JP3263120B2 - サーマルヘッド - Google Patents

サーマルヘッド

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JP3263120B2
JP3263120B2 JP11132092A JP11132092A JP3263120B2 JP 3263120 B2 JP3263120 B2 JP 3263120B2 JP 11132092 A JP11132092 A JP 11132092A JP 11132092 A JP11132092 A JP 11132092A JP 3263120 B2 JP3263120 B2 JP 3263120B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッドの部分
グレーズに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、サーマルヘッドとしては主として
部分グレーズが用いられている。図4はその構成例を示
す断面図であり、セラミック基板1上にガラス等からな
る部分グレーズ2が形成され、その上には発熱素子とな
る抵抗体3、電極4、保護層5がこの順序に形成されて
いる。
【0003】ところで、部分グレーズ2に対しては、
被印字体との接触性が良好であること、幅l及び高さ
hにバラツキが少ないこと、そして、適正な熱伝導性
と熱容量を有することが要求され、上記及びの条件
を満足させるためには幅lが狭く、且つ高さhが高いグ
レーズを形成すればよいことは理論的に明かではある
が、部分グレーズ2の幅lを従来より狭く、且つ高さh
を従来より高くすると、現実には製造上の問題があって
幅l、高さhにバラツキを生じ、従って上記の条件を
満足することができないために印字品質を損なうばかり
でなく、生産性も劣化するものである。
【0004】これに対して、例えば特開平2−8825
2号公報や特開昭60−180853号公報にみられる
ように、画質を向上させるためにグレーズを2層にした
り、あるいは例えば特開昭63−262458号公報、
特開昭63−34156号公報にみられるように、グレ
ーズの中央部に突部を設けることにより印字品質を向上
させる等の種々の試みが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
試みは何れにしても構造が複雑であり、従って製造が面
倒であって、コストの上昇を招くものであった。
【0006】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、簡単な構造で上記3つの条件を満足できるサーマ
ルヘッドを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的を達
成するために、本発明のサーマルヘッドは、基板上に所
定の間隔をもって形成された2本の絶縁体層に部分グレ
ーズが形成されてなるサーマルヘッドであって、前記絶
縁体層の熱伝導率は前記部分グレーズを構成する材料の
熱伝導率よりは高く、且つ前記基板の熱伝導率と同等も
しくはそれ以下となされていることを特徴とする。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
図1は本発明に係るサーマルヘッドの一実施例の構成の
断面を示す図である。なお、図1において、図4と同じ
構成要素に対しては同一の符号を付す。以下、同様であ
る。
【0009】図1は、セラミック基板1に溝6が形成さ
れている点で図4に示す従来の構成と異なっている。溝
6は、適宜の切削加工方法により、部分グレーズ2の略
中央部に、部分グレーズ2が形成される方向と平行に形
成されており、その幅bは部分グレーズ2の幅lより狭
くなされている。
【0010】図1の構成によれば、溝6の部分のグレー
ズに特に集中して蓄熱できる、即ち発熱部近傍のみの熱
効率を選択的に向上させることができるので、従来と同
じ印字濃度を得ようとする場合には、印字位置に対する
濃度の特性は図2Cの10で示すようになり、同図にお
いて11で示す従来のサーマルヘッドにおける印字位置
に対する濃度の特性に比較してより急峻な特性となるの
で、従来に比較してシャープなドットを印字することが
できる。なお、図2Aは従来のサーマルヘッドの構成を
示し、図2Bは図1に示す本発明に係るサーマルヘッド
の構成を示すものである。
【0011】また、図1の構成においては発熱素子の中
心近傍のみの蓄熱度を向上できるので、従来と同じエネ
ルギーを印加した場合の各ヘッドの印字ドットの濃度分
布は図2Dの20で示すようになり、同図中21で示す
従来の濃度分布に比較して濃度を高くすることができ
る。このことは、逆にいえば、本発明に係るサーマルヘ
ッドでは、同濃度を得るためのエネルギーを少なくする
ことができるため、ヘッド用電源の容量を小さくするこ
とができ、且つヘッドの耐久性を向上させることが可能
となることを意味しているものである。
【0012】溝6の深さa及び幅bは任意に設定できる
ものであり、これにより熱効率を制御することが可能で
あるが、深さaを深くすればする程熱効率を向上させる
ことができる。また、幅bは従来の部分グレーズの幅l
より十分狭くすることができるので、むやみにグレーズ
の体積を増やすことがなく、従って熱尾引き等を引き起
こす過剰な蓄熱は防止できるものである。
【0013】更に、図1の構造によれば部分グレーズ2
の曲率、即ち幅lと高さhは従来と同様でよいので、従
来と同様の材料を用いることによって、従来と同様の平
滑性を保つことができる。またグレーズの曲率は従来と
同じであるため、被印字体との接触性も損なわれること
はないものである。
【0014】次に、図3を参照して他の実施例について
説明する。図1に示す実施例においてはセラミック基板
1自体に溝6を形成するようにしたが、図3に示す実施
例は溝の形成の仕方が異なるものである。
【0015】図3Aに示す構成においてはセラミック基
板1上に所定の間隔14を空けて絶縁体層13が形成さ
れており、この間隔14の部分が図1に示す構成の溝6
と同等の機能を果たしている。即ち、間隔14の幅及び
絶縁体層13の厚みは、それぞれ、図1の溝6の幅b及
び深さaに対応しているものである。この絶縁体層13
を形成する材料としては、本発明の目的を達成するため
に、その熱伝導率が部分グレーズ2を構成する材料の熱
伝導率よりは高く、且つセラミック基板1の熱伝導率と
同等もしくはそれ以下のものを用いる。
【0016】また、図3Bに示す構成においては、溝1
7は、導電体層15と絶縁体薄膜16が積層されて形成
されている。即ち、セラミック基板1上に所定の間隔を
空けて導電体層15が形成され、更にその上に厚さが5
μm程度の絶縁体薄膜16が形成されており、導電体層
15の間隔が空けられた部分が溝17を形成している。
ここで絶縁体薄膜16の厚みは上述したように5μm程
度と薄いために熱伝導率は任意に選定することができる
が、導電体層15を形成する材料としては、本発明の目
的を達成するために、その熱伝導率が部分グレーズ2を
構成する材料の熱伝導率よりは高く、且つセラミック基
板1の熱伝導率と同等もしくはそれ以下のものを用い
る。
【0017】更に図3Cに示す構成においては、セラミ
ック基板1上に所定の間隔をもって2本の絶縁体層1
8、19が形成されており、この絶縁体層18、19の
間の部分が溝として機能する。この絶縁体層18,19
は、図3Aに関して説明したと同様に、その熱伝導率が
部分グレーズ2を構成する材料の熱伝導率よりは高く、
且つセラミック基板1の熱伝導率と同等もしくはそれ以
下の絶縁材料を用いて形成することが可能であることは
当然であるが、図3Bに関して説明したと同様に、その
熱伝導率が部分グレーズ2を構成する材料の熱伝導率よ
りは高く、且つセラミック基板1の熱伝導率と同等もし
くはそれ以下の導電性材料を用いて形成し、更にその上
に絶縁体薄膜を形成して構成することも可能なものであ
る。
【0018】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく種々
の変形が可能である。例えば上記実施例では保護層5の
頂上部に凹部が形成されているものとしたが、本発明は
この構成に限定されるものではないものである。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、既存のグレーズ材料及び工法を用いて、従来
のものより熱効率のよいサーマルヘッドを得ることがで
きる。また、グレーズの曲率は従来のものと変わらない
ため、グレーズの平滑性が損なわれることはないもので
ある。また、被印字体との接触性が損なわれることもな
いものである。更に、発熱部近傍のみの熱効率が向上し
ているため、熱尾引き等がなく、熱応答性も損なわれる
ことはないものであり、これらの相乗効果として従来よ
りもシャープはドットを印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】 本発明のサーマルヘッドと従来のサーマルヘ
ッドの比較を示す図である。
【図3】 本発明の他の実施例の構成を示す図である。
【図4】 従来のサーマルヘッドの構成例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…セラミック基板、2…部分グレーズ、3…抵抗体、
4…電極、5…保護層、6…溝。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に所定の間隔をもって形成された2
    本の絶縁体層に部分グレーズが形成されてなるサーマル
    ヘッドであって、前記絶縁体層の熱伝導率は前記部分グ
    レーズを構成する材料の熱伝導率よりは高く、且つ前記
    基板の熱伝導率と同等もしくはそれ以下となされている
    ことを特徴とするサーマルヘッド。
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