JP4424193B2 - 吸水性複合体、その製造方法およびそれを用いた材料 - Google Patents
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Description
本発明の吸水性複合体では、結着粒子状の吸水性ポリマーを構成する吸水性ポリマー粒子の平均粒径が50〜1000μmであることが好ましい。本発明の吸水性複合体を構成する水かき状の吸水性ポリマーは、厚さが50〜1000μmで、平均径が400〜50000μmである水かき状分散層であるか、厚さが50〜1000μmで、平均孔径が100〜50000μmでかつ開孔率が10〜80%である水かき状連続層であることが好ましい。また、本発明の吸水性複合体は、吸水性ポリマーの表面に繊維質基材を備えていることが好ましい。
また、本発明は、上記の吸水性複合体を用いた衛生材料(特におむつ)、工業資材および農業資材も提供する。
(構造の特徴)
本発明の吸水性複合体は、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性ポリマー粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーを、基材上に固着してなることを特徴とする。
水かき状の吸水性ポリマーは、基材上に島状に点在し、分散している分散層を形成していてもよいし、水かき状ポリマーが基材上に海状に連続し、開孔が島状に点在している連続層を形成していてもよい。好ましいのは分散層である。また、分散層と連続層が混在していてもよい。
水かき状の吸水性ポリマーが連続層を形成している場合も、その形状やサイズは特に制限されない。厚さは、50〜1000μmであることが好ましく、80μm〜800μmであることがより好ましく、100μm〜500μmであることがさらに好ましい。平均孔径は、100〜50000μmであることが好ましく、200μm〜30000μmであることがより好ましく、300μm〜20000μmであることがさらに好ましい。また、開孔率は、10%〜80%であることが好ましく、20%〜70%であることがより好ましく、30%〜60%であることがさらに好ましい。
なお、分散層の厚さと平均径、連続層の平均開孔径と開孔率は、後述する測定方法により求められる。
結着粒子状の吸水性ポリマーの全体の形状やサイズは特に制限されない。吸水性ポリマー粒子が数珠状に連なって結着していてもよいし、全体が塊状になるように結着していてもよい。好ましいのは、ある程度表面積が大きくなるように、吸水性ポリマー粒子が結着している態様である。また、数珠状の吸水性ポリマーと塊状の吸水性ポリマーが混在していてもよい。
結着粒子状の吸水性ポリマーの長さは、100μm〜5000mであることが好ましく、200μm〜4000μmであることがより好ましく、300μm〜3000μmであることがさらに好ましい。また、厚さは、50μm〜3000μmであることが好ましく、100μm〜2000μmであることがより好ましく、200μm〜1000μmであることがさらに好ましい。さらに、結着粒子状の吸水性ポリマーを構成する吸水性ポリマー粒子の平均粒径は、50〜1000μmであることが好ましく、100μm〜800μmであることがより好ましく、200μm〜500μmであることがさらに好ましい。
また、水かき状の吸水性ポリマーと結着粒子状の吸水性ポリマーの位置関係も特に制限されない。好ましいのは、基材上に水かき状の吸水性ポリマーが形成され、さらにその上に結着粒子状の吸水性ポリマーが形成されている態様である。また、基材上に形成された水かき状の吸水性ポリマーの開孔に結着粒子状の吸水性ポリマーが形成されている態様も好ましい。
本発明で用いる吸水性ポリマーは、以下の重合性モノマーおよび開始剤を用いて製造することができる。
使用する重合性モノマーは、吸水性ポリマーを与えるものである限りその種類を問わない。レドックス系開始剤によってその重合が開始される重合性モノマ−を使用することが特に好ましい。この重合性モノマーは通常、水溶性のものが好ましい。
このような重合性モノマーの代表例であって、しかも本発明で使用するのにも好ましいものは、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩である。具体的には、アクリル酸またはその塩、メタクリル酸またはその塩等の不飽和モノカルボン酸またはその塩;或いはマレイン酸またはその塩、イタコン酸またはその塩等の不飽和ジカルボン酸またはその塩を例示することができ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。この中で好ましいのは、アクリル酸またはその塩、およびメタクリル酸またはその塩であり、特に好ましいのはアクリル酸またはその塩である。
脂肪族不飽和カルボン酸の塩としては、水溶性の塩、たとえば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が通常用いられる。また、その中和度は、目的に応じて適宜定められるが、アクリル酸の場合には、カルボキシル基の20〜90モル%がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に中和されたものが好ましい。アクリル酸モノマーの部分中和度が20モル%未満であると、生成する吸水性ポリマーの吸水能が著しく低下する傾向がある。
アクリル酸モノマーの中和には、アルカリ金属の水酸化物や重炭酸塩等または水酸化アンモニウム等が使用可能であるが、好ましいのはアルカリ金属水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
なお、これらの重合性モノマーのうち吸水性ポリマーを与えるものは、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩に対する補助成分としてではなく、「吸水性ポリマーを与える重合性モノマーの水溶液」の主要モノマーとして使用することもできる。
脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩、特にアクリル酸またはその塩は、それ自身で自己架橋ポリマ−を形成することがあるが、架橋剤を併用して架橋構造を積極的に形成させることもできる。架橋剤を併用すると、一般に生成する吸水性ポリマーの吸水性能が向上する。架橋剤としては、前記重合性モノマーと共重合可能なポリビニル化合物、例えば、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート類等、ならびにカルボン酸と反応し得る2個以上の官能基を有する水溶性の化合物、例えばエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が好適に使用される。この中で特に好ましいのは、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。架橋剤の使用量は、重合性モノマーの仕込み量に対して0.001〜1重量%、好ましくは、0.01〜0.5重量%である。
上述の脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分として含む重合性モノマー水溶液の重合性モノマーの濃度は、20重量%以上、好ましくは25重量%以上である。濃度が20重量%より少ないと重合後の吸水性ポリマーの吸水能が十分に得られなくなる傾向がある。上限は重合反応液の取り扱い上から80重量%程度とするのが良い。
さらに、アゾ化合物として知られている開始剤も用いることができる。例えばある程度水溶性を示す、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド等が挙げられる。
重合はラジカル重合開始剤の分解により開始される。通常よく知られている手法は熱分解である。しばしば、予め重合開始剤の分解温度に昇温させた反応液の重合性モノマーに対して加熱していない重合開始剤を添加して重合開始させる場合があるが、この場合も熱分解の範疇に属する。
本発明で好ましく用いられる開始剤は、ある程度水溶性のレドックス系をなす、酸化剤と還元剤の組み合わせである。
本発明の吸水性複合体を構成する基材としては平面状の基材を用いることができ、板、シート、フィルム、繊維集合体を用いることができる。また基材そのものの形態維持性が低くても、吸水性ポリマーが固着することにより形態維持性を発現する場合がある。その意味から、軟弱で疎な素材や平面にフィラメントを敷いただけの基材も用いることができる。
吸水性ポリマーが固着してなる基材としては吸水性ポリマーが固着しやすいような物理的表面状態、即ち適度に粗であることが好ましい。また吸水性の用途から通水性、通液性、導水性、導液性の良好な基材が好ましく、連続空孔や連続空隙等を有する疎な基材が好ましい。これらの観点から、繊維集合体である繊維質基材が好ましく、更に繊維質基材の中でも紙、フラッフパルプ、布あるいは不織布が好ましく、フラッフパルプおよび不織布が最も好ましい。不織布は公知の製造方法(繊維がエアレイド法、ウエットレイド法、水圧連行法、ステープル長の繊維カードボンド法、溶液紡糸法など)によって製造されたものを使用することができる。
繊維質基材の材質としては、「繊維便覧(原料編)」(繊維学会編、丸善、1968)あるいは「繊維便覧(加工編)」(繊維学会編、丸善、1969)に記載の公知のものを用いることができる。例えば、植物繊維、動物繊維および鉱物繊維等の天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維および鉱物繊維等の化学繊維が挙げられる。
疎水性繊維として、例えば、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビリニデン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ尿素系、ポリウレタン系、ポリフルオロエチレン系、ポリシアン化ビニリデン系繊維を挙げることができる。
特に衛生材料の用途には、皮膚に対する低刺激性、柔軟な感触の面から、親水性繊維の中でもパルプを選択することが好ましい。
本発明の吸水性複合体の製造方法は、特許請求の範囲に記載される条件を満たす吸水性複合体を製造し得る方法であれば特に制限されない。
好ましい製造方法においては、吸水性ポリマーを与える重合性モノマーの水溶液、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とする重合性モノマーの水溶液にレドックス系重合開始剤を配して当該重合性モノマーの重合を開始させ、反応開始後の重合性モノマーおよび生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、同気相中に供給した分散した繊維と接触させ、吸水性複合体前駆体となし、重合を完結させ吸水性複合体として回収するものである。
気相中での液滴を重合させる好ましい一つの方法は、レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤と還元剤の一方を含む重合性モノマー水溶液からなる第1液とレドックス系重合開始剤の他方および所望により重合性モノマーを含む水溶液からなる第2液を気相中で混合することにより重合を開始させることからなる。
なお、この場合、第1液の温度は通常常温〜約60℃、好ましくは常温〜約40℃であり、また、第2液の温度も通常常温〜約60℃、好ましくは、常温〜約40℃である。
このように、ノズルから噴出されたそれぞれの水溶液は、液柱状態で衝突させて両液を合体させる。合体後は液柱を形成していて、その状態がある時間保持されるが、その後この液柱は解体して液滴となる。生成した液滴は気相中で重合が進行する。
このような重合の開始および重合進行中の液滴の形成を行う反応場を与える気相の気体としては、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の重合に不活性なものが好ましいが、空気でもよい。また、水蒸気のみの場合を含め、気体中の湿度には特に制限はないが、あまり湿度が低いと重合が進行する前に重合性モノマー水溶液中の水分が蒸発して重合性モノマーが析出し、その結果、重合速度が著しく低下、あるいは重合が途中で停止する可能性がある。気体の温度条件は、室温以上150℃以下、望ましくは100℃以下である。気体の流れ方向は液柱および液滴の進行方向に関して向流、並流のどちらでも良いが、液滴の気相中滞留時間を長くする必要がある場合、すなわち重合性モノマーの重合率を上げ、ひいては液滴の粘度を高める必要がある場合には向流(反重力方向)の方がよい。
本発明の吸水性複合体は、上記のレドックス重合を利用する本発明の製造方法によれば効率よく製造することができる。具体的には、下記の第一または第二の製造方法によることが好ましい。
工程Aを実施することにより、水かき状の吸水性ポリマーを形成することができる。また、工程Bを実施することにより、吸水性ポリマー粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーを形成することができる。
工程Aを実施してから工程Bを実施するまでのインターバルは、環境温度にも依存するが、一般に0.1秒〜1200秒であり、0.5秒〜600秒であることが好ましく、1秒〜300秒であることが特に好ましい。工程Aと工程Bは複数回行ってもよい。例えば、工程B、工程A、工程Bの順に行ってもよいし、工程A、工程B、工程A、工程Bの順に行ってもよい。
工程Aと工程Bの時間をそれぞれ調整することによって、水かき状の吸水性ポリマーと結着粒子状の吸水性ポリマーの重量比を調整することができる。
第二の製造方法によって工程Aと工程Bを同時に実施することにより、効率のよい製造を実現することができる。液滴を形成するためには、通常ノズルを用いるが、工程A用のノズルと工程B用のノズルは、液滴が落下する空間が互いに重なるように設置してもよいし、重ならないように設置してもよい。好ましいのは、空間が重なるように設置する場合である。工程A用のノズルと工程B用のノズルの中心線どおしの距離は、通常0.5cm〜100cm、好ましくは1cm〜50cm、より好ましくは2cm〜30cmにする。
前記製造方法で得られた吸水性複合体の吸水性ポリマーの表面に基材をさらに敷設して、吸水性ポリマーの表面に基材を備えた吸水性複合体とすることもできる。敷設は乾燥後の吸水性ポリマー表面に物理的に敷くことで実現できる。さらに重合直後の吸水性ポリマーに基材を敷いたり、あるいは前記製造法で得られた吸水性複合体を重合直後、吸水性ポリマー表面同士を接触させることにより、吸水性ポリマーの接着力を利用し、吸水性ポリマーの両側の基材とも固着した吸水性複合体を製造することも可能である。この場合、重合直後の吸水性ポリマーが破損しない程度に加圧することもできる。好ましい圧力範囲は0.0001〜1MPaであり、より好ましくは0.001〜0.1MPaである。
吸水性複合体は、圧縮成型することが好ましい。圧縮成型を行うことによって、吸水性ポリマーの表面の繊維質基材と背面の基材とが、結着粒子状の吸水性ポリマーの空隙を通して接触するか、または水かき状の吸水性ポリマーの空隙ないしは空孔を通してして接触するか、あるいは少なくとも吸液する液の毛細管現象を誘起するのに十分な程度接近する状態を形成しやすくなる。
好ましい圧力範囲は5〜20MPaであり、より好ましくは7〜15MPaである。
本発明の吸水性複合体の製造において、その他の付加的工程として、残存モノマー処理工程、表面架橋工程、他の機能を付与するために触媒、還元剤、消臭剤、人尿安定剤、抗菌剤、中和剤等の添加剤添加工程、圧密処理工程、リサイクル工程を加えてもよい。
残存モノマーを処理する方法としては、1)残存モノマーの重合を進行させる方法、2)残存モノマーを他の誘導体へ導く方法、3)残存モノマーを除去する方法が挙げられる。
1)の残存モノマーの重合を進行させる方法としては、例えば吸水性複合体をさらに加熱する方法、吸水性ポリマーに残存モノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加した後に加熱する方法、紫外線を照射する方法、電磁放射線または微粒子性イオン化放射線を照射する方法などが挙げられる。
該吸水性複合体をさらに加熱する方法は、該吸水性複合体を100〜250℃で加熱処理し、該吸水性複合体に残存するモノマーを重合させるものである。
吸水性複合体に残存モノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加する方法は、例えばレドックス系重合開始剤を用いて重合を行った場合には、ラジカル発生剤が残存していることが多いので吸水性ポリマーに還元剤溶液を付与すればよい。還元剤としては、レドックス系重合開始剤として用いる亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等を用いればよく、通常はこれらを0.5〜5重量%水溶液として該吸水性複合体に付与する。還元剤の付与量は乾燥樹脂基準で0.1〜2重量%がよい。還元剤溶液の付与は、噴霧器を用いてスプレーしたり、還元剤溶液中に浸漬するなど、任意の方法で行うことができる。還元剤を付与した吸水性複合体は次いで加熱してモノマーを重合させる。加熱は例えば100〜150℃で10〜30分間程度行えばよい。この加熱により吸水性複合体の含水率は低下するが、もし含水率が高い場合にはさらに乾燥機で乾燥して製品の吸水材とする。
該吸水性複合体に放射線を照射する方法には、加速電子やガンマー線の様な高エネルギー放射線が用いられる。照射されるべき線量は、複合体中の残存モノマー量や、水分量等により変化するが、一般的には0.01〜100メガラド、好ましくは0.1〜50メガラドである。100メガラド超過の線量では吸水量が極めて小さくなり、また0.01メガラド未満では本発明で目的とする吸水能や吸水速度が大きく、残存モノマーが特段に小さいものが得られ難い。また、この時の吸水性複合体の水分量としては、一般的には重合体1重量部に対して40重量部以下、好ましくは10重量部以下が採用される。40重量部超過の水分量では吸水速度改良効果が少なく、特に残存モノマーの低減化に著しい影響を及ぼすので好ましくない。前記複合体に高エネルギー放射線を照射する時の雰囲気としては、真空下または窒素、アルゴン、ヘリウム等の無機ガス存在下、または空気中のいずれも使用できる。好ましい雰囲気は空気であって、空気中で照射を行なうと吸水能や吸水速度の大きくかつ残存モノマーが特段に小さくなる。また、照射温度には特に制限は無く室温で十分にその目的を達成することができる。
また、残存モノマーを留去する方法としては、複合体を過熱水蒸気または水蒸気含有ガスで処理する方法がある。例えば110℃の飽和水蒸気を120〜150℃に加熱して過熱水蒸気として複合体に接触させることにより、吸水性ポリマー中の残存モノマーを低減させることができる。この方法では、吸水性ポリマー中の水が水蒸気となって蒸発する際に、残存モノマーも同時に気化して吸水性ポリマーから抜け出るものと考えられる。この方法によれば、残存モノマーの除去と製品の乾燥とを兼ねることができる。
また、吸水性能を向上させる目的で、吸水性ポリマーの表面を架橋剤により架橋させることも可能である。一般に、粉末状の吸水性ポリマー粒子の表面に架橋剤とともに適量の水分を付与した後、加熱して表面を架橋することにより樹脂粒子の特性を改良することは公知であり、表面に選択的に架橋構造が形成される結果、吸水して膨潤するに際し、膨潤を阻害せずにその形状を維持することができるものと考えられている。この工程ではまず吸水性複合体に表面架橋剤の溶液を付与する。表面架橋剤としてはN,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性モノマーと共重合し得る多官能化合物や、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等のカルボン酸基と反応し得る官能基を複数個有する化合物が用いられる。これらの表面架橋剤は、通常、吸水性複合体に対して0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%となるように用いられる。なお、これらの表面架橋剤は、吸水性複合体全体に均一に付与されるように、水、エタノール、メタノールなどで希釈して0.1〜1重量%、特に0.2〜0.5重量%の溶液として用いるのが好ましい。架橋剤溶液の付与は通常は噴霧器を用いて架橋剤溶液を吸水性複合体にスプレーしたり、ロールブラシで架橋剤溶液を塗布する方法により行うのが好ましい。なお、架橋剤溶液を過剰に付与した後、圧搾ロールで樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりして、余剰の架橋剤溶液を除去するようにしてもよい。この架橋剤溶液の付与は室温で行えばよい。架橋剤溶液を付与された吸水性複合体は、次いで加熱して架橋反応を進行させ、吸水性ポリマー表面に選択的に架橋構造を形成させる。架橋反応の条件は用いる架橋剤により適宜選択すればよいが、通常は100℃以上の温度で10分間以上反応させる。本発明では、吸水性ポリマーとして不飽和カルボン酸重合物架橋体が好ましく、部分中和アクリル酸重合物架橋体が特に好ましい。
吸水性複合体には、目的とする用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添加剤を加えることができる。これら添加剤としては、吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤、芳香剤、発泡剤等を挙げることができる。
このうち吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤としては排泄物(即ち人尿、糞便)、体液(人血、経血、分泌液等の体液)による吸水性ポリマーの分解、変質を防止する安定剤が挙げられる。特開昭63−118375号公報にはポリマー中に含酸素還元性無機塩及び/又は有機酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−153060号公報には酸化剤を含有させる方法、特開昭63−127754号公報には酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−272349号公報には硫黄含有還元剤を含有させる方法、特開昭63−146964号公報には金属キレート剤を含有させる方法、特開昭63−15266号公報にはラジカル連鎖禁止剤を含有させる方法、特開平1−275661号公報にはホスフィン酸基またはホスホン酸基含有アミン化合物またはその塩を含有させる方法、特開昭64−29257号公報には多価金属酸化物を含有させる方法、特開平2−255804号公報、特開平3−179008号公報には重合時水溶性連鎖移動剤を共存させる方法等が提案されている。これらはすべて本発明にて使用することができる。また、特開平6−306202号公報、特開平7−53884号公報、特開平7−62252号公報、特開平7−113048号公報、特開平7−145326号公報、特開平7−145263号公報、特開平7−228788号公報、特開平7−228790号公報に記載される材料および方法を使用することもできる。具体的にはたとえばシュウ酸チタン酸カリウム、タンニン酸、酸化チタン、ホスフィン酸アミン(またはその塩)、ホスホン酸アミン(またはその塩)、金属キレート等挙げられる。このうち特に人尿、人血、経血に対する安定剤をそれぞれ人尿安定剤、人血安定剤、経血安定剤と呼ぶことがある。
他のいくつかのタイプの抗細菌剤も有用である。例えば、カルバニリド類、置換フェノール、金属化合物及び界面活性剤の希土類塩を例示することができる。カルバニリドとしては、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(TCC,トリクロカルバン)及び3−(トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリド(IRGASAN)が含まれる。置換フェノールとしては、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(IRGASAN DP−300)を挙げることができる。金属化合物としては、黒鉛及びすずの塩、例えば塩化亜鉛、硫化亜鉛及び塩化すずが含まれる。界面活性剤の希土類塩は、欧州特許公開第10819号公報に開示されている。このタイプの希土類塩としては、直鎖のC10〜18アルキルベンゼンスルホン酸塩のランタン塩などを例示することができる。
さらに、pH調整剤または皮膚を弱酸性に保つ薬剤を使用することもできる。具体的には、天然果実酸(リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等)、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩(リン酸、炭酸等)等が挙げられる。
本発明の吸水性複合体の密度を向上させ、吸水性ポリマー粒子への繊維への固着性を向上させるために、本発明の吸水性複合体に圧密処理を施してもよい。圧密処理は、例えば、平板プレス機、ロールプレス機等のプレス機を使用して、圧力、温度、湿度等の条件を適宜調整して実施することができる。圧密処理時の圧力としては、吸水性ポリマー粒子が割れない範囲内であればよい。吸水性ポリマー粒子が割れると、割れた粒子片が繊維から離脱して最終製品である吸収性物品から漏れたり、膨潤時に吸水ゲルが繊維から外れて漏れたり移動したりして、吸収性物品の性能を低下させることとなる。
圧密処理時に加熱する場合は、使用する繊維の溶融点以下の温度に加熱することができる。溶融点以上の温度に加熱すると、繊維同士が結着してネットワークを形成して、複合体の機能が損なわれるおそれがあるので好ましくない。圧密処理時に加湿する場合は、通常は、蒸気を用いて加湿することができる。加湿条件を適宜選択することにより、吸水性複合体の密度を向上させ、吸水性ポリマー粒子の繊維への固着性を向上させることができる。
本発明の吸水性複合体に用いる基材が熱可塑性の場合、成型温度以上で部分的に融着させることもできる。吸水性ポリマーの両側に熱可塑性素材を備えている場合、点状、線状、格子状等部分的に加熱押圧することにより、基材同士が固着した、擦り応力に強い複合体にすることもできる。また、熱可塑性基材の吸水性ポリマー非固着面に他の熱可塑性素材を熱融着固定することも可能である。
各工程での端材、余剰材、用役等を再利用するリサイクル工程を設けることもできる。
(構成)
本発明の吸水性複合体は、さまざまな吸収性物品の吸収性材料として使用することができる。
本発明の吸水性複合体を用いて製造することができる吸収性物品の構造は、吸収性物品に求められる機能や用途に応じて適宜決定することができる。典型的な吸収性物品は、本発明の吸水性複合体が吸水核をなし、これを吸収性物品に常用されているフラッフパルプ、ティッシュ、不織布、ポリオレフィンシートなどと適宜組合せて構成される。
特にいわゆる紙おむつや生理用ナプキンなどには、使用時に体液などの拡散性を良くするためにポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維のような疎水性繊維不織布の拡散層を使用しても良い。吸水性複合体は自由にフラッフパルプ等と混合使用しても良い。
また、市販されているような粉体吸水性ポリマーなどを混合しても良い。混合する場合は、後述する吸水性ポリマー脱落率測定法にしたがって測定した吸水性ポリマー脱落率が好ましくは5%以下になる範囲で、混合使用できる。
図24の構造のように、吸水性複合体24の上部に、ティッシュ25や水透過性ポリエステル繊維不織布26のような繊維質基材を配置しておくことにより、水性液体を速やかに吸収することができる。また、吸収性物品に圧力が加わっても吸収した水性液体を放出しにくくすることができる。
さらに、吸収性物品にフラッフパルプのような嵩高性を与える素材を挿入しておくことにより、肌への感触を改善し、身体への適用性を高めることができる。嵩高性を与える素材の目付量は80〜250g/m2であることが好ましく、100〜220g/m2であるのがより好ましい。嵩高性を与える素材は、吸水性複合体24と、水不透過性ポリエチレンシート21などの基材の間に設けることが好ましいが、吸水性複合体24を上下から挟むようにしても構わない。ただし、上下から挟むようにする場合は、下側の目付量の方が大きくなるようにするのが好ましい。
薄型の吸収性物品を製造する場合は、本発明の吸水性複合体を薄型化しておくことが好ましい。具体的には、本発明の吸水性複合体の嵩密度を0.20〜1.10g/cm3の範囲内にすることが好ましく、0.20〜0.85g/cm3の範囲内にすることがより好ましい。薄型化後の密度は、吸水性複合体に対する加圧、加熱、加湿等の条件により調整することができる。薄型後の厚みは、0.2〜20mmが好ましく、0.2〜10mmがより好ましく、0.2〜5mmがさらに好ましい。
薄型化する方法として、例えば、プレス機を用いて加圧処理する方法が挙げられる。プレス機としては、平板プレス機、ロールプレス機等が使用できる。圧力は吸水性ポリマーが割れない範囲内で選択する。吸水性ポリマーが割れると、繊維から離脱して吸収性物品から漏れたり、膨潤時に吸水ゲルが繊維から外れて漏れたり、移動したりして、吸収性物品の性能を低下させることとなる。
本発明の吸水性複合体は、「高吸水性樹脂の技術と市場」(テクノマート、1981)「高吸水性ポリマー」(増田房義、共立出版、1987)、「機能性高分子ゲルの製造と応用」(入江正浩、シーエムシー、1987)、「高吸水性樹脂の開発動向とその用途展開」(大森英三、テクノフォーラム、1987)、「高吸水性ポリマーの新規用途開発」(シーエムシー、1993)工業材料(42巻4号、1994)「高分子ゲルの最新動向 」(柴山充弘、梶原莞爾、シーエムシー、2004)、“Superabsorbent Polymers Science and Technology" (F. L. Bucholz & N. A. Peppas, American Chemical Society, 1993) 、“Modern Superabsorbent Polymer Technology" (F. L. Bucholz & A. T. Graham, Wiley-VCH, 1998) 等の記載の用途に用いることができる。例えば、子供用紙おむつ、大人用紙おむつ、失禁用パッド、生理用品などの衛生材料、廃水などの吸収シート、保持シート、保冷剤、止水材、シーリング材、建築用結露防止剤等の工業資材、土壌保水剤、育苗用保水シート、野菜などの鮮度保持剤、保水剤等の農園芸資材、低摩擦材料、加泥材・滑材・廃泥処理剤、空隙充填材、消火剤・耐火材等に好適に使用できる。
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3434649号公報、特許第3434695号公報、特許第3437183号公報、特許第3437419号公報、特許第3439269号公報、特許第3441976号公報、特許第3441982号公報、特許第3446808号公報、特許第3447872号公報、特許第3447873号公報、特許第3447950号公報、特許第3447953号公報、特許第3453096号公報、特許第3455247号公報、特許第3457650号公報、特許第3458055号公報、特許第3467405号公報、特許第3467414号公報、特許第3470122号公報、特許第3470123号公報、特許第3471999号公報、特許第3472020号公報、特許第3472031号公報、特許第3474556号公報、特許第3474797号公報、特許第3478722号公報、特許第3479382号公報、特許第3479383号公報、特許第3479388号公報、特許第3479395号公報、特許第3483267号公報、特許第3488506号公報、特許第3492188号公報、特許第3492205号公報、特許第3492242号公報、特許第3492359号公報、特許第3492992号公報、特許第3493211号公報、特許第3494653号公報、特許第3497815号公報、特許第3500386号公報、特許第3501809号公報、特許第3502379号公報、特許第3508044号公報、特許第3510057号公報、特許第3510093号公報、特許第3510119号公報、特許第3510125号公報、特許第3510133号公報、特許第3510145号公報、特許第3510149号公報、特許第3510150号公報、特許第3510159号公報、特許第3511187号公報、特許第3511488号公報、特許第3514448号公報、特許第3515918号公報、特許第3519019号公報、特許第3519192号公報、特許第3519267号公報、特許第3522396号公報、特許第3522540号公報、特許第3527010号公報、特許第3527368号公報、特許第3527435号公報、特許第3527437号公報、特許第3527488号公報、特許第3532202号公報、特許第3533285号公報、特許第3535984号公報、特許第3541054号公報、特許第3541157号公報、特許第3544961号公報、特許第3547925号公報、特許第3550041号公報、特許第3550053号公報、特許第3550056号公報、特許第3550058号公報、特許第3550063号公報、特許第3557133号公報、特許第3557141号公報、特許第3558734号公報、特許第3558801号公報、特許第3560348号公報、特許第3560504号公報、特許第3563074号公報、特許第3565995号公報、特許第3573487号公報、特許第3573497号公報、特許第3575990号公報、特許第3576003号公報、特許第3576045号公報、特許第3578800号公報、特許第3578802号公報、特許第3578822号公報、特許第3583412号公報、特許第3585616号公報、特許第3586256号公報、特許第3589528号公報、特許第3589539号公報、特許第3590618号公報、特許第3591556号公報、特許第3592591号公報、特許第3592592号公報、特許第3592599号公報に記載されるものを挙げることができる。
(原料調製)
80重量%のアクリル酸水溶液125重量部に、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液57.3重量部、水6.4重量部、架橋剤(N,N'−メチレンビスアクリルアミド)0.15重量部、及び30重量%の過酸化水素水溶液5.0重量部を加えて溶液Aを調製した。溶液Aのモノマー濃度は60重量%、中和度は50モル%であった。
調製した溶液Aと溶液Bを、図1に示すノズルを用いて混合した。図1のノズルの内径はすべて0.13mmであり、各溶液用のノズルは5本ずつ1cm間隔で配置されている。ノズルから流出する溶液Aと溶液Bとの交差角度は30度、ノズル先端の距離は4mmに設定した。溶液のそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒で流出するようにポンプで供給した。
得られた前駆複合体(温度:45℃)にグリセリンポリグリシジルエーテル(エポキシ当量:145)の0.5重量%水溶液(温度:室温)を、グリセリンポリグリシジルエーテルが生成する吸水性ポリマー粒子に対して500重量ppm(乾燥ポリマー基準)となるように室温で噴霧し、1分後に130℃の空気が前駆複合体の繊維質基材を貫通して流通する通気バンド乾燥機に入れて架橋反応させた。乾燥機に入れてから約2分間で吸水性ポリマー粒子の含水率は15重量%に低下した。更に加熱を継続し、含水率が約5重量%になった時点で加熱を中止して徐冷し、吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体の吸水性ポリマー粒子の含有量(乾燥重量)は300g/m2であった。得られた吸水性複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。写真より、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーが基材上に固着していることが確認された。得られた吸水性複合体の寸法を表に示す。
更に得られた吸水性複合体を40cm×20cmの長方形に切断し、吸水性ポリマーの付着面を下にして、厚さ3mmの同サイズの平滑なステンレス板上においた同サイズの繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)上にぴったり重ね、更にその上に同じステンレス板を重ね、両側から10MPaの荷重をかけて室温で5分間放置後、圧力を開放して吸水性複合体を得た。この吸水性複合体の性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図8に示す。
(原料調製)
80重量%のアクリル酸水溶液125重量部に、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液57.3重量部、水6.4重量部、架橋剤(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)0.075重量部、及び30重量%の過酸化水素水溶液5.0重量部を加えて溶液Cを調製した。溶液Cのモノマー濃度は60重量%、中和度は50モル%であった。
同様に80重量%のアクリル酸水溶液125重量部に、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液57.3重量部、水9.9重量部、架橋剤(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)0.075重量部、及びL−アスコルビン酸1.5重量部を加えて溶液Dを調製した。溶液Dのモノマー濃度、中和度は溶液Cと同じであった。
同様に80重量%のアクリル酸水溶液125重量部に、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液57.3重量部、水9.9重量部、架橋剤(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)0.3重量部、及びL−アスコルビン酸1.5重量部を加えて溶液Fを調製した。溶液Fのモノマー濃度、中和度は溶液Fと同じであった。
調製した溶液Cと溶液Dを、参考例1と同様に図1に示すノズルを用いて混合した。各溶液を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒で流出するようにポンプで供給した。溶液Cと溶液Dは、それぞれのノズル対の延長線上の交点で合流し、約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。その液滴は溶液の合流点より下方2mにて0.1m/分で水平移動するベルト上の繊維質基材(繊維径67デシテックス、重量40g/m2のポリエステル製不織布)上に落下して、重合中の混合物(含水率35%)がポリエステル不織布に付着した前駆複合体を形成した。合流点の下方2mでの前駆体の重合率を測定した結果を表に示す。
前記繊維質基材のかわりに、直ちにこの前駆複合体を水平移動するベルト上に設置し、溶液Eと溶液Fを用いて同様の操作を繰り返した。即ち、調製した溶液Eと溶液Fを、図1のノズルを用いて混合した。溶液Eおよび溶液Fはそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒で流出するようにポンプで供給した。溶液Eおよび溶液Fは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。それぞれのノズルから流出した溶液Eはと溶液Fは空中で合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合しつつ造粒塔内を降下し、ノズルの先端より2m下方にて0.1m/分で移動する前駆複合体上に落下して、重合中の混合物(含水率35%)がポリエステル不織布に付着した前駆複合体を形成した。合流点の下方2mでの前駆体の重合率を測定した結果を表に示す。
上記の一連の操作では、溶液Cと溶液Dの混合液滴を繊維質基材上に落下させてから60秒後に、溶液Eと溶液Fの混合液滴がその繊維質基材(前駆複合体)上に落下するようにした。また、その間、繊維質基材は温度50℃の環境中にて操作した。
得られた前駆複合体(温度:45℃)に対して参考例1と同じ方法で表面架橋を施し、吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体の吸水性ポリマー粒子の含有量(乾燥重量)は300g/m2であった。得られた吸水性複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。写真より、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーが基材上に固着していることが確認された。得られた吸水性複合体の寸法を表に示す。
更に得られた吸水性複合体に対して参考例1と同じ方法で圧縮成型を施した。得られた吸水性複合体の性能を表に示す。また断面は図25のようになっており、実際のデジタル光学顕微鏡写真を図9に示す。
(原料調製)
実施例2と同じ原料の調製を行った。
図1に示すノズル2個を中心軸間の距離を10cm離して同一平面上に並列設置し、一方のノズルを用いて溶液Cと溶液Dを混合し、同時に他方のノズルを用いて溶液Eと溶液Fを混合した。それぞれの溶液は、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合しつつ気相中(空気中、温度50℃)を降下し、ノズルの先端より2m下方にて0.1m/分で移動する前駆複合体上に落下して、重合中の混合物(含水率35%)がポリエステル不織布に付着した前駆複合体を形成した。合流点の下方2mでの前駆体の重合率を測定した結果を表に示す。
得られた前駆複合体(温度:45℃)に参考例1と同じ方法で表面架橋を施し、吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体の吸水性ポリマー粒子の含有量(乾燥重量)は300g/m2であった。得られた吸水性複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図4に示す。写真より、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーが基材上に固着していることが確認された。得られた吸水性複合体の寸法を表に示す。
更に得られた吸水性複合体に参考例1と同じ方法で圧縮成型を施した。得られた吸水性複合体の性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図10に示す。
参考例1の重合工程において、気相中の温度を50℃から40℃に変更したほかは参考例1と同じ操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5に示す。写真より、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーが基材上に固着していることが確認された。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例2の原料調製工程で調製した溶液Cと溶液Dを、参考例1と同様に図1に示すノズルを用いて混合した。各溶液は40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒で流出するようにポンプで供給した。
溶液Cと溶液Dは、それぞれのノズル対の延長線上の交点で合流し、約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。その液滴は溶液の合流点より下方2mにて0.05m/分で水平移動するベルト上の繊維質基材(繊維径67デシテックス、重量40g/m2のポリエステル製不織布)上に落下して、重合中の混合物(含水率35%)がポリエステル不織布に付着している前駆複合体を形成した。さらにそれ以降の操作で、水平移動するベルトの速度を0.15m/分に変更した以外は実施例2と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図6に示す。写真より、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーが基材上に固着していることが確認された。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例3の重合工程において、溶液Cと溶液Dをそれぞれ流速10m/秒で流出するようにポンプで供給し、水平移動するベルトの速度を0.075m/分に変更したほかは参考例3と同じ操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図7に示す。写真より、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーが基材上に固着していることが確認された。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例1の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリエステル製不織布(繊維径67デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例2の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリエステル製不織布(繊維径67デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは実施例2と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例3の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリエステル製不織布(繊維径67デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例3と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例4の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリエステル製不織布(繊維径67デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例4と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例5の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリエステル製不織布(繊維径67デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは実施例5と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例6の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリエステル製不織布(繊維径67デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例6と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例1の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリプロピレン製不織布(繊維径60デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例2の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリプロピレン製不織布(繊維径60デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは実施例2と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例3の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリプロピレン製不織布(繊維径60デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例3と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例4の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリプロピレン製不織布(繊維径60デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例4と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例5の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリプロピレン製不織布(繊維径60デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは実施例5と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例6の圧縮成型工程で用いた繊維質基材(目付け量100g/m2のフラッフパルプ)のかわりにポリプロピレン製不織布(繊維径60デシテックス、重量40g/m2)を繊維質基材として用いたほかは参考例6と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例1の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに7MPaの荷重を用いたほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図11に示す。
実施例2の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに7MPaの荷重を用いたほかは実施例2と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図12に示す。
参考例3の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに7MPaの荷重を用いたほかは参考例3と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図13に示す。
参考例4の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに7MPaの荷重を用いたほかは参考例4と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例5の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに7MPaの荷重を用いたほかは実施例5と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例6の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに7MPaの荷重を用いたほかは参考例6と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例1の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに15MPaの荷重を用いたほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図14に示す。
実施例2の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに15MPaの荷重を用いたほかは実施例2と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図15に示す。
参考例3の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに15MPaの荷重を用いたほかは参考例3と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。また断面のデジタル光学顕微鏡写真を図16に示す。
参考例4の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに15MPaの荷重を用いたほかは参考例4と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
実施例5の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに15MPaの荷重を用いたほかは実施例5と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例6の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに15MPaの荷重を用いたほかは参考例6と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
参考例1の重合工程において溶液の合流点より下方2mの位置にある繊維質基材に液滴を落下させたが、これを溶液の合流点より下方3mの位置にある繊維質基材に液滴を落下させるように変更したほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。なお、剛軟性については、サンプルが破損したために測定することができなかった。
参考例1の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに1MPaの荷重を用いたほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。なお、剛軟性については、サンプルの形状維持が困難であったため測定することができなかった。
参考例1の圧縮成型工程において用いた10MPaの荷重のかわりに25MPaの荷重を用いたほかは参考例1と同様の操作を行って吸水性複合体を製造した。得られた吸水性複合体の形状、寸法、性能を表に示す。
ノズルから流出した2液が合流して液滴となった反応混合物の所定位置における重合率は以下の手順で求めた。まず、所定位置にメタノールの液面が位置するように約150gのメタノールの入ったビーカーを設置し、重合を開始させた反応混合物の液滴を気相中で形成し、ビーカー中のメタノールへ約1gの重合進行中の液滴が落下するようにした。メタノール中のモノマー量を液体クロマトグラフィーで測定した。また、メタノール中のポリマーを130℃で3時間減圧乾燥した後、重量を測定した。それぞれの重量から以下の式により重合率を計算した(Mpはポリマー重量、Mmはモノマー重量)。
Mp
重合率(%) = ――――――――― x 100
Mm + Mp
(吸水性粒子の平均粒径)
結着粒子状の吸水性ポリマー中のランダムに選んだ10個の吸水性粒子の一次粒子の平均径を吸水性粒子の平均粒径とした。なお、吸水性粒子の一次粒子径は試料のSEM平面写真を用いて求めた。
水かき状ポリマーが基材上に島状に点在し、分散している場合を「水かき状分散層」と判定し、水かき状ポリマーが基材上に海状に連続し、開孔が島状に点在している場合を「水かき状連続層」と判定した。
(1)水かき状分散層の場合
ランダムに選んだ10個の水かき状分散層の厚さを、ダイヤルゲージを用いて測定しその平均値を水かき状分散層の厚さとした。ランダムに選んだ10個の水かき状分散層のそれぞれの短径と長径の平均の10個の相加平均を水かき状分散層の平均径とした。なお、短径および長径は試料のSEM平面写真を用いて求めた。
ランダムに選んだ10箇所の水かき状連続層の厚さを、ダイヤルゲージを用いて測定しその平均値を水かき状連続層の厚さとした。ランダムに選んだ10個の水かき状連続層中の開孔部分のそれぞれの短径と長径の平均の10個の相加平均を水かき状連続層の平均孔径とした。また開孔率は水かき状連続層一定面積中の開孔部面積合計の百分率を指す。なお、短径、長径および開孔部面積は試料のSEM平面写真を用いて求めた。
(吸水性複合体の形状)
吸水性複合体の断面を、デジタル光学顕微鏡(キーエンス社製VH−8000)を用いて撮影し観察した。
試料を5cm×5cmに切り出し、JIS l−1096に準拠して、上記拡散層の厚み測定と同様にして測定を行い、5枚のサンプルの平均値を求めた。
試料を5cm×5cmに切り出し、ステンレス製小膝状剪刀両鋭はさみ(FST 14063−09)を用いて基材から吸水性ポリマーを切り取り、固着している基材片や繊維を刈り込み、除去した。さらにデジタル光学顕微鏡(キーエンス社製VH−8000)を用いて、注意深く観察しながら回収した吸水性ポリマーをステンレス製骨剪刀反型はさみ(FST 14077−10)を用いて結着粒子状ポリマーと水かき状ポリマーを切り分けて回収してそれぞれの重量を測定し、水かき状ポリマー100重量部に対する結着粒子状ポリマーの重量部を求めた。
(保水能(CRC)の測定方法)
吸水性複合体に固着している吸水性ポリマーの重量が約1gとなるように110℃で30分間乾燥した吸水性複合体を切断し、その重量(W1)を測定した。これを250メッシュのナイロン袋(20cm×10cm)に入れ、室温の生理食塩水(濃度0.9重量%)500ml中に30分間浸漬した。次いでナイロン袋を引上げ、15分間懸垂して水切りしたのち、遠心分離機を用いて90Gで90秒間脱水した。また吸水性複合体の製造に用いたのと同じ基材を、上記と同様に110℃で30分間乾燥したのち吸水性複合体と同じ大きさに切断し、その重量(W2)を測定した。これを上記と同様に250メッシュのナイロン袋(20cm×10cm)に入れ、室温の生理食塩水(濃度0.9重量%)500ml中に30分間浸漬した。次いでナイロン袋を引上げ、15分間懸垂して水切りしたのち、遠心分離機を用いて90Gで90秒間脱水した。脱水後の吸水性複合体を含むナイロン袋の重量(W3)及び脱水後の基材を含むナイロン袋の重量(W4)を測定した。保水能Sは以下の式に従って算出した。ここでW1〜W4の単位はすべてgである。
S= ――――――――――
W1−W2
(1)20g/cm2荷重
加圧下吸水能(AUL)は、図17に示す装置を用いて以下の手順にしたがって測定した。測定装置は、底が金網(#100)で閉鎖されている金属円筒12(内径25.4mmφ)と、この円筒の内径より若干小さい円柱状錘14と、シャーレ13からなる。
2)測定用試料円盤11の重量Sd(g)及び金網付き円筒12の重量Td(g)を測定した。
3)シャーレ13(100mmφ)に室温の人工尿を25g入れた。
4)測定用試料円盤11を金網付き円筒管12に基材側を金網側にして挿入した。
5)100gの錘を測定用試料円盤の上に乗せた。このとき錘と円筒が接触して、吸水による錘の上昇に際し摩擦が生じないように注意した。
6)測定用試料円盤11及び錘14の挿入された円筒12を、金網を下にしてシャーレ13の中に静かに浸した。
7)1時間吸水させた。
8)円筒12をシャーレ13から静かに取り出した。
9)円筒12を濾紙(#424)の上に静かに乗せて円筒12に付着している水をぬぐい取った。
10)錘14を取り除いた(錘14に付着した吸水性ポリマーは円筒12側へ移した)。
11)円筒12の重量Tw(g)を計測した。
12)吸水後の測定用試料円盤11の重量Sw(g)を下記式により求めた。
Sw=Tw−Td
13)吸水性複合体の代りにこの吸水性複合体の製造に用いたのと同一の基材を用いて、上記と全く同様にして参照用試料円盤の作成及び吸水操作を行った。参照用試料円盤の重量Nd(g)及び吸水後の円筒の重量Mw(g)を測定し、吸水後の参照用試料円盤の重量Nw(g)を下記式により求めた。
Nw=Mw−Td
14)加圧吸水能(AUL)を下記式にしたがって算出した。
加圧吸水能(AUL)(g/g)=(Sw−Nw)/(Sd−Nd)
尿素 19.4g
塩化ナトリウム 8.0g
塩化カルシウム(無水) 0.6g
硫酸マグネシウム(7水和物) 2.05g
純水 970g
上記、(1)の5)で用いた100gの錘のかわりに250gの錘を用いるほかは(1)と同じ測定を行った。
(1)吸水性複合体を5cm×5cmの大きさの吸水性複合体を切り出した。
(2)直径10cmmのガラス製シャーレに純水10mlを仕込んだ。
(3)吸水性複合体をシャーレ内の純水に浸漬させ、シャーレの底が少なくとも一箇所が空気中に露出するまでの時間(秒)を測定して吸水時間とした。
(1)10cm×10cmの大きさの吸水性複合体を切り出し(4辺とも開放)、重量を測定した。吸水性複合体の構成から、全吸水性ポリマー量を求めた。図18に示す如く、JISZ8801で規定された標準網篩(内枠の寸法が、内径150mm、深さ45mm、20メッシュ)61に切り出した吸水性複合体60の四角をテープ62で中央に固定した。
(2)このようにして、図19に示す(株)東京篠原製作所製品、型番SS−S−228型ロータップ型震とう機(JIS Z8815)65において、最上段にのみ吸水性複合体を固定した。
(3)衝動数:165回/分、回転数:290回/分にセットし、振とう60分後に吸水性複合体から脱落した吸水性ポリマーの重量を測定し下記式から脱落率を求めた。
脱落した吸水性ポリマーの重量(g)
脱落率(%)= ――――――――――――――――――― ×100
全吸水性ポリマー量(g)
吸水性複合体をこするように作用する力が反復して加わったときの、吸水性複合体の吸水ゲルの脱落率を以下の手順で測定した。
(1)図20に示す如く、面平滑台51上にサンプル(吸水性複合体)52を置き、中央に内径40mmの上方が開放された円筒53が取付けられており、かつ円筒53で囲まれた部分に、直径5mmの7箇の貫通孔54がほぼ等間隔となるように設けられているアクリル板55(100×100×10mm、全重量150g)を置いた。なお、円板56は用いなかった。
(2)人工尿150mlを円筒53内に入れ、吸水性複合体に吸水させた。
(3)完全吸水後30分間室温下放置して、図21に示すように吸水性複合体70の中心71から5cmずつのところ72を切り取り、切り取った部分(サンプル73)の重量を測定した。
(4)測定後、図22に示す如く、このサンプル73を20cm×20cmのアクリル板74の中心に載せ、切り取ったサンプルと同じ大きさの底面積(10cm×10cm)の荷重(3Kg)75を形状に合わせてはみ出さないように載せた。
(5)一体サンプルを振とう機(井内盛栄堂社製、型番「MS−1」)の移動方向に対してサンプルの切り口が垂直になるようにセットし、振幅50mm、振動数80回/分で、30分間振とうさせた。
(6)振とう後荷重を取り除き、サンプルから脱落した吸水ゲルの重量を測定し、下記式を用いてゲル脱落率を計算した。
押し出されたゲル量(g)
ゲル脱落率(%)= ――――――――――――――― x100
押し出される前のゲル量(g)
吸水性複合体を2cm×25cmに切り出し、温度25℃、湿度50℃に一昼夜保管後、JIS L−1096の比較的柔らかい織物に使用されるハートループ法を用いて以下の手順で剛軟性を測定した。
(1)図23に示される水平棒のつかみ41にサンプル片42をハートループ状に取り付け、サンプル片42の有効長が20cmとなるようにした。
(2)1分間経過してから水平棒の頂部とループの最下点との距離L(cm)を測定した。サンプルを5枚測定し、その平均値を求めて剛軟性とした。
したがって、本発明の吸水性複合体は、紙おむつや生理用品などの衛生材料、廃水などの吸収や保持に必要な工業資材、野菜などの鮮度保持剤や保水剤等の農業資材の製造に好適に使用することができる。また、本発明の吸水性複合体の製造方法は、工業的な製造システムを用いて実施することが可能であり、大量生産にも向いている。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。
2 吸水性ポリマー
3 基材
11 測定用試料円盤
12 金網付き円筒
13 シャーレ
14 錘
21 水不透過性シート
22 ティッシュ
24 吸水性複合体
25 ティッシュ
26 水透過性繊維質材料
41 つかみ
42 サンプル片
51 面平滑台
52 吸水性複合体
53 円筒
54 貫通孔
55 アクリル板
56 円板
60 吸水性複合体
61 標準網篩
62 テープ
65 ロータップ型震とう機
70 吸水性複合体
71 中心
72 切り取り線
73 サンプル
74 アクリル板
75 荷重
Claims (6)
- 基材上に、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性ポリマー粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーを、固着してなる吸水性複合体の製造方法であって、
吸水性ポリマーを与える重合性モノマーの水溶液とレドックス系重合開始剤とを混合することにより重合を開始させた反応混合物からなる液滴を気相中で形成し、前記重合性モノマーの重合率が0〜40%となった状態で前記液滴を基材上に落下させる工程と、
吸水性ポリマーを与える重合性モノマーの水溶液とレドックス系重合開始剤とを混合することにより重合を開始させた反応混合物からなる液滴を気相中で形成し、前記重合性モノマーの重合率が40〜80%となった状態で前記液滴を基材上に落下させる工程とを逐次行うことを特徴とする吸水性複合体の製造方法。 - 基材上に、水かき状の吸水性ポリマーと、吸水性ポリマー粒子が粒子形状を維持しつつ互いに結着した結着粒子状の吸水性ポリマーを、固着してなる吸水性複合体の製造方法であって、
吸水性ポリマーを与える重合性モノマーの水溶液とレドックス系重合開始剤とを混合することにより重合を開始させた反応混合物からなる液滴を気相中で形成し、前記重合性モノマーの重合率が0〜40%となった状態で前記液滴を基材上に落下させる工程と、
吸水性ポリマーを与える重合性モノマーの水溶液とレドックス系重合開始剤とを混合することにより重合を開始させた反応混合物からなる液滴を気相中で形成し、前記重合性モノマーの重合率が40〜80%となった状態で前記液滴を基材上に落下させる工程とを同時に行うことを特徴とする吸水性複合体の製造方法。 - 結着粒子状の吸水性ポリマーを構成する吸水性ポリマー粒子の平均粒径が50〜1000μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水性複合体の製造方法。
- 吸水性複合体が、厚さが50〜1000μmで平均径が200〜50000μmである水かき状分散層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性複合体の製造方法。
- 吸水性複合体が、厚さが50〜1000μmで、平均孔径が100〜50000μmでかつ開孔率が10〜80%である水かき状連続層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性複合体の製造方法。
- 吸水性複合体の吸水性ポリマーの表面に繊維質基材をさらに敷設する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水性複合体の製造方法。
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