JP2559819Y2 - ミシンの被縫製布供給積み重ね装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、被縫製布をベルトに
乗せてミシンに供給し、縫い終った布を取り出して積載
台上に積み重ねるための、ミシンの被縫製布供給積み重
ね装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ミシンのクロスプレートと面一に設置し
たミシンテーブルをミシンの前後にわたって延長し、そ
のテーブルの上面に沿って布送りベルトと伏せ縫い用な
どの布案内部材を設け、布をベルト上に乗せて自動的に
折り曲げながらミシンに供給し、その折り曲げ線に沿っ
て縫製を行い、縫製を終った布を引き続きそのベルトで
搬出するようにした装置が特公昭４４ー３３９２号や、
実願平２−４０１４１４号により提案されている。

【０００３】また、縫製を終了した布をテーブルから積
載台に積み変える装置が、特開昭６１−８０８８，６１
−１６４５８９，６１−２４９４９７，６３−２０３１
９２号等により多数提案されている。

【０００４】ところが、これらに示されている装置によ
り供給、積載できる被縫製布は、比較的小さい布片や、
縫製線すなわち布送り方向に長いものに限られており、
また積載台は布送り出し方向の延長線上に設けられてい
る。

【０００５】このような装置を用いて幅が広い布を供給
し積載するには、幅広のベルトが必要となって、設備費
および設置面積の面で難点が生じ、また、仮に布幅より
も幅の狭いベルトにより布の一方端を垂れ下らせながら
布送りをしようとすると、布の横滑りの問題が懸念され
るうえ、積載台に積み変えるときに布の先端と前記の垂
れ下らせた布端とが重なって積載台上に整然と積み重ね
ることが困難となる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】この考案は、設置面積
を大きくすることなく幅広の布を供給、積み変えするこ
とができるうえ、積載台を、布送り方向に対し直交する
方向すなわち横位置に設置することができるミシンの被
縫製布供給積み重ね装置を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわちこの考案のミシ
ンの被縫製布供給積み重ね装置は、ミシンのクロスプレ
ートと面一に設置したミシンテーブルをミシンの前後に
わたって延長し、そのミシンテーブルの上面に沿って布
送りベルトを配置するとともに、ミシンの針落ち部より
後方のミシンテーブルの布送り方向と平行な側部に沿っ
て複数個の空気噴出孔を設け、さらにその下方に布把持
部と積載台を設けて、被縫製布をその縫製線と反対側の
端部がミシンテーブルの側部から垂れ下るように前記ベ
ルトに乗せてミシンに供給し、縫製終了後、垂れ下る前
記端部を布把持部で把持し、空気噴出孔から加圧空気を
噴出させて、被縫製布を反転させながら自動的に積載台
上に積み重ねるようにしたことを第１の特徴とするもの
である。

【０００８】また、その第２の特徴は、ミシンのクロス
プレートと面一に設置したミシンテーブルをミシンの前
後にわたって延長し、そのミシンテーブルの上面に沿っ
て布送りベルトを配置するとともにミシンテーブルの側
部に空気噴出孔を設け、縫製終了後、布の一端を把持し
た状態で被縫製布の下面に空気を吹き付け、ミシンテー
ブル側部下方に設けた積載台上に布を反転させながら自
動的に積み重ねるようにした装置において、前記ベルト
を相互に布送り方向と直交する方向に間隔をあけて並列
した複数本の粘着性細幅ベルトで構成するとともに、針
落ち部後方においてベルトの側方に露出するミシンテー
ブル面に、ベルトに沿って線状の突起を設けたことにあ
る。

【０００９】さらに、その第３の特徴は、前記線状の突
起はミシンテーブル面に沿って配置した針金からなり、
その針金の端部がミシンテーブル面に埋め込まれている
ことにある。

【実施例】

【００１０】この考案を、自動口伏せ縫い装置に適用し
た実施例について、図面により説明する。図１に示すよ
うにこの装置はオーバーロックミシン１の矢印Ａで示す
布送り方向の前後にわたってクロスプレート２と同一高
さにミシンテーブル３が設置されている。このテーブル
にはその上面に沿って矢印Ａ方向に駆動される細幅の布
送りベルト４が布送り方向と直交する方向に相互に間隔
Ｓをあけて６本並列されており、ミシンの針落ち部５の
布送り出し側において、布送りベルト４の間隙とベルト
側方に露出するミシンテーブル面およびクロスプレート
面には、ベルト４よりやや高く隆起した線状の突起６が
ベルト４と平行に設けられている。

【００１１】なお、布送りベルト４は、無端ベルトでそ
の布送り面となる外面は粘着性を帯びた素材からなる。
また突起６は例えば、棒状の素材や薄板をテーブル面に
接着してもよいが、図５に示すように両端７ａを折り曲
げた銅線７を、テーブル３に設けた凹部３ａに埋め込む
ようにすれば、取付け、不要時の取り外し、位置の変更
などが容易にできる。またその太さや本数、位置は布の
性状、ベルト４の幅、厚み、間隔に応じて適宜に設定す
る。

【００１２】ミシン１から最も遠いベルト４に沿ったテ
ーブル側部３ｂには、図１，２，３に示すように、加圧
空気供給ホース８，８を前後両端に接続した管９が設置
され、その管９のテーブルと反対側の管壁には長手方向
に沿って多数個の空気噴出孔１０が設けてある。 な
お、ホース８は前後両方とも加圧空気供給源に接続し
て、各空気噴出孔１０からほぼ等しい圧力で空気が噴出
されるようにしている。

【００１３】さらに、管９の下方外側には、高さ調節脚
１１に支持される布積載台１２が配置され、その内側
（ミシン側）端縁に沿って取り付けた弾性発泡体からな
る把持部材１３と、管９の下方で水平軸１４を中心とし
てエアシリンダ１５により揺動腕１６が駆動されるよう
にした布押え棒１７とで、テーブル側部３ｂから垂れ下
る布を把持できるようにしている。なお、図において１
８はベルト４のためのテンションプーリ、１９は補助テ
ーブル、２０は布検出センサ、２１はミシンおよび供給
積載装置全体の制御部である。

【００１４】一方、ミシンテーブル３上の布送り込み側
には上中下３枚の布案内板２２，２３，２４がそれぞれ
の端縁２２ａ，２３ａ，２４ａを互いに交差させた状態
でそれぞれ高さ調整支持具２５，２６，２７により支持
されており、布をベルト４上に乗せて下案内板２４の下
方から中案内板２３の上方に送り込むと、布は次第に側
端がＳ字状に折り曲げられながらミシン１の針落ち部５
へ導かれ、布端縁と重なる折り曲げ線部において口伏せ
縫いができるようにしている。なお、この口伏せ縫いの
布案内工程は前記特公昭４４−３３９２号、実願平２−
４０１４１４号に準じて行なわれるので詳細な説明を省
略する。

【００１５】この装置により、例えばアンダーシャツの
身頃生地（被縫製布）Ｗの裾部を口伏せ縫いする場合に
ついて説明する。この身頃生地Ｗはミシンテーブル３の
幅よりも丈が長いので、ベルト４上に乗せたときに図２
に示すように身頃生地Ｗの肩部Ｔがテーブル側部から垂
れ下る。しかし、ベルト４は外面が粘着性を帯びている
ため、身頃生地Ｗは横滑りすることなく真直ぐに送られ
る。

【００１６】身頃生地Ｗはベルト４で送られながら３枚
の案内板２２，２３，２４によって裾部が上述した通り
Ｓ字状に折り曲げられ、図４に示すように端縁がミシン
の針２８で折り曲げ線に沿って縫い付けられる。

【００１７】裾部の口伏せ縫いを終った身頃生地Ｗは、
肩部Ｔを垂れ下らせたままベルト４で送り出されるが、
針落ち後方において、突起６により身頃生地Ｗはテーブ
ル３およびベルト４から一部が浮き上がった状態となっ
ている。このとき、制御部２１からの信号または図示し
ないペダルの踏み込み操作によってエアシリンダ１５を
作動させて揺動腕１６を積載台１２側に回動すると、身
頃生地の肩部Ｔが把持部材１３と布押え棒１７とで把持
される。引き続き、管９に加圧空気を供給して噴出孔１
０から噴出させると、テーブル３上の身頃生地Ｗは図３
の２点鎖線で示すように反転しながら積載台１２上に積
み重ねられる。

【００１８】以上のようにこの装置は幅の広い、被縫製
布を布送り方向と直交する方向に積み重ねることができ
るが、小物の縫製に際しては、縫製後、補助テーブル１
９をセンサ２０の信号に基づき、布送り方向に反転させ
るようにして、縫製小物を布送り出し方向に積み重ねる
こともできる。

【００１９】

【考案の効果】以上のように、この考案はミシンの前後
にわたってミシンテーブルを延長し、ミシンテーブルの
上面に沿って布送りベルトを配置するとともにミシンテ
ーブルの布送り方向に平行な側部に沿って空気噴出孔
を、その下方に布把持部を備えた積載台を設け、そのテ
ーブルの前記側部から垂れ下らせた布の端を把持し加圧
空気により布送り方向と直交する方向に布を積み変える
ようにしたので、幅の広い布の供給、縫製、積み変えが
有効幅の狭いベルトでも可能となった。

【００２０】また、ベルトを粘着性のものにしたので布
の一部を垂れ下らせて搬送しても横滑りを防ぐことがで
き、さらにベルトを細幅にして複数本並列させたので、
コストダウンと生地に対する粘着力の調整が可能となっ
た。

【００２１】さらに、並列したベルト間に露出する針落
ち部より後方のミシンテーブル面には線状の突起を配置
したので、布がベルトから離れやすくなり、小さな空気
噴出力で確実に布を反転させて積載台上に積み変えるこ
とができる。

【００２２】また、突起は銅線などの針金を両端を折り
曲げたもので形成し、折り曲げ端をミシンテーブルに埋
め込むようにすれば設置が容易となり、さらにこの針金
を、布に蓄まる静電気を除去するために利用することも
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の要部を示す斜視図であ
る。

【図２】その実施例の作用時における側面図である。

【図３】同じくその実施例の作用を示す正面図である。

【図４】図４の部分拡大図である。

【図５】突起部の取り付け構造の１例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ オーバーロックミシン ２ クロスプレート ３ ミシンテーブル ４ 布送りベルト ５ 針落ち部 ６ 突起 ９ 管 １０ 空気噴出孔 １２ 積載台 １３ 把持部材 １７ 布押え棒 Ｗ 身頃生地（被縫製布）

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミシンのクロスプレートと面一に設置
   し、該ミシンを一方の側部に配置したミシンテーブルを
   ミシンの前後にわたって延長し、そのミシンテーブルの
   上面に沿って布送りベルトをミシンの布送り方向と一致
   する方向に布を送るよう配置するとともに、ミシンの針
   落ち部より後方のミシンテーブルにおける布送り方向と
   平行でかつミシンを配置しない他方の側部に沿って複数
   個の空気噴出孔を設け、さらに該空気噴出孔の下方かつ
   該空気噴出孔に沿って布把持部と積載台を設けて、被縫
   製布の縫製線と反対側の被縫製布端部がミシンテーブル
   の前記他方の側部から垂れ下るように前記布送りベルト
   に被縫製布を乗せてミシンに供給し、縫製終了後、垂れ
   下る前記端部を布把持部で把持し、空気噴出孔から加圧
   空気を噴出させて、前記布送りベルト上に乗る被縫製布
   を布送り方向と直交する方向に反転させながら自動的に
   積載台上に積み重ねるようにしたミシンの被縫製布供給
   積み重ね装置
2. 【請求項２】ミシンのクロスプレートと面一に設置した
   ミシンテーブルをミシンの前後にわたって延長し、その
   ミシンテーブルの上面に沿って布送りベルトをミシンの
   布送り方向と一致する方向に布を送るよう配置するとと
   もにミシンテーブルの側部に空気噴出孔を設け、縫製終
   了後、布一端を把持した状態での被縫製布の下面に空気
   を吹き付け、ミシンテーブル側部下方に設けた積載台上
   に布を反転させながら自動的に積み重ねるようにした装
   置において、前記ベルトを布送り方向と直交する方向に
   間隔をあけて並列した複数本の粘着性細幅ベルトで構成
   するとともに、粘着性細幅ベルト間に露出する針落ち部
   後方のミシンテーブル上面に粘着性細幅ベルトに沿って
   線状の突起を設けたことを特徴とするミシンの被縫製布
   供給積み重ね装置
3. 【請求項３】前記突起はミシンテーブル面に沿って配置
   した針金からなり、その端部がミシンテーブル面に埋め
   込まれていることを特徴とする請求項２記載のミシンの
   被縫製布供給積み重ね装置