JP2557622B2 - 熱昇華転写画像記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、熱昇華転写画像記録装置に関する。

〔従来の技術〕

熱昇華性染料をコーティングしたインクシートと、ポ
リエステル合成紙等のプラスチックシートからなる記録
紙とを重ね合わせ、インクシート側にサーマルヘッドを
圧接させながら、該サーマルヘッドに記録画像信号を印
加して、サーマルヘッドの選択的発熱によってインクシ
ートの熱昇華染料を記録紙上に昇華染着させる記録方法
は、熱昇華転写画像記録法として従来から知られてい
る。

第６図（Ａ）は、かかる熱昇華転写画像記録法を示す
説明図である。図において、１は発熱体記録ヘッドで、
セラミック等の耐熱絶縁性基板２上に通電発熱抵抗素子
３を設け、図示していない駆動回路によって該抵抗素子
３に記録電流を選択的に流して加熱するようにしてい
る。４はインクシートで、ベースペーパー５とその表面
に形成されている熱昇華染料層６とで構成されている。
７は記録紙で、通常合成紙が用いられており、８は弾性
加圧ローラーである。

そして記録動作時には、加圧ローラー８と記録ヘッド
１間にインクシート４と記録紙７とを挟んで加圧しなが
ら、記録ヘッド１に記録信号を印加する。記録信号の印
加により発熱抵抗素子３は発熱し、その発熱はインクシ
ート４のベースペーパー５を通って伝達され、熱昇華染
料層６を昇温する。熱昇華染料層６から加熱温度や時間
に対応した量の染料が昇華し、記録紙７の表面に染着し
て画像９を形成する。

〔発明が解決しようとする問題点〕

かかる記録法におけるインクシートに用いる染料の熱
昇華は、その種類によって異なる挙動を示すが、プリン
ター等の短時間の加熱で記録を行うのに適用するもので
は、150℃程度の温度で多量の昇華が生ずるものが用い
られている。

ところが、プリンター用のインクシートに用いられる
熱昇華染料は、上記温度より低い室温レベルの温度で
も、長時間の間には徐々に昇華が進行し、記録紙上に形
成された画像濃度が低下したり、あるいは重ね合わせて
保管した場合、記録紙の裏面に画像が再昇華転写してし
まう等の不都合が生ずる。

これらの不都合を防止するためには、昇華温度の高い
染料を用いればよいわけであるが、かかる昇華温度の高
い染料を用いると記録を行う場合には、記録ヘッドの発
熱体を高い温度まで昇温しなければならず、したがって
記録ヘッドの寿命が著しく短くなり、また記録ヘッドを
駆動する記録信号源の電気的容量を大きくしなければな
らない等の不都合を生じ、本質的な解決とはならない。

また前記不具合の別の防止策として、記録紙上に形成
された記録画像表面に透明なプラスチックシートをラミ
ネートして染料の再昇華を防止する方法が用いられてい
る。第６図（Ｂ）はその態様を示す図で、記録紙７の画
像９が形成されている側の表面を透明プラスチックシー
ト10でラミネートしている。この方法によれば、低い昇
華温度の染料を適用できるから、記録ヘッドや電源の負
荷が軽減される点などで、極めて好都合であるが、プリ
ンターの内部にラミネーターを組み込むことは容易では
なく、また消耗品としてインクシートや記録紙の他にラ
ミネートフィルムを用意することは、その取り扱いも複
雑化して好ましくないという問題点がある。

このような問題点を解消するため、特開昭62−97888
号公報には、熱転写型感熱記録媒体に、熱により第１の
転写型感熱記録用シートの昇華性染料を転写したのち、
熱により第２の転写型感熱記録用シートの低融点材を、
昇華性染料が転写された記録媒体に転写する転写型感熱
記録方法が開示されている。

しかしながら、この公報開示の転写型感熱記録方法に
おいては、記録媒体の画像形成領域が考慮されておら
ず、記録媒体の全面に画像形成領域が形成されている場
合には低融点材が記録媒体全体に転写されることにな
る。そして、低融点材としてワックスなどが用いられる
と、記録媒体への加筆性や捺印性が損なわれてしまうと
いう問題点がある。

また上記公報開示の記録方法においては、記録媒体に
昇華性染料を転写する手段と、昇華性染料を転写した記
録媒体に低融点材を転写する手段とを、どのような配置
関係にするかは何も考慮されておらず、同一の転写手段
を共用して昇華性染料の転写と低融点材の転写とを行う
場合は、転写手段が低融点材の転写工程において記録媒
体に及ぼす作用力が昇華性染料の転写工程に影響を与
え、画質を劣化させてしまうという問題点がある。

本発明は、従来の熱昇華転写画像記録方法における上
記問題点を解消するためになされたもので、熱溶融コー
ティング物質を画像形成した記録紙面上に転移させて
も、加筆性や捺印性が損なわれず、また熱昇華染料を転
写する画像形成手段と、コーティング物質を転移させる
コーティング手段における記録紙の搬送条件を独立に設
定できるようにした熱昇華転写画像記録装置を提供する
ことを目的とする。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

上記問題点を解決するため、特許請求の範囲第１項記
載の発明は、熱昇華染料を熱記録手段によって選択的に
加熱して記録紙上に画像を形成する熱昇華転写画像記録
装置において、熱昇華染料を塗布したインクシートと記
録紙とを重ね合わせて、インクシート側から記録信号に
対応して作動する加熱手段によって選択的に熱を作用さ
せて熱昇華染料を記録紙表面へ転写する画像形成手段
と、シートの表面に熱溶融物質をコーティングした熱溶
融コーティング物質塗布シートを、前記画像形成手段に
より画像形成を終了した記録紙の画像面と重ね合わせ、
熱コーティングヘッドによって圧接しながら移送させ、
前記熱溶融コーティング物質塗布シートから直接記録紙
面上へコーティング物質を転移させるコーティング手段
とを備え、前記画像形成手段は記録紙の一部分に設けら
れた画像形成領域に画像を形成すると共に、前記コーテ
ィング手段は前記記録紙の該画像形成領域にのみコーテ
ィングを行うように構成するものである。

このように記録紙の一部である画像形成領域にのみコ
ーティングを行うように構成することにより、コーティ
ング物質の不必要な消耗を防止し、且つ記録紙面のコー
ティングによる劣化や加筆性並びに捺印性の低下を防止
することができる。

また特許請求の範囲第２項記載の発明は、熱昇華染料
を熱記録手段によって選択的に加熱して記録紙上に画像
を形成する熱昇華転写画像記録装置において、熱昇華染
料を塗布したインクシートと記録紙とを重ね合わせて、
インクシート側から記録信号に対応して作動する加熱手
段によって選択的に熱を作用させて熱昇華染料を記録紙
表面へ転写する画像形成手段と、前記画像形成手段の下
流側に且つ該画像形成手段とは独立に配置され、該画像
形成手段により画像形成を終了した記録紙と、シートの
表面に熱溶融物質をコーティングした熱溶融コーティン
グ物質塗布シートを重ね合わせ、熱コーティングヘッド
によって圧接しながら移送させ、熱溶融コーティング物
質塗布シートから直接記録紙面上へコーティング物質を
転移させるコーティング手段とを設けて構成するもので
ある。

このようにコーティング手段を画像形成手段の下流側
に該画像形成手段とは独立して配置することにより、コ
ーティング手段における動作が画像形成手段の昇華転写
工程に影響を与えて画質を劣化させる等の問題点は回避
され、また画像形成手段における記録紙の搬送条件とは
独立にコーティング手段によるコーティング条件を設定
することができる。

また上記特許請求の範囲第２項記載の熱昇華転写画像
記録装置において、記録紙が画像形成手段及びコーティ
ング手段で平面状に搬送されるように構成することによ
り、記録紙が厚手のカードのようなものであっても、支
障なく画像形成及びコーティングを行うことができる。

〔実施例〕

以下実施例について説明する。第１図（Ａ）〜（Ｃ）
は、本発明にかかる画像記録装置の実施例における記録
方法を説明するための図で、第１図（Ａ）は熱昇華転写
画像形成工程の態様を示す図である。

この画像形成工程は基本的には第６図（Ａ）に示した
従来の方法と同じであり、この実施例に適用する部材に
関しては、第６図（Ａ）と同一符号を附した部材は同一
構成部材を示している。但し、熱昇華染料層を構成する
染料の材質は、本発明においては比較的低い温度で昇華
する染料が適用可能であるから、インクシート４の染料
層及び記録紙面上に形成された画像については、それぞ
れ符号6a,9aを付して、第６図（Ａ）に示した従来の記
録法における態様と区別して示している。

モノクローム画像の場合には、１回の転写画像形成工
程で記録紙への画像形成を終了するが、カラー画像の場
合はシアン，マゼンダ，イエローの各色に対応する３回
の転写画像形成工程、またはこれにブラックを加えた４
回の転写画像形成工程で画像形成の工程を終了する。

第１図（Ｂ）は、上記画像形成工程に引き続いて行
う、熱溶融物質の転写コーティング工程における態様を
示している。図において、11は支持体シートで、12は該
支持体シート11上に設けられているワックス等の熱溶融
性コーティング剤層を示している。記録済みの記録紙７
は、図面の左手方向から右手方向に向けて移動する。そ
して発熱記録ヘッド１部分で、記録済みの記録紙７は支
持体シート11上の熱溶融コーティング剤層12と重ね合わ
されて、一様に信号を印加した発熱記録ヘッド１によ
り、コーティング剤を記録済みの記録紙７の画像面上に
一様に塗布し、コーティング層12aを得るようにしてい
る。

第１図（Ｃ）は、上記コーティング工程を経て得られ
た記録画像が形成された記録紙７を示し、9aは熱昇華染
料画像を、12aは熱溶融物質のコーティング層をそれぞ
れ示している。

このようにして得られた画像記録済みの記録紙は、上
記のように熱昇華染料画像の表面が例えばワックス等の
熱溶融コーティング物質で覆われた状態となっているの
で、保存中に熱昇華染料が再昇華して画像濃度が低下し
たり、あるいは重ね合わせて保管した場合に他の画像記
録紙の面上に染着して汚染する等の不具合の発生が防止
される。しかも、このように保存性能が積極的に保証さ
れることによって、より昇華温度の低い染料を用いて画
像を形成することが可能になるから、発熱記録ヘッドに
印加する記録エネルギーを減少させて記録ヘッドの寿命
を長くし、且つ記録信号回路の電気的な容量を小さくし
て回路を簡略化することができる。

本発明に適用される熱溶融コーティング物質は、少な
くともコーティング時の厚さにおいて、実質的に無色透
明であることが必要であるが、コーティングの厚さは数
ミクロン程度で、熱昇華転写画像の保存効果が得られる
ので、通常熱溶融転写記録に用いられるインクシートに
適用されるインク材料から着色成分のみを除去したよう
な材質のものが、本発明の熱溶融コーティング剤として
極めて良好に適用可能である。

次に本発明による効果を確認するために行った実験例
について説明する。

実施例 カラー画像形成用の、シアン，マゼンタ，イエローの
３色の熱昇華式インクシートを用い、12ドット/mmの素
子密度のサーマルヘッドを適用して、合成紙からなる記
録紙上に、各色毎にベタ状に昇華転写画像を形成してサ
ンプルを作成した。

次にカラー画像形成用の熱溶融転写記録用インクから
着色成分を除去した透明インクを、支持体シートに塗布
してなるインクシートを作成し、前記サンプルの画像
面上に、前記12ドット/mmのサーマルヘッドを用いて、
上記インクシートから透明インクを溶融転写してサンプ
ルを作成した。

次いでサンプルとサンプルの画像形成側の面上に
別の合成紙からなる記録紙を重ね合わせ、50℃の電気炉
中に15時間放置した後に取り出して観察したところ、次
のような結果を得た。

すなわち、サンプルにおいては、画像と重ね合わせ
た他の記録紙上に濃度はかなり薄いが、画像形状の輪郭
の明確な染料の再転写が生じていた。

サンプルにおいては、画像と重ね合わせた他の記録
紙上には認知しうるような染料の再転写は生じていなか
った。

これらの実験結果を考察すると、上記実験に用いた熱
昇華式インクシートは、画像形成後に、その表面に被着
層を設けなくても安定に保存できることを目途に作成さ
れているものを使用したために、記録紙に転写された画
像からの染料の他の記録紙への再転写は僅かであった。
しかしながら上記安定性を得るために染料の昇華温度が
高く、正常な濃度の転写画像を得るために必要なエネル
ギー量は、通常熱溶融転写に要するエネルギー量の約３
倍であった。このような高いエネルギー印加に耐えて長
い寿命を有する熱記録ヘッドを実現することは容易では
なく、且つ高いエネルギーを印加するための電源及び駆
動回路は大型化し、コスト高になる問題点がある。これ
らの欠点に加えて比較的昇華温度の高い染料を用いて
も、染料の再転写を完全には防止しきれないことが、上
記実験によって確認された。

これに対して、熱溶融物質を熱昇華転写画像面上に熱
溶融コーティングする本発明の記録装置による記録法に
よれば、熱昇華染料転写画像からの染料の再昇華が完全
に防止できることが確認された。したがって画像濃度の
耐久的低下や、他の記録紙への記録画像の染料による汚
染を完全に防止することができ、且つ同時により低い温
度で昇華する染料の適用が可能となるから、記録ヘッド
の製作や、電源及び駆動回路の製作も容易になることが
解った。

なお、画像記録のための記録ヘッドは、記録信号によ
って作動する加熱手段であればどのような構成のもので
もよく、前述の通電発熱抵抗体のセグメント化された素
子から構成されている記録ヘッドのみならず、記録信号
によって変調され、且つフライングスポット状に走査す
る光エネルギーのレーザービームスキャナー等も用いる
ことができる。また熱溶融コーティング物質を塗布した
シートの加熱手段としては、赤外線等の非接触的な手段
を用い、透光板によって記録済みの記録紙の画像面とコ
ーティング層を設けたシートとを圧接して、前記非接触
加熱手段で加熱しコーティング層を形成する等の構成を
採用することも可能である。

ところで、本発明に係る記録装置を実施する場合には
種々の形態をとり得るものである。典型的な形態の一つ
は、熱昇華記録部の下流側に熱溶融物質のコーティング
部を設ける構成である。もう一つの典型的な形態は、熱
昇華転写記録を行うための記録ヘッドと熱溶融コーティ
ングを行うための加熱手段とを共用し、且つインクシー
トも熱昇華染料塗布部と熱溶融コーティング剤塗布部と
を連続した一枚のシート上に設けた構成のものを用いる
ようにする形態である。

更に上記両者の形態を混合したような構成も可能であ
る。すなわち、熱昇華染料塗布部と熱溶融コーティング
剤塗布部を連続した一枚のシート上に設けたインクシー
トを適用し、熱昇華転写記録を行う記録ヘッドとコーテ
ィングを行う加熱手段とは、それぞれ別個のものを用い
るように構成することもできる。

第２図は、熱昇華転写記録部とコーティング部の各部
を完全に独立させた、本発明に係る画像記録装置の一実
施例を示す図である。同図において、21は熱記録ヘッド
で、セラミックやガラス基板上に通電発熱抵抗体を画素
単位の大きさに分割して配置し、発熱抵抗体の各セグメ
ントに記録信号を印加するような構成となっている。24
は熱昇華転写記録用のインクシートであり、22はその供
給ロールで、23はその巻取ロールである。26は記録紙
で、27a,27b,28a,28bは記録紙ガイドである。25は与圧
ローラーで、前記熱記録ヘッド21に圧接するように配置
されている。

そして、上記各部材は熱昇華転写記録部を構成してい
て、単色記録の場合には記録紙26及びインクシート24は
それぞれ矢印a,b方向に１回移動して記録工程を終了す
るようになっている。また多色記録の場合には、記録紙
26が往復動し、一方インクシート24は一方向に移動し
て、各色に塗り分けられたシート部分が同一記録紙と順
次対向するような構成をとるようになっている。

多色記録の他の構成例としては、前記の単色転写記録
部を多段に直列配列して各記録部に各色のインクシート
を適用し、記録紙が各色の記録部を順次通過するように
した構成をとることもできる。

熱溶融物質のコーティング部は、第２図に示すよう
に、熱昇華転写記録部の下流側に配置されている。29は
熱コーティングヘッドで、このヘッド29は記録紙26の全
幅方向に一様に加熱作用を及ぼすように構成されてお
り、したがって発熱部は分割されている必要はなく、且
つ連続的に所定温度が維持できればよいので、熱応答性
等は考慮されなくてもよい。32は熱溶融コーティング物
質を塗布したシートであり、30はその供給ロールを、31
はその巻取ロールをそれぞれ示している。33は熱コーテ
ィングヘッド29に圧接するように配置された与圧ローラ
ーで、34a,34bは記録紙ガイドプレートを示している。
矢印ｃはシート32の移動方向を示し、左手方向からガイ
ド28a,28bを介して、熱昇華転写記録部における画像形
成工程を終了した記録紙が送られてきて、与圧ローラー
33と熱コーティングヘッド29のニップ部を通過する時
に、熱溶融コーティング物質塗布シート32から熱溶融物
質の供給を受けてコーティングが行われる。

なおシート32の移動速度は記録紙26の移動速度と必ず
しも同一である必要はなく、シート32に熱溶融コーティ
ング物質を厚く塗布しておいて、一画面当たりのシート
の巻取量を少なくすることも可能である。かくして画像
形成工程の終了後に熱溶融物質のコーティング工程が行
われ、本発明の熱昇華転写画像記録の全工程を終了す
る。

画像記録のための熱昇華染料塗布部分と、コーティン
グのための熱溶融物質塗布部分を一連のシート上に塗り
分けておき、且つ画像記録のための熱記録ヘッドと熱溶
融物質のコーティングのための熱コーティングヘッドを
共用するように構成することによって、消耗材の取り扱
いと装置の構成は極めて簡略化したものとなる。第３図
は上記思考に基づく本発明に係る記録装置の他の実施例
を示す図である。図において35は画像記録及び熱溶融物
質のコーティングの目的を兼ねた通電発熱記録ヘッドで
あるが、記録の目的を十分に満たす仕様のものを適用す
れば、その発熱量でコーティングの目的も容易に果たす
ことができる。36は消耗材であるインクシートで、一枚
のシートに熱昇華染料塗布部と熱溶融物質塗布部が、所
定の組み合わせで繰り返すように配列して構成されてい
るものであり、37はその供給ロールで、38は巻取ロール
である。39は前記通電発熱記録ヘッド35に圧接するよう
に配置された与圧弾性ローラー、40a,40b,42a,42bは記
録紙ガイドプレート、41a,41b,43a,43bは記録紙送りロ
ーラー、44は記録紙をそれぞれ示している。

インクシート36は矢印方向に連続して送られ、与圧ロ
ーラー39と熱記録ヘッド35のニップ部を、熱昇華染料塗
布部と熱溶融物質塗布部が所定の順序で周期的に通過す
る。記録シート44は右手方向に向けて移動して、ニップ
部において先ず前記シート36の熱昇華染料塗布部と重ね
合わされて、熱記録ヘッド35による選択的な熱の作用を
受けて画像形成の工程が行われる。画像形成工程が一画
面分終了すると、与圧ローラー39と熱記録ヘッド35のニ
ップ部を解除して、記録紙44を供給側に送り戻し、次い
で再びニップ部を形成すると共に、記録紙44も再度ニッ
プ部へ向けて搬送して、該記録紙44を今度はシート36の
熱溶融物質塗布部と重ね合わせ、そして熱記録ヘッド35
には全記録幅を同時に発熱させるように信号を印加し、
画像を形成した記録紙に熱溶融物質の非選択的なコーテ
ィングを行って画像記録工程を終了する。

なお多色画像記録を行う場合には、画像記録工程中に
おいて、記録紙を往復動させ、一方インクシートとして
は各色染料を各画面単位で塗布したものを用いて、一方
向に移動させて同一記録紙に各色画像の記録を順次行う
機構を設けておき、該機構を利用することにより多色画
像記録を容易に行うことができる。

第４図及び第５図は、本発明に係る熱昇華転写画像記
録装置を実施する場合に好適な画像記録用インクシート
の構成例を示す図である。これらの構成例は第３図に示
した構成のラインプリンタータイプの記録装置に適合す
る構成となっている。第４図はモノクロームの画像記録
用のシートを示す斜視図で、単色の熱昇華染料塗布部Ｂ
と熱溶融物質塗布部Ｔを一枚のシート中に設けて単位シ
ートＸを形成し、該単位シートＸを繰り返して長尺の画
像記録用インクシートを構成している。

第５図は多色画像記録用のシートを示す斜視図で、シ
ート上にシアンC,マゼンタM,イエローＹの各色の熱昇華
染料を順次塗布した部分に、連続して、熱溶融物質を塗
布した部分Ｔを設けて単位シートＺを形成し、該単位シ
ートＺを複数繰り返してロール状の長尺シートを構成し
ている。

このように画像形成のための熱昇華染料塗布シートと
熱溶融物質のコーティングのためのコーティング剤塗布
シートを一体化して、画像記録用のインクシートを構成
したため、２種類のシートの取り扱いを単純化できる効
果に加えて、かかる構成の画像記録用インクシートを用
いれば画像形成のための熱記録ヘッドとコーティングの
ための熱コーティングヘッドを共用化することができ、
本発明に係る画像記録装置を実施する上で極めて好都合
である。

上記各実施例は、ラインプリンタータイプの記録装置
に適用したものを示したが、本発明は、これのみに限ら
ずシリアルプリンタータイプの記録装置にも適用可能で
あり、その適用に際しては、記録装置の構成は種々の形
態をとりうるものであり、それに対応して好適なインク
シートの形状も適宜選定される。例えば、第４図及び第
５図には画面幅に等しい幅で記録を行うラインプリンタ
ータイプに適した画像記録用インクシートを示している
が、シリアルプリンターに適用する場合には、記録ヘッ
ドの幅に等しい幅の狭いテープ状の画像記録用インクシ
ートが適用される。

また画像形成やコーティングのために用いられる各熱
ヘッドについては、上記実施例では、接触型の抵抗加熱
方式のものを示したが、これに限定されず、レーザービ
ームや他の赤外線放射源等の非接触型のエネルギー源も
適用することができる。

また、第２図及び第３図に示した実施例では、画像形
成部と熱溶融物質コーティング部を装置中に一体化して
組み込んだものを示したが、これらを別体にして個別装
置に構成し本発明を実施することも可能である。

記録画面上をコーティングする熱溶融コーティング物
質は、コーティングした状態において少なくとも可視光
領域で実質的に透明なものであればよく、非可視光領域
での吸収はあっても支障はない。

また熱溶融物質によるコーティングは記録画像面全面
に亘って施すようにしたものを示したが、画像形成領域
のみコーティングを行い、記録紙の余白部や背景部等の
画像形成を行わない領域にはコーティングを施さないよ
うにしても、本発明による効果は低減しないものであ
る。

〔発明の効果〕

以上実施例に基づいて説明したように、特許請求の範
囲第１項記載の発明によれば、記録紙表面の一部である
画像形成領域にのみコーティングが行われるように構成
されているので、コーティング物質の不必要な消耗を防
止し、且つ記録紙面のコーティングによる劣化や加筆性
並びに捺印性の低下を防止することができる。

また特許請求の範囲第２項記載の発明によれば、コー
ティング手段を画像形成手段の下流側に該画像形成手段
とは独立して配置しているので、コーティング手段にお
ける動作が画像形成手段の昇華転写動作に影響を与えて
画質を劣化させる等の問題点は回避され、また画像形成
手段における記録紙の搬送条件とは独立にコーティング
手段によるコーティング条件を設定することが可能とな
る。また上記特許請求の範囲第２項記載の熱昇華転写画
像記録装置において、記録紙が画像形成手段及びコーテ
ィング手段で平面状に搬送されるように構成することに
より、記録紙が厚手のカードのようなものであっても、
支障なく画像形成及びコーティングを行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ）は、本発明に係る熱昇華転写画像記録装置
における画像形成工程の態様を示す図、第１図（Ｂ）
は、その熱溶融物質コーティング工程の態様を示す図、
第１図（Ｃ）は、コーティング工程を経た記録紙を示す
断面図、第２図は、本発明に係る画像記録装置の一実施
例を示す概略図、第３図は、同じく記録装置の他の実施
例を示す概略図、第４図は、本発明に係る記録装置に用
いるモノクローム画像記録用のインクシートを示す斜視
図、第５図は、同じく多色画像記録用のインクシートを
示す斜視図、第６図（Ａ）は、従来の熱昇華転写画像記
録法を示す説明図、第６図（Ｂ）は、従来のラミネート
による再昇華防止手段を施した記録紙を示す断面図であ
る。 図において、１は発熱体記録ヘッド、３は発熱抵抗素
子、４はインクシート、6aは熱昇華染料層、７は記録
紙、８は弾性加圧ローラー、9aは転写画像、11は支持体
シート、12は熱溶融コーティング剤層、12aはコーティ
ング層を示す。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱昇華染料を熱記録手段によって選択的に
   加熱して記録紙上に画像を形成する熱昇華転写画像記録
   装置において、熱昇華染料を塗布したインクシートと記
   録紙とを重ね合わせて、インクシート側から記録信号に
   対応して作動する加熱手段によって選択的に熱を作用さ
   せて熱昇華染料を記録紙表面へ転写する画像形成手段
   と、シートの表面に熱溶融物質をコーティングした熱溶
   融コーティング物質塗布シートを、前記画像形成手段に
   より画像形成を終了した記録紙の画像面と重ね合わせ、
   熱コーティングヘッドによって圧接しながら移送させ、
   前記熱溶融コーティング物質塗布シートから直接記録紙
   面上へコーティング物質を転移させるコーティング手段
   とを備え、前記画像形成手段は記録紙の一部分に設けら
   れた画像形成領域に画像を形成すると共に、前記コーテ
   ィング手段は前記記録紙の該画像形成領域にのみコーテ
   ィングを行うように構成されていることを特徴とする熱
   昇華転写画像記録装置。
2. 【請求項２】熱昇華染料を熱記録手段によって選択的に
   加熱して記録紙上に画像を形成する熱昇華転写画像記録
   装置において、熱昇華染料を塗布したインクシートと記
   録紙とを重ね合わせて、インクシート側から記録信号に
   対応して作動する加熱手段によって選択的に熱を作用さ
   せて熱昇華染料を記録紙表面へ転写する画像形成手段
   と、前記画像形成手段の下流側に且つ該画像形成手段と
   は独立に配置され、該画像形成手段により画像形成を終
   了した記録紙と、シートの表面に熱溶融物質をコーティ
   ングした熱溶融コーティング物質塗布シートを重ね合わ
   せ、熱コーティングヘッドによって圧接しながら移送さ
   せ、熱溶融コーティング物質塗布シートから直接記録紙
   面上へコーティング物質を転移させるコーティング手段
   とを備えていることを特徴とする熱昇華転写画像記録装
   置。
3. 【請求項３】前記記録紙は、前記画像形成手段及びコー
   ティング手段において、平面状に搬送されるように構成
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第２項記載
   の熱昇華転写画像記録装置。