JP2553855B2 - 田植機の植付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は等速回転させるロータリケースに植付アーム
を介して植付爪を支持させ、前記ロータリケースの１回
転中苗載台から一株分の苗を前記植付爪によって取出し
順次圃場に植付けるようにした田植機のロータリ式植付
装置に関する。

「従来の技術」 例えば特願昭60−249657号記載のものにあっては、植
付爪先端の運動植付軌跡上に苗ガイドを設けた手段があ
る。

「発明が解決しようとする課題」 しかし乍ら該手段の場合、苗載台から取出して植付爪
と押出爪によって支持する苗が苗ガイドの後方側を通過
し、苗ガイドによる苗脱落防止を確実に行い得ず、苗ガ
イド機能の向上などを容易に図り得ない等の問題があっ
た。

「課題を解決するための手段」 したがって本発明は、等速回転させるロータリケース
に植付アームを介して植付爪及び押出爪を支持させ、苗
載台から一株分の苗を前記植付爪によって取出し順次圃
場に植付けるようにした構造において、前記植付爪によ
って取出された苗の植付位置までの間の案内をする苗ガ
イドを、前記植付爪と押出爪の交点の軌跡上に延設さ
せ、植付爪と押出爪の交点が苗ガイド内の略中心部を上
方から下方に通過するように構成したことを特徴とす
る。

［作 用］ 従って、植付爪と押出爪によって支持する苗が苗ガイ
ドの略中央部を通過させ得、苗ガイドによる苗脱落防止
を確実に行い得、苗ガイド機能の向上などを容易に図り
得、例えば苗取出し量調節などによって苗が大小変化し
ても苗ガイドによる苗支持作用を適正に維持し得るもの
である。

「実施例」 以下本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。第１
図は植付爪部の側面説明図、第２図は乗用田植機の側面
図、第３図は同平面図を示し、図中（１）は作業者が搭
乗する走行車であり、エンジン（２）を搭載する車体フ
レーム（３）後端をミッションケース（４）に連設さ
せ、前記ミッションケース（４）の前方両側にフロント
アクスルケース（５）を介して水田走行用前輪（６）を
支持させると共に、前記ミッションケース（４）の後方
両側に伝動ケース（７）を介し水田走行用後輪（８）を
支持させる。そして前記エンジン（２）を覆うボンネッ
ト（９）両側外方に予備苗載台（10）を取付けると共
に、ステップ（11）を形成する車体カバー（12）によっ
て前記伝動ケース（７）等を覆い、前記車体カバー（1
2）上部に運転席（13）を取付け、其の運転席（13）の
前方で前記ボンネット（９）後部に操向ハンドル（14）
を設ける。

更に図中（15）は多条植え用の苗載台（16）並びに複
数の植付爪（17）…などを具有する植付部であり、前高
後低の後傾式の苗載台（16）を案内レール（18）及びガ
イドレール（19）を介して植付ケース（20）に左右往復
摺動自在に支持させると共に、第４図にも示す如く、一
方向に等速回転させるロータリケース（21）を前記植付
ケース（20）に支持させ、該ケース（21）の回転軸芯を
中心に対称位置に一対の植付アームである爪ケース（2
2）（22）を配設し、その爪ケース（２）先端に植付爪
（17）を取付ける。また前記植付ケース（20）の前側に
回動支点軸（23）を介して支持フレーム（24）を設け、
トップリンク（25）及びロワーリンク（26）を含む三点
リンク機構（27）を介して走行車（１）後側に支持フレ
ーム（24）を連結させ、前記リンク機構（27）を介して
植付部（15）を昇降させる昇降シリンダ（28）を備え、
前記前後輪（６）（８）を走行駆動して略定速で移動す
ると同時に、左右に往復摺動させる苗載台（16）から一
株分の苗を植付爪（17）によって取出し、連続的に苗植
え作業を行うように構成する。

また、図中（29）は走行変速レバー、（30）は植付昇
降レバー、（31）は植付け感度調節レバー、（32）は走
行クラッチペダル、（33）（33）は左右ブレーキペダ
ル、（34）…は田面均平用フロートであり、植付深さ調
節リンク（35）などを介して植付ケース（20）下側に前
記フロート（34）…を支持している。

さらに第５図に示す如く、苗載台（16）下端に設ける
苗取出板（36）の苗取出口（37）に対し、爪ケース（2
2）（22）を介してロータリケース（21）に設けた２本
の植付爪（17）（17）を交互に移動させ、ロータリケー
ス（21）の１回転で２本の植付爪（17）（17）により２
株の苗を植付けるように構成している。

第６図に示す如く、前記植付ケース（20）後端に出力
軸である植付爪駆動軸（38）を回転自在に軸支し、その
駆動軸（38）両端にロータリケース（21）（21）を対称
に固定支持させている。また前記ロータリケース（21）
内の植付爪駆動軸（38）にサンギヤ（39）を遊嵌させ、
位相調節板（40）を介して前記サンギヤ（39）を植付ケ
ース（20）に位相調節自在に位置固定させると共に、前
記サンギヤ（39）と同一歯数のアイドルギヤ（41）及び
プラネタリギヤ（42）を備え、中間軸（43）を介してア
イドルギヤ（41）を、また爪ケース（22）にボルト（4
4）でもって固定した植付アーム取付部材である爪ケー
ス軸（45）を介してプラネタリギヤ（42）を前記ロータ
リケース（21）内に軸支させている。前記各ギヤ（39）
（41）（42）は各軸（38）（43）（45）に一定寸法偏心
させて軸支させると共に、中央のサンギヤ（39）に対称
にアイドルギヤ（41）（41）を介し二つのプラネタリギ
ヤ（42）（42）を一列状に常噛させたもので、植付ケー
ス（20）にサンギヤ（39）を固定支持し、植付爪駆動軸
（38）を介してロータリケース（21）を等速回転させ、
ロータリケース（21）両端の植付爪（17）（17）を交互
に苗載台（16）傾斜下端の前記苗取出口（37）に下降移
動させるように設けている。そして前記ロータリケース
（21）の回転と連動させて前記各ギヤ（39）（41）（4
2）を介して爪ケース軸（45）を不等速回転させ、苗載
台（16）の苗取出位置前後ではロータリケース（21）の
回転よりも爪ケース軸（45）の回転を早くして植付爪
（17）姿勢を上向きとし、また苗植付前後位置ではロー
タリケース（21）の回転よりも爪ケース軸（45）の回転
を遅くして植付爪（17）姿勢を下向きとして、植付爪
（17）先端による運動植付軌跡（ｌ）がロータリケース
（21）前方で縦長の長円形を描くように構成している。

また、前記爪ケース軸（45）はカム軸（46）を遊転自
在に貫挿させるもので、該カム軸（46）の一端を位置調
節板（47）及びボルト（48）を介してロータリケース
（21）に回転調節自在に固定支持させると共に、カム軸
（46）の他端を爪ケース（22）内の強制植付用押出爪
（49a）に一体連結したプッシュロッド（49）に、プッ
シュアーム（50）及び押出カム（51）を介して連結さ
せ、植付爪（17）が田面に突入したときにプッシュロッ
ド（49）を進出させ植付爪（17）に挟んだ苗を押出爪
（49a）により土中に押出すように構成している。

第７図に示す如く、前記各苗取出口（37）両端にボル
ト（52）を介しそれぞれ取外し自在に可撓性を有する苗
ガイド（53）を固定支持するもので、苗載台（16）より
苗を取出し後から田面に至る間で停止する植付爪（17）
を両側より苗ガイド（53）で挾み、その植付爪（17）の
苗をこれらガイド（53）と押出爪（49a）間で脱落させ
ることなく保持するように構成している。

ところで、前記苗ガイド（53）は植付爪（17）の先端
部の運動植付軌跡（ｌ）より内側の該軌跡（ｌ）より外
れた位置に配設されていて、植付爪（17）の植付動作中
にあって該爪（17）先端部の苗ガイド（53）内周案内面
への喰い込みを防止すると共に、苗ガイド（53）内周案
内面における前記爪（17）との接触による偏摩耗を防止
して適正苗姿勢を保持するように構成している。

また、前記植付爪（７）によって取出された苗の植付
位置までの間の案内をする苗ガイド（53）を、前記植付
爪（17）と押出爪（49a）の交点（Ｐ）の軌跡（Ｃ）上
に延設させ、前記植付爪（17）とプッシュロッド（49）
の押出爪（49a）との交点（Ｐ）の軌跡（Ｃ）が苗ガイ
ド（53）内の略中心部を上方より下方に通過するように
形成し、これら爪（17）先端部と押出爪（49a）によっ
て保持される苗のブロックが前記苗ガイド（53）の作用
でもって爪（17）から離れることなく確実に爪（17）先
端部に保持されるように構成している。

本実施例は上記の如く構成しており、植付爪駆動軸
（38）によりこれを中心に機体前後方向にロータリケー
ス（21）を一方向に連続して等速回転させることによ
り、各ギヤ（39）（41）（42）を介して爪ケース軸（4
5）が不等速回転し、苗取出口（37）の手前で植付爪（1
7）を苗切取り姿勢に、また田面に突入状態で植付爪（1
7）を植付け姿勢に夫々移行させ、ロータリケース（2
1）の半回転で１株の苗を植付けるものである。

而して、前記植付爪（17）による苗植付作業中にあっ
ては、前記爪（17）先端部の軌跡（ｌ）が苗ガイド（5
3）より外れて苗ガイド（53）内周面に接触しないた
め、前記爪（17）先端部の苗ガイド（53）内突入時など
における苗ガイド（53）内周案内面への該爪（17）の喰
い込みが防止されると共に、苗ガイド（53）内周案内面
に偏摩耗が発生するのも防止されるもので、したがって
苗ガイド（53）の内周案内面が爪（17）による喰い込み
で損傷或いは荒粗となる不都合や、偏摩耗による段差形
成でもって、苗の保持姿勢が乱れるなどの不都合も解消
され、常に適正な植付姿勢による安定した植付作業が行
える。

［発明の効果］ 以上実施例からも明らかなように本発明は、等速回転
させるロータリケース（21）に植付アーム（22）を介し
て植付爪（17）及び押出爪（49a）を支持させ、苗載台
（16）から一株分の苗を前記植付爪（17）によって取出
し順次圃場に植付けるようにした構造において、前記植
付爪（17）によって取出された苗の植付位置までの間の
案内をする苗ガイド（53）を、前記植付爪（17）と押出
爪（49a）の交点（Ｐ）の軌跡（Ｃ）上に延設させ、植
付爪（17）と押出爪（49a）の交点（Ｐ）が苗ガイド（5
3）内の略中心部を上方から下方に通過するように構成
したものであるから、植付爪（17）と押出爪（49a）に
よって支持する苗が苗ガイド（53）の略中央部を通過さ
せることができ、苗ガイド（53）による苗脱落防止を確
実に行うことができ、苗ガイド（53）機能の向上などを
容易に図ることができ、例えば苗取出し量調節などによ
って苗が大小変化しても苗ガイド（53）による苗支持作
用を適正に維持できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は植付爪部の側面説明図、第２図は全体の側面
図、第３図は同平面図、第４図は植付部の側面説明図、
第５図は同平面説明図、第６図はロータリケース部の断
面説明図、第７図は苗ガイド部の背面説明図である。 （16）……苗載台 （17）……植付爪 （21）……ロータリケース （22）……植付アーム （49a）……押出爪 （53）……苗ガイド （ｌ）……植付軌跡

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】等速回転させるロータリケース（21）に植
   付アーム（22）を介して植付爪（17）及び押出爪（49
   a）を支持させ、苗載台（16）から一株分の苗を前記植
   付爪（17）によって取出し順次圃場に植付けるようにし
   た構造において、前記植付爪（17）によって取出された
   苗の植付位置までの間の案内をする苗ガイド（53）を、
   前記植付爪（17）と押出爪（49a）の交点（Ｐ）の軌跡
   （Ｃ）上に延設させ、植付爪（17）と押出爪（49a）の
   交点（Ｐ）が苗ガイド（53）内の略中心部を上方から下
   方に通過するように構成したことを特徴とする田植機の
   植付装置。