JP2554198Y2 - 水田作業機における機体固定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、機体姿勢制御機構を設
けた水田作業機における機体固定装置に係るものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、歩行型田植機等の水田作業機に
おいては、機体の両側に設けた左右のスイング車輪をリ
フタ天秤に連結し、昇降用シリンダによりリフタ天秤を
移動させてスイング車輪を同時に昇降させるとともに、
ローリング用シリンダによりリフタ天秤を回動させてス
イング車輪を逆方向に昇降させる機体姿勢制御機構を設
けたものが知られている。このような水田作業機には、
機体回行時や路上走行時において機体姿勢を固定できる
ようにするため、リフタ天秤をロックする機体固定装置
を設けている。

【０００３】

【本考案が解決しようとする課題】ところが従来は機体
固定装置をリフタ天秤と昇降用シリンダとの間に別体に
設けていたので、機体固定装置の構造が複雑化して重量
も増大し、ひいてはコストアップを招くという欠点があ
った。本考案は上記の如き実情に鑑み創案されたもので
あって、構造を簡単にすることができて重量の軽量化
と、コストの低減を図ることができ、しかも機体の傾き
誤差を少くして精度よく機体を固定することができる水
田作業機における機体固定装置の提供を目的課題とした
ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本考案が講じた技術的手段は、左右のスイング車輪
を同時に上下動させる昇降用シリンダと、左右のスイン
グ車輪を逆方向に上下動させるリフタ天秤とで機体姿勢
制御機構を構成し、該機体姿勢制御機構に、リフタ天秤
をロックして機体姿勢を固定する機体固定装置を設けた
水田作業機において、上記機体固定装置には、リフタ天
秤を昇降用シリンダに固定するロック手段を設けたこと
を特徴とするものである。

【０００５】

【作用】したがって本考案によれば、昇降用シリンダに
より左右のスイング車輪が同時に上下動して機体を昇降
させ、リフタ天秤により左右のスイング車輪が逆方向に
上下動して機体姿勢を水平制御する。そして作業条件に
応じて機体姿勢を固定する際には、機体固定装置に設け
たロック手段が、リフタ天秤を直接昇降用シリンダに固
定する。したがって機体姿勢を正確かつ簡単に固定する
ことができる。

【０００６】

【実施例】次に本考案の実施例を添付した図面に基づい
て詳述する。１は水田作業機として例示する歩行型田植
機であって、エンジン２を前部に搭載した機体フレーム
３の下部にフロート４が設けられ、その両側にはチェン
ケース５に支持されたスイング車輪６が配設されてい
る。７は苗載台８、苗植付杆９等からなる植付部であ
る。また機体の前部はボンネット１０で覆われており、
機体の後部には上方後方に向けて操作ハンドル１１が延
設されている。

【０００７】上記フロート４は、その後部側がブラケッ
ト１２を介して機体に枢支されており、フロート４の前
部側はワイヤ１３を介して機体に吊持されていて、該ワ
イヤ１３が機体に対して近接離間するフロート４の下げ
側のみを規制するようになっている。また、スイング車
輪６を支持したチェンケース５の搖動軸１４に突成した
回動アーム１５が、リフタロッド１６を介してリフタ天
秤１７の左右両端に連結されている。上記リフタ天秤１
７は、エンジン２の前方に立設された昇降用シリンダ１
８の上端に支点軸１９を介して上下回動自在に装着され
ている。２０はリフタ天秤１７の下面一側に配設された
ローリング用シリンダである。２１はエンジン２の前面
一側に設けた油圧制御バルブであって、該油圧制御バル
ブ２１のケースから突成した支持部材２２に機体の傾き
を検知する重力センサ２３が左右搖動自在に垂下支持さ
れている。そして機体が傾くと、機体に対して搖動した
重力センサ２３が油圧制御バルブ２１を切換えてローリ
ング用シリンダ２０を作動させ、上下回動したリフタ天
秤１７が左右のスイング車輪６を互に逆方向に上下させ
て機体姿勢を水平制御する。また前記フロート４には油
圧感知機構２４が連繋されていて、田面に沿って滑走す
るフロート４が機体に対して上下動すると、油圧制御バ
ルブ２１の切換えにより、昇降用シリンダ１８を作動さ
せ、昇降用シリンダ１８とともに上下動したリフタ天秤
１７が左右のスイング車輪６を同時に上下動させて機体
を昇降制御する。このようにして機体を常に適正な植付
姿勢とする機体姿勢制御機構２５が構成されている。

【０００８】２６は必要に応じて機体姿勢を固定する機
体固定装置であって、該機体固定装置２６には、リフタ
天秤１７を昇降用シリンダ１８に直接固定するロック手
段２７が設けられている。すなわち、上記リフタ天秤１
７には、支持体２８が固定されており、該支持体２８に
ロッド２９が上下方向に進退自在に支持されている。３
０はロッド２９の上端に連結された操作ワイヤであっ
て、該操作ワイヤ３０が機体の上方側を通って操作ハン
ドル１１に設けたロック用レバー３１に連動連結されて
いる。一方、昇降用シリンダ１８には、上記ロッド２９
の先端部が進入する係止孔３２を設けた固定部３３が取
付固定されている。そしてロック用レバー３１の操作に
連動して下方に突出したロッド２９が係止孔３２に進入
係止してリフタ天秤１７を昇降用シリンダ１８に直接固
定するロック手段２７が構成されている。３４はロッド
２９を付勢するスプリングである。なお支持体２８を昇
降用シリンダ１８に固定し、固定部３３をリフタ天秤１
７に固定してもよいことは勿論である。３５は機体の前
面に装着されたバンパーであって、該バンパー３５は、
ボンネット１０の形状に合せ、かつボンネット１０前端
の表面形状の延長上に設けて、ボンネット１０とバンパ
ー３５とが調和のとれた良好な外観を呈するようになっ
ている。

【０００９】上記の如き構成において、植付作業を行う
に当っては、スイング車輪６が耕盤上を走行し、フロー
ト４が田面を滑走しながら苗植付杆９が苗載台８上の苗
を掻取って田面に植付ける。このとき、ワイヤ１３で吊
持されたフロート４の前部側には泥たまりが少くなって
走行性を良好にすることができる。作業中機体が傾く
と、機体に対して振れた重力センサ２３が油圧制御バル
ブ２１を切換えてローリング用シリンダ２０を作動さ
せ、回動したリフタ天秤１７が左右のスイング車輪６を
逆方向に上下動させて機体姿勢を水平制御する。一方、
フロート４が機体に対して上下動すると、油圧制御バル
ブ２１の切換えにより昇降用シリンダ１８を作動させ、
昇降用シリンダ１８とともに上下に移動したリフタ天秤
１７が左右のスイング車輪６を同時に上下動させる。そ
して必要に応じて機体姿勢を機体固定装置により固定で
きるものであるが、本考案では特に、ロック用レバー３
１の操作により、支持体２８に支持されたロッド２９が
固定部３３の係止孔３２に進入係止して、リフタ天秤１
７を昇降用シリンダ１８に固定するので、別体の固定装
置を設けた従来のものに比べ、構造が簡単軽量となって
コストの低減を図ることができる。またリフタ天秤１７
と昇降用シリンダ１８とが直接固定されるので、機体の
傾き誤差が少くなって精度よく機体を固定することがで
きる。

【００１０】

【考案の効果】これを要するに本考案は、左右のスイン
グ車輪を同時に上下動させる昇降用シリンダと、左右の
スイング車輪を逆方向に上下動させるリフタ天秤とで機
体姿勢制御機構を構成し、該機体姿勢制御機構に、リフ
タ天秤をロックして機体姿勢を固定する機体固定装置を
設けた水田作業機において、上記機体固定装置には、リ
フタ天秤を昇降用シリンダに固定するロック手段を設け
たから、作業条件に応じて機体を固定する際には、機体
固定装置に設けたロック手段によって、スイング車輪を
逆方向に上下動させるリフタ天秤を、直接昇降用シリン
ダに固定できるので、機体固定時における機体姿勢の傾
き誤差が少くなって機体精度を向上させることができ
る。しかも、機体固定装置を別体に設けた従来のものに
比べて、機体固定装置の構造が簡単になるので、部品点
数が減少して全体重量の軽量化とコストの低減を図るこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】水田作業機の全体側面図である。

【図２】同上前部の拡大側面図である。

【図３】同上平面図である。

【図４】機体姿勢制御機構の拡大側面図である。

【図５】同上正面図である。

【図６】フロートの取付状態を示す拡大側面図である。

【図７】同上平面図である。

【符号の説明】

１ 水田作業機 ６ スイング車輪 １７ リフタ天秤 １８ 昇降用シリンダ ２５ 機体姿勢制御機構 ２６ 機体固定装置 ２７ ロック手段

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右のスイング車輪を同時に上下動させ
   る昇降用シリンダと、左右のスイング車輪を逆方向に上
   下動させるリフタ天秤とで機体姿勢制御機構を構成し、
   該機体姿勢制御機構に、リフタ天秤をロックして機体姿
   勢を固定する機体固定装置を設けた水田作業機におい
   て、上記機体固定装置には、リフタ天秤を昇降用シリン
   ダに固定するロック手段を設けたことを特徴とする水田
   作業機における機体固定装置。