JP2552560Y2 - サーマルヘッド - Google Patents

サーマルヘッド

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JP2552560Y2
JP2552560Y2 JP3933591U JP3933591U JP2552560Y2 JP 2552560 Y2 JP2552560 Y2 JP 2552560Y2 JP 3933591 U JP3933591 U JP 3933591U JP 3933591 U JP3933591 U JP 3933591U JP 2552560 Y2 JP2552560 Y2 JP 2552560Y2
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利昭 道廣
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、例としてファクシミリ
通信装置などの印画出力装置に組込まれるサーマルヘッ
ドに関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、従来例のサーマルヘッド1の
断面図であり、図12はサーマルヘッド1の底部から見
た斜視図である。サーマルヘッド1は、たとえば酸化ア
ルミニウムAl23などのセラミックなどからなり、比
較的高い熱伝導率を有する絶縁基板2を備え、その上に
ケイ酸ガラスからなる蓄熱層3が形成され、その上にた
とえば窒化タンタルTa34などを数100Åの膜厚で
形成して得られる抵抗体層4を形成する。抵抗体層4上
には、相互に間隔をあけて複数の個別電極5aと共通電
極5bが形成され、電極5a,5bに挟まれる抵抗体層
4の部分が発熱抵抗体7として構成される。このような
電極5a,5bを全面に被覆して、窒化ケイ素Si34
などからなる保護層8が形成される。絶縁基板2の裏面
にはアルミニウムなどの金属をダイカスト成型して得ら
れる矩形状の放熱板6が固着される。
【0003】このようなサーマルヘッド1では、一対の
電極5,6間に通電することにより、抵抗体層4の発熱
抵抗体7からジュール熱が発生し、この熱が蓄熱層3に
蓄えられ、発熱抵抗体7の発熱となり、サーマルヘッド
1が臨むプラテンローラ9によって圧接されるたとえば
感熱記録紙10に感熱印画が行われる。
【0004】この従来例のサーマルヘッド1は、下記の
ような問題点を有している。
【0005】従来例のケイ酸ガラスからなる蓄熱層3
は、発熱抵抗体7にパルス状に通電した際に、蓄熱層3
内における熱放散の程度が大きい温度特性を有する。す
なわち発熱抵抗体7からの熱が蓄熱層3に十分蓄熱され
ずに絶縁基板2へ放熱され、さらに放熱板6に放熱され
る。したがって各発熱抵抗体7への駆動電力に対して感
熱記録に用いられる熱の比率、すなわち熱効率が低いと
いう課題を有している。
【0006】このような第1の従来例のサーマルヘッド
1の有する問題点を解決しようとする第2の従来例とし
て、例として特開昭52−100245が挙げられる。
本従来例の特徴は、蓄熱層3をポリイミド樹脂で形成し
てなる点である。ポリイミド樹脂は熱伝導率k=0.7
×10-4cal/mm・℃・秒であり、ケイ酸ガラスの
熱伝導率k=2.9×10-4cal/mm・℃・秒の約
4分の1であり、発熱抵抗体7からの熱が蓄熱層3およ
び絶縁基板2側へ、すなわち図11下方側へ放散する事
態を防止するようにしている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】前記第2の従来技術
は、ケイ酸ガラスなどのガラス材料の代わりにポリイミ
ド樹脂などの合成樹脂材料から成る保護層8を形成して
いるため、印画動作時には最高温度が300〜400°
Cに達する発熱抵抗体7に、合成樹脂製の蓄熱層3が直
接接触することになり、長時間使用すると抵抗体層4と
蓄熱層3との熱膨張率の差により抵抗体層4が蓄熱層3
から剥離し、サーマルヘッド1の信頼性が低下する場合
がある。
【0008】また感熱印画中に感熱記録紙10と保護層
8との間に、例としてゴミなどの異物が噛込んだ場合、
前記合成樹脂材料は機械的強度が比較的低いため、抵抗
体層4とその上の保護層8との間にクラックが入りやす
く、この点でもサーマルヘッド1の信頼性が低下する場
合がある。さらにサーマルヘッド1の図12に示す左右
方向両端部では、絶縁基板2あるいは放熱板6に熱が放
熱しやすいため、同一印加電力に対して左右方向中央位
置付近よりも印画濃度が薄くなり、濃度むらが発生し、
印画品質が低下するという課題を有している。
【0009】本考案の目的は、上述の技術的課題を解消
し、前記熱効率を向上させ、かつ印画品質を向上できる
サーマルヘッドを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本考案は、放熱部材上に
絶縁基板を固着するとともに、該絶縁基板上には蓄熱層
を介して複数の発熱抵抗体が配列されて成るサーマルヘ
ッドにおいて、前記放熱部材は発熱抵抗体の形成領域に
対応する部分に凹所を有し,かつ該凹所は発熱抵抗体の
配列方向両端へ向かって配列方向の交差方向に拡開する
ことを特徴とするサーマルヘッドである。
【0011】また本考案は、前記凹所は単一または複数
に分割されて成ることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明に従うサーマルヘッドにおいて、絶縁基
板上の複数の発熱抵抗体に駆動電力が印加されると、選
択された発熱抵抗体からジュール熱が発生する。この熱
は絶縁基板に関して放熱部材と反対側に伝達され、感熱
印画に寄与する。一方、前記発生した熱は放熱部材側に
も伝達されるが、前記放熱部材には複数の発熱抵抗体の
形成領域に対応する部分に凹所が形成されており、空気
層によって絶縁基板からの熱の放熱部材への伝達が阻止
される。
【0013】したがって伝達が阻止された熱は絶縁基板
上に形成されている蓄熱層に蓄熱され、絶縁基板温度が
急速に上昇する。絶縁基板温度が急速に上昇すると、前
記感熱印画動作において感熱記録媒体が発色する温度と
の差が急速に縮まるため、発熱抵抗体に印加される駆動
電力を抑制することができ、熱効率を向上することがで
きる。
【0014】またこのとき前記放熱部材の凹所は、発熱
抵抗体の配列方向両端側になるに従い前記配列方向の交
差方向に拡開する。したがって絶縁基板の両端側になる
に従い、放熱部材と絶縁基板との接触部が縮小して次第
に蓄熱量が増加する。したがって絶縁基板における発熱
抵抗体の配列方向両端部付近と残余の部分との温度差が
解消され、印画濃度を均一にすることができ、印画品質
を向上できる。
【0015】
【実施例】図1は本考案の一実施例のサーマルヘッド1
1の断面図であり、図2はサーマルヘッド11の平面図
であり、図3はサーマルヘッド11の上面側から見た斜
視図である。サーマルヘッド11は、たとえばアルミナ
Al23 系セラミックなどからなる絶縁基板12と、
絶縁基板12の全面に亘ってケイ酸ガラスを層厚t1
(例として80μm)に形成してなる蓄熱層13と、蓄
熱層13上に、たとえば窒化タンタルTa34を数10
0Åの膜厚に形成して得られる抵抗体層14とを備え
る。蓄熱層13を構成するケイ酸ガラスは、熱伝導率k
=2.9×10-4cal/mm・℃・秒である。
【0016】前記抵抗体層14上にアルミニウムAlな
どの金属薄膜をパターンニングして、共通電極15およ
び個別電極16を形成する。この共通電極15と個別電
極16とに挟まれた抵抗体層14の部分が、図2の左右
方向に複数相互に間隔をあけて配列され、個々の発熱抵
抗体17が構成される。各発熱抵抗体17を被覆し、た
とえば窒化ケイ素Si34などからなる保護層18が形
成される。各個別電極16は所定数毎に駆動回路素子2
1に接続され、この駆動回路素子21には外部から印画
動作用のデータや各種制御信号が入力される信号ライン
22が接続される。
【0017】前記共通電極15および個別電極16に挟
まれた抵抗体層14の部分により発熱抵抗体17が構成
され、プラテンローラ19で圧接される感熱記録紙20
を発色させ感熱印画を行う。前記絶縁基板12の蓄熱層
13と反対側には、たとえばアルミニウムなどの熱伝導
性の良好な金属材料をたとえば矩形板状に形成して成る
放熱板23がたとえば接着剤などで固着される。
【0018】図4はサーマルヘッド11の底部から見た
斜視図である。本実施例のサーマルヘッド11は、絶縁
基板12における主走査方向、すなわち図3左右方向
(矢符A1で示す)に沿う発熱抵抗体17の形成領域2
4に沿って延びる透孔25を放熱板23を貫通して形成
する。前記透孔25は、絶縁基板12の前記主走査方向
中央部付近で絶縁基板12の副走査方向に沿う長さL1
が最小な狭隘部26を有し、狭隘部26から絶縁基板1
2の前記主走査方向両側に向かうに従い、前記副走査方
向に沿う長さが次第に増大し、最端部では長さL2(L
1<L2)を有するように形成される。すなわち透孔2
5の図4上方側から見た平面視形状は狭隘部26を中心
にし、左右方向にそれぞれ台形状を構成する。
【0019】図5および図6は本実施例のサーマルヘッ
ド11の温度特性を示すグラフである。本実施例のサー
マルヘッド11は、放熱板23が前述したような形状を
有する透孔25を有するため、図1に示すように共通電
極15および個別電極16の間に通電して発熱抵抗体1
7を発熱駆動した際に、発熱抵抗体17から発生する熱
は蓄熱層13および絶縁基板12を経て放熱板23側に
伝達される。放熱板23には発熱抵抗体17の形成領域
24の下部に相当する際に透孔25が形成されているた
め、前記下方への熱の伝達が阻止される。
【0020】絶縁基板12では放熱板23に接触してい
る部分は熱の伝達が放熱板23に対して速やかに行われ
ているため、残余の部分よりも温度が低い。このため発
熱抵抗体17からの熱は絶縁基板12内の温度が低い部
分へ向かって伝導するが、従来技術の項で説明したよう
な絶縁基板の全面が放熱板と接触している場合と比較
し、放熱板23へ伝達される熱を抑制できる。
【0021】このため本実施例の温度特性である図5の
ライン27に示すように、従来技術のサーマルヘッド1
の温度特性を示すライン28と比較し、同一パルス幅P
1の駆動電力パルスに関して印画濃度D1に対し、印画
濃度D2を得ることができ、格段に高い印加濃度を得る
ことができる。したがって従来技術のライン28におけ
る印画濃度D2と同一の印画濃度を有するに必要な本実
施例におけるパルス幅P1は従来例における同様なパル
ス幅P2よりも格段に小さく、したがって印加電力を小
さくすることができる。この点で前述した熱効率の向上
を図ることができる。
【0022】また絶縁基板12の前記主走査方向に沿う
温度分布は本実施例の場合、図6のライン29に示さ
れ、従来例のサーマルヘッド1の温度特性はライン30
に示される。すなわち従来例では前述したように絶縁基
板12の主走査方向両端部付近と残余の部分とで濃度む
らが生じている。一方、本実施例では、前記透孔25が
絶縁基板12の主走査方向中央位置付近から両端側にな
るに従い、副走査方向の長さが次第に増加する形状であ
り、このため発熱抵抗体17は絶縁基板12の前記両端
部付近になるほど前記熱効率が良好となり、これにより
図6ライン29に示す均一な温度分布が得られる。した
がって感熱印画動作を行うに際して濃度むらが解消され
印画品質が格段に向上される。
【0023】また本実施例では蓄熱層13としてケイ酸
ガラスを用いたので、サーマルヘッド11を比較的長時
間使用した場合でも、蓄熱層13と抵抗体層14との熱
膨張の相違の程度を可及的に抑制することができ、両者
の間の剥離を防止することができる。これによりサーマ
ルヘッド11の信頼性を向上できる。また印画動作中に
感熱記録紙10と保護層18との間に塵埃などの異物が
噛込んだ場合でも、蓄熱層13は比較的機械的強度が高
く、このため保護層18にクラックが生じる事態が防止
され、この点においてもサーマルヘッド1の信頼性を向
上することができる。
【0024】図7は本考案の第2の実施例のサーマルヘ
ッド11aの放熱板23a側から見た底面図である。本
実施例において、前記透孔25はサーマルヘッド11a
の図7左右方向中央位置で分断され、それぞれ底面視形
状が台形状を成す一対の透孔25a,25bとして形成
される。本実施例では前記透孔25a,25bの間の連
結部29において、熱伝導性が良好となる。このような
サーマルヘッド11aは発熱抵抗体17の特性に応じて
適宜選択される。このようなサーマルヘッド11aによ
っても前記実施例のサーマルヘッド11において述べた
効果と同様な効果を達成することができる。
【0025】図8および図9は本考案の第3および第4
の実施例のサーマルヘッド11b,11cの底面図であ
る。図8のサーマルヘッド11bでは、放熱板23bに
おいてサーマルヘッド11bの前記主走査方向に沿い、
3つの相互に独立した透孔30,31,32が形成され
る。透孔31は前記主走査方向に沿って延びる平面視が
矩形であり、透孔30,32は透孔31から遠去かり絶
縁基板12の端部側になるに従い副走査方向に沿う長さ
が増大する台形状に形成される。このような形状の透孔
30〜32を用いるサーマルヘッド11bは、前記実施
例と同様に発熱抵抗体17の温度分布特性に従って適宜
選択して用いられる。このような実施例においても前述
の実施例で述べた効果と同様な効果を達成することがで
きる。
【0026】前記実施例では、透孔25,25a,25
b,30〜32を絶縁基板12の中央位置付近から長手
方向両端部側になるに従い副走査方向に沿う長さが直線
状に変化する形状として説明したけれども、他の変形例
として図9に示すように底面視における輪郭線が曲線の
透孔33であってもよいのは勿論である。
【0027】また前記各実施例において、透孔25,2
5a,25b,30〜33は放熱板23を貫通した貫通
孔として形成されたけれども、絶縁基板12に臨む表面
がその平面視形状において図4に示す透孔25の平面視
形状と同一であり、放熱板23dの板厚d1より小さな
深さd2で凹所34を形成するようにしてもよい。本実
施例ではこの凹所34は放熱板23dにおいて前記主走
査方向両端部が開放され、開口35,36を有する形状
に形成される。
【0028】本考案のその他の変形例として、図10に
示す凹所34の前記両端部における開口35,36は一
方側端部のみであってもよく、またその両端部が閉止さ
れた形状であってもよい。
【0029】また前記実施例においては、抵抗体層14
などがスッパタリングやCVD(化学的気相成長法)な
どの薄膜技術で形成されている薄膜型サーマルヘッドに
ついて説明したけれども、その他スクリーン印刷などの
厚膜技術で形成される厚膜型サーマルヘッドに対しても
実施できるものであり、またいわゆるシリアル型サーマ
ルヘッドに対しても同様に実現されるものである。
【0030】
【考案の効果】以上のように本考案に従えば、放熱部材
には複数の発熱抵抗体の形成範囲に対応する部分に凹所
が形成されており、空気層によって絶縁基板からの熱の
放熱部材への伝達が阻止される。
【0031】したがって伝達が阻止された熱は絶縁基板
上に形成されている蓄熱層に蓄熱され、絶縁基板温度が
急速に上昇する。絶縁基板温度が急速に上昇すると、前
記感熱印画動作において感熱記録媒体が発色する温度と
の差が急速に縮まるため、発熱抵抗体に印加される駆動
電力を抑制することができ、熱効率を向上することがで
きる。
【0032】またこのとき前記放熱部材の凹所は、発熱
抵抗体の配列方向両端側になるに従い前記配列方向の交
差方向に拡開する。したがって絶縁基板の両端側になる
に従い、放熱部材と絶縁基板との接触部が縮小して次第
に蓄熱量が増加する。したがって絶縁基板における発熱
抵抗体の配列方向両端部付近と残余の部分との温度差が
解消され、印画濃度を均一にすることができ、印画品質
を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例のサーマルヘッド11の断面
図である。
【図2】サーマルヘッド11の平面図である。
【図3】サーマルヘッド11の上部側から見た斜視図で
ある。
【図4】サーマルヘッド11の底部側から見た斜視図で
ある。
【図5】サーマルヘッド1,11の印加される同一駆動
電力のパルス幅に対する印画濃度の変化を示すグラフで
ある。
【図6】サーマルヘッド1,11の印画濃度分布を示す
グラフである。
【図7】本考案の第2の実施例のサーマルヘッド11a
の底面図である。
【図8】本考案の第3実施例のサーマルヘッド11bの
底面図である。
【図9】本考案の第4実施例の底面図である。
【図10】本考案の第5実施例のサーマルヘッド11d
の底部側から見た斜視図である。
【図11】実施例のサーマルヘッド1の断面図である。
【図12】サーマルヘッド1の底部側から見た斜視図で
ある。
【符号の説明】
11,11a〜11d サーマルヘッド 12 絶縁基板 13 蓄熱層 14 抵抗体層 17 発熱抵抗体 18 保護層 25,25a,25b,30〜33 透孔 26 狭隘部 34 凹所

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放熱部材上に絶縁基板を固着するととも
    に、該絶縁基板上には蓄熱層を介して複数の発熱抵抗体
    が配列されて成るサーマルヘッドにおいて、前記放熱部
    材は発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に凹所を有
    し,かつ該凹所は発熱抵抗体の配列方向両端へ向かって
    配列方向の交差方向に拡開することを特徴とするサーマ
    ルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記凹所は単一または複数に分割されて
    成ることを特徴とする請求項1記載のサーマルヘッド。
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