JP2552642Y2 - 折り畳みブームを有する移動式クレーンの上部ブーム先端部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、折り畳みブームを有す
る移動式クレーンの上部ブーム先端部構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】図３に示す如く、折り畳みブームを有す
る移動式クレーンは、車両１上に搭載した旋回台２に起
伏自在に取り付けた下部ブーム４と、この下部ブーム４
に起伏自在に取り付けられその腹面が下部ブーム４の腹
面に近接するよう折り畳んだ折り畳み状態と下部ブーム
４に対して伸展した伸展状態との間で起伏できる上部ブ
ーム５とからなる折り畳みブーム３を備えている。折り
畳みブーム３の上部ブーム５の先端部６には、当該上部
ブーム５の背面から突出して配置されたワイヤーガイド
滑車７と腹面から突出して配置された吊具吊下滑車８が
取り付けられている。下部ブーム５の基端部の背面部ま
たは旋回台２にはウインチ９が取り付けられており、こ
のウインチ９からのワイヤーロープ１０を、上部ブーム
４の先端部６の前記ワイヤーガイド滑車７を経由した
後、前記吊具吊下滑車８と吊具１１の滑車１１ａ間に懸
け回すことで、上部ブーム５の先端部６から吊具１１を
吊下するよう構成している。

【０００３】この種の移動式クレーンは、旋回台２を旋
回駆動、および下部ブーム４を起伏駆動、上部ブーム５
を伸展駆動すると共に、ウインチ９により吊具１１を巻
き上げ巻き下げ駆動してクレーン作業をするものであ
る。前記吊具吊下滑車８は、上部ブーム５が起仰されて
いる状態（図３に実線で示した状態）においても、この
吊具吊下滑車８と吊具１１の滑車１１ａ間のワイヤーロ
ープ１０あるいは吊り荷が下部ブームの腹面に干渉する
ことがないよう、上部ブーム５の腹面から充分に突出し
た位置に取り付けられている。このため、上部ブーム５
の先端部６の形状は、一般にグースネックと呼ばれてい
るように上部ブーム５の腹面方向へ延出した形状を呈し
ている。

【０００４】一方、移動式クレーンの走行移動状態で
は、上部ブーム５を折り畳み状態にすると共に下部ブー
ム４を倒伏した状態（図３に一点鎖線で示した状態）に
するのであるが、上述したように上部ブーム５先端部６
が上部ブーム５の腹面から突出しているので、上部ブー
ム４の折り畳み状態において、下部ブーム４と上部ブー
ム５の腹面同士を充分に近接することができず、このた
め従来の折り畳みブームを有する移動式クレーンは、旋
回台２の高さが高くなり、その走行移動状態の全高が高
くなるという問題を持っていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、クレーン作
業時には吊具吊下滑車８の上部ブーム５の腹面からの突
出量を充分に確保できるものでありながら、上部ブーム
５の折り畳み状態では上部ブーム５の腹面からの突出量
を減少させることのできる上部ブームの先端構造を提供
ようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の折り畳みブームを有する移動式クレーンの
上部ブームの先端部構造は、次の如く構成する。車両１
上に搭載した旋回台２に起伏自在に取り付けた下部ブー
ム４と、この下部ブーム４に起伏自在に取り付けられそ
の腹面が下部ブーム４の腹面に近接するよう折り畳んだ
折り畳み状態と下部ブーム４に対して伸展した伸展状態
との間で起伏できる上部ブーム５であってその先端部６
に当該上部ブーム５の背面から突出して配置されたワイ
ヤーガイド滑車７と腹面から突出して配置された吊具吊
下滑車８を備えた上部ブーム５とからなる折り畳みブー
ム３を備え、前記旋回台２または下部ブーム４の基端部
に配置したウインチ９からのワイヤーロープ１０を、上
部ブーム４の先端部６の前記ワイヤーガイド滑車７を経
由した後、前記吊具吊下滑車８と吊具１１の滑車１１ａ
間に懸け回すことで、上部ブーム５の先端部６から吊具
１１を吊下するよう構成した移動式クレーンにおいて、
前記上部ブーム５の先端部６を、上部ブーム５に固定的
に配置され前記ワイヤーガイド滑車７を備えた枠体、上
部ブーム５の腹面からの突出量を変更可能なよう前記枠
体に伸縮可能に嵌挿されその突出端部に前記吊具吊下滑
車８を備えた伸縮部材、および前記枠体と伸縮部材間に
配置され伸縮部材の伸長位置を固定する固定装置とで以
て構成したことを特徴とする折り畳みブームを有する移
動式クレーンの上部ブーム先端構造。

【０００７】

【作用】以上の如く構成した本考案の折り畳みブームを
有する移動式クレーンの上部ブームの先端部構造は、ク
レーン作業時には固定装置で以て、ワイヤーガイド滑車
７が取り付けられている枠体に対して吊具吊下滑車８が
取り付けられている伸縮部材を伸長位置に固定すること
で、クレーン作業に必要な吊具吊下滑車８の上部ブーム
５の腹面からの突出量を確保し、また、移動式クレーン
の走行移動時において上部ブーム５を折り畳むときは固
定装置を解除して先端部６の伸縮部材を縮小すること
で、上部ブーム５の折り畳み状態において両ブーム４，
５の腹面同士を近接させることがとでき、それだけ走行
移動時における移動式クレーンの全高を低くすることが
できるのである。

【０００８】

【実施例】以下本考案の折り畳みブームを有する移動式
クレーンの上部ブームの先端部構造の実施例を、図１及
び図２に基づいて説明する。

【０００９】本考案は、図３に示し上述した従来の折り
畳みブームを有する移動式クレーンに比べて、上部ブー
ム５の先端部６の構成がことなるものであるから、上記
の説明で用いた符号１〜１１および１１ａは、以下の説
明においても同義のものとして援用する。

【００１０】図１および図２において、上部ブームの先
端部６は、上部ブーム５に固定的に配置され前記ワイヤ
ーガイト滑車７を備えた枠体１２と、上部ブーム５の腹
面からの突出量を変更可能なように前記枠体１２に伸縮
可能に嵌挿されその突出端部に前記吊具吊下滑車８を備
えた伸縮部材１３、および前記枠体１２と伸縮部材１３
間に配置され伸縮部材を伸長位置（図１の状態）に固定
する解除可能な固定装置１４とで以て構成している。固
定装置１４は、枠体１２に設けたピン穴１４ａ、伸縮部
材１３の基端部に設けたピン穴１４ｂ、およびこれらの
ピン穴１４ａ，１４ｂを重合状態で貫通するピン１４ｃ
とで以て構成されている。この実施例では、伸縮部材１
３の縮小位置（図２の位置）において、枠体１２に対し
て伸縮部材１３を縮小位置（図２の状態）に固定するた
めの固定装置１７も取り付けられている。この固定装置
１７は、枠体１２に設けた上記ピン穴１４ａと、伸縮部
材１３に配置され伸縮部材１３の縮小位置おいて前記ピ
ン穴１４ａに重合するピン穴１４ｄ、およびこれらのピ
ン穴１４ａ、１４ｄを重合状態で貫通する前記ピン１４
ｃとで以て構成されている。また、この実施例では、前
記伸縮部材１３の突出端には、吊具１１の上部が衝接で
きる衝接部１５が取り付けられている。尚、１６は、枠
体１２の適所に取り付けたワイヤーロープ１０の索端止
め金具である。

【００１１】以上の如く構成した折り畳みブームを有す
る移動式クレーンの上部ブームの先端部構造は、移動式
クレーンによってクレーン作業をする場合は、ワイヤー
ガイド滑車７を備えた枠体１２に対して吊具吊下滑車８
を備えた伸縮部材１３を伸長させて両者間を固定装置１
４で固定することで、吊具吊下滑車８の上部ブーム５腹
面からの突出量を確保するのである。また、移動式クレ
ーンの走行移動に際して上部ブーム５を下部ブーム４に
対して折り畳む場合には、固定装置１４を解除し枠体１
２に対して伸縮部材１３を縮小し、この伸縮部材１３を
固定装置１７で以て縮小位置（図２の状態）に固定した
た後、上部ブーム５を折り畳み状態にするのである。こ
の時、縮小状態にある伸縮部材１３およびこの伸縮部材
１３に取り付けられている吊具吊下滑車８の上部ブーム
５腹面かららの突出量が小さいので、上部ブーム５と下
部ブーム４の腹面同士を近接させることができ、それだ
け旋回台２の高さを低くでき、走行移動時における移動
式クレーンの全高を低くすることができるのである。

【００１２】なお、上記実施例では、吊具１１を２本の
ワイヤーロープ１０で吊下させているが、この場合枠体
１２に対して吊具吊下滑車８を備えた伸縮部材１３を伸
長させることにより、索端止め金具１６と吊具吊下滑車
８間を離間することができ、上部ブーム５を起仰させた
場合に２本のワイヤーロープ１０が近接して絡みつくこ
との防止がはかれるという効果もある。

【００１３】上記の実施例では、上部ブーム５の先端部
６における伸縮部材１３の突出端に、吊具１１の上部が
衝接する衝接部１５を備えているので、伸縮部材１３を
縮小させる場合、吊具１１を伸縮部材１３の衝接部１５
に衝接した後更にウインチ９により吊具１１を巻き上げ
ることで、伸縮部材１３を縮小させることができるので
ある。即ち、伸縮部材１３の縮小をウインチ９を介して
行うことができるのである。この場合、図１および図２
に示す如く、索端止め金具１６を、先端部６における枠
体１２側に配置するようにし、吊具１１衝接後に伸縮部
材１３に縮小力をより効果的に伝達できるようにすれば
より効果的である。

【００１４】また、上記の実施例では、伸縮部材１３を
縮小状態に固定するための固定装置１７を設けている
が、この固定装置１７は省略しても良いこと勿論であ
る。

【００１５】

【考案の効果】以上の如く構成し作用する本考案の折り
畳みブームを備えた移動式クレーンの上部ブームの先端
部構造は、極めて簡単な構成であながら折り畳みブーム
３の折り畳み状態において下部ブーム４と上部ブーム５
の腹面同士を近接させることができるものであるから、
移動式クレーンの走行移動状態における全高を従来のも
のに比べて低くすることができるという効果を達成で
き、実用上の効果は大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る折り畳みブームを有する移動式ク
レーンの上部ブームの先端部構造の説明図であって、伸
縮部材１３を伸長位置にした状態を示す図である。

【図２】本考案に係る折り畳みブームを有する移動式ク
レーンの上部ブームの先端部構造の説明図であって、伸
縮部材１３を縮小位置にした状態を示す図である。

【図３】折り畳みブームを有する移動式クレーンの従来
例の説明図である。

【符号の説明】

１ 車両 ２ 旋回台 ３ 折り畳みブーム ４ 下部ブーム ５ 上部ブーム ６ 先端部 ７ ワイヤーガイド滑車 ８ 吊具吊下滑車 ９ ウインチ １０ ワイヤーロープ １１ 吊具 １１ａ 滑車 １２ 枠体 １３ 伸縮部材 １４ 固定装置（伸縮部材１３の伸長状態を固定するも
の） １４ａ ピン穴 １４ｂ ピン穴 １４ｃ ピン １４ｄ ピン穴 １５ 衝接部 １６ 索端止め金具 １７ 固定装置（伸縮部材１３の縮小状態を固定するも
の）

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両上に搭載した旋回台に起伏自在に取り
   付けた下部ブームと、この下部ブームに起伏自在に取り
   付けられその腹面が下部ブームの腹面に近接するよう折
   り畳んだ折り畳み状態と下部ブームに対して伸展した伸
   展状態との間で起伏できる上部ブームであってその先端
   部に当該上部ブームの背面から突出して配置されたワイ
   ヤーガイド滑車と腹面から突出して配置された吊具吊下
   滑車を備えた上部ブームとからなる折り畳みブームを備
   え、前記旋回台または下部ブームの基端部に配置したウ
   インチからのワイヤーロープを、上部ブームの先端部の
   前記ワイヤーガイド滑車を経由した後、前記吊具吊下滑
   車と吊具の滑車間に懸け回すことで、上部ブームの先端
   部から吊具を吊下するよう構成した移動式クレーンにお
   いて、 前記上部ブームの先端部を、上部ブームに固定的に配置
   され前記ワイヤーガイド滑車を備えた枠体、上部ブーム
   の腹面からの突出量を変更可能なよう前記枠体に伸縮可
   能に嵌挿されその突出端部に前記吊具吊下滑車を備えた
   伸縮部材、および前記枠体と伸縮部材間に配置され伸縮
   部材の伸長位置を固定する固定装置とで以て構成したこ
   とを特徴とする折り畳みブームを有する移動式クレーン
   の上部ブーム先端構造。
2. 【請求項２】上部ブームの先端部における伸縮部材の突
   出端に、吊具の上部が衝接する衝接部を備えたことを特
   徴とする請求項１記載の折り畳みブームを有する移動式
   クレーンの上部ブーム先端部構造。