JP2559689B2 - ヤロウイア・リポリテイカの形質転換方法 - Google Patents
ヤロウイア・リポリテイカの形質転換方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 本発明は、ヤロウイア・リポリテイカ(Yarrowia li
polytica 、以下Y. lipolytica と略す)の工業的目
的における利用性を改善するためのY. lipolytica の
形質転換方法に関し、またその方法に有用なベクターお
よびそのサブクローン、とくに大腸菌(Escherichia C
oli 、以下E. Coli と略す)内で自律的複製を行う
が、Y. lipolytica 内では組込まれても自律的複製は
行わないベクター、このベクターを含むE. Coli およ
びY. lipolytica の形質転換体、ならびに蛋白製造の
ためのその使用に関する。
polytica 、以下Y. lipolytica と略す)の工業的目
的における利用性を改善するためのY. lipolytica の
形質転換方法に関し、またその方法に有用なベクターお
よびそのサブクローン、とくに大腸菌(Escherichia C
oli 、以下E. Coli と略す)内で自律的複製を行う
が、Y. lipolytica 内では組込まれても自律的複製は
行わないベクター、このベクターを含むE. Coli およ
びY. lipolytica の形質転換体、ならびに蛋白製造の
ためのその使用に関する。
分子クローニングに際しての宿主微生物としては、と
くに大腸菌(E. Coli )また最近では枯草菌(Bacill
us subtilis )のような原核生物に注意が向けられて
きた。E.coliは非相同DNAのクローニングや表現のため
の宿主微生物として広く用いられているが、蛋白をその
生育培地中に分泌せず、したがつてその単離が容易でな
いなどの問題点があることはよく知られている。このよ
うに細胞内に生成した蛋白は通常その天然の状態にはな
く、封入体と呼ばれる不溶性の集合体として存在する。
この蛋白を回収するためには細胞の破壊が必要になる場
合があり、そのため毒性物質が蛋白に夾雑する可能性を
生じる。
くに大腸菌(E. Coli )また最近では枯草菌(Bacill
us subtilis )のような原核生物に注意が向けられて
きた。E.coliは非相同DNAのクローニングや表現のため
の宿主微生物として広く用いられているが、蛋白をその
生育培地中に分泌せず、したがつてその単離が容易でな
いなどの問題点があることはよく知られている。このよ
うに細胞内に生成した蛋白は通常その天然の状態にはな
く、封入体と呼ばれる不溶性の集合体として存在する。
この蛋白を回収するためには細胞の破壊が必要になる場
合があり、そのため毒性物質が蛋白に夾雑する可能性を
生じる。
このような問題から、蛋白を分泌し、毒性を産生しな
い枯草菌が宿主微生物として注目されるようになつた。
しかしながら、宿主微生物としては枯草菌にも限界があ
る。形質転換された株が不安定なために、非相同DNAの
消失や、導入されたDNAの宿主DNAとの共存能の低下が起
こるからである。
い枯草菌が宿主微生物として注目されるようになつた。
しかしながら、宿主微生物としては枯草菌にも限界があ
る。形質転換された株が不安定なために、非相同DNAの
消失や、導入されたDNAの宿主DNAとの共存能の低下が起
こるからである。
原核生物にみられる上述のような宿主微生物としての
欠点から、宿主微生物として真核生物、とくに酵母が研
究されるようになつた。工業的に重要な酵母は毒性がな
く、きわめて高濃度に生育させることができる。一部の
種については遺伝的にもよく解析されているし、蛋白を
分泌することができる。
欠点から、宿主微生物として真核生物、とくに酵母が研
究されるようになつた。工業的に重要な酵母は毒性がな
く、きわめて高濃度に生育させることができる。一部の
種については遺伝的にもよく解析されているし、蛋白を
分泌することができる。
酵母、Saccharomyces cerevisiae の形質転換を最
初に報告したのはヒネン(Hinnen)ら〔プロシーデイン
グ ナシヨナルアカデミー オブ サイエンス(Proc.N
atl.Acad.Sci.),75:1929〜1933(1978)〕で、彼ら
は、LEU2 座をコードする酵母DNAのクローン化分節
が、復帰を示さないleu2 - 突然変異体酵母をLEU+ 表
現型に形質転換できることを明らかにした。この形質転
換はDNAのLEU2 分節を含むプラスミドの染色体への組
込みによつて生じることが示された。この組込みには、
相同なDNA分節間の組換えが関与している。
初に報告したのはヒネン(Hinnen)ら〔プロシーデイン
グ ナシヨナルアカデミー オブ サイエンス(Proc.N
atl.Acad.Sci.),75:1929〜1933(1978)〕で、彼ら
は、LEU2 座をコードする酵母DNAのクローン化分節
が、復帰を示さないleu2 - 突然変異体酵母をLEU+ 表
現型に形質転換できることを明らかにした。この形質転
換はDNAのLEU2 分節を含むプラスミドの染色体への組
込みによつて生じることが示された。この組込みには、
相同なDNA分節間の組換えが関与している。
ヒネン(Hinnen)らはクルムフアンツル(Krumphanz
l)ら編“微生物生成物の過剰生産(Overproduction of
Microbial Products)”(Academic Press、N.Y.,ch.3
0、1982)に、酵母形質転換操作の総説を発表してい
る。酵母の形質転換に必要な前提条件については、ラツ
キン(Ratzkin)ら〔プロシーデイングナシヨナルアカ
デミーオブサイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.),74:487
〜491(1977)〕が、E. coli leu B 突然変異体の相
補による酵母(Saccharomyces cerevisiae )LEU2
のクローニングに関連して述べている。
l)ら編“微生物生成物の過剰生産(Overproduction of
Microbial Products)”(Academic Press、N.Y.,ch.3
0、1982)に、酵母形質転換操作の総説を発表してい
る。酵母の形質転換に必要な前提条件については、ラツ
キン(Ratzkin)ら〔プロシーデイングナシヨナルアカ
デミーオブサイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.),74:487
〜491(1977)〕が、E. coli leu B 突然変異体の相
補による酵母(Saccharomyces cerevisiae )LEU2
のクローニングに関連して述べている。
スヨスタク(Sjostak)ら〔プラスミド(Plasmid)、
2:536〜554(1979)〕は、酵母のLEU2 遺伝子とrDNA断
片を含むプラスミドの構築、このプラスミドのrDNA座へ
の組込み、酵母の形質転換について記載している。彼ら
の研究の基本点は、rDNA遺伝地図作製のための遺伝的マ
ーカーとして、rDNA座に挿入された遺伝的マーカー、LE
U2 遺伝子の組込みがあつた。報告されているプラスミ
ドのひとつであるrDNAのBgl II-B断片とSal I-Xho I LE
U2断片を含むpSZ20は、酵母に酵母DNAの断片をクローニ
ングするのに有用なベクターであることが確認されてい
る。
2:536〜554(1979)〕は、酵母のLEU2 遺伝子とrDNA断
片を含むプラスミドの構築、このプラスミドのrDNA座へ
の組込み、酵母の形質転換について記載している。彼ら
の研究の基本点は、rDNA遺伝地図作製のための遺伝的マ
ーカーとして、rDNA座に挿入された遺伝的マーカー、LE
U2 遺伝子の組込みがあつた。報告されているプラスミ
ドのひとつであるrDNAのBgl II-B断片とSal I-Xho I LE
U2断片を含むpSZ20は、酵母に酵母DNAの断片をクローニ
ングするのに有用なベクターであることが確認されてい
る。
オール‐ウイーバー(Orr-Weaver)ら〔プロシーデイ
ング ナシヨナル アカデミー オブ サイエンス(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.),78:6354〜6358(1981)〕は、pBR
322由来の線状プラスミドの高頻度な組込みを示した。
そのすべてが酵母内では複製を行わず、プラスミドが酵
母染色体に相同のDNA配列内で切断された場合、組込み
によつてのみSaccharomyces cerevisiaeに形質転換を
認める。
ング ナシヨナル アカデミー オブ サイエンス(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.),78:6354〜6358(1981)〕は、pBR
322由来の線状プラスミドの高頻度な組込みを示した。
そのすべてが酵母内では複製を行わず、プラスミドが酵
母染色体に相同のDNA配列内で切断された場合、組込み
によつてのみSaccharomyces cerevisiaeに形質転換を
認める。
工業的に重要な酵母種であるY. lipolyticaはクエン
酸や単一細胞蛋白の製造に用いられる。また、エリスリ
トール、マニトールおよびイソプロピルリンゴ酸の製造
にも使用することができる。Y. lipolyticaには利用可
能な炭素源のスペクトルが限定されているといつた固有
の欠点がある。しかしながら、Y. lipolytica の総合
的な価値はこのような欠点を、たとえば他の種からの矯
正DNAを導入することによつて増大させることが可能と
思われる。Y. lipolyticaは蛋白(アルカリ性プロテア
ーゼ、酸性プロテアーゼおよびRNAse)をその生育培地
に分泌することができ、したがつて非相同蛋白を、産生
細胞を破壊する必要なく自然の状態で回収することが可
能であるという点で価値があり、とくに興味がもたれ
る。
酸や単一細胞蛋白の製造に用いられる。また、エリスリ
トール、マニトールおよびイソプロピルリンゴ酸の製造
にも使用することができる。Y. lipolyticaには利用可
能な炭素源のスペクトルが限定されているといつた固有
の欠点がある。しかしながら、Y. lipolytica の総合
的な価値はこのような欠点を、たとえば他の種からの矯
正DNAを導入することによつて増大させることが可能と
思われる。Y. lipolyticaは蛋白(アルカリ性プロテア
ーゼ、酸性プロテアーゼおよびRNAse)をその生育培地
に分泌することができ、したがつて非相同蛋白を、産生
細胞を破壊する必要なく自然の状態で回収することが可
能であるという点で価値があり、とくに興味がもたれ
る。
E. coliおよびS. cerevisiaeのいずれでも選択で
き、両者から回収可能な複製ハイブリドプラスミド、S.
cerevisae−E. coliハイブリドプラスミドからなる
S. cerevisaeの形質転換のための効率の高いシステム
がBeggsによつて報告されている〔ネイチヤー(Natur
e)、275:104〜109(1978)〕。シゾサツカロミセスポ
ム(Schizosaccharomyces pombe)およびクルイベロミ
セス ラクテイス(Kluyveromyces lactis)の高頻度
形質転換システムは、それぞれBeachら〔Nature、290:1
40〜142(1981)およびDasら〔Current Genetics、6:12
3〜128(1982)により報告されている。
き、両者から回収可能な複製ハイブリドプラスミド、S.
cerevisae−E. coliハイブリドプラスミドからなる
S. cerevisaeの形質転換のための効率の高いシステム
がBeggsによつて報告されている〔ネイチヤー(Natur
e)、275:104〜109(1978)〕。シゾサツカロミセスポ
ム(Schizosaccharomyces pombe)およびクルイベロミ
セス ラクテイス(Kluyveromyces lactis)の高頻度
形質転換システムは、それぞれBeachら〔Nature、290:1
40〜142(1981)およびDasら〔Current Genetics、6:12
3〜128(1982)により報告されている。
本発明は、Y. lipolyticaに相同の領域と検出可能な
遺伝的マーカーからなるDNAをY. lipolyticaに導入す
ることによるY. lipolyticaの形質転換方法を発見し、
完成されたものである。とくに興味深いものは、Y. li
polytica内で検出可能なY. lipolytica DNAの断片また
は好ましくはY. lipolyticaDNAの断片を含有もしくは
包含するベクターをY. lipolyticaに導入する方法、そ
の方法に有用なベクター、そのベクターからなる微生物
形質転換体である。一般に、この形質転換方法において
は、Y. lipolytica DNA断片はY. lipolytica 内で機
能する選択可能なマーカーを含有する。とくにその選択
可能なマーカーに相当する遺伝子に突然変異を有するY.
lipolytica内で機能する選択可能なマーカーを含有す
る。本発明においてとくに興味深く価値が大きいもの
は、生合成または代謝酵素をコードする遺伝子たとえば
LEU 2遺伝子(酵素β‐イソプロピルマレートデヒドロ
ゲナーゼEC1,1,1,85をコードする)、HIS 1遺伝子(酵
素ATPホスホリボシルトランスフエラーゼEC2,4,2,17を
コードする)、URA 3遺伝子(酵素、オロチジン‐5′
−ホスフエートデカルボキシラーゼEC4,1,1,23をコード
する)またはEPR 2遺伝子(酵素アルカリ性細胞外プロ
テアーゼEC3.4,21,14)を有するY. lipolytica DNA断
片と、それぞれleu 2- 、his1- 、ura 3-またはxpr
2-突然変異を有するY. lipolytica株の使用である。
遺伝的マーカーからなるDNAをY. lipolyticaに導入す
ることによるY. lipolyticaの形質転換方法を発見し、
完成されたものである。とくに興味深いものは、Y. li
polytica内で検出可能なY. lipolytica DNAの断片また
は好ましくはY. lipolyticaDNAの断片を含有もしくは
包含するベクターをY. lipolyticaに導入する方法、そ
の方法に有用なベクター、そのベクターからなる微生物
形質転換体である。一般に、この形質転換方法において
は、Y. lipolytica DNA断片はY. lipolytica 内で機
能する選択可能なマーカーを含有する。とくにその選択
可能なマーカーに相当する遺伝子に突然変異を有するY.
lipolytica内で機能する選択可能なマーカーを含有す
る。本発明においてとくに興味深く価値が大きいもの
は、生合成または代謝酵素をコードする遺伝子たとえば
LEU 2遺伝子(酵素β‐イソプロピルマレートデヒドロ
ゲナーゼEC1,1,1,85をコードする)、HIS 1遺伝子(酵
素ATPホスホリボシルトランスフエラーゼEC2,4,2,17を
コードする)、URA 3遺伝子(酵素、オロチジン‐5′
−ホスフエートデカルボキシラーゼEC4,1,1,23をコード
する)またはEPR 2遺伝子(酵素アルカリ性細胞外プロ
テアーゼEC3.4,21,14)を有するY. lipolytica DNA断
片と、それぞれleu 2- 、his1- 、ura 3-またはxpr
2-突然変異を有するY. lipolytica株の使用である。
本発明における新規なプラスミド(またはベククー、
本明細書においてはこの2つの語は同義に用いられてい
る)は共通のいくつかの性質を有する。すなわち、大腸
菌内で増幅を可能にする微生物レプリコンであり、大腸
菌内で機能し検出できる選択可能な遺伝子マーカーの存
在、Y. lipolytica内で生理的に機能し大腸菌内でもし
ばしば機能する構造遺伝子の存在およびY. lipolytica
のゲノムへの組込みに必要なY. lipolytica DNA断片の
存在を特徴とする。
本明細書においてはこの2つの語は同義に用いられてい
る)は共通のいくつかの性質を有する。すなわち、大腸
菌内で増幅を可能にする微生物レプリコンであり、大腸
菌内で機能し検出できる選択可能な遺伝子マーカーの存
在、Y. lipolytica内で生理的に機能し大腸菌内でもし
ばしば機能する構造遺伝子の存在およびY. lipolytica
のゲノムへの組込みに必要なY. lipolytica DNA断片の
存在を特徴とする。
一般に、本発明の目的に有用なベクターの製造は、異
種微生物(すなわち、Y. lipolytica以外の任意の種)
内で、望ましくは細菌内で、好ましくは大腸菌内で、Y.
lipolytica内と同時に機能するベクター、すなわちハ
イブリツドベクターの製造に基づくものである。このよ
うなベクターは微生物DNAと、Y. lipolyticaの染色体D
NAの断片からなり、この断片は少なくとも1個の選択可
能な遺伝子マーカー、すなわちY. lipolytica内で機能
し検知可能な遺伝子を含有する。このように構築された
ベクターはY. lipolytica内の相同染色体配列と相互に
作用し、その染色体に組込まれ、かくして形質転換が行
われる。
種微生物(すなわち、Y. lipolytica以外の任意の種)
内で、望ましくは細菌内で、好ましくは大腸菌内で、Y.
lipolytica内と同時に機能するベクター、すなわちハ
イブリツドベクターの製造に基づくものである。このよ
うなベクターは微生物DNAと、Y. lipolyticaの染色体D
NAの断片からなり、この断片は少なくとも1個の選択可
能な遺伝子マーカー、すなわちY. lipolytica内で機能
し検知可能な遺伝子を含有する。このように構築された
ベクターはY. lipolytica内の相同染色体配列と相互に
作用し、その染色体に組込まれ、かくして形質転換が行
われる。
本技術分野の熟練者には明らかなように、酵母起源の
2個以上の遺伝子を含むベクターを形成すれば、そのベ
クターからの組込み体、すなわちそのベクターからなる
形質転換体、とくに2個以上の遺伝子を有する組込み体
の形成が容易になる。多数の遺伝子の存在により、酵母
内におけるベクターの存在の検出能が増加し、改善され
るのはもちろんである。
2個以上の遺伝子を含むベクターを形成すれば、そのベ
クターからの組込み体、すなわちそのベクターからなる
形質転換体、とくに2個以上の遺伝子を有する組込み体
の形成が容易になる。多数の遺伝子の存在により、酵母
内におけるベクターの存在の検出能が増加し、改善され
るのはもちろんである。
組込みは、このベクターの環状型、直線型および切れ
目のある直線型によつて行われる。直線型および切れ目
のある直線型ベクターが環状型ベクターよりも高い効率
で組込まれる。したがつて、ベクターは独特の制限部
位、すなわち起源の微生物DNAベクターまたはベクター
のY. lipolytica断片成分内の他の部分に存在しない部
位を有することが望ましい。ベクターをこのような部位
で直線化すれば、同種染色体配列における組込みによる
Y. lipolyticaの形質転換が可能な高頻度組換え末端を
有する二重鎖DNAが生成する。orr-Weaverら(前出)が
S. cerevisiaeで示したように、切れ目のある直線状プ
ラスミドも組込み可能である。この種のプラスミドは、
ベクターのY. lipolytica染色体DNAセグメント内で制
限酵素による2個所の切断を行えば製造できる。後述す
るpLD25の場合、Bgl II部位が2個所存在するので、切
れ目のある直線状プラスミドの製造に便利である。
目のある直線型によつて行われる。直線型および切れ目
のある直線型ベクターが環状型ベクターよりも高い効率
で組込まれる。したがつて、ベクターは独特の制限部
位、すなわち起源の微生物DNAベクターまたはベクター
のY. lipolytica断片成分内の他の部分に存在しない部
位を有することが望ましい。ベクターをこのような部位
で直線化すれば、同種染色体配列における組込みによる
Y. lipolyticaの形質転換が可能な高頻度組換え末端を
有する二重鎖DNAが生成する。orr-Weaverら(前出)が
S. cerevisiaeで示したように、切れ目のある直線状プ
ラスミドも組込み可能である。この種のプラスミドは、
ベクターのY. lipolytica染色体DNAセグメント内で制
限酵素による2個所の切断を行えば製造できる。後述す
るpLD25の場合、Bgl II部位が2個所存在するので、切
れ目のある直線状プラスミドの製造に便利である。
本発明のベクターの価値は、その内部に、Y. lipoly
tica内で検出でき、機能する選択可能な遺伝子マーカ
ー、すなわち検出可能マーカーが存在することである。
適当なマーカーとしては、以下のY. lipolytica遺伝
子、すなわちLEU 2 、ADE 1、URA 3、XPR 2、HIS 1が
あるが、選択を与えるY. lipolyticaの任意の遺伝子が
使用可能なことは、本技術分野の熟練者には自明のとお
りである。LEU 2遺伝子の全部または一部はとくに有利
である。この遺伝子またはその部分はY. lipolyticaの
染色体DNAを、適当な制限酵素たとえばSau 3 Aで部分消
化することにより、Y. lipolyticaから得られる。この
ベクターまたはそのサブクローンは、公知方法に従つて
DNAのランダムセグメントを挿入することにより、Y. l
ipolyticaクローニングベクターの産生を可能にする。
得られたベクターをついで、選択可能マーカーに相当す
る遺伝子内に突然変異を有するY. lipolytica株の形質
転換に用いられる。このようなY. lipolyticaマーカー
を有する形質転換DNAは受容株に選択的生育の利益を与
えたり、受容株の栄養要求性変異を矯正することができ
る。
tica内で検出でき、機能する選択可能な遺伝子マーカ
ー、すなわち検出可能マーカーが存在することである。
適当なマーカーとしては、以下のY. lipolytica遺伝
子、すなわちLEU 2 、ADE 1、URA 3、XPR 2、HIS 1が
あるが、選択を与えるY. lipolyticaの任意の遺伝子が
使用可能なことは、本技術分野の熟練者には自明のとお
りである。LEU 2遺伝子の全部または一部はとくに有利
である。この遺伝子またはその部分はY. lipolyticaの
染色体DNAを、適当な制限酵素たとえばSau 3 Aで部分消
化することにより、Y. lipolyticaから得られる。この
ベクターまたはそのサブクローンは、公知方法に従つて
DNAのランダムセグメントを挿入することにより、Y. l
ipolyticaクローニングベクターの産生を可能にする。
得られたベクターをついで、選択可能マーカーに相当す
る遺伝子内に突然変異を有するY. lipolytica株の形質
転換に用いられる。このようなY. lipolyticaマーカー
を有する形質転換DNAは受容株に選択的生育の利益を与
えたり、受容株の栄養要求性変異を矯正することができ
る。
一般的には、全LEU 2遺伝子を含有するY. lipolyt
ica DNA断片を用いることが好ましい。この断片によれ
ば、大腸菌内でもY. lipolytica内でも生理的に機能す
るベクターの製造が可能だからである。しかしながら、
全LEU 2遺伝子を有するY. lipolytica DNA断片の使
用が本発明の方法で好結果を得るのに必須なわけではな
い。受容株に組込まれて野生型遺伝子を生成するのに十
分な量の野生型配列を包含するDNA断片を用いさえすれ
ばよい。この断片は大腸菌内で機能しないが、Y. lipo
lytica内で検出できる。
ica DNA断片を用いることが好ましい。この断片によれ
ば、大腸菌内でもY. lipolytica内でも生理的に機能す
るベクターの製造が可能だからである。しかしながら、
全LEU 2遺伝子を有するY. lipolytica DNA断片の使
用が本発明の方法で好結果を得るのに必須なわけではな
い。受容株に組込まれて野生型遺伝子を生成するのに十
分な量の野生型配列を包含するDNA断片を用いさえすれ
ばよい。この断片は大腸菌内で機能しないが、Y. lipo
lytica内で検出できる。
本発明に有用なベクターの製造には、Y. lipolytica
染色体DNAの完全Bam HI消化により得られHIS 1遺伝子を
含むか、またはY. lipolytica染色体DNAの部分Sau 3 A
消化により得られURA 3遺伝子を含むY. lipolytica DN
Aの断片も価値がある。これらの断片は結合可能な末端
を有し、直線状の、たとえばBam HI、YEp24を用い、E.
coli−S. cerevisiaeベクター(Botsteinら:Gene8:1
7〜24、1979)と結合させれば、HIS 1遺伝子またはURA
3遺伝子を持つハイブリツドベクターが得られる。
染色体DNAの完全Bam HI消化により得られHIS 1遺伝子を
含むか、またはY. lipolytica染色体DNAの部分Sau 3 A
消化により得られURA 3遺伝子を含むY. lipolytica DN
Aの断片も価値がある。これらの断片は結合可能な末端
を有し、直線状の、たとえばBam HI、YEp24を用い、E.
coli−S. cerevisiaeベクター(Botsteinら:Gene8:1
7〜24、1979)と結合させれば、HIS 1遺伝子またはURA
3遺伝子を持つハイブリツドベクターが得られる。
本明細書に述べる新規なベクターを用い、シヨツトガ
ン法で、Y. lipolyticaのランダムセグメントを挿入す
ることができる。生成したベクターは、標準方法で選ば
れる各種突然変異体、形質転換体の形質転換に使用でき
る。たとえば、LEU 2含有ベクターは、他のY. lipolyt
ica遺伝子たとえばURA 3のクローニングに使用できる。
選択された任意の形質転換体中にクローン化されたURA
3遺伝子は、LEU 2遺伝子とは別にサブクローン化でき、
有効なY. lipolyticaベクターとして利用できる 一般に、バクテリアたとえば大腸菌のプラスミド複製
起源とそのバクテリアの選択可能な遺伝子マーカーは、
公知の方法に従い、Y. lipolytica内で検出可能な選ば
れたY. lipolytica遺伝子の全部または一部と結合させ
ることができる。大腸菌クローニングシステムは、大腸
菌内での生育および増幅によりプラスミドDNAの大量
(バルク)産生が容易で、大腸菌内でのベクターおよび
遺伝子ライブラリーの構築が可能なので、とくに有用で
ある。
ン法で、Y. lipolyticaのランダムセグメントを挿入す
ることができる。生成したベクターは、標準方法で選ば
れる各種突然変異体、形質転換体の形質転換に使用でき
る。たとえば、LEU 2含有ベクターは、他のY. lipolyt
ica遺伝子たとえばURA 3のクローニングに使用できる。
選択された任意の形質転換体中にクローン化されたURA
3遺伝子は、LEU 2遺伝子とは別にサブクローン化でき、
有効なY. lipolyticaベクターとして利用できる 一般に、バクテリアたとえば大腸菌のプラスミド複製
起源とそのバクテリアの選択可能な遺伝子マーカーは、
公知の方法に従い、Y. lipolytica内で検出可能な選ば
れたY. lipolytica遺伝子の全部または一部と結合させ
ることができる。大腸菌クローニングシステムは、大腸
菌内での生育および増幅によりプラスミドDNAの大量
(バルク)産生が容易で、大腸菌内でのベクターおよび
遺伝子ライブラリーの構築が可能なので、とくに有用で
ある。
本明細書に述べるプラスミドは、組換えDNA技術にお
けるベクターとして有用である。たとえば、適当な制限
酵素で切断して結合可能末端を有する直線状DNAを得、
ついでこれを結合可能末端を有する外因性遺伝子と反応
させることにより、プラスミドに各種の遺伝子を挿入す
ることができる。得られたプラスミドで次に適当な宿主
微生物、たとえば、S. cerevisiaeやY. lipolyticaの
ような酵母の形質転換を行い、これを適当な条件下に培
養すれば、所望の生成物を産生する。いずれもY. lipo
lyticaからのLEU 2遺伝子をプラスミドpLD 25およびpLD
28は、Y. lipolytica受容株内で選択され、検出可能
である。したがつて、これらはY. lipolyticaクローニ
ングベクターの製造に使用できる。
けるベクターとして有用である。たとえば、適当な制限
酵素で切断して結合可能末端を有する直線状DNAを得、
ついでこれを結合可能末端を有する外因性遺伝子と反応
させることにより、プラスミドに各種の遺伝子を挿入す
ることができる。得られたプラスミドで次に適当な宿主
微生物、たとえば、S. cerevisiaeやY. lipolyticaの
ような酵母の形質転換を行い、これを適当な条件下に培
養すれば、所望の生成物を産生する。いずれもY. lipo
lyticaからのLEU 2遺伝子をプラスミドpLD 25およびpLD
28は、Y. lipolytica受容株内で選択され、検出可能
である。したがつて、これらはY. lipolyticaクローニ
ングベクターの製造に使用できる。
さらに、本明細書に述べるプラスミドは、微生物とく
にY. lipolyticaの発酵特性を改良し、その固有の欠点
を除去し、工業的有用性を増大させる方法を提供する。
たとえば、各種の炭素源の利用をコードする遺伝子をプ
ラスミドに導入し、得られたプラスミドでY. lipolyti
caのような適当な宿主を形質転換すれば、その宿主の栄
養特性を改良し、Y. lipolyticaに利用可能な炭素源ス
ペクトルを拡大することができる。
にY. lipolyticaの発酵特性を改良し、その固有の欠点
を除去し、工業的有用性を増大させる方法を提供する。
たとえば、各種の炭素源の利用をコードする遺伝子をプ
ラスミドに導入し、得られたプラスミドでY. lipolyti
caのような適当な宿主を形質転換すれば、その宿主の栄
養特性を改良し、Y. lipolyticaに利用可能な炭素源ス
ペクトルを拡大することができる。
この目的に必要なベクター、たとえばプラスミドまた
はコスミドは組換えDNA技術の技術分野における熟練者
によく知られた技術によつて構築される。特定のペリプ
ラズム酵素をコードするY. lipolytica DNA配列が公知
方法で単離され、たとえばpLD25またはその誘導体に挿
入される。所望の構造遺伝子、たとえばマルターゼの遺
伝子はペリプラズム酵素のDNA配列に融合され、得られ
たプラスミドでY. lipolyticaを形質転換することがで
きる。このプラスミドは本発明の方法によつてY. lipo
lyticaの遺伝子のひとつに組込まれる。かくして産生さ
れた形質転換体は、培養するとマルトースをグルコース
に加水分解することができ、しかも母株の持つていなか
つた望ましい性質を有する。
はコスミドは組換えDNA技術の技術分野における熟練者
によく知られた技術によつて構築される。特定のペリプ
ラズム酵素をコードするY. lipolytica DNA配列が公知
方法で単離され、たとえばpLD25またはその誘導体に挿
入される。所望の構造遺伝子、たとえばマルターゼの遺
伝子はペリプラズム酵素のDNA配列に融合され、得られ
たプラスミドでY. lipolyticaを形質転換することがで
きる。このプラスミドは本発明の方法によつてY. lipo
lyticaの遺伝子のひとつに組込まれる。かくして産生さ
れた形質転換体は、培養するとマルトースをグルコース
に加水分解することができ、しかも母株の持つていなか
つた望ましい性質を有する。
プラスミドpLD25は大腸菌内で自律複製を行う。Y. l
ipolytica内では組込まれるが自律複製はしない。大腸
菌複製プラスミドpBR322内に、望ましくは以下の2つの
識別性、すなわち第一にY. lipolytica内でまた好まし
くは同時に大腸菌内でも生理的に機能し、Y. lipolyti
ca内で検出可能な製造遺伝子の存在、第二にY. lipoly
tica宿主の構造遺伝子における欠点矯正の目的で宿主に
導入されたDNA配列の側面に位置する領域における独特
の制限部位(起源の大腸菌プラスミド、Y. lipolytica
宿主断片の他の場所に存在しない)の所持、が与えられ
たY. lipolytica DNA断片を挿入することにより得られ
る。高頻度形質転換を達成するためには、独特の制限部
位の所持が必須である。
ipolytica内では組込まれるが自律複製はしない。大腸
菌複製プラスミドpBR322内に、望ましくは以下の2つの
識別性、すなわち第一にY. lipolytica内でまた好まし
くは同時に大腸菌内でも生理的に機能し、Y. lipolyti
ca内で検出可能な製造遺伝子の存在、第二にY. lipoly
tica宿主の構造遺伝子における欠点矯正の目的で宿主に
導入されたDNA配列の側面に位置する領域における独特
の制限部位(起源の大腸菌プラスミド、Y. lipolytica
宿主断片の他の場所に存在しない)の所持、が与えられ
たY. lipolytica DNA断片を挿入することにより得られ
る。高頻度形質転換を達成するためには、独特の制限部
位の所持が必須である。
それぞれY. lipolyticaのHIS I遺伝子を持つ後述の
プラスミドpLD21およびpLD23は、Y. lipolyticaの染色
体DNAの完全Bam HI消化によつて得られる断片をそれぞ
れYEp24およびpBR322に挿入して作製される。
プラスミドpLD21およびpLD23は、Y. lipolyticaの染色
体DNAの完全Bam HI消化によつて得られる断片をそれぞ
れYEp24およびpBR322に挿入して作製される。
プラスミドpLD25は大腸菌leu B- 突然変異と相補的な
Y. lipolytica DNA断片を含有し、プラスミドpLD21お
よびpLD23は大腸菌his G-突然変異と相補的な断片を含
有する。
Y. lipolytica DNA断片を含有し、プラスミドpLD21お
よびpLD23は大腸菌his G-突然変異と相補的な断片を含
有する。
プラスミドpLD28も、大腸菌内で自律的に複製する
が、Y. lipolytica内では組込み能はあるものの自律的
複製はしない。これは、Y. lipolytica LEU 2遺伝子
を含むSal I断片をYEp24のSal I部位を挿入して構築さ
れる。これはleu 2突然変異株で選択可能なY. lipolyt
ica内組込みベクターであり、ura 3またはleu 2突然変
異株において選択可能なS. cerevisiae内マルチコピー
プラスミドであり、アンピシリン抵抗性によつて選択可
能な大腸菌内マルチコピーである。pyr F突然変異株内
でのS.cerevisiae URA 3遺伝子の適切な機能、また効率
は悪いが、leu B突然変異株内でのY. lipolytica LEU
2遺伝子の弱いが検知可能な機能によつても選択可能で
ある。
が、Y. lipolytica内では組込み能はあるものの自律的
複製はしない。これは、Y. lipolytica LEU 2遺伝子
を含むSal I断片をYEp24のSal I部位を挿入して構築さ
れる。これはleu 2突然変異株で選択可能なY. lipolyt
ica内組込みベクターであり、ura 3またはleu 2突然変
異株において選択可能なS. cerevisiae内マルチコピー
プラスミドであり、アンピシリン抵抗性によつて選択可
能な大腸菌内マルチコピーである。pyr F突然変異株内
でのS.cerevisiae URA 3遺伝子の適切な機能、また効率
は悪いが、leu B突然変異株内でのY. lipolytica LEU
2遺伝子の弱いが検知可能な機能によつても選択可能で
ある。
プラスミドpLD25は大腸菌とY.lipolyticaのシヤトル
ベクターである。これは、大腸菌内でDNA複製を可能に
するバクテリア配列と酵母内での組込みを可能にする配
列との両者を含む。すなわち、大腸菌の複製起点と相同
のY. lipolytica領域を含む。「シヤトル」の語は、大
腸菌内で構築されたそのベクターがY. lipolytica染色
体へ組込み可能で、大腸菌に再導入されて環を完成でき
ることを意味する。プラスミドpLD28もS. cerevisiae
のシヤトルベクターである。これらのシヤトルベクター
は大腸菌の突然変異株の相補により、またS. cerevisa
eまたはY. lipolyticaの突然変異株の直接相補によ
り、Y. lipolytica遺伝子のクローニングを可能にす
る。これらの現象は、機能性LEU 2遺伝子産生物が両異
種システム内で形成されることを示している。Y. lipo
lyticaにおける直接相補の発見により、突然変異を同定
できる任意の遺伝子のクローニングが可能になつた。
ベクターである。これは、大腸菌内でDNA複製を可能に
するバクテリア配列と酵母内での組込みを可能にする配
列との両者を含む。すなわち、大腸菌の複製起点と相同
のY. lipolytica領域を含む。「シヤトル」の語は、大
腸菌内で構築されたそのベクターがY. lipolytica染色
体へ組込み可能で、大腸菌に再導入されて環を完成でき
ることを意味する。プラスミドpLD28もS. cerevisiae
のシヤトルベクターである。これらのシヤトルベクター
は大腸菌の突然変異株の相補により、またS. cerevisa
eまたはY. lipolyticaの突然変異株の直接相補によ
り、Y. lipolytica遺伝子のクローニングを可能にす
る。これらの現象は、機能性LEU 2遺伝子産生物が両異
種システム内で形成されることを示している。Y. lipo
lyticaにおける直接相補の発見により、突然変異を同定
できる任意の遺伝子のクローニングが可能になつた。
以下に述べるプラスミドpLD40は、pBR322のEco RI部
位に、Y. lipolyticaのLEU 2領域を含む、pLD25の部分
Eco RI消化で得られた小セグメントを挿入することによ
り構築される。プラスミドpLD55は、URA 3含有プラスミ
ドで、pLD40のBam HI部位にY. lipolyticaのURA 3遺伝
子を挿入することにより得られた。
位に、Y. lipolyticaのLEU 2領域を含む、pLD25の部分
Eco RI消化で得られた小セグメントを挿入することによ
り構築される。プラスミドpLD55は、URA 3含有プラスミ
ドで、pLD40のBam HI部位にY. lipolyticaのURA 3遺伝
子を挿入することにより得られた。
第1図は、pBR322中Y. lipolyticaのSau 3 A部分消
化遺伝子ライブラリーである。このアガロースゲルは、
このライブラリー(LIB)は2.3kb lambda-Hind III標準
(STD)のわずか上部に移動し、挿入DNAのないpBR322超
らせんプラスミドを含むこと、一方、分子の残部は、標
準4.3kb上にほぼ連続したスミアとして移動したY. lip
olytica DNAの多様の(4〜10kb)大きさに分割された
挿入体を含んでいる。中間のレーンは切断されていない
プラスミド(pLD21)で、2個の分離したバンドが認め
られる。
化遺伝子ライブラリーである。このアガロースゲルは、
このライブラリー(LIB)は2.3kb lambda-Hind III標準
(STD)のわずか上部に移動し、挿入DNAのないpBR322超
らせんプラスミドを含むこと、一方、分子の残部は、標
準4.3kb上にほぼ連続したスミアとして移動したY. lip
olytica DNAの多様の(4〜10kb)大きさに分割された
挿入体を含んでいる。中間のレーンは切断されていない
プラスミド(pLD21)で、2個の分離したバンドが認め
られる。
第2図は、Eco EI消化Y. lipolyticaバルクDNAと放
射活性pLD25で確認されたpLD25のサザーンハイブリダイ
ゼイシヨンである。pLD25のb,c,dの3個の内部バンド
は、全Y. lipolytica DNAの同じ大きさの小片に相同で
あることを示している。Y. lipolyticaのレーンのさら
に2個の薄いバンド(1および2)は多分、プラスミド
バンドaおよびeの小Y. lipolytica部分に相同性を有
するものと思われる。STDと記したレーンはlambda-Hind
IIIサイズ標準を含有する。Pと記したレーンは約2ng
のEco RI消化pLD25を含有する。Ylと記したレーンは全
Y. lipolytica DNA約1μgを含有する。pBR322をプロ
ーベとして用いた同様のサザーン実験では、pLD25から
のバンドaおよびeのみがハイブリツドされる。
射活性pLD25で確認されたpLD25のサザーンハイブリダイ
ゼイシヨンである。pLD25のb,c,dの3個の内部バンド
は、全Y. lipolytica DNAの同じ大きさの小片に相同で
あることを示している。Y. lipolyticaのレーンのさら
に2個の薄いバンド(1および2)は多分、プラスミド
バンドaおよびeの小Y. lipolytica部分に相同性を有
するものと思われる。STDと記したレーンはlambda-Hind
IIIサイズ標準を含有する。Pと記したレーンは約2ng
のEco RI消化pLD25を含有する。Ylと記したレーンは全
Y. lipolytica DNA約1μgを含有する。pBR322をプロ
ーベとして用いた同様のサザーン実験では、pLD25から
のバンドaおよびeのみがハイブリツドされる。
第3図は、pLD25の制限酵素地図である。単一消化お
よび一部の二重消化に基づく部分制限酵素地図を示す。
括孤を付した部分は相互の関係が決定されていない。大
きさはすべてアガロースゲルでの観察に基づく推測値で
ある。細線はpBR322DNA(Eco RI部位を12時の位置にし
た標準ホーマツトにおいて)で、太線はY. lipolytica
からの挿入DNAである。この挿入体は3個のEco RV(R
V)、8個のAva I(A、1個しか地図化されていな
い)、1個のSph I(Sp)、1個のKpn I(K)、2個の
Sal I(S)、4個のEco RI(RI)、2個のXho I(X)
および2個の互いに接したBal II(B)部位を有する。
挿入体にはHind III、Cla I、Bam HIおよびNru I部位を
欠く。Eco RI末端、leu 2マーカーを有する2.3kbのサブ
クローンはpBR322のEco RII部位においてただ1個のオ
リエンテーシヨンでのみ大腸菌内で機能する。
よび一部の二重消化に基づく部分制限酵素地図を示す。
括孤を付した部分は相互の関係が決定されていない。大
きさはすべてアガロースゲルでの観察に基づく推測値で
ある。細線はpBR322DNA(Eco RI部位を12時の位置にし
た標準ホーマツトにおいて)で、太線はY. lipolytica
からの挿入DNAである。この挿入体は3個のEco RV(R
V)、8個のAva I(A、1個しか地図化されていな
い)、1個のSph I(Sp)、1個のKpn I(K)、2個の
Sal I(S)、4個のEco RI(RI)、2個のXho I(X)
および2個の互いに接したBal II(B)部位を有する。
挿入体にはHind III、Cla I、Bam HIおよびNru I部位を
欠く。Eco RI末端、leu 2マーカーを有する2.3kbのサブ
クローンはpBR322のEco RII部位においてただ1個のオ
リエンテーシヨンでのみ大腸菌内で機能する。
第4図は、放射性pBR322プローベを有するY. lipoly
tica形質転換体からのHind III消化バルクDNAのサザー
ンハイブリダイゼーシヨンである。4種の異なる形質転
換体および母株から単離された全DNAのHind III消化物
をアガロースゲルにかけ、ブロツトし、標識pBR322でプ
ローベする。Y. lipolytica形質転換体♯6は完全な環
状pLD25で形質転換した培地からランダムに選択した。
形質転換体11,12および15はKpn I直線化pLD25で形質転
換した培地から得られた。Y. lipolytica形質転換体は
すべてハイブリダイゼーシヨンの2個のバンド、すなわ
ち長さ23kb以上の強いバンド1と長さ9.3kbのlambda-Hi
nd III標準と同じ大きさの薄いバンド2を与えた。PCと
記したレーンは母株(PC30827、ATCC20688)DNAで、プ
ローベに対する有意なハイブリダイゼーシヨンはみられ
ない。
tica形質転換体からのHind III消化バルクDNAのサザー
ンハイブリダイゼーシヨンである。4種の異なる形質転
換体および母株から単離された全DNAのHind III消化物
をアガロースゲルにかけ、ブロツトし、標識pBR322でプ
ローベする。Y. lipolytica形質転換体♯6は完全な環
状pLD25で形質転換した培地からランダムに選択した。
形質転換体11,12および15はKpn I直線化pLD25で形質転
換した培地から得られた。Y. lipolytica形質転換体は
すべてハイブリダイゼーシヨンの2個のバンド、すなわ
ち長さ23kb以上の強いバンド1と長さ9.3kbのlambda-Hi
nd III標準と同じ大きさの薄いバンド2を与えた。PCと
記したレーンは母株(PC30827、ATCC20688)DNAで、プ
ローベに対する有意なハイブリダイゼーシヨンはみられ
ない。
第5図は、pLD23およびpLD24による制限消化である。
このアガロースゲルはlambda-Hind IIIサイズ標準を左
外側のレーンに含み、それぞれa)Eco RI処理、b)Ba
m HI処理、c)pLD23(相補的E. coli his G突然変異
体)およびpLD24(相補性なし)の酵素非処理である。
それぞれのレーンbは2個の互いに隣接するBam HIバン
ドを含む。大きい方はpBR322に相当し、わずかに小さい
バンド(約4kb)はY. lipolytica Bam HI挿入体を表
す。Eco RI消化体はY. lipolytica小片が2個のプラス
ミドの逆方向にあることを示している。
このアガロースゲルはlambda-Hind IIIサイズ標準を左
外側のレーンに含み、それぞれa)Eco RI処理、b)Ba
m HI処理、c)pLD23(相補的E. coli his G突然変異
体)およびpLD24(相補性なし)の酵素非処理である。
それぞれのレーンbは2個の互いに隣接するBam HIバン
ドを含む。大きい方はpBR322に相当し、わずかに小さい
バンド(約4kb)はY. lipolytica Bam HI挿入体を表
す。Eco RI消化体はY. lipolytica小片が2個のプラス
ミドの逆方向にあることを示している。
第6図は、pLD28の制限酵素地図である。LEU 2領域を
含む5.3kbのY. lipolytica Sal I小片に加えて、この
プラスミドは酵母2ミクロンプラスミドからの複製起点
をもつ2.2kb Eco RI小片と、pBR322の相当部位に挿入さ
れたS. cerevisiae URA 3遺伝子をもつ1.1kb Hind II
I小片を含んでいる。
含む5.3kbのY. lipolytica Sal I小片に加えて、この
プラスミドは酵母2ミクロンプラスミドからの複製起点
をもつ2.2kb Eco RI小片と、pBR322の相当部位に挿入さ
れたS. cerevisiae URA 3遺伝子をもつ1.1kb Hind II
I小片を含んでいる。
第7図は、pLD40の制限酵素地図である。制限部位の
略号は前図と同じである。さらにNco I(N)、Apa I
(Ap)およびBst X I(Bs)の部位が地図化されてい
る。Y. lipolytica LEU 2含有セグメントは2.3〜2.4k
bで、pBR322のEco RI部位に挿入されている。pBR322中
の制限部位は示されていない。
略号は前図と同じである。さらにNco I(N)、Apa I
(Ap)およびBst X I(Bs)の部位が地図化されてい
る。Y. lipolytica LEU 2含有セグメントは2.3〜2.4k
bで、pBR322のEco RI部位に挿入されている。pBR322中
の制限部位は示されていない。
第8図は、pLD55とpLD40の制限消化を比較したもので
ある。このゲルのレーン(lambda-Hind IIIサイズ標準
に加えて)は、a)非消化pLD40、b)Apa I消化pLD4
0、c)Eco RII消化pLD40、d)Eco RI消化pLD55であ
る。これらの消化体から、クローン化されたURA 3含有
領域は2個のEco RI部位を有し、長さは約4kbであるこ
とを示している。
ある。このゲルのレーン(lambda-Hind IIIサイズ標準
に加えて)は、a)非消化pLD40、b)Apa I消化pLD4
0、c)Eco RII消化pLD40、d)Eco RI消化pLD55であ
る。これらの消化体から、クローン化されたURA 3含有
領域は2個のEco RI部位を有し、長さは約4kbであるこ
とを示している。
プラスミド プラスミドpLD25は大腸菌およびY. lipolyticaに対
する選択可能な遺伝子マーカーを含有し、マルチコピー
プラスミドである大腸菌複製プラスミドpBR322から誘導
される。これはpBR322のBam HI部位に、Y. lipolytica
染色体DNAのSau 3 Aによる部分消化で得られた約6.6kb
の断片を挿入することにより構築される。プラスミドpL
D28はpLD25のサブクローンで、これも大腸菌とY. lipo
lyticaに対する選択可能なマーカーと、さらにS. cere
visiaeに対し選択可能な遺伝子マーカーも有し、YEp24
から誘導される。これはY. lipolytica LEU 2遺伝子
を含む約5.3kbのSal I断片をYEp24のSal I部位に挿入し
て構築される。
する選択可能な遺伝子マーカーを含有し、マルチコピー
プラスミドである大腸菌複製プラスミドpBR322から誘導
される。これはpBR322のBam HI部位に、Y. lipolytica
染色体DNAのSau 3 Aによる部分消化で得られた約6.6kb
の断片を挿入することにより構築される。プラスミドpL
D28はpLD25のサブクローンで、これも大腸菌とY. lipo
lyticaに対する選択可能なマーカーと、さらにS. cere
visiaeに対し選択可能な遺伝子マーカーも有し、YEp24
から誘導される。これはY. lipolytica LEU 2遺伝子
を含む約5.3kbのSal I断片をYEp24のSal I部位に挿入し
て構築される。
プラスミドpLD40もpLD25のサブクローンで、pLD25か
らの2.3〜2.4kb Eco RI部分消化断片をpBR322のEco RI
部位に挿入して構築される。
らの2.3〜2.4kb Eco RI部分消化断片をpBR322のEco RI
部位に挿入して構築される。
微生物 使用した微生物は大腸菌の株およびY. lipolyticaの
株で、これらはフアイザー社(Pfizer Inc.)の培養コ
レクシヨンにそれぞれE. coli JC-355〔クラーク(Cla
rk)ら:モレキユラー ジエン ジエネテイク(Molec.
Gen.Genet.),105:1(1969)、大腸菌遺伝株センター、
エール大学から867号株として得られた〕およびY. lip
olytica PC-30827として寄託されている。このY. lipo
lyticaはドウゼーウ(J.R.Dezeeuw)の米国特許出願第5
39,363号(1983年10月6日出願)の主題となつている。
ベクターpBR322中でY. lipolyticaの遺伝子ライブラリ
ーの製造に用いた他の微生物、E. coli MC1061はカサ
ダバン(Casadaban)ら:ジヤーナル モレキユラー
バイオロジー(J.Mol.Biol.),138:179〜207(1980)に
記載されている。この微生物は高頻度形質転換が可能な
ので、この目的にとくに有用である。他の微生物もE.
coli MC1061に代わりに使用できる。適当な微生物の代
表は、制限マイナスの大腸菌株、たとえばE. coli HB1
01(NRRLB 11371、またはATCC 33694としても入手可
能)であり、この株は形質転換のためコンピテントにす
ることができる。
株で、これらはフアイザー社(Pfizer Inc.)の培養コ
レクシヨンにそれぞれE. coli JC-355〔クラーク(Cla
rk)ら:モレキユラー ジエン ジエネテイク(Molec.
Gen.Genet.),105:1(1969)、大腸菌遺伝株センター、
エール大学から867号株として得られた〕およびY. lip
olytica PC-30827として寄託されている。このY. lipo
lyticaはドウゼーウ(J.R.Dezeeuw)の米国特許出願第5
39,363号(1983年10月6日出願)の主題となつている。
ベクターpBR322中でY. lipolyticaの遺伝子ライブラリ
ーの製造に用いた他の微生物、E. coli MC1061はカサ
ダバン(Casadaban)ら:ジヤーナル モレキユラー
バイオロジー(J.Mol.Biol.),138:179〜207(1980)に
記載されている。この微生物は高頻度形質転換が可能な
ので、この目的にとくに有用である。他の微生物もE.
coli MC1061に代わりに使用できる。適当な微生物の代
表は、制限マイナスの大腸菌株、たとえばE. coli HB1
01(NRRLB 11371、またはATCC 33694としても入手可
能)であり、この株は形質転換のためコンピテントにす
ることができる。
ロイシンおよびウラシル遺伝子を欠く大腸菌株(DB650
7、ATCC 35673、HB101のTn 5挿入突然変異体、D.B.Bots
teinより)はleu B pyr F74::Tn5 hsd R-M-で、プロリ
ンも要求する。
7、ATCC 35673、HB101のTn 5挿入突然変異体、D.B.Bots
teinより)はleu B pyr F74::Tn5 hsd R-M-で、プロリ
ンも要求する。
以下の微生物がアメリカン タイプカルチヤーコレク
シヨン(American Type Culture Collection)(Rockvi
lle、Maryland、U.S.A) に寄託されていて利用できる。すなわち、 これらはブタペスト協約に基づいてAmerican Type Cu
lture Collection(Rockville、Maryland)に寄託され
ている。公認された寄託機関は永久寄託とこの出願が登
録されれば公衆への提供とが保証される。この出願の係
属中には、米国特許庁のコミツシヨナーが37CFR1.14お
よび35USC122により資格ありと定めた者に、また本願の
対応特許または関連特許が出願された外国ではその国の
特許法により、利用が許される。寄託された微生物の公
衆利用に関するすべての制限は、特許登録時に解除され
る。
シヨン(American Type Culture Collection)(Rockvi
lle、Maryland、U.S.A) に寄託されていて利用できる。すなわち、 これらはブタペスト協約に基づいてAmerican Type Cu
lture Collection(Rockville、Maryland)に寄託され
ている。公認された寄託機関は永久寄託とこの出願が登
録されれば公衆への提供とが保証される。この出願の係
属中には、米国特許庁のコミツシヨナーが37CFR1.14お
よび35USC122により資格ありと定めた者に、また本願の
対応特許または関連特許が出願された外国ではその国の
特許法により、利用が許される。寄託された微生物の公
衆利用に関するすべての制限は、特許登録時に解除され
る。
Y. lipolytica ATCC 20688の分類学的研究はL.H.Hua
ng博士によつて行われた。これを以下に示す。使用した
メジウムおよび方法はロツダー(Lodder)著:酵母(Th
e Yeasts)第2版、N.Holland Publishing Co.,Amsterd
am、1970に推賞されたものである。
ng博士によつて行われた。これを以下に示す。使用した
メジウムおよび方法はロツダー(Lodder)著:酵母(Th
e Yeasts)第2版、N.Holland Publishing Co.,Amsterd
am、1970に推賞されたものである。
カンジダリポリテイカ(Candida lipolytica)〔Sac
charomycopsis lipolyticaとしても知られている。現
在はYarrowia lipolytica(Wickerhamら)としてvan d
er Waltおよびvon Arx(Antonie van Leeuwenhoek46:51
7〜521、1980)により分類されている〕の培養菌株CBS5
99と比較した。
charomycopsis lipolyticaとしても知られている。現
在はYarrowia lipolytica(Wickerhamら)としてvan d
er Waltおよびvon Arx(Antonie van Leeuwenhoek46:51
7〜521、1980)により分類されている〕の培養菌株CBS5
99と比較した。
PC-30827株はロイシンおよびウラシルを要求する(J.
R.Dezeeuw)ので、ロイシンエチルエステルおよびラウ
シルをそれぞれ149mg/lおよび20mg/lの濃度、以下の培
地、すなわち、炭素化合物の同化をみる基礎培地、硝酸
カリウムの同化をみる肉汁、生育をみるビタミンを含ま
ない肉汁、および生育刺激に対するビタミンの効果をみ
る肉汁である。ロイシンエチルエステルはロイシンに比
べ、炭素源としてゆつくり利用される。他の培地は有機
性で、添加物なしで生育を支持するものでなければなら
ない。上述の培地に添加物を加えまたは加えないで、CB
S-599株についても使用した。
R.Dezeeuw)ので、ロイシンエチルエステルおよびラウ
シルをそれぞれ149mg/lおよび20mg/lの濃度、以下の培
地、すなわち、炭素化合物の同化をみる基礎培地、硝酸
カリウムの同化をみる肉汁、生育をみるビタミンを含ま
ない肉汁、および生育刺激に対するビタミンの効果をみ
る肉汁である。ロイシンエチルエステルはロイシンに比
べ、炭素源としてゆつくり利用される。他の培地は有機
性で、添加物なしで生育を支持するものでなければなら
ない。上述の培地に添加物を加えまたは加えないで、CB
S-599株についても使用した。
以下に述べるように、両株は大部分の培養的および形
態的特性が等しい。2,3の相違がみられるのみである。
例えばCBS-599をグルコース‐酵母抽出物−ペプトンア
ガール上で画線培養すると、わずかに粗またはわずかに
縮毛状を呈するのに対し、PC-30827の場合は明瞭な縮毛
状を示す。PC-30827はCBS-599株に比べて、コーンミー
ルアガール上での生育が貧弱で、真の菌糸体の産生は低
い。
態的特性が等しい。2,3の相違がみられるのみである。
例えばCBS-599をグルコース‐酵母抽出物−ペプトンア
ガール上で画線培養すると、わずかに粗またはわずかに
縮毛状を呈するのに対し、PC-30827の場合は明瞭な縮毛
状を示す。PC-30827はCBS-599株に比べて、コーンミー
ルアガール上での生育が貧弱で、真の菌糸体の産生は低
い。
CBS-599では、上述の培地のロイシンエチルエステル
およびウラシルを補給した場合の結果は、補給物がない
ときはクエン酸を使うが補給物があるときは使わないと
するほかは補給物を用いない場合の結果と同一であつ
た。これは補給物が炭素源としても窒素源としても利用
されていないことを示し、したがつてPC-30827株の培地
への添加物の添加は容認できる。
およびウラシルを補給した場合の結果は、補給物がない
ときはクエン酸を使うが補給物があるときは使わないと
するほかは補給物を用いない場合の結果と同一であつ
た。これは補給物が炭素源としても窒素源としても利用
されていないことを示し、したがつてPC-30827株の培地
への添加物の添加は容認できる。
CBS-599株に比べて、PC-30827株は、コハク酸、D-グ
ルシトールおよびグリセロール上、「良好」ではなく
「なし」〜「弱」の生育を示し、ビタミンを含まないメ
ジウムおよびサリシン上の生育は「弱」ではなく「な
し」、生育刺激に対するチアミンの効果は「良好」では
なく「なし」〜「弱」である。PC-30827株はL-ソルボー
ス上では生育しないのに対し、CBS-599では逆である。
ルシトールおよびグリセロール上、「良好」ではなく
「なし」〜「弱」の生育を示し、ビタミンを含まないメ
ジウムおよびサリシン上の生育は「弱」ではなく「な
し」、生育刺激に対するチアミンの効果は「良好」では
なく「なし」〜「弱」である。PC-30827株はL-ソルボー
ス上では生育しないのに対し、CBS-599では逆である。
生化学的試験におけるPC-30827とCBS-599の間のいく
つかの相違は、定量的なものである。PC-30827の突然変
異株の生化学的試験結果はCBS-599菌型培養の場合と等
しかつた。この結果をフアン ウーデン(van Uden)と
バツクレー(Buckley)が提案したカンジダ(Candida)
種に対するキーに用いると(酵母(The Yeast)、ロツ
ダー編(Ed.J.Lodder)、1970)、この2株はそれぞれ
カンジダ リポリテイカ(Candida lipolytica)、す
なわちYarrowia lipolyticaの不完全状態に分類され
る。
つかの相違は、定量的なものである。PC-30827の突然変
異株の生化学的試験結果はCBS-599菌型培養の場合と等
しかつた。この結果をフアン ウーデン(van Uden)と
バツクレー(Buckley)が提案したカンジダ(Candida)
種に対するキーに用いると(酵母(The Yeast)、ロツ
ダー編(Ed.J.Lodder)、1970)、この2株はそれぞれ
カンジダ リポリテイカ(Candida lipolytica)、す
なわちYarrowia lipolyticaの不完全状態に分類され
る。
CBS-599株 グルコース‐酵母抽出物‐ペプトン水上での生育 3日間28℃で培養後、細胞は丸、長丸〜長で、1〜3
個の芽胞を伴う。丸い細胞は5〜16×3〜7μm、長い
細胞は30μmまでの長さを示す。擬菌糸体あり。菌膜あ
り。沈殿。
個の芽胞を伴う。丸い細胞は5〜16×3〜7μm、長い
細胞は30μmまでの長さを示す。擬菌糸体あり。菌膜あ
り。沈殿。
グルコース‐酵母抽出物‐ペプトンアガール上での生育 28℃で1カ月培養後、培地はクリーム状で、隆起。わ
ずかに粗またはわずかに縮毛状、光沢のないあるいは湿
潤した表面を呈す。
ずかに粗またはわずかに縮毛状、光沢のないあるいは湿
潤した表面を呈す。
コーンミールアガール上Dalman平板培養 生育:中等度。灰白色。擬菌糸体および真の分かれた
菌糸体あり。単一、対または3個の卵状の芽胞が菌糸ま
たは擬菌糸上、末端または側面に、あるいは輪生状に形
成される。
菌糸体あり。単一、対または3個の卵状の芽胞が菌糸ま
たは擬菌糸上、末端または側面に、あるいは輪生状に形
成される。
発酵 グルコース、ガラクトース、シユクロース、マルトー
ス、トレハロースおよびラクトース上で発酵しない。
ス、トレハロースおよびラクトース上で発酵しない。
炭素化合物の同化:基礎培地(基礎培地+ロイシンエ
チルエステルおよびウラシル) グルコース +(+) ガラクトース −(−) L-ソルボース +(+) シユクロース −(−) マルトース −(−) セロビオース −(−) トレハロース −(−) ラクトース −(−) メリビオース −(−) ラフイノース −(−) メレジトース −(−) クエン酸 +(−) 可溶性デンプン −(−) D-キシロース −(−) L-アラビノース −(−) D-アラビノース −(−) D-リボース 弱(弱) L-ラムノース −(−) エタノール +(+) グリセロール +(+) エリスリトール +(+) イノシトール −(−) リビトール +(−) ガラクチトール −(−) D-マニトール +(+) D-グルシトール +(+) サリシン 弱(弱) DL-乳酸 弱(+) α‐メチル‐D-グルコシド −(−) コハク酸 +(+) 硝酸カリウムの同化(ロイシンエチルエステルおよびウ
ラシルの添加または非添加) なし ビタミンを含まないメジウム中での生育(ロイシンエチ
ルエステルおよびウラシルの添加または非添加) 弱い生育 ビタミン刺激の生育 ロイシンエチルエステルおよびウラシルを含むまたは
含まない肉汁中でチアミンは生育を刺激する。
チルエステルおよびウラシル) グルコース +(+) ガラクトース −(−) L-ソルボース +(+) シユクロース −(−) マルトース −(−) セロビオース −(−) トレハロース −(−) ラクトース −(−) メリビオース −(−) ラフイノース −(−) メレジトース −(−) クエン酸 +(−) 可溶性デンプン −(−) D-キシロース −(−) L-アラビノース −(−) D-アラビノース −(−) D-リボース 弱(弱) L-ラムノース −(−) エタノール +(+) グリセロール +(+) エリスリトール +(+) イノシトール −(−) リビトール +(−) ガラクチトール −(−) D-マニトール +(+) D-グルシトール +(+) サリシン 弱(弱) DL-乳酸 弱(+) α‐メチル‐D-グルコシド −(−) コハク酸 +(+) 硝酸カリウムの同化(ロイシンエチルエステルおよびウ
ラシルの添加または非添加) なし ビタミンを含まないメジウム中での生育(ロイシンエチ
ルエステルおよびウラシルの添加または非添加) 弱い生育 ビタミン刺激の生育 ロイシンエチルエステルおよびウラシルを含むまたは
含まない肉汁中でチアミンは生育を刺激する。
食塩耐性 11%〜12% 生育最高温度 37℃〜45℃ PC-30827株 グルコース‐酵母抽出物‐ペプトン水上での生育 3日間28℃で培養後、細胞は丸、長丸、長型、まれに
楕円型で、1〜3個の芽胞を伴う。丸型細胞の大きさは
5〜14×3〜6μm、長型細胞の大きさは25μmまであ
る。擬菌糸体あり。菌膜あり。沈殿。
楕円型で、1〜3個の芽胞を伴う。丸型細胞の大きさは
5〜14×3〜6μm、長型細胞の大きさは25μmまであ
る。擬菌糸体あり。菌膜あり。沈殿。
グルコース‐酵母抽出物‐ペプトンアガール上での生育 28℃で1カ月間、画線培養後、培地はクリーム状、隆
起。明瞭に縮毛状。光沢のない表面を示す。
起。明瞭に縮毛状。光沢のない表面を示す。
コーンミールアガール上Dalman平板培養 生育:貧弱。灰白色、擬菌糸体あるが、希薄で短い。
真の分かれた菌糸体はまれにある。単一、対または3個
の卵状ないし球形の芽胞が、末端または側面に、ときに
は群生して、形成される。
真の分かれた菌糸体はまれにある。単一、対または3個
の卵状ないし球形の芽胞が、末端または側面に、ときに
は群生して、形成される。
発酵 グルコース、ガラクトース、シユクロース、マルトー
ス、トレハロースおよびラクトース上で発酵しない。
ス、トレハロースおよびラクトース上で発酵しない。
炭素化合物の同化:基礎培地(基礎培地+ロイシンエチ
ルエステルおよびウラシル) グルコース 弱 ガラクトース − L-ソルボース − シユクロース − マルトース − セロビオース − トレハロース − ラクトース − メリビオース − ラフイノース − メレジトース − 可溶性デンプン − D-キシロース − L-アラビノース − D-アラビノース − D-リボース 弱 L-ラムノース − エタノール 弱 グリセロール −〜弱 エリスリトール + リビトール − ガラクチトール − D-マニトール + D-グルシトール −〜弱 サリシン − DL-乳酸 弱 α‐メチル‐D-グルコシド − コハク酸 −〜弱 クエン酸 − イノシトール − 硝酸カリウムの同化(ロイシンエチルエステルおよびウ
ラシル添加) なし ビタミンを含まないメジウム中での生育(ロイシンエチ
ルエステルおよびウラシルの添加) なし ビタミン刺激の生育 ロイシンエチルエステルおよびウラシルを含む肉汁中
でチアミンの生育刺激は「弱」〜「なし」である。
ルエステルおよびウラシル) グルコース 弱 ガラクトース − L-ソルボース − シユクロース − マルトース − セロビオース − トレハロース − ラクトース − メリビオース − ラフイノース − メレジトース − 可溶性デンプン − D-キシロース − L-アラビノース − D-アラビノース − D-リボース 弱 L-ラムノース − エタノール 弱 グリセロール −〜弱 エリスリトール + リビトール − ガラクチトール − D-マニトール + D-グルシトール −〜弱 サリシン − DL-乳酸 弱 α‐メチル‐D-グルコシド − コハク酸 −〜弱 クエン酸 − イノシトール − 硝酸カリウムの同化(ロイシンエチルエステルおよびウ
ラシル添加) なし ビタミンを含まないメジウム中での生育(ロイシンエチ
ルエステルおよびウラシルの添加) なし ビタミン刺激の生育 ロイシンエチルエステルおよびウラシルを含む肉汁中
でチアミンの生育刺激は「弱」〜「なし」である。
食塩耐性 11%〜12% 生育最高温度 37℃〜45℃Y. lipolytica PC-30827は希にしか復帰突然変異しな
いleu2-35を含んでいる。Y. lipolytica LEU 2遺伝子
は、酵素β‐イソプロピルマレートデヒドロゲナーゼ
(EC1,1,1,85)をコードし、大腸菌のleu B遺伝子によ
りまたS. cerevisiaeのLEU 2遺伝子によりコードされ
る。
いleu2-35を含んでいる。Y. lipolytica LEU 2遺伝子
は、酵素β‐イソプロピルマレートデヒドロゲナーゼ
(EC1,1,1,85)をコードし、大腸菌のleu B遺伝子によ
りまたS. cerevisiaeのLEU 2遺伝子によりコードされ
る。
E. coli JC-355およびY. lipolytica ATCC 20688の
それぞれにpLD25を挿入すると、E. coli JC-355および
Y. lipolytica ATCC 20688のそれぞれにpLD25を有する
形質転換体が得られる。これらは、フアイザー社(Pfiz
er Inc.)のカルチヤーコレクシヨン(Culture Collect
ion)によりそれぞれF.D.27534およびF.D.27533と同定
されている。
それぞれにpLD25を挿入すると、E. coli JC-355および
Y. lipolytica ATCC 20688のそれぞれにpLD25を有する
形質転換体が得られる。これらは、フアイザー社(Pfiz
er Inc.)のカルチヤーコレクシヨン(Culture Collect
ion)によりそれぞれF.D.27534およびF.D.27533と同定
されている。
Y. lipolytica株NRRL Y-1094、野生型株(すなわ
ち、微生物学の分野での熟練者によつて通常用いられて
いる株)からの染色体DNAをヒアフオード(Hereford)
ら:細胞(Cell)、18:1261〜1271(1979)の方法で得
た。
ち、微生物学の分野での熟練者によつて通常用いられて
いる株)からの染色体DNAをヒアフオード(Hereford)
ら:細胞(Cell)、18:1261〜1271(1979)の方法で得
た。
本発明の新規プラスミドpLD25は、直線化pBR322を、
Y. lipolytica染色体DNAの部分Sau 3 A消化体と、T4リ
ガーゼを用いて結合させることにより構築される。pBR3
22はバクテリアDNAからの共有結合的に閉じた超コイルp
BR322を分離するため、CsCl-エチジウムグロマイド勾配
で遠心分離して単離された。pBR322を制限酵素Bam HIで
消化してテトラサイクリン抵抗性遺伝子(TcR)内で分
裂させ、直線化すると、コヘツシブ末端(粘着末端)を
有し、アンピシリン抵抗性(AmpR)を表現型形質として
残した線状の断片を生じる。ゲル(アガロース)電気泳
動に付すと、このベクターはバクテリアDNAを実質的に
含まないことがわかる。かくして得られた線状pBR322を
所望によりアルカリホスフアターゼで処理し、自己結
合、すなわちベクターDNAの再環化およびダイマー形成
を防止する。
Y. lipolytica染色体DNAの部分Sau 3 A消化体と、T4リ
ガーゼを用いて結合させることにより構築される。pBR3
22はバクテリアDNAからの共有結合的に閉じた超コイルp
BR322を分離するため、CsCl-エチジウムグロマイド勾配
で遠心分離して単離された。pBR322を制限酵素Bam HIで
消化してテトラサイクリン抵抗性遺伝子(TcR)内で分
裂させ、直線化すると、コヘツシブ末端(粘着末端)を
有し、アンピシリン抵抗性(AmpR)を表現型形質として
残した線状の断片を生じる。ゲル(アガロース)電気泳
動に付すと、このベクターはバクテリアDNAを実質的に
含まないことがわかる。かくして得られた線状pBR322を
所望によりアルカリホスフアターゼで処理し、自己結
合、すなわちベクターDNAの再環化およびダイマー形成
を防止する。
pLD25の第二の成分は、Y. lipolytica株NRRL Y-109
4、野生型株の染色体DNAを、コヘツシブ末端を有して、
pBR322のBam HI開裂の断片に相補性のほぼランダムな断
片を生成する制限酵素Sau 3 A部分消化に付すと得られ
る。アガロースゲルから収穫される、範囲4〜10kbのDN
Aを公知方法で精製したのち、Bam HI切断部でアルカリ
ホスフアターゼ処理ベクアーpBR322を結合させる。
4、野生型株の染色体DNAを、コヘツシブ末端を有して、
pBR322のBam HI開裂の断片に相補性のほぼランダムな断
片を生成する制限酵素Sau 3 A部分消化に付すと得られ
る。アガロースゲルから収穫される、範囲4〜10kbのDN
Aを公知方法で精製したのち、Bam HI切断部でアルカリ
ホスフアターゼ処理ベクアーpBR322を結合させる。
本発明の方法においては、DNA断片の大きさには制限
はない。DNA断片に関する限定は、それが検出可能なマ
ーカーたとえばLEU 2遺伝子のすべてまたは十分な部分
を含有することである。さらに、大腸菌プラスミド、こ
の場合はpBR322の制限酵素開裂によつて生じた断片に相
補的なコヘツシブ末端を持たねばならないことである。
はない。DNA断片に関する限定は、それが検出可能なマ
ーカーたとえばLEU 2遺伝子のすべてまたは十分な部分
を含有することである。さらに、大腸菌プラスミド、こ
の場合はpBR322の制限酵素開裂によつて生じた断片に相
補的なコヘツシブ末端を持たねばならないことである。
ベクターとDNAと、Y. lipolytica染色体DNAの3 au 3
A部分消化体は、補因子としてアデノシン三リン酸(AT
P)の存在下にT4リガーゼを用いて結合させる。
A部分消化体は、補因子としてアデノシン三リン酸(AT
P)の存在下にT4リガーゼを用いて結合させる。
結合混合物は、まずE. coliMC1061(カスダバン(Ca
sdaban)ら:ジヤーナル モレキユラー バイオロジー
(J.Mol.Biol.),138:179〜207、1980)の形質転換に用
いる。この大腸菌の株はきわめて高い形質転換頻度を示
し、hsd R- 、hsd M+ であるので、上記大腸菌でY. lipo
lytica遺伝子ライブラリーを与える。E. coli MC1061
の全く異なるアンピシリン抵抗性形質転換体をアンピシ
リン+L-アガール平板上で生育させ、収穫した。収穫し
た培養細胞をアンピシリン含有メジウム1中で生育さ
せた。遺伝子ライブラリーを作るための標準方法で混合
プラスミドが単離された。このライブラリーの一部をと
り、E. coli JC-355を形質転換させた。形質転換体は
アンピシリン抵抗性によつて選択した。これらの形質転
換体を次にレプリカ法で、ロイシンを含まない合成培地
に転写した。また、形質転換混合物を直接、ロイシンを
含まないアンピシリン含有合成培地に置いてもよい。こ
のようにして選択された形質転換体はロイシン原栄養株
である。この形質転換体中のプラスミドを標準方法によ
つて単離し、pLD25と比較する。
sdaban)ら:ジヤーナル モレキユラー バイオロジー
(J.Mol.Biol.),138:179〜207、1980)の形質転換に用
いる。この大腸菌の株はきわめて高い形質転換頻度を示
し、hsd R- 、hsd M+ であるので、上記大腸菌でY. lipo
lytica遺伝子ライブラリーを与える。E. coli MC1061
の全く異なるアンピシリン抵抗性形質転換体をアンピシ
リン+L-アガール平板上で生育させ、収穫した。収穫し
た培養細胞をアンピシリン含有メジウム1中で生育さ
せた。遺伝子ライブラリーを作るための標準方法で混合
プラスミドが単離された。このライブラリーの一部をと
り、E. coli JC-355を形質転換させた。形質転換体は
アンピシリン抵抗性によつて選択した。これらの形質転
換体を次にレプリカ法で、ロイシンを含まない合成培地
に転写した。また、形質転換混合物を直接、ロイシンを
含まないアンピシリン含有合成培地に置いてもよい。こ
のようにして選択された形質転換体はロイシン原栄養株
である。この形質転換体中のプラスミドを標準方法によ
つて単離し、pLD25と比較する。
ロイシン原栄養性形質転換体から得られたプラスミド
の微量サンプルをHind IIIおよびSal Iで消化させて分
析したところ、期待されたpBR322からの3.7kb断片、お
よび約6.6kbのサイズの挿入体を示す2個の大きな断片
を含むことが明らかにされた。また、小さな断片(pBR3
22のSal I部位から挿入体のSal I部位近くまで、第3図
参照)も発見された。プラスミドpLD25のサザーンブロ
ツトハイブリダイゼーシヨン(サザーン(Southern):
ジヤーナル モレキユラー バイオロジー(J.Mol.Bio
l.),98:503〜517、1975)を、EcoRI消化Y. lipolytic
a染色体DNAのハイブリダイゼーシヨンと比較すると、ク
ローン化挿入体の内部の3個のDNAは染色体DNAのものと
同一であることがわかつた。
の微量サンプルをHind IIIおよびSal Iで消化させて分
析したところ、期待されたpBR322からの3.7kb断片、お
よび約6.6kbのサイズの挿入体を示す2個の大きな断片
を含むことが明らかにされた。また、小さな断片(pBR3
22のSal I部位から挿入体のSal I部位近くまで、第3図
参照)も発見された。プラスミドpLD25のサザーンブロ
ツトハイブリダイゼーシヨン(サザーン(Southern):
ジヤーナル モレキユラー バイオロジー(J.Mol.Bio
l.),98:503〜517、1975)を、EcoRI消化Y. lipolytic
a染色体DNAのハイブリダイゼーシヨンと比較すると、ク
ローン化挿入体の内部の3個のDNAは染色体DNAのものと
同一であることがわかつた。
Y. lipolyticaの完全pLD25およびKpn I切断pLD25に
よる形質転換体について、それが組込まれたかまたは独
立に複製されるpLD25(LEU 2含有プラスミド)を含むか
どうかを試験した。染色体DNAはロイシン原栄養性形質
転換体と母株のY. lipolytica、ATCC 20688から作成し
た。DNAサンプルはHind IIIで切断し、0.5%アガロース
ゲルにかけ、サンプル中のプラスミドpLD25の存在を調
べるため放射性pBR322を用いるサザーンブロツト法によ
り解析した。母株のY. lipolytica株とプローベの間に
は相同性は認められなかつた。pLD25には1個のHind II
I部位がある(pBR322セグメント内)から、そしてY. l
ipolyticaセグメントにはないので、pLD25が形質転換体
内で独立に複製されているのであれば、pLD25サイズの
1個のバンド(約11kb)がみられるはずである。このよ
うなバンドがないことは、形質転換体はいずれも組込み
体であるとの結論になる。環状、直線状および切れ目の
ある直線状プラスミドは、相同の染色体配列との組換え
によつて、Y. lipolyticaを形質転換できる。しかしな
がら、形質転換頻度は、完全プラスミド処理細胞におけ
るよりも、Kpn I-切断プラスミド処理細胞の方が著しく
高いことから、さらに、オール‐ウイーバー(Orr-Weav
er)らによりS. cerevisiaeについて記述された組込み
形質転換(プロシーデイング ナシヨナル、アカデミー
オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.),78:6354
〜6358、1981)がY. lipolyticaでも同様に起こること
を示している。上述のサザーンブロツトは直線分子から
誘導された組込み形質転換体の構造は、環状分子(すな
わちプラスミド)から誘導された形質転換体と同じ挙動
をすることを示している。さらに、サザーンブロツト実
験により、完全なプラスミド処理から生じる希な形質転
換体の一部はpBR322ハイブリツド可能材料を欠き、多
分、遺伝子変換または二重組換えによつて生じたものと
思われる。
よる形質転換体について、それが組込まれたかまたは独
立に複製されるpLD25(LEU 2含有プラスミド)を含むか
どうかを試験した。染色体DNAはロイシン原栄養性形質
転換体と母株のY. lipolytica、ATCC 20688から作成し
た。DNAサンプルはHind IIIで切断し、0.5%アガロース
ゲルにかけ、サンプル中のプラスミドpLD25の存在を調
べるため放射性pBR322を用いるサザーンブロツト法によ
り解析した。母株のY. lipolytica株とプローベの間に
は相同性は認められなかつた。pLD25には1個のHind II
I部位がある(pBR322セグメント内)から、そしてY. l
ipolyticaセグメントにはないので、pLD25が形質転換体
内で独立に複製されているのであれば、pLD25サイズの
1個のバンド(約11kb)がみられるはずである。このよ
うなバンドがないことは、形質転換体はいずれも組込み
体であるとの結論になる。環状、直線状および切れ目の
ある直線状プラスミドは、相同の染色体配列との組換え
によつて、Y. lipolyticaを形質転換できる。しかしな
がら、形質転換頻度は、完全プラスミド処理細胞におけ
るよりも、Kpn I-切断プラスミド処理細胞の方が著しく
高いことから、さらに、オール‐ウイーバー(Orr-Weav
er)らによりS. cerevisiaeについて記述された組込み
形質転換(プロシーデイング ナシヨナル、アカデミー
オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.),78:6354
〜6358、1981)がY. lipolyticaでも同様に起こること
を示している。上述のサザーンブロツトは直線分子から
誘導された組込み形質転換体の構造は、環状分子(すな
わちプラスミド)から誘導された形質転換体と同じ挙動
をすることを示している。さらに、サザーンブロツト実
験により、完全なプラスミド処理から生じる希な形質転
換体の一部はpBR322ハイブリツド可能材料を欠き、多
分、遺伝子変換または二重組換えによつて生じたものと
思われる。
本明細書に記載の形質転換システムの有用性は、その
形質転換システムに述べた組込みプラスミドのY. lipo
lyticaから大腸菌へのシヤトリングにより、サイクルを
完成することから明白である。さらに、組込みシヤトル
ベクターは、遺伝子ライブラリーの構築により所望のY.
lipolytica遺伝子のクローニングを可能にする。Y.
lipolytica受容株内でついで選択またはスクリーニング
する。
形質転換システムに述べた組込みプラスミドのY. lipo
lyticaから大腸菌へのシヤトリングにより、サイクルを
完成することから明白である。さらに、組込みシヤトル
ベクターは、遺伝子ライブラリーの構築により所望のY.
lipolytica遺伝子のクローニングを可能にする。Y.
lipolytica受容株内でついで選択またはスクリーニング
する。
実験 材料と方法 Bam HI、Sal I、Bgl II、Hind IIIおよびSau 3 Aを含
めた大部分の制限酵素はニユーイングランドバイオラボ
(New England Biolabs)(NES)から、T4DNAリガーゼ
およびE. coliポリメラーゼ1も同様に得られた。Apa
Iはベーリンガー‐マンハイム(Boehringer-Mannheim)
から得られた。すべての酵素は各製造業者によつて記載
されているその使用条件に従つて使用した。Sal Iは、
バクテリアアルカリホスフアターゼ、Kpn IおよびXho I
と同様、ベセスダ リサーチ ラボラトリー(Bethesda
Research Laboratories)(BRL)から得た。バクテリ
アアルカリホスフアターゼは、直線状プラスミドDNA1μ
gにつき約100単位の割合で、65℃において、Bam HIア
ツセー緩衝溶中、2時間使用した。制限消化体はTris-B
orate-EDTA緩衝液を用い、浸漬0.8%アガロース中電気
泳動によつて解析した(マニアテイス(Maniatis)ら:
“モレキユラークローニング(Molecular Clonin
g)”、Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.,1982)。
めた大部分の制限酵素はニユーイングランドバイオラボ
(New England Biolabs)(NES)から、T4DNAリガーゼ
およびE. coliポリメラーゼ1も同様に得られた。Apa
Iはベーリンガー‐マンハイム(Boehringer-Mannheim)
から得られた。すべての酵素は各製造業者によつて記載
されているその使用条件に従つて使用した。Sal Iは、
バクテリアアルカリホスフアターゼ、Kpn IおよびXho I
と同様、ベセスダ リサーチ ラボラトリー(Bethesda
Research Laboratories)(BRL)から得た。バクテリ
アアルカリホスフアターゼは、直線状プラスミドDNA1μ
gにつき約100単位の割合で、65℃において、Bam HIア
ツセー緩衝溶中、2時間使用した。制限消化体はTris-B
orate-EDTA緩衝液を用い、浸漬0.8%アガロース中電気
泳動によつて解析した(マニアテイス(Maniatis)ら:
“モレキユラークローニング(Molecular Clonin
g)”、Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.,1982)。
メジウム 大腸菌用メジウムは1あたり、10gのBacto-トリプ
トン、5gのBacto-酵母抽出物、および食塩5gを含み、pH
を7.5に調整したL苦汁で或る。大腸菌最小培地は0.33
%デキストロースに56種の塩を含む(ロウ(Low):ジ
ヤーナル オブ バクテリオロジー(J.Bacteriol.),1
13:798〜812,1973)。アミノ酸または塩基は必要な場
合、50μg/ml添加した。バクテリアは37℃で生育させ
た。
トン、5gのBacto-酵母抽出物、および食塩5gを含み、pH
を7.5に調整したL苦汁で或る。大腸菌最小培地は0.33
%デキストロースに56種の塩を含む(ロウ(Low):ジ
ヤーナル オブ バクテリオロジー(J.Bacteriol.),1
13:798〜812,1973)。アミノ酸または塩基は必要な場
合、50μg/ml添加した。バクテリアは37℃で生育させ
た。
酵母用メジウムは1%Bacto-酵母抽出物、2%Bacto-
ペプトン、2%デキストロースを含むYPDである。酵母
最小粘地、SDは、0.67%Bacto酵母窒素塩基(アミノ酸
を含まない)および2%デキストロースを含有する、合
成完全培地は、アデニン硫酸塩、ウラシル、トリプトフ
アン、ヒスチジン塩酸塩、アルギニン塩酸塩およびメチ
オニン各2g、チロシン3g、ロイシン6g、フエニルアラニ
ン5g、スレオニン20g、リジン3gを合して乳鉢、乳棒を
用いて粉砂して粉末添加剤を870mg/lの割合で含有す
る。栄養試験または選択に際しては、完全メジウムから
適当な成分をぬく。Y. lipolyticaは28℃で生育させ
た。Y. lipolytica染色体DNAの単離 a)DNAのクローニング:野性型株NRRL Y-1094を、振盪
Fernbachフラスコを用い、YPD4×300ml中1mlにつき1×
2×108個の細胞をとり28℃で生育させ、ついで新鮮な
静的相培地から15μlを接種した。以下の細胞操作はす
べて28℃または室温で実施した。細胞は遠心分離で収穫
し、50mlの1M-NaClで洗浄し、再び遠心分離した。遠心
分離収穫後に、50mlの0.2Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン塩酸塩(Tris-HCl)pH8.5、0.02Mエチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)、1M食塩および0.1M2-メルカプ
トエタノール中で前スフエロプラスト接種を15分行う。
細胞ペレットを、1mlにつき1mgのザイモリアーゼ5000
(キリン醸造所、日本(Kirin Breweries,Japan))を
含む1M-NaCl40ml中に再懸濁し、45分間インキユベート
した。この時点で90%以上の細胞は、水中への希釈によ
る細胞分解で顕微鏡的に検査すると、スフエロプラスト
に変換されていた。
ペプトン、2%デキストロースを含むYPDである。酵母
最小粘地、SDは、0.67%Bacto酵母窒素塩基(アミノ酸
を含まない)および2%デキストロースを含有する、合
成完全培地は、アデニン硫酸塩、ウラシル、トリプトフ
アン、ヒスチジン塩酸塩、アルギニン塩酸塩およびメチ
オニン各2g、チロシン3g、ロイシン6g、フエニルアラニ
ン5g、スレオニン20g、リジン3gを合して乳鉢、乳棒を
用いて粉砂して粉末添加剤を870mg/lの割合で含有す
る。栄養試験または選択に際しては、完全メジウムから
適当な成分をぬく。Y. lipolyticaは28℃で生育させ
た。Y. lipolytica染色体DNAの単離 a)DNAのクローニング:野性型株NRRL Y-1094を、振盪
Fernbachフラスコを用い、YPD4×300ml中1mlにつき1×
2×108個の細胞をとり28℃で生育させ、ついで新鮮な
静的相培地から15μlを接種した。以下の細胞操作はす
べて28℃または室温で実施した。細胞は遠心分離で収穫
し、50mlの1M-NaClで洗浄し、再び遠心分離した。遠心
分離収穫後に、50mlの0.2Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン塩酸塩(Tris-HCl)pH8.5、0.02Mエチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)、1M食塩および0.1M2-メルカプ
トエタノール中で前スフエロプラスト接種を15分行う。
細胞ペレットを、1mlにつき1mgのザイモリアーゼ5000
(キリン醸造所、日本(Kirin Breweries,Japan))を
含む1M-NaCl40ml中に再懸濁し、45分間インキユベート
した。この時点で90%以上の細胞は、水中への希釈によ
る細胞分解で顕微鏡的に検査すると、スフエロプラスト
に変換されていた。
スフエロプラクトを遠心分離し、計16mlの1M-NaClに
4本の試験管に分けて再懸濁した。分解緩衝液〔50mM T
ris pH6.8、100mM NaCl、100mM EDTA、0.5%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)〕、0.1mg/mlプロテナーゼK含
有、40mlを加え、リゼートを37℃で1.5時間インキユベ
ートした。リゼートを等容量のフエノール:クロロホル
ム(1:1)で抽出した。9,000rpmで遠心分離して相を分
け、水相は再びフエノール‐クロロホルムで抽出した。
最終水相を2容量のエタノールと合し、DNAを沈殿させ
る。液体を傾瀉して、ペレツトを70%および100%エタ
ノールで洗浄したのち、真空乾燥した。乾燥ペレツトを
8mlのTE(10mM Tris-HCl pH8、1mM EDTA)に65℃で再溶
解し、ついで300μlのRNAse A(1mg/ml、5分間煮沸)
を加えて37℃で1時間RNAse消化を行う。混合物をフエ
ノール‐クロロホルムで2回抽出し、前と同様にエタノ
ールで沈殿させた。最終沈殿をエーテルで洗浄したの
ち、真空乾燥した。
4本の試験管に分けて再懸濁した。分解緩衝液〔50mM T
ris pH6.8、100mM NaCl、100mM EDTA、0.5%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)〕、0.1mg/mlプロテナーゼK含
有、40mlを加え、リゼートを37℃で1.5時間インキユベ
ートした。リゼートを等容量のフエノール:クロロホル
ム(1:1)で抽出した。9,000rpmで遠心分離して相を分
け、水相は再びフエノール‐クロロホルムで抽出した。
最終水相を2容量のエタノールと合し、DNAを沈殿させ
る。液体を傾瀉して、ペレツトを70%および100%エタ
ノールで洗浄したのち、真空乾燥した。乾燥ペレツトを
8mlのTE(10mM Tris-HCl pH8、1mM EDTA)に65℃で再溶
解し、ついで300μlのRNAse A(1mg/ml、5分間煮沸)
を加えて37℃で1時間RNAse消化を行う。混合物をフエ
ノール‐クロロホルムで2回抽出し、前と同様にエタノ
ールで沈殿させた。最終沈殿をエーテルで洗浄したの
ち、真空乾燥した。
DNAペレツトを前回と同様にしてTEに再溶解し、100×
TE2mlついで水を加えて29.04gとした。この溶液をCsCl3
7.69gに加え、遠沈管に移し、VTi 50ローターを用いた
Beckman L8−70超遠心分離機により、40,000rpmで17時
間、遠心分離した。針で孔をあけて、遠沈管の底から約
1.25mlを含むフラクシヨンに分けて、勾配を収穫した。
各フラクシヨンのサンプルを0.5mcg/mlのエチジウムブ
ロマイドを含むアガロースゲル上を走らせてDNAを分析
し、分画16、17および18(全26から)を集めた。これら
のDNA含有分画をプールし、1×TEを4回かえて透析
し、エタノールで沈殿させた。DNAを1×TE0.6mlに再溶
解し、この生成物を260nmの吸収で評価すると、DNA129
μgを含むことが明らかにされた。
TE2mlついで水を加えて29.04gとした。この溶液をCsCl3
7.69gに加え、遠沈管に移し、VTi 50ローターを用いた
Beckman L8−70超遠心分離機により、40,000rpmで17時
間、遠心分離した。針で孔をあけて、遠沈管の底から約
1.25mlを含むフラクシヨンに分けて、勾配を収穫した。
各フラクシヨンのサンプルを0.5mcg/mlのエチジウムブ
ロマイドを含むアガロースゲル上を走らせてDNAを分析
し、分画16、17および18(全26から)を集めた。これら
のDNA含有分画をプールし、1×TEを4回かえて透析
し、エタノールで沈殿させた。DNAを1×TE0.6mlに再溶
解し、この生成物を260nmの吸収で評価すると、DNA129
μgを含むことが明らかにされた。
b.サザーンブロツト用DNA S. cerevisiaeの微量処理法(シヤーマン(Sherma
n)ら:酵母遺伝学における方法(Method in Yeast Gen
etics),Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.,1981)
からのSDSスフエロプラスト分解と酢酸カリウム処理
が、Y. lipolytica DNAを得るのに便利であつた。
n)ら:酵母遺伝学における方法(Method in Yeast Gen
etics),Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.,1981)
からのSDSスフエロプラスト分解と酢酸カリウム処理
が、Y. lipolytica DNAを得るのに便利であつた。
プラスミドDNAの調製 バクテリアプラスミドDNAをホルムス(Holmes)ら
〔アナル オブ バイオケミストリー(Anal.Bioche
m.),114:193〜197(1981)〕の急速煮沸法で製造し
た。大量の製造の場合のみ、次にCsCl−エチジウムブロ
マイド勾配中の遠心分離を行つた。DNA製品は滅菌TE緩
衝液中4℃に保存した。
〔アナル オブ バイオケミストリー(Anal.Bioche
m.),114:193〜197(1981)〕の急速煮沸法で製造し
た。大量の製造の場合のみ、次にCsCl−エチジウムブロ
マイド勾配中の遠心分離を行つた。DNA製品は滅菌TE緩
衝液中4℃に保存した。
大腸菌の形質転換 ダジヤート(Dagert)ら〔遺伝子(Gene),6:23〜28
(1979)〕のCaCl2法を用いた。形質転換には一夜CaCl2
処理および短時間処理細胞の両者を用いた。
(1979)〕のCaCl2法を用いた。形質転換には一夜CaCl2
処理および短時間処理細胞の両者を用いた。
サザーンブロツト実験 ニトロセルロースに移送した(Southern 1975)DNA
を、6×SCP緩衝液(20×SCP保存液は2.0M NaCl、0.6M
Na2HPO4、および0.2M EDTA pH6.2を含有する)中、32P
標識「ニツク翻訳」プローベにハイブリダイズした。E.
coliポリメラーゼIとともに、ニツク翻訳法(Maniat
isら、前出)を用いた。Y. lipolytica DNAのSau 3 A部分消化体の製造 このDNA約15μgを、4個の各試験管にDNA1μgあた
り、0.05、0.1、0.2および0.4酵素単位の制限酵素3au3A
(New England Biolabs)により、37℃で0.5時間、購入
会社のプロトコールに従つて部分消化した。65℃に10分
間加熱して反応を停止し、ついで0.8%の製造用アガロ
ースゲルに負荷した。サイズ範囲4〜10kbのDNA(Bethe
sda Research LabsからのHind III切断lambdaサイズ標
準と比較)をゲルから収穫し、電気溶出し、DE52カラム
上で精製し(ヤング(Yang)ら:酵素学における方法
(Methods in Enzymology),68:176,1979)、エタノー
ルで沈殿させ、ついでBam HI切断、アルカリホスフアタ
ーゼ処理ベクターpBR322と結合させた。
を、6×SCP緩衝液(20×SCP保存液は2.0M NaCl、0.6M
Na2HPO4、および0.2M EDTA pH6.2を含有する)中、32P
標識「ニツク翻訳」プローベにハイブリダイズした。E.
coliポリメラーゼIとともに、ニツク翻訳法(Maniat
isら、前出)を用いた。Y. lipolytica DNAのSau 3 A部分消化体の製造 このDNA約15μgを、4個の各試験管にDNA1μgあた
り、0.05、0.1、0.2および0.4酵素単位の制限酵素3au3A
(New England Biolabs)により、37℃で0.5時間、購入
会社のプロトコールに従つて部分消化した。65℃に10分
間加熱して反応を停止し、ついで0.8%の製造用アガロ
ースゲルに負荷した。サイズ範囲4〜10kbのDNA(Bethe
sda Research LabsからのHind III切断lambdaサイズ標
準と比較)をゲルから収穫し、電気溶出し、DE52カラム
上で精製し(ヤング(Yang)ら:酵素学における方法
(Methods in Enzymology),68:176,1979)、エタノー
ルで沈殿させ、ついでBam HI切断、アルカリホスフアタ
ーゼ処理ベクターpBR322と結合させた。
ベクターpBR322内Y. lipolytica遺伝子ライブラリーの
構築 約1μgのDNAを含む結合混合物を、E. coli株MC106
1(カサダバン(Casadaban)ら:ジヤーナル オブ モ
レキユラー バイオロジー(J.Mol.Biol.),138:179〜2
07、1980)の形質転換に用い、Y. lipolytica遺伝子ラ
イブラリーの作成に用いた。形質転換混合物は10mg/ml
アンピシリン+Lアガール平板上に約1.4×104個のコロ
ニーを与えた。50個のコロニーを1個の平板上に置き、
レプリカ法で5mg/mlのテトラサイクリンに対する抵抗性
を試験した。44個(88%)は感受性を示し、大部分はBa
m HI部位にpBR322の抵抗性R遺伝子を妨害する挿入体を
含むものと考えられる。18個のランダムに選んだampRコ
ロニーからの微量プラスミド製造について、Hind IIIお
よびSal I二重消化ならびにBam HI消化を行い、制限酵
素の消化を検討した。10個のプラスミドが平均約7kbの
大きさの挿入体を持つていた。
構築 約1μgのDNAを含む結合混合物を、E. coli株MC106
1(カサダバン(Casadaban)ら:ジヤーナル オブ モ
レキユラー バイオロジー(J.Mol.Biol.),138:179〜2
07、1980)の形質転換に用い、Y. lipolytica遺伝子ラ
イブラリーの作成に用いた。形質転換混合物は10mg/ml
アンピシリン+Lアガール平板上に約1.4×104個のコロ
ニーを与えた。50個のコロニーを1個の平板上に置き、
レプリカ法で5mg/mlのテトラサイクリンに対する抵抗性
を試験した。44個(88%)は感受性を示し、大部分はBa
m HI部位にpBR322の抵抗性R遺伝子を妨害する挿入体を
含むものと考えられる。18個のランダムに選んだampRコ
ロニーからの微量プラスミド製造について、Hind IIIお
よびSal I二重消化ならびにBam HI消化を行い、制限酵
素の消化を検討した。10個のプラスミドが平均約7kbの
大きさの挿入体を持つていた。
約1.4×104の大腸菌形質転換体コロニーを含む48個の
アンピシリン平板をLB+10μg/mlアンピジリンに転写
し、試験した。レプリカをそれぞれ0.85%NaCl 5mlで洗
浄した。細胞をプールし、遠心分離してペレツト化し、
11ml LBおよび2.5mlの80%グリセロールに再懸濁した。
1のLBと10μg/mlのアンピシリンを加えたFernbachフ
ラスコ2個に、それぞれプールしたバクテリア4mlをと
つて培養した。残りのバクテリアは−70℃に保存した。
この培養はpBR322中Sau3A部分消化断片のY. lipolytic
a遺伝子ライブラリーであるプラスミドDNAの調製に用い
られた。
アンピシリン平板をLB+10μg/mlアンピジリンに転写
し、試験した。レプリカをそれぞれ0.85%NaCl 5mlで洗
浄した。細胞をプールし、遠心分離してペレツト化し、
11ml LBおよび2.5mlの80%グリセロールに再懸濁した。
1のLBと10μg/mlのアンピシリンを加えたFernbachフ
ラスコ2個に、それぞれプールしたバクテリア4mlをと
つて培養した。残りのバクテリアは−70℃に保存した。
この培養はpBR322中Sau3A部分消化断片のY. lipolytic
a遺伝子ライブラリーであるプラスミドDNAの調製に用い
られた。
大腸菌突然変異株の遺伝子ライブラリーのスクリーニン
グ 各種遺伝子マーカーのために数種の大腸菌突然変異株
を遺伝子ライブラリーで形質転換した。遺伝的相補性を
得るためには、2つの主要な因子が必須である。(1)
相当するY. lipolytica遺伝子が、このライブラリー中
のプラスミドの少なくとも1個に完全に含有されている
こと、(2)Y. lipolytica遺伝子は十分な程度、大腸
菌細胞内で機能しなければならない。ライブラリーは適
当なメジウム上での各マーカーの直接選択と同時に、ま
ずアンピシリン抵抗性の選択、ついで選択されたメジウ
ム上へのレプリカ転写によつてスクリーニングされた。
検査した各遺伝子マーカーについて、少なくとも105個
の形質転換体が検査を受けた。菌株JC355はLEU 2遺伝子
を有効にクローン化するのに用いられた。
グ 各種遺伝子マーカーのために数種の大腸菌突然変異株
を遺伝子ライブラリーで形質転換した。遺伝的相補性を
得るためには、2つの主要な因子が必須である。(1)
相当するY. lipolytica遺伝子が、このライブラリー中
のプラスミドの少なくとも1個に完全に含有されている
こと、(2)Y. lipolytica遺伝子は十分な程度、大腸
菌細胞内で機能しなければならない。ライブラリーは適
当なメジウム上での各マーカーの直接選択と同時に、ま
ずアンピシリン抵抗性の選択、ついで選択されたメジウ
ム上へのレプリカ転写によつてスクリーニングされた。
検査した各遺伝子マーカーについて、少なくとも105個
の形質転換体が検査を受けた。菌株JC355はLEU 2遺伝子
を有効にクローン化するのに用いられた。
選択メジウム上に生育した任意の大腸菌コロニーにつ
いて、さらに再形質転換試験を実施した。この試験に際
しては、選択ロジウム上に生育した菌株の培地5mlから
プラスミドを製造した。母体である大腸菌突然変異株を
形質転換するためにプラスミド微量製造法を用いた。多
くのアンピシリン抵抗性形質転換体が選択ロジウム上に
存在するが、コロニーはほとんどまたは全くないことか
ら、はじめのコロニーの所望のY. lipolytica遺伝子を
含まず、プロトロフへの突然変異のため生育したと考え
てよいように思われる。アンピシリン抵抗性コロニーの
すべてが、やはり試験した遺伝子に対する選択メジウム
上で生育するのであれば、はじめのコロニーから得られ
たプラスミドは大腸菌突然変異を相補する挿入体を含ん
でいたと結論される。pBR322に同一の挿入体が含有され
たJC355のロイシン独立性形質転換体(leu B6)は全部
で7個発見された。これらのコロニーの2個からプラス
ミド微量製造法を行うと、再形質転換試験においてアン
ピシリン抵抗性、ロイシンプロトロフ形質転換体が100
%(37/37および31/31)認められた。このプラスミドは
pLD25と命名された。
いて、さらに再形質転換試験を実施した。この試験に際
しては、選択ロジウム上に生育した菌株の培地5mlから
プラスミドを製造した。母体である大腸菌突然変異株を
形質転換するためにプラスミド微量製造法を用いた。多
くのアンピシリン抵抗性形質転換体が選択ロジウム上に
存在するが、コロニーはほとんどまたは全くないことか
ら、はじめのコロニーの所望のY. lipolytica遺伝子を
含まず、プロトロフへの突然変異のため生育したと考え
てよいように思われる。アンピシリン抵抗性コロニーの
すべてが、やはり試験した遺伝子に対する選択メジウム
上で生育するのであれば、はじめのコロニーから得られ
たプラスミドは大腸菌突然変異を相補する挿入体を含ん
でいたと結論される。pBR322に同一の挿入体が含有され
たJC355のロイシン独立性形質転換体(leu B6)は全部
で7個発見された。これらのコロニーの2個からプラス
ミド微量製造法を行うと、再形質転換試験においてアン
ピシリン抵抗性、ロイシンプロトロフ形質転換体が100
%(37/37および31/31)認められた。このプラスミドは
pLD25と命名された。
E.coli leu B6補足DNAがY.lipolytica由来のものであ
ることの証明 pLD25からの挿入DNAがY. lipolyticaに由来すること
を確認するため、サザーンブロツト実験を実施した。Y.
lipolytica全DNAの製造を新たに行つた。ただし、最
終のCsCl勾配工程は省略した。Y. lipolytica DNAのEc
oRI消化パターンからpLD25(第2図)の挿入体の内部の
3個のバンドと同一であることが明らかにされた。
ることの証明 pLD25からの挿入DNAがY. lipolyticaに由来すること
を確認するため、サザーンブロツト実験を実施した。Y.
lipolytica全DNAの製造を新たに行つた。ただし、最
終のCsCl勾配工程は省略した。Y. lipolytica DNAのEc
oRI消化パターンからpLD25(第2図)の挿入体の内部の
3個のバンドと同一であることが明らかにされた。
pLD25内挿入体のその他の特性 数種の通常の酵素を用いてpLD25の部分制限酵素地図
を作成した(第3図)。このプラスミドに含有されたY.
lipolytica DNAの総量は約6.6kbと評価された。
を作成した(第3図)。このプラスミドに含有されたY.
lipolytica DNAの総量は約6.6kbと評価された。
形質転換プロトコール 酢酸リチウム法(イトー(Ito)ら:ジヤーナル オ
ブ バクテリオロジー(J.Bacteriol.),153:163〜16
8、1983)をS.cerevisiaeの形質転換に用いた超音波処
理キヤリヤーDNA添加で改良し、この方法を用いてY. l
ipolyticaの形質転換を行つた。対数期の後期の3〜10
×107細胞/mlでの培養が、対数期(1×107細胞/ml)培
養よりも、多い形質転換体を与える。YPD培養物50mlを
ペレツト化し、ついで10mM Tris、1mM EDTA pH7.5の10m
lに再懸濁した。これを再びペレツト化し、上記緩衝液
にさらに0.1M酢酸リチウムをプラスした緩衝液2〜3容
量に再懸濁し、New Brunswickローラードラム上、28℃
で1時間おだやかに混合した。リチウム処理細胞を0.1
〜1.0個に分け、形質転換プラスミド1μgおよび超音
波処理異種キヤリヤーDNA(大きさの範囲はアガロース
ゲル上で0.5〜9kbと推定された)とともに多形質転換管
にとつた。形質転換管を28℃に30分間放置したのち、PE
G試薬(40%ポリエチレングリコール4000、0.1M LiAC、
10mM Tris、1mM EDTA pH7.5−滅菌ろ過)7容量を加え
た。さらに1時間28℃に放置したのち、熱衝撃を加えた
(通常は37℃、5分間)。最後に細胞を3,000rpmで2分
間遠心分離し、水に再懸濁し、適当なメジウム上に置
く。
ブ バクテリオロジー(J.Bacteriol.),153:163〜16
8、1983)をS.cerevisiaeの形質転換に用いた超音波処
理キヤリヤーDNA添加で改良し、この方法を用いてY. l
ipolyticaの形質転換を行つた。対数期の後期の3〜10
×107細胞/mlでの培養が、対数期(1×107細胞/ml)培
養よりも、多い形質転換体を与える。YPD培養物50mlを
ペレツト化し、ついで10mM Tris、1mM EDTA pH7.5の10m
lに再懸濁した。これを再びペレツト化し、上記緩衝液
にさらに0.1M酢酸リチウムをプラスした緩衝液2〜3容
量に再懸濁し、New Brunswickローラードラム上、28℃
で1時間おだやかに混合した。リチウム処理細胞を0.1
〜1.0個に分け、形質転換プラスミド1μgおよび超音
波処理異種キヤリヤーDNA(大きさの範囲はアガロース
ゲル上で0.5〜9kbと推定された)とともに多形質転換管
にとつた。形質転換管を28℃に30分間放置したのち、PE
G試薬(40%ポリエチレングリコール4000、0.1M LiAC、
10mM Tris、1mM EDTA pH7.5−滅菌ろ過)7容量を加え
た。さらに1時間28℃に放置したのち、熱衝撃を加えた
(通常は37℃、5分間)。最後に細胞を3,000rpmで2分
間遠心分離し、水に再懸濁し、適当なメジウム上に置
く。
pLD28の構築 pLD25およびYEp24(ATCC37051)各2μgの混合物
を、Sal I緩衝液50μl中、Sal I6.25単位とともに、37
℃で1.5時間インキユベートした。消化物を等容のフエ
ノールで1回、エーテルで3回(1.5ml)抽出した。こ
れに食塩と無水エタノールをそれぞれ濃度が0.1Mおよび
70%にするのに十分な量加えてDNAを沈殿させた。DNAを
取り出し、等容のTE緩衝液に溶解した。DNA溶液10μl
を、反応容量20μlでT4DNAリガーゼにより、14℃にお
いて1時間処理した。所望の組換えプラスミドの選択
は、以下の方法に従つてE.coli DB6507を形質転換して
実施した。すなわち、形質転換混合物を、スレオニン、
プロリンおよびロイシンを含み、ウラシルを含まない11
E. coli合成培地平板上に置いた。平板1個に100個以
上のコロニーが得られた。生成した形質転換体はロイシ
ン欠乏平板を用いたレプリカ法で検査し、各プラスミド
上のY. lipolytica LEU 2遺伝子の存在を調べた。ロ
イシンを添加しないで徐々に生長させたこれらのコロニ
ーをアンピシリン平板上で単一のコロニーに画線し、テ
トラサイクリンに対する感受性を試験した。アンピシリ
ン抵抗性、テトラサイクリン感受性の24個のコロニーを
プラスミド微量製造に用いた。プラスミドDNA製品をSal
I消化によつて期待される2個のバンド(YEp24からの
7.5kbとLEU 2からの5.3kb)およびEcoRI消化によつて期
待される5個のバンドを調べた(第6図)。2個のプラ
スミドは適当なパターンを示した。最初のプラスミドを
集め、pLD28と命名した。
を、Sal I緩衝液50μl中、Sal I6.25単位とともに、37
℃で1.5時間インキユベートした。消化物を等容のフエ
ノールで1回、エーテルで3回(1.5ml)抽出した。こ
れに食塩と無水エタノールをそれぞれ濃度が0.1Mおよび
70%にするのに十分な量加えてDNAを沈殿させた。DNAを
取り出し、等容のTE緩衝液に溶解した。DNA溶液10μl
を、反応容量20μlでT4DNAリガーゼにより、14℃にお
いて1時間処理した。所望の組換えプラスミドの選択
は、以下の方法に従つてE.coli DB6507を形質転換して
実施した。すなわち、形質転換混合物を、スレオニン、
プロリンおよびロイシンを含み、ウラシルを含まない11
E. coli合成培地平板上に置いた。平板1個に100個以
上のコロニーが得られた。生成した形質転換体はロイシ
ン欠乏平板を用いたレプリカ法で検査し、各プラスミド
上のY. lipolytica LEU 2遺伝子の存在を調べた。ロ
イシンを添加しないで徐々に生長させたこれらのコロニ
ーをアンピシリン平板上で単一のコロニーに画線し、テ
トラサイクリンに対する感受性を試験した。アンピシリ
ン抵抗性、テトラサイクリン感受性の24個のコロニーを
プラスミド微量製造に用いた。プラスミドDNA製品をSal
I消化によつて期待される2個のバンド(YEp24からの
7.5kbとLEU 2からの5.3kb)およびEcoRI消化によつて期
待される5個のバンドを調べた(第6図)。2個のプラ
スミドは適当なパターンを示した。最初のプラスミドを
集め、pLD28と命名した。
pLD25またはpLD28のいずれよりも小さいLEU 2セグメン
トを有するプラスミドpLD40の構築 約25μgのpLDを200μl中、20単位の制限酵素で処理
して、pLD25の部分EcoRI消化を行い、9、12、15、18お
よび21分後にサンプルを採取した。各時点で総容量の20
%を、33mM EDTA含有(希釈後)ゲルサンプル緩衝液に
とり、反応を停止させた。各時点をゲル上で追い、所望
のバンド(2.3kbのlambda Hind IIIサイズ標準よりもわ
ずかに遅く移動)をカミソリで切り取つた。バンドを透
析袋中で電気溶出し、ミニカラム(Schlei-Cher&Schue
ll Elutip D)を供給会社の指示に従つて用い、精製し
た。LEU2含有バンドのクローニングに使用したベクター
は、EcoRI消化、バクテリアアルカリホスフアターゼ処
理pBR322であつた。ベクターと挿入DNAをT4 DNAリガー
ゼと合し、得られた混合物をE.coli MC1061株のアンピ
シリン抵抗性への形質転換に使用した。プラスミドの微
量製造後、HcoRI制限酵素で消化して試験した。最初の3
4個の製品中、4個が所望の挿入体を含んでいた。各プ
ラスミド中での挿入体の方向性を試験するため、Hind I
IIおよびXhol I二重消化を行つた。3個がpLD40(第7
図)と同じ方向性を示した。これらのプラスミドの2個
をE. coli JC−355の形質転換に用い(MC1061中で大規
模生産後)、Y. lipolytica LEU 2遺伝子の表現を試
験した。驚くべきことに、pLD40を含む形質転換体はロ
イシンを含まないメジウム上でも生育した(pLD25また
はpLD28を含む形質転換体よりも良好)が、pLD41を含む
形質転換体はロイシンを添加しないと生育しなかつた。
この実験のバクテリア完全培地は56/2+ビタミンB1、グ
ルコース、ヒスチジン、アルギニン、メチオニン、ロイ
シンおよび20μg/mlのアンピシリンであつた。pLD40中
でのLEU 2遺伝子の転写はスチユーバー(Stuber)とブ
ジヤールド(H.Bujard)(1981、プロシーデイング ソ
サイエテイーナシヨナル アカデミー オブ サイエン
ス (Proc.Soc.Natl.Acad.Sci.),78:167〜171)によ
つて報告された反時計回りのプロモーターによつてプロ
モートされると結論された。Y. lipolytica LEU 2遺
伝子のpLD25およびpLD28内での低いバクテリア性表現
(pLD40に比べて)は、弱いバクテリアプロモーターと
して作用するY. lipolytica DNAのセグメントから生
じるものである。
トを有するプラスミドpLD40の構築 約25μgのpLDを200μl中、20単位の制限酵素で処理
して、pLD25の部分EcoRI消化を行い、9、12、15、18お
よび21分後にサンプルを採取した。各時点で総容量の20
%を、33mM EDTA含有(希釈後)ゲルサンプル緩衝液に
とり、反応を停止させた。各時点をゲル上で追い、所望
のバンド(2.3kbのlambda Hind IIIサイズ標準よりもわ
ずかに遅く移動)をカミソリで切り取つた。バンドを透
析袋中で電気溶出し、ミニカラム(Schlei-Cher&Schue
ll Elutip D)を供給会社の指示に従つて用い、精製し
た。LEU2含有バンドのクローニングに使用したベクター
は、EcoRI消化、バクテリアアルカリホスフアターゼ処
理pBR322であつた。ベクターと挿入DNAをT4 DNAリガー
ゼと合し、得られた混合物をE.coli MC1061株のアンピ
シリン抵抗性への形質転換に使用した。プラスミドの微
量製造後、HcoRI制限酵素で消化して試験した。最初の3
4個の製品中、4個が所望の挿入体を含んでいた。各プ
ラスミド中での挿入体の方向性を試験するため、Hind I
IIおよびXhol I二重消化を行つた。3個がpLD40(第7
図)と同じ方向性を示した。これらのプラスミドの2個
をE. coli JC−355の形質転換に用い(MC1061中で大規
模生産後)、Y. lipolytica LEU 2遺伝子の表現を試
験した。驚くべきことに、pLD40を含む形質転換体はロ
イシンを含まないメジウム上でも生育した(pLD25また
はpLD28を含む形質転換体よりも良好)が、pLD41を含む
形質転換体はロイシンを添加しないと生育しなかつた。
この実験のバクテリア完全培地は56/2+ビタミンB1、グ
ルコース、ヒスチジン、アルギニン、メチオニン、ロイ
シンおよび20μg/mlのアンピシリンであつた。pLD40中
でのLEU 2遺伝子の転写はスチユーバー(Stuber)とブ
ジヤールド(H.Bujard)(1981、プロシーデイング ソ
サイエテイーナシヨナル アカデミー オブ サイエン
ス (Proc.Soc.Natl.Acad.Sci.),78:167〜171)によ
つて報告された反時計回りのプロモーターによつてプロ
モートされると結論された。Y. lipolytica LEU 2遺
伝子のpLD25およびpLD28内での低いバクテリア性表現
(pLD40に比べて)は、弱いバクテリアプロモーターと
して作用するY. lipolytica DNAのセグメントから生
じるものである。
Y.lipolytica leu 2突然変異株のpLD25による形質転換 ドウジーウム(J.R.DeZeeum)によつて構築されたY.
lipolytica PC−30827株(MATA leu2-35、ura3-11)A
TCC20688をpLD25にクローン化されたLEU 2遺伝子の受容
株として用いた。生長後期での培養が、対数期初期の細
胞より高い形質転換頻度を与えることがわかつた。この
所見は、ほぼ同数の初期および後期対数期細胞を別個に
DNAで処理し、ロイシン欠乏平板に置いたときにも確認
された。Y. lipolytica DNAを独特の制限部位で切断す
るかまたは小さな切れ目(Bal II切断)を残すことによ
つて直線化プラスミドとすると、完全なpLD25またはHin
d III制限酵素で切断して直線化したプラスミドよりも
はるかに形質転換頻度が高い。この結果はOrr-Weaverら
(前出)によつて開発されたS. cerevisiaeにおける組
込み形質転換システムと類似している。形質転換に使つ
たpLD25に超音波処理E. coli DNAを添加すると、もつ
と高分子のDNAを加えたかあるいはキヤリヤーDNAを加え
なかつたときに比べて形質転換頻度は高い。細胞をDNA
やポリエチレングリコールとインキユベートしたのちの
熱衝撃の持続や温度を少し変えても、形質転換体の収率
にはわずかな影響がみられたにすぎなかつた。
lipolytica PC−30827株(MATA leu2-35、ura3-11)A
TCC20688をpLD25にクローン化されたLEU 2遺伝子の受容
株として用いた。生長後期での培養が、対数期初期の細
胞より高い形質転換頻度を与えることがわかつた。この
所見は、ほぼ同数の初期および後期対数期細胞を別個に
DNAで処理し、ロイシン欠乏平板に置いたときにも確認
された。Y. lipolytica DNAを独特の制限部位で切断す
るかまたは小さな切れ目(Bal II切断)を残すことによ
つて直線化プラスミドとすると、完全なpLD25またはHin
d III制限酵素で切断して直線化したプラスミドよりも
はるかに形質転換頻度が高い。この結果はOrr-Weaverら
(前出)によつて開発されたS. cerevisiaeにおける組
込み形質転換システムと類似している。形質転換に使つ
たpLD25に超音波処理E. coli DNAを添加すると、もつ
と高分子のDNAを加えたかあるいはキヤリヤーDNAを加え
なかつたときに比べて形質転換頻度は高い。細胞をDNA
やポリエチレングリコールとインキユベートしたのちの
熱衝撃の持続や温度を少し変えても、形質転換体の収率
にはわずかな影響がみられたにすぎなかつた。
形質転換体の安定性 Y. lipolytica ATCC20687にpLD25を有する形質転換
体(本明細書ではDL10と呼ぶ)のコロニーをYPD平板
上、1個のコロニーずつに画線し、ついでYPD平板上非
選択生育させた。生じたYPD培養平板をロイシン欠乏合
成メジウム上に転写した。約50個の完全に分離されたコ
ロニーはすべてロイシンに独立で、形質転換体は安定な
ことが明らかにされた。
体(本明細書ではDL10と呼ぶ)のコロニーをYPD平板
上、1個のコロニーずつに画線し、ついでYPD平板上非
選択生育させた。生じたYPD培養平板をロイシン欠乏合
成メジウム上に転写した。約50個の完全に分離されたコ
ロニーはすべてロイシンに独立で、形質転換体は安定な
ことが明らかにされた。
pLD25の組込みを試験するためのサザーンブロツト Y. lipolyticaの形質転換体は安定で、形質転換頻度
も受容体プラスミドDNAの直線化によつて著しく上昇す
る。これはOrr-Weaverら(前出)によりS. cerevisiae
システムに発見されたように、形質転換体は受容体DNA
の末端に相同な部位で染色体DNAにプラスミドが組込ま
れて生じたことを示している。Y. lipolytica DNAのHi
nd III消化体のサザーンブロツト実験(第4図)では、
完全または直線化プラスミドのいずれから生じた形質転
換体にもpBR322と相同の同じ2つのバンドがみられた。
1つのバンドは23kb lambdaサイズ標準より大きいとい
う所見は、染色体DNAへのプラスミドの組込みの証拠で
ある。
も受容体プラスミドDNAの直線化によつて著しく上昇す
る。これはOrr-Weaverら(前出)によりS. cerevisiae
システムに発見されたように、形質転換体は受容体DNA
の末端に相同な部位で染色体DNAにプラスミドが組込ま
れて生じたことを示している。Y. lipolytica DNAのHi
nd III消化体のサザーンブロツト実験(第4図)では、
完全または直線化プラスミドのいずれから生じた形質転
換体にもpBR322と相同の同じ2つのバンドがみられた。
1つのバンドは23kb lambdaサイズ標準より大きいとい
う所見は、染色体DNAへのプラスミドの組込みの証拠で
ある。
Y.lipolytica HIsI遺伝子のクローニング遺伝子ライブ
ラリーの構築 ベクターYEp24(Botsteinら:Gene,8:17〜24、1979)
を、pBR322について前述したと同様にBam HIで消化し、
アルカリホスフアターゼで処理した。結合反応に用いた
挿入体DNAは、前述のように、Y. lipolytica NRRLY−1
094から得られたY. lipolytica染色体DNAの完全Bam HI
消化体であつた。染色体DNA消化は、結合前に大きさに
よる分画化を行わず、フエノール抽出のみを実施した。
結合生成物を用いて、E. coliMC1061のアンピシリン抵
抗性形質転換体コロニーが計約27,000個得られた。これ
らのプールされた形質転換体コロニーの培養から得られ
たプラスミドDNAはYEp24中のY. lipolytica Bam HI断
片のライブラリーと命名した。挿入頻度は95%と評価さ
れ(19/20の形質転換体がテトラサイクリン感受性であ
つた)、平均挿入サイズは4.2kbであつた。
ラリーの構築 ベクターYEp24(Botsteinら:Gene,8:17〜24、1979)
を、pBR322について前述したと同様にBam HIで消化し、
アルカリホスフアターゼで処理した。結合反応に用いた
挿入体DNAは、前述のように、Y. lipolytica NRRLY−1
094から得られたY. lipolytica染色体DNAの完全Bam HI
消化体であつた。染色体DNA消化は、結合前に大きさに
よる分画化を行わず、フエノール抽出のみを実施した。
結合生成物を用いて、E. coliMC1061のアンピシリン抵
抗性形質転換体コロニーが計約27,000個得られた。これ
らのプールされた形質転換体コロニーの培養から得られ
たプラスミドDNAはYEp24中のY. lipolytica Bam HI断
片のライブラリーと命名した。挿入頻度は95%と評価さ
れ(19/20の形質転換体がテトラサイクリン感受性であ
つた)、平均挿入サイズは4.2kbであつた。
HISI遺伝子の単離 突然変異E.coli遺伝子を相補するY. lipolytica遺伝
子の発見を試みて、Bam HIライブラリーを多くの異なる
E. coli栄養素要求株の形質転換に用いた。E. coli
his G1突然変異株AT2535(大腸菌遺伝子貯蔵センター
(E.coli Genetic Stock Center)、Yale大学で♯4517
として得られる)の2種の形質転換体のコロニーがヒス
チジンを欠き、アンピシリンを含む合成メジウム上に単
離された。いずれのコロニーも同じプラスミドpLD21を
含み、これはベクター内に約4kbの挿入部を形成してい
た。再形質転換試験は、AT2535のアンピシリン抵抗性形
質転換体と、レプリカ法でヒスチジン独立と評価された
pLD21とで419/419陽性であつた。サザーンハイブリダイ
ゼーシヨン実験では、pLD21中のBam HI挿入体もBam HI
+EcoH RI二重消化により生じた2個の挿入体断片も、
同様にして切断したY. lipolytica染色体DNAと一緒に
移動した。
子の発見を試みて、Bam HIライブラリーを多くの異なる
E. coli栄養素要求株の形質転換に用いた。E. coli
his G1突然変異株AT2535(大腸菌遺伝子貯蔵センター
(E.coli Genetic Stock Center)、Yale大学で♯4517
として得られる)の2種の形質転換体のコロニーがヒス
チジンを欠き、アンピシリンを含む合成メジウム上に単
離された。いずれのコロニーも同じプラスミドpLD21を
含み、これはベクター内に約4kbの挿入部を形成してい
た。再形質転換試験は、AT2535のアンピシリン抵抗性形
質転換体と、レプリカ法でヒスチジン独立と評価された
pLD21とで419/419陽性であつた。サザーンハイブリダイ
ゼーシヨン実験では、pLD21中のBam HI挿入体もBam HI
+EcoH RI二重消化により生じた2個の挿入体断片も、
同様にして切断したY. lipolytica染色体DNAと一緒に
移動した。
his Gの他の対立遺伝子がpLD21によつて相補されるか
どうかを試験するために、HIS G遺伝子へのTn10挿入体
を含むE. coliNK-5526株(E.coli Genetic Stock Cent
er♯6416)をプラスミドで形質転換した。すべてのアン
ピシリン抵抗性形質転換体コロニーは、レプリカ法につ
いでヒスチジンを含まないメジウムでの遅い生育が可能
であつた。これは、ヒスチジンオペロンの下流遺伝子に
対するTn10の極性効果から期待されたとおりであつた。
ヒスチジンを欠き、アンピシリンを含まないメジウム上
での形質転換体の直接選択は不可能であつた。多分、強
い極性効果によるものと思われる。pLD21へのY. lipol
ytica DNA挿入はE. coliのhis G突然変異を相補するこ
とができ、それがE.coli内で機能できる形でY. lipoly
ticaHISI遺伝子を含むものと結論された。
どうかを試験するために、HIS G遺伝子へのTn10挿入体
を含むE. coliNK-5526株(E.coli Genetic Stock Cent
er♯6416)をプラスミドで形質転換した。すべてのアン
ピシリン抵抗性形質転換体コロニーは、レプリカ法につ
いでヒスチジンを含まないメジウムでの遅い生育が可能
であつた。これは、ヒスチジンオペロンの下流遺伝子に
対するTn10の極性効果から期待されたとおりであつた。
ヒスチジンを欠き、アンピシリンを含まないメジウム上
での形質転換体の直接選択は不可能であつた。多分、強
い極性効果によるものと思われる。pLD21へのY. lipol
ytica DNA挿入はE. coliのhis G突然変異を相補するこ
とができ、それがE.coli内で機能できる形でY. lipoly
ticaHISI遺伝子を含むものと結論された。
方向性の表現に与える影響 Y. lipolytica DNA挿入体がベクターYEp24と独立に
機能するかどうかを試験するために、Bam HI小片をpBR3
22内にサブクローン化した。両方向での挿入体をEcoRI
消化パターンによつて決定した化第5図)。pBR322のEc
oRI部位のほかさらに挿入体のEcoRI部位を持つプラスミ
ド、プラスミドpLD23は前に用いた2種のhis G E.coli
突然変異株を相補したが、他の方向性では突然変異株を
相補できなかつた。すなわち、Y. lipolyticaHISI遺伝
子のこのE. coliシステムにおける効率的な発現には、
プラスミド上での配列が必要である。pBR322のtetRプロ
モーターが必要な因子であると考えられる。
機能するかどうかを試験するために、Bam HI小片をpBR3
22内にサブクローン化した。両方向での挿入体をEcoRI
消化パターンによつて決定した化第5図)。pBR322のEc
oRI部位のほかさらに挿入体のEcoRI部位を持つプラスミ
ド、プラスミドpLD23は前に用いた2種のhis G E.coli
突然変異株を相補したが、他の方向性では突然変異株を
相補できなかつた。すなわち、Y. lipolyticaHISI遺伝
子のこのE. coliシステムにおける効率的な発現には、
プラスミド上での配列が必要である。pBR322のtetRプロ
モーターが必要な因子であると考えられる。
染色体DNAの拡大セグメントによる形質転換 LEU 2遺伝子を含むY. lipolyticaDNAの約5.3〜5.4kb
のSal I小片(プラスミド消化体からゲル精製)がY. l
ipolytica leu2突然変異受容株を高頻度で原栄養体に形
質転換できることが明らかにされた(1μgにつき1000
個以上の形質転換体)。この組込みにより、直線化プラ
スミドでの形質転換から異種の組換え法が提供される。
それは、Y. lipolyticaDNAの領域内に所望の配列を挿
入し、また所望の配列をバクテリアベクターに組込むこ
となく宿主に組込むことを可能にする。この種のシステ
ムは、S. cerevisiaeでロスシユタイン(R.Rothstei
n)(酵素学における方法(Methods in Enzymology)、
101:202、1983)により開発されている。Y. lipolytic
a染色体DNAプレパレーシヨンは、高分子のものでも短く
切断したものでも、LEU 2形質転換体を得るために使用
できる。
のSal I小片(プラスミド消化体からゲル精製)がY. l
ipolytica leu2突然変異受容株を高頻度で原栄養体に形
質転換できることが明らかにされた(1μgにつき1000
個以上の形質転換体)。この組込みにより、直線化プラ
スミドでの形質転換から異種の組換え法が提供される。
それは、Y. lipolyticaDNAの領域内に所望の配列を挿
入し、また所望の配列をバクテリアベクターに組込むこ
となく宿主に組込むことを可能にする。この種のシステ
ムは、S. cerevisiaeでロスシユタイン(R.Rothstei
n)(酵素学における方法(Methods in Enzymology)、
101:202、1983)により開発されている。Y. lipolytic
a染色体DNAプレパレーシヨンは、高分子のものでも短く
切断したものでも、LEU 2形質転換体を得るために使用
できる。
URA 3遺伝子のクローニング 第一工程はpLD40のBam HI部位でのY. lipolytica DN
AのSau3A部分消化体の遺伝子ライブラリー構築である。
これはpBR322遺伝子ライブラリーの構築について前述し
た操作による。
AのSau3A部分消化体の遺伝子ライブラリー構築である。
これはpBR322遺伝子ライブラリーの構築について前述し
た操作による。
高頻度の形質転換を達成し、またライブラリーにおけ
る分子をLEU 2部位における組込み体に集中させるため
に、ライブラリーDNAを母体ベクターpLD40のLEU 2領域
で1個所だけ切断する酵素Apa Iで消化した(未知のURA
3遺伝子自体がApa I部位を含むかどうかはわからない
ので、ライブラリーDNAのサンプルの部分Apa I消化も実
施して、そのように製造された分子では1個所だけで切
断されることを確認した。しかしながら、部分消化は必
要でなかつた。
る分子をLEU 2部位における組込み体に集中させるため
に、ライブラリーDNAを母体ベクターpLD40のLEU 2領域
で1個所だけ切断する酵素Apa Iで消化した(未知のURA
3遺伝子自体がApa I部位を含むかどうかはわからない
ので、ライブラリーDNAのサンプルの部分Apa I消化も実
施して、そのように製造された分子では1個所だけで切
断されることを確認した。しかしながら、部分消化は必
要でなかつた。
Y.lipolytica URA 3突然変異株のpLD40ライブラリーに
よる形質転換 Y. lipolyticaPC30827株(ATCC 20688)を受容体と
し、その培養液50mlを、YPD肉汁中、600nmのODが4.9に
なるまで生育された。これは細胞の圧縮容量0.9mlに相
当し、以下、前述の形質転換プロトコールに従つてpH7.
5のTE緩衝液で洗浄した。ついで細胞をTE中酢酸リチウ
ムの2倍容に懸濁し、回転ドラム上、30℃で1時間おだ
やかに混合し、ついで3本の形質転換管に分けた。各管
(15mlのコーニングポリスチレン遠沈管)に、細胞懸濁
液0.9ml、超音波処理、異種E.coliキヤリヤーDNA300μ
g(100μl)およびApa I処理ライブラリーDNA6μgを
とつた。形質転換管を30℃で30分間インキユベートし、
7mlのPEG試薬(前述)と混合し、さらに1時間インキユ
ベートした。この管をついで、37℃、10分間の熱シヨツ
クに対し、細胞を3,000rpmで2分間遠心分離した。各管
からの細胞を0.6mlの滅菌水に再懸濁し、ロイシン欠乏
合成完全メジウムの12個の平板に置いた。
よる形質転換 Y. lipolyticaPC30827株(ATCC 20688)を受容体と
し、その培養液50mlを、YPD肉汁中、600nmのODが4.9に
なるまで生育された。これは細胞の圧縮容量0.9mlに相
当し、以下、前述の形質転換プロトコールに従つてpH7.
5のTE緩衝液で洗浄した。ついで細胞をTE中酢酸リチウ
ムの2倍容に懸濁し、回転ドラム上、30℃で1時間おだ
やかに混合し、ついで3本の形質転換管に分けた。各管
(15mlのコーニングポリスチレン遠沈管)に、細胞懸濁
液0.9ml、超音波処理、異種E.coliキヤリヤーDNA300μ
g(100μl)およびApa I処理ライブラリーDNA6μgを
とつた。形質転換管を30℃で30分間インキユベートし、
7mlのPEG試薬(前述)と混合し、さらに1時間インキユ
ベートした。この管をついで、37℃、10分間の熱シヨツ
クに対し、細胞を3,000rpmで2分間遠心分離した。各管
からの細胞を0.6mlの滅菌水に再懸濁し、ロイシン欠乏
合成完全メジウムの12個の平板に置いた。
3日後に、合計約10,000個のコロニーがロイシン欠乏
メジウム上に生育した。形質転換実験に平行して行つた
陰性対照板(DNAは用いず、ほかは形質転換細胞と全く
同様に処理した)にはロイシン独立コロニーの生育は認
められなかつた。
メジウム上に生育した。形質転換実験に平行して行つた
陰性対照板(DNAは用いず、ほかは形質転換細胞と全く
同様に処理した)にはロイシン独立コロニーの生育は認
められなかつた。
36個の形質転換平板をウラシル欠乏合成メジウムの平
板に転写した。ウラシル独立の唯1個のコロニーが翌日
認められた。このコロニーをさらに下記のように処理し
て、URA 3遺伝子を回収した。第2の形質転換は、プラ
スミドを受けた細胞の第一選択(ロイシン独立)よりも
ウラシル独立の直接選択が所望の形質のスクリーニング
に先立ち可能かどうかを決定するために行われた。この
第2の実験は第1の実験に類似したが、形質転換DNA1μ
gにつき5,000〜10,000個の形質転換体が得られ、高頻
度の形質転換が達成された。この実験で、さらに3個の
URA 3形質転換体がウラシル欠乏ケジウム上での直接選
択によい、またさらに1個がロイシン選択ついでスクリ
ーニングにより得られた。
板に転写した。ウラシル独立の唯1個のコロニーが翌日
認められた。このコロニーをさらに下記のように処理し
て、URA 3遺伝子を回収した。第2の形質転換は、プラ
スミドを受けた細胞の第一選択(ロイシン独立)よりも
ウラシル独立の直接選択が所望の形質のスクリーニング
に先立ち可能かどうかを決定するために行われた。この
第2の実験は第1の実験に類似したが、形質転換DNA1μ
gにつき5,000〜10,000個の形質転換体が得られ、高頻
度の形質転換が達成された。この実験で、さらに3個の
URA 3形質転換体がウラシル欠乏ケジウム上での直接選
択によい、またさらに1個がロイシン選択ついでスクリ
ーニングにより得られた。
URA 3含有プラスミドpLD55の回収 最初のラウシル独立形質転換体のYAP培養50mlを一夜
生育させ、前述のフエノール‐クロロホルムとプロテア
ーゼ法を用いて、DNAプレパレーシヨンを収穫した。こ
の染色体DNAプレパレーシヨン約3μg(7%)を酵素A
pa Iで完全に消化し、ついでフエノール、フエノール‐
クロロホルムおよびクロロホルム‐イソアミルアルコー
ルで抽出し、エタノールで沈殿させた。このDNAを総容
量80μl中でT4 DNAリガーゼにより結合させた。この反
応液10μlを用いて、コンピテントE. coliMC1061株10
0μlをアンピシリン抵抗性に形質転換した。9個の形
質転換体からE.coliミニ‐プラスミド製造を行い、制限
解析に使用した。開裂可能なDNAを与えた7個のプレパ
レーシヨンは酵素Apa IおよびEcoRIと同一の制限パター
ンを含んでいた(第8図)。2個のプレパレーシヨンは
酵素消化が可能なほど十分精製されていなかつたと考え
れるが、他の7個と同様に移動する超コイル化プラスミ
ドを含んでいた。回収されたプラスミドはpLD40へのLEU
2挿入体の特性を示す2個のEcoRIバンドと、さらに他の
3個のバンドを含んでいた。pLD40中のURA3含有挿入体
はApa I部位を欠き、2個のEcoRI部位を含んでいた。
生育させ、前述のフエノール‐クロロホルムとプロテア
ーゼ法を用いて、DNAプレパレーシヨンを収穫した。こ
の染色体DNAプレパレーシヨン約3μg(7%)を酵素A
pa Iで完全に消化し、ついでフエノール、フエノール‐
クロロホルムおよびクロロホルム‐イソアミルアルコー
ルで抽出し、エタノールで沈殿させた。このDNAを総容
量80μl中でT4 DNAリガーゼにより結合させた。この反
応液10μlを用いて、コンピテントE. coliMC1061株10
0μlをアンピシリン抵抗性に形質転換した。9個の形
質転換体からE.coliミニ‐プラスミド製造を行い、制限
解析に使用した。開裂可能なDNAを与えた7個のプレパ
レーシヨンは酵素Apa IおよびEcoRIと同一の制限パター
ンを含んでいた(第8図)。2個のプレパレーシヨンは
酵素消化が可能なほど十分精製されていなかつたと考え
れるが、他の7個と同様に移動する超コイル化プラスミ
ドを含んでいた。回収されたプラスミドはpLD40へのLEU
2挿入体の特性を示す2個のEcoRIバンドと、さらに他の
3個のバンドを含んでいた。pLD40中のURA3含有挿入体
はApa I部位を欠き、2個のEcoRI部位を含んでいた。
このプラスミドが本当にURA3遺伝子を含むかどうかを
確認するため、再形質転換実験を行つた。ミニプレパレ
ーシヨンApa I消化体をY. lipolytica受容体の形質転
換に用いた。この形質転換混合物の一部をラウシル欠乏
メジウム上に、一部をロイシン欠乏メジウム上に置い
た。各メジウムごとに約100個の形質転換体を持つプレ
ートを他のメジウムへのレプリカプレーテイングのため
に選択した。ロイシン選択コロニーはすべてウラシル独
立であつた。驚くべきことに、ウラシル欠乏メジウム上
に選択されたコロニーはほぼその半分だけがロイシン独
立であつた。後者の結果は標的領域における形質転換DN
Aの分解および修復に関するある仮説によつて説明でき
るものと思われる(オール‐ウイーバー(Orr-Weaver)
ら:酵素学における方法(Methods in Enzymology)、1
01:228、1983におけるように)。ロイシン独立形質転換
体のすべてがウラシル独立でもあつたことから、LEU 2
領域におけるプラスミドの組込みはura 3突然変異を相
補し、pLD55と命名したプラスミドはY. lipolyticaのU
RA 3遺伝子を含むと結論できる。
確認するため、再形質転換実験を行つた。ミニプレパレ
ーシヨンApa I消化体をY. lipolytica受容体の形質転
換に用いた。この形質転換混合物の一部をラウシル欠乏
メジウム上に、一部をロイシン欠乏メジウム上に置い
た。各メジウムごとに約100個の形質転換体を持つプレ
ートを他のメジウムへのレプリカプレーテイングのため
に選択した。ロイシン選択コロニーはすべてウラシル独
立であつた。驚くべきことに、ウラシル欠乏メジウム上
に選択されたコロニーはほぼその半分だけがロイシン独
立であつた。後者の結果は標的領域における形質転換DN
Aの分解および修復に関するある仮説によつて説明でき
るものと思われる(オール‐ウイーバー(Orr-Weaver)
ら:酵素学における方法(Methods in Enzymology)、1
01:228、1983におけるように)。ロイシン独立形質転換
体のすべてがウラシル独立でもあつたことから、LEU 2
領域におけるプラスミドの組込みはura 3突然変異を相
補し、pLD55と命名したプラスミドはY. lipolyticaのU
RA 3遺伝子を含むと結論できる。
シヤトリングの実証 Y. lipolyticaのpLD25による形質転換体(ATCC 2068
7)から、前述のフエノール‐クロロホルム/プロテア
ーゼ法によるが、以後の塩化セシウム勾配の適用は行わ
ないで、DNAを製造した。
7)から、前述のフエノール‐クロロホルム/プロテア
ーゼ法によるが、以後の塩化セシウム勾配の適用は行わ
ないで、DNAを製造した。
このようにして単離された数種の微生物のDNAを酵素K
pn I(形質転換に用いたと同じ酵素)で消化し、フエノ
ールで抽出し、Schleicher&Schuell Elutip-Dミニカラ
ムで精製し(製造会社の指示に従い)、ついでT4DNAリ
ガーゼを用いて結合させた。両メジウム(1ml中DNA50μ
g以上)で、低濃度(10μg/ml以下)での結合がそれに
続くバクテリアの形質転換を成功させた。結合混合物を
前述のようにしてE. coli MC1061株のアンピシリン抵
抗性への形質転換に用いた。10個以上のE. coli形質転
換体が得られ、ミニプラスミドの製造を実施した。これ
らの大部分は制限パターンがpLD25と同一のプラスミド
を含有していた。pLD25のKpn I部位に異なるDNA小片が
挿入されたものがわずかにあつた。これらの異常小片
は、結合の間に直線化ベクターに挿入されたY. lipoly
tica DNAの異なるKpn Iフラグメントと考えられた。
pn I(形質転換に用いたと同じ酵素)で消化し、フエノ
ールで抽出し、Schleicher&Schuell Elutip-Dミニカラ
ムで精製し(製造会社の指示に従い)、ついでT4DNAリ
ガーゼを用いて結合させた。両メジウム(1ml中DNA50μ
g以上)で、低濃度(10μg/ml以下)での結合がそれに
続くバクテリアの形質転換を成功させた。結合混合物を
前述のようにしてE. coli MC1061株のアンピシリン抵
抗性への形質転換に用いた。10個以上のE. coli形質転
換体が得られ、ミニプラスミドの製造を実施した。これ
らの大部分は制限パターンがpLD25と同一のプラスミド
を含有していた。pLD25のKpn I部位に異なるDNA小片が
挿入されたものがわずかにあつた。これらの異常小片
は、結合の間に直線化ベクターに挿入されたY. lipoly
tica DNAの異なるKpn Iフラグメントと考えられた。
第2の実験はプラスミドpLD28に関するもので、Y. l
ipolyticaとS. cerevisiaeの間の遺伝機能的な差を示
すものである。Y. lipolytica ATCC20688株をBgl II切
断pLD28で形質転換するとDL11株が生成し、これはロイ
シン欠乏合成メジウム上で選択された。ウラシル欠乏合
成メジウムに移すと生育はみられず(酵素定量試験で
は、Y. lipolytica URA 3遺伝子はS. cerevisiae U
RA 3遺伝子と同じ酵素をコードするから)、S. cerevi
siae遺伝子は相当するY. lipolytica突然変異を相補し
なかつたと考えられる。回収されるプラスミドが小さい
Bgl II断片を欠くので酵素Bgl IIを用いたほかは前述の
とおり処理して、プラスミドをY. lipolyticaから回収
した。Y. lipolytica LEU 2遺伝子が、Botsteinの研
究室で構築され、プラスミドの宿主として広く用いられ
ている(たとえばグアレンテ(Guarente)およびプタシ
ユネ(Ptashne)、1981、プロシーデイング ナシヨナ
ル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.S
ci.)USA、78:2199)S. cerevisiaeでも機能できるか
どうかを試験するため、DB745株(leu2-3、112 ura3-5
2 adel-100)(類似の株はATCC44773およびATCC44774
として利用できる)をpLD28で形質転換し、ウラシル欠
乏メジウム上で選択した。S. cerevisiae形質転換体を
ロイシン欠乏メジウムに移した場合、ロイシンを添加し
なくても徐々に生育することがわかつた。leu 2をわず
かに相補する能力に基づいて、S. cerevisiae中のpLD2
8を直接選択することも可能であるが、形質転換体は24
〜48時間後にはウラシル欠乏板上よりもロイシン欠乏平
板上に多く生じ、わずかに低い形質転換頻度を示した。
すなわち、Y. lipolytica LEU 2遺伝子は、S.cerevisi
ae中のこのマルチコピープラスミド上にある場合も、わ
ずかではあるが機能できる。
ipolyticaとS. cerevisiaeの間の遺伝機能的な差を示
すものである。Y. lipolytica ATCC20688株をBgl II切
断pLD28で形質転換するとDL11株が生成し、これはロイ
シン欠乏合成メジウム上で選択された。ウラシル欠乏合
成メジウムに移すと生育はみられず(酵素定量試験で
は、Y. lipolytica URA 3遺伝子はS. cerevisiae U
RA 3遺伝子と同じ酵素をコードするから)、S. cerevi
siae遺伝子は相当するY. lipolytica突然変異を相補し
なかつたと考えられる。回収されるプラスミドが小さい
Bgl II断片を欠くので酵素Bgl IIを用いたほかは前述の
とおり処理して、プラスミドをY. lipolyticaから回収
した。Y. lipolytica LEU 2遺伝子が、Botsteinの研
究室で構築され、プラスミドの宿主として広く用いられ
ている(たとえばグアレンテ(Guarente)およびプタシ
ユネ(Ptashne)、1981、プロシーデイング ナシヨナ
ル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.S
ci.)USA、78:2199)S. cerevisiaeでも機能できるか
どうかを試験するため、DB745株(leu2-3、112 ura3-5
2 adel-100)(類似の株はATCC44773およびATCC44774
として利用できる)をpLD28で形質転換し、ウラシル欠
乏メジウム上で選択した。S. cerevisiae形質転換体を
ロイシン欠乏メジウムに移した場合、ロイシンを添加し
なくても徐々に生育することがわかつた。leu 2をわず
かに相補する能力に基づいて、S. cerevisiae中のpLD2
8を直接選択することも可能であるが、形質転換体は24
〜48時間後にはウラシル欠乏板上よりもロイシン欠乏平
板上に多く生じ、わずかに低い形質転換頻度を示した。
すなわち、Y. lipolytica LEU 2遺伝子は、S.cerevisi
ae中のこのマルチコピープラスミド上にある場合も、わ
ずかではあるが機能できる。
Y.lipolytica遺伝子を、Y.lipolytica内で機能するそ
の遺伝子を探すことによりライブラリーから得る上述の
方法の一般性は、Y.lipolyticaプロテアーゼ遺伝子およ
びY.lipolyticaアデニン遺伝子の形質転換成功例からも
さらに明らかである。
の遺伝子を探すことによりライブラリーから得る上述の
方法の一般性は、Y.lipolyticaプロテアーゼ遺伝子およ
びY.lipolyticaアデニン遺伝子の形質転換成功例からも
さらに明らかである。
前述のpLD40に基づくライブラリーと本発明のシヤト
ルシステムを用いて、Y.lipolyticaプロテアーゼ遺伝子
(XPR2)のクローニングに成功した。使用した方法は、
URA3のクローニングについて前述した方法とほぼ同じで
ある。XPR2は分泌されるアルカリプロテアーゼの構造遺
伝子である(シムス(sims)およびオグリジアク(Ogry
dziak):ジヤーナル オブ バクテリオロジー(J.Bac
teriol.),145:404、1981)。遺伝的マーカーleu2、ade
lおよびxpr2を含むY.lipolyticaの受容株を標準遺伝子
技術によつて構築した(オグリジアク(Ogrydziak)
ら:モレキュラー ジエネ ジエネテイクス(Mcl.Gen.
Genetics)、163:229、1978)。leu2突然変異株につい
ては本明細書に述べた。各種のxpr2対立遺伝子およびad
el対立遺伝子はOgrydziakによつて寄託されたATCC46026
〜46028号および46067〜46070から利用できる(Simsお
よびOgrydziak、前出参照)。
ルシステムを用いて、Y.lipolyticaプロテアーゼ遺伝子
(XPR2)のクローニングに成功した。使用した方法は、
URA3のクローニングについて前述した方法とほぼ同じで
ある。XPR2は分泌されるアルカリプロテアーゼの構造遺
伝子である(シムス(sims)およびオグリジアク(Ogry
dziak):ジヤーナル オブ バクテリオロジー(J.Bac
teriol.),145:404、1981)。遺伝的マーカーleu2、ade
lおよびxpr2を含むY.lipolyticaの受容株を標準遺伝子
技術によつて構築した(オグリジアク(Ogrydziak)
ら:モレキュラー ジエネ ジエネテイクス(Mcl.Gen.
Genetics)、163:229、1978)。leu2突然変異株につい
ては本明細書に述べた。各種のxpr2対立遺伝子およびad
el対立遺伝子はOgrydziakによつて寄託されたATCC46026
〜46028号および46067〜46070から利用できる(Simsお
よびOgrydziak、前出参照)。
パーカー(R.Parker)らのエチジウムブロマイド部分
消化法(プロシーデイング ナシヨナル アカデミー
オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、74:85
1、1977)に従い、酵素Bgl IIを用いてライブラリーを
処理した。Bgl II酵素の適当量を決定するため、エチジ
ウムブロマイドおよび使用するDNAを、エチジウムブロ
マイドは濃度範囲0.005から1μg/μlとし、1管中に
は酵素4単位を含む10μlをライブラリーDNA約1μg
と使用した。インキユベーシヨン時間は37℃で1時間と
した。約0.5μg/μlのエチジウムブロマイドを含む管
で、ライブラリー中のプラスミドの直線化が最大とな
り、分子あたり2個以上の切断が行われたことを示す小
さな断片の産生もなかつた。各成分をこの割合でスケー
ルアツプして形質転換のためのライブラリーDNAを製造
した。ライブラリーDNAのこの処理により、標的組込み
部位(LEU 2領域)および所望の未知遺伝子(XPR 2)の
両者が、直線化に用いられる酵素(Bgl II)に対する部
位をもつていたならば生じるであろう問題が回避され
る。このように処理したDNAから得られる形質転換体
は、ゲノムのLEU 2またはXPR 2いずれの領域にも組込ま
れることになろう。前述したと同じ形質転換法を用い、
ロイシン欠乏合成メジウム上に80,000個以上のコロニー
が得られた。これらをスキムミルクインデイケーターに
平板にレプリカ法で転写した(オグリジアク(D.Ogrydz
iak)ら:ジエネテイクス(Genetics)、87:621,197
7)。プロテアーゼ陽性形質転換体が、スキムミルク平
板への透明ゾーンの形成により確認された。
消化法(プロシーデイング ナシヨナル アカデミー
オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.)USA、74:85
1、1977)に従い、酵素Bgl IIを用いてライブラリーを
処理した。Bgl II酵素の適当量を決定するため、エチジ
ウムブロマイドおよび使用するDNAを、エチジウムブロ
マイドは濃度範囲0.005から1μg/μlとし、1管中に
は酵素4単位を含む10μlをライブラリーDNA約1μg
と使用した。インキユベーシヨン時間は37℃で1時間と
した。約0.5μg/μlのエチジウムブロマイドを含む管
で、ライブラリー中のプラスミドの直線化が最大とな
り、分子あたり2個以上の切断が行われたことを示す小
さな断片の産生もなかつた。各成分をこの割合でスケー
ルアツプして形質転換のためのライブラリーDNAを製造
した。ライブラリーDNAのこの処理により、標的組込み
部位(LEU 2領域)および所望の未知遺伝子(XPR 2)の
両者が、直線化に用いられる酵素(Bgl II)に対する部
位をもつていたならば生じるであろう問題が回避され
る。このように処理したDNAから得られる形質転換体
は、ゲノムのLEU 2またはXPR 2いずれの領域にも組込ま
れることになろう。前述したと同じ形質転換法を用い、
ロイシン欠乏合成メジウム上に80,000個以上のコロニー
が得られた。これらをスキムミルクインデイケーターに
平板にレプリカ法で転写した(オグリジアク(D.Ogrydz
iak)ら:ジエネテイクス(Genetics)、87:621,197
7)。プロテアーゼ陽性形質転換体が、スキムミルク平
板への透明ゾーンの形成により確認された。
さらに、Y. lipolyticaのアデニン遺伝子が相補性に
よつてクローニングされた。二重突然変異受容株(leu
2 adel)を上述のように形質転換し、ロイシン独立コロ
ニーをADE 1を選択するためのメジウムに転写培養し
た。ADE1含有プラスミドが形質転換体から回収され、再
形質転換によりそれが確認された。
よつてクローニングされた。二重突然変異受容株(leu
2 adel)を上述のように形質転換し、ロイシン独立コロ
ニーをADE 1を選択するためのメジウムに転写培養し
た。ADE1含有プラスミドが形質転換体から回収され、再
形質転換によりそれが確認された。
第1図は、粒子構造を示す写真であつてY. lipolytica
遺伝子のSau3A部分消化した断片をpBR322に結合させた
遺伝子ライブラリーのアガロースゲル電気泳動図(LI
B)であり、第2図は、粒子構造を示す写真であつて、E
coRIで消化したY. lipolyticaバルクDNAと放射性pLD25
でプローブとしたpLD25によるサザーンハイブリダイゼ
ーシヨンを行い、その電気泳動分画であり、第3図はpL
D25の制限酵素地図であり、第4図は、粒子構造を示す
写真であつて、Hind IIIで消化したY. lipolyticaバル
クDNAと放射性pBR322プローブとのサザーンハイブリダ
イゼーシヨンを行い、その電気泳動分画であり、第5図
は、粒子構造を示す写真であつて、pLD23およびpLD24の
制限消化体の電気泳動分画であり、第6図はpLD28の制
限酵素地図であり、第7図はpLD40の制限酵素地図であ
り、第8図は粒子構造を示す写真であつて、pLD55の制
限消化体の電気泳動分画をpLD40の場合と比較して示し
た図である。
遺伝子のSau3A部分消化した断片をpBR322に結合させた
遺伝子ライブラリーのアガロースゲル電気泳動図(LI
B)であり、第2図は、粒子構造を示す写真であつて、E
coRIで消化したY. lipolyticaバルクDNAと放射性pLD25
でプローブとしたpLD25によるサザーンハイブリダイゼ
ーシヨンを行い、その電気泳動分画であり、第3図はpL
D25の制限酵素地図であり、第4図は、粒子構造を示す
写真であつて、Hind IIIで消化したY. lipolyticaバル
クDNAと放射性pBR322プローブとのサザーンハイブリダ
イゼーシヨンを行い、その電気泳動分画であり、第5図
は、粒子構造を示す写真であつて、pLD23およびpLD24の
制限消化体の電気泳動分画であり、第6図はpLD28の制
限酵素地図であり、第7図はpLD40の制限酵素地図であ
り、第8図は粒子構造を示す写真であつて、pLD55の制
限消化体の電気泳動分画をpLD40の場合と比較して示し
た図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/09 C12R 1:19) (C12N 1/16 C12R 1:645) (C12N 1/20 C12R 1:19) (72)発明者 ジヨン ロバート デジーウ アメリカ合衆国コネチカツト州ストニン グトン,ボツクス 69‐ジエイ,アール エフデイー 1 (56)参考文献 Nature,290〔5802〕(1981) P.140−142 Proc.Natl.A cad,Sci,USA,75 〔4〕(1978)P.1929−1933 Pr oc,Natl.Acal,Sci,S UA 74[2](1977)P.487−491, CURRENT GENETLCS, 6(1982),P.123−128
Claims (19)
- 【請求項1】ヤロウイア・リポリテイカ(Yarrowia lip
olytica)の組込み形質転換方法であって、ヤロウイア
・リポリテイカの染色体DNAに対して組込み形質転換を
達成するのに十分な相同の領域を有し、かつヤロウイア
・リポリテイカ内で検出可能な遺伝的マーカーを含有す
るDNAをヤロウイア・リポリテイカに導入することから
なり、上記DNAは、細菌内で機能する細菌生レプリコ
ン、前記細菌内で検出可能であり、かつ機能する選択可
能な遺伝的マーカー、前記ヤロウイア・リポリテイカの
染色体DNAに対して相同の領域、および前記ヤロウイア
・リポリテイカ内で検出可能な前記遺伝的マーカーから
なるDNAに由来することを特徴とする方法。 - 【請求項2】DNAはヤロウイア・リポリテイカDNAの断片
を含むベクターである特許請求の範囲第1項記載の方
法。 - 【請求項3】ベクターは自律的複製を行う大腸菌(Esch
erichia coli)プラスミドであってヤロウイア・リポリ
テイカDNA断片を含み、その断片はヤロウイア・リポリ
テイカ内で生理的に機能する遺伝子を有する特許請求の
範囲第2項記載の方法。 - 【請求項4】ヤロウイア・リポリテイカはATCC20688の
微生物学的特性を有するヤロウイア・リポリテイカであ
る特許請求の範囲第1項記載の方法。 - 【請求項5】ヤロウイア・リポリテイカの染色体DNAに
対して組込み形質転換を達成するのに十分な相同の領域
を有し、かつヤロウイア・リポリテイカ内で検出可能な
遺伝的マーカーを含有するDNAからなる、大腸菌内で自
律的複製を行うベクター。 - 【請求項6】大腸菌プラスミドのDNAとヤロウイア・リ
ポリテイカの染色体DNAからなり、その染色体DNAはヤロ
ウイア・リポリテイカ内で検出できる選択可能な遺伝的
マーカーを有する、自律的複製を行う大腸菌ベクターで
ある特許請求の範囲第5項のベクター。 - 【請求項7】ヤロウイア・リポリテイカDNAは、大腸菌
およびヤロウイア・リポリテイカ内のいずれでも機能す
る遺伝子を含むヤロウイア・リポリテイカDNA断片から
なる特許請求の範囲第6項記載のベクター。 - 【請求項8】DNAはヤロウイア・リポリテイカのLEU2、H
IS1またはURA3遺伝子を含む特許請求の範囲第6項記載
のベクター。 - 【請求項9】大腸菌プラスミドは大腸菌複製プラスミド
pBR322からなる特許請求の範囲第7項記載のベクター。 - 【請求項10】第3図の制限酵素切断地図によって特徴
づけられるプラスミドpLD25である特許請求の範囲第5
項のベクター。 - 【請求項11】第6図の制限酵素切断地図によって特徴
づけられるプラスミドpLD28である特許請求の範囲第5
項のベクター。 - 【請求項12】第8図の制限酵素パターンによって特徴
づけられるプラスミドpLD55である特許請求の範囲第5
項のベクター。 - 【請求項13】第7図の制限酵素切断地図によって特徴
づけられるプラスミドpLD40である特許請求の範囲第5
項のベクター。 - 【請求項14】ヤロウイア・リポリテイカの染色体DNA
に対して組込み形質転換を達成するのに十分な相同の領
域を有し、かつヤロウイア・リポリテイカ内で検出可能
な遺伝的マーカーを含有するDNAを含む、大腸菌内で自
律的複製を行うベクターを、ヤロウイア・リポリテイカ
および大腸菌からなる群から選ばれる宿主中に包含する
形質転換体。 - 【請求項15】寄託受付番号ATCC20688のヤロウイア・
リポリテイカ内に特許請求の範囲第10項記載のベクタ
ー、pLD25を含み、ATCC20687の微生物学的特性を有する
形質転換体である特許請求の範囲第14項の形質転換体。 - 【請求項16】大腸菌 JC−355内に特許請求の範囲第1
0項記載のベクター、pLD25を含み、ATCC39464の微生物
学的特性を有する形質転換体である特許請求の範囲第14
項記載の形質転換体。 - 【請求項17】大腸菌内に特許請求の範囲第7項記載の
ベクターを含む形質転換体である特許請求の範囲第14項
記載の形質転換体。 - 【請求項18】ヤロウイア・リポリテイカ内に特許請求
の範囲第12項記載のベクター、pLD55を含み、ATCC20718
の微生物学的特性を有する形質転換体である特許請求の
範囲第14項の形質転換体。 - 【請求項19】宿主がATCC20688の微生物学的特性を有
するヤロウイア・リポリテイカである特許請求の範囲第
14項の形質転換体。
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