明 細 書
レドックス重合法、 吸水性樹脂複合体および吸収性物品 技術分野
本発明はレドックス重合の重合速度を飛躍的に加速させ、生産性を向上させる 技術に関するものである。 特に吸水性樹脂、 水溶性樹脂、 凝集剤、 分散剤等親水 性樹脂の製造に好適な(メタ)アクリル酸の迅速な重合法を提供するものである。 また本発明は、 吸水性樹脂複合体およびその製造方法と、 吸水性樹脂複合体を含 む吸水性樹脂複合体組成物と、 この吸水性樹脂複合体組 物を用いてなる吸収性 物品に関するものである。 本発明の吸水性樹脂複合体およびその組成物は、 残存 モノマー濃度が低く、 薄くて柔軟性が有り且つ開繊可能であり、 紙おむつ、 生理 用ナプキン等の衛生材料、産業用資材等の吸収性物品の構成材料として好適であ る。 . 背景技術
従来から、エマルション塗料や吸水性樹脂等の製造にレドックス重合法が用い られてきた。 レドックス重合法自体の重合速度は他の重合法に対して決して遅く ないが、生産性の向上あるいは重合装置の小型化のためさらに重合速度を速める ことが求められている。
特開 2 0 0 0 - 3 2 8 4 5 6号公報には、過酸化水素 L—ァスコルビン酸の レドックス重合系を用いて、 部分中和 (メタ) アクリル酸を気相中で落下させな がら、 空中で重合させる迅速な吸水性樹脂の製造法が提案されている。 この製造 法は、 それまでの手法と比較して格段に迅速な手法である。 しかしながら重合完 結のために必要な落下滞留時間を確保するためには、高さ 3メートル以上の重合 槽を必要としていた。
同様に、 C. Briensら (Ind. Eng. Chem. Res. 2001, 40, 5386 - 5390) は、 「吸 水性樹脂の超高速反応器」 を報告している。 この技術は基本的に特開 2 0 0 0—
3 2 8 4 5 6号公報と同様の概念で同様の反応系を用いている。超高速というも のの、 中和発熱を用いた最速の場合でも、 重合転化率 4 0 %を得るためには 2秒 以上を要し、 中和熱を利用しない通常の場合は 3秒以上を要する。 いずれも重合 速度の迅速性は不十分であった。
一方、迅速な重合を行う場合は、重合阻害剤に対する脆弱性も考慮しなければ ならない。 すなわち、 重合所要時間が数時間である通常の重合に比較して、 秒単 位で重合が完結する迅速な重合法は、 1秒以下のわずかな重合遅延あるいはわず 力な重合阻害があっても迅速な重合に重大な影響を与えてしまう。 具体的には、 (メタ) アクリル酸製造工程で副生する微量不純物が、 萆合を大幅に遅延させる ことが知られている。 その結果、 生成ポリマー中の残存モノマー (本明細書にお いてモノマーとは重合性モノマーを意味する) が大幅に増加することが報告され ている。 たとえば、 WO第 0 1 Z 9 8 3 8 2号公報には、 アクリル酸の重合にお いて、 製造に際して副生する特定の微量の不純物 (プロトァネモニンおょぴフル フラール) が重合に悪影響を与え、 結果的に残存モノマーが増加することが記載 されている。そのために、 これら微量不純物を除去精製した「超精製ァクリル酸」 を使用することが提案されている。
また、 同様に特許第 3 3 4 9 7 6 8号公報、 特許第 3 3 5 7 0 9 3号公報、 特 開平 6— 5 6 9 3 1号公報には、製造に際して副生する微量の β—ヒドキシプロ ピオン酸が重合に悪影響を与え、結果的に残存モノマーが増加することが記載さ れている。 そのために、 この微量不純物を除去精製したアクリル酸の使用が提案 されている。
また製造、 貯蔵、移送設備の材質由来の微量金属不純物に著しい重合阻害作用 があることも知られている。 「機能性アクリル系樹脂」 (大森英三、 (株) テクノ システム、 1 9 8 5、 2 8頁 2行目以下) には銅、 鉄、 クロム、 亜鉛、 水銀等に 重合阻害作用があることが記載されている。 さらに、 特開平 3— 3 1 3 0 6号公 報には、 鉄、 マンガン、 クロム、 銅、 鉛等の重金属が重合に悪影響を与え、 結果 的に残存モノマーが増加することが記載されている。 そのために、 モノマーを重
金属と接触させないように装置をライニングおよぴ Zまたはコーティング処理 された材質 構成するか、 あるいはこれら重金属を除去精製したアクリル酸を利 用することが提案されている。 これら不純物除去のための精製工程の付加あるい は、 装置のライニングおよび Zまたはコーティン処理には多大の費用、 労力、 ェ ネルギーを要し、 コスト上昇の要因となる。 このため、 これらの微量の不純物に 対して脆弱でない迅速な重合法を開発することが望まれていた。
他方、 レドックス重合法で得られる親水性樹脂は紙おむつ等の衛生材料として 有用である。 吸水性樹脂中の残存モノマーは、 吸水性樹脂の吸水性を阻害する上 に汚染等のおそれがあり衛生上の問題を生じる。 したが て、 残存モノマーの量 をより一層低減化することも望まれていた。残存モノマーを低減化する方法につ いては、 これまでに種々の提案がな.されてきた。 たとえば、 1)モノマーの重合を 進行させる方法、 2)モノマーを他の誘導体へ導く方法、 3)モノマーを除去する方 法が挙げられる。 1)のモノマーの重合を進行させる方法としては、 例えばポリマ 一をさらに加熱する方法、吸水性樹脂にモノマーの重合を促進する触媒ないしは 触媒成分を添加した後に加熱する方法 (特開昭 6 4— 0 2 4 8 0 8号公報, 特開 平 0 1— 1 0 3 6 4 4号公報)、 紫外線を照射する方法 (特開昭 6 3— 2 6 0 9
0 7号公報)、 電磁放射線または微粒子性イオン化放射線を照射する方法 (特開 昭 6 3— 0 4 3 9 3 0号公報) などが挙げられる。 し力 し、 これらの手法は処理 に比較的長い時間を要したり、 高価な設備を必要としたりする。
2)のモノマーを他の誘導体へ導く方法としては、 例えばァミン、 アンモニア等 を加える方法 (特開昭 5 0— 0 4 0 6 8 9号公報)、 亜硫酸水素塩、 亜硫酸塩、 ピロ亜硫酸塩等の還元剤を加える方法 (特開昭 6 4— 0 6 2 3 1 7号公報) が挙 げられる。 この方法により、 確かにモノマーは激減する場合があるが、 添加する 薬剤自身あるいはモノマー誘導体の毒性に難点がある。
3)のモノマーを除去する方法としては、 例えば有機溶媒により抽出 (特開平 0
1— 2 9 2 0 0 3号公報)、 留去する方法 (特開平 0 1— 0 2 6 6 0 4号公報) が挙げられる。 この手法は多大なエネルギーを消費する欠点を有するのみならず、
かえって有機溶媒由来の不純物の混入が懸念される。 これら従来技術の短所を鑑 み、 衛生性が高く、 低コストの残存モノマー量低減化法が望まれていた。
一方、重合中に特定の金属を添加することによって生成物を改良する技術につ いては、 これまでにも種々の提案がなされている。
たとえば、 特開昭 6 3— 2 1 0 1 0 2号公報には、 吸水性樹脂を製造するため のレドックス重合系において、 還元剤として、 L—ァスコルビン酸、 L—ァスコ ルビン酸ナトリウム、 Lーァスコルビン酸アルカリ金属塩、 酢酸コバルト、 硫酸 銅、 硫酸第一鉄等を用いることが提案されている。 しかしながら、 ここでは非金 属還元剤およぴ非金属酸化剤を用いるレドックス重合、 ことえば、 Lーァスコル ビン酸 Z過酸ィヒ水素に対して鉄化合物を併用したときに、鉄化合物が重合速度を 迅速化する重合活性化剤として作用することや、不純物に対して重合安定性を確 保する抗重合阻害剤として作用することについては記述も示唆もない。 また、 特 開昭 6 3— 2 1 0 1 0 2号公報において鉄ィ匕合物は、 あくまでも還元剤として用 いるため酸ィ匕数が低位の状態の化合物しか用いることができない。 事実、 鉄化合 物として硫酸第一鉄(Π)のみが例示されているにすぎず、 3価以上の鉄について の使用に関する記述も示唆もない。
また、 特開平 4 - 3 7 2 6 0 4号公報には、 重合により吸水性樹脂を製造する 際に F e (II)、 F e (III)の金属塩ィヒ合物を添加して、 吸水性樹脂の性能を向上 させる方法が記載されている。 この方法は金属塩化合物を重合時に添加するもの であるが、重合時の反応様態の改良を目的したものではない。 添加した金属塩ィ匕 合物は重合反応時には不活性であり、 もっぱら重合完了後における吸水性樹脂の 吸水性能を改良することを意図したものである。特開平 4一 3 7 2 6 0 4号公報 中には、 これらの金属塩化合物はレドックス重合開始に関与しないことが明記さ れており、 その実験的根拠も示されている。 また、 レドックス系の製造例や実施 例も公報中に記載されていない。 したがって、 レドックス重合に直接関与する重 合活性化剤あるいは抗重合阻害剤、 また残存モノマー量低減化を図る残存モノマ 一量低減化剤に関する示唆はまったくない。 '
発明の開示
本発明は、上記公報や文献に記載されている従来技術の課題や問題点を解決す るためになされたものである。 即ち、 本発明は、 重合速度を飛躍的に向上させた レドックス重合法を提供することを目的とする。 また本発明は、 重合阻害剤を含 有するレドックス重合系 (たとえば粗製 (メタ) アクリル酸をモノマーとして用 いた場合など) であっても、 重合阻害が少なく、 安定した重合挙動が得られるレ ドックス重合法を提供することを目的とする。 さらに本発明は、 残存モノマーの 量を低減化することができるレドックス重合法を提供することを目的とする。 ま た本発明は、 レドックス重合用の重合活性化剤およぴ抗尊合阻害剤を提供し、 さ らにレドックス重合で得られたポリマーの残存モノマー量低減化剤を提供する ことも目的とする。 .
また本発明は、残存モノマーの少ない吸水性樹脂複合体およびその製造方法と、 この吸水性樹脂複合体を含む吸水性樹脂複合体組成物、 この吸水性樹脂複合体組 成物を用いた吸収性物品を提供することも目的とする。 本発明は特に、 残存モノ マー量が少なく、乾燥時だけでなく吸水膨潤時においても繊維が高吸水性樹脂粒 子に安定的に固定ィヒされ、高吸水性樹脂粒子を繊維に対して高含量で均一に固定 可能であり、 柔軟で力つ薄型ィ匕が可能であり、 さらには複合体自身が開繊可^で あり、 他の資材と均一混合も可能な、 高吸水性樹脂粒子と繊維との複合体と、 こ れを含む組成物を提供することを目的とする。
さらに本発明は、 十分な量の液体を迅速に吸収して拡散 ·保持させることがで きる吸収性物品の製造方法を提供することを目的とする。 また、 柔軟で薄型の吸 収性物品を簡便な方法で製造することができる方法を提供することを目的とす る。 さらに、 繊維屑や吸水性樹脂細粒を発生させることなく、 吸水性樹脂の固定 性が良好な吸収性物品を製造する方法を提供することも目的とする。
前記の「機能性アクリル系樹脂」 (大森英三、 (株)テクノシステム、 1 9 8 5、 2 8頁 2行目以下) ゃ特開平 3— 3 1 3 0 6号公報に記載されているように、一 般に鉄をはじめとする金属はアクリル酸の重合を阻害することが知られている。
ところが、 本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、 驚くべきことに逆にごく微量の 遷移金属化合物を特定のレドックス重合系に添加することにより重合速度を飛 躍的に向上させることができることが見いだされた。 また、 驚くべきことに、 本 来重合阻害物質の共存に対して重合速度や重合安定性の面で脆弱であったレド ックス重合系において、微量の遷移金属化合物を添加することにより十分な重合 速度を安定的に実現しうることが見いだされた。 本発明は、遷移金属化合物がこ のような重合活性化剤としての作用と抗重合阻害剤としての作用を有すること を初めて発見したことに基づき提供されたものである。
すなわち本発明は、非金属還元剤および非金属酸化剤を用いてモノマーをレド ックス重合することによ.りポリマーを製造する方法において、前記還元剤おょぴ 前記酸化剤の他に遷移繊維金属化合物を前記モノマーに対して金属換算で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p m用いることを特徴とするものである。 また本発明は、 非金 属還元剤およぴ非金属酸化剤を用いてモノマーをレドックス重合する際の重合 活性を高める方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合物 を前記モノマーに対して金属換算で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p m用いることを特 徴とするものである。 さらに本発明は、 非金属還元剤および非金属酸化剤を用い てモノマーをレドックス重合する際に反応系内に存在する重合阻害剤の活性を P且害する方法であって、前記還元剤およぴ前記酸化剤の他に遷移金属化合物を前 記モノマーに対して金属換算で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p m用いることを特徴と するものである。 また本発明は、 非金属還元剤および非金属酸ィヒ剤を用いてモノ マーをレドックス重合することにより得られるポリマーに含まれる残存モノマ 一量を低減する方法であって、前記還元剤および前記酸化剤の他に遷移金属化合 物を前記モノマーに対して金属換算で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p m用いることを 特徴とするものである。 例えば、 前記レドックス重合終了後の生成物を、 前記モ ノマーに対して金属換算で 0 . 0 1〜: 1 0 0重量 p p mの遷移金属化合物の存在 下で、相対湿度 8 0 %以上の雰囲気下に保持するか水を付与することにより行う ことができる。
これらの本発明の方法において、前記遷移金属化合物は前記還元剤により還元 される化合物であることが好ましく、第一遷移金属化合物であることがより好ま しく、 鉄化合物であることがさらに好ましい。 また、 前記非金属還元剤の酸化還 元電位は一 2〜0 . 3 Vであり、 非金属酸化剤の酸ィ匕還元電位は 0 . 6〜2 . 5 Vであり、 かつ、 前記遷移金属化合物中の遷移金属の酸化還元電位は非金属還元 剤の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元電位より小さいことが 好ましい。 さらに、 前記非金属還元剤を前記モノマーに対して 0 . 0 0 1〜1 0 重量%用いて、 かつ、 前記遷移金属化合物を前記非金属還元剤に対して金属換算 で 0 . 0 0 0 1〜1 0 0重量%用いることが好ましい。 ;こで、 遷移金属化合物 の金属換算量とモノマー量または非金属還元剤量が等しい場合は 1 0 0重量% となる。 .
本発明の方法では、 モノマーとして (メタ) アクリル酸を好ましく用いること ができる。 例えば、 炭素数 1〜8のアルデヒド類、 炭素数 1〜 6の飽和または不 飽和カルボン酸類 (ただし酢酸、 プロピオン酸およびダイマー酸を除く)、 炭素 数 1〜 6のエステル類、 炭素数 8〜 1 0の環状不飽和炭化水素類、 炭素数 7〜 1 6のヒドロキノンモノメチルエーテル以外のアルコキシヒドロキシ (多環) 不飽 和炭化水素類おょぴフエノチアジンからなる群より選択される 1種ないし 2種 以上の重合阻害剤を 1〜1 0 0 0重量 p p m、 および または、 ヒ ドロキノンモ ノメチルエーテルを 2 3 0〜5 0 0 0重量 p p m含有する粗製 (メタ) ァクリル 酸を用いることもできる。 また本発明の方法では、 非金属還元剤として、 ァスコ ルビン酸、エリソルビン酸およびそれらの塩からなる群より選択される 1種ない し 2種以上を好ましく用いることができる。 さらに、 非金属酸化剤として過酸ィ匕 水素を好ましく用いることができる。 本発明の方法を用いれば、 レドックス重合 開始から 0 . 7秒後のモノマーの重合率を 5 0 %以上、 または 1 . 5秒後のモノ マーの重合率を 7 0 %以上にすることができる。 なお、 ここでァスコルビン酸と は詳しくは L—ァスコルビン酸を指し、エリソルビン酸とは Lーァスコルビン酸 の光学異性体でィソァスコルビン酸あるいほァラポアスコルビン酸とも別称さ
れるものを指す。
さらに本発明は、 遷移金属化合物を含有することを特徴とする、 非金属還元剤 および非金属酸化剤を用いたレドックス重合用の重合活性化剤を提供する。 また、 遷移金属化合物を含有することを特徴とする、非金属還元剤および非金属酸化剤 を用いたレドックス重合用の抗重合阻害剤も提供する。 さらに、 遷移金属化合物 を含有することを特徴とする、非金属還元剤おょぴ非金属酸化剤を用いたレドッ クス重合により得られるポリマーの残存モノマー量低減化剤も提供する。
また本発明は、酸化還元電位が 0〜 2 Vである遷移金属化合物を金属換算で 0 . 0 1〜 1 0 0重量%含有し、 かつ、 非金属還元剤を 0 . Q 0 0 1〜 1 0重量%含 有することを特徴とする親水性ポリマーも提供す 。 .
本発明は、 モノマーおよび/ /または重合中の該モノマーを含有する液滴と、 繊 維とを気相中で接触させ、 さらに該モノマーの重合を進行させることにより、 繊 維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体を製造する方法 において、 (1 ) 該モノマーの重合を重合活性化剤の存在下、 ラジカル重合によ り進行させることを特徴とする吸水性樹脂複合体の製造方法; (2 ) 該モノマー の重合をラジカル重合により進行させ、 重合終了後に、 生成物を重合活性化剤の 存在下、相対湿度 8 0 %以上の条件下で保持することを特徴とする吸水性樹脂複 合体の製造方法;および( 3 )該モノマーの重合をラジカル重合により進行させ、 重合終了後に、 生成物に重合活性ィヒ剤の存在下、 水を付与することを特徴とする 吸水性樹脂複合体の製造方法も提供する。 (1 ) および (2 ) の方法では、 重合 活性化剤の存在下に重合を行うことが好ましく、特にモノマーに対して金属換算 で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p mの遷移金属化合物を用いることが好ましい。 (1 ) 〜( 3 )の方法では、重合後の生成物に重合活性化剤を添加することが好ましく、 特に得られるポリマーに対して金属換算で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p mの遷移金 属化合物を用いることが好ましい。製造される吸水性樹脂複合体は残存モノマー 濃度 2 0 0 0重量 p p m以下であることが好ましい。
本発明はこれらの吸水性樹脂複合体の製造方法により製造される吸水性樹脂
複合体も提供する。 また、 繊維が複合ィ匕された高吸水性樹脂粒子よりなり、 残存 モノマー含有量が 2 0 0 0重量 p p m以下、好ましくは 5 0 0重量 p p m以下で あることを特 ί敷とする吸水性樹脂複合体も提供する。該吸水性樹脂複合体を構成 する高吸水性樹脂粒子は略球状であり、 かつ、 該吸水性樹脂複合体は、 一部が該 樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が該樹脂粒子より露出している繊維と、該 樹脂粒子内に包埋されることなく一部が該樹脂粒子の表面に接着している繊維 とを有することが好ましい。 また、 前記吸水性樹脂複合体を構成する繊維のうち の少なくとも一部が、 水との接触角が 9 0 ° 以下の繊維であることが好ましレ、。 本発明は、 これらの吸水性樹脂複合体を含むことを特 [とする吸水性樹脂複合 体組成物も提供する。 さらにこの吸水性樹脂複合体組成物を含むことを特徴とす る吸収性物品も提供する。 .
また本発明は、 下記の工程 (A) 〜 (D) を含む、 吸水性樹脂と繊維からなる 吸収性物品の製造方法も提供する。
(A) 吸水性樹脂を与えるモノマーおよび Zまたは該モノマーの重合進行物を含 有する液滴と予め開繊された繊維とを接触させ、該モノマーの重合をさらに進行 させることにより、吸水性樹脂が繊維に付着した構造を有する吸水性樹脂と繊維 からなる複合体を得る複合化工程
(B ) 複合体の集合体を回収する回収工程
(C) 集合体を乾燥する乾燥工程
(D) 集合体を成形する成形工程
乾燥工程と成形工程の間には、 乾燥工程で得られた集合体を開繊し、 開繊され た吸水性樹脂と繊維からなる集合体を得る開繊工程を含むことが好ましく、 さら に開繊工程と成形工程の間に、吸水性樹脂が付着していない繊維を分離する篩分 け工程を含むことが好ましく、 さらに篩分け工程で分離された繊維を複合ィヒ工程 および Zまたは成形工程で使用することが好ましい。 この製造方法では、 吸水性 樹脂が部分中和ァクリル酸ポリマー架橋体からなるものであることが好まし!/、。 また、 複合化工程を反応器内で行い、 回収工程において反応器の底部に堆積した
複合体の集合物を回収することが好ましい。 さらに、 複合ィ匕工程において繊維を 空気との混相流として反応器内に供給し、 回収工程において反応器底部に設置さ れたメッシュの下方を反応器内よりも減圧状態にして集合体をメッシュ上に堆 積させて回収することが好ましく、 メッシュを通して下方に吸気した空気を、 複 合ィヒ工程において繊維と混合して混相流を形成するために使用することが好ま しい。 図面の簡単な説明
図 1は、実施例および比較例で吸水性樹脂複合体の製造に用いた混合装置を示 す斜視図である。
図 2は、吸水性樹脂複合体の製造における繊維の空間速度の計算例を示す図で ある。
図 3は、吸水性樹脂複合体の製造における液滴の空間速度の計算例を示す図で ある。
図 4は、 厚み測定具を示す断面図である。
図 5は、 ハートループ法による剛軟性を測定する治具を示す概略図であり、 ( a ) 図は斜視図、 (b ) 図は (a ) 図の B— B線に沿う断面図である。
図 6は、 試験例 3で製造した吸収性物品を示す断面図である。
図 7は、 吸水速度と放水量の測定具を示す断面図である。
図 8は、 高吸水性樹脂脱落率の測定方法を示す概略図である。
図 9は、 ロータップ型震とう機を示す概略図である。
図 1 0は、 ゲル脱落率測定におけるサンプルの切断線を示す平面図である。 図 1 1は、 ゲノレ脱落率測定における振とう時の状態を示す断面図である。
図 1 2は、本発明の製造方法により吸収性物品を連続的に製造するためフロー シートの一例である。
図 1 3は、実施例 2 0 1で製造した複合体の略図および走査型電子顕微鏡写真 である。
図 1 4は、実施例 2 0 2で製造した複合体の略図および走査型電子顕微鏡写真 である。
図 1 5は、実施例 2 0 3で製造した複合体の略図およぴ走查型電子顕微鏡写真 である。
図中、 1は重合槽、 2はバキュームコンベア、 3'は表面架橋剤噴霧槽、 4は乾 燥機、 5は開繊器、 6は篩分け器、 7はバキュームコンベア、 8は圧着機、 1 1 は水不透過性ポリェチレンシ一ト、 1 2はティッシュ、 1 3は高密度化された吸 水性樹脂複合体組成物、 1 4はポリエステル繊維製不織布、 1 5はティッシュ、 1 6は水透過性ポリエステル繊維製不織布、 2 1 , 2 2 配管、 2 1 a , 2 2 a はノズル、 2 3は液柱、 2 4は液滴、 3 1はアダプター、 3 2はサンプル台、 3 3はサンプル、 4 1はっかみ、 4 2.はサンプル、 5 2はサンプル、 5 3は円筒、 5 5はアタリル板、 5 6は円板、 6 0は吸収性物品、 6 1は網篩、 6 5はロータ ップ型震とう機、 7 0は吸収' [·生物品、 7 3はサンプノレ、 7 4はアタリル板、 7 5 は荷重である。 発明の詳細な説明
以下において、 本発明について好ましい態様を参照しながら詳細に説明する。 以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされ ることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、 本明細書において 「〜」 を用いて表される数値範囲は、 「〜」 の前後に記載され る数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。 以下において、 レドッ クス重合法、 本発明の吸水性樹脂複合体、 本発明の吸水性樹脂複合体組成物、 本 発明の吸水性樹脂複合体の製造方法、本発明の吸水性樹脂複合体組成物の製造方 法、本発明の吸収性物品、本発明の吸収性物品の製造方法の順に詳細に説明する。
[ I ] レドックス重合法
本発明の重合活性化剤、抗重合阻害剤および残存モノマー量低減化剤を総称し
て本発明の試薬という。 以下において、 本発明の試薬から順に説明する。
1. 本発明の試薬
(1-1) 試薬の成分と組成
(遷移金属化合物)
本発明の試薬は遷移金属化合物を含有することを特徴とする。
本発明の試薬に用いる遷移金属化合物は、該化合物に含まれる遷移金属の酸化 還元電位が非金属還元剤の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元 電位より小さいものが好ましい。 遷移元素は、 第一遷移系列、 第二遷移系列、 第 三遷移系列、 ランタ二ド系列おょぴァクチ二ド系列のいずれに属するものであつ てもよいが、 第一遷移系列に属する遷移元素であることが好ましい。 第一遷移系 列に属する元素は、 具体的にはチタ.ン (一0. 37V)、 バナジウム (一1. 1 9V、 一 0. 25V)、 クロム (一 0. 91V、 一 0. 41V)、 マンガン (一 1. 18 V、 1. 59V)、 鉄 (一 0. 44V、 0. 77V)、 コバルト (一 0. 28 V、 1. 84V)ゝ ニッケル (—0. 24 V) およぴ銅 (0. 34V、 0. 15 V、 0. 52 V) である (括弧内の数値は酸化還元電位を表す)。 この中でも、 酸化還元電位が 0〜 2 Vの範囲にあるものが好ましく、鉄おょぴ銅がさらに好ま しく、 鉄がもっとも好ましい。 なお、 上述のように遷移元素の中には複数の酸ィ匕 還元電位を有するものがあるが、 そのうち一以上の酸化還元電位が非金属還元剤 の酸化還元電位より大きくて非金属酸化剤の酸化還元電位より小さければ、上述 のレドックスサイクルに好ましく作用する。
本発明で用いる遷移金属化合物に含まれる遷移金属の酸化数は特に制限され ない。 遷移金属の酸化数によって、 遷移金属化合物の性質は異なる。 例えば、 3 価以上の鉄化合物と 2価以下の鉄化合物はいずれも優れた重合活性作用を有す るが、 3価の鉄は空気中の酸素に対して安定であるという利点を有するものの赤 紫着色が大きいという短所を有する。 一方、 2価以下の鉄化合物は赤紫着色が小 さいという利点を有するものの空気中の酸素に対する安定性が小さいという短 所を有する。 このように含まれる遷移金属の'酸ィ匕数によって性質が異なるため、
このような性質の違いや本発明の試薬の使用目的、 使用対象、 使用環境、 使用量 などを考慮したうえで、遷移金属の酸化数を選択することが好ましい。 本発明の 試薬には、 1種類の遷移金属化合物を単独で用いてもよいし、 2種以上の遷移金 属化合物を組み合わせて用いてもよい。
遷移金属化合物としては、 遷移金属と無機酸あるいは有機酸との塩、 酸化物、 合金が挙げられる。 ここでいう無機酸としては、 塩酸、 ふつ酸、 硫酸、 硝酸、 り ん酸、 炭酸等が挙げられる。 中でも、 塩酸おょぴ硫酸が好ましい。 また、 ここで いう有機酸としては、 有機基を有するカルボン酸、 スルフィン酸、 フエノール、 ェノール、 チォフエノール、 イミド、 ォキシム、 芳香族^ルホンアミド、 第一級 およぴ第二級ニトロ化合物等が挙げられる。 中でも、 カルボン酸、 ェノールが好 ましい。 .
' 例えば遷移金属が 3価以上の鉄である遷移金属化合物の具体例として、塩化鉄 (111)、 ふつ化鉄(111)、 硫酸鉄(111)、 硝酸鉄(111)、 りん酸鉄(III)あるいはそ れらの水和物;モノカルボン酸のぎ酸鉄(111)、 酢酸鉄(111)、 プロピオン酸鉄 (111)、 アクリル酸鉄 (111)、 しゅう酸鉄(111)、 クェン酸鉄(111)、 ダルコン酸 (111)、 2—ェチルへキ酸鉄(ΠΙ)、 乳酸鉄 (111)、 ナフテン酸鉄(ΠΙ)、 ジカルボ ン酸のフマル酸鉄(111)、 マレイン酸鉄 (111)、 ポリカルボン酸のポリアクリル 酸鉄(111)、 ェノールの L—ァスコルビン酸鉄(111)、 エリソルビン酸鉄(III)あ るいはそれらの水和物;酸ィ匕鉄(111)、鉄(IV)酸塩、鉄 (V)酸塩等が挙げられる。 遷移金属が 2価以下の鉄である遷移金属化合物の具体例として、 塩ィヒ鉄 (11)、 ふ つ化鉄 (11)、 硫酸鉄 (11)、 硝酸鉄 (11)、 りん酸鉄 (II)あるいはそれらの水和物; モノカルボン酸のぎ酸鉄 (11)、 酢酸鉄 (11)、 プロピオン酸鉄(11)、 アクリル酸鉄 (11)、 しゅう酸鉄(11)、 クェン酸鉄(11)、 ダルコン酸(11)、 2—ェチルへキ酸鉄 (11)、 乳酸鉄 (π)、 ナフテン酸鉄 (11)、 ジカルボン酸のフマル酸鉄 (11)、 マレイ ン酸鉄(11)、 ポリカルボン酸のポリアクリル酸鉄(11)、 ェノールの Lーァスコル ビン酸鉄(11)、 エリソルビン酸鉄 (II)あるいはそれらの水和物;酸ィ匕鉄(II);鉄 合金が挙げられる。
(組成)
本発明の試薬は、 遷移金属化合物のみからなるものであってもよいし、遷移金 属化合物を適当な媒体に溶解または分散させたものであってもよレ、。溶液に用い る溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、 水、 エタノール、 アセトンを用いるこ とができるが、 安全性、 衛生性、 溶解性、 経済性の観点から水が好適である。 (1-2) 重合活性化剤
本発明の重合活性化剤は、 レドックス重合をより活性ィ匕させ、 重合速度を高速 ィ匕させ、 その結果、 迅速な重合を実現しうる試薬である。
(添加濃度、 添加方法) ;
本発明の重合活性化剤の添加量は、モノマーに対して遷移金属化合物^金属換 算で 0. 01〜100重量 p pmであり、 0. 05〜50重量 p pmが好ましく、 0. 1 p ρπ!〜 20 p pmがさらに好ましい。 0. 01重量 p p m未満の濃度で は十分な重合活性ィ匕効果が得られず、逆に 100重量 p pmを超える量を使用し ても効果は向上せず不経済になる。
また、遷移金属 Z非金属還元剤の比も重要であり、 重合活性ィ匕剤の添加量は非 金属還元剤に対して金属換算で 0. 0001〜 100重量%であることが好まし く、 0. 001〜10重量0 /0であることがより好ましく、 0. 01〜1重量%で あることがさらに好ましい。
本発明の重合活性化剤は、 酸化剤を含有するモノマー液に添加しても良いし、 還元剤を含有するモノマー液に添カ卩しても良レ、。酸化剤と還元剤を混合したとき に、 本発明の重合活性化剤は均一に存在していることが望ましいことから、 酸ィ匕 剤を含有するモノマー液と還元剤を含有するモノマー液の双方に本発明の重合 活性ィ匕剤を添加することが好ましい。 このとき、 双方に添加する本発明の重合活 个生化剤の,袓成は同一であっても異なっていてもよい。 また、 添加量は同一であつ ても異なっていてもよい。 好ましいのは、 同一,祖成の重合活性化剤を同一量添加 する場合である。 なお、 酸化剤と還元剤を混合したときに速やかに本発明の重合 活性化剤が均一に分散しうる条件を選択する場合は、 いずれか一方のみに本発明
の重合活性化剤を添加しても十分な重合活性化効果が得られる。
またこれらモノマー液と重合活性化剤との混合は、 どのような手法でも差し支 えない。 たとえば、 モノマー液にあらかじめ仕込むと力、 ラインミキサーを用い て配管内で混合させる手法等が例示できる。 モノマー液と重合活性化剤は、 重合 開始以前に混合しておくことが特に好ましい。 ただし、 本発明は、 重合開始後に 重合活性化剤をさらに添加する場合を排除するものではなレヽ。 モノマー液と重合 活性化剤を混合する際の温度は、 通常常温〜約 6 0 ° (:、 好ましくは常温〜約 4 0 °Cである。混合時の温度が高すぎるとモノマー液の安定性が損なわれる場合が あ 00 ;
なお、 上の説明では、 酸化剤を含有する液と還元剤を含有する液の双方にモノ マーが含まれている態様を例に挙げたが、モノマーは必ずしも双方に含まれてい る必要はなく、 いずれか一方のみに含まれている態様も本発明に含まれる。 すな わち、 酸化剤を含有する液にのみモノマーが含まれていてもよいし、 還元剤を含 有する液にのみモノマーが含まれていてもよレ、。 この場合に、 本発明の重合活性 化剤は、 モノマーが含まれている液に添加してもよいし、 モノマーが含まれてい ない液に添カ卩してもよいし、 双方に添加してもよい。 好ましいのは、 双方に添加 する場合と、 モノマーが含まれている液に添加する場合である。
(反応条件)
本発明の重合活性化剤はレドックス重合の過程を通して効果を発現するもの である。 したがってレドックス重合が十分実現する条件であれば、 その反応条件 については特に制限はない。 具体的には重合工程の項で後述する。
(効果)
本発明の重合活性化剤を添加することにより、 レドックス重合をより活性化さ せ、 重合速度を高速ィ匕させ、 その結果、 迅速な重合を実現することができる。 具 体的には、 本発明の重合活生化剤を添加することにより、 レドッタス重合開始か ら 0 . 7秒後の重合率を 5 0 %以上、 または 1 . 5秒後の重合率を 7 0 %以上に することができる。 より好ましくは重合開始から 0 . 7秒後の重合率を 5 5 %以
上、 または 1 . 5秒後の重合率を 7 5 %以上にすることができる。 さらに好まし くは重合開始から 0 . 7秒後の重合率を 6 0 %以上、 または 1 . 5秒後の重合率 を 8 0 %以上にすることができる。
( 1 - 3 ) 抗重合阻害剤
本発明の抗重合阻害剤は、 レドックス重合の反応系に存在する重合阻害剤の重 合阻害活性を低減化させ、 その結果、 生成ポリマー中の残存モノマー量を増大さ せない作用を示す試薬である。 本発明の抗重合阻害剤は、 特に重合阻害剤を含む モノマーを用いてレドックス重合を行う場合に、その重合阻害剤の重合阻害作用 を抑制することができる点で有用である。 中でも、 粗製; (メタ) アクリル酸を用 いてレドックス重合を行う場合に有用である。 添加濃度、 添加方法おょぴ反応条 件は、 上記の重合活性化剤と同じである。
(効果)
本発明の抗重合阻害剤を添加することにより、 レドックス重合の進行を促進し、 レドックス重合で得られるポリマー中の残存モノマー量を低減させることがで きる。 例えば、 粗製 (メタ) アクリル酸を用いたレドックス重合において、 本発 明の抗重合阻害剤を添加することにより、得られるポリマー中の残存モノマー量 を好ましくは 2 0 0 0重量 p p m以下、 より好ましくは 1 0 0 0重量 p p m以下、 さらに好ましくは 5 0 0重量 p p m以下、最も好ましくは 3 0 0重量 p p m以下 にすることができる。
( 1 - 4 ) 残存モノマー量低減化剤
本発明の残存モノマー量低減化剤は、 レドックス重合により得られるポリマー の残存モノマー量を低減することができる試薬である。
(形態)
本発明の残存モノマー量低減化剤は、 ポリマーに適用するときの容易性や効率 を考慮して、 溶液にして適用することが好ましレ、。 本発明の残存モノマー量低減 化剤の溶液濃度は特に制限されないが、 通常金属換算で 0 . 0 1〜5重量%に設 定する。 '
(添加濃度、 添加方法)
本発明の残存モノマー量低減化剤の添加量は、重合後のポリマーの乾燥重量に 対して金属換算で、 0. 01〜100重量 p pmであり、 好ましくは 0. 05〜 50 p pm、 より好ましくは 0. l〜20 p pmである。 0. 01重量1) 1) 111未 満では、 残存モノマー量低減作用が十分でなく、 逆に 100重量 p p mを超える 量を使用しても効果は向上せず不経済になる。
本発明の残存モノマー量低減化剤の添加方法としては、 これら遷移金属化合物 の溶液を対象ポリマーに対して嘖霧ないし塗布する方法が好ましく選択される。 添加温度は特に制限されないが、 通常は常温〜 10 o°c する。 添加の際の雰囲 気についても特段の制限はない、 窒素、 アルゴンあるいは二酸化炭素のような不 活性気体でも良いが空気でも差し支えない。 取り扱いの簡便性、 経済性からは空 気が好ましい。
(反応条件)
本発明の残存モノマー量低減化剤が十分に効果を発揮するためには、適用対象 となるポリマー中で遷移金属化合物が十分な易動性を有することが必要である。 そのためには、 ポリマーの含水率が湿潤基準で通常 40重量%以上、 より好まし くは 45重量%以上、 最も好ましくは 50重量%以上であることが求められる。 このような条件になるように水を添カ卩してもよい。 また、 反応温度は 15〜10 0°Cが好ましく、 25〜100°Cがより好ましく、 40〜100°Cが最も好まし レ、。 反応時の相対湿度は 80 %以上であることが好ましく、 85 %以上であるこ とがより好ましく、 90%以上であることが最も好ましい。 反応時間は含水率や 反応温度にもよるが、 0. 1秒〜 60分が好ましく、 0. 5秒〜 30分がより好 ましく、 1秒〜 20分が最も好ましい。
(効果)
本発明の残存モノマー量低減化剤を添加することにより、 レドックス重合によ り得られるポリマー中の残存モノマー量が好ましくは 500重量 p pm以下、 よ り好ましくは 300 p pm以下、最も好ましくは 200 p pm以下にすることが
できる。 なお、 ここでいう残存モノマー量は、 モノマー主成分 (即ちモノマーの 中で 5 0重量%以上の含有量を有する成分) の残存量の精製ポリマー中における 重量比率を示す。
2 . 製造原料および重合開始剤
( 2 - 1 ) モノマー
本発明の方法において使用するモノマーは、 レドックス系開始剤によってその 重合が開始される重合性モノマーである。重合することによつて親水性樹脂を与 えるものであって、 水溶性のものが好ましい。 ここでいう親水性樹脂とは、 水な いし水溶液により膨潤あるいは溶解する性質を有する、本との親和性の強い高分 子ないし高分子架橋体を示す。 吸水性樹脂、 水溶性樹脂、 凝集剤、.分散剤向けに 広く用いられているものである。 .
このようなモノマーの代表例であって、 しかも本発明で使用するのに好ましい ものは、 脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩である。 具体的には、 アクリル酸 またはその塩、 メタクリル酸またはその塩等の不飽和モノカルボン酸またはその 塩;或いはマレイン酸またはその塩、 ィタコン酸またはその塩等の不飽和ジカル ボン酸またはその塩を例示することができ、 これらは単独でも 2種以上を混合し て用いてもよい。 この中で好ましいのは、 アクリル酸またはその塩、 およびメタ クリル酸またはその塩であり、特に好ましいのはアクリル酸またはその塩である。 アクリル酸およぴメタクリル酸の原料としては、石油由来のナフサを原料とする プロピレンが用いられることが多いが、 石炭由来のフィッシャー ' トロプシュ法 によるプロピレンを用いることもできる。
(粗製 (メタ) ァクリル酸)
本発明の抗重合阻害剤を用いれば、 精製が十分でない、 いわゆる粗製 (メタ) アクリル酸を用いてレドックス重合を行うことができる。ここでいう粗製(メタ) アクリル酸とは、以下の一種または二種以上の重合阻害剤を 1〜1 0 0 0重量 p p m、 あるいはヒドロキノンモノメチルエーテル (MQ) を 2 3 0〜5 0 0 0重 量 p p m含む (メタ) アクリル酸である。 一方、 以下の重合阻害剤のいずれの濃
度も 1重量 p m未満であって、 MQの濃度が 2 3 0重量 p p m未満である (メ タ) アクリル酸を、 高純度 (メタ) アクリル酸と称して区別することがある。 重合阻害剤としては、 (メタ) アクリル酸の製造、 精製、 処理、 貯蔵あるいは 移送時に副生ないし混入するフルフラール等の炭素数 1〜 6のアルデヒド類、 β —ヒドロキシプロピオン酸等、 炭素数 1〜 6の飽和または不飽和カルボン酸類 . (ただし、 酢酸、 プロピオン酸およびダイマー酸を除く)、 プロトァネモニン等 の炭素数 1〜6のエステル類、 ヒドロキノン、 ヒドロキシメ トキシナフタレン等 のヒドロキノンモノメチルエーテル以外のアルコキシヒドロキシ (多環) 芳香族 炭化水素を挙げることができる。 ここでダイマー酸とは Γクリル酸が付加反応に より 2量ィヒした β一ァク.リロキシプロピオン酸を指す。 なお、通常工業的に製造 される高純度 (メタ) アクリル酸には酢酸、 プロピオン酸およびダイマー酸が 1 0〜1 0 0 0重量 p p m含有される。一般的にこの高純度アクリル酸を重合に供 する場合、 さらなる酢酸、 プロピオン酸およびダイマー酸の除去、 減量をせずに 用いることが多い。
(モノマーの水溶液)
本発明で用いるモノマーとしては、上記の如く脂肪族不飽和カルボン酸または その塩が好ましいので、 このモノマーの水溶液としては月旨肪族不飽和カルボン酸 またはその塩を主成分とする水溶液が好ましい。 ここで、 「脂肪族不飽和力ルポ ン酸またはその塩を主成分とする」 とは、 脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩 がモノマーの全量に対して 5 0モル%以上、好ましくは 8 0モル%以上含まれる ことを意味する。
脂肪族不飽和カルボン酸の塩としては、 水溶性の塩、 たとえば、 アルカリ金属 塩、 アルカリ土類金属塩、 アンモニゥム塩等が通常用いられる。 また、 その中和 度は、 目的に応じて適宜定められるが、 吸水性樹脂を与える (メタ) アクリル酸 の場合には、カルボキシル基の 2 0〜 9 0モル%がアルカリ金属塩またはアンモ ニゥム塩に中和されたものが好ましい。 (メタ) アクリル酸モノマーの部分中和 度が 2 0モル%未満であると、生成する吸水性樹脂の吸水能が著しく低下する傾
向がある。
(メタ) アクリル酸モノマーの中和には、 アルカリ金属の水酸化物や重炭酸塩 等または水酸化ァンモニゥム等が使用可能である力 好ましいのはアル力リ金属 水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリゥムおよび水酸化力リゥムが 挙げられる。
(共重合可能なモノマ一)
また、 本発明においては、 前記の脂肪族不飽和カルボン酸以外に、 これらと共 重合可能なモノマー、 例えば、 (メタ) アクリルアミド、 (ポリ) エチレングリコ ール (メタ) アタリ レート、 2—ヒ ドロキシェチル (メタ) アタリレート、 また は低水溶性モノマーではあるが、 (メタ) アクリル酸メチル、 (メタ) アクリル酸 ェチル等の (メタ) アクリル酸アルキルエステル類等も、 生成親水性樹脂の性能 を低下させない範囲の量で共重合させても差し支えない。 本明細書中 「(メタ) アクリル」 という用語は、 「アクリル」 および 「メタクリル」 の何れをも意味す るものとする。
なお、 これらのモノマーのうち親水性樹脂を与えるものは、脂肪族不飽和カル ボン酸またはその塩に対する補助成分としてではなく、 「親水性樹脂を与えるモ ノマーの水溶液」 の主要モノマーとして使用することもできる。
(モノマー濃度)
上述の脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分として含むモノマー水 溶液のモノマーの濃度は、 通常 2 0重量%以上、 好ましくは 2 5重量%以上であ る。濃度が 2 0重量%より少ないと重合後の親水性樹脂の吸水能が十分に得られ ないことがある。上限は重合反応液の取り扱い上から 8 0重量%程度とするのが 良い。 なお、 モノマー濃度あるいは本発明の試薬のモノマーに対する濃度を見積 もる際のモノマー重量は、 モノマーおょぴその塩の合計重量である。
( 2 - 2 ) 架橋剤
レドックス重合により得られるポリマーの用途に応じて、 ポリマーに架橋構造 を導入する事がある。 特に吸水性樹脂を製造する場合においては、 架橋構造を導
入することが重要な場合がある。脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩、特に(メ タ) アクリル酸またはその塩は、 それ自身で自己架橋ポリマーを形成することが あるが、架橋剤を併用して架橋構造を積極的に形成させることもできる。 架橋剤 を併用すると、 一般に生成吸水性樹脂の吸水性能が向上する。 架橋剤としては、 前記モノマーと共重合可能なジビニル化合物、例えば、 N, N'—メチレンビス(メ タ) アクリルアミ ド、 (ポリ) エチレングリコールポリ (メタ) アタリレート類 等、 ならびにカルボン酸と反応し得る 2個以上の官能基を有する水溶性の化合物、 例えばエチレングリコールジグリシジノレエーテル、 ポリエチレングリコールジグ リシジルエーテル、 あるいはグリセロールポリグリシジルエーテルのようなポリ エチレングリコ一ルポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が 好適に使用される。 この中で特に好ましいのは、 N, N, ーメチレンビス (メタ) アクリルアミド、 ポリエチレングリコールポリ (メタ) アタリレートおよびグリ セロールポリグリシジルエーテルである。 架橋剤の使用量は、 モノマーに対して 0. 001〜3重量%、 好ましくは 0. 01〜2重量%である。
(2-3) 重合開始剤
本発明で用いられる重合開始剤は、 ある程度水溶性のレドックス系をなす、 非 金属酸化剤と非金属還元剤の組み合わせである。 ここで金属とは前記の遷移金属 と同義である。
非金属酸ィヒ剤としては、 例えば過酸化水素、 過硫酸アンモユウムゃ過硫酸カリ ゥム等の過硫酸塩、 t一ブチルハイド口パーォキシド、 クメンハイド口パーォキ シドその他、 第二セリウム塩、 亜塩素酸塩、 次亜塩素酸塩等が挙げられる。 中で も本発明では、 酸化還元電位が 0. 6〜2. 5 Vである非金属酸化剤を好ましく 用いることができる。 酸化還元電位が 0. 6〜2. 5 Vである非金属酸化剤とし ては、 過酸化水素 (1. 14V)、 過硫酸塩 (2. 01V)、 亜塩素酸塩 (0. 6 6 V)、 次亜塩素酸塩 (0. 89 V) を挙げることができる (括弧内の数値は酸 化還元電位を示す)。 特に好ましい非金属酸ィヒ剤は過酸ィヒ水素である。 これら非 金属酸化剤の使用量は、モノマーに対して 0. 01〜10重量0 /0、好ましくは 0.
1〜2重量%でぁる。
非金属還元剤は、 前記酸化剤とレドックス系を形成しうるものである。 本発明 では、 酸ィ匕還元電位が一 2〜0. 3 Vである非金属還元剤を好ましく用いること ができる。 酸ィ匕還元電位が一 2〜0. 3 Vである非金属還元剤としては、 ァスコ ルビン酸 (0. 127V)、 エリソルビン酸 (0. 127V) およびこれらの塩 (0. 127 V)、 チォ硫酸塩 (一 0. 017 V)、 亜硫酸塩 (― 1. 12V)、 亜硫酸水素塩 (-0. 08 V) を挙げることができる (括弧内の数値は酸ィ匕還元 電位を示す)。 中でもァスコルビン酸、 エリソルビン酸およびそれらの塩が好ま しく、 ァスコルビン酸およびその塩がさらに好ましい。 れらの非金属還元剤の 使用量は、 モノマーに対して 0. 001〜10重量0 /0、 好ましくは 0. 01〜2 重量%である。 '
さらにレドックス系をなす、 酸化剤と還元剤の組み合わせ以外の、 水溶液ラジ カル重合で用いられる作用機構の異なる重合開始剤も併用することができる。 こ のような開始剤としては、 無機おょぴ有機過酸ィ匕物が挙げられ、 例えばアンモニ ゥムゃアルカリ金属、 特にカリウム等の過硫酸塩、 過酸ィヒ水素、 t_ブチルパー ォキシドゃァセチルパーォキシド等が挙げられる。
さらに、 ァゾ化合物として知られている開始剤も用いることができる。 例えば ある程度水溶性を示す、 2, 2'—ァゾビス (2—アミジノプロパン) ジヒドロ クロリ ド等が挙げられる。
3. 作用
(レドックスサイクル)
非金属還元剤、非金属酸化剤および遷移金属化合物の詳細な作用機構について は、 必ずしも明らかではない。 いかなる理論にも拘泥するものではないが、 これ らは以下のようなレドックスサイクル系を形成しているものと考えられる。 1) 非金属還元剤が遷移金属を還元して還元型遷移金属に変換する。 その際、 非 金属還元剤は化学変化して消費される。
2) 非金属酸化剤が還元型遷移金属を酸化する (還元型遷移金属が非金属酸化剤
を還元する)。
3 ) 2 )の反応で非金属酸化剤自身は分解して、ラジカル重合開始剤を発生する。 その際、 非金属酸化剤は消費される。
4 ) 2 ) の反応で酸ィ匕された遷移金属は、 酸化型遷移金属となり、 もはや非金属 酸化剤を還元する能力を失い、 失活する。
5 ) 非金属還元剤が失活した酸化型遷移金属を還元し、 還元型遷移金属として賦 活する。 その際、 非金属還元剤は酸化等の化学変化を通じて消費される。
6 ) 賦活された還元型遷移金属が再ぴ 2 ) の反応を惹起する。
このレドックスサイクルの中で消費されないのは遷移余属であり、消費される のは非金属酸化剤およぴ非金属還元剤である。 このことより、 非金属酸化剤およ ぴ非金属還元剤が比較的多量に必要であるのに対して遷移金属がごく微量で十 分であることがわかる。 また、 このレドックスサイクルの中では、 酸化型遷移金 属は非金属還元剤で還元され、 還元型遷移金属濃度が高くなる。 このことより、 添加する遷移金属の電子状態に左右されない安定した重合挙動を示す理由がわ 力る。 また、 このレドックスサイクルは常に還元型遷移金属が一定量存在するた め長時間にわたり、 安定した開始剤濃度を保持することができる。 また、 常に一 定以上の開始剤濃度を安定的に供給できるので重合阻害剤が存在しても安定し た重合挙動を得ることができる。
本発明で用いる非金属還元剤、非金属酸化剤および遷移金属化合物の量関係の 必要条件は以下のように考えられる。
1 )非金属酸化剤は全重合反応を通じて必要な重合開始剤を放出するのに必要な 量
2 ) 遷移金属は非金属酸化剤を還元 (触媒) し、 所望の開始剤濃度を発生させる にふさわしい量
3 ) 非金属還元剤は全重合反応を通じて遷移金属を繰り返し還元 (賦活) するの に必要な量
これらを鋭意検討した結果、 以下のような量関係を見いだすに至った。
非金属酸化剤は、 モノマーに対して好ましくは 0. 01〜: L 0重量%、 より好 ましくは 0. 1〜2重量%である。 また、 非金属還元剤はモノマーに対して好ま しくは 0. 001〜10重量%より好ましくは 0. 01〜2重量%である。 さら に遷移金属化合物はモノマーに対して、金属換算で 0. 01〜100重量 p pm、 好ましくは 0. 05〜50重量 p pm、 より好ましくは、 0. 1〜20重量 p p mである。 遷移金属化合物が非金属還元剤に対して、 金属換算で好ましくは 0. 0001〜100重量%、 より好ましくは 0. 001〜10重量%、 さらに好ま しくは 0. 01〜1重量%である。
(消臭) ;
遷移金属化合物および非金属還元剤を含有する本発明のポリマーは、 尿、 糞便 に含まれる悪臭物質であるアミン類、チオール類を持続的に消臭可能であるとい う特徴を有する。
非金属還元剤おょぴ遷移金属化合物の詳細な作用機構については必ずしも明 らかではない。 いかなる理論にも拘泥するものではないが、 これらは以下のよう なレドックスサイクル系を开成しているものと考えられる。
1 ) 非金属還元剤が遷移金属を還元して還元型遷移金属に変換する。
2) 還元型遷移金属が悪臭物質を消臭する。
3) 2) の反応あるいは酸素で酸化された遷移金属は、 酸化型遷移金属となり、 消臭能力を失い、 失活する。
4) 非金属還元剤が失活した酸化型遷移金属を還元し、 還元型遷移金属として賦 活する。
5) 賦活された還元型遷移金属が再び 2) の反応を惹起する。
このレドックスサイクルの中では酸化型遷移金属は非金属還元剤で常に還元 され、 常に還元型遷移金属が一定量存在する。 このため、 長時間にわたってごく 微量の遷移金属が存在するために安定した消臭機能を保持することができる。 さらに、消臭に必要な非金属還元剤と遷移金属の量関係は以下のように考えら れる。
1) 遷移金属は悪臭物質を還元消臭させるにふさわしい量
2) 非金属還元剤は消臭反応を通じて遷移金属を繰り返し還元' (賦活) するのに 必要な量
これらを鋭意検討した結果、 以下のような量関係を見出すに至った。
遷移金属化合物はポリマーの乾燥重量に対して、 金属換算で 0. 01〜 100 重量 p pmであり、 好ましくは 0. 05〜50 p pm、 より好ましくは 0. 1〜 20重量 p pmである。
また、 非金属還元剤はポリマーの乾燥重量に対して、 好ましくは 0. 001〜 10重量%、 より好ましくは 0. 01〜 2重量%である。:遷移金属化合物は非金 属還元剤に対して金属換算で、 好ましくは 0. 0001〜 100重量0 /0、 より好 ましくは 0. 001〜10重量%、さらに好ましくは 0. 01〜1重量%でぁる。 4. 製造工程
次に、本発明の方法を用いて、 実用的な用途を有するポリマーを製造する工程 を説明する。 実用的な用途を有するポリマーを製造するためには、 以下に述べる 重合工程、 残存モノマー量低減化工程、 乾燥工程を行い、 必要に応じてその他の 付加的工程を行う。 残存モノマー量低減化工程は必ずしも行う必要はないが、 ポ リマーの有用性を高めるために行うことが好ましい。 以下において、 各工程につ いて具体的に説明する。
(4-1) 重合工程
重合工程は、 レドックス重合の原料調製、 混合、 反応、 回収の各過程より成り 立っている。 本発明の重合促進剤および Zまたは抗重合阻害剤は、 この重合工程 の原料調製過程もしくは混合過程において添加することができる。
好ましいレドックス重合法においては、親水性樹脂を与えるモノマーの水溶液、 例えば、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とするモノマーの水溶液 に、 重合活性化剤および Zまたは抗重合阻害剤を加え、 レドックス系重合開始剤 を配して混合し、 当該モノマーの重合を開始させ、 反応開始後のモノマーおよび 生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、重合を完結
させ親水性樹脂として回収したり、 重合進行中の反応混合物を他の素材、 たとえ ば繊維、 不織布、 無機粉末、 有機粉末、 高分子粉末と接触および Zまたは接着さ せて親水性樹脂複合体として回収したりするものである。 ここにおいて重合工程 の完了とは、 重合率が 5 0 %以上に達している状態を指す。
または、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とするモノマーの水溶 液にレドックス系重合開始剤を配して混合と同時にあるいは混合の直後に、重合 活性化剤おょぴ Zまたは抗重合阻害剤を加え、 当該モノマーの重合を開始させ、 反応開始後のモノマーおよび生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気 相中で液滴となし、 重合を完結させ親水性樹脂として回収したり、 重合進行中の 反応混合物を他の素材、 たとえば繊維、 不織布、 無機粉末、 有機粉末、 高分子粉 末と接触および Zまたは接着させて親水性樹脂複合体として回収したりするも のである。
気相中での液滴を重合させる好ましい一つの方法は、 レドッタス系重合開始剤 を構成する酸化剤と還元剤の一方を含むモノマー水溶液からなる第 1液と、 レド ックス系重合開始剤の他方おょぴ所望によりモノマーを含む水溶液からなる第 2液を気相中で混合することにより重合を開始させることからなる。
具体的な手段としては、 例えば、 第 1液おょぴ第 2液をノズルから流出する液 同士の交差角度が 1 5度以上の角度で、 しかも液柱状態で衝突するようにそれぞ れ別個のノズルより噴出させる方法がある。 このように両液に交差角度を持たせ て互いに衝突させることにより、 ノズルからの流出エネルギーの一部を混合に利 用することができる。 それぞれのノズルから流出する第 1液と第 2液の交差角度 は、 使用するモノマーの性状、 流量比等に応じ適宜選定する。 例えば、 液の線速 度が大きければ交差角度は小さくすることができる。
なお、 この場合、 第 1液の温度は通常常温〜約 6 0 °C、 好ましくは常温〜約 4 0 °Cであり、 また、 第 2液の温度も通常常温〜約 6 0 °C、 好ましくは、 常温〜約 4 0 °Cである。
このように、 ノズルから噴出されたそれぞれの水溶液は、 液柱状態で衝突させ
て両液を合体させる。 合体後は液柱を形成していて、 その状態がある時間保持さ れるが、 その後この液柱は解体して液滴となる。 生成した液滴は気相中で重合が 進行する。 好ましい液滴の大きさは直径約 5〜 3000 μιηである。
さらにこの他にも特開平 11—49805号公報、特開 2003— 40903 号公報、 特開 2003— 40904号公報、 特開 2003— 40905号公報お よび特開 2003— 113203号公報で提案されている種々のノズルも用い ることができる。
このような重合の開始おょぴ重合進行中の液滴の形成を行う反応場を与える 気相の気体としては、 窒素、 ヘリウム、 炭酸ガス等の重食に不活性なものが好ま しいが、 空気でもよい。 また、 水蒸気のみの場合を含め、 体中の湿度には特に 制限はないが、 あまり湿度が低いと重合が進行する前にモノマー水溶液中の水分 が蒸発してモノマーが析出し、 その結果、 重合速度が著しく低下、 あるいは重合 が途中で停止する可能性がある。 気体の温度条件は、 室温以上 150°C以下、 望 ましくは 100°C以下である。気体の流れ方向は液柱および液滴の進行方向に関 して向流、 並流のどちらでも良いが、 液滴の気相中滞留時間を長くする必要があ る場合、 すなわちモノマーの重合率を上げ、 ひいては液滴の粘度を高める必要が ある場合には向流 (反重力方向) の方がよい。
(4-2) 残存モノマー量低減化工程
残存モノマー量低減化工程は、重合工程後のポリマーに対して残存モノマー量 低減化剤を付与して反応させることにより、残存モノマー量を低減させる工程で ある。 ここにおいて重合工程後のポリマーとは、 重合工程での操作が終了した後 に回収される、 重合率が 50重量%以上の重合進行物を指す。 前記のように添加 方法としては、残存モノマー量低減ィヒ剤の溶液を対象ポリマーに対して噴霧ない し塗布する方法が好ましく選ばれる。具体的な様態としてはスプレーノズルを用 いて嘖霧したり、 ロールブラシで残存モノマー量低減化剤を塗布する方法により 行うのが好ましい。 なお、 残存モノマー量低減化剤を過剰に付与した後、 圧搾口 一ルで親水性樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりし
て、 余剰の残存モノマー量低減化剤を除去するようにしてもよい。
溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、 水、 エタノール、 ァセト ンを用いることができるが、 安全性、 衛生性、 溶解性、 経済性の観点から水が好 適である。 添加の際の雰囲気にも特段の制限はなレ、、 窒素、 アルゴンあるいは二 酸化炭素のような不活性気体でも良いが空気でも差し支えない。取り扱いの簡便 性、 経済性からは空気が好ましい。 後述の親水性樹脂を湿潤状態に保っためには 水蒸気、 水のミストを含んだ空気が好ましい。
本発明の残存モノマー量低減化剤が十分な効果を発揮するためには、適用対象 となる親水性樹脂中で十分な易動性を有する必要がある。. そのためには、親水性 樹脂の含水率が湿潤基準で通常 4 0重量%以上、 より好ましくは 4 5重量%以上、 最も好ましくは 5 0重量%以上であることが求められるため、 雰囲気は水蒸気、 水のミストを含んだ湿潤状態のものが好ましい。 また、 反応温度は 1 5〜 1 0 0 °Cが好ましく、 2 5〜1 0 0 °Cがより好ましく、 4 0〜1 0 0 °Cが最も好まし い。反応時間は含水率、反応温度にもよるが、 0 . 1秒〜 6 0分が好ましく、 0 . 5秒〜 3 0分がより好ましく、 1秒〜 2 0分が最も好ましい。
なお、 上記の他にも、 残存モノマー量低減化工程として、 後述の本発明の吸水 性樹脂複合体の製造方法の (2— 4 ) に記載される方法を適宜選択して用いるこ ともできる。
( 4 - 3 ) 乾燥工程
—般にレドックス重合で得られる親水性樹脂は、 乾燥状態で各用途に供する。 従って、 一般には重合工程の後のいずれか時点で乾燥工程を行う必要がある。 乾 燥条件は、 生成した親水性樹脂が著しく分解しない条件で行うことが好ましい。 乾燥には 1 0 0〜2 5 0 °Cの温風を用いることが好ましレ、。 より好ましくは 1 2 0〜2 0 0 °C、 最も好ましくは 1 3 0〜1 8 0 °Cである。 1 0 0 °C未満の温風 では乾燥が完了せず好ましくない。 一方、 2 5 0 °C超過の温風を用いると親水性 樹脂の分解反応が無視できなくなり、親水性樹脂の着色等の品質劣化、 性能低下 が起こり好ましくない。 乾燥時間は乾燥温度によるが、 通常、 0 . 1〜3 0分で
ある。
これらの条件を満足する乾燥方法としては、従来公知の乾燥機を用いることが できる。 例えば 「化学工学 III第 2版」 (藤田重文、 東畑平一郎、 東京化学同人 ( 1 9 7 2 )) ( 3 5 2頁) に例示されているものが使用できる。 具体的には、 ト ンネル乾燥機、 パンド乾燥機、 ターボ縦型乾燥機、 縦型乾燥機、 ドラム乾燥機、 円筒乾燥機、 赤外線乾燥機、 高周波乾燥機等が挙げられる。
( 4 - 4 ) その他の付加的工程
本発明の方法を用いてポリマーを製造する際に、 その他の付加的工程として、 表面架橋工程や添加剤添加工程などを加えてもよい。
(表面架橋工程)
表面架橋工程は、 ポリマーの表面を架橋することによってポリマーの機能を増 強したり、 新たな機能を付与したりする工程である。 例えば、 吸水性能を向上さ せる目的で、親水性ポリマーの表面を架橋剤により架橋させることができる。 一 般に、 粉末状の吸水性樹月旨の表面に架橋剤とともに適量の水分を付与した後、加 熱して表面を架橋することにより樹脂粒子の特性を改良することは公知であり、 表面に選択的に架橋構造が形成される結果、 吸水して膨潤するに際し、 膨潤を阻 害せずにその形状を維持することができるものと考えられている。 この工程では まず吸水性樹脂に表面架橋剤の溶液を付与する。
表面架橋剤としては N, N, ーメチレンビス (メタ) アクリルアミド、 (ポリ) エチレングリコールビス (メタ) アタリレート等のモノマーと共重合し得る多官 能化合物や、 (ポリ) エチレングリコールジグリシジルエーテル等のカルボン酸 基と反応し得る官能基を複数個有する化合物が用いられる。 これらの表面架橋剤 は、 通常、 吸水性樹脂に対して 0 . 1〜 1重量%、 好ましくは 0. 2〜 0 . 5重 量%となるように用いられる。
なお、 'これらの表面架橋剤は、吸水性樹脂全体に均一に付与されるように、水、 エタノール、 メタノールなどで希釈して 0 . 1〜1重量%、 特に 0 . 2〜0. 5 重量。 /0の溶液として用いるのが好ましい。架橋剤溶液の付与は通常は噴霧器を用
レ、て架橋剤溶液を吸水性樹脂に噴霧したり、 口ールブラシで架橋剤溶液を塗布し たりする方法により行うのが好ましい。 なお、 架橋剤溶液を過剰に付与した後、 圧搾ロールで樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりし て、 余剰の架橋剤溶液を除去するようにしてもよレ、。 この架橋剤溶液の付与は室 温で行えばよい。 架橋剤溶液を付与された吸水性樹脂は、 次いで加熱して架橋反 応を進行させ、 吸水性樹脂表面に選択的に架橋構造を形成させる。 架橋反応の条 件は用いる架橋剤により適宜選択すればよいが、通常は 1 0 0 °C以上の温度で 1 0分間以上反応させる。 本発明では、 吸水性樹脂として不飽和カルボン酸重合物 架橋体や部分中和ァクリル酸重合物架橋体を好ましく用いることができる。
(添加剤添加工程)
目的とする用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添加剤を加える ことができる。 これら添加剤としては、 吸収する液体によるポリマー分解、 変質 を防止する安定剤、 抗菌剤、 消臭剤、 脱臭剤、 芳香剤、 発泡剤、 p H緩衝剤等を 挙げることができる。
<安定剤>
このうち吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤としては排 泄物 (即ち人尿、 糞便)、 体液 (人血、 経血、 分泌液等の体液) による吸水性樹 脂の分解、 変質を防止する安定剤が挙げられる。 特開昭 6 3— 1 1 8 3 7 5号公 報にはポリマー中に含酸素還元性無機塩および または有機酸化防止剤を含有 させる方法、 特開昭 6 3 - 1 5 3 0 6 0号公報には酸化剤を含有させる方法、 特 開昭 6 3 - 1 2 7 7 5 4号公報には酸ィ匕防止剤を含有させる方法、特開昭 6 3— 2 7 2 3 4 9号公報には硫黄含有還元剤を含有させる方法、特開昭 6 3— 1 4 6 9 6 4号公報には金属キレート剤を含有させる方法、特開昭 6 3— 1 5 2 6 6号 公報にはラジカル連鎖禁止剤を含有させる方法、特開平 1—2 7 5 6 6 1号公報 にはホスフィン酸基またはホスホン酸基含有アミン化合物またはその塩を含有 させる方法、特開昭 6 4— 2 9 2 5 7号公報には多価金属酸化物を含有させる方 法、 特開平 2— 2 5 5 8 0 4号公報、 特開平 3— 1 7 9 0 0 8号公報には重合時
水溶性連鎖移動剤を共存させる方法等が提案されている。 これらはすべて本発明 にて使用することができる。 また、 特開平 6— 306202号公報、 特開平 7—
53884号公報、 特開平 7— 62252号公報、 特開平 7— 113048号公 報、 特開平 7— 145326号公報、 特開平 7—145263号公報、 特開平 7 -228788号公報、特開平 7— 228790号公報に記載される材料おょぴ 方法を使用することもできる。 具体的にはたとえばシユウ酸チタン酸カリウム、 タンニン酸、 酸化チタン、 ホスフィン酸ァミン (またはその塩)、 ホスホン酸ァ ミン (またはその塩)、 金属キレート等挙げられる。 このうち特に人尿、 人血、 経血に対する安定剤をそれぞれ人尿安定剤、 人血安定剤,、 経血安定剤と呼ぶこと がある。
<抗菌剤> .
吸収した液による腐敗を防止するためには抗菌剤が用いられる。抗菌剤として 例えば、 「殺菌 ·抗菌技術の新展開」 17〜80頁 (東レリサーチセンター (1 994))、 「抗菌 ·抗カビ剤の検査 ·評価法と製品設計」 128〜344頁 (ェ ヌ ·ティー 'エス (1997))、 特許第 2760814号公報、 特開昭 39—1 79114号公報、 特開昭 56-31425号公報、 特開昭 57— 25813号 公報、 特開昭 59—189854号公報、 特開昭 59— 105448号公報、 特 開昭 60—158861号公報、 特開昭 61— 181532号公報、 特開昭 63 - 135501号公報、 特開昭 63— 139556号公報、 特開昭 63— 156 540号公報、 特開昭 64— 5546号公報、 特開昭 64— 5547号公報、 特 開平 1— 153748号公報、 特開平 1— 221242号公報、 特開平 2— 25 3847号公報、特開平 3— 59075号公報、特開平 3— 103254号公報、 特開平 3— 221141号公報、 特開平 4 -11948号公報、 特開平 4 -92
664号公報、特開平 4 - 138165号公幸 特開平 4 -266947号公報、 特開平 5— 9344号公報、 特開平 5— 68694号公報、 特開平 5—1616
71号公報、 特開平 5— 179053号公報、 特開平 5— 269164号公報、 特開平 7— 165981号公報に紹介されているものを適宜選択できる。
例えばアルキルピリジニゥム塩、塩化べンザルコニゥム、 ダルコン酸クロルへ キシジン、 ピリジオン亜鉛、 銀系無機粉体等が挙げられる。 四級窒素系の抗菌剤 の代表的な例としては、 メチルベンズエトニゥムクロライド、 ベンズアルコニゥ ムクロライド、 ドデシノレトリメチルァンモニゥムブロマイド、 テトラデシルトリ メチルアンモニゥムブロマイドおよびへキサデシルトリメチルアンモニゥムブ ロマイドを挙げることができる。 ヘテロ環四級窒素系の抗菌剤としては、 ドデシ ルピリジニゥムクロライド、 テトラデシルピリジニゥムクロライド、 セチルピリ ジニゥムクロライド (C P C)、 テトラデシル一4一ェチルピリジニゥムクロラ ィドおよびテトラデシルー 4—メチルピリジユウムクロ.ライドを挙げることが できる。
他の好ましい抗菌剤として、 ビス一ビグアニド類を挙げることができる。 これ らは、 例えば、 米国特許第 2 , 6 8 4 , 9 2 4号明細書、 同 2 , 9 9 0, 4 2 5 号明細書、 同第 2 , 8 3 0 , 0 0 6号明細書およぴ同第 2, 8 6 3 , 0 1 9号明 細書に詳細に記載されている。 最も好ましいビス一ビグアニドとしては、 1, 6 —ビス (4—クロ口フエ二ノレ) ジグアニドへキサンであり、 クロ口へキシジンお ょぴその水溶性塩として知られているものである。 特に好ましいのは、 クロ口へ キシジンの塩酸塩、 酢酸塩およびダルコン酸塩である。
他のいくつかのタイプの抗菌剤も有用である。 例えば、 カルバニリド類、 置換 フエノール、 金属化合物おょぴ界面活性剤の希土類塩を例示することができる。 カルバニリドとしては、 3 , 4, 4, 一トリクロロカルバニリ ド (T C C , トリ クロカルバン) および 3— (トリフルォロメチルー 4 , 4, 一ジクロロカルバニ リ ド(IRGASAN) が含まれる。.置換フエノールとしては、 5—クロ口一2— ( 2, 4—ジクロロフエノキシ) フエノール (IRGASAN DP— 300) を挙げることができ る。 金属化合物としては、 黒鉛およびすずの塩、 例えば塩化亜鉛、 硫化亜鉛およ ぴ塩化すずが含まれる。 界面活性剤の希土類塩は、 欧州特許公開第 1 0 8 1 9号 公報に開示されている。 このタイプの希土類塩としては、 炭素数 1 0〜1 8の直 鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩のランタン塩などを例示することができる。
<消臭剤、 脱臭剤、 芳香剤 >
また、 吸収した液の不快な臭気を防止あるいは緩和するものとして消臭剤、 脱 臭剤、 芳香剤が用いられる。 消臭剤、 脱臭剤、 芳香剤は例えば 「新しい消臭 '脱 臭剤と技術と展望」 (東レリサーチセンター (1994))、 特開昭 59.— 105 448号公報、 特開昭 60-158861号公報、 特開昭 61— 181532号 公報、 特開平 1一 153748号公報、 特開平 1一 221242号公報、 特開平 1-265956号公報、 特開平 2— 41155号公報、 特開平 2— 25384 7号公報、 特開平 3— 103254号公報、 特開平 5— 269164号公報、 特 開平 5— 277143号公報に紹介されているものを適; ϋ選択できる。具体的に 、は消臭剤、 脱臭剤としては鉄錯体、 茶抽出成分、 活性炭が挙げられる。 芳香剤と しては例えば香料系 (シトラール、,シンナミックアルデヒド、 ヘリオトピン、 力 ンファ、 ボルニルアセテート) 木酢液、 パラジクロルベンゼン、 界面活性剤、 高 級アルコール、テルペン系化合物(リモネン、 ビネン、カンファ、ボルネオール、 ユカリプトール、 オイグノーノレ) が挙げられる。
<発泡剤、 発泡助剤 > '
また吸水性樹脂の吸水性能向上のために多孔化、 広表面積化を図るべく、発泡 剤、発泡助剤を併用することができる。発泡剤、発泡助剤としては例えば「ゴム · プラスチック配合薬品」 (ラバーダイジェスト社、 1989、 259〜267頁) に紹介されているものを適宜選択できる。 例えば重炭酸ナトリウム、 ニトロソィ匕 合物、 ァゾ化合物、 スルフォニル ' ヒドラジド等が挙げられる。
く ρΗ緩衝剤 >
脱臭や抗菌のため、親水性樹脂の ρΗを調整する、 ρΗ緩衝剤を付与すること もできる。
これらの添加剤は、 レドックス重合によりポリマーを製造する過程で目的、 作 用機構に応じ適宜加えられる。 例えば発泡剤は、親水性樹脂を製造する際の重合 工程前乃至重合工程途中で添加するのが適当である。 人尿安定剤、 人血安定剤、 抗菌剤、 消臭剤、 芳香剤、 ρΗ緩衝剤は、 親水性樹脂の製造工程やその後に行う
親水性物品の製造工程におレ、て添加可能である。
[II] 本発明の吸水性樹脂複合体
本発明の吸水性樹脂複合体は、以下に説明する複合体 Aであることが好ましい 力 その他後述の複合体 Bや複合体 Cを含んでいても良い。
1. 複合体 A
(1-1) 構造と構成要素
複合体 Aは、 1個の略球状の高吸水性樹脂粒子と 2本以上の繊維とを含むもの である。 複合体 Aに含まれる 1本以上の繊維は、.繊維の 部が高吸水性樹脂粒子 内に包埋されると共に一部が高吸水性樹脂粒子より露出している。 また、 複合体 Aに含まれる 1本以上の繊維は、繊維が高吸水性樹脂粒子内に包埋されることな く、 その繊維の一部が高吸水性樹脂粒子の表面に接着している。 即ち、 複合体 A の必須構成要素は以下の 3種である。
(1) 高吸水性樹脂粒子
(2) —部が高吸水性樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が高吸水性樹脂粒 子より露出している繊維 (以下 「部分包埋繊維」 と称す。)
(3) 一部が高吸水性樹脂粒子の表面に接着しているが、 高吸水性樹脂粒子内 に包埋されていない繊維 (以下 「表面接着繊維」 と称す。)
なお、 以下において、 複合体 A中で高吸水性樹脂粒子と結合している繊維、 即 ち部分包埋繊維および表面接着繊維を 「結合繊維」 と総称することがある。
複合体 Aにおける結合繊維と高吸水性樹脂粒子の乾燥重量比は、 1 : 1〜1 : 1, 000, 000であることが好ましく、 1 : 2〜 1 : 100, 000である ことがより好ましく、 1 : 3〜: 1 : 10, 000であることがさらに好ましい。 この複合体 Aを構成する部分包埋繊維の全結合繊維における重量比率は、後述 する部分包埋繊維、表面接着繊維の担うべき機能のバランスによって決められる _ 力 通常 0. 01〜0. 99、 好ましくは 0. 05〜0. 95、 より好ましくは 0. 1〜0. 9である n
( 1— 2 ) 各構成要素
1 ) 高吸 性樹脂
高吸水性樹脂は、 複合体 Aにおいて、 水、 尿、 血液、 経血等の液体を使用目的 に応じて吸収する役割を果たすものである。
(化学組成)
複合体 A中の高吸水性樹脂は水、 尿、 血液、 経血等の液体を飽和吸水能として 常温常圧下で自重の 1〜1 0 0 0倍程度の飽和吸水能を有する高分子である。 こ れらの液体を吸収するためには、 これらの液体と親和性の高い官能基を高分子鎖 に有する必要がある。 これらの官能基は (部分) 中和 ルボン酸、 カルボン酸、 (部分) 中和スルホン酸、 スルホン酸、 ヒドロキシが用いられる。 この中で、 部 分中和カルボン酸が好ましい。 この,ような高分子鎖中に部分中和カルボン酸を与 えるモノマーとしては不飽和カルボン酸が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。 この高分子の分子構造は直鎖状でも差し支えないが、所望の液体を吸収し膨潤 した後も形状を維持する必要がある。 そのために、 通常高分子鎖が溶解しないよ うに高分子鎖同士の架橋構造を有する重合物架橋体が好ましい。 この架橋は共有 結合或いはイオン結合等の化学架橋ないしは高分子鎖の絡み合いによる物理架 橋が用いられる。 化学的安定性の面から、 化学架橋が好ましく、 中でも共有結合 がより好ましい。
従って、高吸水性樹脂の好ましい態様としては不飽和カルボン酸重合物架橋体 であり、 より好ましくはアクリル酸重合物架橋体である。
(形状)
高吸水性樹脂粒子は略球状の粒子である。 ここで略球状とは、 全体として真球 および楕円体の形状を有するものであり、表面に細かな凹凸(即ち、しわ、突起、 陥没等) を有していても差し支えない。 また、 表面や内部に、 細孔やクラック等 の空隙を有していても差し支えない。 この高吸水性樹脂粒子の平均粒径は 5 0〜 1 0 0 0 / mが好ましく、 1 0 0〜9 0 0 παがより好ましく、 2 0 0〜8 0 0 πιが特に好ましい。
従来の粉碎した高吸水性樹脂のように、不定形で鋭利な切断面を有していると、 皮膚への刺激が大きくて、機械的付加に対して鋭利な切断面が欠損して細粒が生 じるという欠点がある。 し力 しながら、 本発明で用いる略球状の高吸水性樹脂粒 子はこのような欠点がない。 また不定形品に比して、 最密充填ができるため高密 度化が可能であるという利点も有する。
2 ) 結合繊維
前記のように結合繊維には部分包埋繊維と表面接着繊維とがある。 以下各繊維 について詳述する。
騰隹種) ..
繊維としては、 合成繊維、 天然繊維、 半合成繊維、 無機繊維などを用いること ができる。 .
各繊維は吸水前、および吸水後とも高吸水性樹脂と強固に接着していることが 高吸水性樹脂の固定性の面から好ましい。
一般に、 異物質間の接着力は、 両者の親和性が大きいほど大きいことが知られ ている。 高吸水性樹脂は最も親水性の大きな物質の一つであり、 この意味から親 水性の大きな繊維ほど、 高吸水性樹脂に対する接着力が大きいと言える。 この繊 維の親水性の定量的な尺度として、 水との接触角を用いることができる。. 即ち、 この接触角が小さいほど (つまり親水性が大きいほど)、 接着力が大きく、 逆に 接触角が大きいほど (つまり親水性が小さいほど) 接着力が小さい傾向がある。 この意味から、 水の繊維素材表面上における接触角は 9 0 ° 以下が好ましく、 7 0 ° 以下がより好ましく、 6 0 ° 以下がさらに好ましく、 5 0 ° 以下が特に好ま しく、 4 0 ° 以下が最も好ましい。 ここで特に親水性の大きな親水性繊維とは、 水の繊維素材表面上における接触角が 6 0 ° 以下のものと定義する。
このような親水'生繊維として、 パルプ、 レーヨン、 木綿、 再生セルロースその 他のセルロース系繊維、 ポリアミド系、 ポリビニルアルコール系等の 1種または 2種以上の繊維が選ばれる。 このような親水性繊維を用いると、 高吸水性樹脂と の接着力が強化されるだけでなく、 亵水性繊維の有する他の作用、 例えば、 水を
高吸水性樹脂に誘引する作用、 いわゆる導液性も高めることができる。 特に、 衛 生材料としての用途には、 皮膚に対する低刺激性、 柔軟な感触の面から、 親水性 繊維の中でも、 パルプが好ましい。
結合繊維としてはまた、 高吸水性樹脂と接着可能であれば親水性の小さな (つ まり疎水性の大きな)繊維、即ち、疎水性繊維も使用することもできる。例えば、 ポリエステル系、 ポリエチレン系、 ポリプロピレン系、 ポリスチレン系、 ポリ塩 化ビュル系、 ポリ塩化ビリニデン系、 ポリアタリロニトリル系、 ポリ尿素系、 ポ リウレタン系、ポリフルォロエチレン系、ポリシアン化ビニリデン系繊維である。 これらは 1種を単独で用いても良く、 2種以上を組み合わせて用いても良い。 こ れら疎水性繊維を用いる利点として通液性、 液の拡散性の向上が挙げられる。 この場合、 例えば、 部分包埋繊維として親水性繊維を選択し、 表面接着繊維と して疎水性繊維を選択することができる。 このような態様を採用すれば、 親水性 繊維は強固に吸水性樹脂に包埋され、疎水性繊維は吸水性樹脂間の水の拡散性の 向上が期待できる。
必要な接着性を確保するためには表面接着繊維における親水性繊維の重量分 率は 0 . 1以上が好ましく、 0 . 2以上がより好ましく、 0 . 3以上がさらに好 ましく、 0 . 5以上が最も好ましい。
上記で例示した各繊維の系列の親水性、 疎水性は絶対的なものではなく、 各繊 維の原料、 改質処理の有無、 その種類等により変化する。 このため用いる繊維の 親水性、 疎水性は水の接触角測定で評価される。
なお、 水の接触角は測定する繊維素材の形状、 表面の平滑度に依存する。 本発 明における水の接触角は、 後述の実施例の項に示すような装置を用いて、 繊維素 材をフィルムやシート形状に成形し、その平滑な表面において測定した蒸留水の 接触角を意味する。
(形状)
プロッキング防止の観点からは、後述する繊維の剛性や繊維径を考慮して結合 繊維を選択することも重要である。 '
本発明で用いる結合繊維として好ましいものは、 繊維長が 50〜50, 000 μ mのものである。 結合繊維の繊維長は、 より好ましくは 100〜 30, 000 μπι、 さらに好ましくは 500〜10, ό θ θ ^πιである。 50, O O O^mよ りも繊維長が長くなると、繊維が複数の高吸水性樹脂粒子と接着して各複合体 A の独立性が確保できず、 この複合体 Aを含む組成物の開繊が困難になる傾向があ る。 逆に、 5 O/imより短い繊維長では高吸水性樹脂粒子への包埋ゃ接着が困難 になる傾向がある。
複合体 Aが所望の形状を得るためには高吸水性樹脂粒子の粒径:繊維長比率は '2 : 1〜 1 : 1000が好ましく、 より好ましくは 1 : 1〜1 : 500、 特に好 ましくは 1 : 2〜1 : 100である。
本発明において、 結合繊維の繊維.径は 0. 1〜 500デシテックスであること が好ましく、 0. 1〜100デシテックスであることがより好ましく、 1〜50 デシテツタスであることがさらに好ましく、 1〜 10デシテックスであることが 特に好ましレ、。結合繊維の繊維径が 500デシテッタスより大きくなると繊維の 剛性が大きすぎて高吸水性樹脂粒子への包埋、接着が困難になるばかりではなく、 圧縮成型が困難になり、 薄型化に好ましくない場合がある。 また、 生理用品等の 用途に対してはごわごわしたりちくちくしたり、 感触も好ましくない。 逆に、 繊 維径が 0. 1デシテックス未満では、繊維が細すぎるため上述の導液性や拡散性 が確保できないことがある。 また、剛性が不足するため、ブロッキング(ままこ) 現象が防止できない場合がある。
なお、 繊維の外観は直線状でもけん縮等の縮れを有していても差し支えなレ、。 以上の諸観点から結合繊維の繊維種、繊維長、繊維径、外観が適宜選択される。
(部分包埋繊維)
部分包埋繊維は、 高吸水性樹脂粒子の固定性を確保する役割を果たす。 この繊 維は吸水前おょぴ吸水後の高吸水性樹脂粒子の固定性をも向上させる。 即ち、 高 吸水性樹脂粒子表面から伸長する繊維力 押圧時の高吸水性樹脂粒子の回転運動 ' や並進運動を防止する。 この繊維の一部は高 水性樹脂粒子に包埋されていて、
吸水後も高吸水性樹脂粒子から脱離することがないので、吸水後の固定性に重要 な役割を発揮しうる。 部分包埋繊維に用いる繊維の形状は、 導液性を高めるため に中空やサイドバイサイド型等であってもよい。 .
部分包埋繊維が親水性繊維で構成されている場合は、繊維が高吸水性樹脂粒子 への水の導液性を高める作用を示す。 即ち、 繊維を通じて水を高吸水性樹脂粒子 の内部へ直接導液することができる。 この機能をより効果的に発揮させるために は、部分包埋繊維として前述の導液性の高い繊維を選択して用いることが好まし い。
さらにこの部分包埋繊維は各吸水性樹脂複合体粒子の.独立性を確保する役割 も.持つ。 後述の複合体前駆体重合過程において、 この繊維は互いの立体障害によ り高吸水性樹脂粒子同士の融着を防 する。 即ち、 高吸水性樹脂粒子表面から伸 長する繊維が、 互いの複合体前駆体内の重合進行中、 高吸水性樹脂粒子同士の接 触を妨害し、 高吸水性樹脂粒子同士の融着を防止する。 その結果、 各吸水性樹脂 複合体 (前駆体) は独立性を保ち、 製造工程、 処理工程では反応器壁への付着を 防止し、 後述する開繊性をも確保できる。
一方、 この部分包埋繊維は各吸水性樹脂複合体同士に適度な物理的絡み合いを 与え、 複合体 Aを複数個集めて塊状にした'とき、 自重程度では容易にばらばらに ならないという形態保持性も与える。 即ち、複合体 Aは自由繊維等を加えなくて もそれ自体、 形態保持性を有する。
従って、 複合体 Aは開繊性を有しつつ、 形態保持性も併せ持つ、 際立った特長 を有する。 さらに加えるに、 この部分包埋繊維は.複合体 Aに柔らかで滑らかな感 触を与え、 高吸水性樹脂粒子が略球状であることとあいまって、 乾燥状態に於い ても押圧時、 非常に柔らかで衛生材料等に好適である。
(表面接着繊維)
表面接着繊維は、 吸水前の高吸水性樹脂粒子の固定性を確保する効果がある。 さらに、膨潤後は、 高吸水性樹脂粒子表面の繊維が高吸水性樹脂粒子同士の間に 間隙を作り、 水の流路を確保する作用がある。 この作用を得るためには、 必ずし
も表面接着繊維が吸水後も高吸水性樹脂粒子に接着していなくても良いが、少な くとも表面接着繊維が高吸水性樹脂粒子表面に緊密に配置されていることが好 ましい。 そのために、 吸水前に繊維が高吸水性樹脂粒子表面に接着していること は好都合である。 また、 高吸水性樹脂粒子同士の間に間隙を作り、 水の流路を確 保するこめには一定の剛性を備えた繊維を用いることが好ましい場合がある。表 面接着繊維はまた、 上述の部分包埋繊維とあいまって、 吸水前における高吸水性 樹脂粒子の固定性を確保する効果もある。 表面接着繊維に用いる繊維の形状は、 拡散性を高めるために中空やサイドバイサイド型等であってもよい。
表面接着繊維が親水性繊維で構成されている場合、 こ φ表面接着繊維は吸永時 の高吸水性樹脂粒子の膨潤により高吸水性樹脂粒子同士が接触し水の流路を妨 害するブロッキング (ままこ) 現象を防止する効果を示す。 即ち、 吸水時には水 を各吸水性樹脂複合体表面に満遍なく輸送拡散させる役割を果たす。 一方、表面 接着繊維が疎水性樹脂で構成されている場合、 この表面接着繊維は吸水性樹脂複 合体間の水の拡散性を向上させる機能を発揮する。
さらに、 表面接着繊維は前述の部分包埋繊維同様の作用により、 各複合体 Αの 独立性、 形態保持性、 柔らかで滑らかな感触を確保する役割を持ち、 同様の効果 を与える。
( 1一 3 ) 特長
1 ) 固定性と吸水能力の両立 (各繊維の複合効果)
一般的に、高吸水性樹脂粒子の固定性確保と保持能や加圧下吸水能等の吸水能 力確保とは両立しない。 即ち、 吸水前だけでなぐ吸水後も十分な固定性を確保し ようとすると、 吸水後においてもなお、 吸水膨張力を凌駕する高吸水性樹脂と繊 維の強固な接着力を必要とする。 このことはとりもなおさず、繊維による高吸水 性樹脂自体の吸水膨潤阻害をもたらし、 十分な吸水能を与えない。 逆に、 保持能 や加圧下吸水能等の吸水能力を確保しようとして、高吸水性樹脂と繊維との接着 面が自由に膨潤できるようにすると、 このことは高吸水性樹脂と繊維との接着面 の破壊を意味し、 十分な固定性を与えない。 ·
複合体 Aには、部分包埋繊維および表面接着繊維が、ともに必須である。即ち、 部分包埋繊維のみを有する複合体では吸水時のブロッキング (ままこ) 現象を防 止する効果が十分でない。 一方、 表面接着繊維のみを有する複合体では吸水後の 高吸水性樹脂粒子の固定性が十分ではない。 よって、 吸水前後を通じて上述の作 用を発揮するためには、 両者の繊維がともに必須である。 '
この複合体 Aでは、吸水性樹脂複合体に部分包埋繊維と表面接着繊維との両者 の繊維が共存することによつて本来矛盾する関係の、高吸水性樹脂粒子の固定性 確保と吸水能力確保との両立が可能となった。 即ち、 複合体 Aは吸水前だけでな く吸水後も十分な固定性を確保しながら、 形態保持能だ,けでなく、加圧下吸水能 をも確保する際だった特長を有する。 なお、 部分包埋繊維と表面接着繊維との繊 維の種類は同一でも異なっていても差し支えなく、使用目的、 それぞれの効果発 現のため適宜選択される。
2 ) 開繊性
複合体 Aの特徴の一つは、複合体 Aの集合体が開繊性を有しているばかりでな く、複合体 Aを含む吸水性樹脂複合体組成物に開繊性を持たせることができる点 にある。 このような特徴は、 各複合体 Aが実質的に独立していることから確保さ れる。 即ち、 1つの複合体 Aを構成する繊維が他の複合体 Aと実質的な接着をし ていないことが望まれる。 そのためには、 製造条件にもよるが、 用いる繊維の繊 維長を前記のように適宜選択することが好ましい。 開繊'性は、 後述の実施例で述 ベる、梳毛のしゃすさおよぴ梳毛後の高吸水性樹脂粒子の破損状況で評価するこ とができる。
3 ) 形態保持性
さらに、 複合体 Aは、 複合体 Aの集合体が形態保持性を有しているばかりでな く、複合体 Aを含む吸水性樹脂複合体組成物に形態保持性を持たせることができ る点にも特徴がある。前記のように複合体 A中の結合繊維は各吸水性樹脂複合体 同士に適度な物理的絡み合いを与え、複合体 Aを含む吸水性樹脂複合体組成物を 塊状にしたときに自重程度では容易にばらばらにならないという形態保持性を
与える。
2. 複合体 B
「複合体 B」 は 「高吸水性樹脂粒子が略球状であり、 1本以上の前記繊維は繊 維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出 しており、 かつ、 前記繊維はいずれも前記樹脂粒子の表面に接着していない吸水 性樹脂複合体」、 即ち、 結合繊維として部分包埋繊維のみを 1本以上含み、 表面 接着繊維を含まないものである。
複合体 B中の繊維は複合体 Aの結合繊維の項で前述した繊維と同様に選択で さる。 .
複合体 Bにおける結合繊維 (部分包埋繊維) と高吸水性樹脂の乾燥重量比は 1 : 1〜: 1 : 1, 000, 000であることが好ましく、 1 : 2〜1 : 100, 000であることがより好ましく、 1 : 3〜 1 : 10, 000であることがさら に好ましい。
3. 複合体 C
「複合体 C」 は 「高吸水性樹脂粒子が略球状であり、 1本以上の前記繊維は繊 維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており、 かつ、 前記繊維はいずれも前記 樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合体」、 即ち、 結合繊維として表面 接着繊維を 1本以上含み、 部分包埋繊維を含まないものである。
複合体 C中の繊維は複合体 Aの結合繊維の項で前述した繊維と同様に選択で さる。
複合体 Cにおける結合繊維 (表面接着繊維) と高吸水性樹脂の乾燥重量比は 1 : 1〜1 : 1, 000, 000であることが好ましく、 1 : 2〜1 : 100, 000であることがより好ましく、 1 : 3〜1 : 10, 000であることがさら に好ましい。
4. 残存モノマー
本発明の吸水性樹脂複合体の特徴は、複合体内に含まれる残存モノマーが少な いことである。 許容される残存モノマー濃度は利用分野、 用途、 使用法によって
異なる。一般に例えば衛生材料は非衛生材料に比較して許容される残存モノマー 量は少ないことが要求される。本発明の吸水性樹脂複合体中の残存モノマーは 2 0 0 0 p p m以下、 好ましくは 1 0 0 0 p p m以下、 より好ましくは 5 0 0 p p m以下、 最も好ましくは 3 0 0 p p m以下である。 これらを実現するためには、 後述の如く、吸水性樹脂複合体の製造法において記述する特段の工夫を要する場 合がある。 なぜなら、 通常重合中に繊維等の副資材を共存させると、 モノマーの 副資材への拡散、 副資材からモノマーへの不純物の混入等があり、 一般的に吸水 性樹脂複合体中の残存モノマーは副資材非共存の場合に比較して残存濃度が高 い傾肉があるからである。 なお、 吸水性樹脂複合体中の残存モノマー量は少なけ れば少ないほどよいが、 5 0 0 p p m程度にまで低減できれば、 衛生材料等への 用途において特に問題はない。 .
[III] 本発明の吸水性樹脂複合体組成物 本発明の吸水性樹脂複合体組成物は、 上記の複合体 Aを含むことが好ましく、 特に、 複合体 Aを重量分率で 0 . 1以上含むことが好ましく、 0 . 2以上含むこ とがより好ましく、 0 . 3以上含むことがさらに好ましい。
この本発明の吸水性樹脂複合体組成物は複合体 Aを含む他、 前述の複合体 B、 複合体 Cおよび以下の自由繊維等の他の構成成分を含有しても良い。 ただし、 そ れぞれの成分自体独立しており開繊性を有し、組成物自体の開繊性も維持してい ることが重要である。
(自由繊維)'
「自由繊維」は「高吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維」であり、 本発明の吸水性樹脂複合体組成物は、 このような自由繊維を 1本以上含んでいて も良い。本発明の吸水性樹脂複合体組成物が自由繊維を含むことにより、剛軟性、 ソフト感、 導液性、 通液性、 水の拡散性、 通気性等をさらに向上させることがで きる。
自由繊維としては結合繊維と同様、 合成繊維、 天然繊維、 半合成繊維、 無機繊 維などを用いることができる。 自由繊維として用いる繊維は、 本発明の吸水性樹 脂複合体組成物の使用目的に応じて選択され、 例えば、 吸水性樹脂複合体組成物 を吸収性物品として用いる場合には、 親水性繊維を選択することが好ましい。 親水性繊維としては、 パルプ、 レーヨン、 木綿、 再生セルロースその他のセル ロース系繊維、 ポリアミド系、 ポリビュルアルコール系等の 1種または 2種以上 の繊維が選ばれる。 このような親水性繊維を用いると、 本発明の吸水性樹脂複合 体組成物への導液性を高めることができる。 特に、 衛生材料の用途には、 皮膚に 対する低刺激性、 柔軟な感触の面から、 親水性繊維の でもパルプが好ましい。 一方、 自由繊維として疎水性繊維を使用することもできる。 例えば、 ポリエス テル系、 ポリエチレン系、 ポリプロ,ピレン系、 ポリスチレン系、 ポリ塩化ビエル 系、 ポリ塩化ビリニデン系、 ポリアクリロニトリル系、 ポリ尿素系、 ポリウレタ ン系、 ポリフルォロエチレン系、 ポリシアン化ビニリデン系繊維の 1種または 2 種以上である。 これらの疎水性繊維を用いることにより、 本発明の吸水性樹脂複 合体組成物における通液性、 水の拡散性を向上させることができる。
前述の結合繊維と異なり、 自由繊維は高吸水性樹脂との親和性、 或いは吸水性 樹脂複合体との親和性については、 特に制限はない。 従って、 用いる繊維種は上 記、 複合体 A、 複合体 B、 或いは複合体 Cに含まれる結合繊維と同一でも異なつ ていても差し支えない。 例えば、 結合繊維として親水性繊維を選択し、 自由繊維 として疎水性繊維を選択することができる。 このような態様を採用すれば、 疎水 性繊維が吸水性樹脂複合体間の水の拡散性を向上させる機能を発揮する。
また、 ブロッキング防止の観点からは、 後述する繊維の剛性や繊維径を考慮し て繊維を選択することも重要である。
自由繊維として用いる繊維として好ましいものは、平均繊維長が 5 0〜1 0 0, 0 0 0 μ πι、 より好ましくは 1 0 0〜 5, 0 0 0 0 μ m、 さらに好ましくは 5 0 0〜2, 0 0 0 0 μ πιのものである。 1 0 , 0 0 0 0 mよりも繊維長が長くな ると組成物の開繊が困難になる場合がある。逆に 5 0 μ mより短い繊維長では繊
維自体の易動性が大きいため、 組成物から繊維が漏れる等の問題がある。
また、 この自由繊維の平均繊維径は 0 . 1〜 5 0 0デシテックスであることが 好ましく、 0 . 1〜1 0 0デシテックスであることがより好ましく、 さらに好ま しくは 1〜5 0デシテックス、 特に好ましくは 1〜1 0デシテックスである。 繊 維径が 5 0 0デシテックスより大きくなると繊維の剛性が大きすぎて吸水性樹 脂複合体との混和が困難になるばかりではなく、 圧縮成型が困難になり、 薄型ィ匕 に好ましくない場合がある。 また、 生理用品等の用途に対してはごわごわしたり ちくちくしたり、 感触も好ましくない。 逆に、 繊維径が 0 . 1デシテックス未満 であると、繊維が細すぎるため上述の導液性や拡散性が 保できないことがある。 また、剛性が不足するため、ブロッキング(ままこ)が防止できない場合がある。
.自由繊維を添加する場合は、本発明の吸水性樹脂複合体組成物中の高吸水性樹 脂と全繊維 (自由繊維と結合繊維との合計) との乾燥重量比は 9 5: 5〜5 : 9 5であることが好ましく、 9 0 : 1 0〜7 : 9 3であることがより好ましく、 8 5 : 1 5〜1 0 : 9 0であることがさらにより好ましい。 この範囲よりも繊維量 が多いと実質的に高吸水性樹脂の効果が発現しにくくなり、 また嵩密度が小さく なるという欠点を有する場合がある。 一方、 この範囲よりも繊維量が少ないと、 柔軟性、 ソフト感、 導液性、 通液性、 水の拡散性、 通気性等の更なる向上が十分 でない。
2 . 残存モノマー
本発明の吸水性樹脂複合体は組成物内に含まれる残存モノマーが少ないこと が好ましい。 許容される残存モノマー濃度は利用分野、 用途、 使用法によって異 なる。一般に例えば衛生材料は非衛生材料に比較して許容される残存モノマー量 は少ないことが要求される。 具体的には、 複合体中の残存モノマーは 2 0 0 0 p p m以下が好ましく、 1 0 0 0 p p m以下がより好ましく、 5 0 0 p p m以下が さらに好ましく、 3 0 0 p p m以下が最も好ましい。 これらを実現するためには 後迷の製造法において記述する特段の工夫をしなければならない。 なぜなら、 通 常重合中に繊維等の副資材を共存させると、 モノマーの副資材への拡散、 副資材
からモノマ一^■の不純物の混入等があり、一般的に吸水性樹脂複合体組成物中の 残存モノマーは副資材非共存の場合に比較して残存濃度が高い傾向があるから である。 なお、 吸水性樹脂複合体組成物中の残存モノマー量は少なければ少ない ほどよいが、 5 0 0 p p m程度にまで低減できれば、 衛生材料等への用途におい て特に問題はない。
[IV] 本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法
1 . 原料
( 1 - 1 ) モノマー
使用するモノマーは、 高吸水性樹脂を与えるものである限りその種類を問わな いが、 レドックス系開始剤によつてその重合が開始されるモノマーを使用するこ とが特に好ましく、 このモノマーは通常、 水溶·生のものが好ましい。
このようなモノマーの代表例であって、 しかも本発明に好ましいものは、 脂肪 族不飽和カルボン酸またはその塩である。具体的には、アクリル酸またはその塩、 メタクリル酸またはその塩等の不飽和モノカルボン酸またはその塩;或いはマレ ィン酸またはその塩、イタコン酸またはその塩等の不飽和ジカルボン酸またはそ の塩を例示することができ、 これらは単独で用いても 2種以上を混合して用いて も良い。 この中で好ましいのは、 アクリル酸またはその塩、 およびメタクリル酸 またはその塩であり、 特に好ましいのはアクリル酸またはその塩である。
本発明で用いる高吸水性樹脂を与えるモノマーとしては、上記の如く脂肪族不 飽和カルボン酸またはその塩が好ましいので、 このモノマーの水溶液としては脂 肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とする水溶液が好ましい。 ここで、 「脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とする」 とは、 脂肪族不飽和力 ルボン酸またはその塩がモノマーの全量に対して 5 0モル%以上、好ましくは 8 0モル%以上含まれることを意味する。
脂肪族不飽和カルボン酸の塩としては、水溶性の塩、例えば、アル力リ金属塩、 アルカリ土類金属塩、アンモニゥム塩 が通常用いられる。また、その中和度は、
目的に応じて適宜定められるが、 アクリル酸の場合には、 カルボキシル基の 2 0 〜9 0モル%がアルカリ金属塩またはアンモニゥム塩に中和されたものが好ま しい。,アクリル酸モノマーの部分中和度が 2 0モル%未満であると、 生成する高 吸水性樹脂の吸水能が著しく低下する傾向がある。
アタリル酸モノマーの中和には、 アル力リ金属の水酸化物や重炭酸塩等または 水酸化ァンモニゥム等の 1種または 2種以上が使用可能である 1 好ましいのは アルカリ金属水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリゥムおよび水酸 化カリウムが挙げられる。
また、本発明においては、前記の脂肪族不飽和カルボ :酸またはその塩以外に、 これらと共重合可能なモノマー、 例えば、 (メタ) アクリルアミド、 (ポリ) ェチ レンダリコール (メタ) ァクリレート、 2—ヒ ドロキシェチル (メタ) アタリレ ート、 その他低水溶性モノマーではあるが、 アクリル酸メチル、 アクリル酸ェチ ル等のアクリル酸アルキルエステル類等も、得られる高吸水性樹脂の性能を低下 させない範囲の量で用いても差し支えない。 なお、 本明細書中 「(メタ) アタリ ル」 という用語は、 「アクリル」 および 「メタクリル」 の何れをも意味するもの とする。 なお、 これらのモノマーのうち高吸水性樹脂を与えるものは、 脂肪族不 飽和カルボン酸またはその塩に対する補助成分としてではなく、 「高吸水性樹脂 を与えるモノマーの水溶液」 の主要モノマーとして使用することもできる。
(モノマー濃度)
上述の脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分として含むモノマー水 溶液のモノマーの濃度は、 2 0重量 °/0以上、 好ましくは 2 5重量%以上である。 この濃度が 2 0重量%より少ないと重合後の高吸水性樹脂の吸水能が十分に得 られないため好ましくない。
( 1 - 2 ) 架橋剤
脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩、 特にァクリル酸またはその塩は、 それ 自身で自己架橋ポリマーを形成することがあるが、架橋剤を併用して架橋構造を 積極的に形成させることもできる。 架橋剤を併用すると、 一般に生成する高吸水
性樹脂の吸水性能が向上する。 架橋剤の具体例および使用量については、 上記の レドックス重合の (2— 2 ) の説明を参照することができる。
( 1 - 3 ) 重合開始剤
重合開始剤としては、水溶液ラジカル重合で一般的に用いられるものを用いる ことができる。 重合開始剤の具体例おょぴ使用量については、 上記のレドックス 重合の (2— 3 ) の説明を参照することができる。
重合はラジカル重合開始剤の分解により開始される。通常よく知られている手 法は熱分解である。 しばしば、 予め重合開始剤の分解温度に昇温させた反応液の モノマーに対して加熱していない重合開始剤を添加して重合開始させる場合が あるが、 この場合も熱分解の範疇に属する。
( 1— 4 ) 繊維 .
繊維種、 形状については前述のように適宜選択される。
繊維はなるべくミクロ的にも均一に分散されていることが好ましい。一般に繊 維はからみあいによる繊維塊をなす傾向があるが、そのみかけ繊維塊径は 2 O m m以下が好ましく、 1 O mm以下がより好ましく、 5 mm以下が最も好ましレ、。 もちろん一本、一本の繊維に独立していることが好ましいことは言うまでもない。 一般に均一性を確保するために開繊という手法が用いられる。 なお、 「開繊」 と は解繊と繊維化の両方の概念を含むものである。 解繊には、 ナイロン等のシート 状物を短冊状や繊維状に裂くこと等が含まれる。 また、 繊維化には、 原紙状のセ ルロースを切り裂いてパルプにすること等が含まれる。
具体的な手法としては 「繊維便覧 (加工編)」 (繊維学会編、 丸善、 1 9 6 9 ) 1 8頁以下に紹介されている、 綿紡式、 梳毛式、 紡毛式、 麻紡式、 絹紡式或いは また回転羽式粉碎機、 ハンマー式粉碎機、 パルプ解繊機等を適宜用いることがで きる。 またフロック加工として知られている繊維を帯電させ、 繊維間の静電反発 を利用して事実上、繊維一本一本を独立させ、均一分散させることも可能である。 ( 1— 5 ) 重合活性化剤
重合活性化剤は、 レドックス重合奪のラジカル重合をより活性化させ、 その結
果、 残存モノマー量低減ィヒを実現しうる試薬である。 重合活性化剤の効果は重合 進行物の重合率における添加系/無添加との相対的な重合率増加率によって評 価される。 即ち、 重合率増加率 (%) は、 以下の式で計算される。
添加系での重合率一無添加系での重合率
; X 1 0 0
無添加系での重合率
重合活性化剤としては重合率増加率が 3 %以上であるようなものが好ましく、 5 %以上であるようなものがより好ましく、 1 0 %以上であるようなものが最も 好ましい。 .
重合活性化剤は、遷移金属化合物を含有することが.好ましい。 遷移金属化合物 の具体例おょぴ使用量については、 .上記のレドックス重合の (1— 1 ) の説明を 参照することができる。
2 . 製造工程
( 2 - 1 ) 重合工程
本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法は特に制限されないが、好ましい製造方 法においては、 高吸水性樹脂を与えるモノマーの水溶液、 例えば、 脂肪族不飽和 力ルポン酸またはその塩を主成分とするモノマーの水溶液にレドックス系重合 開始剤を配して当該モノマーの重合を開始させ、反応開始後のモノマーおよび生 成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、 同気相中に供 '給した分散した繊維と接触させ、 吸水性樹脂複合体前駆体となし、 重合を完結さ せ吸水性樹脂複合体として回収する方法がある。
気相中での液滴を重合させる好ましい一つの方法は、 レドックス系重合開始剤 を構成する酸化剤と還元剤の一方を含むモノマー水溶液からなる第 1液と、 レド ックス系重合開始剤の他方および所望によりモノマーを含む水溶液からなる第 2液とを気相中で混合することにより重合を開始させることからなる。
具体的な手段としては、 例えば、 後述の実施例に示すように、 第 1液および第 2液をノズルから流出する液同士の女差角度が 1 5度以上の角度で、 しかも液柱
状態で衝突するようにそれぞれ別個のノズルより噴出させる方法がある。 このよ うに両液に交差角度を持たせて互いに衝突させることにより、 ノズルからの流出 エネルギーの一部を混合に利用するのである。 それぞれのノズルから流出する第
1液と第 2液の交差角度は、使用するモノマーの性状、 流量比等に応じ適宜選定 する。 例えば、 液の線速度が大きければ交差角度は小さくすることができる。 なお、 この場合、 第 1液の温度は通常常温〜約 6 0 °C、 好ましくは常温〜約 4 0 °Cであり、 また、 第 2液の温度も通常常温〜約 6 0 °C、 好ましくは、 常温〜約 4 0 °Cである。
このように、 ノズルから噴出されたそれぞれの水溶液 (ま、液柱状態で衝突させ て両液を合体させる。 合体後は液柱を形成していて、 その状態がある時間保持さ れるが、 その後この液柱は解体して液滴となる。 生成した液滴は気相中で重合が 進行する。
液滴の重合が進行し、繊維に接触して適当な吸水性樹脂複合体を形成するには、 液滴の大きさは通常 5〜3 , 0 0 0 μ πι、 特に 5 0〜: 1, Ο Ο Ο μ πιの範囲とす るのが好ましい。 反応器内の液滴の空間密度は 0 . 1〜1 0, 0 0 0 g /m3であ ることが好ましい。 この上限を超えると繊維と接触しない高吸水性樹脂が生成し、 この下限未満だと高吸水性樹脂に接触しない繊維が生成して、吸水性樹脂複合体 の収率が相対的に低下する問題が生じる。
このような重合の開始および重合進行中の液滴の形成を行う反応場を与える 気相の気体としては、 窒素、 ヘリゥム、 炭酸ガス等の重合に不活性なものが好ま しいが、 空気でも良い。 また、 水蒸気のみの場合を含め、 気体中の湿度には特に 制限はないが、 あまり湿度が低いと重合が進行する前にモノマ一水溶液中の水分 が蒸発してモノマーが析出し、 その結果、 重合速度が著しく低下、 或いは重合が 途中で停止する可能性がある。 気体の温度条件は、 室温以上 1 5 0 °C以下、 望ま しくは 1 0 0 °C以下である。気体の流れ方向は液柱および液滴の進行方向に関し て向流、 並流のどちらでも良いが、液滴の気相中滞留時間を長くする必要がある 場合、 即ちモノマーの重合率を上げ、'ひいては液滴の粘度を高める必要がある場
合には向流 (反重力方向) の方が良い。
( 2 - 2 ) 繊維供給工程
液滴と繊維を接触させる際の液滴中のモノマー転ィヒ率 (即ち、 重合率) は 0〜 9 0 %の範囲が好ましい。 より好ましくは 0〜 8 0 %で、 最も好ましくは 0〜 7 0 %の範囲である。 9 0 %以上の重合率では'用いる繊維が高吸水性樹脂に包埋も 接着もされなレ、可能性がある。
一般にモノマー転ィ匕率が低レヽ状態で液滴を繊維に衝突させれば、繊維が吸水性 樹脂の内部に包埋された複合体 Bが得られやすく、モノマー転化率が高い状態で 液滴を繊維に衝突させれば、繊維が吸水性樹脂表面に接寧した複合体 Cが得られ やすく、 またモノマー転化率が異なる複数の位置で液滴に繊維を衝突させれば、 一部の繊維が吸水性樹脂の内部に包埋されるとともに他の繊維が吸水性樹脂表 面に接着した複合体 Aが得られやすい。 したがって、 特に好ましい複合体 Aの構 造を得るためには、モノマーの重合率の異なる 2段階以上の反応場で繊維を供給 することが好ましい。そのためには複数の供給口から繊維を供給することが好ま しい。 所望の構造の複合体を得るために、 繊維と衝突する際の液滴のモノマー転 化率は、繊維種なども考慮して適宜決定される。 モノマー転化率が異なる複数の 位置で液滴に繊維を衝突させる場合は、いずれのモノマー転化率も上述の範囲内 から選択することが望ましい。
部分包埋繊維と表面接着繊維繊維の双方を.生成するためには、それぞれの繊維 とモノマーとの接触場におけるモノマーの重合率の差は 1 0 %〜8 0 %の範囲 が望ましレ、。 より好ましくは 1 0〜 7 0 %で、 最も好ましくは 1 0〜 6 0 %の範 囲である。 それぞれの接触場での重合率は、 モノマー種や繊維種等に応じて適宜 決定される。
( 2— 3 ) 繊維搬送工程
重合進行中の液滴と接触させるために繊維を供給する方法として、一般に知ら れている搬送方法を用いることができる。 反応器内の繊維の空間密度は、 繊維を 高吸水性樹脂に部分的に包埋させる場合は 0 : 0 0 5〜1, O O O g Zm3の範
囲が好ましい。 この上限を超えると高吸水性樹脂粒子に包埋されない繊維が生成 し、 この下限未満であると繊維を包埋しない吸水性樹脂複合体が生成して複合体
Aの収率が相対的に低下する問題が生じる。繊維をできるだけ細かく均一に供給 するためには、 繊維を気体との混相流として供給することが好ましい。 ここで用 いる気体としては、上述の反応場を与える気体として挙げたものを用いることが できる。 そのなかでも経済的観点、 環境負荷軽減の観点から空気が好ましい。 混相流として供給する繊維と気体の重量混合比は 1 : 1以上、 好ましくは 1 : 2 0以下とし、 気体の線速は 1〜5 O mZ秒の範囲が好ましレ、。 この上限を超え ると反応場の重合進行中の反応混合物の軌跡を乱し、反 器の内面への付着が問 題になる場合がある。 一方、 下限未満では繊維の均一性が確保できない場合があ る。 .
混相流として供給する気体の温度は、重合を著しく阻害しない範囲内で選択す ることが望まれる、 その意味から具体的には室温以上 1 5 0°C以下、 望ましくは 1 o o °c以下である。 繊維搬送の観点かもは、 気体中の湿度は低い方が好ましい 力 あまり湿度が低いと反応器内の湿度を下げ、 重合が進行する前にモノマー水 溶液中の水分が蒸発してモノマーが析出し、 その結果、 重合速度が著しく低下、 或いは重合が途中で停止する可能性がある。 .
( 2 - 4) 残存モノマー量低減化工程
残存モノマー量低減化工程では、以下に述べる残存モノマー量低減化方法を適 用することが好ましい。残存モノマーを低減ィ匕するためには通常の高吸水性樹脂 粒子の製造工程に採用される手法に対してさらに特段の工夫を要する場合があ る。 なぜなら、 従来の懸濁重合法で得られる真球状ないし真球集合体の高吸水性 樹脂粒子や、溶液重合法で得られる不定形の高吸水性樹脂粒子と異なり、 本発明 の吸水性樹脂複合体は、パルプ等の繊維が高吸水性樹脂粒子に包埋或いは接着し ている立体構造ため、残存モノマー量低減ィ匕処理に影響する以下の特徴を有して いるからである。
( α ) 吸水性樹脂が繊維で覆われているため、 複合体自体が回転、 並進運動が
しにくレヽ
( β ) 吸 ί性樹脂が繊維で覆われているため、 紫外線等の電磁波や、 放射線が 透過しにくい
( y ) 吸水性樹脂が繊維で覆われているため、 施す試薬が高吸水性樹脂や繊維 に均一に分散しにくレヽ
残存モノマーを処理する方法としては、 例えば、 (i ) 残存モノマーの重合を 進行させる方法、 (ii) 残存モノマーを他の誘導体へ導く方法、 (iii) 残存モノ マーを除去する方法が挙げられる。 以下においてこれらの方法を順に詳細に説明 する。 ,.
(i) 残存モノマーの重合を進行させる方法
残存モノマーの重合を進行させる方法としては、重合進行中に重合自体を活性 化させる手法方法と、重合終了後の吸水性樹脂複合体を処理する方法とに大別で きる ό ここで、 重合進行中とは重合率が 5 0重量%未満の重合進行物を指し、 重 合終了後とは萆合率が 5 0重量%以上の重合進行物を指す。 また、 重合進行物と は現に重合が進行しているものおよび進行がきわめて遅く事実上、休止或いは停 止している場合も含む。
重合進行中に重合自体を活性化させる方法としては、 例えば、 前述の重合活性 ィ匕剤の付与が挙げられる。 また重合終了後の吸水性樹脂複合体を処理する方法と しては、 例えば、 a ) 吸水性樹脂複合体をさらに加熱する方法、 b ) 吸水性樹脂 複合体にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加する方法、 c ) 紫外線を照射する方法、 d ) 電磁放射線または微粒子性イオン化放射線を照射す る方法、 e ) 重合活性化剤により処理する方法などが挙げられる。 以下それぞれ の方法について説明する。
(重合進行中に重合自体を活性化させる方法)
重合進行中に重合自体を活性化させることにより残存モノマー量を低減する 手法として、重合活性化剤の付与について以下説明する。 この方法は吸水性樹脂 複合体が形成される前に処理するため、上記の複合体の有する ), ( j3 ) , ( γ )
の特徴を回避することができ好都合である。用いる重合活性化剤は前述の通りで ある。
前述の重合活性化剤の添加量は、モノマーに対して遷移金属化合物であれば金 属換算で 0 . 0 1〜1 0 0重量 p p mであり、 0 . 0 5〜 5 0重量 p p mが好ま しく、 0 . 1〜2 0重量 p p mがさらに好ましレヽ。 0 . 0 1重量 p p m未満の添 加量では十分な重合活性化効果が得られず、逆に 1 0 0重量 p p mを超える量を 使用しても効果は向上せず不経済になる。
本発明に係る重合活性化剤の添加方法は、重合進行中の液滴内に重合活性化剤 が存在するように付与されればいずれの方法でも良く、重合活性化剤を予めモノ マーに添加しておいてもよいし、 重合進行中の液滴に付与してもよレ、。 重合活性 化剤を効率的に液滴に付与するためには重合活性化剤を予めモノマーに添カロし ておくことが好ましい。
重合活性化剤を予めモノマーに添加する際は、酸化剤を含有するモノマー液に 添加しても良いし、.還元剤を含有するモノマー液に添加しても良い。 酸化剤と還 元剤を混合したときに、本発明に係る重合活性化剤は均一に存在していることが 望ましいこと力 ら、酸化剤を含有するモノマー液と還元剤を含有するモノマー液 の双方に本発明に係る重合活性化剤を添加することが好ましい。 このとき、 双方 に添加する本発明に係る重合活性化剤の組成は同一であっても異なっていても よい。 また、 添加量は同一であっても異なっていてもよい。 好ましいのは、 同一 組成の重合活性化剤を同一量添加する場合である。 なお、 酸化剤と還元剤を混合 したときに速やかに本発明に係る重合活性化剤が均一に分散しうる条件を選択 する場合は、いずれか一方のみに本発明に係る重合活性化剤を添加しても十分な 重合活性化効果が得られる。
またこれらモノマー液と重合活性化剤との混合は、 どのような手法でも差し支 えない。 例えば、 モノマー液に予め仕込む方法や、 ラインミキサーを用いて配管 内で混合させる手法等が例示できる。 モノマー液と重合活性化剤は、 重合開始以 前に混合しておくことが特に好ましい。
ただし、 本発明は、 重合開始後に重合活性化剤をさらに添加する場合を排除す るものではない。
モノマー液と重合活性ィヒ剤を混合する際の温度は、 通常常温〜約 6 0 ° (、 好ま しくは常温〜約 4 0 °Cである。 混合時の温度が高すぎるとモノマー液の安定性が 損なわれる場合がある。
なお、 上の説明では、 酸化剤を含有する液と還元剤を含有する液の双方にモノ マーが含まれている態様を例に挙げた力 モノマーは必ずしも双方に含まれてい る必要はなく、 いずれか一方のみに含まれている態様も本発明に含まれる。 すな わち、 酸化剤を含有する液にのみモノマーが含まれてい Cもよいし、 還元剤を含 有する液にのみモノマーが含まれていてもよい。 この場合に、 本.発明に係る重合 活性化剤は、 モノマーが含まれてい,る液に添加してもよいし、 モノマーが含まれ ていない液に添加してもよいし、 双方に添カ卩してもよい。 好ましいのは、 双方に 添加する場合と、 モノマーが含まれている液に添加する場合である。
(重合終了後、 吸水性樹脂複合体を処理する方法)
次に重合終了後、吸水性樹脂複合体を処理することにより残存モノマー量を低 減する方法について説明する。
a ) 吸水性樹脂複合体をさらに加熱する方法
吸水性樹脂複合体をさらに加熱する方法は、該吸水性樹脂複合体を 4 0〜 2 5 0 °Cで加熱処理し、該吸水性樹脂複合体に残存するモノマ一を重合させるもので ある。 この際、 反応を促進するためには、 水分を加えることは効果的である。 こ の水分は残存モノマーの易動性を高め、 また吸水性樹脂複合対中の高分子鎖の易 動性も促進する。 その観点から吸水性樹脂複合体の含水率が湿潤基準で通常 5〜 9 5重量0 /0、 より好ましくは 1 0〜9 0重量%、 最も好ましくは 1 5〜8 5重 量%であることが求められる。 また、 反応温度は 1 5〜2 5 0 °Cが好ましく、 2 5〜2 0 0 °Cがより好ましく、 4 0〜1 5 0 °Cが最も好ましい。 反応時間は含水 率や反応温度にもよるが、 0 · 1秒〜 6 0分が好ましく、 0 . 5秒〜 3 0分がよ り好ましく、 1秒〜 2 0分が最も好ましい。
b )吸水†生樹脂複合体にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添 加する方法
吸水性樹脂複合体にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加 する方法は、 例えばレドックス系重合開始剤を用いて重合を行った場合には、 ラ ジカル発生剤が残存していることが多いので吸水性樹脂複合体に還元剤溶液を 付与すればよい。 還元剤としては、 レドックス系開始重合剤として用いる亜硫酸 ナトリウム、 亜硫酸水素ナトリウム、 L—ァスコルビン酸等を用いればよく、 通 常はこれらを 0 . 5〜 5重量%水溶液として該吸水性樹脂複合体に付与する。 還 元剤の付与量は吸水性樹脂複合体基準で 0 . 0 0 1〜 2筚量%、好ましくは、 0 . 0 1〜1 . 5重量%、 より好ましく 0 . 0 5〜1重量0 /0がよい。 この際、 還元剤 溶液は吸水性樹脂複合体に満遍なく均一に付与する必要がある。 その意味から還 元剤溶液の付与は、噴霧器を用いて粒径 1 以下の粒径の霧にすべくスプレー したり、 還元剤溶液中に浸漬するなど手法が好ましい。 還元剤を付与した吸水性 樹脂複合体は次いで加熱してモノマーを重合させる。加熱は例えば 1 0 0〜1 5 0 °Cで 1 0〜 3 0分間程度行えばょレ、。 この加熱により吸水性樹脂複合体の含水 率は低下するが、 もし含水率が高い場合にはさらに乾燥機で乾燥して製品とする。
c ) 吸水性樹脂複合体に紫外線を照射する方法
吸水性樹脂複合体に紫外線を照射する方法では、通常の紫外線ランプを用いれ ばよく、 照射強度、 照射時間等は用いる繊維の種類、 残存モノマー含浸量等によ つて変化するが、 一般的には紫外線ランプ 1 0〜2 0 0WZ c m、 好ましくは 3 0 - 1 2 0 W/ c m、 照射時間 0 . 1秒〜 3 0分、 ランプー複合体間隔 2〜 3 0 c mである。 その際乾燥した複合体表面は紫外線を散乱し内部まで透過しないの で、吸水性樹脂複合体表面を平滑化、透明化するために、湿潤化する必要がある。 この時の吸水性樹脂複合体中の水分量としては、一般的には乾燥吸水性樹脂 1重 量部に対して 0 . 0 1〜4 0重量部、好ましくは 0 . 1〜 5重量部が採用される。 0 . 0 1重量部未満または 4 0重量部超過の水分量は、 残存モノマーの低減化に 著しい影響を及ぼすので好ましくない。 また吸水性樹脂複合体の積層厚みは紫外
線を透過させるためには 5 c m以下が好ましく、 2 c mより好ましく、 1 c mが 最も好ましい。 紫外線を照射する時の雰囲気としては、 真空下または窒素、 アル ゴン、 ヘリウム等の無機ガス存在下、 または空気中のいずれも使用できる。 また 照射温度は特に制限はなく、 室温で充分その目的を達成することができる。 用い る紫外線照射装置にも特に制限はなく、 静置状態にて一定時間照射する方法、 或 いはベルトコンべヤーにて連続的に照射する方法等、任意の方法を用いることが できる。
d ) 吸水性樹脂複合体に放射線を照射する方法
吸水性樹脂複合体に放射線を照射する方法には、加速電子やガンマ一線の様な 高エネルギー放射線が用いられる。 照射されるべき線量は、 複合体中の残存モノ マー量や、 水分量等により変化する,が、 一般的には 0 . 0 1〜 1 0 0メガラド、 好ましくは 0 . 1〜5 0メガラドである。 1 0 0メガラド超過の線量では吸水量 が極めて小さくなり、 また 0 . 0 1メガラド未満では本発明で目的とする吸水能 や吸水速度が大きく、 残存モノマーが特段に小さいものが得られ難い。 また、 こ の時の吸水性樹脂複合体水分量としては、一般的には吸水性樹脂 1重量部に対し て 4 0重量部以下、 好ましくは 1 0重量部以下が採用される。 4 0重量部超過の 水分量では吸水速度改良効果が少なく、特に未重合モノマーの低減化に著しい影 響を及ぼすので好ましくない。前記複合体に高エネルギー放射線を照射する時の 雰囲気としては、 真空下または窒素、 アルゴン、 ヘリウム等の無機ガス存在下、 または空気中のいずれも使用できる。 好ましい雰囲気は空気であって、 空気中で 照射を行なうと吸水能や吸水速度の大きくかつ残存モノマーが特段に小さくな る。 また、 照射温度には特に制限は無く室温で十分にその目的を達成することが できる。
e ) 重合活性化剤による処理方法
重合活性化剤による処理は、 重合終了後、 前述の重合活性化剤の働きにより残 存モノマーを低減するものである。用いる重合活性化剤種については前述の通り である。
重合活性ィ匕剤は、重合終了後の吸水性樹脂複合体内に重合活性化剤が存在する ように付与されればいずれの方法でも良く、モノマーに予め添カ卩しておいてもよ いし、 重合進行中およひゾまたは重合終了後に後に添加してもよい。
重合活性化剤をモノマーに予め添カ卩または重合進行中の液滴に添加する方法 は、 上述の通りであるが、 添加した重合活性化剤は重合終了後に吸水性樹脂複合 '体中に埋め込まれ、易動度が著しく減少するためその作用も見かけ上著しく減少 する。 したがって、 本法では、 吸水性樹脂複合体内部で重合活性化剤の働きによ り残存モノマーが反応する間、重合活性化剤の吸水性樹脂複合体内部での易動度 を確保することで達成される。 .
重合活性化剤の易動度は、吸水性樹脂複合体の含水率が湿潤基準で通常 5〜 9 5重量%、 より好ましくは 1 0〜 9, 0重量%、 最も好ましくは 1 5〜 8 5重量% である状態で確保される。 反応温度は通常 1 5〜2 5 0 °C、 好ましくは 2 5〜2 0 0 °C、 より好ましくは 4 0〜 1 5 0 °Cである。 また反応時間は含水率や反応温 度によるが、 通常 0 . 1秒〜 6 0分、 好ましくは 0 . 5秒〜 3 0分、 より好まし くは 1秒〜 2 0分である。
そのためには、吸水性樹脂複合体に吸水性樹脂複合体を含水状態で加湿条件下 保持 (ホールド) したり、 吸水性樹脂複合体に水等の親水性溶媒を付与すること で可能となる。
吸水性樹脂複合体を加湿条件下ホールドする際は、吸水性樹脂複合体が上述の 含水率で、 上述の温度、 上述の時間存在すればよく、 加湿条件は、 通常相対湿度 5 0 %以上、 好ましくは 7 0 %以上、 より好ましくは 8 0 %以上である。 相対湿 度が 5 0 %より低いと吸水性樹脂複合体内部の水が蒸発してしまレ、、重合活性ィ匕 剤の吸水性樹脂複合体内部での易動度が失われてしまう。
一方、 吸水性樹脂複合体に水等の親水性溶媒を施す方法では、 親水性溶媒とし て、 水、 炭素数 1〜 3のアルコール類、 アセトン、 ジメチルホルムアミドが挙げ られるが、 水が好ましい。 様態は液状、 気体状で施される。
重合活性化剤を重合終了後に添加する方法では、重合活性化剤を重合後の吸水
性樹脂複合体の乾燥重量に対して金属換算で、 0 . 0 1〜 1 0 0 p p m、 好まし くは 0 . 0 5〜5 0 p p m、 より好ましくは 0 . :!〜 2 0 p p mとなるように加 える。 0 . O l p p m未満では、 残存モノマー量低減作用が十分でなく、 逆に 1 0 0 p p mを超える量を使用しても効果は向上せず不経済になる。
添加時の形態は重合活性化剤のみからなるものであってもよいし、重合活性化 剤を適当な媒体に溶解または分散させたものであってもよい。 ただし、 吸水性樹 脂複合体に適用するときの容易性や効率を考慮して、溶液にして適用することが 好ましい。溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、水、ェタノール、 アセトンを用いることができるが、 安全性、 衛生性、 溶解性、 経済性の観点から 水が好適である。本発明に係る重合活性化剤の溶液中での濃度は特に制限されな いが、 通常金属換算で 0 . 0 1〜5,重量%に設定する。
重合活性化剤の溶液の添加方法としては、上記の複合体の立体構造的特徴に対 して均一に分散させるために、重合活性ィ匕剤の溶液を吸水性樹脂複合体に対して、 液滴状で付与する方法が好ましく選択される。溶液温度は通常は常温 1 5〜2 5 0 °Cにする。 添加の際の雰囲気については、 窒素、 アルゴン或いは二酸化炭素の ような不活性気体でも良いが空気でも差し支えない。 取り扱いの簡便性、 経済性 からは空気が好ましレ、。
また本法でも充分な残存モノマー量低減効果を得るには、吸水性樹脂複合体内 で重合活性化剤が十分な易動性を有することが必要であり、 そのためには、 水等 の親水性溶媒を共に付与することが好ましい。 この親水性溶媒は残存モノマーの 易動性も高め、 さらに吸水性樹脂内の高分子鎖の易動性をも促進する。 親水性溶 媒は重合活性化剤を溶液で付与する場合の溶媒として添加してもよいし、重合活 性化剤とは独立に付与しても良い。 親水性溶媒は、 水、 炭素数 1〜3のアルコー ル類、 アセトン、 ジメチルホルムアミドが挙げられる力 水が好ましい。 様態は 液状、 気体状で施されるが、 気体状が好ましい。 また施す量は吸水性樹脂複合体 の含液率が湿潤基準で通常 5〜 9 5重量%、 より好ましくは 1 0〜 9 0重量%、 最も好ましくは 1 5〜8 5重量%であることが求められる。
重合活性ィ匕剤が付与された吸水性樹脂複合体は、その後、通常、 1 5〜2 5 0 °C、 好ましくは 2 5〜2 0 0 °C、 より好ましくは 4 0〜1 5 0 °Cで、 0 . 1秒〜 6 0 分、 好ましくは 0 . 5秒〜 3 0分、 より好ましくは 1秒〜 2 0分間処理されるこ とで残存モノマーが低減化される。
(ii) 残存モノマーを他の誘導体へ導く方法
残存モノマーを他の誘導体へ導く方法としては、製造された吸水性樹脂複合体 に例えばァミン、 アンモニア等を加える方法、 亜硫酸水素塩、 亜硫酸塩、 ピロ亜 硫酸塩等の還元剤を加える方法が挙げられる。 これらを適当な媒体に溶解または 分散させたものであってもよレ、。溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ま しく、 水、 エタノール、 アセトンを用いることができるが、 安全性、 衛生性、 溶 解性、 経済性の観点から水が好適で,ある。 これらの濃度は 0 . 0 1〜 5重量%が 好ましく、 吸水性樹脂複合体への添加量としては 0 . 0 2〜 3重量%、 特に 0 . 0 5〜 2重量%とすることが好ましレ、。
(iii) 残存モノマーを除去する方法
残存モノマーを除去する方法としては、 例えば有機溶媒による抽出、 或いは留 去する方法が挙げられる。 有機溶媒により抽出する方法では、 吸水性樹脂複合体 を、 含水有機溶媒中に浸漬して、 残存モノマーを抽出除去する。 含水有機溶媒と してはエタノール、 メタノール、 アセトン等を用いることができ、 その含水率は 1 0〜9 9重量%、 特に 3 0〜6 0重量%であるのが好ましレ、。 一般に含水率が- 高いほど残存モノマーの除去能が高いが、含水率の高い含水有機溶媒を用いると 後続する乾燥工程でのエネルギー消費が多くなる。複合体を含水有機溶媒に浸漬 する時間は通常 5〜3 0分間程度で十分であり、複合体を揺動させるなど残存モ ノマーの抽出を促進する手段を採用するのも好ましい。 浸漬処理後は通常乾燥機 で処理して乾燥する。
また、 残存モノマーを留去する方法としては、 複合体を過熱水蒸気または水蒸 気含有ガスで処理する方法がある。例えば 1 1 0 °Cの飽和水蒸気を 1 2 0〜1 5 0 °Cに加熱して過熱水蒸気として複合体に接触させることにより、吸水性樹脂複
合体中の残存モノマーを低減させることができる。 この方法では、 吸水性樹脂複 合体中の水が水蒸気となって蒸発する際に、残存モノマーも同時に気化して吸水 性樹脂複合体から抜け出るものと考えられる。 この方法によれば、残存モノマー の除去と製品の乾燥とを兼ねることができる。
前記本発明の複合体或いは組成物の特徴から、 これらを実現するためには複合 体或いは組成物の嵩密度を低下させる必要がある。 嵩密度として 0. 8 5 gZc m3以下が好ましく、 0. 65 g/cm3以下がより好ましく 0. 45 gZcm3 以下が最も好ましい。
これらの前記の手法の中で、好ましい手法としては上記の重合活性化剤による 重合進行中の重合自体の活性化、或いは重合終了後の吸水性樹脂複合体への重合 活性化剤の添加である。 さらに両者.を併用する方法が挙げられる。
(2-5) その他の付加的工程
本発明吸水性樹脂複合体の製造において、 その他の付加的工程として、 表面架 橋工程、 開繊工程、 他の機能を付与するための触媒、 還元剤、 消臭剤、 人尿安定 剤、 抗菌剤等の添加剤添加工程を加えてもよい。
(表面架橋工程)
吸水性能を向上させる目的で、吸水性樹脂複合体の表面を架橋剤により架橋さ せることも可能である。 表面架橋工程の具体的内容、使用する化合物おょぴ使用 量については、 上記のレドックス重合の (4一 4) の説明を参照することができ る。
(開繊工程)
吸水性樹脂複合体は、 通常堆積物として回収される。 各吸水性樹脂複合体は互 いに独立しているため、 容易に開繊可能である。 開繊には、 繊維の説明で述べた 開繊方法を同様に適宜用いることができるが、機械的衝撃により高吸水性樹脂粒 子が破損しない装置、 条件が好ましい。
(添加剤添加工程)
吸水性樹脂複合体、 或いは本発明の吸水性樹脂複合体組成物には、 目的とする
用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添加剤を加えることができる。 これら添加 としては、 吸収する液体によるポリマー分解、 変質を防止する安定 剤、 抗菌剤、 消臭剤、 脱臭剤、 芳香剤、 発泡剤等を挙げることができる。 これら の材料の具体例、使用態様、使用量などについては、上記のレドックス重合の(4 —4 ) の説明を参照ずることができる。
これらの添加剤は吸水性樹脂複合体の製造各工程で目的、作用機構に応じ適宜 加えられる。例えば発泡剤は高吸水性樹脂の製造工程で添加するのが適当であり、 重合工程前ないし重合工程途中で添加するのが好ましレヽ。 人尿安定剤、 人血安定 剤、 抗菌剤、 消臭剤、 芳香剤は.、 吸水性樹脂複合体の製造工程、 本発明の吸水性 樹脂複合体組成物の製造工程、 吸収性物品の製造工程で添加可能である。 もちろ ん予め繊維に施すことも可能である。 また、 これらの添加剤は、 吸収貯蔵層を構 成する吸水性樹脂複合体以外の構成成分中に添加しても良い。
[V] 本発明の吸水性樹脂複合体組成物の製造方法
1 . 原料おょぴ製造工程
本発明の組成物は、 好ましくは製造された上記複合体 Aに対して適宜、 別途調 製された複合体 Bおよび/または複合体 Cおよび/または自由繊維を混合 ·分散 させる方法 (後混合法) 或いは、 複合体 Aの重合工程で同時に組成物を得る方法 (同時混合法) 等により調製することができる。 また、 必要に応じてその後に圧 密法等による処理を加えても良い。
( 1 - 1 ) 後混合法
例えば、上記複合体 Aの重合工程で堆積した複合体 A或レヽは上記の開繊され独 立した複合体 Aと、 複合体 B、 複合体 Cおよび自由繊維のうちの 1種または 2種 以上とを混合器で混合することにより、 これらが任意の組成で混合された本発明 の吸水性樹脂複合体組成物を製造することができる。 この際、 混合機としては粉 体同士、 粉体と繊維、 或いは繊維同士を混合できる固体混合装置を用いることが できる。 具体的には 「化学工学 II」 (大山義年、 岩波全書、 1 9 6 3、 2 2 9頁)
に詳述されている、 例えば、 円筒型混合機、 V型混合機、 二重円錐型混合機、 正 立方体型混合機等の回転型混合機、 スクリュー型混合機、 リボン型混合機、 回転 円板型混合機、 流動化型混合機等の固定型混合機等が挙げられる。
( 1 - 2 ) 同時混合法
繊維の供給位置を工夫することにより、複合体 Aの製造工程で実質的に本発明 の吸水性樹脂複合体組成物を得ることができる。 即ち、 モノマーの重合率が低い 段階で繊維と接触させると複合体 B含有組成物が得られ、モノマーの重合率が高 い段階で接触させると複合体 C含有組成物が得られる。
或いはまた、重合進行中の高吸水性樹脂或いは吸水性^脂複合体中の高吸水性 樹脂と実質的に接触しない方法で吸水性樹脂複合体製造時に繊維を供給、 混合、 分散させることによっても自由繊維を含有する組成物が得られる。
( 1 - 3 ) 圧密法
圧密は、 圧力、 温度、 湿度等の条件を適宜調整しながら行う。 例えば、 プレス 機は、 平板プレス機、 ロールプレス機等を使用することができる。 圧力は、 吸水 性樹脂粒子が割れない範囲内であれば構わない。 吸水性樹脂粒子が割れると、 割 れた粒子片が繊維から離脱して最終製品である吸収性物品から漏れたり、膨潤時 に吸水ゲルが轉維から外れて漏れたり移動したりして、吸収性物品の性能を低下 させることとなる。
また、圧密過程で加熱する場合は、使用する繊維の溶融点以下の温度に加熱す ることができる。 溶融点以上で加熱すると、 繊維同士が結着してネットワークを 形成して、 複合体の機能が損なわれる。
圧密過程で加湿する場合は、 吸水性樹脂複合体組成物に水を噴霧したり、 蒸気 として供給することができる。 加湿条件により、 糸且成物の密度を向上させ、 吸水 性樹脂粒子の繊維への固着性を改善することができる。
2 . 吸水性樹脂複合体組成物の開繊
吸水性樹脂複合体組成物は、構成成分自体が互いに独立しているため、 前記の 複合体 A同様、 容易に開繊可能である。 開繊には、 前記、 繊維の説明で述べた開
繊方法を同様に適宜用いることができるが、機械的衝撃により高吸水性樹脂が破 損しない装置、 条件が好ましい。
3. 残存モノマー量低減化法
本発明の吸水性樹脂複合体組成物の残存モノマー量を低減させるにほ、前記の 吸水性樹脂複合体の製造方法で述べた、残存モノマーが低減化された吸水性樹脂 複合体を用レヽる方法が挙げられるが、組成物に対しても同様にこれらの残存モノ マー量低減方法を用いることができ、 具体的手法や添加濃度等の量関係、 その他 の条件についても前述と同様である。 · [VI] 本発明の吸収性物品
1. 吸水性樹脂複合体およびその糸耳成物からの製造
上記の本発明の吸水性樹脂複合体およぴその組成物は紙おむつ、生理ナプキン のような衛生材料おょぴ他の吸収性物品のような工業材料に好適である。特に本 発明の吸水性樹脂複合体は、 特開昭 63-267370号公報、 特開昭 63一 1 0667号公報、 特開昭 63— 295251号公報、 特開昭 63— 270801 号公報、 特開昭 63— 294716号公報、 特開昭 64— 64602号公報、 特 開平 1一 231940号公報、 特開平 1—243927号公報、 特開平 2— 30 522号公報、 特開平 2— 153731号公報、 特開平 3— 21385号公報、 特開平 4 -133728号公報、特開平 11— 156188号公報等に提案され ているシート状吸水材に利用されている技術を適宜目的に応じて用いることも できる。
2. 吸収性物品の構成
本発明の吸収性物品は、好ましくは拡散層および吸収貯蔵層を含む吸収体を有 する。 以下に、 吸収体、 拡散層、 吸収貯蔵層について説明する。
(2-1) 吸収体
吸収体は、 後述する拡散層と吸収貯蔵層とを必須の層として含む。 拡散層と吸 収貯蔵層の間に透水層などの第三層を挟んでも良い。 もちろん拡散層と吸収貯蔵
層が複数層であっても良い。
吸収体は、衛生材料等に使用したときには、装着感が少なく煩わしさを感じず、 携帯した場合にも嵩張らない為にも薄い方が好ましい。 厚さとしては 0 . 4〜2 O mmが好ましく、 0 . 4〜1 O mmがさらに好ましい。 また吸収対は、 使用者 の体型にフィットし、 動きに対しても追従できる剛軟性を確保する必要がある。 剛軟性としては、 J I S L 1 0 9 6で測定して、 6〜 9 . 5 c mが好ましい。 薄型化した衛生材料等を製造した場合、復元力によりパッケージを破裂させたり、 使用者がパッケージを開けたときに厚みが増大したりして、初期の厚みを大幅に 越える形状となり、 装着感が悪くなる為、 吸収対は長期にわたって高い形状安定 性を維持する必要がある。 復元率としては、 実施例に記載される方法で測定した 値が 0〜 5 0 %であることが好まレぃ。 吸収対が液体をゆつくり吸水し、 圧力を カけると液体が放出されるような場合は、 装着者が違和感を感じたり、 長時間液 体に肌がさらされてかぶれたりする。 また吸水性複合体が効率良く使用されるこ とで吸収量をァップできる為、吸水速度は実施例に記载する方法で 3回とも 5秒 以下であり、 放水量は実施例に記載する方法で 3回とも 1 0 g以下であり、 且つ 3回の合計が 2 4 g以下であることが好ましい。
( 2 - 2 ) 拡散層 ·
拡散層は、液体吸収場所から迅速に吸収性物品全体、 特に吸収貯蔵層内の全体 に液体を分配すると共に、 外部から圧力を受けた場合、 一時的に液体を保持する 能力を有することが望ましい。 拡散層としては、 吸収貯蔵層の X Y平面上を液体 が容易に拡散するために、 その液体拡散速度を求め、 最適な基材を選択すること ができる。
拡散層の液体拡散速度は、拡散層を拡散する液体の拡散面積を吸収時間で除す ることで求めらる。本発明において、拡散層の液体拡散速度は速い方が好ましく、 1 0 c m2/秒以上であることが好ましく、 2 0 c m2Z秒以上であることが好ま しく、 さらに好ましくは 3 0 C m2Z秒以上である。 拡散層の液体拡散速度が低 いということは液体吸収速度が低 ヽということであり、 また効率良く吸収性物品
全体、 特に吸収貯蔵層全体に液体を拡散させることができず、 例えば衛生材料の 場合、 吸収' 1·生物品使用者は長時間液体と肌が触れることになり、 不快感を感じる ことになる。 拡散層の液体拡散速度は、 通常 1 0 0 c m2Z秒以下である。
これらの条件を満たす最適な基材として、 繊維状、 スポンジ状、 フィルム状の 形状をしたものが使用できるが、 特に繊維状のものが好ましい。 繊維としては、 '合成繊維、 天然繊維、 半合成繊維、 無機 維などを用いることができる。
繊維の機械的性状として、 繊維の平均径は 0 . 1〜 5 0 μ mが好ましい。 平均 長さは、 0 . 0 1〜1 0 c mが好ましい。 形状は直線状、 波状、 コイル状、 枝毛 状、 ループ状、 星状等を使用できる。 機械性状は後述する吸収体にした場合の厚 み、 柔軟性、 復元率、 吸水速度等の好ましい範囲に収まる性状を有するものが好 ましい。 ,
さらに繊維の化学的性状として、 親水性繊維としては、 例えば、 パルプ、 レー ヨン、 木綿、 再生セルロースその他のセルロース系繊維、 ポリアミド系、 ポリビ ニルアルコール系等の親水性繊維が使用できる。 特に衛生材料の用途には、 皮膚 に対する低刺激性、 柔軟な感触の面から、 親水性繊維の中でも、 パルプを使用し たティッシュ等が好ましい。 ティッシュを用いた場合は、 多数回の液体を拡散す る場合に崩壊してはならないので少なくとも、 J I S P 4 5 0 1で測定した 「ほぐれやすさ」 力 1 0 0秒以上が好ましく、 1 5 0秒以上が好ましく、 2 0 0秒以上ないし全くほぐれないが最も好ましレ、。
—方、 疎水性繊維としては、 例えば、 ポリエステル系、 ポリエチレン系、 ポリ プロピレン系、'ポリスチレン系、 ポリアミド系、 ポリビュルアルコール系、 ポリ 塩化ビュル系、 ポリ塩化ピリエデン系、 ポリアクリロニトリル系、 ポリ尿素系、 ポリウレタン系、 ポリフルォロエチレン系、 ポリシアン化ビニリデン系繊維が選 ばれる。 これらのうち 2つ以上の組み合わせで混合した繊維も使用できる。 尚、 疎水性繊維とは、実施例に記載する水の繊維素材表面上における接触角の測定方 法で 9 0 ° 以上を示すものをいう。
繊維は単一の樹脂から作ることもできるが、 2種以上の樹脂から作られた繊維
を使用することも可能である。 例えば、 1つの樹脂からなるコア繊維を異なった 樹脂製の熱可塑性シースの中に包み込んだ熱可塑性繊維も使用可能である。本発 明で使用される 2種類の樹脂を組み合わせたシース Zコア繊維として、 ポリェチ レン/ポリプロピレン、 ポリ酢酸ェチル zポリプロピレン、 ポリエチレン ポリ エステル、 ポリプロピレン/ポリエステル、 ポリエステル共重合体/ポリエステ ル等が挙げられる。 特に好適なものは、 ポリプロピレンもしくはポリエステルの コア、 ポリエステル共重合体もしくはポリエチレンのシースでできた繊維である。 拡散層に用いる繊維基材としては、 液体の拡散能力、 および一時的な液体保持 能力を有すればいずれの素材でも構わないが、 通常疎水性繊維が好ましい。 疎水 性繊維は、 液体が透過した時点で、 基材の吸液する前後で弾性が変化しない、 常 に液体の流路が保持され、次に液体がきたときもスムーズに液体を拡散すること ができる。 一方、 パルプのような親水性繊維は、 吸水により繊維自身が膨潤し、 弾性が変化するとともに形状が大きく変化して、次に液体がきたとき液体を十分 に拡散させることができない。 このような性能をもつ基材の選定基準は、使用し ようとする基材を水中に 1 5分間浸漬し、 8 0メッシュの金網上に 1 5分間水切 りした後、見かけの圧縮応力、曲げ応力が 3 Z 4以下になっていないことである。 また繊維基材は、 成形された不織布を使用することが望ましい。 不織布は公知 の製造方法 (繊維がエアレイド法、 ゥエツトレイド法、 水圧連行法、 ステープル 長の繊維カードポンド法、 溶液紡糸法など) によって製造されたものを使用する ことができる。
不.織布の目付け量は 5〜 3 0 0 g /m2が好ましく、 さらに好ましくは 1 0〜 2 0 0 g Zm2である。特に好ましくは 2 0〜: L 5 0 g Zm2であり、最も好まし くは 2 0〜8 0 g Zm2である。 5· g /m2より少ない場合は液体の拡散が十分に できない場合がある。 2 0 0 g /m2を超える場合は風合いが悪くなり、 経済的 にも不利になる。
拡散層の厚さは、 特開平 9一 1 1 7 4 7 0号公報に記載の方法に準じ、 後述の 如く 0 . 2 p s iの圧力下で測定し 厚さとして通常 0 . 2 mm以上、 好ましく
は 0 . 3 mm以上であり、 通常 3 mm以下、 好ましくは 1 . 5 mm以下、 さらに 好ましくは l mm以下である。 この厚さが薄過ぎる場合は、 液体の拡散が十分に できない場合がある。 厚過ぎる場合は薄型化に合わず、 風合いが悪くなる。
( 2 - 3 ) 吸収貯蔵層
本発明に係る吸収貯蔵層は、 吸水性樹脂複合体組成物により形成される。 複合 体 Aを含有するものであることが好ましい。
[VII] 本発明の吸収性物品の製造方法
以下において、 本発明の吸収性物品の製造方法について詳細に説明する。 本発 明の製造方法によれば、 十分な量の液体を迅速に吸収して拡散 ·保持させること ができる吸収性物品を簡便に製造することができる。本発明の製造方法により製 造される吸収性物品は、 柔軟で薄型に成形しうることから、 おむつや生理用品を 始めとする物品に幅広く使用することが可能である。 また、 本発明の製造方法に よれば、繊維屑や吸水性樹脂細粒を発生させることなぐ、 吸水性樹脂の固定性が 良好な吸収性物品を製造することができる。''
本発明の製造方法では、 複合化工程、 回収工程、 乾燥工程および成形工程を必 須ェ程とする。 そこでまず、 これらの必須工程について順に説明した後、 任意ェ 程について説明し、 さらにこれらの工程を組み合わせた製造方法全般について説 明する。
1 . 必須工程
( 1— 1 ) 複合化工程
複合ィ匕工程では、吸水性樹脂を与えるモノマーおよび Zまたは該モノマーの重 合進行物を含有する液滴を気相中で分散させて重合を行わせるとともに、分散さ せた液滴に衝突するように予め開繊された繊維を供給する。 この複合化工程は、 通常は重合槽などの反応器内にて行う。 通常は、 重合槽の上部に設置したモノマ 一供給ノズルに、重合開始剤を含むモノマー水溶液を供給して該ノズルからモノ マー水溶液を液滴状にして放出し、液滴が重合槽内を落下する間に重合を行わせ
つつ、 重合槽内に供給される繊維と接触させて複合化を行う。 詳細については、 上記の本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法の (1— 1 ) から (2— 3 ) の説明 を参照することができる。
複合化工程では、複合体 A〜Cのいずれか 1種のみを選択的に製造してもよい し、 これらの混合物を製造してもよい。 混合物を製造する場合は、 製造条件を適 宜選択して混合物を生成させてもよいし、 2種以上の複合体を個別に製造して混 合することに混合物を得てもよい。
複合体 Aは、 水の吸水性樹脂への導水性、 水の吸収性物品中での拡散性、 吸水 前後の吸収性物品中における吸水性樹脂の固定性が優れた吸収性物品を与え得 る。 吸水速度や拡散速度が速くて、.吸収性物品中において吸水性樹脂粒子が強く 固定されていることが求められる俵い捨ておむつなどの衛生材料に用いる場合 は、 複合体 Aが最も望ましい。
複合体 Bにおいては、吸水性樹脂粒子に包埋されている繊維は吸水性樹脂粒子 への水の導水性を高めるとともに、 吸水前後の吸収性物品中における吸水性樹月旨 粒子の固定性を向上させる作用を持つ。すなわち複合体 Bは、吸水速度が速くて、 吸水性樹脂の吸収性物品中での固定性に優れた吸収性物品を与え得る。
複合体 Cにおいては、 吸水性樹脂粒子の表面に接着している繊維は、 吸収性物 品中での水の拡散性を向上させるとともに吸水時に膨潤により吸水性樹脂粒子 同士が接触し水の流路を妨害するいわゆるゲルブロッキング現象を防止する作 用がある。 すなわち複合体 Cは水の拡散性に優れた吸収性物品を与え得る。
( 1 - 2 ) 回収工程
回収工程は、複合化工程で得られた吸水性樹脂と繊維からなる複合体を集合体 として回収する工程である。 好ましいのは、 集合体を重合槽底部に堆積させ、 集 合体を堆積物として回収する態様である。 具体的には、 重合槽底部にメッシュな どを設置し、 メッシュ下を重合槽内よりも微減圧状態とすることで、集合体をメ ッシュ上に効率的に堆積させて回収することができる。 メッシュ下の減圧度は通 常、 重合槽内部に対して一 1 0 0〜一 1 0 0 0 0 P a程度である。
回収はバッチ操作でも連続操作でも可能であるが、 連続操作が望ましい。 連続 操作では、重合槽底部に設置したメッシュベルト上に集合体を連続的に堆積させ、 集合体を堆積物として連続的に回収する。 例えば、 具体的には、 重合槽底部に集 合体が堆積可能なメッシュベルトを有するバキュームコンベアを設置し、繊維を 空気との混相流で重合槽内へ供給するとともに、バキュームコンベアで重合槽底 部から下方に空気を吸引し、 メッシュベルト上に複合体を堆積させ、 吸水性樹脂 と繊維からなる複合体の集合体を堆積物として連続的に回収する。 この際、 バキ ユームコンベアで吸引回収された空気は微細繊維ゃモノマ一蒸気を多少含むた め、複合ィ匕工程で繊維を供給するための空気としてリサイクルすることが望まし い。
( 1— 3 ) 乾燥工程 ,
乾燥工程は、複合化工程おょぴ回収工程を経て得られた集合体の含水率を下げ る工程である。 通常は、 含水率が 1 0重量%以下になるまで乾燥する。 乾燥温度 は 1 0 0〜 1 5 0 °Cの範囲内に設定することが好ましレ、。 乾燥温度が低すぎると、 乾燥に長時間を要し効率が悪くなる。 また、 乾燥温度が高すぎると、 ポリマー鎖 の切断を招き、集合体中の残存モノマーが増加し、 水可溶分が増加する等の品質 劣化を招く。
また乾燥効率は落ちるものの、相対湿度 5 0 %以上の状態で乾燥処理を行うこ とで乾燥と同時に後述する残存モノマーの処理も行うことができる。
( 1 - 4 ) 成形工程
成形工程は、複合化工程およぴ回収工程を経て得られた吸水性樹脂と繊維から なる集合体を所望の形状にする工程である。 成形は、 圧力、 温度、 湿度などの条 件を適宜調整しながら行うことができる。
成形前または成形中には、製造しようとする吸収性物品に求められる性能に応 じて、集合体にパルプなどの繊維や吸水性樹脂をさらに添加して、 吸水性樹脂と 繊維の含量比を調整してもよい。 通常、 吸水性樹脂に包埋も接着もされることの ない繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比は 9 5 : 5〜5 : 9 5の範囲が好ましい。 よ
り好ましくは 90 : 10〜7 : 93、 さらに好ましく 85 : 15〜: L 0 : 90で ある。 吸水性樹脂の比率が大きすぎるとゲルプロックを起こしゃすく、 逆に吸水 性樹月旨の比率が小さすぎると吸水能力が不十分となる。
成形工程では、 成形後に得られる成形体の密度が通常 0. 20〜0. 85 g/ c m3、
好ましくは 0. 3〜0. 85 gZcm3、 さらに好ましくは 0. 4〜0. 85 cm3になるように成形する。 また、 成形体の厚さが通常 0. 2〜20mm、 好 ましくは 0. 2〜10mm、 さらに好ましくは 0. 2〜 5 mmになるように成形 する。 .
成形工程で加圧する場合は、 例えば、 プレス機は、 平板プレス機、 ロールプレ ス機などを使用することができる。 圧力は吸水性樹脂粒子が、 割れない範囲内で あれば構わない。 吸水性樹脂粒子が割れると、 割れた粒子片が繊維から離脱して 吸収性物品から漏れたり、膨潤時に吸水ゲルが繊維から外れて漏れたり移動した りして、 吸収性物品の性能を低下させることとなる。 ·
成形工程で加熱する場合は、使用する繊維の溶融点以下の温度に加熱すること ができる。 溶融点以上で加熱すると、 繊維同士が結着してネットワークを形成し て、 複合体の機能が損なわれる。 - 成形工程で加湿する場合は、 通常蒸気を用いて加湿する。 加湿条件により、 成 形体の密度を向上させ、吸水性樹脂粒子の繊維への固着性を改善することができ る。
2. 任意の工程
(2— 1) 開繊工程
開繊工程は、複合化工程およぴ回収工程を経て得られた吸水性樹脂と繊維から なる集合体を開繊し、 より小さな集合体または複合体とする工程である。
本発明で得られる複合体は互いに独立しているため、 容易に開繊可能である。 開繊は、 上述の繊維の項で示した開繊方法を用いて行うことができる力 機械的 衝撃により吸水性樹脂粒子が破損しない装置や条件を選択しなければならない。
なお、開繊工程では、集合体の構成物の全てを複合体にまで開繊する必要はなレ、。
( 2 - 2 ) 篩分け工程
開繊処理により、 吸水性樹脂表面に緩く接着された繊維の一部は吸水性樹脂か ら外れる。 篩分け工程では、 複合ィ匕工程で複合化に供されなかった繊維や、 開繊 工程で複合体から外れた繊維などの樹脂に付着していない独立した繊維を複合 体から分離する。分離された繊維は複合化工程または成形工程にリサイクルする ことができる。 篩分けは、 通常用いられている篩分け手段を採用して行うことが できる。
( 2— 3 ) 表面架橋工程 .
表面架橋工程は、 吸水性能を向上させるために、 吸水性樹脂粒子の表面を架橋 剤により架橋させる工程である。 表面架橋剤は、 複合化工程おょぴ回収工程の後 であって、 且つ乾燥工程の前のいずれかの工程で複合体、 集合体または成形体に 付与される。 そして、 通常は乾燥工程における加熱処理で乾燥と同時に架橋反応 を進行させ、 吸水性樹脂粒子の表面に選択的に架橋構造を導入する。 ' 一般に、 粉末状の吸水性樹脂粒子の表面に架橋剤を付与した後、加熱して表面 を架橋することにより樹脂粒子の特性を改良することは公知であり、表面に選択 的に架橋構造が形成される結果、 吸水して膨潤するに際し、膨潤を阻害せずにそ の形状を維持することができるものと考えられている。
(表面架橋剤)
表面架橋剤としては、 N, N, ーメチレンビス (メタ) アクリルアミ ド、 (ポ リ) エチレングリコールビス (メタ) アタリレートなどのモノマーと共重合し得 る多官能化合物や、 グリシジル基を 2個以上有する多価グリシジル化合物などの 力ルポン酸基と反応し得る官能基を複数個有する化合物が好ましく用いられる。 後者の中では、 特に脂肪族多価アルコールポリグリシジルエーテルが好ましい。 具体的には、 エチレングリコールジグリシジルエーテル、 ポリエチレングリコー ルジグリシジルエーテル、 グリセリンジグリシジルエーテル、 グリセリントリグ リシジルエーテル、 ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、 プロピレングリコ
一ルジグリシジルエーテル、 ポリプロピレングリコ一ルジグリシジルエーテル、 ペンタエリスリ トールポリグリシジルエーテルなどを用いるのが好ましい。 これ らは所望ならばいくつかを併用しても良い。 中でも好ましいのはエチレンダリコ 一ルジグリシジルエーテル、グリセリン(ジ、 トリ)グリシジルエーテルである。
(表面架橋剤の付与)
これらの表面架橋剤の使用量は、 複合体に対して通常 0 . 0 0 5〜1重量%、 好ましくは 0 . 1〜0 . 5重量%、より好ましくは 0 . 2〜0 . 5重量0 /0である。 表面架橋剤を使用する際には、 複合体全体に均一に付与されるよ.うに、 水、 エタ ノール、 メタノールなどで希釈した溶液として噴霧することが好ましレ、。 表面架 橋剤溶液の濃度は、 通常 0 . 1〜: L 0重量%、 好ましくは 0 . 1〜1重量%、 よ り好ましくは 0 . 2〜 0 . 5重量%,とする。 表面架橋剤溶液には、 架橋剤の溶解 性や分散性を向上させ、 さらに吸水性樹脂粒子前駆体に適用された際の粒子表面 での 散を促進することなどを目的として、界面活性剤などを含有させてもよい。 表面架橋剤溶液は通常は噴霧器を用いて複合体、集合体または成形体に噴霧す ることができる。 また、 表面架橋剤溶液を収容した槽に下部が浸漬しているロー ルブラシを回転させて、表面架橋剤溶液が付着した面を吸水性樹脂粒子を有する 成形体表面に接触させて塗布する方法を用いてもよレ、。 このとき、 表面架橋剤溶 液をいつたん過剰に付与し、その後に圧搾ロールで吸水性樹脂粒子がつぶれな ヽ 程度に軽く圧搾したり、 風を吹き付けたりして、 余剰の表面架橋剤溶液を除去す るようにしてもよレ、。 この表面架橋剤溶液の付与は室温で行うことができる。
(加熱)
表面架橋剤溶液を付与した複合体は、通常は加熱することにより架橋反応を進 行させる。 加熱は、 表面架橋剤を適用した後ただちに行ってもよいし、 後に行う 乾燥工程において乾燥と同時に行ってもよい。 好ましくは、 表面架橋剤溶液を付 与してから 2分以内に加熱を行う。 それによつて、 架橋剤を実質的に吸水性樹月旨 粒子の表面のみで反応させ、 内部に架橋が形成されるのを抑制しゃすくすること ができる。
加熱条件は、使用する表面架橋剤の種類などにより適宜選択する必要があるが、 通常は 1 0 0 °C以上の温度で 1 0分間以上加熱して架橋反応を進行させる。 この とき、 加熱と同時に吸水性樹脂粒子から水が蒸発して行くため、 加熱中に吸水性 樹脂粒子の内部に架橋剤が浸透して行くのを抑えることができる。 好ましくは、 加熱開始から 1 0分以内に吸水性樹脂粒子の含水率が 1 5重量%以下になるよ うに加熱条件を制御する。 加熱開始から 7分以内、 特に 5分以内に含水率が 1 5 重量%以下になるようにするのがさらに好ましい。
( 2 - 4 ) 予備乾燥工程
予備乾燥工程は、複合ィヒ工程で得られた集合体の含水率を予備的に下げておく ことによって、その後の工程の処理効率を上げるために行う工程である。例えば、 複合化工程、 回収工程、 開繊工程、,篩分工程、 表面架橋工程、 成形工程、 乾燥ェ 程を含む吸収性物品の製造プロセスにおいて、 複合化工程、 回収工程を経て得ら れた吸水性樹脂と繊維からなる集合体を、 開繊処理が可能な含水率レベルまで予 備的に乾燥するために行う。予備乾燥された吸水性樹脂と繊維からなる集合体は、 開繊、 篩分けにより容易に繊維が吸水性樹脂に付着した複合体と、 吸水性樹脂に 付着していない繊維に分離することができる。分離された吸水性樹脂と繊維から なる複合体は、 例えば表面架橋工程に供されたときに、 その表面に余分な繊維が 付着していないため表面架橋材を効率的に吸水性樹脂粒子の表面に施すことが できる。
予備乾燥で得られる複合体を構成する吸水性樹脂粒子の含水率は通常 1 0〜 3 0重量% (含水吸水性樹脂ベース) である。 含水率が低すぎると表面架橋剤が 粒子の表面にしか到達せず所望の吸水性能を得ることができない。 また含水率が 高すぎると開繊処理が困難になる。予備乾燥温度は乾燥工程と同様に通常 1 0 0 〜1 5 0 °Cである。乾燥温度が低すぎると乾燥に長時間を有し効率が悪い。一方、 乾燥温度が高すぎるとポリマー鎖の切断を招いたり、複合体中の残存モノマーが 増加したり、 水可溶分が増加したりするなどの品質劣化を招く。
また乾燥効率は落ちるものの、相対湿度 5 0 %以上の状態で予備乾燥処理を行
うことにより、 予備乾燥と同時に残存モノマーの処理もできる。
(2-5) 残存モノマー量低減化工程
残存モノマー量低減ィ匕工程とは、複合体中に含まれるモノマーの残存量を減ら す工程である。 残存モノマーを処理する方法としては、 1) モノマーの重合を進 行させる方法、 2) モノマーを他の誘導体へ導く方法、 3) モノマーを除去する 方法が挙げられる。 その詳細については、 上記のレドックス重合の (2— 4) の 説明を参照することができる。
(2-6) 添加剤添加工程
複合体には、 目的とする用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添カロ 剤を加えることができる。 これら添加剤としては、. 吸収する液体によ.る吸水性樹 脂の分解、 変質を防止する安定剤、 抗菌剤、 消臭剤、 脱臭剤、 芳香剤、 発泡剤な どを挙げることができる。 これらの材料の具体例、 使用態様、 使用量などについ ては、 上記のレドックス重合の (4— 4) の説明を参照することができる。
(添加時期)
これらの添加剤は、 本発明の製造方法のいずれかの工程において、 目的、 作用 機構に応じ適宜カ卩えられる。 例えば発泡剤は、 吸水性樹脂の重合前または重合中 に添加することが適当である。 人尿安定剤、 人血安定剤、 抗菌剤、 消臭剤、 芳香 剤は複合化工程、 成形工程などで添加可能である。 もちろん予め繊維に施してお くことも可能である。
(2— 7) その他の工程
本発明の製造方法では、 特開昭 63— 267370号公報、 特開昭 63—10 667号公報、 特開昭 63— 295251号公報、 特開昭 63— 270801号 公報、 特開昭 63— 294716号公報、 特開昭 64— 64602号公報、 特開 平 1—231940号公報、 特開平 1一 243927号公報、 特開平 2— 305 22号公報、 特開平 2— 153731号公報、 特開平 3— 21385号公報、 特 開平 4_ 133728号公報、特開平 11— 156188号公報などに提案され ているシート状吸水材に利用されている技術を適用するための工程を、適宜目的
に応じて採用することもできる。
3 . 工程の )i序
本発明の製造方法は、 複合化工程、 回収工程、 乾燥工程および成形工程を必須 工程とする。 必須工程を行う順序は、 複合化工程、 回収工程、 乾燥工程、 成形ェ 程の順である力、、 あるいは、 複合化工程、 回収工程、 成形工程、 乾燥工程の順で あることが好ましい。 本発明では、 これらの必須工程のうちの少なくとも 1工程 を複数回行ってもよレ、。 例えば、 複合化工程、 回収工程、 乾燥工程、 成形工程、 乾燥工程の順に行って、 乾燥工程を 2回実施してもよい。 また、 複合ィ匕工程、 回 収工程、 乾燥工程、 成形工程、 乾燥工程、 成形工程の順に行って、 乾燥工程と成 形工程をそれぞれ 2回ずつ実施してもよい。
また、本発明では、必須工程のうちの 2以上の工程を同時に行っても構わなレ、。 例えば、 成形を行いながら乾燥も行うことによって、 成形工程と乾燥工程を同時 に実施しても構わない。 また、 回収しながら乾燥も行うことによって、 回収工程 と乾燥工程を同時に実施しても構わない。 また、 回収しながら成形まで行うこと によって、 回収工程と成形工程を区切りなく連続的に実施しても構わない。 さら に、回収しながら連続的に成形まで行いつつ乾燥も行うことによって、回収工程、 成形工程、 乾燥工程を同時に実施しても構わない。
このような必須工程の組み合わせは、製造しょうとする吸収性物品の種類や量、 製造環境、 使用しうる設備などを考慮して適宜決定することができる。
本発明の製造方法は、 開繊工程、 篩分け工程、 表面架橋工程、 予備乾燥工程、 残存モノマー量低減化工程、添加剤添加工程などの任意工程を含んでいてもよい。 これらの任意工程は、 必須工程の前後に行ってもよいし、 必須工程と同時に行つ てもよい。
任意工程のうち開繊工程は、少なくとも複合化工程と回収工程を経て得られた 吸水性樹脂と繊維からなる集合体に対して行うことができる。 したがって開繊ェ 程は、複合ィ匕工程と回収工程を経た後に行ってもよいし、複合化工程と回収工程 を経た後さらに乾燥工程または成形工程を経てから行ってもよい。
任意工程のうち篩分け工程は、少なくとも複合ィヒ工程を経た後に行う。例えば、 複合化工程の後、 複合化工程と回収工程を経た後、 複合化工程と回収工程と乾燥 工程を経た後に行うことができる。 好ましいのは、 上記の開繊工程を行った後に 篩分け工程を行う態様である。
任意工程のうち表面架橋工程は、少なくとも複合化工程と回収工程を経て得ら れた吸水性樹脂と繊維からなる集合体に対して行うことができる。 したがって開 繊工程は、 複合ィ匕工程と回収工程を経た後に行ってもよいし、 複合ィ匕工程と回収 工程を経た後さらに成形工程を経てから行ってもよい。 表面架橋工程後には、 乾 燥工程を行って加熱により架橋反応を進行させる。 乾燥工程は、 表面架橋工程の 直後に行ってもよいし、 さらに他の工程を行った後に行ってもよい。
任意工程のうち予備乾燥工程は、少なくとも複合化工程と回収工程を経て得ら れた吸水性樹脂と繊維からなる集合体に対して、乾燥工程を行う前に必要に応じ て行う。 例えば、 回収工程後に開繊工程を行う場合には、 該開繊工程に先だって 予備乾燥工程を行うことが好ましい。
任意工程のうち残存モノマー量低減化工程は、少なくとも複合化工程を経た後 に行う。 例えば、 複合ィ匕工程の後、 複合化工程と回収工程を経た後などに行うこ とができる。 また、 残存モノマー量低減ィ匕工程は他の工程と同時に行うことも可 能である。 例えば、 回収工程を行いながら加熱して残存モノマーの重合を進行さ せることができる。 また、 乾燥工程や予備乾燥工程の際に行う加熱によって、 残 存モノマーの重合を併せて進行させることもできる。
任意工程のうち添加剤添加工程は、必要に応じていずれの段階で行うことも可 能である。 また、 他の工程の中で行っても構わない。 例えば、 複合ィ匕工程の際に 用いる材料の中に添加剤を混合しておくことにより実施してもよいし、表面架橋 工程において表面架橋剤を散布する際に添加剤も同時または前後に散布しても よい。
本発明の製造方法における必須工程と任意工程の順序の具体例を以下に記載 する。 例えば、 複合ィヒ工程、 回収工程、 乾燥工程、 成形工程の順に必須工程を行
う場合は、 表面架橋工程は、 以下に示すように回収工程と乾燥工程の間において 好ましく実施することができる。
複合ィヒ工程一回収工程— A—表面架橋工程— B一乾燥工程一 C一成形工程 このとき、 回収工程と表面架橋工程の間 (上記 A)、 表面架橋工程と乾燥工程の 間 (上記 B )、 乾燥工程と成形工程の間 (上記 C ) のいずれか 1以上のタイミン グで開繊工程を好ましく挿入することができる。 上記 A〜Cの中では、 Aまたは Cのタイミングで開繊工程を行うことがより好ましい。 また、 開繊工程の後には 続けて篩分け工程を好ましく挿入することができる。 さらに、 開繊工程を Aまた は Bのタイミングで行う場合には、該開繊工程の前に予備乾燥工程を行うことが 好ましい。
また、 複合化工程、 回収工程、 成形工程、 乾燥工程の順に必須工程を行う場合 は、 開繊工程は、 以下に示すように回収工程と成形工程の間において好ましく実 施することができる。
複合化工程—回収工程一 D—開繊工程— E—成形工程— F—乾燥工程 開繊工程の前には予備乾燥工程を行っておくことが好ましい。 また、 開繊工程の 後には続けて篩分け工程を好ましく挿入することができる。 また、 回収工程と開 繊工程の間 (上記 D)、 開繊工程と成形工程の間 (上記 E)、 成形工程と乾燥工程 の間 (上記 F ) のいずれか 1以上のタイミングで表面架橋工程を好ましく挿入す ることができる。 D〜Fの中では、 Eのタイミングで表面架橋工程を行うことが より好ましい。
本発明の 造方法における特に好ましい工程順として、 以下の (1 ) 〜 (3 ) を具体例として挙げることができる。
( 1 )複合化工程—回収工程一表面架橋工程—乾燥工程ー開繊工程—篩分け工程 一成形工程
( 2 )複合ィヒ工程一回収工程一予備乾燥工程一開繊工程一篩分け工程一表面架橋 工程一乾燥工程一成形工程
( 3 )複合ィヒ工程一回収工程—予備乾燥工程—開繊工程—篩分け工程一表面架橋
工程一成形工程一乾燥工程
なお、 こ らの具体例において、残存モノマー量低減化工程や添加剤添加工程 は必要に応じて挿入することができる。 また、 これら以外の工程についても、 適 宜必要に応じて挿入することが可能である。
本発明の製造方法によつて製造される吸収性物品は、吸水性樹脂が高密度力つ 高強度に繊維に固定ィ匕されている。 このため、 体液などの液体を迅速に吸収して 吸収性物品全体に拡散させ、 吸収性物品内に保持することができる。 また、 本発 明の製造方法によれば、柔軟性を有する吸収性物品を製造することができるため、 これを使用すれば快適な着用性を有するおむつや生理用品などを提供すること ができる。 さらに本発明の製造方法によれば薄型化した吸収性物品を製造するこ とができるため、 輸送や取り扱い上 コストを削減することができる。 また、 本 発明の製造方法によれば繊維屑や吸水性樹脂細粒を発生させることなく吸収性 物品を製造することができ、 しかも製造される吸収性物品における吸水性樹脂の 固定性が良好である。 このような優れた特徴を有することから、 本発明の吸収性 物品の製造方法はさまざまな分野において広く利用され得る。 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。 以下 の実施例に示す材料、 使用量、 割合、 処理内容、 処理手順等は、 本発明の趣旨を 逸脱しない限り適宜変更することができる。 したがって、本発明の範囲は以下に 示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。 なお、 実施例 1〜 3 1 および比較例 1〜 1 3における重量率、 残存モノマー量、含水率の測定は試験例 1に記載される方法で測定したものである。
<実施例 1 >
5 0 0重量 15 111の酢酸、 4 0 0重量 p p mのプロピオン酸および 1 0 0重量 p p mのダイマー酸を含有する、 高純度アクリル酸 1 0 0重量部に、 2 5重量% の水酸化ナトリウム水溶液 1 3 3 . 3重量部、 蒸留水 3 . 3重量部を加えモノマ
一濃度 50重量%、 中和度 60モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。 該部分中和ァクリル酸水溶液 100重量部に対して架橋剤として N, N ' —メ チレンビスアクリルアミド 0. 14重量部とさらに酸化剤として 31重量%の過 酸化水素水溶液 4. 55重量部を加えて溶液 Xを調製した。 この溶液 Xにモノマ 一に対して鉄換算で 5重量 p pmとなるように塩ィ匕鉄 (III) ·六水和物を重合活 性化剤として加え、 溶液 Aとした。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液 100重量部に対して架橋剤として N,N, ーメチレンビスアクリルアミド 0. 14重量部とさらに還元剤として L —ァスコルビン酸 0. 57重量部を加えて溶液 Yを調製した。 この溶液 Yにモノ マーに対して鉄換算で 5重量 p pmとなるように塩化鉄 (III) ·六水和物を重合 活性化剤としてカロえ、 溶液 Bとした。
調製した溶液 Aと溶液 Bを、 図 1に示した混合装置を用いて混合した。 この混 合装置は、 モノマー溶液の供給配管 21, 22に各々 5本の噴出ノズル 21 a, 22 a力 S 1 c m間隔で設けられたものであり、 このノズル 2 l a, 22 aの内径 は 0. 13mmである。 ノズル 21 a, 22 aから流出する溶液 Aと溶液 Bとの 交差角度 Θ は 30° 、 ノズル先端の距離 dは 4 mmに調節した。 溶液 Aおよび 溶液 Bはそれぞれ液温を 40 °Cに加温して、それぞれ流速 5 mZ秒となるように ポンプで供給した (各 20 m 1 /分)。 溶液 Aおよび溶液 Bは、 それぞれのノズ ル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約 10 mmほど液柱 23を形成し た後、 液滴 24となって重合を進行させながら気相中 (空気中、 温度 50°C) を 落下した。 溶液 Aおよび溶液 Bの合流点から鉛直下方 1. 6mの位置での重合率 を測定した。 結果を表 1に示す。 なお、 実施例 1〜10、 21、 22および比較 例 1、 2における合流点から鉛直下方 1. 6 mの位置までの重合進行物の平均滞 留時間はいずれも 0. 57秒であった。
<実施例 2〉
溶液 X、 Y双方にモノマーに対して鉄換算で 5重量 p pmのかわりに 1重量 p
p mとなるように塩化鉄 (III) ·六水和物を重合活性化剤として加えた以外は実 施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。 ぐ実施例 3 >
溶液 X、 Y双方にモノマーに対して鉄換算で 5重量 p p mのかわりに 1 0重量 p p mとなるように塩化鉄 (III) ·六水和物を重合活性化剤として加えた以外は 実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。
<実施例 4 > .
溶液 X、 Y双方にモノマーに対して鉄換算で塩ィ匕鉄 (III) '六水和物のかわり に塩化鉄 (II) ·四水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例 1と同じ操 作をした。 結果を表 1に示す。 く実施例 5 >
溶液 X、 Y双方にモノマーに対して鉄換算で塩ィ匕鉄 (III) ·六水和物のかわり に硫酸鉄 (III) ·七水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例 1と同じ操 作をした。 結果を表 1に示す。
<実施例 6 >
溶液 X、 Y双方にモノマーに対して鉄換算で塩ィ匕鉄 (III) '六水和物のかわり に硫酸鉄 (II) ·七水和物を重合活性化剤として加えた以外は実施例 1と同じ操 作をした。 結果を表 1に示す。
<実施例 7 >
溶液 X、 Y双方に加えるかわりに、 溶液 Xにのみモノマーに対して鉄換算で 1 0重量 p p mとなるように塩化鉄 (III) ·六水和物を重合活性化剤として加えた 以外は実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。
<実施例 8>
溶液 X、 Y双方に加えるかわりに、 溶液 Υにのみモノマーに対して鉄換算で 1 0重量 p pmとなるように塩ィヒ鉄 (III) ·六水和物を重合活性化剤として加えた 以外は実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。 く実施例 9 >
溶液 X、 Y双方に加えるかわりに、 溶液 Xにのみモノマーに対して鉄換算で 1 0重量 p p mとなるように塩化鉄 (II)♦四水和物を重合活性化剤として加えた 以外は実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。 ;
<実施例 10> ,
溶液 X、 Y双方に加えるかわりに、 溶液 Yにのみモノマーに対して鉄換算で 1 0萬量 p pmとなるように塩化鉄 (II) ·四水和物を重合活性化剤として加えた 以外は実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。 <実施例 11>
50重量 p pmの濃度のプロトァネモニンを含有し、 500重量 p p mの酢酸、 400 p pmのプロピオン酸および 100 p p mのダイマー酸を含有する粗製 アクリル酸 100重量部に、 25重量%の水酸化ナトリウム水溶液 133. 3重 量部、 蒸留水 3. 3重量部を加えモノマー濃度 50重量%、 中和度 60モル0 /0の 部分中和ァクリル酸水溶液を調製した。
該部分中和ァクリル酸水溶液 100重量部に対して架橋剤として N, N, 一メ チレンビスアクリルアミド 0. 14重量部とさらに酸化剤として 31重量%の過 酸化水素水溶液 4. 55重量部を加えて溶液 Xを調製した。 この溶液 Xにモノマ 一に対して鉄換算で 5重量 p pmとなるように塩ィヒ鉄 (III) ·六水和物を抗重合 阻害剤として加え、 溶液 Aとした。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液 100重量部に対して架橋剤とし
て N,N, ーメチレンビスアクリルアミド 0. 1 4重量部とさらに還元剤として L—ァスコルビン酸 0 . 5 7重量部を加えて溶液 Yを調製した。 この溶液 Yにモ ノマーに対して鉄換算で 5重量 p となるように塩ィ匕鉄 (III) '六水和物を抗 重合阻害剤として加え、 溶液 Bとした。
調製した溶液 Aと溶液 Bを、 図 1に示した.ノズルを用いて混合した。 図 1のノ ズルの内径は 0. 1 3 mmであり、各溶液用のノズルは 5本ずつ 1 c m間隔で配 置されている。 ノズルから流出する溶液 Aと溶液 Bとの交差角度は 3 0度、 ノズ ル先端の距離は 4 mmに調節した。溶液 Aおよび溶液 Bはそれぞれ液温を 4 0 °C に加温して、 それぞれ流速 5 mZ秒となるようにポンプで供給した。
溶液 Aおよび溶液 Bは、 それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、 それぞれ約 1 O mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら 気相中 (空気中、 温度 5 0 °C) を落下した。 溶液 Aおよび溶液 Bの合流点から鉛 直下方 2 . 6 mの位置にテフロン (登録商標)製の 2 0 0メッシュの網を設置して 約 1 0 gの重合進行物を得た。 この重合進行物の含水率を測定したところ 4 0重 量%であった。 さらにこの回収したポリマーを直ちに、 内温を 1 5 0 °Cに設定し た温風乾燥機にて 3 0分乾燥させ残存モノマー濃度を測定した。結果を表 2に示 す。 なお、 実施例 1 1〜 2 0および比較例 3〜 1 2における合流点から鉛直下方 2 . 6 mの位置までの重合進行物の平均滞留時間はいずれも 1 . 2秒であった。 <実施例 1 2〉
5 0重量 p p mの濃度のプロトァネモニンのかわりに 5 0 0重量 p p mの濃 度の ]3—ヒドロキシプロピオン酸を含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実 施例 1 1と同じ操作をした。 結果を表 2に示す。 <実施例 1 3 >
5 0重量 ρ p mの濃度のプロトァネモニンのかわりに 5 0 0重量 p p mの濃 度のァセトアルデヒドを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例 1 1と
同じ操作をした。 結果を表 2に示す。 <実施例 14>
50重量 p pmの濃度のプロトァネモニンのかわりに 500重量 p pmの濃 度のベンズアルデヒドを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例 1 1と 同じ操作をした。 結果を表 2に示す。
<実施例 15> '
50重量!) pmの濃度のプロトァネモニンのかわりに 500重量 p pmの濃 度のフルフラールを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例 1 1と同じ 操作をした。 結果を表 2に示す。 . ぐ実施例 16 >
50重量 p pmの濃度のプロトァネモニンのかわりに 500重量 p pmの濃 度の無水マレイン酸を含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例 1 1と同 じ操作をした。 結果を表 2に示す。
<実施例 17>
50重量!) p mの濃度のプロトァネモニンのかわりに 100重量!) p mの濃 度のヒドロキノンを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例 1 1と同じ 操作をした。 結果を表 2に示す。 く実施例 18>
50重量 p pmの濃度のプロトァネモニンのかわりに 1000重量 p pmの 濃度の MQを含有する粗製アクリル酸を用いた以外は実施例 1 1と同じ操作を した。 結果を表 2に示す。
<実施例 1 9 >
Lーァスコルビン酸のかわりに Lーァスコルビン酸ナトリゥムを用いた以外 は実施例 1 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。 <実施例 2 0 >
Lーァスコルビン酸のかわりにエリソルビン酸を用いた以外は実施例 1 1と 同じ操作をした。 結果を表 1に示す。
<実施例 2 1 > . .
5 0 0重量 111の酢酸、 4 0 0 p p mのプロピオン酸および 1 0 0 p p mの ダイマー酸を含有する、 高純度アクリル酸 1 0 0重量部に、 2 5重量%の水酸化 ナトリウム水溶液 1 3 3 . 3重量部、 蒸留水 3 . 3重量部を加えモノマー濃度 5 0重量%、 中和度 6 0モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。
該部分中和アクリル酸水溶液 1 0 0重量部に対して、 架橋剤として N, N ' — メチレンビスアクリルアミド 0. 1 4重量部とさらに酸化剤として 3 1重量0 /0の 過酸化水素水溶液 4. 5 5重量部を加えて溶液 Xを調製した。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液 1 0 0重量部に対して架橋剤とし て N, N' —メチレンビスアクリルアミ ド 0 . 1 4重量都とさらに還元剤として L—ァスコルビン酸 0 . 5 7重量部を加えて溶液 Yを調製した。
調製した溶液 Xと溶液 Yを、 図 1に示したノズルを用いて混合した。 図 1のノ ズルの内径は 0 . 1 3 mmであり、各溶液用のノズルは 5本ずつ 1 c m間隔で配 置されている。 ノズルから流出する溶液 Xと溶液 Yとの交差角度は 3 0度、 ノズ ル先端の距離は 4 mmに調節した。溶 およぴ溶液 Yはそれぞれ液温を 4 0 °C に加温して、 それぞれ流速 5 m/秒となるようにポンプで供給した。 溶液 Aお よび溶液 Bは、 それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、 それぞれ約 1 O mmほど液柱を形成した後、 液滴となって重合を進行させながら気相中 (空 気中、 温度 5 0 °C) を落下した。 溶液 Xおよび溶液 Yの合流点から鉛直下方 2 .
6 mの位置にテフロン製の 2 0 0メッシュの網を設置して約 1 0 gの重合進行 物を得た。 この重合進行物の含水率を測定したところ 4 1重量%であった。 併せ てこの位置での重合率も測定したところ 6 0重量。 /。であった。 したがつてこのポ リマーは本発明の残存モノマー量低減化工程の必要条件を満たした重合工程後 のポリマーであるといえる。 この回収した重合進行物のポリマーの乾燥重量に対 して、 残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (III) ·六水和物を金属換算で 1 0 p p mになるように金属換算で 1 0 0重量 p p m水溶液を均一に噴霧し、 常温で 3 0分保持後、 内温を 1 5 0 °Cに設定した温風乾燥機にて 3 0分乾燥させ、 残存 モノマー量および L一ァスコルビン酸量を測定した。 さらに粉末消臭性試験およ ぴゲル消臭性試験を実施した。 結果を表 3に示す。
<実施例 2 2 >
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (III) ·六水和物のかわりに塩化鉄 (II) ·四水和物を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3 に示す。
<実施例 2 3 >
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (III) ·六水和物のかわりに硫酸鉄 (III) ·七水和物を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3 に示す。
<実施例 2 4 >
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (III) ·六水和物のかわりに硫酸鉄 (II) ·七水和物を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3 に示す。
く実施例 2 5〉
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(ΠΙ) ·六水和物のかわりに塩化銅( I ) を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3に示す。 <実施例 2 6 >
. 残存モノマー量低減化剤として塩化鉄(III) ·六水和物のかわりに塩化銅(II) を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3に示す。
<実施例 2 7 > ;
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (III) ·六水和物のかわりに硫酸銅 (II) ·五水和物を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3 に示す。
<実施例 2 8 >
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (III) ·六水和物のかわりに塩化マンガ ン (II) ·四水和物を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3に示す。
<実施例 2 9 >
残存モノマー量低減化剤として塩化鉄 (ΠΙ) ·六水和物のかわりに硫酸マンガ ン (II) ·五水和物を用いること以外、 実施例 2 1と同じ操作をした。 結果を表 3に示す。
<比較例 1 > - 溶液 X、 Y双方とも重合活性ィヒ剤を加えない以外は実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。
<比較例 2>
溶液 X、 Y双方にモノマーに対して鉄換算で 5重量 p pm加えるかわりに 0. 001重量 p pmとなるように塩ィ匕鉄 (I I I) ·六水和物を重合活性化剤とし て加えた以外は実施例 1と同じ操作をした。 結果を表 1に示す。
<比較例 3〜10>
それぞれ、 溶液 X、 Y双方に抗重合阻害剤である塩ィ匕鉄 (III) ·六水和物を加 えない以外は実施例 11〜 18と同じ操作をした。 結果を表 2に示す。
<比較例 11 >
残存モノマー量低減化剤を加えない以外は実施例 21と同じ操作をした。結果 を表 3に示す。
表 1
重合活性化剤 開始剤 結果 : 添加量
鉄化合物種 (鉄として対アクリル酸) 夏合率(%)
(質量 ppm)
実施例 1 1匕鉄 (ΙΗ) /、水 卩物 5 しーァスコルビン酸 72 実施例 2 l 鉄 (III)ノ、 ΤΚ ΙΙ物 1 Lーァスコルビン酸 55 実施例 3 1匕鉄 (ΙΗ) 、水ロ物 10 しーァスコルビン酸 85 実施例 4 塩化鉄 (II)四ス K和物 0 Lーァスコルビン酸 72 実施例 5 硫酸鉄 (HI) J<和物 5 Lーァスコルビン酸 72 実施例 6 fim H¾SX\li N W f«l 0 Lーァスコルピン酸 72 実施例 7 塩化鉄 (m〉六水和物 Xにのみ 10 Lーァスコルビン酸 67 実施例 8 塩化鉄 (m)六水和物 Yにのみ 10 Lーァスコルビン酸 67 実施例 9 塩化鉄 (Π)四水和物 Xにのみ 10 しーァスコルビン酸 67 実施例 10 塩化鉄 (H)四水和物 Υにのみ 10 Lーァスコルビン酸 67 実施例 19 塩化鉄 (m)六水和物 5 Lーァスコルビン酸ナトリウム 71 実施例 20 塩化鉄 αιι)六水和物 5 エリソルピン酸 70 比較例 1 0 しーァスコルビン酸 29 比較例 2 塩化鉄 (III)六水和物 0.001 Lーァスコルビン酸 31
表 2
表 3
残存モノマー低滅 1匕剤 結 果
添加量 残存し 粉末消臭性試験 ゲル消臭性試験
(金属として 残存モノマー量 一 Pス
遷移金属化合物 コルビン酸量
対ポリマー) (fiMppm)
(ft夏 ppm) メチルァミン t-プチルメルカフ'タン メチルァミン 硫化水素 メチルメルカブタン t早軍 ppm) (. fcppm) (S.mppm) ( ppm) (重至 ppmノ ( ¾jpmノ 実施例 21 塩化鉄 (ΠΙ)六水和物 10 150 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 22 塩化鉄 (Π)四水和物 10 150 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 23 硫酸鉄 (IH)七水和物 10 150 500 23 . 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 24 硫酸鉄 (III)七水和物 10 1 50 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 25 塩化銅 (I) 10 160 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 26 塩化銅 (II) 10 1 60 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 27 硫酸銅 (Π)五水和物 10 1 60 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 実施例 28 塩化マンガン (Η)四水和物 10 170 500 23 3. 2 40 0, 9 0. 4 実施例 29 硫酸マンガン (Π)五水和物 10 170 500 23 3. 2 40 0. 9 0. 4 比較例 1 1 21 00 1000 36 5 81 1. 7 0. 8
<実施例 101 >
1) 吸水性^ ¾脂複合体の調製
アタリル酸 100重量部に、 25重量0 /0の水酸化ナトリゥム水溶液 133. 3 重量部、 蒸留水 3. 3重量部を加えモノマー濃度 50重量%、 中和度 60モル% の部分中和ァクリル酸水溶液を調製した。該部分中和ァクリル酸水溶液 100重 量部に対して架橋剤として N, N' —メチレンビスアクリルアミド 0. 14重量 部とさらに酸ィヒ剤として 31重量%の過酸化水素水溶液 4. 55重量部を加えて 溶液 Xを調製した。 この溶液 Xに対して金属換算で l p pmとなるように塩化鉄 (III) ·六水和物を重合活性ィ匕剤として加え、 溶液 Aとした。
これとは別に該部分中和ァクリル酸水溶液 100重量部に対して架橋剤とし て N, N, 一メチレンビスアタリノレアミド 0. 14重量部とさらに還元剤として L -ァスコルビン酸 0. 57重量部を加えて溶液 Yを調製した。 この溶液 Yに対し て金属換算で 1 p pmとなるように塩ィ匕鉄 (III) '六水和物を重合活性化剤とし て加え、 溶液 Bとした。
調製した溶液 Aと溶液 Bを、 図 1に示した混合装置を用いて混合した。 この混 合装置は、 モノマー溶液の供給配管 21, 22に各々 5本の噴出ノズル 21 a, 22 aが 1 cm間隔で設けられたものであり、 このノズル 2 l a, 22 aの内径 は 0. 1 3111111でぁる。 ノズル21 &, 22 aから流出する溶液 Aと溶液 Bとの 交差角度 Θ は 30° 、 ノズル先端の距離 dは 4 mmに調節した。 溶液 Aおよび 溶液 Bはそれぞれ液温を 40 °Cに加温して、それぞれ流速 5 mZ秒となるように ポンプで供給した (各 20ml Z分)。
溶液 Aおよぴ溶液 Bは、 それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、 それぞれ約 1 Ommほど液柱 23を形成した後、液滴 24となって重合を進行さ せながら気相中 (空気中、 温度 50°C) を落下した。 反応器の空間容量とモノマ 一供給量および液滴の落下速度から見積もられる反応器内.の液滴の空間密度は 2 gZm3であった。
一方、 ノズルの先端より下方 0. 8mおよび 1. 6mに設置した供給口より開
繊された繊維を空気との混相流 (繊維:空気 =1 : 100 (重量混合比)) で供 給した。 その際、 混相流中の空気の温度は室温であり、 線速度は 10 mZ秒であ つた。 また、 ノズルの先端より下方 0. 8111ぉょぴ1. 6 mにおける、 モノマー の重合率はそれぞれ 35%および 55%であった。 また、 その際の重合率増加率 はそれぞれ 94 %および 90 %であった。 用いた繊維は、 繊維径 (平均繊維径) が 2. 2デシテックス、長さ (平均繊維長さ)が 2. 5 mmで、水の接触角が 0° のパルプであった。 供給量はそれぞれ 11. 5 gZ分であった。 反応場の空間容 量と.繊維供給量および繊維の落下速度から見積もられる反応場の繊維の空間密 度は 8 g/m3であった。 .
液滴は気相中で繊維と衝突して吸水性樹脂複合体前駆体を形成しノズルの先 端より下方 3mに設置した搬送部分がメッシュベルトであるベルトコンベア一 上に堆積物として回収した。 ここで回収物の含水率は 40重量%であった。 回収 物を庫内温度を 120°Cに設定した温風乾燥機にて 30分乾燥させた後、 回収物 をふるいにかけ、 吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、 吸水性樹脂と 繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、 高吸水性樹脂粒子が略球状であり、 1 個の高吸水性樹脂粒子と 2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、 2本 以上の繊維のうちの 1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとと もに一部が前記樹脂粒子より露出しており、 かつ、 前記 2本以上の繊維のうちの 1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記 樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) であること が確認できた。
2) 高密度化された吸水性樹脂複合体組成物の調製
製造した吸水性樹脂複合体に、吸水性樹脂複合体製造時に用いたものと同じ自 由繊維を所定量カ卩え、 高吸水性樹脂と繊維 (結合繊維 +自由繊維) の乾燥重量比 が 20 : 80となるよう吸水性樹脂複合体組成物を調製した。
即ち、 前述の吸水性樹脂複合体の重量比および、 吸水性樹脂複合体を構成する
結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を用い、 高吸水性樹脂目付量および繊維 (結 合繊維 +自由繊維) と高吸水性樹脂の乾燥重量比が所定の値となるように吸水性 樹脂複合体および自由繊維を混合し、 吸水性樹脂複合体組成物を得た。
例えば複合体 A、 Bおよび Cの乾燥重量比がそれぞれ a、 b、 c (a + b + c = 1)、 各複合体を形成する結合繊維の乾燥重量比率が α、 β、 yである吸水性 樹脂複合体 X [g/m2] と自由繊維 y [ g/m2] 力 ら、 高吸水性樹脂目付量が P [g/m2], 繊維と高吸水性樹脂の乾燥重量比が F [w/w] である吸水性樹 脂複合体組成物 (吸収貯蔵層) を作製するとき、
{a(1— Of〉+b(1—S)+c(1— = P [g/m2] {(a- Of +b« β +c" r )x+y) F [w/w]
{a(1— Qf)+b(1—) 8)+c(1— r)}x の関係が成立し、 a、 b、 c、 α、 13、 y および P、 F が与えられれば、 x、 yは計算することが出来る。
得られた吸水性樹脂複合体組成物を、ステンレス板上に目付量 300 g/m2, 40 c mX 1 0 cmとなるよう均一に敷き詰め、 さらにその上にステンレス板を 重ね、 両側から 0. 6MP aの荷重をかけ、 20分間放置後、 圧力を開放して高 密度化された吸水性樹脂複合体組成物を得た。
3) 吸収性物品の調製
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を用いて下記の手順で吸収性物品で ある、 おむつを作製した。 .
図 6に示す如く、 水不透過性ポリエチレンシート (目付量 18 gZm2) 1 1 上に、 ティッシュ (目付量 l gZm2) 1 2、 高密度化された吸水性樹脂複合 体組成物 (吸水性樹脂が 3 00 gZm2となる量かつ 1 0 cmX 40 c mの大き さ) 1 3、拡散層であるポリエステル繊維製不織布(目付量 40 gZm2) 1 4、 ティッシュ (目付量 1 4 g/m2) 1 5、 および水透過性ポリエステル繊維製不
織布 (目付量 23 gZm2) 16の順に重ね、 両側からステンレス板で挟み 0. 6MP aの をかけ、 20分間放置し、 密着した。 その後、 圧力を開放し、 吸収 性物品の 4辺を熱圧着し、圧着部分の外端を切り出し、 約 10 c m X約 40 c m の吸収性物品 1.を得た。
<実施例 102 >
繊維としてパルプの代わりに、 繊維径が 1. 7デシテックス、 長さが 0. 9m mで、 水の接触角が 80° であるポリエチレンテレフタレート (PET) を用い る以外は実施例 101と同様に製造し、 製造物を得た。 吸水性樹脂複合体を顕微 鏡で観察したところ、実施例 101で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複 合体 (複合体 A) であることが確認.できた。
<実施例 103>
繊維としてパルプの代わりに、 繊維径 1. 7がデシテックス、 長さが 0. 9m mで、水の接触角が 50° であるナイロンを用いる以外は実施例 101と同様に 製造し、 製造物を得た。 吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、 実施例 1 01で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) であることが 確認できた。 <実施例 104>
繊維としてパルプの代わりに、 繊維径が 1. 7デシテックス、 長さが 0. 9 m mで水の接触角が 50° であるナイロンと、 同一の繊維径および長さであり、 水 の接触角が 0° であるレーヨンとの重量比が 1 : 1の繊維混合物を用いる以外は 実施例 101と同様に製造し、 製造物を得た。 吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察 したところ、 実施例 101で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体 (複 合体 A) であることが確認できた。
<実施例 1 0 5 >
繊維としてパルプの代わりに、 繊維径 1 . 7がデシテックス、 長さが 0 . 9 m mで、 水の接触角が 1 0 8 ° であるポリ四フッ化工チレン (P T F E) を用いる 以外は実施例 1 0 1と同様に製造し、 製造物を得た。 吸水性樹脂複合体を顕微鏡 で観察したところ、実施例 1 0 1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合 体 (複合体 A) であることが確認できた。
<実施例 1 0 6 >
ノズルの先端より下方 0 . 8 mに設置した繊維供給口 C みから 2 3 g Z分の速 度で繊維を供給した以外は実施例 1 0 1と同様に製造し、製造物を得た。 吸水性 樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、実施例 1 0 1で得られたものと同様の構 造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) と、 高吸水性樹脂粒子が略球状であり、 1本 以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前 記樹脂粒子より露出しており、 かつ、 前記繊維はいずれも前記樹脂粒子の表面に 接着していない吸水性樹脂複合体 (複合体 B ) と力 らなり、 複合体 Aと複合体 B との乾燥重量比は 3 0 : 7 0であることが確認できた。
<実施例 1 0 7 >
ノズルの先端より下方 1 . 6 mに設置した繊維供給口のみから 2 3 分の速 度で繊維を供給した以外は実施例 1 0 1と同様に製造し、製造物を得た。 吸水性 樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、実施例 1 0 1で得られたものと同様の構 造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) と、 高吸水性樹脂粒子が略球状であり、 1本 以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており、 かつ、 前記 繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合体 (複合体 C) と力 らなり、 複合体 Aと複合体 Cとの乾燥重量比は 2 0 : 8 0であることが 確認できた。
<実翻1 0 8 >
実施例 1 0 1の吸水性樹脂複合体の製造工程において、ベルトコンベア一上で 回収した回収物を恒温恒湿器にて温度 8 5 °C、湿度 9 5 %条件下の蒸気雰囲気に 1時間暴露した。 暴露中の製造物中の含水率は 3 6重量%であった。 さらに庫内 温度を 1 2 0 °Cに設定した温風乾燥機にて 3 0分乾燥させた後、 回収物をふるい にかけ、 吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、 吸水性樹脂と繊維とか らなる吸水性樹脂複合体を得た。 それ以外は実施例 1 0 1と同じ工程により製造 物を得た。
吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、高吸水'!:生樹脂粒子が略球状であ り、 1個の高吸水性樹脂粒子と 2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、 2本以上の繊維のうちの 1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋される とともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、 つ、 前記 2本以上の繊維のう ちの 1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が 前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) である ことが確認できた。 即ち、 実施例 1 0 1で得られた製造物との形態上の差違は見 られなかった。
<実施例 1 0 9 >
実施例 1 0 1の吸水性樹脂複合体の製造工程において、ベルトコンベア一上で 回収した回収物に、 水を噴霧し、 回収物中の吸水性樹脂の含水率が 6 7 %となる ように調整した。その後、水を付与した吸水性樹脂複合体を、庫内温度を 1 2 0 °C に設定した温風乾燥機にて 3 0分乾燥させた後、 回収物をふるいにかけ、 吸水性 樹脂と接触しなかつた自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる吸水性樹 脂複合体を得た。 それ以外は実施例 1 0 1と同じ工程により製造物を得た。
吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、高吸水性樹脂粒子が略球状であ り、 1個の高吸水性樹脂粒子と 2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、 2本以上の繊維のうちの 1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋される
とともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、 力つ、 前記 2本以上の繊維のう ちの 1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が 前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) である ことが確認できた。 即ち、 実施例 1 0 1で得られた製造物との形態上の差違は見 られなかった。
<実施例 1 1 0 >
実施例 1 0 1の吸水性樹脂複合体の製造工程において、ベルトコンベア一上で 回収した回収物に吸水性樹脂複合体乾燥重量に対して 属換算で 2 p p mとな るように塩化鉄 (III) ·六水和物 5 p p m水溶液を嘖霧し、 その後恒温恒湿器に て温度 8 5 °C、湿度 9 5 %条件下の蒸気雰囲気に 1時間暴露した。 暴露中の製造 物中の含水率は 3 6重量%であった。 さらに庫内温度を 1 2 0 °Cに設定した温風 乾燥機にて 3 0分乾燥させた後、 回収物をふるいにかけ、 吸水性樹脂と接触しな かつた自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とカゝらなる吸水性樹脂複合体を得た。 それ以外は実施例 1 0 1と同じ工程により製造物を得た。
吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、高吸水性樹脂粒子が略球状であ り、 1個の高吸水性樹脂粒子と 2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、 2本以上の繊維のうちの 1本以上は繊維の一部が前記樹脂 子内に包埋される とともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、 かつ、 前記 2本以上の繊維のう ちの 1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が 前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) である ことが確認できた。すなわち実施例 1 0 1で得られた製造物との形態上の差違は 見られなかった。 <比較例 1 0 1 >
実施例 1 0 1の吸水性樹脂複合体の製造工程において、溶液 Xおよび溶液 Yに 重合活性化剤として塩ィ匕鉄 (III) ·六水和物を加えないこと以外は全て実施例 1
01と同様に製造し、製造物を得た。 吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察したとこ ろ、 実施例 101で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) であることが確認できた。 <比較例 102>
実施例 101の吸水性樹脂複合体の製造工程において、溶液 Xおよび溶液 Yに 重合活性化剤として塩化鉄 (ΠΙ) ·六水和物を加えず、 ベルトコンベア一上で生 成物を回収し、 回収物を恒温恒湿器にて温度 85°C、 湿度 95%条件下の蒸気雰 囲気に 1時間暴露した。 暴露中の製造物中の含水率は 36重量%であった。 さら に庫内温度を 120°Cに設定した温風乾燥機にて 30分乾燥させた後、回収物を ふるいにかけ、 吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、 吸水性樹脂と繊 維とからなる吸水性樹脂複合体を得た。 それ以外は実施例 101と同じ工程によ り製造物を得た。
吸水性樹脂複合体を顕微鏡で観察したところ、実施例 101で得られたものと 同様の構造の吸水性樹脂複合体 (複合体 A) であることが確認できた。
<比較例 103>
特開昭 63— 63723号公報記載の実施例に準拠して、以下のようにして吸 水性樹脂複合体組成物を製造した。
アクリル酸 45. O gおよび蒸留水 1. 5 gを 20 Om 1のビーカーに秤取り、 35 °C以下の冷却下 25重量%の水酸化ナトリゥム水溶液 60. 0 gで中和し、 部分中和アクリル酸水溶液を得(モノマー濃度 50重量%、中和度 60モル%)、 ここに 41. 9mgの N, N, 一メチレンビスアクリルアミ ドおよび L—ァスコ ルビン酸 0. 31 gを溶解した。 ポリエステルシートで完全に上面をシールした 300mlのステンレス製ビーカーの上面シートに穴を開けゴム管を通して系 内を十分に窒素置換した。前記混合モノマー水溶液を前記ステンレス製ビーカー に注いでからステンレス製ビーカーを 50°Cの浴温に浸し、 攪拌下、 30%過酸
化水素水 0. 84 gを投入し重合を行った。 約 1分後に最高温度 110°Cを示し た。 以後 50°Cの温浴に浸した状態で 2時間保持した後 20°Cまで冷却して、 含 水吸水性樹脂を得た。 この含水吸水性樹脂 70 g (吸水性樹脂 35 g) と水 20 0 gおよび実施例 101で用いたものと同じ開繊されたパルプ 10 gとをスク リュー回転式混合機を用いて約 2時間混練後、 100° (:、 8時間減圧乾燥機にて 乾燥後、 回転羽根式粉砕機にて粉砕し、 さらにふるいにかけ、 自由繊維を除去し て吸水性樹脂複合体組成物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、繊維の一部が吸水性樹脂に包埋されて レヽる構造が確認できた。 しかしながら繊維が前記樹脂粒干内に包埋されることな く、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造は見られなかった。 さらに実施例 101と同じ工程により、高密度化された吸水性樹脂複合体組成 物と吸収性物品を得た。
<比較例 104 >
特開平 11一 93073号公報記載の実施例に準拠して、以下のようにして吸 水性樹脂複合体組成物を製造した。
80重量%アクリル酸水溶液 125重量部および 30重量%水酸化ナトリウ ム水溶液 133重量部を混合して、 中和度 72モル%、 濃度 47重量%の部分中 和アクリル酸水溶液を得た。 該部分中和アクリル酸水溶液に、 架橋剤 N, N' ― メチレンビスアクリルアミド 0. 04重量部と、 開始剤 2, 2, 一ァゾビス (2 —アミジノプロパン) 二塩酸塩 0. 3重量部とを、 蒸留水 13重量部に溶解した ものを加え、 窒素にて脱気し、 モノマー水溶液とした。 実施例 101のノズルの 代わりに一液型スプレーノズルを用レ、、液温を 25°Cに保持し、 流量 A OmlZ 分となるようにポンプで供給した。
モノマー溶液は液滴となって重合を進行させながら気相中 (空気中、 温度 2 5°C) を落下した。 反応器の空間容量とモノマー供給量および液滴の落下速度か ら見積もられる反応器内の液滴の空間密度は 3 gZm3であった。
一方、 ノズルの先端より下方 0 . 8 mに設置した供給口より開繊された繊維を 空気との混相流 (繊維:空気 = 1 : 1 0 0 (重量混合比)) で供給した。 その際、 混相流中の空気の温度は 2 5 °Cであり、 線速度は 1 0 m/秒であった。 また、 ノ ズルの先端より下方 0 . 8 mの重合率は 1 %未満であった。 用いた繊維は、 繊維 径が 2 . 2デシテックス、 長さが 2 . 5 mmで、 水の接触角が 0 ° のパルプであ つた。 供給量は 1 1 . 5 g /分であった。 反応場の空間容量と繊維供給量および 繊維の落下速度から見積もられる反応場の繊維の空間密度は 8 g Zm 3であった。 液滴は気相中で繊維と衝突して吸水性樹脂複合体前駆体を形成し、 ノズルの先 端より下方 3 mに設置した搬送部分がメッシュベルト あるベルトコンベア一 上に堆積物として回収した。 この回収物を 8 0 °Cのオーブンに入れて付着してい るモノマー 7K溶液の重合を 3 0分間行い、 その後 1 4 0 °Cで熱風処理をした。 この回収物をふるいにかけ、 吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去しよ うと試みたが吸水性樹脂が繊維間の接着剤ともなつており、事実上自由繊維はな かった。 このようにして吸水性樹脂と繊維と力 らなる吸水性樹脂複合体を得た。 この製造物を顕微鏡で観察したところ、繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接 着している構造が確認できた。 しかしながら繊維の一部が吸水性樹脂に包埋され ている構造は見られなかった。
さらに実施例 1 0 1と同じ工程により、高密度化された吸水性樹脂複合体組成 物と吸収性物品を得た。
<試験例 1 >
上記実施例および比較例における繊維空間密度、 液滴平均径、 液滴空間密度、 吸水性樹脂複合体の製造に用レヽた繊維の水接触角、吸水性樹脂複合体製造時の繊 維との接触時点でのモノマーの重合率、製造された吸水性樹脂複合体の形態確認、 吸水性樹脂複合体を構成する各複合体の乾燥重量比、吸水性樹脂複合体を構成す る結合繊維と高吸水性樹脂との乾燥重量比、 高吸水性樹脂の吸水能、 残存モノマ 一量、 L—ァスコルビン酸量、 粉末消臭性試験、 ゲル消臭性試験、 含水率、 高吸
水性樹脂の平均粒径、 および吸水性樹脂複合体の開繊性を次の方法により調べ、 結果を表 3〜6に示した。
1) 繊維空間密度
繊維が混相流として共に供給される空気の流れにのって、上から下に移動する と仮定することにより繊維の反応場における滞留量を計算し、 さらにその滞留量 を全反応場の体積で割ることで反応場における繊維の空間密度を計算した。
例えば実施例 101の場合では、 反応場は径 0. 5m、 高さ 3mの空円筒であ り、 反応場における繊維の空間密度は図 2のように計算された。
2) 液滴の平均径 ;
後述する吸水性樹脂複合体を構成する高吸水性樹脂粒子の平均粒径 d pおよ ぴモノマー濃度 ((アクリル酸 +アクリル酸ソーダ) 濃度) Cmから下記式に従い p†^-し /こ。
液滴径 d d = dpZ (cm) 1/3
3) 液滴の空間密度
液滴が、 ノズルからの下向き吐出速度を初速度として、反応場を落下すると仮 定することにより、 液滴の反応場における滞留量を計算し、 さらにその滞留量を 全反応場の体積で割ることで反応場における液滴の空間密度を計算した。
例えば実施例 101の場合では、 反応場は径 0. 5m、 高さ 3mの空円筒であ り、 反応場における液滴の空間密度は図 3のように計算された。
4) 繊維の水接触角
(1) 用いた繊維を溶解、 分散可能な溶媒を用いて濃度が 1〜10重量%の溶 液を調製した。
(2) その溶液を薄くシャーレに展開し、 室温で、 乾燥空気により穏やかに溶 媒を蒸発させ、 十分乾燥後、 薄く展開したフィルム状成型物を得た。
(3) そのフィルム状成型物の空気表面に対する、 常温での蒸留水の接触角を 求めた。 接触角は自動接触角計 CA— V型 (協和界面科学 (株) 製) を用いて測 定した。
5) 繊維との接触位置におけるモノマー重合率
( 1 ) 繊維を導入する位置にメタノールの液面が位置するように約 150 gの メタノールの入ったビーカーを設置し、重合を開始させた反応混合物の液滴を気 相中で形成し、 ビーカー中のメタノールへ約 1 gの重合進行中の液滴が落下する ようにした。
. (2) メタノール中のモノマー量を液体クロマトグラフィーで測定した。
(3) メタノール中のポリマーを 130°Cで 3時間減圧乾燥した後、 重量を測 定した。
(4) それぞれの重量から以下の式により重合率を計等した (Mpはポリマー 重量、 Mmはモノマー重量)。
重合率 (%) = X 100
6) 形態確認
( 1 ) 吸水性樹脂複合体を走査型電子顕微鏡により 20〜 20000倍に拡大 して観察することにより繊維の一部が該樹脂内部に包埋され、その繊維の一部が 該樹脂より露出している構造、或いは繊維の該樹脂表面への接着状況を確認した。
(2) さらにミクロトーム等の精密切削装置により連続的に断面を切削し、 そ の断面を 20〜 20000倍に拡大して観察することによって、繊維の一部が該 樹脂内部に包埋され、 その繊維の一部が該樹脂より露出している構造、 或いは繊 維の該樹脂表面への接着状況を確認した。
7) 各吸水'性樹脂複合体の乾燥重量比
(1) 約 1 gの吸水性樹脂複合体を、 光学顕微鏡を用い、 複合体 A、 複合体 B およぴ複合体 Cに分類した (ここでは、 いずれのサンプルについても自由繊維お よび結合繊維を持たない吸水性樹脂は見られなかつた。 )。
(2) 各複合体の重量を精密天秤で測定し、 各吸水性樹脂複合体の乾燥重量比
を得た。
8) 吸水性樹脂複合体を構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比
前項の各吸水性樹脂複合体の乾燥重量比の測定で分類された、各吸水性樹脂複 合体について、複合体中の吸水性樹脂を選択的に分解させる薬剤を用いて繊維を 単離し、 繊維重量を秤量することによって求めた。
, 具体的には、 複合体 Aに関して、
(1) 前項で得られた複合体 Aの重量を Wcとした。 50mlの密閉ガラス容 器にこの吸水性樹脂複合体 Aを仕込み、 25 gの蒸留水に 0. 03 §の _ァス コルビン酸を溶解させた水溶液を加えて膨潤させ、 4 O で 24時間保持した。
(2) その後、 80°Cで 3時間減圧乾燥した恒量値になった濾紙でガラス容器 の内容物を到達真空度 10〜25 m.mHgのァスピレーターで吸引濾別し、濾紙 上の繊維を十分水洗し、 100°Cで 5時間乾燥して精秤し、その値を Wiとした。
(3) 下記式により複合体 Aを構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を 得た。
結合繊維:吸水性樹脂 (乾燥重量比) =Wf : (Wc-Wf )
9) 高吸水性樹脂の吸水能
200 Om 1のビーカーに濃度 0. 9重量%の生理食塩水 1, 000 m 1を入 れた。 250メッシュのナイロン袋 (10 c mX 20 c mの大きさ) に吸水性樹 脂複合体約 1. O g入れて、 袋ごと上記生理食塩水中に 30分間浸漬した。 次い で、 ナイロン袋を引き上げ、 15分間水切りをした後の重量を測定し、 これを W 1 (g) とした。 また、 ブランクとして、 W1の測定に用いた吸水性樹脂複合体 に含まれる繊維の重量と同じ重量の繊維を用意して、その生理食塩水吸収後の重 量を W1と同じ方法により測定し、 これを W2 (g) とした。 W1の測定に用い た吸水性樹脂複合体に含まれる高吸水性樹脂の重量を前項と同じ方法で測定し、 これを W3 (g) とした。 下記式に従って高吸水性樹脂の生理食塩水吸水能を算 出した。
生理食塩水吸水能 (g/g) = -m→2
W3
1 0) 残存モノマー (Lーァスコルビン酸) 量
回収した吸水性樹脂複合体ないし吸水性樹脂複合体組成物 (試料) 中に残存す るモノマー (あるいは Lーァスコルビン酸) 量は以下の方法で求めた。
( 1 ) 約 1 gの試料を精秤し、 2 5 0m lの蒸留水中に 24時間浸漬し、 残存 モノマー (Lーァスコルビン酸) を水相に抽出した。
(2) この抽出水を孔径 0. 4 5 μπιのセルロースァ テート製のメンブラン フィルターで濾過し、濾液を回収した。回収した濾液の中に含まれるモノマー(L ーァスコルビン酸) 量を、 水系のカラムを備えた液体クロマトグラフィーを用い て求め、 以下の式に従い残存モノマー量 (p pm) を計算した。
抽出されたモノマー (L—ァスコルビン酸) 重量 (g)
X 1,000, 000 試料重量 (g) 1 1) 粉末消臭性試験
容量約 500m lのガラス製容器の底にポリマー 1 gを入れ、 さらに悪臭物質 である t一プチルメルカプタン 0. 1重量%水溶液をシリンジにて 40 0 μ 1注 入し、密栓をして室温で 3 0時間放置し、ガステック製、検知管式気体測定器(検 知管 7 0 L) を用いて容器内気相の t一プチルメルカブタン濃度を測定した。 また、 t—ブチルメルカプタン 0. 1重量0 /0水溶液のかわりにメチルァミン 0. 1 %重量水溶液を用い、検知管 70 Lのかわりに検知管 1 8 0を用いて同様の測 定を行った。
1 2) ゲル消臭性試験
ポリマー 4 gをコットン製不織布 (日付: 1 5 0 g/m 大きさ 1 cmX 8 cm) の上に均一に散布した。 さらに本不織布の上に同素材、 同サイズのコット
ン製不織布を被せ、 簡易的な吸液パッドを作製した。 これを 25 Omlのふた付 きガラス容器に入れ、 人尿 (成人 5名の人尿を混合) を 100 g吸収させた後、 ふたをして 40°C24時間保持し、 ガステック製検知管式気体測定器 (メチルァ ミン:検知管 180、 硫化水素:検知管 4LT、 メチルメルカプタン、 検知管 7 0 L) を用いて容器内気相のメチルァミン、硫化水素およぴメチルメルカプタン 濃度を測定した。
13) 吸水性樹脂複合体の含水率
吸水性樹脂複合体約 7 gを用い、 赤外線水分計 ((株) ケット科学研究所製 F D— 100、 乾燥熱源: 280W環状セラミック溶射シ―ズヒーター) により、 吸水性樹脂複合体の含水率 (湿潤状態基準) を得た。
14) 高吸水性樹脂粒子の平均粒径.
吸水性樹脂複合体の光学顕微鏡写真を撮影し、複合体を構成する 100個の高 吸水性樹脂粒子 (高吸水性樹脂粒子はいずれも略球状であった。) を任意に選定 してそれらの直径を測定し、 その個数基準の平均値を平均粒径とした。
15) 吸水性樹脂複合体の開繊性
(1) 約 5 gの吸水性樹脂複合体をアッシュフォード社製の 1対のハンド力 ーダー (22 cmX 12. 5 cm) の間にはさみ、 手動により 5回梳毛した。
(2) 梳毛のしゃすさと、 梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損状況により以下の 様に 3段階に評価した。 .
〇:梳毛しやすく、 かつ梳毛後の吸水性樹脂粒子にほとんど破損がない。
△:梳毛に抵抗感がぁり、梳毛すると、梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損がある。
X:梳毛できない程度に抵抗感が強いか、 或いは梳毛に強い抵抗感があり、 梳 毛する
と、 梳毛後の吸水性樹月旨粒子の破損が著しい。 ぐ試験例 2 >
実施例およぴ比較例で調製した高密度化された吸水性樹脂複合体組成物の厚
み、 嵩密度、 剛軟性および復元率を以下の手順で測定した。 結果を表 4〜 6に示 した。 '
1) 厚み
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を 5 c mX 5 c mに切り出し、 J I S 1 - 1096に準拠して、 図 4に示す方法で厚みを測定した。
. (1) レオメーター (FUDOH社製品、 型番: NRM— 2003 J) に直径 30mmのアダプター 31を取り付けてサンプル台 32が 2 c m/m i nの速 度で上昇し、 0. 2 p s iの圧力がかかった時点で停止するようにセットした。
, (2) サンプル (高密度化された吸水性樹脂複合体組成物) 33を測定台にセ ットしてサンプル台 32を上昇させて 0. 2 p s iの圧力になって停止した位置 でのアダプター 31の上面からサンプル台 32の下面までの距離 tをノギスを 用いて測定した。
(3) サンプルは 5枚測定し、 その平均値を求めた。
(4) サンプルをサンプル台 32に乗せずにブランク測定も同時に行った。
(5) 厚みは下記式から求めた。
厚み (mm) =サンプル測定値 (mm) —ブランク測定値 (mm)
2) 嵩密度
高密度された吸水性樹脂複合体組成物を 5 cmX 5 cmに切り出し、その重量 を測定し、 下記式から嵩密度を求めた。 サンプルは 5枚測定し、 その平均値を求 めた。 サンプル重量 (g)
嵩密度 (gん md) =
サンフ。ル厚み (cm) Xサンフ°ル面積 (cm2)
3) 剛軟性
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を 2 cmX 25 cmに切り出し、温度 25 °C、湿度 50 °Cに一昼夜保管後、 図 5に示す J I S L— 1096の比較的 柔らかレ、織物に使用されるハートループ法を用レ、て剛軟性を測定した。
(1) 図 5に示される水平棒のつかみ 41にサンプル片 42をハートループ状 に取り付け、 サンプゾレ片 42の有効長が 20 cmとなるようにした。
(2) 1分間経過してから水平棒の頂部とループの最下点との距離 L (cm) を測定した。 ここでは Lを剛軟性と定義した。 サンプルは 5枚測定し、 その平均 値を求めた。
4) 復元率
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を 5 cniX 5 cmに切り出し、 10M P aの圧力を 10分間かけて圧縮した後、 圧力を開放し、得られた圧密された吸 収体を上記厚み測定法に基き、 圧縮直後および圧力開放 態で温度 25°C、 湿度 50°C条件下 0日間保管した後の厚みを測定し、 下記式によって算出した。 サ ンプルは 5枚測定し、 その平均値を求めた。 泡— + 圧縮開放 30日後の厚み一圧縮開放直後の厚み (mm)
7Z M - ― 圧縮開放直後の厚み (mm) 1ϋϋ
く試験例 3〉
実施例および比較例で得られた吸収性物品に関し、 吸水速度および放水量、 高 吸水性樹脂脱落率、 およびゲル脱落率を以下の手順で測定した。 結果を表 4〜6 に示した。
なお、吸収性物品の評価に用いた人工尿は、以下の組成で調製したものである。 <人工尿組成 >
尿素 1. 94重量%
塩化ナトリウム 0. 80重量%
塩化カルシゥム 0. 06重量0 /0
硫酸マグネシウム 0. 11重量%
蒸留水 97. 09重量%
1) 吸水速度おょぴ放水量
吸収性物品を 10 c mX 40 c mに切り出し、 人工尿を用い、 吸水速度おょぴ 放出量を図 7に示す方法で以下の手順で測定した。
(1) 平面平滑台 51上にサンプル (吸収' I"生物品) 52を置き、 中央に内径 4 Ommの上方が開放された円筒 53が取付けられており、 かつ円筒 53で囲まれ た部分に、直径 5mmの 7箇の貫通孔 54力 Sほぼ等間隔となるように設けられて いるァクリル板 55 (100X 100 X 1 Omm、 全重量 150 g) を置いた。
(2) さらにこ; に直径 10 Ommで中央部に直径 45mmの孔 56 Aのある 金属製円板 56 (1250 g) を円筒 53に挿通して載せた。 円筒 53に人工尿 を 25ml入れ、 これが吸収されるまでの時間をストツ °ウォッチで測定し、 こ れを吸水速度 (秒) とした。
(3) 10分後に円板 56および円筒付きアクリル板 55を取り除き、濾紙(東 ?羊濾紙社製品 「ADVANTEC No. 424」 100 X 100 mm) を 20 枚重ねたものを、サンプル 52の上でァクリル板 55があつた位置と同じ位置に 載せ、 さらに濾紙上に底面積 (l O cmX l O cm) の 4 k gの荷重を載せた。 5分後に荷重を取り除き、濾紙の重量を測定して濾紙に吸収された人工尿量を測 定して放水量 (g) とした。
(4) 上記 (1) 〜 (3) の操作をさらに 2回反復し、 平均値を求めた。 2) 高吸水性樹脂脱落率
(1)吸収性物品を 10 cmX 10 cmの大きさに切り出し(4辺とも開放)、 重量を測定した。 吸収性物品の構成から、 全高吸水性樹脂量を求めた。 図 8に示 す如く、 J I SZ 8801で規定された標準網篩 (内枠の寸法が、 内径 15 Om m、 深さ 45mm、 20メッシュ) 61に切り出した吸収 1"生物品 60の四角をテ ープ 62で中央に固定した。
(2) このようにして、 図 9に示す (株) 東京篠原製作所製品、 型番 S S— S — 228型ロータップ型震とう機 ( J I S Z 8815) 65において、 最上段 にのみ吸収性物品を固定した。
(3) 衝動数: 165回 Z分、 回転数: 290回/分にセットし、 振とう 60
分後に吸収性物品から離脱する吸水性樹脂複合体の重量を測定し、吸水性樹脂複 合体中の高吸水性樹脂の重合割合から脱落した高吸水性樹脂量を求め、下記式か ら脱落率を求めた。 無 - 脱落した高吸水性樹脂量 (g) ^1QQ
脱落率 (%) 一 振とう前の高吸水性樹脂量 (g) X 100 3) ゲル脱落率
吸収性物品をこするように作用する力が反復して加わったときの、吸収性物品 の吸水ゲルの脱落率を以下の手順で測定した。 ;
(1) 前記図 7に示す如く、 面平滑台 51上にサンプル (吸収性物品) 52を 置き、 中央に内径 4 Ommの上方が開放された円筒 53が取付けられており、 か つ円筒 53で囲まれた部分に、直径 5 mmの 7箇の貫通孔 54がほぼ等間隔とな るように設けられているァクリル板 55 (100 X 1 00 X 1 Omm、 全重量 1 50 g) を置いた。 なお、 円板 56は用いなかった。
(2) 人工尿 15 Om 1を円筒 53内に入れ、 吸収性物品に吸水させた。
( 3 ) 完全吸水後 30分間室温下放置して、 図 10に示すように吸収性物品 7 0の中心 71から 5 cmずつのところ 72を切り取り、 切り取った部分 (サンプ ル 73) の重量を測定した。
(4) 測定後、 図 1 1に示す如く、 このサンプル 73を 20 cmX 20 cmの アクリル板 74の中心に載せ、切り取ったサンプルと同じ大きさの底面積 (10 cmX 10 cm) の荷重 (3 Kg) 75を形状に合わせてはみ出さないように载 せた。
(5) 一体サンプルを振とう機 (井内盛栄堂社製品、 型番 「MS— 1」) の移 動方向に対してサンプルの切り口が垂直になるようにセットし、 振幅 5 Omm, 振動数 80回/分で、 30分間振とうさせた。
(6) 振とう後荷重を取り除き、 サンプルから脱落した吸水ゲルの重量を測定 し、 下記式を用いてゲル脱落率を計算した。
n lM ナ 、 押し出されたケ'ル量 (g) ,ΛΛ ケル脱落率 (%) = 押し出される前のゲル X 10Q
表 4.
荑 施 例
lUl ク IU I U *t WQ 繊維種 -/ i j
'ルノ OCT -4- uノ 丁1"ノ/レー ノ
平均繊維長 [mm] η κ
υ
7
吸水性 平均繊維怪 [dtex] n 1 星-/ • 1f·/ 繊維
樹脂 水接触角 Γ ] Λ o onu uu ςη/η I uo o o ο ο o 複合体 空圚密度 [ε m3] o 0 o o o の製造 繊維供給時の重合率 4] 15/40 15/40 15/40 15/40 15/40 平均径 [//m] 500 500 500 500 500 液滴
空間密度 fe/m3! 2 2 2 2 2 吸水性樹脂複合体構成 (Α:Β:0) a量比] 100:0:0 100:0:0 100:0:0 100:0:0 100:0:0 吸水性 高吸水性樹脂粒子の平均粒径 [/im〗 400 400 400 400 400 樹脂
高吸水性樹脂粒子の吸水能 [g/g] 45 45 45 45 45 複合体
残存モノマ-量 tppm] 480 460 470 475
の評価 460 > 開繊性 o O o ο ✓*>
o 組成 (複合体 A:B:G:自由繊維) 〖重量比] 89:0:0:11 89:0:0:11 89:0:0:11 89:0:0:11 89:0:0:11 高密度化
された 吸水性樹脂:繊維 (結合繊維 +自由繊維) [重量比] οϋ:Ζϋ 80:20 8υ:2ϋ 80:20 吸水性 残存モノマー量 [ppm] flu n 4 υ 41U 樹脂 厚さ Lmm] l.U 1.0 1,ΰ l
媳 τ¾含 pa抹 剛軟性 [cm] n
y,U y.u 9.0 9.0 組成物 復元率 [¾】 Q 4Ω
の評価
嵩密度 [s/cm3] 0,375 0.25 0.25 0.25 0.25
—回目 1 1 1 1
吸水速度
二回目 1 1 1 1
(g)
=回目 2 2 2 2
吸水性
一回目 1.9 1.5 1.5 1.5
物品 放水量
二回目 2,1 1.8 1.8 1,8
の評価 (g)
Ξ回目 2.5 1.9 1.9 1.9
高吸水性樹脂脱落率 [%] 0.5 0.0 0.0 0.0 4.0 ゲル脱落率 [%3 0.5 1.0 2.0 2,0 4.0
表 5
実 施 例
106 107 108 109 110 パルプ パルプ パルプ パルプ パルプ 平均繊維長 [mm] 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 吸水性 平均繊維经 Edtex] 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 樹脂 水接触角 V ] 0 0 0 0 0 複合体 突間街度 fe/m33 8 5 8 8 8 の製造 繊維供給時の重合率 [お] 15 40 15/40 15ノ 40 15/40 平均径 [i/m] 500 500 500 500 500 液滴
空 ffl密度 Γίτ/m3] 2 2 2 2 2 吸水性樹脂複合体構成 (A:B:C) [重量比] 30:70:0 20:0:80 100:0-0 100:0:0 100:0:0 吸水性 高吸水性樹脂粒子の平均粒怪 [i m] 400 400 400 400 400 樹脂
高吸水性樹脂粒子の吸水能 [g 45 45 45 45 45 複合体 残存モノマ-量 [ppm] 485
価 475 90 70 50 の評
画性 O O O O o 組成 (複合体 A:B:0:自由繊維) [重量比] 26:62:0:12
!¾·密度化 18:0:70:12 89:0:0:11 89:0:0:11 89:0:0:11 された 吸水性樹脂:繊維 (結合繊維 +き由繊維) [重量比] 80:20 80:20 80:20 80:20 80:20 吸水性 残存モノマ-量 [ppm] 430 420 80 60 45 樹脂 厚 3 Lmm3 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 複合体 剛軟性 [cm] 9.0 9.0 9.0 9.0 9,0 組成物 復元率 [¾] 9 9 9 9
の評価
嵩密度 [β/cm】 0.375 0.375 0.375 0.375 0.375 一回目 1 1 1 1 1 吸水速度
二回目 1 1 1 1 1 (g)
Ξ回目 2 2 2 2 2 吸水性
一回目 1.9 1.9 1.9 1.9 1.9 物品 放水量
の評価 二回目 2.1 2.1 2.1 2.1 2.1
(ε)
Ξ回目 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 高吸水性樹脂脱落率 [%] t.5 0.5 0.5 ' 0.5 0.5 ゲル脱落率 [ ] 0.5 1.5 0.5 0.5 0.5
<実施例 2 0 1 >
本発明の製造方法の具体的な手順を図 1 2の概略図を参照しながら説明する (
114 差替え用紙 (mm
実施例 201の製造方法は、上記の( 1 )の工程順に従って実施したものである。 (複合化工程) '
ァクリル酸 100重量部に、 25重量0 /0の水酸化ナトリウム水溶液 133. 3 重量部、 蒸留水 3. 3重量部を加えモノマー濃度 50重量%、 中和度 60モル% の部分中和ァクリル酸水溶液を調製した。該部分中和ァクリル酸水溶夜 100重 量部に対して架橋剤として Ν, Ν, ーメチレンビスアクリルアミド 0. 14重量 部とさらに酸化剤として 31重量%の
過酸化水素水溶液 4. 55重量部を加えて溶液 Αを調製した。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液 1ひ 0重量部に対して架橋剤として N, N'
—メチレンビスアクリルアミ ド 0. 14重量部とさらに還元剤として L -ァスコノレ ビン酸 0. 57重量部を加えて溶液 Bを調製した。
調製した溶液 Aと溶液 Bを、図 12の重合槽 1の上部に設置したノズルを用い て混合した。 ノズルは図 1に示す構造を有しており、 ノズルの内径は 0. 13m mであり、 各溶液用のノズルは 5本ずつ 1 c m間隔で配置されている。 ノズルか ら流出する溶液 Aと溶液 Bとの交差角度は 30度、 ノズル先端の距離は 4mmに 調節した。 溶液 Aおよび溶液 Bはそれぞれ液温を 40°Cに加温して、 それぞれ流 速 5 m/秒となるようにポンプで供給した。
溶液 Aおよび溶液 Bは、 それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、 それぞれ約 10 mmほど液柱を形成した後、液滴となつて重合を進行させながら 気相中 (空気中、 温度 50°C) を落下した。 反応器の空間容量とモノマー供給量 および液滴の落下速度から見積もられる反応器内の液滴の空間密度は 3 g/m3 であった。
—方、 ノズルの先端より下方 0. 8∞ぉょぴ1. 6mに設置した供給口より開 繊された繊維を空気との混相流で供給した。 その際、 混相流中の空気の温度は室 温であり、 線速度は 10 mZ秒であった。 また、 ノズルの先端より下方 0. 8 m および 1. 6mにおける、 モノマーの転ィヒ率はそれぞれ 15%および 40%であ
つた。 用いた繊維は、 繊維径が 2 . 2デシテックス、 長さが 2 . 5 mmで、 水の 接触角が 0 ° のパルプであった。 供給量はそれぞれ 1 1 . 5 g Z分であった。 反応場の空間容量と繊維供給量および繊維の落下速度から見積もられる反応場 の繊維の空間密度は 6 g /m3であった。 気相中を落下する液滴
は、 このようにして供給された繊維と衝突して複合体を形成しながら落下した。 (回収工程)
複合体は、 ノズルの先端より下方 3 mに設置したバキュームコンベア 2の上に 堆積させた。 バキュームコンベア 2は搬送部分がメッシュベルトになっている。 メッシュ下の減圧度を重合槽 1の内部に対して一 1 0 0 p P aに設定したため、 複合体の飛散を抑えながら効率よくバキュームコンベア 2の上に複合体を堆積 させることができた。 バキュームコンベア 2で吸気した空気は、 重合槽 1内に繊 維を供給する際の混相流を形成するための空気として循環利用した。
(表面架橋工程) "
回収工程で回収した回収物を、 回動するバキュームコンベア 2により表面架橋 剤噴霧槽 3内に搬送し、 そこにおいて表面架橋剤を嘖霧した。 表面架橋剤として エチレングリコールジグリシジルエーテルを用い、 溶媒として水を用い、 表面架 橋剤の濃度は 0 . 5重量%とした。表面架橋剤の噴霧は室温で行った。噴霧量は、 エチレングリコールジグリシジルエーテルが吸水性樹脂粒子に 1 0 0 0重量 p p mとなるように噴霧した。 架橋反応は、 次の乾燥工程において進行させた。 (乾燥工程)
表面架橋剤を嘖霧した回収物は、 さらに回動するバキュームコンベア 2により 表面架橋剤噴霧槽 3の外に搬送し、 乾燥機 4の熱風により乾燥した。 表面架橋剤 を噴霧してから熱風をあて始めるまでの時間は 1分とした。熱風温度は 1 3 0 °C とし、 2分間あてることにより、 回収物の含水率を 1 0重量%以下にした。
(開繊工程)
乾燥した回収物を開繊器 5により開繊した。 開繊は、 多数の針が固定された大 小 2つの回転ドラムの間に繊維塊を通すことで繊維塊を梳毛する電動ドラム力
ーダ一により行った。 本実施例で得られた回収物は、複合体同士が互いに独立し ているため、 容易に開繊することができた。
(篩分け工程)
開繊した回収物を、 開繊器 5の下に設置した篩分け器 6に導き、 篩分けを行つ た。 篩分け器 6による篩い分けは、 2 0メッシュ (目開き 8 5 0 / m) の篩網を 設置した振動篩機 ( 1 0 0 0 c p m) により行った。 篩い分けによって、 複合体 に付着していない繊維が複合体から分離された。 回収された繊維は、 重合槽 1内 に供給する繊維として再利用した。
(成形工程) ;
篩分け工程で得られた複合体を回動するバキュームコンベア 7上に回収し、圧 着機 8に搬送した。 バキュームコンベア 7上に回収する前に、 複合体にさらに吸 水性樹脂およぴ Zまたは繊維を混合して、 吸水性樹脂と繊維の重量比を調節した。 混合する繊維は、篩分け工程で回収された繊維を適宜用いることができるように 設定した。 複合体は圧着機 8により所望の形状に成形し、 最終的に吸水性樹脂と 繊維からなる吸収性物品を得た。 これによつて、 吸水性樹脂に包埋も接着もされ ていない繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比が 3 0 : 7 0であり、 吸水性樹脂の目付 量が 3 0 0 g /m2であり、 密度が 0 . 3 g Z c m3であり、 厚さが 1 . 3 mmで ある吸収†生物品が得られた。
本発明の製造方法によって製造された吸収性物品は、その後に裁断などの工程 を経て最終製品に加工される。裁断などで排出された吸収性物品片は開繊などの 処理を経て、上述の吸収性物品の製造工程のいずれかにリサイクルすることもで さる。
(複合体の構造確認)
回収工程で得られた回収物を構造確認のために取り出してふるいにかけ、吸水 性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維からなる複合体を 得た。 この複合体を顕微鏡で観察したところ、 複合体は 1個の吸水性樹脂粒子と 2本以上の繊維を含んでおり、 前記吸水性樹脂粒子は略球状であり、 前記 2本以
上の繊維のうちの 1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるととも に一部が前記樹脂粒子より露出しており、 かつ、 前記 2本以上の繊維のうちの 1 本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、 その繊維の一部が前記樹 脂粒子の表面に接着している構造を有していることが確認された (図 13)。 上記の製造方法において、 [1] 繊維として用いたパルプの代わりに、 繊維径 が 1. 7デシテックス、 長さが 0. 9mmで、 水の接¾虫角が 80° であるポリエ チレンテレフタレート (PET) を用いた場合、 [2] 繊維として用いたパルプ の代わりに、 繊維径 1. 7がデシテックス、 長さが 0. 9 mmで、 水の接触角が 50° であるナイロンを用いた場合、 [3]繊維として用レ:、たパルプの代わりに、 繊維径が 1. 7デシテックス、 長さが 0. 9 mmで水の接触角が 50。 であるナ ィロンと同一の繊維径ぉよび長さであり、水の接触角が 0 ° であるレーョンの重 量比が 1 : 1の繊維混合物を用いた場合、 [4]繊維として用いたパルプの代わり に、 繊維径 1. 7がデシテックス、 長さが 0. 9 mmで、 水の接触角が 108 ° であるポリ四フッ化工チレン (PTFE) を用いた場合についても、 同様の構造 を有する複合体が得られたことが確認された。
<実施例 202>
実施例 201の製造方法の複合化工程において、 ノズルの先端より下方 0. 8 mに設置した繊維供給口からのみ繊維を供給した点を変更した以外は実施例 2 01と同様にして吸収性物品を製造した。実施例 201と同じ方法で複合体の構 造を確認したところ、 実施例 201と同様の構造を有する複合体 (30%) と、 1個以上の吸水性樹脂粒子と 1本以上の繊維を含んでおり、吸水性樹脂粒子が略 球状であり、 1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されると ともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、 かつ、 前記繊維はいずれも前記樹 脂粒子の表面に接着していない複合体 (図 14) (70%) との混合組成物であ ることが確認された。
<実施例 2 0 3 >
実施例 2 0 1の製造方法の複合ィヒ工程において、 ノズルの先端より下方 1 . 6 πιに設置した繊維供給口からのみ繊維を供給した点を変更した以外は実施例 2 0 1と同様にして吸収性物品を製造した。 実施例 2 0 1と同じ方法で複合体の構 造を確認したところ、 実施例 2 0 1と同様の構造を有する複合体 (2 0 %) と、 1個以上の吸水' I·生樹脂粒子と 1本以上の繊維を含んでおり、吸水性樹脂粒子が略 球状であり、 1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着して おり、 力つ、 前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない複合体 (図 1 5 ) ( 8 0 %) との混合組成物であることが確認され 。 産業上の利用可能性 ,
本発明の遷移金属化合物を用いた方法によれば、 レドックス重合の速度を飛躍 的に向上させることができる。 また、 重合阻害剤を含有するレドックス重合系で あっても、 重合阻害が少なく、 安定した重合挙動が得られる。 さらに方法にした がってレドックス重合を行えば、得られるポリマー中の残存モノマーの量を低減 化することができる。 これらを実施するために、 本発明の重合活性化剤、 抗重合 阻害剤および残存モノマー量低減ィ匕剤を効果的に用いることができる。
また本発明によれば、 残存モノマー量が少なく、 吸水性、 衛生性に優れた吸水 性樹脂複合体および吸水性樹脂複合体組成物が提供され、 この吸水性樹脂複合体 組成物を用いて商品価値の高い吸収性物品を提供することができる。 このとき、 本発明の吸収性物品の製造方法によれば、 十分な量の液体を迅速に吸収して拡 散 ·保持させることができる吸収性物品を簡便に製造することができる。 特に、 本癸明によれば、 残存モノマー量が少なく、 乾燥時だけでなく吸水膨潤時におい ても繊維が高吸水性樹脂粒子に安定的に固定化され、高吸水性樹脂を繊維に対し て高含量で均一に固定可能であり、 柔軟でかつ薄型化が可能であり、 さらには複 合体自身が開繊可能であり、 他の資材と均一混合も可能な、 高吸水性樹脂粒子と 繊維との複合体と、 これを含む組成物が提供され、 このような吸水性樹脂複合体
および吸水性樹脂複合体組成物は、 紙おむつ、 生理用ナプキン等の衛生材料、 産 業用資材等の吸収性物品の構成材料として工業的に極めて有用である。