JP2558890B2 - 等速自在継手 - Google Patents

等速自在継手

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、主として前輪駆動式の自動車に組込まれ
るスライド式の等速自在継手に関するものである。
〔従来の技術〕
この種、従来の継手として、例えば第10図に示すによ
うに、外輪31の内面に軸方向の３本の円筒形トラック溝
32を形成し、外輪31の内側に挿入したトリポード部材33
に半径方向の３本の脚軸34を突設し、各脚軸34の外側に
球面ローラ35を回転自在に、かつ軸方向にスライド自在
に嵌合し、その球面ローラ35を上記トラック溝32の両側
のローラ案内面36に係合させたものが知られている。
ところで、上記トリポード型等速自在継手において
は、外輪31とトリポード部材33とが作動角をとると、球
面ローラ35がローラ案内面36に対して傾斜するため、球
面ローラ35を純粋にころがり運転させることができず、
球面ローラ35とローラ案内面36の接触部において滑りが
生じる。
このため、球面ローラ35とローラ案内面36の相互間に
おけるスライド抵抗が大きく、上記滑りが軸方向のスラ
ストを誘起し、振動を発生させる問題がある。
上記の問題点を解決するため、特開昭59−40016号公
報に記載された等速自在継手においては、トリポード部
材に突設した脚軸の外側にガイドブロックを首振り自在
に、かつ脚軸の軸方向にスライド自在に支持し、そのガ
イドブロックの外周上に形成された転走面に沿って転動
体を転動自在に保持し、ガイドブロックの側面に保持さ
れた複数の転動体を外輪トラック溝の側面に形成された
軸方向の転走面に沿って転動させるようにしている。
そして、その実施例としてガイドブロックに保持され
た転動体をガイドブロックの外周に沿って循環させるよ
うにしたものと、ガイドブロックの側面に形成した直線
状の転走面に沿って直線状に転走させるものとが記載さ
れている。
上記等速自在継手においては、ガイドブロックの側部
に保持された転動体がトラック溝の側面の転走面に案内
されるため、上記ガイドブロックを常に一定の姿勢に保
持することができる。
このため、等速自在継手が作動角をとるトルクの伝達
時、ガイドブロックは姿勢を変えることなくトラック溝
の長さ方向に平行移動することになり、その移動時に転
動体が転がり運動するため、スライド抵抗が小さい特徴
を有する。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、ガイドブロックの外周に沿って転動体を循
環させる形式の等速自在継手においては、ガイドブロッ
クの両側部に保持されたボールのそれぞれが、トラック
溝の両側の一対の転走面に同時に接触しているとボール
を循環させることができないため、一対の転走面の一方
とボールとの間に隙間を設ける必要があり、その隙間の
ため、外輪とトリポード部材の相互間にガタを生じ、回
転方向の切り換わり時に衝突音が発声し、不快感を与え
るおそれがある。
一方、ガイドブロックの側面に形成した直線状の転走
面に沿って転動体を移動させる形式の等速自在継手にお
いては、トラック溝に沿ってガイドブロックが移動する
とき、直線状転走面の一端部に転動体が片寄って互いに
接触するため、ガイドブロックに制動力が作用し、外輪
とトリポード部材を相対的にスムーズにスライドさせる
ことができない不都合がある。
この発明は、上記従来のボール循環タイプの等速自在
継手が有するスライド抵抗が小さいという特徴を生かし
ながら、外輪とトリポード部材の相互間におけるガタを
小さくし得るようにした等速自在継手を提供することを
技術的課題としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題を解決するため、この発明においては、外
輪の内面に軸方向の３本のトラック溝を設け、該トラッ
ク溝の側面には外輪の軸方向に延びるボールの案内用軌
道溝を設け、外輪の内側に挿入したトリポード部材の外
周に３本の脚軸を設け、その脚軸を中心に首振り自在
に、かつ脚軸の軸方向にスライド自在にガイドブロック
を各脚軸に支持し、該ガイドブロックを上記トラック溝
に収容し、このガイドブロックの両側面のそれぞれに前
記外輪のボール案内用軌道溝に対する直線軌道路を設
け、各直線軌道路を含んでボールが独立して循環できる
ボール循環路を形成した構成を採用している。
〔作用〕
上記のように構成すれば、トラック溝の側面に設けた
軌道溝とガイドブロックの側面に形成された直線軌道路
間の複数のボールによってガイドブロックは常に一定の
姿勢に保持される。このため、等速自在継手が作動角を
とるトルクの伝達時、上記ガイドブロックは姿勢を一定
としてトラック溝の長さ方向に平行移動し、その移動時
に軌道溝と直線軌道路間のボールが転がり運動してボー
ル循環路に沿って循環し、ガイドブロックを滑らかに移
動させることができる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を第１図乃至第９図に基づい
て説明する。
第１図乃至第３図に示すように、外輪１は閉塞端を有
し、その閉塞端に第１軸２が設けられている。また外輪
１の内面には軸方向の３本のトラック溝３が等間隔に形
成されている。
外輪１の内側に挿入されたトリポード部材４は第２軸
５の外側に嵌合され、その嵌合面間に形成したセレーシ
ョン６によって第２軸５と共に回転し、止め輪７によっ
て軸方向に移動するのが防止される。
トリポード部材４は、３本の脚軸８を有し、その脚軸
８の外側に球面ローラ９が軸方向に移動自在に、かつ回
転自在に取付けられている。
球面ローラ９にはガイドブロック11が支持され、その
ガイドブロック11に形成した球面状内面12は球面ローラ
９に設けた球面状外面13に接触案内される。
ガイドブロック11の両側面14は平面とされ、その両側
面14のそれぞれに第２軸５の軸方向に延びる溝状の直線
軌道路17が設けられ、各直線軌道路17がボール循環路15
の一部を形成している。
ボール循環路15は、第４図に示すように、上記直線軌
道路17と、これに平行する直線状の戻り軌道路18の両端
を弧状の反転路19で接続した長円状をなしている。
直線軌道路17と戻り軌道路18とは、第１図および第２
図に示すように、脚軸８の半径方向に段差があり、その
高段側の直線軌道路17に沿って転動するボール16はトラ
ック溝３の側面に形成した外輪軸方向に延びる軌道溝20
に沿って転動自在とされている。
一方、戻り軌道路18に沿って転動するボール16は、ト
ラック溝３の側面内径側から内向きに延びる傾斜面21に
よって上記戻り軌道路18から抜け出すのが防止される。
第５図に示すように、上記戻り軌道路18の底面と傾斜
面21間の間隔ｌはボール16の外径ｄより大きく、戻り軌
道路18に沿って転動するボール16に負荷がかからないよ
うにされている。
実施例で示す等速自在継手は上記の構造から成り、第
６図は上記等速自在継手が作動角をとってトルクを伝達
する状態を示す。
同図で示すように、第１軸２と第２軸５が相対的に傾
斜して継手が作動角をとると、脚軸８がトラック溝３の
長さ方向に対して傾斜する。
また、脚軸８の軸線（イ）と第２軸５の軸線（ロ）の
交点Ａは、第１軸２の軸線（ハ）と第２軸５の軸線
（ロ）の交点Ｏに対して下方に距離δだけ変位するた
め、上記脚軸８は軸方向に移動する。
ここで、ガイドブロック11は、その側面に形成された
直線状軌道路17と外輪１の軌道溝20間に嵌るボール16に
よって回り止めされ、そのガイドブロック11と球面ロー
ラ９とは球面で接触しているため、球面ローラ９は脚軸
８の軸方向に移動しない。
このため、脚軸８が傾斜すると、その脚軸８と共に球
面ローラ９は傾斜して球面ローラ９とガイドブロック11
の接触面間においてすべりが生じ、また、脚軸８が軸方
向に移動すると、その脚軸８と球面ローラ９との間です
べりが生じ、第６図に示す状態とされる。
したがって、継手が作動角をとってトルクを伝達する
場合、脚軸８および球面ローラ９はガイドブロック11の
内側において首振り運動を行ない、一方、ガイドブロッ
ク11は姿勢を変えることなくトラック溝３の長さ方向に
平行移動する。
ガイドブロック11の移動によってボール16はころがり
運動し、ボール循環路15に沿って循環する。このため、
外輪１とトリポード部材４の相互間におけるスライド抵
抗はきわめて小さく、第１軸２と第２軸５との間で円滑
にトルクを伝達することができる。
なお、第６図に示すように、第１軸２に対して第２軸
５が下方向に傾斜した場合、第２図に示す３本の脚軸８
のうち、下側２本の脚軸８は少し回転し、その回転によ
って、脚軸８と球面ローラ９の相互間または球面ローラ
９とガイドブロック11の相互間において接触回転する。
そこで、第７図に示すように、脚軸８と球面ローラ９
との間にニードル10を組込んでおけば、脚軸８の回転時
における回転抵抗を小さくすることができる。
第１図乃至第３図に示す実施例においては、脚軸８の
外側に嵌合した球面ローラ９によってガイドブロック11
を支持したが、ガイドブロック11の支持はこれに限定さ
れない。
例えば、第８図に示すように、脚軸８に球面状外面1
3′を設け、ガイドブロック11には円筒状内面12′を形
成して円筒状内面12′と球面状外面13′を接触案内させ
るようにしてもよい。この場合、第９図に示すように、
接触案内面間にニードル10′を組込むと、脚軸８とガイ
ドブロック11の相互間におけるすべり抵抗を小さくする
ことができる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明においては、ガイドブロック
の両側面に形成された直線軌道路とトラック溝の側面に
設けられた軌道溝間のボールによってガイドブロックは
常に一定の姿勢に保持される。このため、等速自在継手
が作動角をとってトルクを伝達するとき、ガイドブロッ
クは姿勢を変えることなく外輪の軸方向に平行移動し、
その移動によってボールは純粋に転がり運動しながらボ
ール循環路に沿って循環することにより、外輪とトリポ
ード部材の相互間におけるスライド抵抗がきわめて小さ
く、誘起スラストおよび振動を大幅に軽減させることが
できる。
また、ガイドブロックの両側面それぞれに設けられた
直線軌道路内ボールを独立したボール循環路に沿って転
動自在としたことにより、各直線軌道路内のボールがト
ラック溝の両側の軌道溝に接触する状態であってもガイ
ドブロックの軸方向のスライド時に各直線軌道路内のボ
ールをボール循環路に沿って確実に転動させることがで
き、軌道溝とボールの相互間にガタのない設計とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第１図はこの発明に係る等速自在継手の一実施例を示す
横断平面図、第２図は同上の縦断側面図、第３図は同上
の縦断正面図、第４図は第１図のIV−IV線に沿った断面
図、第５図は同上のボール循環路を示す断面図、第６図
は同上の作動状態を示す断面図、第７図は同上球面ロー
ラの他の支持例を示す断面図、第８図および第９図は同
上のガイドブロックの他の支持例を示す断面図、第10図
は従来の等速自在継手を示す断面図である。 １……外輪、３……トラック溝、４……トリポード部
材、 11……ガイドブロック、15……ボール循環路、16……ボ
ール、 17……直線軌道路、20……軌道溝。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】外輪の内面に軸方向の３本のトラック溝を
    設け、該トラック溝の側面には外輪の軸方向に延びるボ
    ールの案内用軌道溝を設け、外輪の内側に挿入したトリ
    ポード部材の外周に３本の脚軸を設け、その脚軸を中心
    に首振り自在に、かつ脚軸の軸方向にスライド自在にガ
    イドブロックを各脚軸に支持し、該ガイドブロックを上
    記トラック溝に収容し、このガイドブロックの両側面の
    それぞれに前記外輪のボール案内用軌道溝に対する直線
    軌道路を設け、各直線軌道路を含んでボールが独立して
    循環できるボール循環路を形成した等速自在継手。
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