JP2682576B2 - 吸収材 - Google Patents

吸収材

Info

Publication number
JP2682576B2
JP2682576B2 JP63106713A JP10671388A JP2682576B2 JP 2682576 B2 JP2682576 B2 JP 2682576B2 JP 63106713 A JP63106713 A JP 63106713A JP 10671388 A JP10671388 A JP 10671388A JP 2682576 B2 JP2682576 B2 JP 2682576B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
resin
fibrous
monomer
web
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63106713A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01280075A (ja
Inventor
誠 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Uni Charm Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Uni Charm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd, Uni Charm Corp filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP63106713A priority Critical patent/JP2682576B2/ja
Publication of JPH01280075A publication Critical patent/JPH01280075A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2682576B2 publication Critical patent/JP2682576B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Absorbent Articles And Supports Therefor (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、高吸収性樹脂を含有する使い捨ておむつに
好適な吸収材に関するものであり、さらに詳しくは高吸
収性樹脂に高度の潜在的吸収性能を付与し、しかも多量
の尿を短時間で吸収できる薄くてコンパクトなシート状
の吸収材に関するものである。
「従来の技術」 最近、高吸収性樹脂の普及により使い捨ておむつ等の
いわゆるディスポーザル衛生材料の市場が急速に拡大し
てきた。
使い捨ておむつは、普通、乳児等の使用者の肌に接す
る透水性トップシート、中間に位置する液体吸収保持層
および外側の不透水性バッキングシートから構成されて
いる。従来、前記液体吸収保持層には、粉砕した木材パ
ルプ繊維と微粒子性の高吸収性樹脂とを混合、あるいは
層状に重ね合せた吸収材が使用されてきたが、膨潤時の
形態安定性に劣るため、これに代えて高吸収性樹脂を繊
維基材に固着させた吸収材が提案されている(特開昭59
−1351149号公報等)。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、前記従来の吸収材は、高吸収性樹脂モノマ
ー溶液を繊維ウェブに多量に塗布し、しかる後、重合し
て形成するものであり、繊維基材に付着したモノマー溶
液は、低粘度のため繊維基材一本単独では支えることが
できず、繊維軸に沿って滑り落ち、繊維と繊維の交絡点
あるいは繊維同志の近接点で繊維基材に捕束されて大き
な液滴を形成する。そのため、重合開始剤をモノマー溶
液の液滴表面に噴霧して重合を開始させる重合方式にお
いては、重合反応が液滴内層の中心部まで均一に進ま
ず、吸収性能の低い樹脂しか得られないという大きな欠
点があった。さらに、このようにして形成された樹脂
は、比表面積が小さく尿の吸収速度が遅い、尿に触
れると樹脂表層にゲルが形成され、このゲルのため尿が
内部に浸透しにくい(ゲルブロック)、樹脂を支える
繊維基材または/および周囲の樹脂によって樹脂の膨潤
が妨げられると、尿の吸収を停止する、あるいは風合
が硬くなって乳児等の使用者の肌との密着性に劣る、と
いう多くの欠点を有するものであった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、高吸収
性樹脂の少なくとも一部を微細な繊維状の樹脂によって
構成して柔らかくて吸収性能の良い吸収材を提供するこ
とを課題とするものである。
「課題を解決するための手段」 本発明は、繊維ウェブにアクリル酸系高吸収性樹脂モ
ノマー溶液が付着重合してなる衛生材料用の吸収材にお
いて、前記繊維ウェブの全繊維基材中に繊維表面の繊維
軸方向に沿って形成された溝を有する異形断面繊維が25
重量%以上を占め、前記繊維基材に付着する全高吸収性
樹脂の5%以上が前記溝の形状に倣って繊維状に形成さ
れ、かつ、前記繊維状の高吸収性樹脂の繊度が500デニ
ール以下であることを特徴とする。
以下、本発明を図を用い詳細に説明する。第1図は本
発明の吸収材の製造例を説明するためのものである。繊
維ウェブ1はニップ型コーティングロール2により酸化
還元型(レドックス型)重合開始剤の一方の開始剤およ
び架橋性モノマー等を加えたモノマー溶液3を塗布さ
れ、引続いて他方の開始剤溶液4が噴霧され、次いで60
〜100℃に保たれた重合槽5に導かれる。モノマー溶液
3中に加えられた重合開始剤は、噴霧された他方の開始
剤4と接触してラジカル重合反応を開始させるので、繊
維基材上のモノマー溶液は、発熱を伴いながら液滴の表
層部から重合して数秒で反応を終える。このようにして
得られる高吸収性樹脂6は、水分をおよそ10〜30%含有
する含水重合体であり、未反応の残存酸モノマーを多量
に含むので、このあと電子線7または/および紫外線8
を照射して重合を完成させる。電子線および紫外線の照
射においては、あらかじめ水分を25〜35%に調節する
と、未反応の残存酸モノマーを効率的に低減させること
ができるので、特に電子線照射に引続き紫外線照射を行
う場合、その中間で回転ブラシ9等の適当な手段により
水散布を行い調湿する。なお、第1図中、符号10はヒー
ターであり、11はブロワーである。
このあと、さらに第2図に示すように、カルボン酸基
と反応可能な官能基を分子内に2個以上有する架橋剤の
溶液を回転ブラシ12等の適当な手段で含水重合体に散布
し加熱装置13に導いて100〜200℃で樹脂表面に架橋を形
成せしめ吸収性能を向上させる。
第3図は従来の吸収材における高吸収性樹脂の付着状
態を示す模式図で、図中符号14は繊維基材、15は樹脂部
分を示す。第4図は本発明の吸収材における高吸収性樹
脂の付着状態を説明するもので、図中符号15は従来と同
様な状態で付着した樹脂部分、16は本発明の微細な繊維
状となって付着する樹脂部分を示す。さらに、第5図は
本発明の繊維状の樹脂をさらに詳しく説明するためのも
ので、図中、符号17aは繊維17表面に繊維軸に沿って配
設された溝、18は溝を鋳型にして形成された樹脂を示
す。
前記第4図、第5図に示すように、繊維ウェブに塗布
されたモノマー溶液は毛管作用によって繊維基材表面に
配設された溝を急速に濡れ拡がり、溝の中で重合して繊
維状の樹脂が形成される。
第6図(a)(b)(c)(d)は繊維表面に繊維軸
に沿って連なる溝19aを配設した繊維基材19の前記第5
図に示したもの以外の他の例を示す。
前記溝17aまたは19aに形成された微細な繊維状の樹脂
20は、乾燥すると硬化あるいは収縮して、第7図に示す
ように、繊維基材19の表面に配設した溝19a(17a)から
別れて分離することがあるが、本発明における作用を何
等妨げるものではない。
このように本発明の吸収材は、従来の比較的大きなサ
イズの高吸収性樹脂と、異形断面の繊維の表面に形成さ
れた微細な繊維状高吸収性樹脂の2種類から構成されて
おり、後者の微細な繊維状の樹脂は極めて大きな比表面
積を有しているので、もともと吸収速度の遅い高吸収性
樹脂の欠点を補い、初期吸収速度を特段に向上させる効
果を有する。また、高吸収性樹脂の一部をこのような微
細な繊維状に転換すると、尿が樹脂深層部まで浸透でき
るようになるので、吸収能力も増大する。また、前記構
成によって、さらに吸収材の柔軟性が向上するので、衛
生材料の着用感を向上させる。
このような本発明に於ける微細な繊維状高吸収性樹脂
は、繊度が500デニール以下で、かつ構成比が全樹脂量
に対し5重量%以上であるのが望ましい。本発明の吸収
材がこれらの値を満たさない場合、初期吸収速度の向
上、吸収能力の増大および柔軟化といった優れた効果を
得るのが困難となる。
ここで微細な繊維状高吸収性樹脂の繊度は、顕微鏡写
真から得られる樹脂の断面積A(cm2)と、樹脂の比重
P(g/cm3)とから下式によって求める。
繊度(デニール)=A×9000×P このようにして求めた本発明の吸収材における高吸収
性樹脂の比重P(g/cm3)は、含有する水分にもよる
が、約1.2である。
前記したような本発明で使用する異形断面の繊維は、
紡糸口金孔を工夫して熱可塑性重合体を溶融紡糸すれ
ば、容易に得ることができる。例えば第8図に示す紡糸
口金孔21を用いて、第9図に示す異形断面の繊維22が得
られる。
以上に示す異形断面の繊維17,19は、本発明の態様の
一例であり、勿論これらに限定されるものではない。ま
たこのような異形断面の繊維は、繊維ウェブの主体とな
るベース繊維のみに限定されるものではなく、熱融着剤
を兼ねるバインダー繊維に適用しても良い。
ベース繊維あるいは/およびバインダー繊維を構成す
る異形断面繊維は、必ずしも同一種類である必要はな
く、2種類あるいはそれ以上の異形断面繊維から構成さ
れていても良い。繊維表面に配設する溝の大きさも繊維
間で異なっていても良く、さらに一本の繊維の表面に大
きさも形も異なる溝が配設されていても良い。異形断面
繊維の溝の大きさは、その中で重合して形成される微細
な繊維状高吸収性樹脂の繊度が100デニールを超えない
ようにすれば良い。例えば第10図(a)(b)に示す溝
19aにおいて、曲率半径Rを2〜200×10-3mm、かつ溝19
aの断面積A(斜線部)を2〜10000×10-6mm2の範囲に
選べば、容易に100デニール以下の微細な繊維状樹脂を
得ることができる。なお、ここで溝19aの断面積A(斜
線部)は、隣合う凸部に接線をひき、この接線と溝19a
が形成する部分の面積をいう。
また、本発明に用いる繊維基材の溝の形状に特別な制
限は無い。第11図(a)のように樹脂が埋め込まれるよ
うな形、第11図(b)に示すように、ある程度樹脂が把
持され脱落が抑止されるような形、あるいは第11図
(c)に示すように、樹脂の付着は可能だが、繊維の屈
曲によって容易に樹脂が溝から脱落する形状、のいずれ
であっても良い。なお、図中、符号23は繊維基材を、24
は高吸収性樹脂を示す。
本発明において全繊維基材中に占める異形断面繊維の
構成比は、異形断面繊維が有する溝の数や大きさにもよ
るが、全繊維基材の少なくとも25重量%以上であるのが
望ましい。25重量%に満たない場合は異形断面繊維によ
って形成される微細な繊維状樹脂の量が不足して吸収材
の吸収能力および吸収速度が充分に向上せず、また吸収
材の柔軟化も小さい。
また、本発明では、繊維表面を親水化すると、モノマ
ー溶液が容易に繊維基材に付着し、かつ繊維基材を濡れ
拡がるので、モノマー溶液の塗布を効率的に行うことが
できる。また、繊維基材の表面を親水化すると、吸収材
の中で尿をすばやく濡れ拡がらせ、尿を吸収材の中に多
量に保持することも可能となる。
特に、本発明においては、繊維ウェブに塗布されたモ
ノマー溶液は、繊維表面の親水化によって繊維表面に配
設された溝の中に容易に導かれ、かつ毛管現象の作用で
溝のなかをすばやく濡れ拡がるので、特に好ましい。こ
のような繊維表面の親水化は、湿潤効果の大きい公知の
界面活性剤を繊維表面に塗布すれば、容易に達成するこ
とができる。
例えば、以下のものが挙げられる。
(a)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキル樹脂エステル、ポリオキシエチレンオキシプロ
ピレンブロックポリマー、等のノニオン性界面活性剤 (b)脂肪酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジ
アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級ア
ルコール硫酸エステル塩、等のアニオン性界面活性剤 (c)アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム
塩、等のカチオン性界面活性剤 上記の中でも、ノニオン性界面活性剤群あるいは/お
よびアニオン性界面活性剤群の中から選ばれる1種以上
の界面活性剤の使用が望ましい。
本発明の吸収材を使い捨ておむつのなかに使用する場
合は、尿を繰返し移送、拡散する必要があるので、耐久
性のある親水化が望ましい。このような親水処理剤とし
ては親水基含有型のオリゴマーを使用するのが好適であ
る。ポリエステル繊維に対しては親水基含有型のポリエ
ステルオリゴマーが適用される。この場合、オリゴマー
部の分子量はポリエステル繊維重合体基質との結合およ
び親水化処理液中での分散性を考慮すると、30〜6000の
範囲であるのが好ましい。オリゴマー部は比較的低い温
度で溶融共晶化するように、例えばジカルボン酸成分と
してテレフタル酸およびイソフタル酸を含む共重合体に
するのが良い。親水基としては、水和性ポリオキシアル
キレン基;スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸等から
なる酸性基、またはそれらのイオン化できる塩;窒素性
塩基性塩、またはそれらのイオン化できる塩等が使用可
能であり、中でもポリオキシアルキレン基によるものが
最も良い。耐水性を有する親水基含有オリゴマーは、一
般に湿潤効果がやや劣るので、必要に応じ前述の湿潤効
果の大きな公知の界面活性剤と併用すると好ましい親水
効果が得られる。これら親水化処理剤の付着量は繊維に
対し0.05〜2.0重量%の範囲であれば良い。
繊維表面に繊維軸に沿って配設された溝を有する異形
断面繊維の液体拡散性、即ち溝内毛管現象の効果は、1
辺15cmの正方形(辺の方向はそれぞれ機械方向および巾
方向に一致させる)に裁断した試験片25を、第12図に示
すように、厚さが6mmで密度が0.020〜0.025g/cm3になる
ように試験片25の複層枚数を調節して、メチルメタクリ
レート樹脂板26にはさみ、次いで水平に静置した後、上
側の樹脂板中央にあけた直径3mmの穴27から試験片25に
着色した試験液(生理食塩水;0.9重量%Nacl)1ccを滴
下し8時間後の濡れ拡がりの状態を観察する。このよう
にして測定した場合、本発明における繊維ウェブは、濡
れ拡がりの面積が10cm2以上であるのが望ましい。な
お、図中符号28は着色した試験液で濡れた部分、29は樹
脂板と樹脂板の隙間を調節するスペーサーを示す。
本発明で用いる繊維ウェブは、目付が10〜100g/m2
あるのが好ましい。10g/m2未満では使い捨ておむつ用の
吸収材として必要とされる量の高吸収性樹脂を付着させ
ることが難しい。また100g/m2を超えると経済的に不利
となる。
本発明で用いる繊維ウェブの嵩高性は、繊維基材1g当
りの繊維ウェブ容積cc、即ち比容積(cc/g)で0.8〜2.4
×102(cc/g)であるのが好ましい。というのは、0.8×
102cc/g未満ではモノマー溶液が繊維基材に膜を形成し
て付着するようになり、2.4×102cc/gを超えると得られ
る吸収材の厚みが大きくなりすぎて後工程での取扱いが
難しくなるからである。
本発明の吸収材の骨格に使用する繊維ウェブは、モノ
マー溶液塗布後の嵩の回復、濡れた吸収材からの尿のウ
ェットバック抑止を図かるために優れた嵩高性、圧縮回
復、圧縮弾性が要求される。そこで、本発明の吸収材で
は嵩高、高弾性ベース繊維を主たる構成成分とし、これ
に比較的低温で溶融接着する熱融着型複合紡糸繊維から
なるバインダー繊維を分散混合してカードウェブを形成
し、しかる後ドライな状態で熱処理を施して、いわゆる
乾式不織布の方式で形成した繊維ウェブを用いる。乾式
不織布の方式を採用するのは、この方式が繊維基材の優
れた嵩高、高弾性を損わず、またバインダーに薬剤等を
使用せずに衛生的であるといった特長を有するからであ
る。
ここで、ベース繊維は繊度が2〜20デニール、繊維長
が32〜128mmの範囲にある熱可塑性合成繊維を主成分に
するのが好ましい。具体的にはポリエステル、ポリアミ
ド、ポリプロピレン繊維等のなかから1種以上の熱可塑
性合成繊維を選べば良く、特にポリエステル繊維は繊維
ウェブに大きな空隙と高い圧縮弾性を与えるので最も好
ましい。
繊維ウェブの性能を改良する目的でベース繊維にコッ
トン繊維あるいはレーヨン繊維等の親水性繊維を配合す
ることは勿論可能である。これら親水性繊維の配合によ
り繊維ウェブへのモノマー塗布量の増大を図ることがで
きるが、その量は全繊維基材に対し30重量%以下に抑え
るのが好ましい。これらの繊維は湿潤時の嵩高、圧縮弾
性が低いので配合量が多過ぎるとモノマー溶液塗布液後
の繊維ウェブの嵩の回復が低下し、また濡れた吸収材か
らの尿のウェットバックの抑止が効かなくなるからであ
る。ベース繊維に必要な嵩高、高弾性は繊維断面に中空
部を設け、捲縮数を5〜25ケ/インチの範囲に調節すれ
ば容易に得ることができる。
繊維ウェブの形成にベース繊維と共に用いられるバイ
ンダー繊維は、熱処理によって繊維全体が溶断すると、
繊維ウェブの形態を安定化することができないので、熱
処理において溶融する溶融軟化点の低い重合体成分と溶
融軟化しない重合体成分を組合せた複合紡糸繊維を使用
するのが良い。熱融着型の複合紡糸繊維であれば、芯鞘
型でもサイドバイサイド型でもまたは他のタイプでも良
く、また溶融軟化点の低い重合体成分の軟化点は、他の
重合体成分の軟化点よりも少なくとも30℃以上低ければ
特に制限は無い。このような熱可塑性重合体の組合せの
例としては、例えば、低融点のポリエステル重合体とポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンとポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンとポリアミド、ポリエ
チレンとポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレンとポリアミド等の数
多くの組合せが可能であるが、勿論これらに限定される
ものではない。さらに、これらの組合せのなかから2種
以上の繊維を選んで、バインダー繊維を構成しても良
い。例えば低融点のポリエステル重合体とポリエチレン
テレフタレートからなる複合紡糸繊維およびポリエチレ
ンとポリエチレンテレフタレートとからなる複合紡糸繊
維の組合せを挙げることができる。
ベース繊維にポリエステル繊維を用いる場合は、低融
点のポリエステル重合体とポリエチレンテレフタレート
とからなる複合紡糸繊維を使用すると、熱処理によって
ポリエステル重合体同士が相溶するので嵩高で形態安定
性の良い繊維ウェブを得ることができる。
このような低融点のポリエステル重合体は、繊維形成
性が良好で80〜180℃で溶融軟化するものであれば、特
に制限はされない。即ち、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、P−ヒドロキシ安息香酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュ
ウ酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカル
ボン酸などのジカルボン酸成分とエチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
パンジオールジブタンジオール、ペンタンジオール、ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレ
ングルコールなどのジオール成分とからのポリエステル
で前記溶融軟化点を満足するものを使用することができ
る。繊維製造の容易さおよび繊維物性の点で低融点のポ
リエステル重合体はテレフタル酸、イソフタル酸および
エチレングリコールからの共重合体を用いるのが好まし
い。
複合紡糸繊維の鞘部に配する低融点重合体成分の芯部
に配する重合体への比率は10:90〜90:10であれば良い。
10:90未満では芯鞘型の複合紡糸が難しく90:10を超える
と繊維性能が低下してしまう。
バインダー繊維を細繊度にし、あるいは量を増やし
て、交絡接着点を多くすると、繊維ウェブに優れた寸法
安定性が付与されるが、他方繊維ウェブに必要な嵩と圧
縮弾性が損なわれるので、バインダー繊維は繊度を1.5
〜8デニール、繊度を32〜128mmの範囲にするのが良
い。また、繊維ウェブ中に占めるバインダー繊維の構成
比は、全繊維基材の5〜50重量%の範囲にするのが好ま
しい。バインダー繊維が5重量%に満たない場合、繊維
ウェブの寸法安定性が損われ、他方50重量%を超えると
繊維ウェブに必要な嵩と圧縮弾性が失われる。
本発明における繊維ウェブは、カーディング、エアレ
イング、その他既知の技術を用い、あるいはこれらを組
合せて形成することができる。なかでもカーディングに
よる方法は、大きな空隙と高い圧縮弾性をもつ繊維ウ
ェブを得ることができる、高速で生産性に優れ、かつ
巾広いシートを得ることができる、2層以上のウェブ
シートを容易に積層することができる、目付の調節が
容易である、テイクオフ装置(カードウェブ取り出し
装置)にコンデンシングロール(あるいはコンプレッシ
ョンロール)等を取り付けて個々の繊維基材の配向度を
調節することができる、得られる繊維ウェブが均質で
ある、等多くの長所を有しており最も好ましい。2層以
上の薄いウェブシートを積層し得るカードウェブは極め
て均質なので本発明にとって特に好ましい。
なお、カード開繊機としては既知のローラーカード、
フラットカード等を利用することができる。また、カー
ドウェブの熱処理は熱風がウェブの厚さ方向に貫通する
公知の乾式不織布用エアースルータイプドライヤーを利
用して行うことができる。乾式不織布の方法は、ベース
繊維に比較的低い温度で溶融接着する熱融着性のバイン
ダー繊維を混合分散し、完全にドライな状態で熱処理を
施すので、液状のバインダー薬剤を塗布し、カードウェ
ブを濡らした状態で熱処理する方法に比べると、より大
きな嵩高と高い腰(圧縮弾性)を有する繊維ウェブを形
成することが可能で、皮膚に対する薬剤の安全衛生上の
問題もないという特長を有する。熱処理条件は、温度を
バインダー繊維の低融点重合体の軟化点〜軟化点+80℃
に設定し、エアースルーの熱風速度を0.5〜30m/秒に選
び熱処理時間を1〜30秒の範囲にすれば充分である。
本発明で用いるアクリル酸系高吸収性樹脂モノマー溶
液は、アクリル酸またはアクリル酸とメタクリル酸混合
物との水溶液が好ましく、そのなかでも全カルボキシル
基の20〜95%がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に
部分中和されたものが良い。部分中和度が高過ぎると水
溶液濃度を高くすることが難しく、従って架橋反応が抑
えられて水溶性樹脂部の割合が多くなるため、樹脂表面
に閉塞性のゲル膜を生じるようになり、また、部分中和
度が高過ぎると、膨潤したゲルが弱アルカリ性を示すの
で、安全衛生上好ましくない。そして、逆に、部分中和
度が低過ぎると樹脂の吸収能力が著しく低下してしま
う。アクリル酸系モノマーの中和には、アクリル金属の
水酸化物や重炭酸塩またはアンモニウム塩等を使用する
ことができるが、工業的な入手し易さ、価格、安全性か
ら水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムが好まし
く、なかでも水酸化カリウムはアクリル酸系モノマーの
水溶液濃度を高くすることができるので好適である。こ
れらアクリル酸系モノマー溶液の濃度は、少なくとも35
重量%以上であるのが好ましく、高ければ高い程樹脂重
合度が大きくなり、また繊維ウェブに付着させるモノマ
ー量を増やすことができるので、他に支障の無い限り使
用温度における飽和濃度より少し低目の濃度を採用する
のが好ましい。
本発明の吸収材は、目付10〜100g/m2の繊維ウェブに
実効の尿吸収量(0.5psi圧力下)が1g当り15〜45ccの高
吸収性樹脂を固着させたものであるが、通常使い捨てお
むつ用の吸収材はおよそ巾15cm、長さ40cmの矩形シート
(面積約0.06m2)であり、これに1回約50ccの使用者の
尿を4〜5回繰返し吸収保持させるためには、高吸収性
樹脂の量は繊維ウェブ自重の少なくとも2倍以上が必要
となる。
本発明では架橋剤とアクリル酸系モノマーと共重合可
能な2重結合を分子内に2個以上有する架橋性モノマー
のモノマーに対する0.01〜1.0重量%をモノマー溶液に
加え、分子間架橋を形成させると、膨潤ゲルの形態を安
定にすることができる。この架橋性モノマーは水溶性で
あれば、特に制限は無く、例えばエチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジア
クリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジメタクリレート、グリセリントリ
アクリレート、グリセリントリメタクリレート、NN′−
メチレンビスアクリルアミド、NN′−メチレンビスメタ
クリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルフマレー
ト、ジアリルテルフタレート、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルフォフェ
ート等を挙げることができるが、なかでもポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、NN′−メチレンビス
アクリルアミドが好ましい。架橋性モノマーの添加量が
モノマーに対し0.01重量%未満では吸収性能は極めて大
きくなるものの、膨潤ゲルがペースト状となって流動し
ゲルの形態保持性が悪く使い捨ておむつに使用できなく
なる。また、1.0重量%を超えるとゲルの形態保持性は
改良されるものの、吸収性能が低下してしまう。
本発明ではモノマー溶液中に高分子量多糖類を加え、
この多糖類を幹重合体とするグラフト重合を行なわせて
高吸収性樹脂の吸収性能を改良しても良い。形成される
グラフト重合体は、多糖類を幹にしてポリアクリル酸が
枝分かれした構造を有し、架橋剤を用いずに自己架橋し
た三次元構造をもつようになる。幹重体として用いる高
分子量多糖類は、天然多糖類に限られるものではなく、
その変性体を含み、例えば、バレイショデンプン、トウ
モロコシデンプン等のデンプン、ヒドロキシエチルセル
ロース、セルロース、グァーガム、ローカストビートガ
ム、マンナン等の他にそれらの多糖類の加水分解物、酸
化物、アルキルエーテル化物、アリールエーテル化物、
オキシアルキル化物、カルボキシメチル化物、アミノエ
チルエーテル化物、有機酸エステル化物等の種々の変性
体が含まれ、これらのもののなかから単独もしくは2種
類以上を併用する。例えば、各種のデンプン、冷水に易
溶でないカルボキシメチルセルロース、低変換度メチル
セルロース、高分子量ヒドロキシエチルセルロースおよ
びこれらの多糖類と他の多糖類との混合物を挙げること
ができる。これら多糖類の添加量はモノマー対単糖単位
で1:0.02〜1:0.05の範囲であるのが好ましい。反応温度
は60〜100℃が良く、必要に応じ架橋性モノマーを用い
るのは本発明を何ら妨げるものではない。
本発明はモノマー溶液中に粘度調節剤としてポリアク
リル酸ソーダ、ポリビニルピロピリドン、ポリビニルア
ルコール等の水溶性高分子、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等の高分子量多糖類、
チクソトロビー性付与剤のコロイド状シリカ、等の超微
粒子無機化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を
使用し、モノマー溶液の繊維基材への付着性を改良する
ことも可能である。モノマー溶液は、粘度が2〜200cps
の範囲であるのが好ましく、2cps未満では一旦繊維基材
に付着したモノマー溶液がすぐに繊維軸に沿って滑り落
ち繊維基材を鞘状に細長く包み込んだ皮膜が形成されな
い。逆に200cpsを超えると、繊維ウェブに塗布されたモ
ノマー溶液が膜を形成するようになるので好ましくな
い。
本発明ではアクリル酸系高吸収性樹脂モノマーを過酸
化物質と還元性物質の組合せによりラジカルを発生さ
せ、重合を開始するいわゆる酸化還元型(レドックス
型)の重合方式によって樹脂化するのであるが、該重合
方式は熱分解型のラジカル重合方式に比較してラジカル
発生活性化にエネルギーが小さく、比較的低温で爆発的
に重合を行なうことが可能なので、繊維ウェブシートを
連続走行させながらモノマー溶液を塗布し、重合を極め
て短時間(数秒)で完結させて吸収材を製造する方式に
極めて好適である。
本発明で使用する過酸化物質はt−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイ
ドロパーオキサイド化合物、アゾビスイソブチロニトリ
ル、2−2′アゾビス(アミノジプロパン)二塩基酸塩
等のアゾ化合物、過酸化水素、および過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩化合物等のなかから選
ばれる少なくとも1種の化合物から構成するのが良く、
また還元性物質は亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩化
合物、L−アスコルビン酸等の還元性有機酸化合物、硫
酸第1鉄等の塩化合物等のなかから選ばれる少なくとも
1種の化合物から構成するのが良いが、勿論これらに制
限されるものではない。これらの重合開始剤は水溶性の
大きなものが好ましく、また使用量は開始剤の組合せや
重合温度によっえも変わるが、一般的にはモノマーに対
し0.01〜2.0重量%の範囲で使用するのが良い。0.01重
量%未満では重合反応が充分に進まず、また2.0重量%
を超えると開始剤の量を増やしてもその効果があらわれ
ない。
モノマー溶液を繊維ウェブに塗布する方法としては、
コーティングロールによるキスコーティング並びに回転
ブラシによるスキャッタリングが高速で走る繊維ウェブ
に効率よくモノマー溶液を塗布することが可能で、かつ
塗布量を容易にコントロールすることができる。特にニ
ップ型コーティングロールが最も好ましい。繊維ウェブ
はこの繊維ウェブと等速で回転する1対のコーティング
ロールにはさまれ表裏両面からモノマー溶液が塗布され
る。
本発明では繊維ウェブにモノマー溶液を塗布したあと
モノマー溶液の上から開始剤を加えて重合を開始させ
る。このとき開始剤の水溶液を噴霧装置を用いて微粒子
状にしてモノマー溶液表面に添加するのが好ましい。開
繊剤の濃度は高い程好ましいが、噴射ノズルでの孔詰り
を避けるため所定温度における飽和濃度より低目にして
おくのが良い。また、繊維ウェブ全体に均一に噴霧する
ため、噴射ノズルの多数配設するのが好ましい。開始剤
の添加量はモノマーに対し0.01〜2.0重量%であれば充
分である。繊維ウェブに塗布されたモノマー溶液は、こ
の後60〜100℃に保たれた重合槽に導びかれ、重合反応
が行われる。
反応槽の形状は、特に制限はないが繊維ウェブを連続
的に走行させながら短時間で重合を終らせる場合は第1
図に示すように繊維ウェブを上から下へあるいは下から
上へ走行させながら水分を飽和させた熱風によって温度
を60〜100℃で湿度80%以上に保った重合槽内で反応さ
せるのがよい。反応槽の温度が60℃未満の場合、得られ
る樹脂の基本分子量が大きくなり樹脂の吸収性能が向上
するものの重合反応が完結するのに長時間を要するの
で、60℃以上が望ましい。また、100℃を超えると自己
架橋型の重合反応が起こり樹脂の吸収性能が低下するの
で好ましくない。通常アクリル酸系モノマーの重合にお
いては、反応の進行により大きな反応熱を生じ、局所的
な急激な昇温を起して異常反応を生じることが珍しくな
いが、本発明ではモノマー溶液の担体として嵩高で通気
性の良い繊維ウェブを用いるので、重合中にモノマー溶
液中の水分が効率よく系外に蒸発して、蒸発潜熱による
反応熱の冷却が行なわれるので、温度分布が均一にな
り、居所的な昇温によってその部分だけ自己架橋が高度
に進み吸収性能を低下させるといったトラブルを防ぐこ
とができる。本発明では急激な発熱を伴なう重合反応を
極めて短時間のうちに均質に完結させるのであるが、上
記したように、モノマー溶液の担体に嵩高で通気性の良
い繊維ウェブを用いて初めて可能となる。前記重合反応
は通常数秒(3〜15秒)で完結し、約90〜85%の酸モノ
マーが高吸収性樹脂に転換する。このようにして得られ
る樹脂は、水分を20%前後含む含水重合体であり、かつ
内部に5〜10%の未反応の残存酸モノマーを有する。残
存するアクリル酸またはアクリル酸とメタクリル酸の混
合物モノマーは、高吸収性樹脂の吸収性能を低下させる
だけでなく、使用者の肌を刺激し、かぶらやただれを誘
発するので、安全衛生上も好ましくない。
前記含水重合体中の残存モノマーは、電子線または/
および紫外線を照射すると効率的に低減させることが可
能である。なかでも電子線照射は酸化還元型(レドック
ス型)重合で得られる高吸収性樹脂に適度の架橋を形成
し、水溶性の樹脂成分を減らして膨潤時のベタツキを抑
える効果を兼備するので特に有用である。電子線照射に
よる反応は、含水重合体の水分が20%前後のときに最も
効率的に進む。また、照射によりラジカルを発生させる
ので開始剤の添加は不要である。照射線量は2〜20メガ
ラドの範囲にあれば充分にベタつきを抑えることができ
る。電子線照射によって残存モノマーを数1000ppmまで
減少させることができるが、このままではまだアクリル
酸系モノマー特有の臭気が残り、なお赤ん坊等の使用者
の肌を刺激する危険があるので、さらに紫外線を照射し
て残存モノマーを1000ppm以下に減らすのが望ましい。
紫外線照射による含水重合体中の残存モノマーの反応開
始には、光分解型のラジカル開始剤の存在が必要である
が、酸化還元型(レドックス型)重合開始剤の過酸化物
質として過酸化水素を使用すると、この過酸化水素が光
分解型ラジカル開始剤として有効に働くので、紫外線照
射の前に改めて開始剤を添加する必要が無い。また、紫
外線照射の前段階で含水重合体に電子線を照射するとき
は、電子線照射により含水重合体中に充分な量の過酸化
水素が発生するので開始剤の添加を省くことができる。
紫外線照射による反応は含水重合体の水分が30%前後の
ときに最も効率的に進むので、適宜水を噴霧して調湿し
ておくのが望ましい。紫外線の照射量は5〜500ミリジ
ュールcm2の範囲にあれば、残存モノマー量を1000ppm以
下に減らすことが可能である。
本発明の高吸収性樹脂は表層部の架橋密度を上げてお
くと、ペースト上のゲルが表層部に形成さえるいわゆる
ゲルブロックが抑止され、尿が樹脂内部まで速やかに浸
透するようになり、吸収性能を一段と向上させることが
できる。このような架橋剤としてはカルボン酸と反応す
る官能基を分子内に2ケ以上有するエチレングリコール
ジグシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグシジ
ルエーテル等のポリグシジルエーテル類、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリト
ール等のポリオール類、エチレンジアミン等のポリアミ
ン類が挙げられる。これらの架橋剤を含水重合体に添加
し加熱すると、含水重合体の表層に極めて均一な分子間
架橋を形成することが可能であり、また架橋によって形
成させる網目構造の目の大きさをある程度コントロール
することができる。架橋剤はモノマーに対し0.01〜2.0
重量%使用すれば良い。0.01重量%未満では効果が少な
く、2.0重量%を超えると架橋剤をこれ以上増やしても
効果が上がらなくなる。架橋剤溶液の含水重合体への添
加は、回転ブラシによる散布の方法が最も簡便で好まし
い。また、カルボキシル基と水酸基とのエステル化、カ
ルボキシル基とアミン基とのアミド化による架橋反応
は、温度が高い程進み易いので、乾燥を兼ねて100〜120
℃で熱処理するのが良い。
本発明で用いる繊維ウェブの性状は次のようにして測
定する。
嵩高(cc/g)は、繊維ウェブを1辺10cmの正方形(辺
の方向はそれぞれ機械方向および巾方向に一致させる)
に裁断して得た試験片を4枚、機械方向と巾方向を互い
違いに重ねて積層し、そのうえにメチルメタクリレート
樹脂板およびウェイトを載せて0.5g/cm2の荷重を10分間
かけ、そのときの繊維ウェブ層の体積V1(cc)を測定
し、このV1をあらかじめ秤量しておいた繊維ウェブ層の
重量で割って求める。
圧縮弾性率(%)は、嵩高V1(cc)を測定した繊維ウ
ェブ層に35g/cm2の荷重をかけ、10分間放置したときの
体積V2(cc)を測定し、V1,V2より下式に従って圧縮弾
性率(%)を求める。
繊維ウェブの伸張強度および伸張伸度は、試料を長さ
15cm、巾2.5cmの矩形(長辺を機械方向および巾方向に
一致させる)に裁断した試験片を用いて測定する。「テ
ンシロン」を用い試験片の両端をチェックで挟み、試長
を10cmに調節する。次いで伸張速度100%/分で伸張し
て応力と伸びの関係曲線を求める。この関係曲線から試
験片が破断したときの強度(g/25mm)および伸張(%)
を読み取る。
本発明で得られる吸収材の吸収速度は、80℃で2時間
真空乾燥し、25℃、60RH%の雰囲気中で8時間調湿した
試料を直径5cmの円形に裁断して作製した試験片を用い
て測定する。第13図に示す装置に取付けた直径9cmのガ
ラスフィルター支持台30の上に濾紙(東洋濾紙No.2、直
径5.5cm)31、樹脂枠32を置く。ここで、試験液(生理
食塩水:0.9重量%Nacl)33はガラスフィルター表面が濡
れるようにビューレット34の高さを変え、液面を調節し
ておく。次いで、吸収材試験片35をのせて0.1g/cm2の荷
重36をかけ、直ちに試験液の吸収を開始し、樹脂1g当り
の試験液の吸収量(g/g)対吸収時間(分)の関係曲線
を求める。
本発明で得られる吸収材の吸収性能、即ち吸収倍率お
よび保水倍率は、80℃で2時間真空乾燥し、25℃60RH%
の雰囲気中で8時間調湿した試料を1辺10cmの正方形
(辺の方向はそれぞれ機械方向および巾方向に一致させ
る)に裁断して作製した試験片を、用いて測定する。最
初に試験片を重量〔a〕(g)を秤量し、次いで試験片
を長さ20cm、巾15cmの大きさの250メッシュナイロン布
の袋に入れ、あらかじめ調製しておいた試験液(生理食
塩水:0.9重量%Nacl)を入れた底の浅い容器に浸漬して
試験液を吸収させる。1時間浸漬後ナイロン布の袋ごと
試験片を取出し、10メッシュの金網の上に置き、その上
にメチルメタクリレート樹脂板およびウェイトを載せて
35g/cm2の圧力下に水切りを15分間行う。そのあと試験
片を取出し重量〔b〕(g)を秤量する。再び試験片を
ナイロン布の袋にもどし、ナイロン布の袋ごと遠心脱水
機の回転槽の側壁に置き、150Gの遠心力で90秒間遠心脱
水を行ったあと、試験片をナイロン布から取出し重量
〔c〕(g)を秤量する。
〔a〕,〔b〕,〔c〕より次式に従って吸収倍率お
よび保水倍率を求める。
「実施例」 以下本発明を実施例により詳しく説明する。
(実施例−1) 実質的にエチレンテレフタレートの構成単位からなる
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)を第8図
に示す孔を有する紡糸口金を用い、280℃で溶融紡糸
し、常法に従い、冷却、油剤付与を施し、680m/分で引
取り集束して缶に振り込んだ。このようにして得た未延
伸糸繊維の集束トウを横型延伸機を用い、100m/分で4.0
倍に延伸し、クリンパーロールおよびクリパーボックス
から構成される押込み、捲縮装置に導びき機械捲縮を施
し、オートクレーブで130℃で10分間熱処理したあと短
繊維にカットした。このようにして得た異形断面繊維は
第9図に示す断面を有しており、ここで、Rは8.5×10
-3mm、溝の断面積Aは64×10-6mm2であり、表−1に示
す繊維性状を有すものであった。
(実施例2) ベース繊維として実施例−1で得た異形断面繊維70重
量%にバインダー繊維として低融点のポリエステル重合
体(固有粘度0.35)を鞘部にポリエチレンテレフタレー
ト(固有粘度0.57)を芯部に配して、鞘部:芯部の容量
比を1:1にした芯鞘型の複合紡糸繊維30重量%を加え、
オープナーを用いて均一に混綿および開綿したあと直列
に配した2台のフラットカード開繊機に供給して50m/分
の速度でカーディングを行い、それぞれのカードから薄
い2枚のウェブを取出し、これらを積層して1枚の均質
なカードウェブを形成した。ここで、芯鞘型の複合紡糸
繊維は繊度4デニール、繊維長51mm、捲縮数15ケ/イン
チであって、鞘部に配した低融点のポリエステル重合体
がジカルボン酸成分としてテレフタル酸60モル%および
イソフタル酸40モル%を含み、溶融軟化点がおよそ110
℃のポリエステル共重合体である短繊維を用いた。
前記カードウェブを引続きフラットベルト型のエアー
スルー方式の熱処理装置に導き、カードウェブ中に160
℃の熱風を10秒間通過させ、バインダー繊維を溶融して
繊維と繊維を接着し、形態安定性の良い繊維ウェブを形
成した。このようにして得た繊維ウェブの性能を表−2
に示す。
(実施例−3) 実施例−2で得た繊維ウェブを50m/分で走行させなが
ら、これにニップ型コーティングローラーを用いて過酸
化水素をモノマーに対して1.67重量%になるように該繊
維ウェブに加えて、40℃に加温したモノマー溶液をモノ
マー重量が200g/m2となるように塗布したあと、L−ア
スコルビン酸の5重量%水溶液をモノマーに対し0.34重
量%となるように繊維ウェブに噴霧し、直ちに雰囲気が
80℃で湿度80%以上に保った重合槽に導びき重合を行っ
た。ここでモノマー溶液はアクリル酸の全カルボキシル
基の60%を水酸化カリウムで中和した濃度65重量%の部
分中和アクリル酸モノマー水溶液に架橋性モノマーとし
てNN′−メチルビスアクリルアミドをモノマーに対して
0.085重量%添加したものを用いた。重合反応は繊維ウ
ェブにモノマー溶液が塗布されると、直ちに開始し発熱
を伴ないながら約8秒で反応を終えた。このようにして
得た吸収材は高吸収性樹脂の一部が異形断面繊維の繊維
表面の溝のなかで微細な繊維状樹脂となった。得られた
吸収材の性状を表−3に示す。
[比較例−1] 実施例−1において通常の円形断面の中空繊維用紡糸
口金を用いた以外は同様の操作を行った。得られた繊維
の性状を表−1に示す。
[比較例−2] 実施例−2においてベース繊維を実施例−1で得た異
形断面繊維の代りに比較例−1で得た中空繊維とした以
外は同様の操作を行った。得られた繊維ウェブの性状を
表−2に示す。
[比較例−3] 実施例−3において繊維ウェブを実施例−2で得た繊
維ウェブの代りに比較例−2で得た繊維ウェブを用いた
以外は同様の操作を行った。得られた吸収材の性状を表
−3に示す。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明の吸収材は、微細な繊維
状の高吸収性樹脂を含有するので、尿の吸収速度が速
く、樹脂が潜在的に有する吸収能力を効率的に引出すこ
とが可能で、かつ柔らかい使い捨ておむつに好適な吸収
材を提供することができる。さらに、本発明の吸収材
は、柔らかくかつ多量の尿を速やかに吸収することが可
能なので、着用感が快適で漏れにくい使い捨ておむつ等
の衛生材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は吸収材の製造装置を示す図、第2図は架橋剤処
理装置を示す図、第3図および第4図は従来の吸収材お
よび本発明の吸収材における高吸収性樹脂の繊維基材へ
の付着状態の模式図、第5図は本発明の繊維状の高吸収
性樹脂を示す図、第6図(a)〜(d)は繊維表面に繊
維軸に沿って連なる溝を配設した繊維基材の例を示す
図、第7図は繊維表面から剥離した繊維状の高吸収性樹
脂を示す図、第8図は紡糸口金孔の一例を示す図、第9
図は第8図の紡糸口金孔から得られる繊維の断面形状
図、第10図は繊維表面に配設された溝を示す図、第11図
(a)(b)(c)は繊維表面に配設された溝の形状の
例を示す図、第12図(a)(b)(c)は繊維ウェブの
液体拡散性評価方法の説明図、第13図は吸収材の吸収速
度測定装置を示す図、第14図は実施例3および比較例3
で得られた吸収材のそれぞれの吸収速度を示すグラフで
ある。 1……繊維ウェブ、2……コーティングローラー、3…
…モノマー溶液、4……開始剤、5……重合槽、6……
高吸収性樹脂の付着した繊維ウェブ、7……電子線照射
装置、8……紫外線照射装置、9……水散布装置、10…
…ヒーター、11……ブロワー、12……回転ブラシ、13…
…加熱装置、14……繊維基材、15……従来の高吸収性樹
脂、16……本発明の繊維状高吸収性樹脂、17……繊維表
面の溝、18……溝を鋳型にして形成された繊維状高吸収
性樹脂、19,22……繊維、19a……溝、20……樹脂、21…
…紡糸口金孔、23……繊維基材、24……高吸収性樹脂、
25……試験片、26……メチルメタクリレート樹脂板、27
……穴、28……着色した試験液で濡れた部分、29……ス
ペーサ、30……ガラスフィルター支持台、31……濾紙、
32……樹脂枠、33……試験液、34……ビューレット、35
……吸収材試験片、36……荷重。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維ウェブにアクリル酸系高吸収性樹脂モ
    ノマー溶液が付着重合してなる衛生材料用の吸収材にお
    いて、 前記繊維ウェブの全繊維基材中に繊維表面の繊維軸方向
    に沿って形成された溝を有する異形断面繊維が25重量%
    以上を占め、前記繊維基材に付着する全高吸収性樹脂の
    5%以上が前記溝の形状に倣って繊維状に形成され、か
    つ、前記繊維状の高吸収性樹脂の繊度が500デニール以
    下であることを特徴とする前記吸収材。
JP63106713A 1988-04-28 1988-04-28 吸収材 Expired - Lifetime JP2682576B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63106713A JP2682576B2 (ja) 1988-04-28 1988-04-28 吸収材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63106713A JP2682576B2 (ja) 1988-04-28 1988-04-28 吸収材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01280075A JPH01280075A (ja) 1989-11-10
JP2682576B2 true JP2682576B2 (ja) 1997-11-26

Family

ID=14440603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63106713A Expired - Lifetime JP2682576B2 (ja) 1988-04-28 1988-04-28 吸収材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2682576B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006504876A (ja) * 2002-10-31 2006-02-09 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 繊維および超吸収体からなる超薄材料

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6227161A (ja) * 1985-07-29 1987-02-05 Toshiba Corp ハンドプリンタ
JPS62133184A (ja) * 1985-12-04 1987-06-16 三菱油化株式会社 吸水性複合体の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006504876A (ja) * 2002-10-31 2006-02-09 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 繊維および超吸収体からなる超薄材料
JP4739756B2 (ja) * 2002-10-31 2011-08-03 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 繊維および超吸収体からなる超薄材料

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01280075A (ja) 1989-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5676660A (en) Absorbent product including absorbent layer treated with surface active agent
EP0608460B1 (en) Water-decomposable non-woven fabric
JP4489803B2 (ja) 架橋した親水性ポリマーを含む、低い保持能力の親水性不織布
US6872275B2 (en) Process for adding superabsorbent to a pre-formed fibrous web via in situ polymerization
US5384189A (en) Water-decomposable non-woven fabric
KR960015656B1 (ko) 2성분 합성섬유 및 그 제조방법
JP4701180B2 (ja) 吸収性構造体の製造方法
JPH0569545B2 (ja)
JPH08246395A (ja) 吸収性シート及びその製造方法
JP6256944B2 (ja) 吸収性物品
JPH09310259A (ja) 極細繊維不織布
JPH01292103A (ja) 吸収材の製造方法
JP3644738B2 (ja) 吸収性シート及びその製造方法並びに吸収性物品
JP2554354B2 (ja) 吸収材の製造方法
US20040203308A1 (en) Process for making absorbent material
US6918981B2 (en) Process for adding superabsorbent to a pre-formed fibrous web using two polymer precursor streams
JP2682576B2 (ja) 吸収材
JP2876113B2 (ja) 吸収性物品
JP4263576B2 (ja) 吸水性シート
JPH01292180A (ja) 吸収材の製造方法
JP3548651B2 (ja) 吸収体
JPH0779829B2 (ja) 吸収材の製造方法
US20220133555A1 (en) Absorbent structure comprising co-formed layer
JP2001335645A (ja) 吸収性シート
JPH01239102A (ja) 使い捨ておむつ

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080808

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080808

Year of fee payment: 11