JP3905943B2 - トリポード型等速自在継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、前輪駆動式自動車等に適用されるトリポード型の等速自在継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
前輪駆動の自動車の駆動軸の回転動力を前輪に等速で伝達する等速自在継手として、図8(A)及び図8(B)に示すようなトリポード型のものがある。これは外輪1の内周面の外輪軸方向に3本の円筒形トラック溝2を形成し、外輪1内に挿入したトリポード部材4の半径方向に突設した3本の脚軸11の円筒状の外周面に転動体12を介して回転可能に嵌挿したローラ13をトラック溝2に嵌挿して構成される。各ローラ13は、対応するトラック溝2の外輪円周方向で向かい合ったローラ案内面3に係合した状態でトラック溝2に収容され、脚軸11を中心に回転しながら外輪軸方向に移動可能である。
【0003】
図9に示すように、外輪1とトリポード部材4が作動角θをとる状態で回転力伝達を行う場合、各ローラ13とトラック溝2のローラ案内面3とは図10に示すように互いに斜交する関係となる。この場合、ローラ13は図9の矢印aで示す方向に転がり移動しようとするのに対し、トラック溝2は外輪軸方向に平行な円筒形であるため、ローラはトラック溝2に拘束されながら移動することになる。その結果、トラック溝2のローラ案内面3とローラ13の相互間に滑りが生じて発熱し、更に、この滑りが軸方向に誘起スラストを発生させる。このような誘起スラストは、車体の振動や騒音の発生原因となるため、できるだけ低減させることが望まれる。
【0004】
上記誘起スラストを低減させたトリポード型等速自在継手として、ローラを内リングと外リングの組合せで二階て構造にしたものが知られている(特公平3−1529号公報)。この継手は、例えば図11および図12に示すように、トリポード部材4の脚軸11の円筒外周面に転動体16を介して内リング14を回転可能に嵌挿し、内リングの外周に外リング15を回転可能に嵌挿して二階て構造を構成している。内リング14は、脚軸11の軸線に中心を持つ真球の外周面17を有し、この真球外周面17に外リング15の円筒内周面18が回転可能に嵌挿される。外リング15は外輪1のトラック溝2に収容され、ローラ案内面3上を転動しながら外輪軸方向に移動可能である。
【0005】
図12に示すように、外輪1とトリポード部材4が作動角をとった状態で回転力伝達を行う場合、内リング14が外リング15に対して傾斜し、このとき、外リング15の円筒内周面18を内リング14が図12の下方に相対移動する。この内外両リング14、15の相対移動で、外リング15は外輪1のローラ案内面3によって外輪1の軸線と平行に案内されて、外リング15がローラ案内面3上を正しく転動し、ローラ案内面3との間で滑り抵抗が低減、誘起スラストの発生が抑制される。
【0006】
また、上記誘起スラストを低減させた別のトリポード型等速自在継手として、トリポード部材の脚軸の外周面にローラを首振り揺動可能に支持したものが知られている(特開昭54−132046号公報)。この継手は、例えば図13及び図14に示すように、トリポード部材4の脚軸21の外周面22を緩やかな曲率の球面にしたことを特徴としている。この場合、脚軸21の緩やかな曲率の球状外周面22に転動体23を介して1つのローラ24の円筒内周面が首振り可能に嵌挿される。ローラ24の外周面が外輪のトラック溝2に回転可能、且つ、外輪軸方向に摺動可能に嵌挿される。
【0007】
図13の継手においても、図14に示すように外輪とトリポード部材4が作動角θをとった状態で回転力伝達を行う場合に、脚軸21の球状外周面22をローラ24の円筒内周面が摺動して、脚軸21に対してローラ24が多少とも首振り揺動し
、この揺動でローラ24が外輪のトラック溝2の両側のローラ案内面3によって外輪の軸線と多少とも平行に案内される。従って、ローラ24がローラ案内面3を外輪軸方向に転動してローラ24の滑り抵抗が低減、誘起スラストが低減する
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図11の二階立てローラ構造の継手においては、作動角運転時における誘起スラスト低減効果が安定して発揮されることが分かっている。ところが、ローラを内リングと外リングの組合せで構成するために、ローラ部分の部品点数、組立工数が多くなって、製品コストが高くなるという不具合があった。
【0009】
また、図13の継手は、ローラが基本的図8と同様簡単(一階て)構造ゆえに製品コストが割安となる利点がある。しかし、この継手の場合、図14のように外輪とトリポード部材4が作動角θをとっても、常にローラ24がトラック溝2と平行な姿勢でいられるためには、脚軸21の球状外周面22と転動体23の間に所望のラジアル方向隙間g(図面には現われていない)を設定しておく必要があった。
【0010】
すなわち、図15(A)に示すように、脚軸21の緩やかな球状外周面22の中央部分での曲率半径(近似値)をR、外径を2rとする。この脚軸21が図15(B)に示すように作動角θで傾斜したとき、球状外周面22の図15(B)の鎖線と鎖線の箇所C、C´が転動体23に接触する。この2箇所C、C´は、半径[R−(R−r)cosθ]の拡径した位置にあるため、脚軸21をローラ24に対してスムーズに揺動させるためには、両者間の揺動角度吸収量としてのラジアル方向隙間gを、
g=2{[R−(R−r)cosθ]−r}
=2(R−r)(1−cosθ)
なる所定値に設定する必要がある。
【0011】
ここで、ラジアル方向隙間gは、自在継手の円周方向ガタ量に比例するものであるから、極力小さくすることが望まれる。したがって、図13の継手においては、作動角運転時におけるガタ量の増加を許容しない限り、要求されるすべての作動角θにおいてローラ24をトラック溝2に対して平行な姿勢を維持させることができないという不具合があった。
【0012】
この発明の主要な目的は、作動角をとった状態で運転するときのガタ量、誘起スラストを確実に低減させた高性能のトリポード型等速自在継手を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、外輪の内周に外輪軸方向に形成された3本のトラック溝に、外輪内に挿入されたトリポード部材の3本の脚軸に転動体を介して回転可能に支持させたローラを、トラック溝の両側の外輪軸方向のローラ案内面に係合させて回転及び摺動可能に収容させた、自動車の駆動系において使用するトリポード型等速自在継手において、上記脚軸の外周面を脚軸の軸線上に中心を持つ真球面となし、この脚軸の真球外周面に、転動体を介してローラの円筒内周面を嵌合させ、上記外輪のトラック溝のローラ案内面とローラの外周面とをアンギュラコンタクトさせ、上記外輪のトラック溝のローラ案内面にトラック溝と平行でローラの端面に係合してローラの転動方向をトラック溝方向に平行に規制する肩部を形成し、ローラの断面二次モーメント/PCD4を、0.028×10 -3を越え1.39×10-3未満とし、かつ、転動体径/PCDを、0.0417を越え0.378未満としたことを特徴とする(請求項1)。また、転動体の表面に独立した微小な凹形状のくぼみを無数にランダムに形成したことを特徴とする(請求項2)。
【0014】
ここで、脚軸の真球外周面に外嵌するローラは、1個のいわゆる一階立て構造のもので、このローラの円筒内周面に複数の転動体を介して脚軸の真球外周面が嵌挿される。この場合、脚軸の外周面が真球面であることから、転動体との間に従来の技術に関して述べたようなラジアル方向隙間を設定する必要はない。すなわち、脚軸はローラに対して傾斜ないしは首振り自在であり、その傾斜角度の大小に関係なく脚軸の外周面と転動体との間の寸法関係は常に一定である。
【0015】
一方、継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、ローラはローラ案内面上を転動して外輪のトラック溝内を外輪軸方向に移動する。このとき、ローラの姿勢を外輪軸線と平行に保つことが、より抵抗の少ないローラの転動ひいては誘起スラストの低減を実現する上で有効である。ローラの外周面の母線を、ローラの軸心から半径方向に外周面側もしくは反外周面側に離れた点に曲率中心をもつ円弧とすることがこのましい。その場合、各ローラ案内面を、その母線がローラの軸方向に離間した2点でローラ外周面と接触する形状となすことにより、ローラの外周面とローラ案内面との接触構造をアンギュラコンタクトとすることが好ましい
【0016】
さらに、ローラ案内面に沿って外輪軸方向に延びる肩部を形成し、この肩部をローラの端面に係合させることによって一層確実に、ローラを外輪の軸線と平行な姿勢に規制し、ローラの転動方向を外輪軸方向に案内することができる。
【0017】
トリポード型等速自在継手の強度に関しては、ローラの強度と転動体の強度が支配的な意味をもつことが知られているが、(ローラの断面二次モーメント/PCD4)を、0.0281×10-3を越え1.39×10-3未満とし、かつ、(転動体径/PCD)を、0.0417を越え0.378未満とすることによって、自動車の駆動系において使用する場合に要求される強度を十分満足することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1乃至図7を参照して説明する。なお、図8乃至図15を含む全図を通じて、同一部分または相当部分には同一符号を付して、説明の重複を避ける。
【0019】
図1(A)(B)に示すように、トリポード型等速自在継手は連結すべき2軸の一方と結合する外輪1と他方と結合するトリポード部材4とを有する。外輪1は概ねカップ状の外観を呈し、軸方向に延びる3本のトラック溝2を内周面に円周方向等間隔に形成している。トリポード部材4は半径方向に突出した3本の脚軸5を円周方向等間隔に有し、各脚軸5は転動体6を介して回転自在に外嵌したローラ7を担持している。ローラ7は外輪1のトラック溝2に収容される。脚軸5の外周面mは脚軸5の軸線上に中心Pを持つ真球面で、この真球外周面mに、複数の転動体6を介してローラ7の円筒内周面nを外嵌させてある。転動体6は図示のとおり転動面が円筒面で直径が比較的大きく、かつ直径に比し長さがあまり長くないという点で、直径が比較的小さく、かつ直径に比し長さの長い針状ころ(ニードルローラ)と対照をなす。ローラ7の円筒内周面nの開口両端部に装着されたワッシャ8で転動体6の抜けを防止する。
【0020】
図1(B)および図2から分かるように、ローラ7の外周面の母線はローラ中心PR から半径方向外側に離れた点pに中心をもつ円弧である。このローラ7を収容するトラック溝2は外輪1の軸線と平行に延在し、外輪1の円周方向に向かい合った一対の側壁がローラ7の外周面と接するローラ案内面3となる。図1Bおよび図2では各ローラ案内面3はその軸線がローラ7の中心PR から半径方向外側に離れた点pを通る円筒面である。このように、ローラ7の外周面の母線をローラ中心から半径方向に外周面側もしくは反外周面側に離れた点に中心をもつ円弧となすことにより、継手の縦断面(図1A)で見て、ローラ7がローラ案内面3に対して傾きにくくなる。したがって、ローラ7の姿勢がローラ案内面3の延在する方向すなわち外輪1の軸方向に対して平行に保たれ、ローラ7がローラ案内面3上を正しく転動し得るようになる。これは継手が作動角をとった状態でも当てはまる。
【0021】
すなわち、図3に示すように、継手で連結された2軸が角度をなすと継手が作動角θをとり、外輪1に対してトリポード部材4が角度θだけ傾く。その際、脚軸5の真球外周面mが(転動体6を介して)ローラ7の円筒内周面n内で相対回転移動し、ローラ7はトラック溝2内で外輪軸線と平行な姿勢を維持しつつローラ案内面3に沿って転動するが、このときの各部位の滑り抵抗が軽減して誘起スラストが抑制される。この作動角をとった状態で運転する時の誘起スラストが抑制される。この作動角をとった状態で運転する時の誘起スラスト低減のメカニズムは基本的に図11および図12の二てローラ構造の継手の場合と同じであるが、図4に基づき説明すると次のとおりである。
【0022】
図4に二点鎖線で示すように、作動角をとらない時のトリポード部材4の中心をAとすると、この中心Aは外輪1の軸線X上に位置し、ローラ7と脚軸5の真球外周面mの中心Pがローラ案内面3の軸線B上に位置する。図4に実線で示すように、継手が作動角θをとると、トリポード部材4の中心AはA’点に移動して軸線Xから図4の下方にずれる。その結果、脚軸5の軸線が角度θだけ傾き、真球外周面mの中心Pがローラ案内面3の軸線Bより図4の下方の位置P’に相対移動する。この相対移動と脚軸5の傾きでローラ7の円筒内周面nを脚軸5の真球外周面mがその中心Pを中心に回転しながら移動する格好になり、しかもこの移動は転動体6(図4では省略してある。図3参照)が介在することによって円滑に行われる。かかる脚軸5の移動に伴い、ローラ7がローラ案内面3に沿って転動し、図中の右向き矢印で示すようにローラ案内面3の軸線Bと平行な外輪の軸線X方向に移動する。このように、脚軸5とローラ7との間の相対移動、ローラ7とローラ案内面3との間の相対移動がいずれも極めて少ない滑り摩擦にて達成され、これにより誘起スラストの発生が抑制される。
【0023】
ローラ7が外輪1の軸線と平行な姿勢を保ってローラ案内面3上をより少ない抵抗で転動することを確実に保証する上で、外輪1のローラ案内面3の上方にローラ案内面3に沿って外輪1の軸線方向に延びる肩部3aを形成すると有利である。ローラ7はその端面にて常に肩部3aと当接するため、外輪1の軸線と平行な姿勢を崩さず、ローラ案内面3上を転動する際にも肩部3aによって外輪1の軸線方向に案内される。したがって、継手が作動角をとった状態で運転する際のローラ7の姿勢の規制ないしは安定化が、より効果的に達成される。
【0024】
ローラ案内面3は上述の円筒面のほか種々形状とすることができる。図5に示す変形例では、ローラ7の外周面lとローラ案内面3が、軸方向に離間した2点Q、Q’で接触するいわゆるアンギュラコンタクト構造を採用している。この場合もローラ7の姿勢がローラ案内面3の延在する方向すなわち外輪軸方向と平行に保たれる。また、ローラ案内面3とローラ外周面の2点Q、Q’の間の隙間はグリース溜りとして有効利用される。アンギュラコンタクトを実現するためのローラ案内面3の母線形状としては、ゴシックアーチ、楕円、放物線、双曲線等が挙げられる。ローラ7の外周面の母線形状は、ローラ7の軸線上に曲率中心をもつ円弧、ローラ7の軸線から半径方向に離れた点に曲率中心をもつ円弧、ローラ7の軸方向に離れた点に中心をもつ円弧の組合せなどとすることもできる。
【0025】
図6に示す変形例は、各トラック溝2の側壁を構成する一対のローラ案内面3を互いに平行な平面にし、各ローラ案内面3の上下両側に肩部3a、3bを形成して、これらの肩部3a、3b間にローラ7の周縁部を挿入し、ローラ7の円筒外周面を平面状のローラ案内面3に係合させたものである。この場合、ローラ7の両端面が肩部3a、3bに係合して、ローラ7の姿勢が安定して外輪1の軸線と平行に規制される。
【0026】
図7に示す変形例のように、ローラ7の円筒内周面の両端に環状のつば部9を一体に形成し、このつば部9で転動体6を支持するようにしてもよく、これにより、転動体抜止め用ワッシャ8を省略でき、ローラ部分の部品点数が低減できる。
【0027】
ところで、等速自在継手を自動車の駆動系で使用するためには駆動トルクに耐え得る強度が必要である。一般に、等速自在継手において基準となる強度は当該等速自在継手と結合するシャフトの強度などによって定まる。そこで、上述のように脚軸5が真球外周面mを備えたタイプのトリポード形等速自在継手(図16参照)について、強度条件を満足する寸法緒元を決める観点から強度試験を実施した。試験の結果、問題となるのはローラ7の強度と転動体6の強度の2点であることがわかった。評価としては、得られた試験結果(等速自在継手の強度)をシャフトの静ねじり強度で除した値c(式1)を基準とし、クリア条件をc>0.93とした。
【0028】
c=継手の強度/シャフトの静ねじり強度・・・式1
ローラ7の強度はローラ7の断面二次モーメントが大きく影響しており、転動体6の強度は転動体径の影響を受ける。サイズ(継手の型番)の影響を除外するため各寸法をPCDで除して無次元化し、式2、式3で表される条件式を得た。ローラ7の断面二次モーメントは図16に示された断面についてのものであることは言うまでもない。
【0029】
a=(ローラの断面二次モーメント/PCD4 )・・・式2
b=転動体径/PCD・・・式3
図17はa、bの値の異なる複数の供試継手についての試験データをプロットしたもので、横軸はaを表し、縦軸はbを表している。各試験データは評価を表す記号とa、b、cの値とからなり、評価を表す記号のうち、○は「強度OK」すなわち、c>0.93の条件を満足するもの、◇は「コロNG」すなわち転動体に不具合が生じたもの、◆は「ローラNG」すなわちローラに不具合が生じたもの、●は「ローラ・コロNG」すなわちローラ、転動体共に不具合が生じたもの、×は「未試験NG」すなわち試験をするまでもなく強度不足が明らかなものを意味する。
【0030】
図17から分かるように、ローラ7に関する条件式a(式2)の値の範囲は符号Aで表され、その下限は0.0281×10-3である。そして、その上限は、外輪外径を固定して、ローラ外径を最大限に大きくし、脚軸(トラニオンジャーナル)径および転動体径を最小にしてローラ肉厚を最大としたときで、計算より、1.39×10-3となった。これより、aの範囲は、0.0281×10-3<a<1.39×10-3となった。一方、転動体に関する条件式b(式3)の値の範囲は符号Bで表され、その下限は0.0417である。そして、その上限は、外輪外径を固定してローラ外径を最大限に大きくし、脚軸径およびローラ肉厚を最小にし、転動体径を最大としたときで、計算より、0.378となった。これより、bの範囲は、0.0417<b<0.378となった。したがって、aおよびbをそれぞれ上記範囲内に設定することにより、自動車の駆動系用等速自在継手としてローラおよび転動体が、ひいては継手全体として、十分の強度を持つこととなる。
【0031】
また、接触部の潤滑性を向上させ、トラニオンジャーナル部の摩耗やピーリングの発生を防止する目的で、転動体6の表面に独立した微小な凹形状のくぼみを無数にランダムに形成した。上記のような表面の粗面条件を得るための表面加工処理としては、特殊なバレル研磨によって、所望の仕上面を得ることができる。上記転動体の粗面6aの面粗さはRmax0.6〜2.5μm、表面粗さのパラメータSk値が−1.6以下になっている。また、上記微小粗面6aの微小凹みの平均面積は35〜180μm2 、くぼみの全表面に占める割合は10〜40%である。前記パラメータSK値とは、表面粗さの分布曲線の歪み度(SKEWNESS)を指し、ガウス分布のような対称形分布はSK値が0となるが、パラメータSK値を円周方向、軸方向とも−1.6以下とした設定値は、表面凹部の形状、分布が加工条件により油膜形状に有利な範囲である。
【0032】
脚軸外周面を真球面としたトリポード型等速自在継手を対象として、上記表面加工処理をした転動体を用いたものと、表面を超仕上げ加工した従来の転動体を用いたものの各々について行った耐久試験結果を図18に示す。同図中の試験条件A、Bはそれぞれ表1に示すとおりである。
【0033】
【表1】
Figure 0003905943
【0034】
図18の試験結果から明らかなように、試験条件Bの場合、従来のものは96時間運転した時点で不具合が大となったのに対して、本発明のものは従来のものに比べて運転時間が160%以上超過しても不具合が発生していない。試験条件Aの場合でも本発明のものは従来のものに比べて200%以上の寿命を示している。このように、転動体に上記表面加工処理を施すことによって、転動体表面の油膜形成に有利となって潤滑性が良くなり、ローラの回転性が向上し、転動体とローラ間、転動体とトラニオンジャーナル間の滑り性を良くして各々の接触部の摩耗とピーリングの発生を極力少なくすることができる。
【0035】
なお、たとえば図4および図16に関して言えば、継手が作動角をとっていない状態で脚軸5の中心とローラ7の中心とがいずれも同じ点Pにあるように図示してあるが、これらの中心は脚軸5の軸方向にオフセットしていてもよい。継手が作動角をとると、図4に関連して既に述べたとおり、脚軸5の中心が外輪1の軸心X側に、つまり点Pから点P’へ、移動する。それゆえ、継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するときは、脚軸5の中心とローラ7の中心は脚軸の軸方向にずれる。そこで、図19に示すように、ローラ7の中心を脚軸5の中心Pよりも外輪1の軸心X側に所定量だけずらしておくことにより、継手が作動角をとった状態でトルクを伝達するとき、脚軸5の中心Pが外輪1の軸心X側に移動してローラ7の中心と合致し、もしくは近づくこととなる。この種の継手は作動角をとった状態で使用されるのがむしろ常態であることから、このように作動角をとった状態でトルクを伝達するときの挙動を考慮に入れた構成の意義は明らかであろう。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、継手が作動角をとった場合、外輪のトラック溝に嵌挿されたローラの円筒内周面に対してトリポード部材の脚軸の真球外周面がその曲率中心を中心として相対回転移動して、ローラをトラック溝の軸方向に相対移動させるので、誘起スラストの発生が従来の二階てローラ構造の継手と同程度に抑制され、発熱や振動、騒音の少ない高品質高性能のトリポード型等速自在継手を提供することができる。また、継手が作動角をとった状態で運転する時の誘起スラストの低減が簡単な一階てローラ構造のトリポード部材で実現するので、高品質高性能のトリポード型等速自在継手の低コスト化が図られる。請求項2の発明によれば、転動体と脚軸(トラニオンジャーナル)との接触部の潤滑性を向上させ、トラニオンジャーナル部の摩耗やピーリングの発生を防止することができる。
【0037】
また、外輪のトラック溝のローラ案内面とローラの外周面のアンギュラコンタクトおよびローラ案内面の肩部が、継手の作動角運転時のローラの外輪軸線方向の安定した移動規制を行うため、より確実に、かつ、安定して誘起スラストの発生が抑制できるようになる。
【0038】
さらに、ローラの断面二次モーメント/PCD4を、0.028×10 -3を越え1.39×10-3未満とし、かつ、転動体径/PCDを、0.0417を越え0.378未満としたことにより、所要の強度を満足するための寸法緒元を的確に求めることができ、したがってまた、自動車の駆動系において使用する場合に要求される強度を十分満足するトリポード型等速自在継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(A)はトリポード型等速自在継手の部分断面を含む正面図、図1(B)は図1(A)の継手の要部の横断面図である。
【図2】図1(B)におけるローラとローラ案内面の部分拡大断面図である。
【図3】作動角をとった状態の図1の継手の要部断面略図である。
【図4】図3の継手のローラ相対移動を説明するためのローラと脚軸の相対関係図である。
【図5】別の実施の形態を示す図2と類似の部分拡大断面図である。
【図6】別の実施の形態を示す図1(B)と類似の横断面図である。
【図7】別の実施の形態を示す図1(B)と類似の横断面図である。
【図8】図8(A)は従来のトリポード型等速自在継手の縦断面図、図8(B)は図8(A)の継手の横断面図である。
【図9】作動角をとった状態の図8の継手の一部破断正面図である。
【図10】図9の継手におけるローラの転がり状態を示す斜視図である。
【図11】他の従来のトリポード型等速自在継手の縦断面図である。
【図12】作動角をとった状態の図11の継手の縦断面図である。
【図13】他の従来のトリポード型等速自在継手の要部概略図である。
【図14】作動角を取った状態の図13の継手の要部概略図である。
【図15】図15(A)は図13の継手における脚軸の正面略図、図15(B)は図14の継手における脚軸の正面略図である。
【図16】寸法緒元を説明するための要部横断面図である。
【図17】強度試験結果をプロットしたグラフ図である。
【図18】耐久試験結果を示すグラフ図である。
【図19】 脚軸中心とローラ中心をずらした変形例を示す図16と類似の断面図である。
【符号の説明】
1 外輪
2 トラック溝
3 ローラ案内面
3a 肩部
4 トリポード部材
5 脚軸
6 ころ軸受
7 ローラ
m 真球外周面
n 円筒内周面

Claims (2)

  1. 外輪の内周に外輪軸方向に形成された3本のトラック溝に、外輪内に挿入されたトリポード部材の3本の脚軸に転動体を介して回転可能に支持させたローラを、トラック溝の両側の外輪軸方向のローラ案内面に係合させて回転及び摺動可能に収容させた、自動車の駆動系において使用するトリポード型等速自在継手において、
    上記脚軸の外周面を脚軸の軸線上に中心を持つ真球面となし、この脚軸の真球外周面に、転動体を介してローラの円筒内周面を嵌合させ、上記外輪のトラック溝のローラ案内面とローラの外周面とをアンギュラコンタクトさせ、上記外輪のトラック溝のローラ案内面にトラック溝と平行でローラの端面に係合してローラの転動方向をトラック溝方向に平行に規制する肩部を形成し、ローラの断面二次モーメント/PCD4を、0.028×10 -3を越え1.39×10-3未満とし、かつ、転動体径/PCDを、0.0417を越え0.378未満としたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
  2. 転動体の表面に独立した微小な凹形状のくぼみを無数にランダムに形成したことを特徴とする請求項1のトリポード型等速自在継手。
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