JP2554354B2 - 吸収材の製造方法 - Google Patents

吸収材の製造方法

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JP2554354B2
JP2554354B2 JP63040482A JP4048288A JP2554354B2 JP 2554354 B2 JP2554354 B2 JP 2554354B2 JP 63040482 A JP63040482 A JP 63040482A JP 4048288 A JP4048288 A JP 4048288A JP 2554354 B2 JP2554354 B2 JP 2554354B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は高吸収性樹脂を含有する使捨ておむつや生理
用ナプキンなどに好適な吸収材の製造方法に関し、特に
上記樹脂モノマーが効率良く繊維ウェブに固着させるこ
とによって上記樹脂の吸収性能を向上せしめ、多量の尿
や血液などを短時間で吸収することができ、しかも薄く
てコンパクトでかつ安全性の高い吸収材を、連続的に効
率よく短時間で製造することを可能にするものである。
[従来の技術] 従来より一般に、高吸収性樹脂を利用した使捨ておむ
つや生理用ナプキンなどは、基本的構造が、例えば、直
接肌に接する側の透水性トップシート、中間の液体吸収
保持層および外側の不透水性バッキングシートからな
り、そして上記液体吸収保持層として高吸収性樹脂を含
有してなるシート状の吸収材が広く使用されている。
従来この吸収材には、例えば特開昭59−1351149公報
にて提案されたものがある。この吸収材は高吸収性樹脂
が繊維ウェブに固着してなる吸収材であって、このよう
な吸収材の製造に際しては、一般に、 〔工程1〕 繊維ウェブを形成する。
〔工程2〕 繊維ウェブにモノマー溶液を塗布する。
〔工程3〕 重合反応を行う。
といった方法を採っていた。ここで一般に上記モノマー
溶液としてはアクリル酸系高吸収性樹脂などを用い、ま
た繊維ウェブとしては、直線状の繊維基材が互いに平行
にあるいは僅かの交絡点を有しながら近接した位置に配
置されてなる構成のものを使用していた。
[発明が解決しようとする課題] ところがこのような従来の吸収材の製法によれば、繊
維ウェブの各構成繊維基材に付着した上記モノマー溶液
が低粘度であり、しかも繊維ウェブが上述のように各々
の繊維が単に近接して配置してなる構成であったため、
モノマー溶液がそれ自体では構成繊維基材の一本一本に
強固に固着することができず、繊維軸に沿って滑落する
欠点があった。この場合には、滑落したモノマー溶液の
液滴は、構成繊維基材相互の交絡点あるいは近接点で捕
束され、そこで大きな液滴を形成してしまう傾向にあっ
た。そしてこのような大きな液滴が形成されると、液滴
の中心部まで均一に重合反応が進まず、吸収性の高い吸
収材を得ることが難しいという問題が生じた。またこの
ようにして形成された吸収材にあっては、比表面積が
小さいので、尿などの吸収速度が遅い、尿などに触れ
ると表面層にゲルが形成され、このゲルのために尿など
が内部にまで浸透しにくい(ゲルブロック)、樹脂を
支える構成繊維または/および周囲の樹脂によって膨潤
が妨げられ、このため尿などの吸収が停止する、あるい
は風合いが悪くなって着用感が低下するなどといった
多くの問題を包含していた。
そこで本発明は上述の問題を解消し、高吸収性樹脂を
微細な形状で繊維ウェブに固着させることによって、優
れた吸収性能を有する吸収材を製造する方法を提供する
ことを目的としている。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するために、本発明は、アクリル酸系
高吸収性樹脂モノマー溶液を繊維ウェブに塗布し、次い
で重合させて高吸収性樹脂が固着した吸収材を製造する
に際し、無機超微粒子粉、水溶性ポリマー、高分子量多
糖類および多価金属塩の群から選ばれる少なくとも1種
の増粘剤を、予め繊維ウェブに付着させておくことを特
徴にしている。
[作用] この方法によれば、増粘剤の使用によってモノマー溶
液の粘度を高めることができるので、従来のようにモノ
マー溶液が繊維軸から滑落して大きな液滴を形成すると
いった不都合なく、強固にしかも効率良く繊維ウェブに
固着することが可能となるので、高吸収性樹脂の吸収性
能の向上が実現できる。
増粘剤を繊維ウェブの特定部位にのみ塗布すること
で、当該部位には残余の部位に比べて高吸収性樹脂を特
に多く、かつ微細な形状で形成することができる。
以下、本発明について図面を用い詳細に説明する。
第1図は、本発明の製造方法の一例を示す構成図であ
り、概略、次に示す通りである。
〔工程1〕 繊維ウェブを形成する。
〔工程2〕 繊維ウェブに増粘剤を塗布する。
〔工程3〕 繊維ウェブにアクリル酸系樹脂モノマー溶
液を塗布する。
〔工程4〕 重合反応を行う。
〔工程5〕 電子線および/あるいは紫外線を照射す
る。
ここで、請求項1記載の方法では、上記各工程のうち
特に〔工程2〕において増粘剤を使用することに特徴が
ある。
以下、本発明について工程順に詳しく説明する。
〔工程1〕 まず繊維ウェブ1を形成する。この繊維ウェブ1とし
ては、目付けが10〜100g/m2程度のものが好適に使用さ
れる。目付け10g/m2未満では使捨ておむつ用などの吸収
材として必要とされる量の高吸収性樹脂モノマーを付着
させることが難しく、また100g/m2を越えると通気性が
悪くなる他経済的にも不利となるためである。またこの
繊維ウェブ1の嵩高性は、繊維基材1g当たりの繊維ウェ
ブ1の容積すなわち比容積で0.8〜1.6×102cc/g程度で
あるのが好ましい。これは0.8×102未満では後述のモノ
マー溶液が繊維基材に膜を形成して付着し、また1.6×1
02cc/gを越えると、得られる吸収材の厚さが大きくなり
すぎて後工程での取扱いが困難となるためである。
この繊維ウェブ1は、嵩高かつ高弾性の繊維を主成分
とするベース繊維と熱融着型バインダー繊維とを混合
し、カーディング等の手段によりウェブを形成したのち
熱融着して得ることができる。このような方法により得
られた繊維ウェブ1は通気性が良くかつ圧縮弾性率が良
好なものである点で、好適に用いられる。
ここで使用されるベース繊維は、繊度が2〜20デニー
ル程度のもので繊維長が32〜128mm程度のものが好まし
い。繊度が2デニール未満では大きな通気性と高い庄縮
弾性率を得ることが難しく、また20デニールを越えると
後述のモノマー溶液の付着量を十分向上させることがで
きないためである。また繊維長が32mm未満では各繊維間
同志の絡み合いが弱く、ウェブがシート切れを起こして
しまい、また128mmを越えると逆に絡み合いが強すぎて
高速での開繊、カーディングが困難となるためである。
このベース繊維となる重合体には、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリプロピレン、ポリエチレン繊維等が用いら
れるが、繊維性能に優れている点からポリエステル繊維
が好適に使用される。
またバインダー繊維としては、例えば第2図に示した
ような芯鞘型複合紡糸繊維2が好適に使用され、芯部2a
および鞘部2bを構成する重合体にそれぞれ溶融軟化点の
異なる2種の重合体を用いるのが好ましい。溶融軟化点
の低い重合体成分の軟化点は、溶融軟化点の高い重合体
成分のそれよりも少なくとも30℃以上低ければ特に限定
されず、このような熱可塑性重合体の組合わせの例とし
ては、例えば低融点のポリエステルとポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンとポリアミド、ポリエチレンとポリプ
ロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンとポリアミド等の組合わせが可能で
あるが、これ以外の組合わせのものでももちろんよい。
特に上記ベース繊維とポリエステル繊維を用いた場合に
は、低融点ポリエステルとポリエチレンテレフタレート
からなる芯鞘型複合紡糸繊維2を使用することが好まし
く、これによればポリエステル重合体同士が相溶するの
で極めて形態安定性の良い繊維ウェブ1を形成すること
が可能である。バインダー繊維は繊度が1.5〜6デニー
ル程度、繊維長が32〜128mm程度であるのが好ましい。
これは繊維が1.5デニール未満であると空隙率が小さく
なって通気性が悪化し、また6デニールを越えると繊維
の数が減少して交絡接着点の数が少なくなり、繊維ウェ
ブ1の形態安定性が損なわれるためである。また繊維長
が32mm未満では得られる繊維ウェブ1がシート切れを起
こし易く、128mmを越えると開繊、カーディング性が悪
くなるためである。また繊維ウェブ1中に占めるバイン
ダー繊維の割合は、5〜50重量%が好ましい。これは5
重量%未満であると繊維ウェブ1の形態安定性が不足
し、50重量%を越えると通気性の良い繊維ウェブ1を得
ることが難しくなる他、繊維ウェブ1の風合いが悪くな
るためである。
またこの繊維ウェブ1には、凹部を有する異形断面繊
維から構成された繊維基材より形成されてなるものを使
用することもできる。この場合には、繊維ウェブ1を構
成する各々の繊維基材の凹部が繊維ウェブ1の表面に向
くように配置して繊維ウェブ1を構成することが必要で
ある。これによれば後述の増粘剤溶液およびモノマー溶
液を塗布する際の付着効率を向上させることができる。
すなわち、繊維ウェブ1を構成する各々の繊維基材を異
形断面形状とすることにより、繊維表面の表面積が大き
くなるとともに、繊維ウェブ1表面に塗布された上記溶
液が凹部を伝わって内部にまで迅速に拡散し凹部内で高
濃度に濃縮されるようになるので、効率良く多量の増粘
剤およびモノマー溶液を付着することができる。
またこの繊維ウェブ1の一部または全部を、分割マル
チ繊維3から構成することも可能で、これによれば、得
られる吸収材の吸収性能をより一層向上させることがで
きる。
分割マルチ繊維3は、分割によって複数本のセグメン
ト繊維3a,3b,3c,3d…を形成するものであって、具体的
には例えば、第3図に示したような断面形状のものが好
適に使用される。第3図中符号3a,3b,3c,3dがそれぞれ
セグメント繊維であって、このような複数のセグメント
繊維3a,3b,3c,3dからなる分割マルチ繊維3を用いて高
吸収性樹脂4を固着させると、第4図に示したように各
セグメント繊維3a,3b,3c,3dに分割されると同時に上記
樹脂4が各々のセグメント繊維3a,3b,3c,3d間に捕束さ
れて強固に固着される。分割後のセグメント繊維の数は
特に限定されないが、通常2〜9本程度が好ましい。ま
たこの分割マルチ繊維3の形状は第3図に示したような
形状に限らず、例えば第5図に示したようないかなるも
のでもよいし、第6図に示したように一部に中空部3zを
設けてなる形状のものでもよいし、あるいはこれら以外
の形状のものでももちろんよい。ここで第6図に示した
ような中空部3zを有する形状の分割マルチ繊維3を使用
すれば、繊維ウェブ1の圧縮弾性率が格段に向上する点
から特に好ましく、この場合中空部3zのセグメント繊維
横断面積に占める割り合い、すなわち中空率は2〜30%
が好ましい。これは2%未満であると圧縮弾性率向上の
効果が十分得られず、30%を越えると溶融紡糸が困難で
あるためである。またこの各々のセグメント繊維3a,3b,
3c,3d間の密着性は、カーディングによって分割可能な
程度でかつ各セグメント繊維3a,3b,3c,3dが互いに近接
する程度に配置されていることが必要である。個々のセ
グメント繊維3a,3b,3c,3d間の密着性が弱すぎるとカー
ディングによって容易にばらばらに離散してしまって樹
脂の固着が難しくなり、また個々のセグメント繊維3a,3
b,3c,3d間の密着性が強すぎるとカーディング等の物理
的力によって分割することができなくなるためである。
この分割マルチ繊維3の分割のし易さは、繊維断面形
状、各セグメント繊維3a,3b,3c,3dを構成する重合体の
界面の大きさ、くいこみ形状等を調整して制御すること
が好ましい。または分割マルチ繊維3の延伸後の弛緩熱
処理およびその程度を適宜変えることによって各重合体
の界面に適度の剪断ひずみを付与することによっても、
上記のような分割し易さを制御することができる。
また分割マルチ繊維3を構成するセグメント繊維3a,3
b,3c,3dを、互いに相溶性のない2種以上の熱可塑性重
合体から構成すれば、上記分割マルチ繊維3を容易に製
造できるとともに、この分割マルチ繊維3の分割を円滑
に行うことができる。このような互いに相溶性のない2
種以上の熱可塑性重合体としては、例えばポリエチレン
とポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンとポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンとポリアミド、
ポリプロピレンとポリアミド、ポリプロピレンとポリア
ミドなどの組合わせからなる樹脂が好適に使用される。
ここで上記ポリエチレンとは、低密度ポリエチレン、中
密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの他に、ポリエ
チレンビニルアセテート、ポリエチレンエチルアクリレ
ート等の共重合体をも含んでいる。またポリエチレンテ
レフタレートとは、85モル%以上がエチレンテレフタレ
ートの繰返し単位から構成され、15モル%を越えない範
囲で他のジカルボン酸および/あるいはジオール成分か
らなる第3成分を共重合してなるものも含んでいる。こ
こで特に、一方の成分が繊維性能に優れたポリエチレン
テレフタレートであり、またこのポリエチレンテレフタ
レートと帯電圧が正負逆でありかつカーディングによる
静電気の発生を抑えることのできるポリプロピレンとの
組み合わせよりなる分割マルチ繊維3が好適に使用され
る。
またこのような分割マルチ繊維3からなる繊維ウェブ
1にモノマー溶液を固着させるに際して、この繊維ウェ
ブ1がモノマー溶液により圧縮されないだけの圧縮弾性
率を有していることが必要で、分割マルチ繊維3を構成
する個々のセグメント繊維3a,3b,3c,3dが繊度1.5〜15デ
ニールであることが望ましい。これは1.5デニール未満
であると圧縮弾性率が不足するとともにカーディングに
おいてネップを生じる不都合があり、また15デニールを
越えると繊維ウェブ1を構成する繊維の数が不足し、モ
ノマー溶液の塗布に際してモノマー付着量を高めること
ができなくなる不都合があるためである。
次に、このような分割マルチ繊維3を製造する方法に
ついて説明する。
この分割マルチ繊維3は、溶融複合紡糸技術を応用し
て製造することができる。例えば第7図に示したような
複合溶融紡糸装置を用いて、これに各重合体成分として
互いに相溶性のない2種の重合体5,6を供給し、第8図
に示すような断面形状を有する紡糸口金を用いて紡糸
し、3〜6倍程度に延伸し、機械捲縮を施して、次いで
適当な繊維長に切断することによって、第3図に示した
ような形状の分割マルチ繊維3を製造することができ
る。
また、このような分割マルチ繊維3を用いて繊維ウェ
ブ1を製造するに際しては、予め分割マルチ繊維3に嵩
高、高弾性のベース繊維と熱融着型のバインダー繊維と
を均一に混合し、カーディングによりウェブを形成した
のち、相互に熱融着させる方法を採ることもできる。こ
れによれば形態安定性の良い嵩高で通気性の良好な繊維
ウェブ1を得ることができる。ここで分割マルチ繊維3
に混入するベース繊維は、繊度が2〜20デニール、繊維
長が32〜128mm程度とされるのが好ましい。繊度が2デ
ニール未満であると通気性の良い大きな空隙と高い圧縮
弾性率を有する繊維ウェブ1が得られず、20デニールを
越えるとモノマー溶液の付着量を十分に高めることが難
しくなるためである。また繊維長が32mm未満であると繊
維間の絡み合い弱くて熱処理前にウェブが切れてしまい
易く、128mmを越えると逆に絡み合いが強すぎて高速で
の開繊、カーディングが難しくなるためである。ベース
繊維を構成する重合体には、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリプロピレン、ポリエチレン繊維等の中から選ば
れた1種以上の熱可塑性樹脂が好適に使用され、特にポ
リエステル繊維は繊維性能に優れているので好ましい。
分割マルチ繊維3とベース繊維との混合率は目標とする
繊維ウェブ1のモノマー溶液の付着量および圧縮弾性率
によって適宜調整することができるが、通常分割マルチ
繊維3に対して9倍以上の割合が好ましい。9倍未満で
はモノマー溶液の付着量を向上させる効果が得られない
ためである。またここで使用されるバインダー繊維は、
前述のような、熱処理によって溶融する低融点重合体成
分と溶融しない高融点重合体成分とを組合わせてなる芯
鞘型複合紡糸繊維2が好ましい。ここで鞘部2bに配する
低融点重合体成分と芯部2aに配する高融点重合体成分と
の割合は1:9〜9:1程度であればよい。1:9未満であると
芯鞘部の複合紡糸が難しく、9:1を越えると繊維性能が
低下してしまう不都合があるためである。バインダー繊
維は繊度が1.5〜6デニール、繊維長が32〜128mm程度と
されるのが好ましい。繊度が1.5デニール未満であると
繊維ウェブ1の圧縮弾性率が小さくなり、また6デニー
ルを越えると繊維の数が減少して交絡接着点が少なくな
り、繊維ウェブ1の形態安定性が損なわれるためであ
る。また繊維長が32mm未満では熱処理前にウェブがシー
ト切れを起こし易く、128mmを超えると開繊、カーディ
ング性が低下するためである。繊維ウェブ1中のバイン
ダー繊維の割合は5〜50重量%程度が好ましい。これは
5重量%未満であると繊維ウェブ1の形態安定性が不足
し、また50重量%を超えると繊維ウェブ1の風合いが損
なわれて紙のように硬くなってしまうためである。
またこの分割マルチ繊維3には、その表面に親水性付
与剤を塗布することもでき、これによってアクリル酸系
樹脂モノマーの付着量を高めることができる。このよう
な親水性付与剤としては、湿潤効果の大きな界面活性剤
のエマルジョン溶液あるいは親水基含有型のオリゴマー
のエマルジョン溶液があり、前者を使用すれば繊維ウェ
ブ1への付着を極めて均一に行うことができる利点があ
り、また後者を使用すれば耐久性のある親水性が付与さ
れて後述のモノマー溶液の付着量の向上が可能となる利
点がある。
ここで湿潤効果の大きな界面活性剤としては、例えば
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン
性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸、ジアルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、
高級アルコール硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性
剤、アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩等
のカチオン性界面活性剤などを使用することができる。
また親水基含有型のオリゴマーとしては、特にポリエ
ステル−エーテルワックスを用いるのが好ましいが、こ
のオリゴマー部は比較的低温で繊維表面と溶融共晶化す
るべく、例えばテレフタル酸、イソフタル酸等のカルボ
ン酸成分を含む共重合体から構成するのが望ましい。親
性基としては、水和性ポリオキシアルキル基、スルホン
基、ホスホン基、カルボン酸基等からなる酸水基または
これらのアルカリ金属塩および窒素性塩基またはそれら
のイオン化できる塩等を挙げることができるが、特にポ
リオキシアルキレンが好ましく、エチレングリコールと
プロピレングリコールとの共重合体であるポリオキシエ
チレンオキシプロピレンブロックコポリマーが好まし
い。親水基含有型のポリエステルオリゴマーのオリゴマ
ー部の分子量は300〜6000であることが好ましく、また
親水基含有部の分子量は1000〜10000であることが好ま
しい。これは分子量が1000未満であると親水性の効果が
不足し、10000を超えると耐久性が損なわれるためであ
る。
〔工程2〕 次いで、繊維ウェブ1の表面に、コーティングロール
等の種々の手段によって増粘剤8を均一に塗布する。
この増粘剤8は、無機超微粒子粉、水溶性高分子、高
分子量多糖類および多価金属塩の群の中なら選ばれる少
なくとも1種の化合物であり、具体的には例えば、無機
超微粒子粉としてはチクソトロピー性付与剤のコロイダ
ルシリカなどがあり、水溶性高分子には分子量数百〜数
百万のポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルピロリドンなどがあり、また高分子量多
糖類としてはヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースなどがある。特にこの増粘剤8として
高分子多糖類を用いると、この高分子多糖類を幹として
ポリアクリル酸を枝としたグラフト重合体が形成され、
後述の架橋剤を配合しなくとも自己架橋した三次元構造
を有する高吸収性樹脂が得られる利点がある。このよう
な高分子多糖類としては、前述の化合物以外にも、バレ
イショデンプン、トウモロコシデンプン等の天然のデン
プン、セルロース、グァーガム、ローカストビートガ
ム、マンナン等の天然多糖類の他、これらの多糖類の加
水分解物、酸化物、アルキルエーテル化物、アリールエ
ーテル化物、オキシアルキル化物、カルボキシメチル化
物、アミノエチルエーテル化物、有機酸エステル化物等
の種々の変性体も使用され、これらのものの中から単独
であるいは2種以上を混合して使用する。これらの高分
子多糖類の配合量は、モノマーに対して2〜5重量%と
されるのが好ましい。また増粘剤溶液8の粘度は2〜20
0cps程度が好ましい。これは、2cps未満では低粘度のた
めに繊維ウェブ1の構成繊維の繊維軸に沿って増粘剤溶
液が滑り落ちて、繊維ウェブ1表面に均一に付着させる
ことが難しく、200cpsを越えると逆に粘度が高すぎて繊
維ウェブ1への付着量を調整することができなくなるた
めである。
増粘剤8の塗布は、前述のコーティングロール法の
他、浸漬、噴霧等の手段を用いることもできるが、増粘
剤8の付着量の制御が容易にできることから、第1図に
示したようなニップ型コーティングロール装置9による
塗布法が好適に使用される。この増粘剤溶液8の繊維ウ
ェブ1への付着量は、10重量%程度が好ましい。これ
は、本来吸収性向上の点からはなるべく多い方が好まし
いが、実際には10重量%を越えると繊維ウェブ1への付
着が不均一となったり塗布に使用されるコーティングロ
ール装置9が汚れるなどの不都合が生じるためである。
このような増粘剤8は、親水性付与型のエマルジョン
溶液中に分散して塗布することもできる。親水性付与型
のエマルジョン溶液としては、前述のように湿潤効果の
大きな界面活性剤のエマルジョン溶液や親水基含有型の
オリゴマーのエマルジョン溶液があり、前者を使用すれ
ば繊維ウェブ1への付着を極めて均一に行うことができ
る利点があり、また後者を使用すれば耐久性のある親水
性や付与されて後述のモノマー溶液の付着量の向上が可
能となる利点がある。
このような増粘剤溶液8は、以上のようにして繊維ウ
ェブ1表面に塗布してもよいが、後工程のモノマー溶液
10中に含有させて、モノマー溶液10の塗布と同時に塗布
することによって、この増粘剤8塗布の工程を省略する
こともできる。
またここでは、繊維ウェブに増粘剤を塗布する例につ
いて述べたが、繊維ウェブを構成する各繊維基材に予め
増粘剤溶液を塗布したのち、カーディング等の手段によ
って繊維ウェブを形成することも可能である。また、繊
維基材を構成する重合体中に予め増粘剤を練込むことも
可能である。
〔工程3〕 このように繊維ウェブ1表面に増粘剤溶液8を塗布し
た後、アクリル酸系高吸収性樹脂モノマー溶液10を塗布
する。
本発明で用いるアクリル酸系高吸収性樹脂モノマー溶
液10としては、アクリル酸またはアクリル酸とメタクリ
ル酸の混合物からなる水溶液が好ましく、特にモノマー
濃度が35重量%以上、さらに好ましくは使用温度におけ
る飽和温度より僅かに低い濃度であるのが好ましい。こ
れは、35重量%未満であると繊維ウェブ1へのモノマー
溶液10の付着量が低くなる他、後述の重合の際に重合度
が高くなりにくい不都合があり、通常高濃度であるほど
付着量が高くなり重合が進行するためである。また上記
モノマー溶液10は、モノマー中の全カルボキシル基の25
〜95モル%がアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩に
より部分中和されてなるものが好適に使用される。これ
は、部分中和度が95モル%を越えると水溶液の濃度を高
くすることが難しくなるため、後述の架橋反応が抑制さ
れて水溶性樹脂部分が多く残るので、樹脂表面に閉塞性
のゲル膜を生じる(ゲルブロック)他、このゲル膜が膨
潤して弱アルカリ性を示すために安全上の点から好まし
くない不都合があるためである。また部分中和度が20モ
ル%未満であると逆に樹脂の吸収性能が著しく低下して
しまう不都合が生じるためである。
このアルキル酸系樹脂モノマーの中和には、アルカリ
金属の水酸化物塩や重炭酸塩またはアンモニウム塩など
を用いることができるが、工業的な入手し易さ、価格、
安全性等の点から水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリ
ウムが好ましく、特に水酸化カリウムはアクリル酸系モ
ノマー水溶液のモノマー濃度を高くすることができるの
で好適に使用することができる。
またこのアクリル酸系樹脂モノマー溶液10には、架橋
剤として、上記アクリル酸系樹脂モノマーと共重合可能
な2重結合を分子内に2個以上有する架橋性モノマーを
配合することもできる。これによって後工程での重合時
に分子間架橋を生じさせることができ、このため重合し
て得られる高吸収性樹脂の膨潤ゲルの形態を安定に保持
することができるようになる利点がある。
この架橋性モノマーは水溶性であれば特に限定される
ものではなく、具体的には例えば、エチレングリコール
ジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリ
プロピレングリコールジメタクリレート、グリセリント
リアクリレート、グリセリントリメタクリレート、N,
N′−メチレンビスアクリルアミド、N,N′−メチレンビ
スメタクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルフ
マレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルフォ
スフェート、などが使用される。これらの水溶性架橋性
モノマーは、アクリル酸系樹脂モノマーに対して0.01〜
1.0重量%程度添加して使用する。これは、添加量0.01
重量%未満では、得られる膨潤ゲルがペースト状となっ
て形態安定性が悪く、使捨ておむつなどとしては使用に
適しないものとなり、また1.0重量%を越えると逆に吸
収性能が低下してしまう不都合があるためである。
以上のように用意されたアクリル酸系樹脂モノマー溶
液10を、種々の方法によって繊維ウェブ1に塗布する。
塗布の方法には、ニップ型コーティングロール法、キス
コーティング法、回転ブラシ散布式スキャッタリング
法、ディッピング法などの方法を用いることができる
が、高速で走行している繊維ウェブ1に効率良く均一に
モノマー溶液10を塗布することが可能でかつ付着量を容
易に制御できることから、特にニップ型コーティングロ
ール法が好適に使用される。ここで、繊維ウェブ1を走
行させながら連続的にモノマー溶液10を塗布するに際
し、繊維ウェブ1の走行速度を50m/分を超えない速度と
することが必要である。走行速度が50m/分を超えるとモ
ノマー溶液10の塗布量を多くすることが困難になるため
である。
〔工程4〕 次いで、〔工程3〕で塗布されたアクリル酸系樹脂モ
ノマーの重合反応を行う。重合反応は、重合開始剤噴射
室11および重合槽12内に、上記モノマー溶液10が塗布さ
れた繊維ウェブ1を連続的に導いて、この重合槽12内で
温度60〜100℃程度に加熱することにより行うが、ここ
では酸化還元型(レドックス型)ラジカル重合方式によ
り重合を行うことができ、これによれば連続的に効率良
く短時間で重合を行うことができる。
このようなレドックス型ラジカル重合反応を行うに際
しては、2種類の重合開始剤13、すなわち過酸化物質13
aおよび還元性物質13bを使用する。
過酸化物質13aには、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパー
オキサイド化合物、アジビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(アミノジプロパン)二塩基酸塩等のア
ゾ化合物、過酸化水素および過硫酸カリウム、過硫酸塩
化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物が使用
され、また還元性物質13bには、亜硫酸水素ナトリウム
等の亜硫酸塩化合物、L−アスコルビン酸等の還元性有
機酸化合物、硫酸第1鉄等の塩化合物の群から選ばれる
少なくとも1種の化合物が使用されるが、これに限られ
るものではなく、水溶性の大きなものが好適に使用され
る。特に過酸化物質13aとして過酸化水素を使用すれ
ば、後の〔工程5〕において紫外線照射の際の開始剤の
添加を省略することができるので有利である。
そして上記過酸化物質13aあるいは還元性物質13bのう
ちのいずれか一方を、上記繊維ウェブ1が重合槽12内に
導かれる前に、この繊維ウェブ1に予め塗布しておく。
この塗布は、〔工程3〕のモノマー溶液10中に添加して
おいてモノマー溶液10の塗布と同時に行ってもよいし、
予め親水性付与型のエマルジョン溶液中に分散して塗布
しておくこともできる。モノマー溶液10中に添加してお
く方法では、その添加量は、通常アクリル酸系樹脂モノ
マーに対して0.01〜2.0重量%程度が好適とされる。こ
れは0.01重量%未満では重合反応が十分に進まず、また
2.0重量%を越えるとこの重合開始剤濃度によらず一定
の効果しか得られないためである。また予め親水性付与
型のエマルジョン溶液中に分散しておき塗布する方法で
は、親水性付与型のエマルジョン溶液として、湿潤効果
の大きな界面活性剤のエマルジョン溶液や親水基含有型
オリゴマーのエマルジョン溶液が好適に使用され、前者
を使用すれば繊維ウェブ1への付着を極めて均一に行う
ことができる利点があり、また後者を使用すればこの重
合開始剤13がモノマー溶液10と触れた際にモノマー溶液
10中に浸出する浸出速度を調節できる利点がある。また
この湿潤性の大きな界面活性剤や親水基含有型オリゴマ
ーの代わりに水溶性高分子を用いて、この水溶性高分子
の水溶液中にこの重合開始剤の一方を分散させておくこ
ともでき、これによればモノマー溶液10が繊維基材に沿
って滑落することなく強固に付着することができる利点
がある。このような水溶性高分子としてはポリアクリル
酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ルなどがある。
このようにして重合開始剤13の一方が塗布された上記
繊維ウェブ1を、噴射室11、重合槽12へと連続的に導
き、重合を行う。
噴射室11内には噴射口11aが設けられており、この噴
射口11aより、繊維ウェブ1表面へ向けて重合開始剤13
を塗布する。この噴射口11aは、繊維ウェブ1表面に均
一に重合開始剤13を噴霧できるように多数配設されてい
るのが望ましい。
ここでこの重合開始剤13は、過酸化物質13aおよび還
元性物質13bのうちで、先に繊維ウェブ1に塗布された
ものとは別の1種である。
そしてこの噴射室11で2種の重合開始剤13a,13bが接
触したのち直ちに、温度60〜100℃程度、湿度80%以上
に調整された重合槽12内に導く。この加湿加温は、水分
を飽和させた熱風を送風することによって行なわれる。
そしてこの重合槽12内において、繊維ウェブ1上でラジ
カルを発生して重合が開始し、発熱反応を伴いながら酸
化還元型(レドックス型)ラジカル重合反応が進行す
る。そして粘度を増して、繊維ウェブ1の構成繊維基材
を数珠玉状にあるいは/および鞘状に細長く包み込んだ
皮膜を形成して重合を完了する。ここで上記重合槽12内
の温度を上記範囲に限定したのは、60℃未満であると重
合反応が完了するまでに要する時間が長すぎる不都合が
あり、また100℃を越えると自己架橋型の重合反応が進
行し、樹脂の吸収性能が低下する不都合が生じるためで
ある。そして通常重合反応は数秒(3〜5秒)で完了
し、約90〜95%のモノマーが重合して高吸収性樹脂とな
る。
このような重合反応はラジカル発生活性化エネルギー
が小さく、比較的低温で爆発的に進行する反応であるの
で、上記繊維ウェブ1を連続走行させながら連続的に極
めて短時間で重合を完了させることが可能であり、また
比表面積の大きな微細形状の樹脂を形成することができ
るので、使捨ておむつなどに用いられる吸収材として、
多量の尿などを吸収することができる。
尚ここで、上記噴射室11内の噴射口11aからは、2種
の重合開始剤13a,13bを同時に噴射してもよく、これに
よれば繊維ウェブ1に付着されたモノマー溶液10の内層
部および表層部の両方から重合を進めて、均一な高吸収
性樹脂4を得ることもできる。
〔工程5〕 このようにして得られた高吸収性樹脂4は、水分を約
20%程度含む含水重合体であり、かつ内部に5〜10%程
度の未反応の残存モノマーを含有している。この残存ア
クリル酸またはアクリル酸とメタクリル酸との混合物モ
ノマーは高吸収性樹脂の吸収性能を低下させるだけでな
く、肌を刺激し、かぶれやただれ等のトラブルを誘発す
るので安全衛生上好ましくない。
そこで、得られた高吸収性樹脂4の固着した繊維ウェ
ブ1を電子線照射装置14あるいは/および紫外線照射装
置15を通過させて電子線あるいは/および紫外線を照射
して、樹脂4中の残存モノマーを低減させることが好ま
しい。特に電子線照射装置14によれば、酸化還元型(レ
ドックス型)重合によって得られた高吸収性樹脂4に適
度の架橋を形成し、水溶性の樹脂濃度を低減させて、膨
潤時のベタツキを抑える効果も同時に得られるので非常
に有用である。この電子照射線によれば高吸収性樹脂4
の含水率が20%程度の時に最も効率的に反応が進行し
て、2〜20メガラド程度の照射線量で残存モノマーを数
千ppmの濃度にまで低減させることができる。
しかしながらこの程度の濃度でもアクリル酸系モノマ
ー特有の臭気が残り、なお乳幼児などの肌を刺激する危
惧があるので、さらに紫外線照射を併用することがより
好ましい。ここで紫外線照射による残存モノマーの反応
開始には光分解型のラジカル開始剤の存在が必要であ
り、このため紫外線照射装置15を通過する前に、予めこ
の開始剤を添加してもよいが、先に重合開始剤の過酸化
物質13aとして過酸化水素を使用していれば、紫外線照
射時の光分解型ラジカル開始剤としても有効に作用する
ことができるので、改めて開始剤を添加する必要がな
い。また紫外線照射の前に電子線照射による反応を行う
場合には、電子線照射により上記高吸収性樹脂4中に十
分な量の過酸化水素を発生するので、上述のように改め
て開始剤を添加する必要はない。またこの紫外線照射に
よる反応は、高吸収性樹脂4中の含水率が20%程度の時
に最も効率的に進み、5〜500ミリジュール/cm2程度の
照射線量で、高吸収性樹脂4中の残存モノマー量を1000
ppm程度以下にまで低減させることができるので、紫外
線を照射する前に、予め回転ブラシ水散布装置16などに
より、適宜水17を噴霧して調湿しておくことが望まし
い。
こうして電子線照射あるいは/および紫外線照射によ
って残存モノマーを重合あるいは/および架橋させて低
減させたのち、さらに架橋剤18を塗布して分子間架橋を
形成させて表層部の架橋密度を高めることもできる。こ
れによれば、表層部に形成されるゲルブロックが抑制さ
れ、尿などが樹脂4内部にまで迅速に吸収されるように
なるため、吸収性能を一段と向上させることができる利
点がある。この際の架橋剤18としては、カルボン酸と反
応する官能基を分子内に2個以上有するものが使用さ
れ、具体的には例えばエチレングリコール、ジグリシジ
ルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエー
テル等のポリグリシジルエーテル類、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトー
ル等のポリオール類、エチレンジアミン等のポリアミン
類などがある。これらの架橋剤18は上記高吸収性樹脂4
に添加され加熱されると、高吸収性樹脂4の表層に極め
て均一な分子間架橋を形成することが可能であり、また
架橋によって構成される網目状構造の目の大きさをある
程度制御することができる。この架橋剤18は、モノマー
に対して0.1〜2.0重量%使用することが好ましい。0.1
重量%未満では架橋効果が十分でなく、2.0重量%を越
えてもそれ以上の効果が望めないためである。このよう
な架橋剤18の塗布は、回転ブラジ水散布装置16などによ
る散布方式によって行うのが作業性の点で好ましい。
こうして架橋剤18を塗布したのち、加熱装置19内に導
いて、加熱によって架橋反応を進行させる。ここでカル
ボキシル基と水酸基とのエステル化、カルボキシル基と
アミノ基とのアミド化による架橋反応は高温で行なわれ
る程進行が速いので、上記加熱装置19内の温度を100〜1
20℃程度とするのが好ましく、同時に乾燥および熱処理
も行うことが望ましい。
以上説明したように、本発明の方法によれば、高吸収
性樹脂4が微細な形状で繊維ウェブ1に固着するので、
多量の尿や血液などを速やかに吸収することが可能であ
り、漏れにくく着用感の快適なかつ安全衛生上でも良好
な吸収材を効率良く短時間で製造することができる。
特に増粘剤8を使用することによって、従来問題とさ
れていたモノマー溶液10が繊維基材の繊維軸に沿って滑
落して大きな液滴を形成するといった不都合を解消する
ことができる。
また繊維ウェブ1をベース繊維とバインダー繊維とか
ら構成したものを使用すると、通気性が良くかつ圧縮弾
性率の優れた繊維ウェブ1とすることができる。
増粘剤8を親水性付与型のエマルジョン溶液中に分散
させて塗布すると、さらにモノマー溶液10の付着量を高
め均一に付着できる効果を付与することができる利点が
ある。
繊維ウェブ1として分割マルチ繊維3を使用すると、
複数本のセグメント繊維が寄り集まって配置するため
に、これらのセグメント繊維間にモノマー溶液10が効率
良く多量に捕束され、繊維軸上を滑落することなく、微
細な形状で強固に固着することができ、極めて高吸収性
の吸収材を得ることができる。
分割マルチ繊維3を互いに相溶性のない2種の重合体
から構成すると、好適な分割マルチ繊維3を容易に製造
できるとともに、各セグメント繊維への分割を円滑に行
うことができる。
分割マルチ繊維3として、ベース繊維とバインダー繊
維とからなるものを使用すると、形態安定性の良い嵩高
で通気性の良好な繊維ウェブ1を得ることができる。
重合反応を酸化還元型(レドックス型)ラジカル重合
反応にて行うと、比較的低温で速い反応を行うことが可
能であり、繊維ウェブ1を連続走行させながら連続的に
極めて短時間で重合を完了させることができる。
モノマー溶液10中に架橋性モノマーを添加すると、重
合時に分子内架橋を生じさせることができ、得られる高
吸収性樹脂4の形態安定性を向上させることができる。
重合開始剤13を親水性付与型エマルジョン溶液中に分
散して塗布すると、重合開始剤13を繊維ウェブ1に極め
て均一に付着させることが可能となる他、重合開始剤13
がモノマー溶液10中に浸出する速度を調整することもで
きる。
得られた高吸収性樹脂4に電子線あるいは/および紫
外線を照射して残存モノマーを低減させると、高吸収性
樹脂4の吸収性能を向上せしめるとともに、乳幼児など
の肌を刺激することなく安全衛生上好ましい吸収材を得
ることができる。
[実施例] (実施例1) ベース繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維
(固有粘度0.57)70重量%を用い、またバインダー繊維
として低融点のポリエステル重合体(固有粘度0.35)を
鞘部に、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.57)
を芯部にそれぞれ配し、鞘部と芯部との容量比が1:1と
なるようにした芯鞘型の複合紡糸繊維30重量%を用い
て、オープナーにより均一に混綿し開綿した。
次いでこれを、直列に配した2台のフラットカード開
繊維に供給して、50m/分の速度でカーディングを行っ
た。得られたカードの中から薄い2枚のウェブを取り出
して、これらを積層し、1枚の均質なウェブシートを形
成した。ここで、ポリエチレンテレフタレート繊維に
は、第9図に示したような中空断面形状を有しており、
二次元直鎖状の機械捲縮を付与した繊度6デニール、繊
維長51mmの捲縮数10個/インチである短繊維を用いた。
また芯鞘型の複合紡糸繊維には、繊度4デニール、繊維
長51mm、捲縮数15個/インチであって、鞘部に配した低
融点のポリエステル重合体がテレフタル酸60モル%とイ
ソフタル酸40モル%からなるジカルボン酸成分とジオー
ル成分との共重合によって得られた溶融軟化点110℃の
短繊維を用いた。
続いてこのカードウェブを熱処理装置内に導き、160
℃の熱風を10秒間当て、バインダー繊維を溶融して各繊
維間を接着し、形態安定性の良い繊維ウェブを形成し
た。
こうして得られた繊維ウェブの性能は以下の通りであ
った。
目付 35(g/m2) 嵩高 1.20×102(cc/g) 圧縮回復率 83(%) 機械方向伸張強度[Sb]MD 450(g/25mm) 伸度[Eb]MD 32(%) 幅方向伸張強度[Sb]CD 80(g/25mm) 伸度[Eb]CD 110(%) ここで繊維ウェブの嵩高、圧縮回復率、伸張強度およ
び伸張伸度は、次の方法により測定した。
《嵩高》 繊維ウェブを一辺10cmの正方形(辺の方向はそれぞれ
機械方向および幅方向に一致させる)に裁断して得た試
験片を4枚用意し、それぞれを機械方向と幅方向とを互
い違いに重ねて積層し、その上にメチルメタクリレート
樹脂板およびウエイトを載せて0.5g/cm2の荷重を10分間
与えた時の体積V1を測定し、これを予め測定しておいた
繊維ウェブの重量Vで割った値を嵩高値とした。
嵩高(cc/g)=V1/V 《圧縮回復率》 上記V1を測定した繊維ウェブに引き続き50g/cm2の荷
重をかけて5時間放置した時の体積V2を測定し、次いで
ウエイトを交換して0.5g/cm2の荷重を10分間与えたのち
の体積V3を測定し、次式に従って求めた値を圧縮回復率
とした。
圧縮回復率(%)=100×(V3−V2)/(V1−V2) 《伸張強度、伸張伸度》 試料を長さ15cm、幅2.5cmの矩形(長片を機械方向お
よび幅方向に一致させる)に裁断した試験片を用い、テ
ンシロン(引っ張り測定機)により試験片の両端をチャ
ックで固定し、チャック間距離(試験長)を10cmに調整
する。次いで伸張速度100%/分で伸張し、試験片が破
断した時の強度[Sb]および伸度[Eb]を測定し、試験
片数5における平均値を求めた。
このような繊維ウェブを50m/分の速度で走行させなが
ら、これにニップ型コーティングローラを用いて、分子
量100万のポリエチレンオキサイドの2重量%水溶液を
塗布し、繊維ウェブ表面に増粘剤としてポリエチレンオ
キサイドを0.1重量%付着させた。
次いで、重合開始剤の過酸化水素を、モノマーに対し
て1.67重量%を加えて40℃に加温したモノマー溶液を同
様のニップ型コーティングローラによりモノマー重量で
200g/cm2塗布した。
そののち、他の重合開始剤のL−アスコルビン酸の5
重量%水溶液を噴霧して、モノマーに対しL−アスコル
ビン酸を0.34重量%添加したのち、直ちに温度80℃、湿
度80℃以上に保持された重合槽内に導き、レドックス型
ラジカル重合を行った。
ここでモノマー溶液は、アクリル酸の全カルボキシル
基の60%を水酸化カリウムで中和した濃度65重量%の部
分中和アクリル酸モノマー水溶液を用い、この中に架橋
性モノマーとしてN,N′−メチルビスアクリルアミドを
モノマーに対して0.085重量%添加したものを用いた。
重合反応は、繊維ウェブにモノマー溶液が塗布されると
直ちに開始し、発熱を伴いながら約8秒で完了した。
(実施例2) 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレー
ト繊維の代わりに、繊維が第10図に示したような断面形
状を有するものを用い、繊度を6デニール、繊維長を51
mmとした以外は、実施例1と同様にして、繊維ウェブを
作成した。この繊維ウェブの性能は以下に示した通りで
あった。
目付 35(g/m2) 嵩高 0.95×102(cc/g) 圧縮回復率 70(%) 機械方向伸張強度[Sb]MD 350(g/25mm) 伸度[Eb]MD 28(%) 幅方向伸張強度[Sb]CD 60(g/25mm) 伸度[Eb]CD 90(%) このような繊維ウェブを用いて、実施例1と同様にし
てモノマー溶液を塗布し、重合を行い、高吸収性樹脂を
形成した。
(実施例3) 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレー
ト繊維の代わりに、繊維が第11図に示したような断面形
状を有するものを用い、繊度を6デニール、繊維長を51
mmとした以外は、実施例1と同様にして、繊維ウェブを
作成した。この繊維ウェブの性能は以下に示した通りで
あった。
目付 35(g/m2) 嵩高 1.15×102(cc/g) 圧縮回復率 82(%) 機械方向伸張強度[Sb]MD 380(g/25mm) 伸度[Eb]MD 32(%) 幅方向伸張強度[Sb]CD 65(g/25mm) 伸度[Eb]CD 100(%) このような繊維ウェブを用いて、実施例1と同様にし
てモノマー溶液を塗布し、重合を行い、高吸収性樹脂を
形成した。
(実施例4) 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレー
ト繊維に、分子量100万のポリエチレンオキサイドとPEG
100ラウリン酸ジエステルを重量比で1:5の割合で溶解し
たエマルジョン溶液を塗布したのち乾燥して、上記繊維
表面にポリエチレンオキサイドが0.1重量%付着した繊
維ウェブを得た。この繊維ウェブの性能は以下に示した
通りであった。
目付 35(g/m2) 嵩高 1.10×102(cc/g) 圧縮回復率 78(%) 機械方向伸張強度[Sb]MD 440(g/25mm) 伸度[Eb]MD 33(%) 幅方向伸張強度[Sb]CD 85(g/25mm) 伸度[Eb]CD 105(%) こうして得た繊維ウェブを速度50m/分で走行させなが
ら、重合開始剤として過酸化水素をモノマーに対し0.4
重量%加えて40℃に加温してなるモノマー溶液を、モノ
マー重量で200g/m2塗布した。
次いで、他の重合開始剤としてL−アスコルビン酸の
5重量%水溶液を噴霧してモノマーに対しL−アルコル
ビン酸を0.34重量%添加したのち、直ちに温度80℃、湿
度80%以上に保持された重合槽内に導き、レドックス型
ラジカル重合反応を行った。
ここで、モノマー溶液は、実施例1と同一のものを用
いた。重合反応は、L−アスコルビン酸が噴霧されると
直ちに開始し、激しい発熱を伴いながら約8秒間で完了
した。
(実施例5) 実施例1で使用したポリエチレンテレフタレート繊維
に分子量100万のポリエチレンオキサイドと親水基含有
型のポリエチレンオリゴマーすなわちポリエステルワッ
クスを重量比で1:5の割合で溶解したエマルジョン溶液
を塗布したのち乾燥して、繊維表面にポリエチレンオキ
サイドを0.1重量%付着した以外は、実施例1と同様に
して繊維ウェブを形成した。
ここでポリエチレンワックスは全体の分子量が4500で
親水基がポリオキシエチレンオキシプロピレンから構成
され、かつオリゴマー部がエチレングリコールとテレフ
タル酸およびイソフタル酸の共重合体であるものを使用
した。
こうして得た繊維ウェブの性能は以下に示した通りで
あった。
目付 35(g/m2) 嵩高 1.10×102(cc/g) 圧縮回復率 83(%) 機械方向伸張強度[Sb]MD 445(g/25mm) 伸度[Eb]MD 40(%) 幅方向伸張強度[Sb]CD 78(g/25mm) 伸度[Eb]CD 120(%) この繊維ウェブを用いて、実施例4と同様にしてモノ
マー溶液を塗布して重合を行い、高吸収性樹脂を形成し
た。
(実施例6) 実施例1で使用した繊維ウェブと同一の繊維ウェブを
速度50m/分で走行させながら、重合開始剤として過酸化
水素をモノマーに対して1.67重量%加え、増粘剤として
分子量100万のポリエチレンオキサイドを添加して温度4
0℃に加温してなる溶液粘度100cpsのモノマー溶液を、
モノマー重量で200g/m2塗布した。
次いで、他の重合開始剤としてL−アスコルビン酸の
5重量%水溶液を噴霧し、モノマーに対しL−アスコル
ビン酸を0.34重量%添加したのち、直ちに温度80℃、湿
度80%以上に保持された重合槽内に導き、レドックス型
のラジカル重合を行った。
ここでモノマー溶液は実施例1と同一のものを用い
た。重合反応は、モノマー液滴上にL−アスコルビン酸
水溶液が噴霧されると直ちに開始し、激しい発熱反応を
伴いながら約8秒で完了した。
(実施例7) 実施例1においてモノマー溶液にグラフト重合の幹重
合体に供するため高分子量多糖類のカルボキシメチルセ
ルロースをモノマーに対し単糖単位で0.02〜0.05モル%
加えた以外は、実施例1と同様にして繊維ウェブにモノ
マー溶液を塗布し、重合を行った。
(実施例8) 実施例1で得た高吸収性樹脂に、引き続き電子線を照
射して、未反応残留モノマーの重合および架橋を行っ
た。ここで電子線照射は、上記繊維ウェブの両面に各2
メガラドずつ行い、計4メガラド照射した。
(実施例9) 実施例2で得た高吸収性樹脂を用いた以外は、実施例
8と同様にして電子線照射を実施した。
(実施例10) 実施例3で得た高吸収性樹脂を用いた以外は、実施例
8と同様にして電子線照射を実施した。
(実施例11) 実施例4で得た高吸収性樹脂を用いた以外は、実施例
8と同様にして電子線照射を実施した。
(実施例12) 実施例5で得た高吸収性樹脂を用いた以外は、実施例
8と同様にして電子線照射を実施した。
(実施例13) 実施例6で得た高吸収性樹脂を用いた以外は、実施例
8と同様にして電子線照射を実施した。
(実施例14) 実施例7で得た高吸収性樹脂を用いた以外は、実施例
8と同様にして電子線照射を実施した。
(実施例15) 実施例8で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例16) 実施例9で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例17) 実施例10で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例18) 実施例11で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例19) 実施例12で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例20) 実施例13で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例21) 実施例14で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高吸収
性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続き紫
外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重合お
よび架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブの両
面に各100ミリジュールずつ行った。
(実施例22) 実施例15で得た高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散布装
置を用いたスキャッタリングによりグリシジルエーテル
を、モノマーに対して0.1重量%散布し、引き続きエア
スルータイプの乾燥機内で180℃の熱風により10秒間乾
燥した。
(比較例1) 増粘剤としてのポリエチレンオキサイドを使用しなか
った以外は、実施例6と同様にしてモノマー溶液を塗布
して重合を行った。
(比較例2) 比較例1で得られた高吸収性樹脂に、引き続き電子線
を照射して、残留未反応モノマーを重合および架橋させ
た。ここで電子線照射は、繊維ウェブの両面から各2メ
ガラドずつ行った。
(比較例3) 比較例2で得られた高吸収性樹脂に、回転ブラシ水散
布装置を用いたスキャッタリングにより水を散布して高
吸収性樹脂中の水分を20重量%に調湿したのち、引き続
き紫外線を照射して高吸収性樹脂中の残存モノマーを重
合および架橋させた。ここで紫外線照射は、繊維ウェブ
の両面に各100ミリジュールずつ行った。
(比較例4) 比較例3で得られた高吸収性樹脂を用いた以外は、実
施例22と同様にしてグリシジルエーテルを散布して、高
吸収性樹脂を形成した。
以上のようにして得られた実施例(22例)および比較
例(4例)の高吸収性樹脂の保水倍率、吸収倍率および
残存モノマー濃度を測定し、第1表にまとめて記した。
ここで保水倍率および吸収倍率は、次のような方法に
よって測定した。
《保水倍率、吸収倍率》 温度80℃で2時間真空乾燥したのち、温度25℃、湿度
60RH%の雰囲気中で8時間調湿した試料を、1辺10cmの
正方形(辺の方向はそれぞれ機械方向および幅方向に一
致させる)に裁断して試験片を作成する。予め重量
(a)を秤量しておいたこの試験片を、長さ20cm、幅15
cmの大きさの250メッシュナイロン布袋に入れ、試験液
(0.9重量%生理食塩水)中に浸漬する。1時間後ナイ
ロン袋ごと試験片を取り出して、10メッシュの金網の上
に置き、その上にメチルメタクリレート樹脂板およびウ
エイトを載せて35g/cm2の圧力下で水切りを15分間行
う。その後試験片を取り出して重量(b)を測定する。
次いで、再びこの試験片をナイロン袋内に入れ、袋ごと
遠心脱水を行った後、この試験片を袋から取り出して、
その重量(c)を測定する。
重量a,b,cから次式に従って保水倍率および吸収倍率
を算出する。
保水倍率=(b−a)/a 吸収倍率=(c−a)/a 第1表より明らかなように、本発明の実施例1ないし
実施例7にあっては、増粘剤を塗布しなかった比較例1
に比べて、保水倍率および吸収倍率がともに高いことが
わかった。さらにこれに電子線を照射して得た高吸収性
樹脂(実施例8ないし実施例14)にあっては、残存モノ
マー濃度が低減し、また比較例2に比べて保水倍率、吸
収倍率ともに高い値が得られた。またさらに紫外線を照
射して得た高吸収性樹脂(実施例15ないし実施例21)で
は、残存モノマー濃度が格段に減少することがわかっ
た。またさらにグリシジルエーテル処理を施した実施例
22にあっては、増粘剤を塗布しなかった以外は同様の処
理を施した比較例4に比べて、保水倍率および吸収倍率
が高く、また残存モノマーによるベタツキも感じられな
いことがわかった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の方法によれば、増粘剤
を使用するので、繊維ウェブに塗布されたモノマー溶液
が従来のように粘度が低すぎるために繊維軸から滑落す
るなどといった不都合がなく、繊維ウェブの重量の2〜
10倍程度の量の高吸収性樹脂を強固に繊維ウェブに固着
することが可能で、しかも多量の尿を速やかに吸収する
ことが可能な、洩れにくく着用感の快適なかつ安全衛生
上も好ましい吸収材を製造することができるので、使捨
ておむつなどとして好適に使用することができる。
増粘剤を繊維ウェブに直接付着させる本発明の方法で
は、ウェブの所要部位に増粘剤を付着させ、高吸収性樹
脂を当該部位にのみ特に多く、かつ、微細な形状で形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の吸収材の製造方法の一工程例を示す
概略構成図であり、 第2図は、本発明において繊維ウェブを構成する繊維基
材として使用されるバインダー繊維の一例を示す芯鞘型
複合紡糸繊維の概略断面図であり、 第3図は、本発明において使用される分割マルチ繊維の
一例を示す概略断面図であり、 第4図は、第3図の分割マルチ繊維に高吸収性樹脂が固
着した様子を示す模式図であり、 第5図および第6図は、分割マルチ繊維のそれぞれ異な
る10例を示す概略断面図であり、 第7図は、分割マルチ繊維を製造する方法の一工程例を
示す概略構成図であり、 第8図は、第7図において使用される紡糸口金の一例を
示す概略断面図であり、 第9図ないし第11図は、それぞれ実施例1ないし実施例
3において使用される繊維ウェブを構成するベース繊維
の断面形状を示す概略断面図である。 1……繊維ウェブ 4……高吸収性樹脂 8……増粘剤 10……アクリル酸系高吸収性樹脂モノマー溶液

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル酸系高吸収性樹脂モノマー溶液を
    繊維ウェブに塗布し、次いで重合させて高吸収性樹脂が
    固着した吸収材を製造するに際し、 無機超微粒子粉、水溶性ポリマー、高分子量多糖類およ
    び多価金属塩の群から選ばれる少なくとも1種の増粘剤
    を、予め繊維ウェブに付着させておくことを特徴とする
    前記吸収材の製造方法。
  2. 【請求項2】前記高分子量多糖類を2〜5重量%含むモ
    ノマー溶液を前記繊維ウェブに塗布し、その後前記アク
    リル酸系高吸収性樹脂モノマーを該繊維ウェブに塗布し
    て重合させる請求項1記載の吸収材の製造方法。
  3. 【請求項3】前記増粘剤を親水性付与型のエマルジョン
    溶液に分散させてなる混合溶液を、前記繊維ウェブに予
    め塗布しておくことを特徴とする請求項1記載の吸収材
    の製造方法。
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