JP2552371B2 - 放射線検出素子およびジョセフソン素子 - Google Patents

放射線検出素子およびジョセフソン素子

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は放射線検出素子およびジョセフソン素子に関
するものである。詳しく述べると、本発明は、超電導ト
ンネル接合を用いた放射線、光等の検出素子および演算
素子やマイクロ波の検出などに用いられるジョセフソン
素子に関するものである。
[従来の技術] 超電導トンネル接合を用いた放射線検出素子は、従来
の半導体検出素子に比べて数10倍優れたエネルキー分解
能を有する可能性があり、近年、開発が進められている
[例えば、応用物理 第53巻 第6号 第532〜537頁
(1984年)、エイ、バローネ(A.Barone)編「スーパー
コンダクティブ、パーティクル、ディテクターズ(Supe
rconductive Particle Detectors)」(1988)ワールド
サイエンティフィック(World Scientific)]。
また、いわゆる光は、放射線であるX線と同様に電磁
波であり、超電導トンネル接合を用いた光センサーは、
遠赤外から紫外領域までの広い波長域の光に対して高感
度となり得る。
従来、超電導トンネル接合を用いたX線、光等の放射
線の検出素子としては、第23図および第24図に示すよう
な構造を有する素子が開発されている。
この第23図および第24図に示す検出素子においては、
下部電極となる超電導体111と、この下部電極となる超
電導体111の上面および一側面を囲む形状を有する対向
電極である超電導体112との間の接合面全面に薄い絶縁
層(トンネル障壁層)113が配置される構成となってい
る。なお、第24図において、符号127は上部配線を、ま
た符号128は下部配線をそれぞれ表すものである。
放射線検出素子あるいは光センサーとしての性能向上
には、放射線あるいは光子の検出効率向上のために、放
射線や光子のエネルギー吸収体となる超電導体の平面積
を大きくすることが必要である。しかしながら、第23図
および第24図に示す構造を有する素子において平面積を
拡大するとそれに比例してトンネル接合の静電容量が大
きくなり、放射線や光子の検出信号が小さくなってしま
うという問題点が生じてしまうものであった。
ブース(Booth)はこの問題点を解決するために、第2
5図に示すような断面構造を有する素子を提案している
(アプライズド フィジィックス レターズ(Appl.Phy
s.Lett.)第50巻 第5号 第293〜295頁(1987
年))。すなわち、下部電極側の超電導体111として、
平面積の大きな超電導体層116の中央部分上に該超電導
体116よりもエネルギーギャップの小さくかつ平面積の
小さな超電導体層117を積層してなるものを用い、この
平面積の小さな超電導体117の上面に絶縁層113を形成
し、さらにこの絶縁層113上に対向電極としての超電導
体112を積層してなる超電導トンネル接合素子である。
この素子においては、放射線や光子のエネルギー吸収体
となる超電導体層116より絶縁層113を小面積とすること
ができるために、素子としての静電容量を小さくおさえ
ることができ、大きな検出信号を取出すことが可能とな
る。また、絶縁層113には、この超電導体層116よりエネ
ルギーギャップの小さい超電導体層117が接合されるの
で、超電導体層116で放射線あるいは光子120を吸収して
励起された電子あるいはその空孔(なお、本明細書中に
おいては、簡略化のために、以下、この両者を含めて単
に「励起電子」と記す。)121は、超電導体層116の内部
を拡散して超電導体層117に入った後には、エネルギー
ギャップの大きさに差があるために、再び超電導体層11
6に戻ることはあまりなく、超電導体層117中に閉じ込め
られる。このように超電導体層117が、トラップ層とし
て機能し、励起電子を絶縁層113近傍に捕捉し続けるた
めに、励起電子121が再結合してしまうまでにトンネル
効果により絶縁層113を通過し、信号として寄与できる
確率が向上するものである。
ブースによって提唱された第25図に示すような構造の
素子においては、励起電子の超電導体層116内での平均
自由行程が、超電導体層116の平面の代表的長さ(例え
ば、この平面が円形であればその直径であり、また正方
形であればその辺の長さ)に比べてあまり小さくなけれ
ば、励起電子の超電導体層117への収集効率は高いもの
となる。しかしながら、一般に超電導体中での励起電子
の平均自由行程を、例えば、数10μm以上とするのはか
なり困難であるし、仮にバルクな形状の超電導体中で平
均自由行程を十分に大きくできたとしても、超電導体を
薄膜状とした場合には、その厚さで平均自由行程がほぼ
決定されてしまうため、平均自由行程を超電導体層116
の平面の代表的長さに近づけることは不可能である。
すなわち、第25図に示すような構造では、エネルギー
吸収体となる超電導体層116の平面積よりもトラップ層
となる超電導体層117の平面積が小さいため、第26図に
示すように、超電導体層116の、超電導体層117から遠い
部分で、放射線もしくは光子120の吸収が生じた際に励
起された励起電子121は、絶縁層113に到達するまでに、
超電導体層117に比較的近い部分で励起されたものに比
べてはるかに長い時間をかけて拡散によって超電導体層
117に到達することがわかる。実際、拡散によってある
点からある距離離れるのに要する平均時間は、その距離
の2乗に比例することはよく知られている。また、超電
導体中では放射線や光子によって励起された電子と空孔
が、時間と共に再結合してしまうこともよく知られてい
る(例えば、エス.ビー.カプラン(S.B.Kaplan)他、
フィジカル レビュー ビー(Phys.Rev.B)、第14巻
第4854〜4873頁(1976年))。トンネル接合素子におい
て、絶縁層をトンネル効果により通過するまえに再結合
してしまえば、その励起電子はもはや信号に寄与しない
ものとなる。このように、放射線あるいは光子のエネル
ギーが一定であっても、その入射位置によって信号の立
上りの早さと大きさが異なることとなる。さらにトラッ
プ層となる超電導体層117に近い部分で励起された電子
に関しても、この励起電子が超電導体層117に達する前
に、超電導体層116中で超電導体層117から遠い部分に拡
散してしまうことがある。
また、第25図の素子構造で、絶縁層113と超電導体112
の面積は一定のままとして、仮に超電導体層117の平面
積を超電導体層116の平面積と同程度になるまで拡張し
たとしても、超電導体層116内で励起された電子が超電
導体層117中に拡散するまでの平均所要時間は短くなる
ものの、その場合には、平面積の大きな超電導体層117
から平面積の小さな絶縁層113への到達時間が長くな
り、絶縁層113をトンネル効果により通過するまえに再
結合してしまう確率が高くなる。
このように、従来の放射線検出素子においては、検出
効率向上のための大面積化が困難、あるいは大面積化す
ると応答速度が遅くなる、放射線ないしは光子の入射位
置によって信号の立上り時間と信号の大きさが異なって
しまうという欠点があった。
さらに、放射線検出素子あるいは光センサーにおい
て、放射線あるいは光の検出効率を向上させるために
は、エネルギー吸収体となる超電導体の厚さを増加する
ことは有効なものであると考えられる。
しかしながら、一方で、放射線検出素子あるいは光セ
ンサーとして高感度であるためには、前記の記載からも
明らかなように放射線あるいは光子の入射によって検出
器内で励起された励起電子がトンネル障壁層をトンネル
効率で効率よく通過して信号電荷として接合の外部に取
り出される必要がある。トンネリングするまでに長い時
間を要すると、励起電子の多くはその間に再結合してし
まい信号電荷として取り出せなくなる。
従って、放射線あるいは光の検出効率を向上させるた
めに超電導体の厚さを増加させた場合に、それに伴って
励起電子がトンネル障壁層をトンネリングするまでの時
間が増加してしまえば、励起電子の収集効率が低下して
しまうこととなる。
実際、従来の放射線検出素子においては、超電導体層
一層の厚みを厚くするとエネルギー分解能は大きく低下
した。このことは、例えば第23〜24図あるいは第25〜26
図に示したような従来の放射線検出素子は、超電導体と
して全て多結晶のものを用いていたことに大きく起因す
る。
すなわち、放射線あるいは光子120の入射によって励
起された励起電子121が効率よくトンネル障壁層113をト
ンネリングするには、励起電子121が超電導体層内を早
く動き回ってトンネル障壁層に達し易い方がよい。その
ためには、励起電子121の拡散の様子を表わした第26図
および第27図から容易に理解できるように、放射線ない
しは光子120が入射される超電導体層は、多結晶超電導
体111ではなく、励起電子121の平均自由工程が長くなる
単結晶超電導体131の方が好ましい。なお、このことは
これまでにも指摘されていた(例えば、ニュークリア
インストゥルメンツス アンド メソッズ イン フィ
ジックス リサーチ、第227巻、第483頁、1984年[NUCL
EAR INSTRUMENTS and METODS in PHYSICS RESEARCH.Vo
l.277,p483(1984)])。
このように、エネルギー吸収体としての超電導体を単
結晶超電導体131で構成することは、励起電子121の収集
効率を高める上で有利なものである。ところが、第28図
に示すように下部超電導体層に単結晶超電導体131を用
いその上にトンネル障壁層113および上部超電導体層112
を積層した構造の素子においては、リーク電流、すなわ
ちトンネル効果によらずトンネル障壁層113内あるいは
トンネル障壁層113端部の欠陥を通じて流れる電流が大
きくなってしまうという欠点が生じてしまうものとなっ
た。リーク電流は、大きな電気的雑音の原因となり、微
小な信号電荷から個々の放射線ないし光のエネルギーを
測定する放射線検出素子においては、その欠点は致命的
である。
ところで、超電導トンネル接合放射線検出素子は、す
でに述べたように、励起電子を利用するものであって、
ジョセフソン効果を利用するものではなく、その作動原
理と使用方法もジョセフソン接合を用いたマイクロ波検
出器などとは全く異なる。実際、その使用に当っては磁
場をかけるなどしてジョセフソン効果は抑制して使用す
る。またその配線構造にもジョセフソン接合では必要と
されない独特の工夫が要求されるものである。しかし、
接合部の基本構造のみを見れば、超電導トンネル接合素
子とトンネル型ジョセフソン素子はほとんど同じもので
ある。
従来、トンネル型ジョセフソン素子においても超電導
体としては、多結晶超電導体が用いられていた。しかし
ながら、超電導体として多結晶超電導体のみを用いた素
子では、地磁気などの微弱な磁場中で転移温度以上の温
度からそれ以下の温度に冷却するときにも、多結晶には
多くの粒界があるために超電導体が一様にあるいは一方
向から均一には冷えていきにくいために、すでに超電導
になった所からマイスナー効果によって押し出された磁
場がまだ超電導になっていない所に閉じ込められて磁束
が素子中にトラップされてしまうことがある(磁束トラ
ップ)。磁束トラップが生じるかどうかは、素子の冷え
方などの微妙な差によるので、コントロールは困難であ
る。
磁束トラップが生じるとDCジョセフソン電流が小さく
なるなど、ジョセフソン素子としての最適な作動が困難
となる。
このような問題を解消するために、トンネル型ジョセ
フソン素子においても、超電導体層として単結晶体を用
いる試みがなされている(例えば、アイイーイーイー
トランスアクションズ オン マグネティック、Vol.MA
G−21、No.2、第539頁、1985年[IEEE TRANSACTIONS ON
MAGNETIC.Vol.MAG−21,No.2,p539(1985)])。
このようにトンネル型ジョセフソン素子において、入
力側の超電導体とし単結晶体を用いたものでは、一様に
あるいは一方向から均一に冷えやすいために、磁束は素
子外に全て押し出されてしまい、磁束トラップは生じに
くいものと考えられる。ところが、ジョセフソン素子が
第28図に示すように下部超電導体層に単結晶超電導体13
1を用いその上にトンネル障壁層113および上部超電導体
層112を積層した構造を有する場合においては、上記放
射線検出素子の場合と同様に、リーク電流、すなわちジ
ョセフソン効果によらずトンネル障壁層113内あるいは
トンネル障壁層113端部の欠陥を通じて流れる電流が大
きくなってしまうという欠点が生じてしまうものとなっ
た。リーク電流は、ジョセフソン素子においても素子の
誤動作の確率を増加させるなどの大きな問題となってし
まうものであった。
[発明が解決しようとする課題] 従って本発明は、上記のごとき従来の問題を解決した
新規な評斜線検出素子およびジョセフソン素子を提供す
ることを目的とするものである。本発明はまた、放射線
ないしは光子のエネルギー吸収体となる超電導体の大面
積化を図った超電導トンネル接合を用いた放射線検出素
子を提供することを目的とするものである。本発明はさ
らに、静電容量が小さく、放射線ないしは光子の検出効
率の高い超電導トンネル接合を用いた放射線検出素子を
提供することを目的とするものである。本発明はさら
に、励起電子の収集効率が高い一方、リーク電流も小さ
く高分解能を発揮し得る超電導トンネル接合を用いた放
射線検出素子を提供することを目的とするものである。
本発明はさらにまた、磁束トラップが生じにくいトン
ネル型ジョセフソン素子を提供することを目的とするも
のである。
[課題を解決するための手段] 上記諸目的は、絶縁体あるいは半導体からなるトンネ
ル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体の積
層構造の超電導トンネル接合放射線検出素子において、
前記トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶縁体ま
たは厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉部と
し、トンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍以上
の厚さ絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部とし
て、薄肉部をトンネル障壁層全体に不連続あるいは連続
的に均一に分布させ、かつ薄肉部の総面積を厚肉部の総
面積より小さくしたことを特徴とする放射線検出素子に
よって達成される。
本発明はまた、トンネル障壁層の両側に存在する超電
導体の一方あるいは両方がそれぞれ、エネルギーギャッ
プの大きさの異なる2つ以上の超電導体層を、トンネル
障壁層に近い程エネルギーギャップが小さいものとして
積層することにより構成されているものである放射線検
出素子も示すものである。
上記諸目的はまた、絶縁体あるいは半導体からなるト
ンネル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−半導体の
積層構造の超電導トンネル接合放射線検出素子におい
て、前記トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶縁
体または厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉部
とし、トンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍以
上の厚さ絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部とし
て、薄肉部をトンネル障壁層全体に不連続あるいは連続
的に均一に分布させ、かつ薄肉部の総面積を厚肉部の総
面積より小さくしたことを特徴とする放射線検出素子に
よっても達成される。
本発明はまた、トンネル障壁層の片側に存在する超電
導体は、エネルギーギャップの大きさの異なる2つ以上
の超電導体層を、トンネル障壁層に近い程エネルギーギ
ャップの小さいものとして積層することにより構成され
ているものである放射線検出素子を示すものである。
上記諸目的はまた、絶縁体あるいは半導体からなるト
ンネル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体
の積層構造の超電導トンネル接合放射線検出素子におい
て、順に下部単結晶超電導体層、前記下部単結晶超電導
体層の2分の1以下の厚さの多結晶超電導体層、前記多
結晶超電導体層とは素材の異なるトンネル障壁層、およ
び上部超電導体層を形成した超電導トンネル接合を有す
ることを特徴とする放射線検出素子によって達成され
る。
本発明はまた、前記下部単結晶超電導体層は、エネル
ギーギャップの大きさの異なる2つ以上の単結晶超電導
体層を、トンネル障壁層に近い程エネルギーギャップが
小さいものとして積層することにより構成されているも
のである放射線検出素子を示すものである。
上記諸目的はまた、絶縁体あるいは半導体からなるト
ンネル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−半導体の
積層構造の超電導トンネル接合放射線検出素子におい
て、順に下部単結晶超電導体層、該下部単結晶超電導体
層の2分の1以下の厚さの部多結晶超電導体層、多結晶
超電導体層とは素材の異なるトンネル障壁層、および上
部超電導体層を形成した超電導トンネル接合を有するこ
とを特徴とする放射線検出素子によっても達成される。
本発明はまた、前記下部単結晶超電導体層は、エネル
ギーギャップの大きさの異なる2つ以上の単結晶超電導
体層を、トンネル障壁層に近い程エネルギーギャップが
小さいものとして積層することにより構成されているも
のである放射線検出素子を示すものである。
さらに上記諸目的は、絶縁体あるいは半導体からなる
トンネル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導
体の積層構造の超電導トンネル接合放射線検出素子にお
いて、前記トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶
縁体または厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉
部とし、トンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍
以上の厚さの絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部
として、薄肉部をトンネル障壁層全体に不連続あるいは
連続的に均一に分布させ、かつ薄肉部の総面積を厚肉部
の総面積より小さくする一方、下部超電導体を単結晶超
電導体層により形成し、かつ上記トンネル障壁層の少な
くとも薄肉部に当接する部位においては、該下部単結晶
超電導体層上に該単結晶超電導体層の2分の1以下の厚
さの多結晶超電導体層を形成し、この多結晶超電導体層
がトンネル障壁層と接合する構成としたことを特徴とす
る放射線検出素子によっても達成される。
上記諸目的はさらにまた、絶縁体あるいは半導体から
なるトンネル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−半
導体の積層構造の超電導トンネル接合放射線検出素子に
おいて、前記トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの
絶縁体または厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄
肉部とし、トンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2
倍以上の厚さの絶縁体または半導体で構成してなる厚肉
部として、薄肉部をトンネル障壁層全体に不連続あるい
は連続的に均一に分布させ、かつ薄肉部の総面積を厚肉
部の総面積より小さくする一方、素子の入力側に位置す
る超電導体を単結晶超電導体層により形成し、かつ上記
トンネル障壁層の少なくとも薄肉部に当接する部位にお
いては、該下部単結晶超電導体層上に該単結晶超電導体
層の2分の1以下の厚さの多結晶超電導体層を形成し、
この多結晶超電導体層がトンネル障壁層と接合する構成
としたことを特徴とする放射線検出素子によっても達成
される。
また上記諸目的は、絶縁体あるいは半導体からなるト
ンネル障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体
の積層構造のトンネル型ジョセフソン素子において、順
に磁束侵入長より厚い下部単結晶超電導体層、多結晶超
電導体層、該多結晶超電導体層とは素材の異なるトンネ
ル障壁層、および上部超電導体層を形成したことを特徴
とするジョセフソン素子によっても達成される。
なお、本明細書において、「下部超電導体」とは、素
子において電子が励起され主要なる信号を発生する側の
超電導体を指すものである。
[作用] しかして、本発明の放射線検出素子は、上記のように
「超電導体−トンネル障壁−超電導体」構造あるいは
「超電導体−トンネル障壁−半導体」構造の超電導トン
ネル接合において、トンネル障壁を厚さの異なる薄肉部
と厚肉部とで構成したものである。このトンネル障壁総
の薄肉部のみが、励起された励起電子をトンネル効果に
より通過させることのできるものであり、厚肉部は励起
電子を通過させることができないものであるが、薄肉部
に比較して静電容量が小さい。従って、薄肉部の総面積
を厚肉部の総面積より小さくする(すなわち、トンネル
障壁の半分以下の面積を薄肉部とする)ことによって、
素子の平面積の増大に伴なう静電容量の増加を押えるこ
とができ、さらにこの薄肉部をトンネル障壁層全体に均
一に分布させることで、励起電子の超電導体中の励起位
置からトンネル障壁の薄肉部までの距離を、超電導体中
の励起位置の場所によらず、十分に短い一定の範囲内に
止めることができるものである。
また本発明の放射線検出素子は、「超電導体−トンネ
ル障壁−超電導体」構造あるいは「超電導体−トンネル
障壁−半導体」構造の超電導トンネル接合において、下
部超電導体を、単結晶超電導体層とその上に設ける多結
晶超電導体層とで構成し、さらにその上にトンネル障壁
層と上部超電導体層を形成したものである。また本発明
のジョセフソン素子も同様に、「超電導体−トンネル障
壁−超電導体」構造の超電導トンネル接合において、下
部超電導体を、単結晶超電導体層とその上に設ける多結
晶超電導体層とで構成し、さらにその上にトンネル障壁
層と上部超電導体層を形成したものである。本発明者ら
は、前述したように単結晶超電導体上に直接トンネル障
壁層と上部超電導体層を設けてトンネル接合を形成した
素子では大きなリーク電流が発生する虞れがあることの
原因を解明すべく鋭意研究を行なった結果、単結晶超電
導体上にトンネル障壁層を形成しようとする場合、以下
に詳述するように不均一でピンホールの多い膜になりや
すいためであるとの推論を得、リーク電流の少ない良好
なトンネル接合構造を得るために、単結晶超電導体層上
に薄層の多結晶超電導体層を形成し、さらにこの上にト
ンネル障壁層および上部超電導体層を形成することを見
い出したものである。これによって、放射線検出素子
は、単結晶超電導体層内における励起電子の長い平均自
由工程を利用することによる励起電子の信号電荷として
の高い収集効率と、リーク電流の少ない良好な特性を兼
ね備えたものとなり、またジョセフソン素子も、単結晶
超電導体を用いることによる磁束トラップの発生の低減
化と、リーク電流の少ない良好な特性を兼ね備えたもの
となる。
以下、本発明を図面を参照しつつより詳細に説明す
る。
第1図は、本発明の第1の態様の放射線検出素子の一
構造例の断面図であり、また第2図は同構造例の平面図
である。
第1図および第2図に示す放射線検出素子は、下部電
極となる超電導体11と対向電極となる超電導体12との接
合面全面にトンネル障壁層13を配置した超電導体−トン
ネル障壁−超電導体構造を有するものであるが、このト
ンネル障壁層13は、薄い絶縁体または半導体で構成され
る薄肉部14と、厚い絶縁体または半導体で構成される厚
肉部15とにより形成されている。
本発明の第1の態様の放射線検出素子において、前記
トンネル障壁層13における薄肉部14の厚さは、絶縁体の
場合で5〜100Å、より好ましくは5〜30Å、また半導
体の場合で5〜1000Å、より好ましくは10〜100Åとさ
れる。すなわち、薄肉部14の厚さが上記範囲より薄いも
のは、実質的に一様な膜の作製が困難であり、一方、上
記範囲より厚いものでは、該薄肉部14においてトンネル
効果による電子の通過が生じないためである。
さらに、前記トンネル障壁層13における厚肉部15の厚
さは、上記薄肉部14を構成する絶縁体または半導体の2
倍以上の厚さ、より好ましくは5倍以上の厚さのものと
される。これは、厚肉部15の厚さが薄肉部14の2倍未満
のものであると、単位面積当りの静電容量が薄肉部14を
構成する絶縁体あるいは半導体のものとあまり変らず、
このような厚肉部15を設けたメリットが生じないためで
ある。
また、この薄肉部14の総面積は、厚肉部15の総面積よ
り小さいものである。本発明の放射線検出素子におい
て、上記薄肉部14の総面積を、厚肉部15の総面積より小
さいものとするのは、もし薄肉部14の総面積が厚肉部15
の総面積より大きいものであれば、素子の静電容量は、
トンネル障壁層13全体を薄い絶縁体または半導体で構成
した場合に比べて半分以下にもならず、このようにトン
ネル障壁層13に薄肉部14と厚肉部15を設けて平面積の増
大に伴なう静電容量の増加を抑制しようとするメリット
が生じないためである。
さらにこの第1〜2図に示す構造例においては、薄肉
部14は、複数の小さな正方形状のものとされ、トンネル
障壁層13の全体にわたりほぼ均一に点在している。この
ように正方形状のトンネル障壁層13に複数の正方形状の
薄肉部14を形成する場合の一番単純で緩い条件は2×2
=4個の薄肉部を等間隔で配置させることであるが、こ
の場合、トンネル障壁層13の全面積をS、薄肉部14の総
面積をS1、トンネル障壁総の任意の点から薄肉部14への
最短距離の最大値をlとすると、 なる条件が成立する。ちなみに、図2に示すように3×
3=9個の薄肉部を等間隔で配置させた場合、 なる条件が成立する。従って、本発明に係るトンネル障
壁層13における薄肉部14の均一な分布の代表例において
は、 となる。このように、本発明の第1の態様の放射線検出
素子においては、実質的なトンネル障壁となる薄肉部14
への励起電子ないしはその空孔の収集効率を高める上か
ら、薄肉部14はトンネル障壁層13全体にほぼ均一に分布
させることが必要であるが、この薄肉部14の配置形態と
しては、第2図に示すような形態に何ら限定されるもの
ではない。すなわち、放射線あるいは光子の吸収による
電子の励起が生じる超電導体11(ないしは超電導体12)
上の任意の位置から最短の薄肉部14までの距離が所望範
囲内に収まるものであれば、薄肉部14は、不連続あるい
は連続的な種々のパターンにてトンネル障壁層13に形成
され得るものであり、例えば、第4〜6図に示すような
配置形態などとすることができる。
さらに、この点に関しては、トンネル障壁層13の全面
積をS、薄肉部14の総面積をS1、トンネル障壁層上の任
意の点から薄肉部14への最短直線距離の最大値をlとす
るとき、 なる条件が成立するようにすることが望ましい。これ
は、 なる条件は、全面積Sの円形のトンネル障壁層13の中心
部に面積S1の薄肉部14を1つの円形として配置した場合
に成立するものであることから、もし なる条件が成立するようであれば、薄肉部14がトンネル
障壁層13全体にほぼ均一に分布しているとは言い難いた
めである。トンネル障壁層13の外周辺長をL、薄肉部14
の総辺長をL1としたときに を同時に満足することがより望ましい。この場合には薄
肉部14がトンネル障壁層13全体にほぼ均一に分布してい
ることがより強く保証される。
また、第1〜2図に示す構造例の放射線検出素子にお
いては、超電導体11および超電導体12は、それぞれ2層
からなる積層構造体とされている。すなわち、超電導体
11は、トンネル障壁層13に対して、外方側に第1の超電
導体層16を、内方側に前記第1の超電導体層16よりもエ
ネルギーギャップの小さい第2の超電導体層17を有して
おり、また超電導体12も同様に、トンネル障壁層13に対
して、外方側に第1の超電導体層18を、内方側に前記第
1の超電導体層18よりもエネルギーギャップの小さい第
い2の超電導体層19を有している。このように、本発明
のの放射線検出素子において、超電導体が、エネルギー
ギャップの大きさの異なる2つ以上の超電導体層を、ト
ンネル障壁層に近い程エネルギーギャップが小さいもの
として積層することにより構成されたものであること
は、トラップ効果によりトンネル障壁層の薄肉部への励
起電子の収集効率を高める上から望ましいものである。
すなわち、外方側の超電導体層で放射線あるいは光子を
吸収して励起された励起電子は、この外方側の超電導体
層の内部を拡散してより内方側の超電導体層に入った後
には、エネルギーギャップの大きさに差があるために、
再び外方側の超電導体層に戻ることはあまりなく、内方
側の超電導体層中に閉じ込められ、トンネル障壁層の薄
肉部近傍に捕捉され続けるものである。
しかしながら、本発明の第1の態様の放射線検出素子
において、第1〜2図に示す構造例におけるように、超
電導体−トンネル障壁−超電導体構造の双方の超電導体
11および12をこのような積層構造とすることは必ずしも
必要とされるものではなく、例えば、第7図、第8図お
よび第10図に示される構造例におけるように一方の超電
導体11のみを積層構造とし(トンネル障壁層13に対して
外方側に位置するエネルギーギャップの大きい第1の超
電導体層16と、内方側に位置するエネルギーギャップの
小さい第2の超電導体層17)、もう一方の超電導体12は
単層構造するものであっても、あるいは第9図に示され
る構造例におけるようにいずれの超電導体11および12を
単層構造とするものであってもよい。なお、本発明の第
1の態様の放射線検出素子において、励起電子のトンネ
ル効果による通過が生じるのは、トンネル障壁層13のう
ち薄肉部14のみであるので、超電導体11(ないしは超電
導体12)がこのような積層構造をとる場合、第8図に示
す構造例におけるごとく、エネルギーギャップの小さい
第2の超電導体層17は、この薄肉部14に接する部位のみ
に設けても、極めて有効なトラップ効果が得られる。
第3図は、第1〜2図に示す構造例の放射線検出素子
に放射線もしくは光子が入射した際の様子を模式的に示
すものであるが、前記したようにトンネル効果による通
過が可能な薄肉部14はトンネル障壁層13全体にほぼ均一
に分布され、超電導体11上の任意の位置から最短の薄肉
部14までの距離が一定範囲内にあるために、超電導体11
の第1の超電導体層16のいかなる位置において、放射線
もしくは光子20の吸収により励起電子21が励起されて
も、該励起電子21が、拡散によってこの第1の超電導体
層16から第2の超電導体層17へ、さらには薄肉部14へ到
達するのにかかる時間は、十分に短くかつ均一となる。
本発明の第1の態様の放射線検出素子において、超電
導体11および超電導体12の形成材料として具体的には、
例えば、アルミニウム、インジウム、錫、鉛、タンタ
ル、ニオブ、バナジウム、Nb3Sn、Nb3Ge、Nb3Al、Nb3G
a、NbN、Nb3Al0.75Ge0.25、Nb0.55Ti0.45、V3Ga、V3S
i、Pb1Mo5.1S6(SN)高分子、酸化物超電導体などが
用いられ得る。
またトンネル障壁層13(薄肉部14および厚肉部15)を
形成する材料としては、上記超電導材料の酸化物、例え
ば、アルミナ、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、酸化
タンタル、酸化ニオブ、シリカ等が用いられ得るが、も
ちろん超電導体材料の酸化物以外の絶縁体を用いてもよ
く、またSi、Ge、GaAs、InSbなどのような半導体でもよ
い。
そして、このような構成を有する本発明の第1の態様
の放射線検出素子は、上記のごとき材料を用いて、真空
蒸着法、スパッタリング法、気相生長法等の薄膜形成技
術およびリソグラフィ技術等を応用することにより作製
することができる。例えば、基板上に、まず前記のごと
き超電導材料の薄膜を真空蒸着などにより形成させ、そ
の全表面を自然酸化させてトンネル障壁層の薄肉部とな
る絶縁層を形成し、その後、必要に応じて、対向電極の
一部分層となる超電導材料の薄膜を真空蒸着などにより
形成した後、リソグラフィ技術によりレジスト膜を形成
し、レジスト膜で覆われていない部位を陽極酸化法によ
り酸化して、トンネル障壁層の厚肉部となる絶縁層を形
成する(この陽極酸化による絶縁層は、前記自然酸化に
よる絶縁層より十分下部に至り、かつ下部電極となる超
電導材料の薄膜を全層厚にわたり酸化するものではな
い。)。このようにして、薄肉部と厚肉部との所望のパ
ターンを有するトンネル障壁層を形成し、レジスト膜の
除去後に、さらに対向電極の一部分層となる超電導材料
の薄膜を真空蒸着などにより形成するものである。しか
しながら、本発明の第1の態様の放射線検出素子の作製
方法としては、このようなものに限定されるものではな
く、例えば、トンネル障壁層の薄肉部と厚肉部の形成方
法としても、絶縁体材料または半導体材料からなる層
を、真空蒸着などの薄膜形成技術により、全面的にある
いはマスキングして部分的に形成する方法などを適用す
ることも可能である。
以上は、超電導体−トンネル障壁−超電導体構造の超
電導トンネル接合放射線検出素子に関して説明したが、
超電導トンネル接合の一方の超電導体が、放射線あるい
は光子の主たる吸収体であれば、もう一方は単に励起さ
れた電子を取り出すためのものであるから、超電導体と
同じようにエネルギーギャップを有する半導体でもよ
く、本発明の第1の態様の超電導トンネル接合放射線検
出素子には、超電導体−トンネル障壁−半導体構造を有
するものも含まれる。
すなわち、本発明の第1の態様の放射線検出素子のさ
らに別の構造例は、例えば、第11図に示すように、下部
電極となる超電導体11と対向電極となる半導体22との接
合面全面にトンネル障壁層13を配置した超電導体−トン
ネル障壁−半導体構造を有するものであるが、このトン
ネル障壁層13は、上記した超電導体−トンネル障壁−超
電導体構造の素子の場合と同様に、薄い絶縁体または半
導体で構成される薄肉部14と、厚い絶縁体または半導体
で構成される厚肉部15とにより形成されており、この薄
肉部14と厚肉部15との厚さ、配置等の関係は上記した超
電導体−トンネル障壁−超電導体構造の素子において説
明したものと同様である。
さらに、このような超電導体−トンネル障壁−半導体
構造の素子においても、トラップ効果によりトンネル障
壁層の薄肉部への励起電子の収集効率を高める上から、
トンネル障壁層の片側に存在する超電導体は、エネルギ
ーギャップの大きさの異なる2つ以上の超電導体層を、
トンネル障壁層に近い程エネルギーギャップの小さいも
のとして積層されたものとしてもよく、例えば第11図に
示す構造例においては、超電導体11は、トンネル障壁層
13に対して、外方側に第1の超電導体層16を、内方側に
前記第1の超電導体層16よりもエネルギーギャップの小
さい第2の超電導体層17を有している。なお、トンネル
障壁の他方側に位置する半導体も、このようにエネルギ
ーギャップの大きさの異なる2つ以上の半導体層を積層
したものとして構成することも可能である。
このような超電導体−トンネル障壁−半導体構造を有
する本発明の第1の態様の放射線検出素子において、超
電導体11およびトンネル障壁層13(薄肉部14および厚肉
部15)を形成する材料としては、前記した超電導体−ト
ンネル障壁−超電導体構造の放射線検出素子の場合と同
様のものであり、また半導体12の形成材料として具体的
には、例えば、Si、Ge、GaAs、InSbなどが用いられ得
る。そして、この構造の放射線検出素子の作製方法とし
ても、前記と同様のものである。
第12図は、本発明の第2の態様の放射線検出素子の一
構造例を示す断面図である。
第12図に示す放射線検出素子は、下部超電導体11と上
部超電導体12との接合面全面にトンネル障壁層13を配置
した超電導体−トンネル障壁−超電導体構造を有するも
のであるが、下部超電導体12は単結晶超電導体層23とそ
の上に設ける多結晶超電導体層24とで構成されており、
従ってトンネル障壁層13はこの多結晶超電導体層24上に
形成されている。
このような構造を有する本発明の第2の態様の放射線
検出素子において、多結晶超電導体層24の厚さは、単結
晶超電導体層23の2分の1以下の厚さ、より好ましくは
10分の1以下の厚さとする必要がある。すなわち、多結
晶超電導体層24がそれ以上厚くても、あるいは逆に単結
晶超電導体層23の厚みがそれ以上に薄くても、励起電子
の信号電荷としての収集効率の向上が望めない虞れが高
いためである。
第13図は、第12図に示す構造例の放射線検出素子に放
射線もしくは光子20が入射した際の様子を模式的に示す
ものであるが、このように放射線もしくは光子20の入射
により励起電子21の発生する部位が単結晶超電導体層23
により構成され、またその上部には多結晶超電導体層24
が存在するものの薄肉であるために、励起電子21がトン
ネリングするまでに要する平均時間が短くなり、信号と
して取り出される確率が大幅に向上するものと考えられ
る。
さらに、本発明の第2の態様の放射線素子において
は、単結晶超電導体層23上に直接トンネル障壁層13を形
成することなく、単結晶超電導体操23上にまず多結晶超
電導体層24を形成し、トンネル障壁層13はこの多結晶超
電導体層24上に形成する構成としたことで、リーク電流
の発生が大きく低減化される。
この点に関して詳述すると、前述したように単結晶超
電導体層131上に直接トンネル障壁層113と上部超電導体
層112を設けてトンネル接合を形成した素子(第28図参
照)では、リーク電流が大きく高分解能放射線検出素子
への応用は期待できなかった。本発明者らは、この原因
を解明すべく鋭意研究を行なった結果、以下のような推
論を得た。すなわち、第29図に示したように多結晶超電
導体層111上に非常に薄いトンネル障壁層113(通常10nm
以下)を真空蒸着などで形成する場合、多結晶超電導体
111には多くの粒界130が存在するために、超電導体111
上に到達した原子または分子は多結晶超電導体111表面
をあまり動きまわることなく直ちに固着していき均一な
膜を形成しやすい。もちろん、これは超電導体111の物
質とトンネル障壁層113の物質との組合せにも依存する
が、このように多結晶超電導体層上にトンネル障壁層を
形成してトンネル接合を形成した場合にはリーク電流の
少ない良好な接合構造が得られやすい。ところが一方、
第30図に示したように、単結晶超電導体131上にトンネ
ル障壁層113を形成しはじめたときには、超電導体131表
面が原子の大きさの尺度で平坦であるがために、その上
についた原子や分子はその表面上を動き回りやすく、ま
ず島状に成長し、付着量の増大とともに膜状にはなって
くるが、不均一でピンホールが多い膜になりやすいと考
えられる。そのため、この場合には接合を作製するとリ
ーク電流が大となりやすいというものである。
後述する実験例におけるデータを例とすると、単結晶
Nb膜上に約10nmのAlを蒸着した膜の高速電子反射回折像
(RHEED)(第33図)を観察した場合、通常の多結晶Nb
膜上にAlを蒸着した場合のリング状のパターンと明らか
に異なって表面の荒れた単結晶的なパターンとなってい
る。このことからもAlが島状に結晶成長しているか、あ
るいはAlが島状に結晶成長しているために下地のNb単結
晶が完全には覆われていないかであることがわかる。こ
のため、このAlを自然酸化させた上にさらにNb膜を形成
して作製した接合のリーク電流は、通常の多結晶超電導
体を用いた接合の場合よりも明らかに劣る特性となる
(第31a〜b図参照)。これに対し、単結晶Nb膜上に薄
い多結晶Nb膜を成膜し、その上にAlを蒸着してからその
Al表面を酸化してトンネル障壁層を形成し、さらにその
上に上部超電導体としてNb膜を成膜して作製した本発明
の第2の態様に係わる構造の素子においては、リーク電
流は極めて少なく従来の多結晶超電導体のみを用いた素
子と同等かそれ以下であることがわかる(第32図および
第35図参照)。さらに、この例においては、超電導体と
してNb、トンネル障壁層としてAlとその表面を酸化させ
たものを用いたものであったが、本発明の第2の態様の
構成は、それ以外の組合せにおいても広く適用できるこ
とは明らかである。なぜならば、単結晶体の上にそれと
格子整合の悪い数10nm以下の厚さのトンネル障壁層を成
膜しようとする場合、一般に膜はまず島状成長しやすい
ために不均一となりやすく、トンネル接合とした場合に
リーク電流が大となりやすい、その点本発明のこの第2
の態様においては、トンネル障壁層とは異なる物質であ
って単結晶の超電導体の上に膜成長しやすい多結晶の超
電導体(これは単結晶超電導体と同じ物質でもよい)を
成膜し、その上にトンネル障壁層を形成すればよいから
である。
なお、本発明の第2の態様の放射線検出素子において
上部超電導体12の構造としては特に限定されるものでは
なく、超電導体から構成されていれば十分であるが、下
部超電導体11と同様にトンネル障壁層13と接する側に薄
肉の多結晶超電導体層を配してその上部は単結晶超電導
体層となるような構成を取ることももちろん可能であ
る。
また、第14図および第15図は、この放射線検出素子の
別の構造例を示すものであるが、これらにおいては励起
電子のトラップ効果を高めるために、下部超電導体11
は、トンネル障壁層13に対して、外方側から第1の単結
晶超電導体層25、前記第1の単結晶超電導体層25よりも
エネルギーギャップの小さい第2の単結晶超電導体層2
6、および多結晶超電導体層24を有して構成されてお
り、また上部超電導体12も、トンネル障壁層13に対し
て、外方側に第1の超電導体層18を、内方側に前記第1
の超電導体層18よりもエネルギーギャップの小さい第2
の超電導体層19を有している。
また図示はしないが、本発明のこの放射線検出素子に
おいても、前記した構成の放射線検出素子の場合と同様
に、超電導体−トンネル障壁−半導体構造を有するもの
が含まれる。
そして、このような構成を有する本発明の放射線検出
素子は、上記の第1の態様における説明において具体的
に開示したものと同様の材料を用いて、真空蒸着法、ス
パッタリング法、気相生長法等の薄膜形成技術等を応用
することにより作製することができる。例えば、基板上
に、まず前記のごとき単結晶超電導体を真空蒸着などに
より形成させ、次いでその上に多結晶超電導体の薄膜を
真空蒸着あるいはスパッタリングなどにより形成した
後、トンネル障壁層を形成する物質をこの多結晶超電導
体薄膜上に同じく真空蒸着あるいはスパッタリングなど
により形成し、その全表面を自然酸化させてトンネル障
壁層となる絶縁層を形成し、その後、上部超電導体層を
真空蒸着などにより形成すればよい。しかしながら、本
発明の第2の態様の放射線検出素子の作製方法として
は、このようなものに限定されるものではない。
第16図は本発明の第3の態様の放射線検出素子の一構
造例を示す断面図である。
第16図に示す放射線検出素子は、下部電極となる超電
導体11と対向電極となる超電導体12との接合面全面にト
ンネル障壁層13を配置した超電導体−トンネル障壁−超
電導体構造を有するものであるが、このトンネル障壁層
13は、薄い絶縁体または半導体で構成される薄肉部14
と、厚い絶縁体または半導体で構成される厚肉部15とに
より形成されている。さらに下部超電導体11は単結晶超
電導体層23とその上に設ける多結晶超電導体層24とで構
成されており、従ってトンネル障壁層13(少なくとも薄
肉部14)は、この多結晶超電導体層24上に形成されてい
る。
なお、この本発明の第3の態様の放射線検出素子にお
いて、トンネル障壁層13の薄肉部14と肉厚部15との厚
さ、配置等の関係は上記した本発明の第1の態様の放射
線検出素子において説明したものと同様である。またこ
の第3の態様の放射線検出素子において、下部超電導体
11の単結晶超電導体層23と多結晶超電導体層24との厚さ
等の関係は上記した本発明の第1の態様の放射線検出素
子において説明したものと同様である。
さらにこの第3の態様の放射線検出素子において、下
部超電導体12の多結晶超電導体層24が形成される部位
が、上記したようにトンネル障壁層13のうちの少なくと
も薄肉部14に接する部位を含むものであれば十分である
とするのは、トンネル障壁層13が単結晶超電導体層24に
対して格子整合の悪い物質により形成されるとしても、
十分な厚さを有して形成される厚肉部15にはリーク電流
発生の原因となるような膜構造欠陥が生じにくいためで
ある。
また、第17図および第18図は、この第3の態様の放射
線検出素子の別の構造例を示すものであるが、これらに
おいては励起電子のトラップ効果を高めるために、下部
超電導体層11は、トンネル障壁層13に対して、外方側か
ら第1の単結晶超電導体層25、前記第1の単結晶超電導
体層25よりもエネルギーギャップの小さい第2の単結晶
超電導体層26、および多結晶超電導体層24を有して構成
されており、また上部超電導体12も、トンネル障壁層13
に対して、外方側に第1の超電導体層18を、内方側に前
記第1の超電導体層18よりもエネルギーギャップの小さ
い第2の超電導体層19を有している。
また図示はしないが、本発明の第3の態様の放射線検
出素子においても、前記第1の態様の放射線検出素子の
場合と同様に、超電導体−トンネル障壁−半導体構造を
有するものが含まれる。
このような構成を有する本発明の第3の態様の放射線
検出素子においては、前記第1の態様における構成と第
2の態様における構成との利点が相乗され、極めて優れ
た特性が発揮されるものとなる。すなわち、放射線もし
くは光子の入射により励起電子の発生する部位が単結晶
超電導体層により構成され、またその上部には多結晶超
電導体層が存在するものの薄肉であるために、単結晶超
電導体における励起電子の平均自由工程が長くなること
に依存して、トンネリングするまでに要する平均時間が
短くなり、さらにトンネル効果による通過が可能な薄肉
部がトンネル障壁層全体にほぼ均一に分布され、下部超
電導体上の任意の位置から最短の薄肉部までの距離が一
定範囲内にあるために、下部超電導体の単結晶超電導体
層のいかなる位置において、電子が励起されても、該励
起電子が、拡散によって薄肉部へ到達するのにかかる時
間は、より十分に短くかつ均一となる。このため励起電
子が信号として取り出される確率が大幅に向上し、かつ
入射位置による信号の立上がりの早さと大きさの変動も
小さいものに抑えられる。加えて、トンネル障壁層の少
なくとも薄肉部は、単結晶超電導体層上に形成されたも
のではなく、単結晶超電導体層上に形成された薄肉の多
結晶超電導体層上に形成されたものであるために均一な
構造を有し、リーク電流の発生も少ないものとなる。
このような構成を有する本発明の第3の態様の放射線
検出素子は、上記第1の態様の放射線検出素子の説明に
おいて具体的に例示したものと同様の材料を用いて、真
空蒸着法、スパッタリング法、気相生長法等の薄膜形成
技術およびリゾグラフィ技術等を応用することにより作
製することができる。例えば、基板上に、まず単結晶超
電導体層を真空蒸着などにより形成させ、次いでこの単
結晶超電導体層の上部に多結晶超電導体層の薄膜を真空
蒸着あるいはスパッタリングなどにより形成し、さらに
その上部にトンネル障壁層の薄肉部を構成する材料を同
じく真空蒸着あるいはスパッタリングなどにより形成
し、この材料を自然酸化させてトンネル障壁層の薄肉部
となる絶縁層を形成し、その後、必要に応じて、対向電
極の一部分層となる超電導材料の層を真空蒸着などによ
り形成した後、リソグラフィ技術によりレジスト膜を形
成し、レジスト膜で覆われていない部位を陽極酸化法に
より酸化して、トンネル障壁層の厚肉部となる絶縁層を
形成する(この陽極酸化による絶縁層は、前記自然酸化
による絶縁層より十分下部に至り、かつ下部電極となる
超電導材料を全層厚にわたり酸化するものではな
い。)。このようにして、薄肉部と厚肉部との所望パタ
ーンを有するトンネル障壁層を形成し、レジスト膜の除
去後に、さらに対向電極の一部分層となる超電導材料の
薄膜を真空蒸着などにより形成するものである。しかし
ながら、本発明の第3の態様は放射線検出素子の作製方
法としては、このようなものに限定されるものではな
い。
本発明の第4の態様であるジョセフソン素子の接合構
造は、前記本発明の第2の態様の放射線検出素子のもの
とほぼ同様なものである。
すなわち、この第4の態様であるいジョセフソン素子
は、第12図に示すように、下部超電導体11と上部超電導
体12との接合面全面にトンネル障壁層13を配置した超電
導体−トンネル障壁−超電導体構造において、下部超電
導体12が単結晶超電導体層23とその上に設ける多結晶超
電導体層24とで構成されており、従ってトンネル障壁層
13はこの多結晶超電導体層24上に形成されているもので
ある。
なお、このような構造を有する本発明の第4の態様の
のジョセフソン素子において、単結晶超電導体層23の厚
さは、磁場を遮蔽できるように、磁束侵入長以上を厚さ
とされる必要がある。
本発明の第4の態様のジョセフソン素子においては、
上記第2の態様の放射線検出素子の説明において詳述し
たと同様の理由によって、リーク電流の発生が大きく低
減化されることとなるから、単結晶超電導体を利用した
磁束トラップが生じにくくかつ高性能なジョセフソン素
子となるものである。
[実施例] 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実験例1:素子応答速度の考察 本発明の第1の態様に係わる素子(実施例1)を得る
ために、まず第19a図に示すように、ガラス基板41上
に、下部電極の第1の超電導体層としての厚さ5000Åの
Nb膜42を、さらにその上にトラップ層用超電導体層とし
ての厚さ500ÅのAl膜43をスパッタリングにより成膜
し、次いで真空装置内に酸素ガスを導入して室温でAl膜
43表面を自然酸化させて、トンネル障壁(薄肉層)とし
ての厚さ20〜30ÅのAlOx膜44を形成し、さらにこの上
に、対向電極のトラップ層用超電導体層としての厚さ50
0ÅのAl膜45、および厚さ200ÅのNb膜46をスパッタリン
グにより連続的に成膜した。
次に第19b図に示すように、トンネル障壁層の薄肉部
を形成しようとする部位のみを覆うように、リソグラフ
ィ技術によりレジスト膜47を形成した後、レジスト膜47
で覆われていない部位に陽極酸化法により、トンネル障
壁層の厚肉部となる陽極酸化膜48を作製した。陽極酸化
膜48は、AlOx膜44より十分下部に至り、かつAl膜43を全
部酸化することがないようにして作製した。
その後、第19c図に示すように、レジスト膜を除去
し、真空装置内でArスッパッタによるクリーニングを行
なってから、積層構造体上面に厚さ1000ÅのNb膜49を真
空蒸着により形成した。
最後に、リソグラフィと反応イオンエッチングで、第
19d図に示すように素子構造に加工し、層間絶縁層50を
形成した後、上部配線用のNb膜51を真空蒸着により作製
した。
第20図は、このようにして作製した素子の平面図であ
る。
この素子において、薄肉部となるAlOx膜44の残された
部分は、第20図に示すように素子全体に均一に分布して
9箇所あり、その1箇所当りの平面積は、0.0009mm2
あった。またこの素子の全平面積(上部配線51、および
下部配線52を除いた部分)は、0.0729mm2であった。
ここで陽極酸化膜48部位の厚さは1000Å程度であり、
一方AlOx膜44部位の厚さは20〜30Å程度である。これら
の膜の単位面積当りの静電容量は、膜厚に反比例するた
め、陽極酸化膜48部位の平面席0.0648mm2が検出素子の
全平面積の89%を占めているにもかかわらず、素子の静
電容量は薄肉部となる総平面積0.0081mm2のAlOx膜44部
位のみによりほとんど決まっている。
また、この実施例1の素子と同じく、素子全平面積が
0.0729mm2(一辺0.27mmの正方形)で、薄肉部となるAlO
x膜部位の総平面積が0.0081mm2ではあるが、このAlOx
部位を素子の中央部に正方形になるように1つにまとめ
た素子(以下、比較例1の素子と称する。)を考えれ
ば、この比較例1の素子においては、素子の角で励起さ
れた電子ないしその空孔は、トンネル障壁層の薄肉部に
達するために少なくとも直線距離で126μm拡散しなけ
ればならない。これに対し、実施例1の素子では、素子
の角で励起された電子ないしその空孔の場合でも、直線
距離で42μm拡散すればよい。この拡散長における3倍
の違いは、拡散長が時間の0.5乗に比例してしか長くな
らないことを考慮すれば、素子の応答速度と放射線ある
いは光子の入射位置による信号の立上り時間およびその
大きさに関して極めて大きな差をもたらす。
実際に、この差を調べるために、上記の実施例1の素
子および比較例1の素子の全面にパルスレーザー光(パ
ルス幅200ns)を一様に照射して、それぞれの素子の応
答を比較した。その結果、比較例1の素子では、信号の
立上り時間は600nsと長かったが、実施例1の素子では4
00nsと短かった。なお、この両者における信号の立上り
時間の比が1.5倍程度であるのは、照射したパルスレー
ザー光のパルス幅自体が200nsと長いことと、素子の全
面に一様にパルス光を照射したために素子の角で励起さ
れた電子あるいはその空孔ならびに素子の中心部で励起
された電子あるいはその空孔などの平均的拡散によって
信号が生じているためであると思われ、仮に素子の角で
励起された電子あるいはその空孔による信号のみを観察
すれば立上り時間の比は更に大きくなることが予想され
る。
また、この実験において検出された実施例1の素子で
の信号のピークの大きさは、立上り時間が長くなればそ
の間に再結合してしまう励起電子および空孔の割合が大
きくなってしまうことに対応して、比較例1の素子のも
のの約1.3倍であった。信号の大きさに関しても、仮に
素子の角で励起された電子あるいはその空孔による信号
のみを観察すれば、その比が更に大きくなることが当然
期待できるものである。
このように本発明の構成を有する放射線検出素子が、
優れた特性を有することは、この実験によっても明らか
である。さらに実質的なトンネル障壁である薄肉部の総
平面積は一定としても、この薄肉部1箇所当りの平面積
を小さくして、薄肉部の数を多くし、素子全体により均
一に分布するように配置すれば、より好ましい結果が得
られるであろうことは明らかである。
実験例2:素子におけるリーク電流の考察1 まず本発明の第2の態様に係わる素子(実施例2)を
以下のようにして作製した。
基板61としては、(102)面の単結晶サファイアを
用いた。基板61を到達真空度が、約1×10-10Torrの超
高真空蒸着装置内に置き、基板61の裏面からヒーターで
約700℃に加熱した。Nbのインゴットを水冷した銅の坩
堝に入れ、表面に電子ビームを照射して加熱し、Nbを真
空蒸着した。サファイア基板61上に蒸着されたNb膜62
は、第34図に示す高速電子反射回折像(RHEED)パター
ンからわかるように単結晶膜となった。膜厚は約600nm
である。
次にその試料を真空蒸着装置から取り出し、NbとAlの
スパッタリングターゲットを備えたスパッタリング装置
内に導入した。スパッタリング装置内では、水冷によっ
て試料(基板)温度は室温程度(約20℃±10℃)に保持
された。スパッタリング装置では、まず試料のNb膜62表
面のクリーニングのためにArによる逆スパッターでNb膜
62表面を約3nmエッチングした。次に試料上に約20nmのN
b膜63と約10nmのAlをスパッタリングによって成膜し
た。その後、スパッタリング装置内に約1Torrの酸素ガ
スを導入してAl膜の表面を自然酸化させてAlOx−Al膜64
を形成し、さらにその上に上部超電導体として約200nm
の多結晶Nb膜65をスッパッタリングで成膜した。この状
態を第21図に示す。
さらにこのようにしてサファイヤ基板全面に成膜した
試料をSNIP法(Self−aligned Niobium Isolation Proc
ess)によって微細加工して第22図に示すような素子を
作製した。上部配線71のNbもスパッタリングで成膜した
ものである。また下部配線は単結晶Nb膜を加工して形成
された。配線幅は20μmであった。接合の面積は、80μ
m×80μmである。なお、第22図において符号70は層間
絶縁層としてのSiO2を示す。
一方、比較のために以下のようにして2つの素子(比
較例2および3)を作製した。
すなわち、比較例2の素子の作製においては、まず実
施例2におけると同様に単結晶Nb膜を形成した後、この
上に多結晶Nb膜を形成することなく、Arによる逆スパッ
タークリーニングを施した上でスパッタリングにより約
10nmのAlを直接成膜した。その後、実施例2と同様に、
スパッタリング装置内に約1Torrの酸素ガスを導入してA
l膜の表面を自然酸化させ、その上に上部超電導体とし
て約200nmのNbをスッパッタリングで成膜し、さらにSNI
P法によって微細加工して素子を作製した。
また比較例3の素子の作製においては、まず実施例2
におけると同様に単結晶Nb膜を形成した後、この上に多
結晶Nb膜を形成することなく、同じ真空蒸着装置内で真
空蒸着により約10nmのAlを直接成膜した。なお、この単
結晶Nb膜上にAlを蒸着した膜のRHEEDを第33図に示す。
その後、Al膜の表面を自然酸化させ、その上に上部超電
導体として約200nmのNbを真空蒸着で成膜し、さらにSNI
P法によって微細加工して素子を作製した。
上記のようにして得られた実施例2および比較例2〜
3の素子の4.2Kにおける電流−電圧特性を調べた。結果
を第32図および第31a〜b図に示す。
第31a〜b図から明らかなように、単結晶超電導体上
に直接トンネル障壁層を形成した比較例2〜3の素子に
おいては、約2mV以下での電流が大きく、リーク電流が
大である。これは通常の多結晶超電導体を用いた接合の
場合よりも明らかに劣る特性である。これに対し、本発
明に係わる実施例2の素子においては、4.2Kにおいて見
えているリーク電流は従来の多結晶Nbのみを用いたもの
と同等かそれ以下となっている。
実験例3:素子におけるリーク電流の考察2 リーク電流をより詳しく調べるには、温度を下げてみ
ればよい。これは、熱的に励起されている電子のトンネ
ル効果で流れる電流は温度を下げれば減少するが、一
方、リーク電流は温度に依存しないためである。
実際に上記実施例2の素子の1mVにおける電流値の温
度変化を調べた。結果を第35図に示す。
一方、比較のために従来型の素子として、多結晶Nb膜
−AlOx膜−多結晶Nb膜構造を有するSNIP法で作製した素
子(比較例4)および多結晶Nb膜−AlOx膜−多結晶Nb膜
構造を有するSNEP法(Selective Niobium Etching Proc
ess)で作製した素子(比較例5)を用意し、同様に1mV
における電流値の温度変化を調べた。結果を第35図に示
す。なお、比較例4および比較例5の素子において、各
Nb層の厚さは約200nmであり、AlOx層の厚さは約2〜3nm
であった。
この結果、本発明に係わる実施例2の素子におけるリ
ーク電流は、第35図に示すように、比較例4のものより
かなり小さく、また接合の端部でのリーク電流を小さく
する陽極酸化を用いたSNEP法で作製した比較例5の素子
のものと同程度かそれ以下であった。これは、実施例2
の素子においては、単結晶Nb膜の表面を薄い多結晶Nb膜
で覆ったためにその上に形成されたAl膜が、島状成長し
なかったためと、サファイア基板上にエピタキシャル成
長した単結晶Nb膜が機械的に強く、微細加工中にトンネ
ル障壁面内やトンネル障壁端部に欠陥が発生しにくかっ
たためと思われる。
なお、図示はしていないが、単結晶超電導体上に直接
トンネル障壁層を形成した前記比較例2〜3の素子にお
いては、このように温度を低減させても、電流値はほと
んど低下しなかった。このことは、実験例2の結果を裏
付けるものであった。
実験例4:素子における放射線検出能の考察 本発明が放射線検出素子の性能にどう影響えお与える
かをより直接的に調べるために、SNIP法で加工した上記
実施例2の素子、同じくSNIP法で加工した上記比較例4
の素子、およびSNEP法で加工した上記比較例5の素子の
それぞれに、約5.9keVのX線を照射して、それぞれの素
子からの信号の波高スペクトルを測定した。なお、いず
れの場合も素子は0.4Kに冷却した。
この結果、SNIP法で加工した従来型の素子である比較
例4の素子では、リーク電流を小さくするために素子面
積を20μm×20μmと小さくした素子でも信号は認めら
れなかった。すなわち、X線による信号いは、発生して
いたとしてもノイズよりも小さいためにノイズと識別で
きなかった。
またSNEP法で加工した従来型の素子である比較例5の
素子では、素子面積が20μm×20μmのものでX線によ
る信号をノイズと識別できた。これは第35図に示すよう
にSNIP法で加工した従来型の素子よりもリーク電流が小
さくなったためと思われる。この波高スペクトルを第36
図に示す。X線による信号の電荷量、すなわち波高スペ
クトルのピークに相当する信号の大きさは従来のSiやGe
を用いた半導体放射線検出器の約10倍と大きなものにな
っている。しかし、理論的に予想されるNb中でのX線に
よる励起電子の量に比べると、信号として取り出されて
いる電荷はまだ100分の1程度と小さく、励起電子が信
号電荷として効率的に取り出されていないことがわか
る。
一方、これに対して本発明に係わる実施例2の素子に
おいては、80μm×80μmの接合面積のもので第37図に
示すような波高スペクトルが得られた。用いた信号増幅
機の増幅率も異なるので、第36図の横軸と第37図の横軸
とでは同じチャンネル数が同じ信号の大きさには対応し
ていないが、どちらのスペクトルでもピークの横軸の値
が5.9keVに相当している。第37図では第36図よりも明ら
かにS/N比(信号の大きさ/ノイズの大きさの比)が向
上している。第37図のスペクトルの場合、X線による信
号の電荷量は、従来のSiやGeを用いた半導体放射線検出
器のそれの150〜180倍となっており、第36図のスペクト
ル、すなわちSNEP法で加工した従来型素子の場合よりも
約20倍も大きなものとなっている。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明による放射線検出素子は、
トンネル障壁を厚さの異なる薄肉部と厚肉部とで構成す
るものであるために、放射線あるいは光子の検出効率を
向上させるためにこれらの吸収体である超電導体を大面
積化しても、静電容量の増大は低く抑えることができ、
検出信号が小さくなることはない。さらに、放射線ある
いは光子の入射位置によらず、これによって励起された
電子あるいはその空孔を信号としてすばやく取り出すこ
とができ、入射位置による信号の立上りの早さと大きさ
の変動も小さいものである。
また本発明による放射線検出素子は、下部超電導体に
単結晶超電導体を用いるが、この単結晶超電導体にトン
ネル障壁を直接積層せず、単結晶超電導体層上に薄い多
結晶超電導体層を形成しその上にトンネル障壁を形成す
るものであるために、リーク電流の少ない良好なトンネ
ル接合構造が形成され、単結晶超電導体層を用いたこと
による励起電子の信号電荷としての高い収集効率を享受
できるものとなる。
さらに本発明によるジョセフソン素子も、同様に下部
超電導体を単結晶超電導体およびその上に形成される多
結晶超電導体層により構成するために、単結晶超電導体
を用いたことによる磁束トラップの発生の低減化と、リ
ーク電流の少ない良好な特性を兼ね備えたものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の態様の放射線検出素子の一構造
例を示す断面図、第2図は同構造例の平面図、第3図は
同構造例における励起電子の拡散状態を模式的に示す断
面図、第4〜6図はそれぞれ本発明の第1の態様の放射
線検出素子の別の構造例の平面図、第7〜10図はそれぞ
れ本発明の第1の態様の放射線検出素子のさらに別の構
造例の構成を示す断面図、第11図は本発明の第1の態様
の放射線検出素子のさらに別の構造例を示す断面図、第
12図は本発明の第2の態様の放射線検出素子の一構造例
を示す断面図、第13図は同構造例における励起電子の拡
散状態を模式的に示す断面図、第14〜15図はそれぞれ本
発明の第2の態様の放射線検出素子の別の構造例を示す
断面図、第16図は本発明の第3の態様の放射線検出素子
の一構造例を示す断面図、第17〜18図はそれぞれ本発明
の第3の態様の放射線検出素子の別の構造例の断面図、
第19a〜d図は本発明の第1の態様の放射線検出素子の
実施例における素子の作製行程を示す断面図、第20図は
同実施例において作製した素子の平面図、第21図および
第22図は本発明の第2の態様の放射線検出素子の実施例
における素子の製作工程を示す断面図、第23図は従来の
放射線検出素子の一構造例を示す断面図、第24図は同従
来例の平面図、第25図は従来の放射線検出素子の別の構
造例を示す断面図、第26図は第25図に示した従来例にお
ける励起電子の拡散状態を模式的に示す断面図、第27図
は第23図に示した従来例における励起電子の拡散状態を
模式的に示す断面図、第28図は単結晶超電導体を用いた
従来例の放射線検出素子における励起電子の拡散状態を
模式的に示す断面図、第29図は多結晶超電導体の上に成
膜したトンネル障壁層の状態を模式的に示す断面図、第
30図は単結晶超電導体の上に成膜したトンネル障壁層の
状態を模式的に示す断面図、第31aおよびb図は、下部
超電導体として単結晶Nb膜を用いた従来例の超電導トン
ネル接合の電流−電圧特性を示すグラフであり、第31a
図はAlと上部電極用Nbをスパッタリングで成膜したも
の、第31b図はAlと上部電極用Nbを真空蒸着で成膜した
ものであり、第32図は本発明の素子の一実施例における
電流−電圧特性を示すグラフ、第33図は単結晶Nb膜上に
成膜したAl膜のRHEEDパターン像を示す写真、第34図は
単結晶Nb膜のRHEEDパターン像を示す写真、第35図は従
来型素子と本発明素子の一実施例との1mVにおける電流
値の温度依存性を示すグラフ、第36図はSNEP法で加工し
た従来型素子による5.9keVのX線測定波高スペクトルを
示すグラフであり、また第37図はSNIP法で加工した本発
明の実施例の素子による5.9keVのX線測定波高スペクト
ルを示すグラフである。 11……超電導体(下部電極)、 12……超電導体(対向電極)、 13……トンネル障壁層、 14……薄肉部、15……厚肉部、 16……第1の超電導体層(下部電極)、 17……第2の超電導体層(下部電極)、 18……第1の超電導体層(対向電極)、 19……第2の超電導体層(対向電極)、 20……放射線もしくは光子、21……励起電子、 22……半導体(対向電極)、 23……単結晶超電導体層、 24……多結晶超電導体層、 25……第1の単結晶超電導体層、 26……第2の単結晶超電導体層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 徹 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新 日本製鐵株式會社第1技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−209177(JP,A) 特開 昭61−271487(JP,A) 特開 昭63−102383(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル障
    壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体の積層構
    造の超電導トンネル接合放射線検出素子において、 前記トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶縁体ま
    たは厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉部と
    し、トンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍以上
    の厚さの絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部と
    し、 トンネル障壁層の全面積をS、薄肉部の総面積をS1、ト
    ンネル障壁層上の任意の点から薄肉部への最短直線距離
    の最大値をlとするとき、 を満たすように薄肉部をトンネル障壁層全体に不連続あ
    るいは連続的に均一に分布させたことを特徴とする放射
    線検出素子。
  2. 【請求項2】トンネル障壁層の両側に存在する超電導体
    の一方あるいは両方はそれぞれ、エネルギーギャップの
    大きさの異なる2つ以上の超電導体層を、トンネル障壁
    層に近い程エネルギーギャップが小さいものとして積層
    することにより構成されているものである請求項1に記
    載の放射線検出素子。
  3. 【請求項3】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル障
    壁を用いた超電導体−トンネル障壁−半導体の積層構造
    の超電導トンネル接合放射線検出素子において、 前記トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶縁体ま
    たは厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉部と
    し、トンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍以上
    の厚さの絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部と
    し、 トンネル障壁層の全面積をS、薄肉部の総面積をS1、ト
    ンネル障壁層上の任意の点から薄肉部への最短直線距離
    の最大値をlとするとき、 を満たすように薄肉部をトンネル障壁層全体に不連続あ
    るいは連続的に均一に分布させたことを特徴とする放射
    線検出素子。
  4. 【請求項4】トンネル障壁層の片側に存在する超電導体
    は、エネルギーギャップの大きさの異なる2つ以上の超
    電導体層を、トンネル障壁層に近い程エネルギーギャッ
    プが小さいものとして積層することにより構成されてい
    るものである請求項3に記載の放射線検出素子。
  5. 【請求項5】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル障
    壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体の積層構
    造の超電導トンネル接合放射線検出素子において、順に
    下部単結晶超電導体層、該下部単結晶超電導体層の2分
    の1以下の厚さの多結晶超電導体層、多結晶超電導体層
    とは素材の異なるトンネル障壁層、および上部超電導体
    層を形成した超電導トンネル接合を有することを特徴と
    する放射線検出素子。
  6. 【請求項6】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル障
    壁を用いた超電導体−トンネル障壁−半導体の積層構造
    の超電導トンネル接合放射線検出素子において、順に下
    部単結晶超電導体層、該下部単結晶超電導体層の2分の
    1以下の厚さの多結晶超電導体層、多結晶超電導体層と
    は素材の異なるトンネル障壁層、および上部超電導体層
    を形成した超電導トンネル接合を有することを特徴とす
    る放射線検出素子。
  7. 【請求項7】前記下部単結晶超電導体層はさらに、エネ
    ルギーギャップの大きさの異なる2つ以上の単結晶超電
    導体層を、トンネル障壁層に近い程エネルギーギャップ
    が小さいものとして積層することにより構成されている
    ものである請求項5または6に記載の放射線検出素子。
  8. 【請求項8】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル障
    壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体の積層構
    造の超電導トンネル接合放射線検出素子において、前記
    トンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶縁体または
    厚さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉部とし、ト
    ンネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍以上の厚さ
    の絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部として、薄
    肉部をトンネル障壁層全体に不連続あるいは連続的に均
    一に分布させ、かつ薄肉部の総面積を厚肉部の総面積よ
    り小さくする一方、下部超電導体を単結晶超電導体層に
    より形成し、かつ上記トンネル障壁層の少なくとも薄肉
    部に当接する部位においては、該下部単結晶超電導体層
    上に該単結晶超電導体層の2分の1以下の厚さの多結晶
    超電導体層を形成し、この多結晶超電導体層がトンネル
    障壁層と接合する構成としたことを特徴とする放射線検
    出素子。
  9. 【請求項9】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル障
    壁を用いた超電導体−トンネル障壁−半導体の積層構造
    の超電導トンネル接合放射線検出素子において、前記ト
    ンネル障壁層の一部を厚さ5〜100Åの絶縁体または厚
    さ5〜1000Åの半導体で構成してなる薄肉部とし、トン
    ネル障壁層の他の部分を前記薄肉部の2倍以上の厚さの
    絶縁体または半導体で構成してなる厚肉部として、薄肉
    部をトンネル障壁層全体に不連続あるいは連続的に均一
    に分布させ、かつ薄肉部の総面積を厚肉部の総面積より
    小さくする一方、下部超電導体を単結晶超電導体層によ
    り形成し、かつ上記トンネル障壁層の少なくとも薄肉部
    に当接する部位においては、該下部単結晶超電導体層上
    に該単結晶超電導体層の2分の1以下の厚さの多結晶超
    電導体層を形成し、この多結晶超電導体層がトンネル障
    壁層と接合する構成としたことを特徴とする放射線検出
    素子。
  10. 【請求項10】絶縁体あるいは半導体からなるトンネル
    障壁を用いた超電導体−トンネル障壁−超電導体の積層
    構造のトンネル型ジョセフソン素子において、順に磁束
    侵入長より厚い下部単結晶超電導体層、多結晶超電導体
    層、該多結晶超電導体層とは素材の異なるトンネル障壁
    層、および上部超電導体層を形成したことを特徴とする
    ジョセフソン素子。
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