JPH0513751U - サーマルヘツド - Google Patents

サーマルヘツド

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JPH0513751U
JPH0513751U JP6241391U JP6241391U JPH0513751U JP H0513751 U JPH0513751 U JP H0513751U JP 6241391 U JP6241391 U JP 6241391U JP 6241391 U JP6241391 U JP 6241391U JP H0513751 U JPH0513751 U JP H0513751U
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JP
Japan
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heat
thermal head
insulating substrate
heat dissipation
thermal
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JP6241391U
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利昭 道廣
光秀 有島
強 安富
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱効率を向上させ、かつ印画品質を向上でき
るサーマルヘッドを提供することである。 【構成】 絶縁基板12上には、蓄熱層13と抵抗体層
14と電極15,16とが形成され、発熱抵抗体17が
構成される。発熱抵抗体17からの熱は蓄熱層13、絶
縁基板12を介して放熱板23側へ伝達しようとする
が、透孔25で阻止され、この阻止された熱は絶縁基板
12に蓄熱され、発熱抵抗体17から感熱記録紙20側
に向かう熱とともに感熱印画動作に用いられる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例としてファクシミリ通信装置などの印画出力装置に組込まれるサ ーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
図24はサーマルヘッド1の底部から見た斜視図であり、図25は、従来例の サーマルヘッド1の断面図である。サーマルヘッド1は、たとえば酸化アルミニ ウムAl23などのセラミックなどからなり、比較的高い熱伝導率を有する絶縁 基板2を備え、その上にケイ酸ガラスからなる蓄熱層3が形成され、その上にた とえば窒化タンタルTa34などを数100Åの膜厚で形成して得られる抵抗体 層4を形成する。抵抗体層4上には、相互に間隔をあけて複数の個別電極5aと 共通電極5bが形成され、電極5a,5bに挟まれる抵抗体層4の部分が発熱抵 抗体7として構成される。このような電極5a,5bを全面に被覆して、窒化ケ イ素Si34などからなる保護層8が形成される。絶縁基板2の裏面にはアルミ ニウムなどの金属をダイカスト成型して得られる矩形状の放熱板6が固着される 。
【0003】 このようなサーマルヘッド1では、一対の電極5,6間に通電することにより 、抵抗体層4の発熱抵抗体7からジュール熱が発生し、この熱が蓄熱層3に蓄え られ、発熱抵抗体7の発熱となり、サーマルヘッド1が臨むプラテンローラ9に よって圧接されるたとえば感熱記録紙10に感熱印画が行われる。
【0004】 この従来例のサーマルヘッド1は、下記のような問題点を有している。
【0005】 従来例のケイ酸ガラスからなる蓄熱層3は、発熱抵抗体7にパルス状に通電し た際に、蓄熱層3内における熱放散の程度が大きい温度特性を有する。すなわち 発熱抵抗体7からの熱が蓄熱層3に十分蓄熱されずに絶縁基板2へ放熱され、さ らに放熱板6に放熱される。したがって各発熱抵抗体7への駆動電力に対して感 熱記録に用いられる熱の比率、すなわち熱効率が低いという課題を有している。
【0006】 このような第1の従来例のサーマルヘッド1の有する問題点を解決しようとす る第2の従来例として、例として特開昭52−100245が挙げられる。本従 来例の特徴は、蓄熱層3をポリイミド樹脂で形成してなる点である。ポリイミド 樹脂は熱伝導率k=0.7×10-4cal/(m・秒)・℃であり、ケイ酸ガラ スの熱伝導率k=2.9×10-4cal/(m・秒)・℃の約4分の1であり、 発熱抵抗体7からの熱が蓄熱層3および絶縁基板2側へ、すなわち図25下方側 へ放散する事態を防止するようにしている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
前記第2の従来技術は、ケイ酸ガラスなどのガラス材料の代わりにポリイミド 樹脂などの合成樹脂材料から成る保護層8を形成しているため、印画動作時には 最高温度が300〜400°Cに達する発熱抵抗体7に、合成樹脂製の蓄熱層3 が直接接触することになり、長時間使用すると抵抗体層4と蓄熱層3との熱膨張 率の差により抵抗体層4が蓄熱層3から剥離し、サーマルヘッド1の信頼性が低 下する場合がある。
【0008】 また感熱印画中に感熱記録紙10と保護層8との間に、例としてゴミなどの異 物が噛込んだ場合、前記合成樹脂材料は機械的強度が比較的低いため、抵抗体層 4とその上の保護層8との間にクラックが入りやすく、この点でもサーマルヘッ ド1の信頼性が低下する場合がある。
【0009】 本考案の目的は、上述の技術的課題を解消し、前記熱効率を向上させ、かつ印 画品質を向上できるサーマルヘッドを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案は、金属材料から成る放熱部材上に、セラミックから成る絶縁基板を固 着するとともに、該絶縁基板上には蓄熱層を介して複数の発熱抵抗体が配列され て成るサーマルヘッドにおいて、 前記放熱部材は発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に板厚方向に貫通する透 孔を有することを特徴とするサーマルヘッドである。
【0011】 また本考案は、前記透孔は、放熱部材よりも熱伝導率が小さな合成樹脂材料で 充填されることを特徴とする。
【0012】 また本考案は、金属材料から成る放熱部材上に、セラミックから成る絶縁基板 を固着するとともに、該絶縁基板上には蓄熱層を介して複数の発熱抵抗体が配列 されて成るサーマルヘッドにおいて、 前記放熱部材は発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に溝部を有することを特 徴とするサーマルヘッドである。
【0013】 また本考案は、前記溝部は、放熱部材よりも熱伝導率が小さな合成樹脂材料で 充填されることを特徴とする。
【0014】
【作用】
本考案に従うサーマルヘッドにおいて、セラミックから成り、絶縁基板上の複 数の発熱抵抗体に駆動電力が印加されると、選択された発熱抵抗体からジュール 熱が発生する。この熱は絶縁基板に関して金属から成る放熱部材と反対側に伝達 され、感熱印画に寄与する。一方、前記発生した熱は放熱部材側にも伝達される が、前記放熱部材には発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に透孔または凹溝が 形成されており、空気層によって絶縁基板からの熱の放熱部材への伝達が阻止さ れる。
【0015】 したがって伝達が阻止された熱は絶縁基板に蓄熱され、絶縁基板温度が急速に 上昇する。絶縁基板温度が急速に上昇すると、前記感熱印画動作において感熱記 録媒体が発色する温度との差が急速に縮まるため、発熱抵抗体に印加される駆動 電力を抑制することができ、熱効率を向上することができる。
【0016】 また前記透孔または溝部に放熱部材よりも熱伝導率が小さな合成樹脂材料が充 填される場合、充填される合成樹脂材料の熱伝導率を適宜選択することにより、 発熱抵抗体から発生した熱の発熱抵抗体および絶縁基板における蓄熱の程度を適 宜制御することができる。また前記透孔および溝部においても、放熱部材は前記 合成樹脂材料を接着剤として絶縁基板に固着され、サーマルヘッドの機械的強度 を向上することができる。また、放熱部材に絶縁透孔または溝部を形成した際に 想定される放熱部材の機械的強度の低下を防止することができる。
【0017】
【実施例】
図1は本考案の一実施例のサーマルヘッド11の断面図であり、図2はサーマ ルヘッド11の平面図であり、図3はサーマルヘッド11の上面側から見た斜視 図であり、図4はサーマルヘッド11の底部から見た斜視図である。サーマルヘ ッド11は、たとえばアルミナAl23 系セラミックなどからなり、長さL1 (例として270mm)、幅W1(例として13mm)、板厚t2(例として0 .6mm)の絶縁基板12と、絶縁基板12の全面に亘ってケイ酸ガラスを層厚 t1(例として80μm)に形成してなる蓄熱層13と、蓄熱層13上に、たと えば窒化タンタルTa34を数100Åの膜厚に形成して得られる抵抗体層14 とを備える。蓄熱層13を構成するケイ酸ガラスは、熱伝導率k=2.9×10 -4 cal/cm・秒・℃である。
【0018】 前記抵抗体層14上にアルミニウムAlなどの金属薄膜をパターンニングして 、共通電極15および個別電極16を形成する。この共通電極15と個別電極1 6とに挟まれた抵抗体層14の部分が、図2の左右方向に複数相互に間隔をあけ て配列され、個々の発熱抵抗体17が構成される。各発熱抵抗体17を被覆し、 たとえば窒化ケイ素Si34などからなる保護層18が形成される。各個別電極 16は所定数毎に駆動回路素子21に接続され、この駆動回路素子21には外部 から印画動作用のデータや各種制御信号が入力される信号ライン22が接続され る。
【0019】 前記共通電極15および個別電極16に挟まれた抵抗体層14の部分により発 熱抵抗体17が構成され、プラテンローラ19で圧接される感熱記録紙20を発 色させ感熱印画を行う。前記絶縁基板12の蓄熱層13と反対側には、たとえば アルミニウムなどの熱伝導性の良好な金属材料(アルミニウムでは熱伝導率k= 560×10-3cal/cm・秒・℃)をたとえば長さL2(例として290m m)、幅W2(例として27.5mm)、板厚t3(例として3mm)の矩形板 状に形成して成る放熱板23がたとえば接着剤などで固着される。
【0020】 本実施例のサーマルヘッド11は、図4に示されるように絶縁基板12におけ る主走査方向、すなわち図3左右方向(矢符A1で示す)に沿う発熱抵抗体17 の形成領域24に沿って延びる長さL3(例として270mm)、幅W3(例と して3mm)の平面視が矩形状の透孔25を放熱板23を貫通して形成する。
【0021】 図5は本実施例のサーマルヘッド11の濃度特性を示すグラフである。本実施 例のサーマルヘッド11は、放熱板23が前述したような形状を有する透孔25 を有するため、図1に示すように共通電極15および個別電極16の間に通電し て発熱抵抗体17を発熱駆動した際に、発熱抵抗体17から発生する熱は蓄熱層 13および絶縁基板12を経て放熱板23側に伝達される。放熱板23には発熱 抵抗体17の形成領域24の下部に相当する際に透孔25が形成されているため 、前記下方への熱の伝達が阻止される。
【0022】 絶縁基板12では放熱板23に接触している部分は熱の伝達が放熱板23に対 して速やかに行われているため、残余の部分よりも温度が低い。このため発熱抵 抗体17からの熱は絶縁基板12内の温度が低い部分へ向かって伝導するが、従 来技術の項で説明したような絶縁基板の全面が放熱板と接触している場合と比較 し、放熱板23へ伝達される熱を抑制できる。
【0023】 このため本実施例の濃度特性である図5のライン27に示すように、従来技術 のサーマルヘッド1の濃度特性を示すライン28と比較し、同一パルス幅P1の 駆動電力パルスに関して印画濃度D1に対し、印画濃度D2を得ることができ、 格段に高い印加濃度を得ることができる。したがって従来技術のライン28にお ける印画濃度D2と同一の印画濃度を有するに必要な本実施例におけるパルス幅 P1は従来例における同様なパルス幅P2よりも格段に小さく、したがって印加 電力を小さくすることができる。この点で前述した熱効率の向上を図ることがで きる。
【0024】 また本実施例では蓄熱層13としてケイ酸ガラスを用いたので、サーマルヘッ ド11を比較的長時間使用した場合でも、蓄熱層13と抵抗体層14との熱膨張 の相違の程度を可及的に抑制することができ、両者の間の剥離を防止することが できる。これによりサーマルヘッド11の信頼性を向上できる。また印画動作中 に感熱記録紙20と保護層18との間に塵埃などの異物が噛込んだ場合でも、蓄 熱層13は比較的機械的強度が高く、このため保護層18にクラックが生じる事 態が防止され、この点においてもサーマルヘッド1の信頼性を向上することがで きる。
【0025】 図6は本考案の第2の実施例のサーマルヘッド11aの放熱板23a側から見 た底面図である。本実施例において、前記透孔25はサーマルヘッド11aの図 6左右方向中央位置で分断され、それぞれ底面視形状が矩形状を成す一対の透孔 25a,25bとして形成される。本実施例では前記透孔25a,25bの間の 連結部29において、熱伝導性が良好となり、かつ、放熱板23の機械的強度が 向上される。このようなサーマルヘッド11aは発熱抵抗体17の特性に応じて 適宜選択される。このようなサーマルヘッド11aによっても前記実施例のサー マルヘッド11において述べた効果と同様な効果を達成することができる。
【0026】 図7は本考案の第3の実施例のサーマルヘッド11bの底面図である。図7の サーマルヘッド11bでは、放熱板23bにおいてサーマルヘッド11bの前記 主走査方向に沿い、3つの相互に独立した透孔30,31,32が形成される。 透孔30〜32は前記主走査方向に沿って延びる平面視が矩形に形成される。こ のような形状の透孔30〜32を用いるサーマルヘッド11bは、前記実施例と 同様に発熱抵抗体17の温度分布特性に従って適宜選択して用いられる。このよ うな実施例においても前述の実施例で述べた効果と同様な効果を達成することが できる。
【0027】 図8は本考案の図4の実施例のサーマルヘッド11cの断面図である。本実施 例は図1〜図4に示した第1の実施例のサーマルヘッド11に類似し、対応する 部分には同一の参照符号を付す。本実施例の注目すべき点は、前記第1の実施例 におけるサーマルヘッド11で透孔25が形成された放熱板23と同様に、第1 実施例と同様な透孔25が形成された放熱板23cを用いる。本実施例では、放 熱板23cの前記透孔25中に、放熱板23cを形成するアルミニウムの前記熱 伝導率よりも小さな熱伝導率のエポキシ樹脂(熱伝導率k=3.0×10-4ca l/cm・秒・℃)から成る樹脂層30を充填する。
【0028】 本実施例では、発熱抵抗体17から発生した熱のうち、蓄熱層13から絶縁基 板12に伝達する熱は、放熱板23cの透孔25部分で樹脂層30に熱の伝達が 急激に阻止される。絶縁基板12の中でも放熱板23cに接触している部分は、 熱の伝達が速やかに行われているため温度が低下する。そのため、樹脂層30と 接触している絶縁基板12内の熱は、絶縁基板12内の温度が低い領域に向かっ て伝導してゆく。
【0029】 しかしながら、従来技術のように放熱板と絶縁基板との全ての面が接触してい る場合と比較し、放熱板23cへ伝達する熱が抑制され、また樹脂層30が伝達 された熱を次第に蓄熱するので、絶縁基板12の温度が上昇する。これにより、 絶縁基板12の温度が上昇すると、感熱記録紙20が発色するしきい値温度との 温度差が縮小するため、発熱抵抗体17へ印加されるパルス電力を減少すること ができる。
【0030】 図9は本実施例のサーマルヘッド11cの底部から見た斜視図である。本件考 案者は、図8および図9に示す本実施例のサーマルヘッド11cと従来例のサー マルヘッド1とを用いて、印加パルスのエネルギーを変えて感熱記録紙に印字し 、そのときの濃度を測定した。その結果は下記第1表に示され、変化の状態は図 10のグラフに示される。
【0031】
【表1】
【0032】 図10においてライン31は本考案の場合であり、ライン32は従来品を示す。 図10からも分かるように、同一の印加エネルギーでは本実施例のサーマルヘッ ド11cのほうが高い印画濃度を達成する。従って、従来品と同一の印画濃度で は本実施例のサーマルヘッド11cが印加電力を抑制できる。従って前述の効果 を達成することができる。
【0033】 図11は本考案の第5の実施例のサーマルヘッド11dの断面図である。本考 案のサーマルヘッド11dは、図8に示した実施例のサーマルヘッド11cの放 熱板23cと同様な形状の放熱板23dを用い、透孔25内に予めアクリル樹脂 から前記透孔25と同一寸法、すなわち長さ270mm、幅3mm、板厚3mm の直方体状に加工した樹脂体33を挿入し、たとえばエポキシ樹脂などから成る 接着剤34を介して固着する構成である。
【0034】 前記アクリル樹脂の熱伝導率はk=4〜6×10- 4cal/cm・秒・℃で あり、本実施例でも前述の実施例で述べた効果と同様な効果を達成することがで きる。
【0035】 図8に示した実施例および図11に示した本実施例において、放熱板23c, 23dの透孔25内に充填される樹脂層30あるいは樹脂体33が具備すべき熱 的条件を調べるために、本件考案者は図11の放熱板23dの透孔25内に熱伝 導性樹脂(SE4400,東レダウコーニングシリコーン社製)を注入したサン プルを作成して、前述の実施例で説明した熱効率を調べた。熱伝導性樹脂SE4 400の熱伝導率はk=2.2×10- 3cal/cm・秒・℃と、前記エポキ シ樹脂に比べると格段に大きい。このような実験結果は、下記第2表、
【0036】
【表2】
【0037】 に示され、その変化状態は図12のライン35に示される。すなわち、この熱伝 導性樹脂を用いたサンプルでは、従来例との間に熱特製の有意な相違は見られて いない。すなわち、これらの点で、放熱板23c,23dの透孔25内に注入す る樹脂層30あるいは樹脂体33は、その熱伝導率が2.2×10-3cal/c m・秒・℃より小さいほうがよく、好適には3.0×10-4cal/cm・秒・ ℃以下の熱特性が好ましいことが理解される。
【0038】 図13は本考案の第6の実施例のサーマルヘッド11eの断面図であり、図1 4はサーマルヘッド11eの斜視図である。本実施例は前述の実施例に類似し、 対応する部分には同一の参照符号を付す。本実施例の注目すべき点は、図1に示 す実施例において、直方体状の放熱板23に対し絶縁基板12上の発熱抵抗体1 7の形成領域24に対応する範囲に、長さL4(例として270mm)、幅W4 (例として5mm)、深さd1(1mm)の凹溝36を形成したことである。こ のような実施例においても、図1の実施例において説明した原理により、発熱抵 抗体17から発生して絶縁基板12へ伝達する熱のうち、放熱板23を介して放 熱される割合を抑制することができ、これにより同一濃度の印字に必要な印加電 力を抑制することができる。
【0039】 本件考案者は、従来技術に示したサーマルヘッド1と、本実施例のサーマルヘ ッド11e、更に凹溝36の幅W4を10mm(図3の実施例の凹溝25の幅の 倍の幅)としたサンプルを作成し、印加パルスのパルス幅を変えて、すなわち印 加エネルギーを変えて感熱記録紙に印字し、その濃度を測定した。測定結果を下 記第3表に示す。
【0040】
【表3】
【0041】 また、図13のサーマルヘッド11eと従来例のサーマルヘッド1との濃度の 変化は図15のライン37,38にそれぞれ示され、凹溝36の幅W4を10m mとした実施例と、従来例のサーマルヘッド1との濃度の比較は、図16のライ ン39,40にそれぞれ示される。図15および図16から理解されるように、 いずの実施例であっても、前記各実施例において説明したように、同一濃度を得 るに必要な印加エネルギーしたがってパルス幅を縮小することができる。一方、 凹溝36の幅W4は増大するほど図16のライン39のラインの立ち上がりが急 峻となることが想定され、したがって前記幅W4が過大になると、発熱抵抗体1 7から発生した熱が過剰に絶縁基板12に蓄熱され、前記発熱抵抗体17への印 加電力を除去しても、感熱記録紙20が発色するいわゆる「尾引き」現象が生じ ることになり、前記幅W4の程度は適宜選ばれるものである。
【0042】 図17は本考案の第7の実施例のサーマルヘッド11fの断面図である。本実 施例のサーマルヘッド11fは、放熱板23fが比較的薄い場合である。すなわ ち、図13のサーマルヘッド11eでは板厚t3(1.2mm)の放熱板23e に、深さd1(1.0mm)の凹溝36を形成している。したがって放熱板23 eの板厚t3が前記例よりも更に薄くなれば、前述したような凹溝36を形成す ると放熱板23eの機械的強度が減少する。したがってそのような場合には、図 17に示すように放熱板23fに、例としてプレス加工による打ち出し処理によ り凹部37を形成し、凹部37と絶縁基板12との間に凹溝36を形成する。
【0043】 このような実施例においても、前述したような実施例における効果と同様な効 果を達成することができる。
【0044】 図18の本考案の第8の実施例のサーマルヘッド11gの断面図であり、図1 9はサーマルヘッド11gの斜視図である。本実施例は、前記図13および図1 4を参照して説明したサーマルヘッド11eと類似し、サーマルヘッド11eに おける放熱板23eと同形の放熱板23gの凹溝36内に、放熱板23gと絶縁 基板12とを固着するに先立って、放熱板23gの上方から前述したようなエポ キシ樹脂を注入し、樹脂層30を形成するようにしている。本実施例においては 、前記図8〜図10を参照して説明した実施例のサーマルヘッド11cに関して 述べた効果と同様な効果を達成することができる。また、本件考案者は本実施例 のサーマルヘッド11gと従来例のサーマルヘッド1とに対して、印加パルスす なわち印加エネルギーを変えて感熱記録紙20に現れる印画濃度を測定した。こ の測定結果は、前記第1表に示すデータと同一のデータが得られ、したがって本 実施例のサーマルヘッド11gと従来例のサーマルヘッド1との濃度の変化を占 める図20のライン38,39は、前記図10のライン31,32と同様な変化 をすることが確認された。すなわち前記サーマルヘッド11cに関して述べた効 果と同様な効果を達成することができる。
【0045】 図21は本考案の第9の実施例のサーマルヘッド11hの断面図である。本実 施例は図18のサーマルヘッド11gの構成に類似する。すなわち本実施例では 、サーマルヘッド11gの放熱板23gと同形の放熱板23hを用い、予め幅W 5(例として3mm)、板厚t2(例として1mm)、長さすなわち図21の紙 面垂直方向の長さを例として270mmとする直方体状のアクリル樹脂から成る 樹脂体33を挿入するようにしている。すなわち放熱板23hに絶縁基板12を 固着するに先立って、透孔25内にエポキシ樹脂などの接着剤24を介して、前 記樹脂体33を挿入し固着する。
【0046】 このような実施例においても、前記実施例のサーマルヘッド11gで説明した 効果と同様な効果を達成することができる。また凹溝36内に充填される樹脂層 30および樹脂体33の有すべき熱的特性を調べるために、凹溝36内に前記図 11および図12を参照して説明した熱伝導性樹脂(SE4400、東レダウコ ーニングシリコーン社製)を注入した。このような熱伝導性樹脂を用いたサーマ ルヘッドと従来例のサーマルヘッド1とで印加電力を変えて濃度を調べると、前 記図12でも説明したように、図22においてもライン40は従来例と熱伝導性 樹脂を用いる例との濃度変化を共に示すものとなり、両者の間に有意な相違は発 見されなかった。したがって前述の実施例でも述べたように、充填される樹脂材 料の熱伝導率は、2.2×10-3cal/cm・秒・℃より小さいほうがよいが 、好適には3.0×10-4cal/cm・秒・℃以下の熱特性が好ましいことが 理解される。
【0047】 図23は本考案の第10の実施例のサーマルヘッド11iの断面図である。本 実施例のサーマルヘッド11iは、放熱板23iが比較的薄い場合である。すな わち、図13のサーマルヘッド11eでは板厚t3(1.2mm)の放熱板23 eに、深さd1(1.0mm)の凹溝36を形成している。したがって放熱板2 3eの板厚t3が前記例よりも更に薄くなれば、前述したような凹溝36を形成 すると放熱板23eの機械的強度が減少する。したがってそのような場合には、 図17に示すように放熱板23iに、例としてプレス加工による打ち出し処理に より凹部37を形成し、凹部37と絶縁基板12との間に凹溝36を形成する。
【0048】 このようにして構成される凹溝36内には前述の実施例で説明したエポキシ樹 脂から成る樹脂層30が充填される。したがって、このような実施例においても 、前述したような実施例における効果と同様な効果を達成することができる。
【0049】 前記各実施例においては、電極15,16や抵抗体層14などがスッパタリン グやCVD(化学的気相成長法)などの薄膜技術で形成されている薄膜型サーマ ルヘッドについて説明したけれども、その他スクリーン印刷などの厚膜技術で形 成される厚膜型サーマルヘッドに対しても実施できるものであり、またいわゆる シリアル型サーマルヘッドに対しても同様に実現されるものである。
【0050】 また前記各実施例における各部の寸法の数値例あるいは材料名などは一例を示 すものであり、各実施例において説明した、各部の有すべき機械的特性あるいは 熱的特性を満足する範囲であれば、寸法や材料は上記各例示した種類に限定され ないのは勿論である。
【0051】
【考案の効果】
以上のように本考案に従えば、セラミックから成り、絶縁基板上の複数の発熱 抵抗体に駆動電力が印加されると、選択された発熱抵抗体からジュール熱が発生 する。この熱は絶縁基板に関して金属から成る放熱部材と反対側に伝達され、感 熱印画に寄与する。一方、前記発生した熱は放熱部材側にも伝達されるが、前記 放熱部材には発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に透孔または凹溝が形成され ており、空気層によって絶縁基板からの熱の放熱部材への伝達が阻止される。
【0052】 したがって伝達が阻止された熱は絶縁基板に蓄熱され、絶縁基板温度が急速に 上昇する。絶縁基板温度が急速に上昇すると、前記感熱印画動作において感熱記 録媒体が発色する温度との差が急速に縮まるため、発熱抵抗体に印加される駆動 電力を抑制することができ、熱効率を向上することができる。
【0053】 また前記透孔または溝部に放熱部材よりも熱伝導率が小さな合成樹脂材料が充 填される場合、充填される合成樹脂材料の熱伝導率を適宜選択することにより、 発熱抵抗体から発生した熱の発熱抵抗体および絶縁基板における蓄熱の程度を適 宜制御することができる。また前記透孔および溝部においても、放熱部材は前記 合成樹脂材料を接着剤として絶縁基板に固着され、サーマルヘッドの機械的強度 を向上することができる。また、放熱部材に絶縁透孔または溝部を形成した際に 想定される放熱部材の機械的強度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例のサーマルヘッド11の断面
図である。
【図2】サーマルヘッド11の平面図である。
【図3】サーマルヘッド11の上部側から見た斜視図で
ある。
【図4】サーマルヘッド11の底部側から見た斜視図で
ある。
【図5】本実施例の作用を説明するグラフである。
【図6】本考案の第2の実施例のサーマルヘッド11a
の底面図である。
【図7】本考案の第3の実施例のサーマルヘッド11b
の底面図である。
【図8】本考案の第4実施例のサーマルヘッド11cの
断面図である。
【図9】サーマルヘッド11cの底部から見た斜視図で
ある。
【図10】本実施例の作用を説明するグラフである。
【図11】他の実施例のサーマルヘッド11dの断面図
である。
【図12】樹脂層30および樹脂体33の熱的特性を説
明するグラフである。
【図13】他の実施例のサーマルヘッド11eの断面図
である。
【図14】サーマルヘッド11eの斜視図である。
【図15】本実施例の作用を説明するグラフである。
【図16】本実施例の作用を説明するグラフである。
【図17】他の実施例のサーマルヘッド11fの断面図
である。
【図18】他の実施例のサーマルヘッド11gの断面図
である。
【図19】サーマルヘッド11gの斜視図である。
【図20】本実施例の作用を説明するグラフである。
【図21】他の実施例のサーマルヘッド11hの断面図
である。
【図22】樹脂層30および樹脂体33の熱的特性を説
明するグラフである。
【図23】他の実施例のサーマルヘッド11iの断面図
である。
【図24】従来例のサーマルヘッド1の底部から見た斜
視図である。
【図25】サーマルヘッド1の断面図である。
【符号の説明】
11,11a〜11i サーマルヘッド 12 絶縁基板 13 蓄熱層 14 抵抗体層 17 発熱抵抗体 23,23a〜23i 放熱板 24 形成領域 25,25a〜23c 透孔 30 樹脂層 33 樹脂体 36 凹溝 37 凹部

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料から成る放熱部材上に、セラミ
    ックから成る絶縁基板を固着するとともに、該絶縁基板
    上には蓄熱層を介して複数の発熱抵抗体が配列されて成
    るサーマルヘッドにおいて、 前記放熱部材は発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に
    板厚方向に貫通する透孔を有することを特徴とするサー
    マルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記透孔は、放熱部材よりも熱伝導率が
    小さな合成樹脂材料で充填されることを特徴とする請求
    項1記載のサーマルヘッド。
  3. 【請求項3】 金属材料から成る放熱部材上に、セラミ
    ックから成る絶縁基板を固着するとともに、該絶縁基板
    上には蓄熱層を介して複数の発熱抵抗体が配列されて成
    るサーマルヘッドにおいて、 前記放熱部材は発熱抵抗体の形成領域に対応する部分に
    溝部を有することを特徴とするサーマルヘッド。
  4. 【請求項4】 前記溝部は、放熱部材よりも熱伝導率が
    小さな合成樹脂材料で充填されることを特徴とする請求
    項3記載のサーマルヘッド。
JP6241391U 1991-08-07 1991-08-07 サーマルヘツド Pending JPH0513751U (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5083140U (ja) * 1973-12-07 1975-07-16

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