JP2555006Y2 - 天板のエッジ材の止着構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は机，カウンター，テーブ
ル等のように天板を具備した主としてスチール製家具に
おける天板のエッジ材を、簡単かつ合理的な構造で止着
保持できるようにしたエッジ材の止着構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】机等のスチール製家具の天板は、デザイ
ン上、或は、実用上などの観点から、その天板のエッジ
に合成樹脂製等のエッジ材を装着することが従来から行
なわれている。

【０００３】従来のエッジ材の止着構造は、一般に、天
板のエッジ側の断面形状を複雑なメス構造とする一方、
合成樹脂製等のエッジ材を、前記メス構造に対向する側
の断面を当該メス構造に嵌合するオス構造に形成したも
のを使用したり、エッジ材をビス等によって外側から天
板のエッジ側に止着したあと、前記ビス等を帯状等をな
す合成樹脂製等のマスク材で被覆すること、或は、エッ
ジ材を天板のエッジ側に接着剤により貼着固定して取付
けること等が行われている。

【０００４】しかし、上記のような従来の一般的なエッ
ジ材の止着構造には次のよう欠点がある。即ち、エッジ
材と天板のエッジ側にそれぞれ形成されたオス，メスの
止着構造では、止着作業が嵌め込み作業であるため簡便
であるが、エッジ材側では断面形状が複雑になるため、
エッジ材の成形金型コストが高くなり、また天板側では
エッジ側の断面形状を複雑な折り曲げ加工により形成す
るため加工手間やコストの面で高価に付くという難点が
ある。

【０００５】一方、ビス等によりエッジ材を止着する構
造のものは、天板側のエッジ断面を簡易な形状にできる
利点はあるものの、止着作業にタッピング作業やビス止
め作業を要するので、作業が煩雑であるのみならず、ビ
ス止めの上に帯状のマスク材を貼着したり、止着しなけ
ればならないため作業が煩わしいという難点がある。ま
た、エッジ材を接着剤により取付けるものは、接着剤の
塗布作業やそのエッジ材を貼着する作業が煩雑であるの
みならず作業に多少の習熟を要し、習熟者であっても接
着剤のハミ出しが生じたり、均質な取付けを行いにくい
ため、十分な接着強度が得にくく、このため耐久性も低
いという問題がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】このような従来技術に
鑑み、本考案は天板側端面の側断面形状をビス止め構造
のものと変らない簡易な平坦面形状にできる一方、止着
構造はオス，メス構造の嵌合構造を利用してビス等を全
く使用しないで確実，正確な取付けが可能なエッジ材の
止着構造を提供することを課題としてなされたものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本考案の構成は、水平な上，下面
板に挟まれた天板のエッジ側端面をフラットな立壁面に
形成し該壁面の上，下に係合穴を形成すると共に、前記
上，下の係合穴にそれぞれ上，下方向において弾撥的に
嵌合する弾撥翼片が後面側の上，下に形成され、かつ、
前面寄りの上，下面に凹状の係止断面が形成されたエッ
ジ材の係合保持部材を、その弾撥翼片を前記係合穴にそ
の前面から押込み上，下方向に拡開させて装着すること
により、前記天板のエッジ側端面にエッジ材の取付部を
形成し、該取付部の前面に、前記係止断面を上，下から
係合抱持する抱持部を裏面側に形成したエッジ材を、前
面から押込むことにより取付けたことを特徴とするもの
である。

【０００８】

【実施例】次に、本考案の実施例を図に拠り説明する。
図１は本考案のエッジ材の係合保持部材の一例の側面
図、図２は図１の左側面図、図３は図１の平面図、図４
は図１の右側面図、図５は本考案に使用するエッジ材の
一例の側断面図、図６はエッジ材の別例の側断面図、図
７は机の天板に本考案のエッジ材止着構造を適用した一
例の側断面図である。

【０００９】図１〜図４において、１は本考案で使用す
るエッジ材８又は９（後述する）の係合保持部材Ａにお
けるベース部材で、正面からみて略矩形状をなす小片板
状に形成されていると共に、ベース部材１の上，下端面
には浅溝状乃至は浅段状をなす凹状の係止断面２，３が
その正面幅において形成されている。

【００１０】４，５は、上記の係止断面２，３の底部か
ら少し立上り、前記両断面２，３にそれぞれ一体に前記
ベース部材１の後面側へ延設形成されるとともに、当該
延設部が、その側断面形状を対称な略Ｃ状をなすように
形成した上，下２つの弾撥翼片である。この２つの翼片
４，５は、実施例においてはそれらの幅が上記ベース部
材１の正面幅の大略１／２程度で当該ベース部材１の略
中央に設けられているが、この幅を図示した例より大き
くするか、小さくするかは、この翼片４，５自体により
所要の弾撥力が得られれば任意である。

【００１１】上記２つの弾撥翼片４，５は、それらの内
面側にリブ４ａ，５ａを夫々に有すると共に両翼片４，
５の先端側と根元側との間にアーチ状の補助バネ部４
ｂ，５ｂが形成されている。これらのリブ４ａ，５ａ、
補助バネ部４ｂ，５ｂは、当該弾撥翼片４，５の反撥力
の確保，調整のために形成されたものである。従って、
これらの翼片４，５の幅，肉厚を設計調整することによ
り所要の反撥力が得られるときには、上記リブ４ａ，５
ａや補助バネ部４ｂ，５ｂを設けないでもよいこともあ
る。

【００１２】なお、上記ベース部材１の前面には、正面
の両端から凹陥した浅溝状の凹部１ａと、正面からみて
略１状をなす前面平坦部１ｂと裏面平坦部１ｃとが形成
されており、上記１〜５の各部の構成によって、本考案
におけるエッジ材８又は９を取付けるための係合保持部
材Ａの一例を形成する。

【００１３】上記保持部材Ａは、例えばスチール製天板
Ｔにおける周囲の縁、つまり、前記縁や後縁等のエッジ
側端面即ち、立壁面Ｔｖに形成された係合穴６，７に取
付けられるので、次にこの点を図７により説明する。

【００１４】即ち、まず上記天板Ｔの前エッジ側はフラ
ットな立壁面Ｔｖに形成されると共に、当該壁面Ｔｖ
に、上記係合保持部材Ａの弾撥翼片４，５が上，下方向
に弾撥的に嵌入される係合穴６，７が形成されている。
そして、この穴６，７は上記壁面Ｔｖの長さ方向に適当
なピッチで設けられ、各組の穴６，７に、それぞれ上記
保持部材Ａが押込み装着されるのである。

【００１５】上記天板Ｔにおけるエッジ側の立壁面Ｔｖ
に設けられた係合穴６，７に、上記保持部材Ａを前面か
ら押込んで装着するとき、両弾撥翼片４，５が拡開し、
その上面４ｃと下面５ｃは、夫々天板Ｔの構成部材であ
る水平な上面板Ｔ１と下面板Ｔ２の内面に当接すると共
に、当該翼片４，５の先端側において対向した溝部４ｄ
と溝部５ｄとが、穴６，７の縁６ａ，７ａに係合すると
共に立壁面Ｔｖの前面に、ベース部材１の裏面平坦部１
ｃが当接することにより、天板Ｔの前面のエッジ立壁面
Ｔｖにぴったり密着して強固に取付保持されることとな
る。図７においてＣは天板Ｔの上面板Ｔ１の上に貼着し
た合成樹脂シート等による外装材である。

【００１６】このようにして、天板Ｔの前面を始めとす
る周囲の縁、つまりエッジ側が平坦な立壁面Ｔｖであっ
ても、ただ係合穴６，７を形成するだけで、エッジの係
合保持部材Ａを取付けてエッジ取付部に形成できるの
で、天板Ｔの折曲げ作業が簡単な型と作業で済むことと
なる。

【００１７】そして、上記のようなエッジ材の取付保持
部Ａに対しては、一例として図５，図６に示すような断
面形状のエッジ材８，９を取付けるのである。この場
合、エッジ材８，９の前面側の断面形状は一例として図
５，図６に示すように任意形状でよいが、後面側の断面
形状は、上記保持部材Ａにおける前面側の上，下に形成
した係止断面２，３に合致する形状とする必要がある。

【００１８】而して、図５，図６のエッジ材８，９は、
その後面側の上，下部に、上記保持部材Ａの係止断面
２，３に合致する形状の係合凸部１０，１１が形成され
ていると共に、前面意匠部Ｄの裏面が保持部材Ａのベー
ス部材１の前面平坦部１ｂに当接する当接面１２に形成
されている。

【００１９】上記のエッジ材８，９は、天板Ｔのエッジ
立壁面Ｔｖの係合穴６，７に天板Ｔの長さに沿って適宜
のピッチで取付けられた各係合保持部材Ａの上，下部に
形成された係止断面２，３に、エッジ材８又は９の係合
凸部１０，１１を位置付け、当該エッジ材８又は９をそ
の前面側から各保持部材Ａに押付けることにより、前記
係合凸部１０，１１が弾撥的に保持部材Ａの係止断面
２，３に嵌合して保持されることとなるのである。

【００２０】

【考案の効果】上記のように本考案のエッジ止着構造
は、水平な上，下面板に挟まれた天板のエッジ側端面を
フラットな立壁面に形成すると共に、この立壁面の上，
下に係合穴を形成し、これらの係合穴にそれぞれ上，下
方向において弾撥的に嵌合する弾撥翼片が後面側の上，
下に形成されたエッジ材の係合保持部材を、その弾撥翼
片を前記係合穴に穴の前面から押込み上，下方向に拡開
させて装着するようにしたので、前記天板の側端面はフ
ラットな立壁面に形成すれば足りると共に、簡単な取付
操作によってエッジ材の取付部を形成することができ、
しかも、その取付部は係合保持部材の弾撥翼片の作用に
よってフラットな立壁面にぐらつきがなく強固に取付け
た状態に形成することができる。従って、本考案のエッ
ジ止着構造によれば、エッジ材をいわばワンタッチで確
実強固に装着することができると共に、天板側のエッジ
の断面形状も加工が容易なフラット形状ですみ、取付け
に何らの習熟も要しないという格別の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案係合保持部材の一例の側面図。

【図２】図１の左側面図。

【図３】図１の平面図。

【図４】図１の右側面図

【図５】本考案に使用するエッジ材の一例の側断面図。

【図６】エッジ材の別例の側断面図。

【図７】机の天板に本考案のエッジ材止着構造を適用し
た一例の側断面図。

【符号の説明】

１ ベース部材 ２，３ 係止断面 ４，５ 弾撥翼片 ４ａ，５ａ リブ ６，７ 係合穴 ４ｂ，５ｂ 補助バネ部 Ａ 係合保持部材 ８，９ エッジ材 １０，１１ 係合凸部 １２ 当接面

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平な上，下面板に挟まれた天板のエッ
   ジ側端面をフラットな立壁面に形成し該壁面の上，下に
   係合穴を形成すると共に、前記上，下の係合穴にそれぞ
   れ上，下方向において弾撥的に嵌合する弾撥翼片が後面
   側の上，下に形成され、かつ、前面寄りの上，下面に凹
   状の係止断面が形成されたエッジ材の係合保持部材を、
   その弾撥翼片を前記係合穴にその前面から押込み上，下
   方向に拡開させて装着することにより、前記天板のエッ
   ジ側端面にエッジ材の取付部を形成し、該取付部の前面
   に、前記係止断面を上，下から係合抱持する抱持部を裏
   面側に形成したエッジ材を、前面から押込むことにより
   取付けたことを特徴とする天板のエッジ材の止着構造。