JP3976358B2 - トリポード型等速ジョイント - Google Patents

トリポード型等速ジョイント Download PDF

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    • F16D3/00Yielding couplings, i.e. with means permitting movement between the connected parts during the drive
    • F16D3/16Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
    • F16D3/20Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members
    • F16D3/202Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints
    • F16D3/205Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints the pins extending radially outwardly from the coupling part
    • F16D3/2055Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints the pins extending radially outwardly from the coupling part having three pins, i.e. true tripod joints

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトリポード型等速ジョイントは、例えば自動車の駆動系に組み込み、非直線上に存在する回転軸同士の間で、回転力の伝達を行なうに利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の駆動系に組み込む等速ジョイントの一種として従来から、トリポード型等速ジョイントが広く使用されている。例えば特開昭63−186036号公報、同62−233522号公報には、図5〜6に示す様なトリポード型の等速ジョイント1が記載されている。この等速ジョイント1は、車輪側の回転軸等、第一の回転軸2の端部に固定される中空筒状のハウジング3と、駆動軸等、第二の回転軸4の端部に固定されるトリポード5とから構成される。上記ハウジング3の内周面で円周方向等間隔の3個所位置には凹部6、6を、それぞれ上記内周面から上記ハウジング3の直径方向外方に向けて形成している。
【0003】
一方、第二の回転軸4の端部に固定されるトリポード5は、上記第二の回転軸4の端部に固定する為のボス部7と、このボス部7の外周面で円周方向等間隔の3か所位置に形成されたトラニオン8、8とから構成される。それぞれが円柱状に形成されたこれら各トラニオン8、8の周囲には、それぞれローラ9、9を、ニードル軸受10を介して回転自在に、且つ軸方向に亙る若干の変位自在に支持している。そして、これら各ローラ9、9を上記ハウジング3内周面の凹部6、6に嵌合させる事により、等速ジョイント1を構成している。尚、上記各凹部6、6を構成するそれぞれ1対ずつの内側面11、11は、それぞれ円弧状凹面としている。従って上記各ローラ9、9はこれら1対の内側面11、11同士の間に、転動及び揺動自在に支持される。
【0004】
上述の様に構成される等速ジョイント1の使用時、例えば第二の回転軸4が回転するとこの回転力は、トリポード5のボス部7から、トラニオン8、8、ニードル軸受10、ローラ9、9を介して、ハウジング3に伝わる。そして、このハウジング3を端部に固定した第一の回転軸2を回転させる。又、第一の回転軸2の中心軸と第二の回転軸4の中心軸とが不一致の場合(等速ジョイント1にジョイント角が存在した場合)には、これら両回転軸2、4の回転に伴って上記各トラニオン8、8が、上記各凹部6、6の内側面11、11に対して、図5〜6に示す様にトリポード5を中心として揺動する方向に変位する。この際、上記各トラニオン8、8の周囲に支承されたローラ9、9が、上記各凹部6、6の内側面上を転動すると共に、上記各トラニオン8、8の軸方向に変位する。これらの動きにより、周知の様に、第一、第二の両回転軸2、4の間で等速性が確保される。
【0005】
上述の様に構成され作用する等速ジョイント1の場合、ジョイント角が存在する状態で第一、第二の回転軸2、4を回転させると、上記各ローラ9、9が複雑な運動を行なう。即ち、この状態で上記各ローラ9、9は、上記各内側面11、11に沿ってハウジング3の軸方向に向きを変えながら移動し、しかもトラニオン8、8の軸方向に変位する。上記各ローラ9、9にこの様に複雑な動きをさせると、これら各ローラ9、9の外周面と上記各内側面11、11との間の相対変位が必ずしも円滑に行なわれなくなって、これら両面間に比較的大きな摩擦が発生する。この結果、図5〜6に示す様な構造の等速ジョイントの場合には、1回転3次の軸力が発生する。そして、自動車に組み込まれ大きなジョイント角を付した状態で大きなトルクを伝達する際等、著しい場合にはシャダーと呼ばれる振動が発生する事が知られている。
【0006】
この様な原因で発生する振動を抑える為の構造として、前記特開昭63−186036号公報には、図7〜9に示す様な等速ジョイント1aが記載されている。この改良型の等速ジョイント1aの場合には、各トラニオン8、8の周囲に設けるローラ9a、9aを、それぞれ内側ローラ12と外側ローラ13とから構成している。このうちの内側ローラ12は、内周面を円筒面に、外周面を球状凸面に、それぞれ形成し、軸受14、14により上記各トラニオン8、8の周囲に、回転のみ自在に支持している。又、上記外側ローラ13は、内周面を円筒面とし、この外側ローラ13の内側に上記内側ローラ12を、揺動及び上記各外側ローラ13の軸方向に亙る変位自在に嵌合させている。又、上記外側ローラ13の外周面は、ハウジング3の内周面に形成した凹部6、6毎に1対ずつ設けられたガイド面15、15に、上記ハウジング3の軸方向(図7、9の左右方向、図8の表裏方向)に亙る変位のみ自在に転がり接触させている。
【0007】
上述の様に構成される改良された等速ジョイント1aの場合には、ローラ9a、9aがハウジング3の軸方向に亙って変位する事は、これら各ローラ9a、9aを構成する外側ローラ13、13の転動により許容する。又、ローラ9a、9aがトリポード5を中心として揺動及びトラニオン8、8の軸方向に亙って変位する事は、上記各ローラ9a、9aを構成する内側ローラ12が上記各外側ローラ13、13に対して揺動及び摺動する事により許容する。これら外側、内側各ローラ13、12の外周面が相手面に対して行なう変位は、図5〜6に示した構造でローラ9、9が内側面11、11及びトラニオン8、8に対して行なう変位に比べて単純であり、安定した変位を行なえる。従って、等速ジョイントの回転に伴って発生する軸力を低減して、大きなジョイント角を付した状態で大きなトルクを伝達する際にも、不快な振動が発生する事を抑えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図7〜9に示した従来構造の第2例の場合、軸力の低減により振動を抑制する事はできるが、耐久性確保の面からは改良すべき点がある。即ち、本発明の対象となるトリポード型等速ジョイントの場合には、各トラニオン8、8に対してローラ9a、9aの外周面を、これら各トラニオン8、8の軸方向に変位させる必要がある。この為に上記第2例の構造の場合には、外側ローラ13、13の内周面を円筒面とし、球状凸面に形成された内側ローラ12の外周面をこの内周面に、揺動及び軸方向に亙る変位自在に嵌合させている。この結果、これら各外側ローラ13、13の内周面と内側ローラ12の外周面との当接部の面積が狭くなる。
【0009】
等速ジョイント1aを通じて回転力の伝達を行なう際には、上記当接部に大きな荷重が加わる。上記第2例の構造の場合には、上記当接部の面積が狭く、しかも擦れ合う為、この当接部が大きな面圧で摩擦し合う。この結果、早期に剥離を生じたり、長期間に亙る使用に伴って上記各外側ローラ13、13の内周面と内側ローラ12の外周面とが摩耗し、これら両ローラ13、12同士の嵌合部に次第にがたつきが発生する様になる。
【0010】
本発明のトリポード型等速ジョイントは、この様な事情に鑑みて発明したもので、各トラニオンに対してローラの外周面を、これら各トラニオンの軸方向に変位自在とする構造で、しかも外側ローラの内周面と内側ローラの外周面との当接部の面積を増大させる構造を得させたものである。尚、ローラを内側と外側とに二分割し、内側ローラの外周面と外側ローラの内周面とを球面同士の嵌合とする構造が、特公平7−15289号公報に記載されている。但し、この公報に記載されたトリポード型等速ジョイントは、ハウジングに形成した凹部を構成する1対の内側面を互いに平行な平坦面とし、外側ローラがトラニオン軸上に回転のみ自在(軸方向変位不能)に支持されて、平坦面上を揺動運動する等、基本構造が本発明の対象となるトリポード型自在継手とは異なっている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のトリポード型等速ジョイントは、第一の回転軸の端部に固定される、軸方向一端側が開口した中空筒状のハウジングと、第二の回転軸の端部に固定されるトリポードとを備える。このうちのハウジングの内周面には3個の凹部を、円周方向に亙って等間隔に形成している。又、これら各凹部の内面には、各凹部毎に形成された、それぞれが平坦で互いに平行な1対ずつのガイド面と、これら各凹部毎に、これら各ガイド面よりも上記ハウジングの直径方向外側にそれぞれ形成された、これら各ガイド面との成す角度が鈍角である1対ずつの傾斜面とを、上記ハウジングの軸方向に亙って形成している。一方、上記トリポードの外周面にはそれぞれが上記3個の凹部内に進入する3本のトラニオンを、円周方向に亙って等間隔に固設している。そして、これら各トラニオンの外周面にはそれぞれ内側ローラを、それぞれラジアルニードル軸受を介して、回転自在且つ当該トラニオンの軸方向に亙る変位自在に支持している。これら各内側ローラは、その内周面を円筒面とすると共に外周面を球状凸面としている。更に、これら各内側ローラの周囲には、外側ローラを支持している。これら各外側ローラの外周面は、上記各凹部毎に1対ずつ設けられたガイド面に上記ハウジングの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触する円筒形部と、同じく傾斜面にこのハウジングの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触する部分円すい形部とから成る転動面としている。又、この外側ローラの内周面は、上記球状凸面と嵌合する球状凹面としている。上記外側ローラは、この球状凹面と上記球状凸面とを嵌合させる事により、上記内側ローラの外側に揺動自在に外嵌している。更に、上記各傾斜面の傾斜方向の幅を、上記外側ローラの外周面のうちの部分円すい形部の傾斜方向の幅よりも大きくしている。
【0012】
【作用】
上述の様に構成される本発明のトリポード型等速ジョイントの場合、各内側ローラ及び外側ローラがハウジングの軸方向に亙って変位する事は、各外側ローラがガイド面に対して転動する事により許容する。又、トリポードを中心として揺動する事は、各内側ローラが上記各外側ローラに対して揺動する事により許容する。更に、各内側ローラ及び外側ローラが各トラニオンの軸方向に変位する事は、ニードル軸受を介して各トラニオンに支持された上記内側ローラが、このトラニオンに対して変位する事により許容する。この様に本発明の場合には、上記外側、内側各ローラの周面が相手面に対して行なう変位は、それぞれ単純な変位となる為、安定した変位を行なえる。従って、等速ジョイントの回転に伴って発生する軸力を低減して、大きなジョイント角を付した状態で大きなトルクを伝達する際にも、不快な振動が発生する事を抑えられる。
【0013】
更に、本発明のトリポード型等速ジョイントの場合には、構成各部材同士の当接部での摩耗及び早期剥離を低減できる。この点に就いて、各トラニオンの直径方向内側から順に説明する。
先ず、各トラニオンの外周面は、複数のニードルの転動面と当接する。又、このニードルの転動面は上記各トラニオンの外周面と、主として転がり接触する(滑り接触は僅かである)。従ってこの当接部では、面圧の低減と摩擦状態が主として転がり摩擦である事とにより、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
次に、内側ローラの内周面は、複数のニードルの転動面と当接する。回転力の伝達時には、複数のニードルが荷重を支承するので、これら内周面と転動面との間に作用する面圧がそれ程高くはならない。従ってこの当接部では、面圧の低減により、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
次に、内側ローラの外周面と外側ローラの内周面とは、球状凸面と球状凹面との係合に基づき、広い面積で当接する。従ってこの当接部では、面圧の低減により、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
又、外側ローラの外周面とガイド面との当接部は、円筒面である外周面と平坦面であるガイド面とが、主として転がり摩擦を行ない、滑り摩擦は仮に発生しても僅かである。従ってこの当接部では、摩擦状態が主として転がり摩擦である事により、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
更に、各凹部の形状を、ガイド面と傾斜面とにより構成している為、ハウジングの製造作業の容易化を図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明に関する参考例の1例を示している。軸方向一端側が開口した中空筒状のハウジング3aは、その他端側(図1の背面側)中心部を、図示しない第一の回転軸の端部に固定される。一方、トリポード5は、やはり図示しない第二の回転軸の端部に固定される。
【0015】
上記ハウジング3aの内周面には3個の凹部6a、6aを、円周方向に亙って等間隔に、このハウジング3aの直径方向外方に向けて形成している。又、これら各凹部6a、6aの内面には、各凹部6a、6a毎に、それぞれが平坦面である、1対ずつのガイド面15a、15aを、上記ハウジング3aの軸方向(図1の表裏方向、図2〜3の左右方向)に亙って形成している。即ち、上記各凹部6a、6aの内面の一部で互いに対向する部分は、両側部分よりも凹んだ凹溝状に形成し、この凹溝状部分を上記各ガイド面15a、15aとしている。上記各凹部6a、6a毎に1対ずつ設けられたガイド面15a、15aの底面16、16同士は、互いに平行にしている。又、これら1対のガイド面15a、15aの幅W15a は互いに等しくしている。
【0016】
一方、上記トリポード5は、上記第二の回転軸の端部を固定自在な円筒状のボス部7の外周面に3本のトラニオン8、8を、円周方向に亙って等間隔に固設している。これら各トラニオン8、8は、それぞれが上記3個の凹部6a、6a内に進入自在である。尚、上記ボス部7の内周面にはスプライン溝17を形成して、このボス部7と上記第二の回転軸との間で大きな回転力の伝達を可能にしている。
【0017】
上記各トラニオン8、8の外周面にはそれぞれ内側ローラ12a、12aを、それぞれラジアルニードル軸受18、18を介して、回転自在且つ上記各トラニオン8、8の軸方向に亙る変位自在に支持している。これら各ラジアルニードル軸受18、18は、保持器を設けない、所謂総ころ軸受である。尚、負荷条件によっては、保持器付ニードル軸受を使用する事もできる。又、上記各トラニオン8、8の先端部で上記各ラジアルニードル軸受18、18よりも突出した部分には、円環状の抑えリング19、19を外嵌している。更に、上記各トラニオン8、8の先端部でこれら各抑えリング19、19よりも突出した部分に形成した係止溝20には、止め輪21を係止している。従って、上記各抑えリング19、19及び上記各ラジアルニードル軸受18、18を構成するニードル22、22が、上記各トラニオン8、8から抜け出る事はない。
【0018】
又、図示の例では、上記各抑えリング19、19の外端縁部(ボス部7の外周面から遠い側の端部)に、直径方向外方に突出する係止鍔23、23を形成している。これら各係止鍔23、23の外径D23は、上記各内側ローラ12a、12aの内径R12a よりも大きい(D23>R12a )。従って、これら各内側ローラ12a、12aは、上記各トラニオン8、8に対して軸方向に変位自在ではあるが、その変位量は、上記ボス部7の外周面と上記係止鍔23、23とにより制限される。
【0019】
上記各内側ローラ12a、12aの内周面は、上記各トラニオン8、8の軸方向に亙る変位を自在とすべく、円筒面24としている。これに対して、これら各内側ローラ12a、12aの外周面は、球状凸面25としている。
【0020】
上述の様に構成され、上記各トラニオン8、8の周囲に回転及び軸方向に亙る変位自在に支持された、上記各内側ローラ12a、12aの周囲には、外側ローラ13a、13aを支持している。本例の場合には、これら各外側ローラ13a、13aの外周面を円筒形の転動面としている。そして、これら各外側ローラ13a、13aの外周面を、前記凹部6a、6a毎に1対ずつ設けられたガイド面15a、15aに、前記ハウジング3aの軸方向に亙る変位のみ自在に転接させている。この為に、上記各外側ローラ13a、13aの外径D13a は、対をなすガイド面15a、15aの(底面16、16同士の)間隔D15a よりも僅かに小さく(D13a <D15a )している。又、上記各外側ローラ13a、13aの幅W13a は、上記各ガイド面15a、15aの幅W15a よりも僅かに小さく(W13a <W15a )している。
【0021】
又、上記各外側ローラ13a、13aの内周面は、球状凹面26としている。この球状凹面26の中心点を各外側ローラ13a、13aの中心軸上に置く事により、これら球状凹面26と球状凸面25とを揺動自在としている。上記外側ローラ13a、13aは、これら球状凹面26と球状凸面25とを嵌合させる事により、上記各内側ローラ12aの外側に揺動自在に外嵌している。尚、上記各外側ローラ13a、13aの内周面の直径方向反対側2個所位置には、これら各外側ローラ13a、13aの内側に上記各内側ローラ12a、12aを嵌合させる為の入れ溝27、27を形成している。尚、これら各入れ溝27、27に関しては、前記実開平5−67821号公報等に記載されている様に従来から周知であり、本発明の要旨でもない為、詳しい説明は省略する。
【0022】
上述の様に構成される本参考例のトリポード型等速ジョイントは、前述した従来構造の場合と同様に、ハウジング3aを固定した第一の回転軸とトリポード5を固定した第二の回転軸との間で、等速性を確保しつつ回転力の伝達を行なう。特に、本参考例のトリポード型等速ジョイントの場合には、次の様に作用する事により、耐久性を低下させる事なく、不快な振動の発生を抑える事ができる。
【0023】
即ち、上記第一の回転軸と第二の回転軸との間にジョイント角を存在させた(これら両回転軸を同一直線上に位置させない)状態で回転力の伝達を行なうと、上記トリポード5を構成する各トラニオン8、8が、ハウジング3aの凹部6a、6aに対して複雑に(3方向に)変位する。本参考例のトリポード型等速ジョイントの場合には、これら各方向の変位を円滑に許容する事により、振動に結び付く様な軸力の発生を防止する。
【0024】
先ず、上記各トラニオン8、8が上記各凹部6a、6aに対し、上記ハウジング3aの軸方向に亙って変位する事は、前記各外側ローラ13a、13aがガイド面15a、15aに対して転動する事により許容する。これら各外側ローラ13a、13aの転動時には、内側ローラ12a、12aも各外側ローラ13a、13aと共に回転する。この回転は、前記ラジアルニードル軸受18、18が許容する。
【0025】
次に、上記各トラニオン8、8が上記各凹部6a、6aに対して、トリポード5のボス部7を中心として揺動する方向に変位する事は、図3に示す様に、各内側ローラ12a、12aが上記各外側ローラ13a、13aに対して揺動する事により許容する。
【0026】
更に、上述の様に各外側ローラ13a、13aがガイド面15a、15aに沿ってハウジング3aの軸方向に変位すると共にトラニオン8、8が揺動する事に伴って、上記各トラニオン8、8が上記各凹部6a、6aに対して、これら各トラニオン8、8の軸方向に変位する必要が生じる。この様な変位は、図3に示す様に、上記各内側ローラ12a及び外側ローラ13aを上記各トラニオン8の軸方向に変位させる事で補償する。即ち、この様な変位は、前記ラジアルニードル軸受18を介して上記各トラニオン8に支持された上記内側ローラ12aが、これら各トラニオン8に対して変位する事により許容する。
【0027】
この様に本参考例のトリポード型等速ジョイントの場合には、上記外側、内側各ローラ13a、12aの周面が相手面に対して行なう変位は、それぞれ単純な変位となる。この為、これら各周面と相手面との変位を安定して行なえる。従って、等速ジョイントの回転に伴って発生する軸力を低減して、大きなジョイント角を付した状態で大きなトルクを伝達する際にも、不快な振動が発生する事を抑えられる。
【0028】
更に、本参考例のトリポード型等速ジョイントの場合には、構成各部材同士の当接部での摩耗及び早期剥離を低減できる。先ず、上記各トラニオン8、8の外周面は、前記各ラジアルニードル軸受18、18を構成する、それぞれ複数本ずつのニードル22、22の転動面と当接する。従って、全体としての当接面積が十分に確保され、当接部の面圧は限られたものとなる。又、これら各ニードル22、22の転動面は上記各トラニオン8、8の外周面と、主として転がり接触する。上記各ラジアルニードル軸受18、18は、原則として上記各トラニオン8、8の軸方向に変位する事はないので、上記転動面と外周面との滑り接触は僅かである。この様に、これら各トラニオン8、8の外周面と各ニードル22、22の転動面との当接部では、面圧の低減と摩擦状態が主として転がり摩擦である事とにより、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
【0029】
次に、前記各内側ローラ12a、12aの内周面を構成する円筒面24は、上記各ラジアルニードル軸受18、18を構成する、それぞれ複数本ずつのニードル22、22の転動面と当接する。回転力の伝達時には、これら複数のニードル22、22が荷重を支承するので、これら円筒面24と転動面との間に作用する面圧がそれ程高くならない。従ってこの当接部では、面圧の低減により、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
【0030】
次に、上記各内側ローラ12a、12aの外周面を構成する球状凸面25と、外側ローラ13a、13aの内周面を構成する球状凹面26とは、広い面積で当接する。従ってこの当接部では、面圧の低減により、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
【0031】
更に、それぞれが円筒面である上記各外側ローラ13a、13aの外周面と、それぞれが平坦面である前記各ガイド面15a、15aとの当接部は、主として転がり摩擦を行ない、滑り摩擦は仮に発生しても僅かである。又、これら各外側ローラ13a、13aの外周面の曲率半径は大きい(円周方向に関してはこれら各外側ローラ13a、13aの外径の1/2、軸方向に関しては無限大である)ので、上記当接部の接触面積は比較的大きい。従ってこの当接部では、摩擦状態が主として転がり摩擦である事と面圧の低減とにより、当接面同士の摩耗及び早期剥離を低減できる。
【0032】
次に、図4は本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、ハウジング3bの内周面に形成した凹部6b、6bの形状を変える事により、このハウジング3bの製造作業の容易化を図っている。即ち、上記各凹部6b、6bの内面には、これら各凹部6b、6b毎に形成された、それぞれが平坦で互いに平行な1対ずつのガイド面15b、15bと、上記各凹部6b、6b毎に、これら各ガイド面15b、15bよりも上記ハウジング3bの直径方向外側にそれぞれ形成された、これら各ガイド面15b、15bとの成す角度が鈍角である1対ずつの傾斜面28、28とを、上記ハウジング3bの軸方向に亙って、それぞれ設けている。これに合わせて、外側ローラ13b、13bの外周面の形状も、上記各凹部6b、6bの内側面に形成したガイド面15b、15bと確実に当接させるべく変えている。即ち、上記各外側ローラ13b、13bの外周面は、上記各ガイド面15b、15bに上記ハウジング3bの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触する円筒形部29と、上記各傾斜面28、28に上記ハウジング3bの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触する部分円すい形部30とから成る転動面としている。更に、上記各傾斜面28、28の傾斜方向の幅を、上記外側ローラ13b、13bの外周面のうちの部分円すい形部30の傾斜方向の幅よりも大きくしている。その他の構成及び作用は、上述した、本発明に関する参考例の1例と同様である。
【0033】
【0034】
【発明の効果】
本発明のトリポード型等速ジョイントは、以上に述べた通り構成され作用するが、不快な振動を発生せず、しかも十分な耐久性を得られるので、トリポード型等速ジョイントを装着した自動車の快適性向上と部品交換時期の長期化とを両立させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関する参考例の1例を示す部分切断正面図。
【図2】 一部を省略し、ジョイント角が零の状態で示す、図1のA−A断面図。
【図3】 ジョイント角が大きい状態で示す、図2と同様の図。
【図4】 本発明の実施の形態の1例を示す部分切断正面図。
【図5】 従来のトリポード型等速ジョイントの第1例を示す略斜視図。
【図6】 図5のB−B断面図。
【図7】 従来のトリポード型等速ジョイントの第2例を、ジョイント角が零の状態で示す部分切断側面図。
【図8】 図7のC−C断面図。
【図9】 ジョイント角を付した状態で示す、図7の左部に相当する図。
【符号の説明】
1、1a 等速ジョイント
2 第一の回転軸
3、3a、3b ハウジング
4 第二の回転軸
5 トリポード
6、6a、6b 凹部
7 ボス部
8 トラニオン
9、9a ローラ
10 ニードル軸受
11 内側面
12、12a 内側ローラ
13、13a、13b 外側ローラ
14 軸受
15、15a、15b ガイド面
16 底面
17 スプライン溝
18 ラジアルニードル軸受
19 抑えリング
20 係止溝
21 止め輪
22 ニードル
23 係止鍔
24 円筒面
25 球状凸面
26 球状凹面
27 入れ溝
28 傾斜面
29 円筒形部
30 部分円すい形部

Claims (2)

  1. 第一の回転軸の端部に固定される、軸方向一端側が開口した中空筒状のハウジングと、このハウジングの内周面に円周方向に亙って等間隔に形成された3個の凹部と、これら各凹部の内面に上記ハウジングの軸方向に亙って、各凹部毎に形成された、それぞれが平坦で互いに平行な1対ずつのガイド面と、これら各凹部毎に、これら各ガイド面よりも上記ハウジングの直径方向外側にそれぞれ形成された、これら各ガイド面との成す角度が鈍角である1対ずつの傾斜面と、上記3個の凹部内に進入する3本のトラニオンを外周面に円周方向に亙って等間隔に固設し、第二の回転軸の端部に固定されるトリポードと、内周面を円筒面とすると共に外周面を球状凸面とし、それぞれラジアルニードル軸受を介して上記各トラニオンの外周面に、回転自在且つ当該トラニオンの軸方向に亙る変位自在に支持された内側ローラと、外周面を上記凹部毎に1対ずつ設けられたガイド面に上記ハウジングの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触する円筒形部と、同じく傾斜面にこのハウジングの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触する部分円すい形部とから成る転動面とすると共に内周面を球状凹面とし、この球状凹面と上記球状凸面とを嵌合させる事により上記内側ローラに揺動自在に外嵌された外側ローラとを備え、上記各傾斜面の傾斜方向の幅を、この外側ローラの外周面のうちの部分円すい形部の傾斜方向の幅よりも大きくしたトリポード型等速ジョイント。
  2. 各外側ローラの外径を、対をなすガイド面の間隔よりも僅かに小さくすると共に、これら各外側ローラの幅を、これら各ガイド面の幅よりも僅かに小さくする事により、これら各外側ローラの外周面を上記各ガイド面に、ハウジングの軸方向に亙る変位のみ自在に転がり接触させた、請求項1に記載したトリポード型等速ジョイント。
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