応力の許容値に対応する歪み量から、
前記パラメータの制御すべき値を見出してレベラー加工
を行えばよいため、金属帯片の用途、目的に応じて、最
適な加工条件を容易に見出すことが可能となる。
(発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、金属板を所定の
幅寸法にスリット加工して得られた金属帯片をレベラー
加工することにより、当該金属帯片の残留応力を低減す
る方法において、前記レベラーのロール径をD(mm)、
前記金属帯片の板厚をh(mm)、降伏応力をσ(kgf/
mm2)、縦弾性係数をE(kgf/mm2)としたときに、パラ
メータh・E/D・σを6以上に制御することにより、
前記残留応力を許容値以下に制御することとしたので、
特別高価な装置を必要とすることなく、しかも、金属帯
片の用途等に応じた残留応力の許容値に対応する加工条
件を上記パラメータから容易に見出すことができ、例え
ばリードフレーム等の製造に使用される金属薄片のよう
に極めて高い平坦度を要求されるものに対しても充分な
残留応力低減効果を発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の金属帯片の残留応力低減方法におい
て、使用されるレベラー加工装置の概念的構成図、第2
図は本発明の金属帯片の残留応力低減方法において、本
発明のパラメータと歪み量との関係を示すグラフ、第3
図はスリット加工により得られた金属帯片の残留応力分
布を調べる方法を示す概念図である。 3……ロール、4……コイラー、5……アンコイラー、
6……金属帯片。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板を所定の幅寸法にスリット加工して
    得られた金属帯片をレベラー加工することにより、当該
    金属帯片の残留応力を低減する方法において、前記レベ
    ラーのロール径をD(mm)、前記金属帯片の板厚をh
    (mm)、降伏応力をσ(kgf/mm2)、縦弾性係数をE
    (kgf/mm2)としたときに、パラメータh・E/D・σ
    6以上に制御することにより、前記残留応力を許容値以
    下に制御することを特徴とする金属帯片の残留応力低減
    方法。
JP62099689A 1987-04-24 1987-04-24 金属帯片の残留応力低減方法 Expired - Lifetime JP2560322B2 (ja)

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