JP2551126B2 - 非粘着剤 - Google Patents

非粘着剤

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、非粘着剤に関し、更に詳しくはパーフルオ
ロアルキルビニル重合体から成る非粘着剤に関する。
本発明の目的は、新規なパーフルオロアルキルビニル
の重合体から成る非粘着剤およびゴム・プラスチック用
離型剤を提供することにある。
本発明の前記目的は、一般式: −CHRfCH2− (I) [式中、Rfは炭素数5〜21のパーフルオロアルキル基を
示す。] で示される構成単位から成るパーフルオロアルキルビニ
ル単独重合体、並びに (a)前記一般式(I)で示される構成単位(a)およ
び(b)一般式: [式中、YはOR1、OCOR1またはCOOR1で示される基、Z
は水素またはCOOR2(ここで、R1およびR2は、同一また
は異なって、炭素数1〜18のアルキル基を表す。)で示
される基、Rは炭素数1〜18のアルキル基を表す。ただ
し、YがOR1またはOCOR1である時、Zは水素である。] で示される構成単位(b)を含んでなるパーフルオロア
ルキルビニル共重合体から成る群より選ばれた少なくと
も一種の重合体から成る非粘着剤および離型剤により達
成される。
本発明の共重合体は、通常少なくとも5重量%、好ま
しくは20重量%の構成単位(a)と少なくとも5重量
%、好ましくは20重量%の構成単位(b)を含み、かつ
(a)と(b)を合計で少なくとも50重量%、好ましく
は70重量%含むポリビニルである。構成単位(a)は非
粘着性、撥水撥油性等を与え、構成単位(b)は生産
性、溶解性等を与える。構成単位(b)は製造上、上記
の通り含有される。本発明の重合体の分子量は、通常70
0〜50000、好ましくは700〜10000の範囲にある。分子量
が10000より高ければ溶解性が次第に低下する。
Rfの炭素数は、通常5〜21であり、好ましくは8〜16
である。
本発明の重合体は、パーフルオロアルキル基の側鎖を
有するポリビニルもしくは、ビニルオリゴマーであっ
て、種々の固体物質表面への被膜形成用材料として有用
な物質である。また、この被膜はパーフルオロアルキル
側鎖の故に低い表面活性を有し、主鎖および側鎖に極性
をもたないため、他の化合物との親和性が小さい。従っ
て、非粘着剤や離型剤として有用なのである。
本発明の重合体の製造は、一般式: RfCH=CH2 (I′) [式中、Rfは前記と同意義] で示されるビニル化合物を重合させるか、或いは一般式
(I′)で示されるビニル化合物と、一般式: CHY=CHZまたは [式中、R、YおよびZは前記と同意義。] で示されるアルキルビニルエーテル、有機酸ビニル、マ
レイン酸エステル、アクリル酸エステルまたはメタクリ
ル酸エステルとを重合条件下に反応させて行うことがで
きる。
出発物質であるビニル化合物(I′)は、一般式: RfX [式中、Rfは前記と同意義。Xはハロゲンを表す。] で示されるパーフルオロアルキルハライドをエチレン
(CH2=CH2)に付加し、さらにアルカリにより脱ハロゲ
ン化水素することによって製造することができる。
この製造法では、エチレン付加反応とビニル化反応と
を同一バッチで行うことが可能である点、および両工程
の収率が極めて高い(Xがヨウ素の場合、いずれも95%
以上に達し得る。)点などを考慮すると最適である。Rf
Iとエチレンとを出発原料とする場合について反応式を
示すならば、次の通りである。即ち RfI+CH2=CH2→RfCH2CH2I (I) RfCH2CH2I+KOH →RfCH=CH2+KI+H2O (II) (1)の付加反応は、過酸化物、アゾ化合物、放射
線、光、熱などによるラジカル作用によって、有利に進
行し得る。該反応は、過酸化物やアゾ化合物などのラジ
カル開始剤の存在下で行わせるのが好ましい。反応温度
として、例えば200℃程度の高温度を採用するならば、
ラジカル開始剤を使用しなくても反応は進行するが、高
温ではカップリング反応の如き副反応が増大する。ま
た、紫外線を使用する事によって、室温程度で実施する
ことも可能であるが、反応に長時間を要するため、工業
的には不利である。ラジカル開始剤の存在下に、付加反
応を行わせる場合には、反応温度は50〜150℃が適当で
あり、特に80〜110℃が好ましい。CH2=CH2のRfIに対す
る仕込みモル比は1〜10、好ましくは2〜5が採用され
る。ラジカル開始剤としては、t−ブチルパーオキシプ
ロピルカーボネートの如き過酸化物が特に良好な結果を
与える。
また(II)のビニル化反応は、RfCH2CH2Xを水酸化ア
ルカリにより脱HXによって有利に進行し得る。例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリによ
る処理によって、良好な収率を達成し得る。脱HX反応を
行わせる場合には、反応温度20〜110℃が適当であり、
特に50〜80℃が好ましい。
以上の様にして、パーフルオロアルキルビニル単量体
(I′)が得られる。ビニル単量体(I′)代表的な例
を示せば、次の通りである。
n−C5F11CH=CH2 n−C6F13CH=CH2 n−C7F15CH=CH2 n−C8F17CH=CH2 n−C9F19CH=CH2 C12F25CH=CH2 C13F27CH=CH2 なお、出発物質としてパーフルオロアルキル基の炭素
数の異なる2種以上のビニルの混合物を使用することも
できる。
(I′)で示されるビニル化合物と共重合しうる化合
物には、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレー
ト、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、脂肪酸の
ビニルエステル、スチレン、アルキル置換スチレン、ハ
ロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、脂肪酸のアリ
ルエステル、ビニルアルキルケトン、ビニルアルキルエ
ーテル、共役1,3−ジエンがある。例示するとメチルア
クリレート、メチルメタクリレート、プロピルアクリレ
ート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、
ブチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソ
アミルメタクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレ
ート、2−エチル−ヘキシルメタクリレート、オクチル
アクリレート、オクチルメタクリレート、オクタデシル
アクリレート、オクタデシルメタクリレート、ラウリル
アクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルアクリ
レート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレー
ト、ステアリルメタクリレート、ビニルアセテート、ビ
ニルプロピオネート、ビニルカプリレート、ビニルラウ
レート、ビニルステアリン酸、スチレン、α−メチルス
チレン、β−メチルスチレン、フッ化ビニル、塩化ビニ
ル、シュウ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデ
ン、アリルヘプタノエート、アリルアセテート、アリル
カプリレート、アリルカプロエート、ビニルメチルケト
ン、ビニルエチルケトン、1,3−ブタジエン、2−クロ
ロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエ
ン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,
3−ブタジエン、イソプレン、ビニルメチルエーテル、
ビニルブチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル
デシルエーテル、ビニルステアリルエーテルなどであ
る。
これらのうちで特に好ましいアルキルビニルエーテ
ル、有機酸ビニル、マレイン酸エステル、アクリル酸エ
ステルまたはメタクリル酸エステル(II′)は、 R1OCH=CH2 の時、アルキルビニルエーテルであり、具体的にはメチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニ
ルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシル
ビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、クロロメ
チルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテ
ル、クロロプロピルビニルエーテル、などが例示でき
る。
としては、酢酸ビニル、カプリル酸ビニル、ステアリン
酸ビニル、ブチル酸ビニル、カプロン酸ビニル、クロロ
酢酸ビニル、などが例示できる。
としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、
マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチル
ヘキシル、マレイン酸ジノニルなどが例示できる。
また、 の時、ステアリルアクリレート、オクタデシルアクリレ
ートなどが例示できる。
また、CH2=C(CH3)COORの時、ステアリルメタクリ
レート、オクタデシルメタクリレートなどが例示でき
る。
本発明における前記ビニル化合物(I′)の単独重
合、または前記ビニル化合物(I′)と化合物(II′)
の少なくとも1種および必要に応じてその他の化合物と
の重合は、これら単量体を開始剤の存在下に反応させて
行うことができる。本発明共重合体の製造では、必要に
応じて(I′)で示されるビニル化合物と共重合しうる
化合物のうち(II′)以外のものを第3単量体として加
えることができる。
重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウ
ロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシ
シクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピ
オニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチル
アミジン・2塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過
酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
等が使用できる。なお、重合反応開始をγ−線の如き電
離性放射線の照射によって行わせる事も可能である。
本発明の重合体を得るためには、種々の重合方式が条
件が任意に選択でき、塊状重合、溶液重合、懸濁重合。
乳化重合、放射線重合、光重合など各種の重合方式のい
ずれをも採用できる。
重合温度は特に限定されるものではなく、各単量体の
反応性に応じて適当な温度を選択すればよい。通常60〜
130℃が採用される。
本発明の重合体は、前記の構成単位を主鎖に持つ構造
を有し、白い外観を有する熱可塑性重合体である。ガラ
ス転移点は、使用する単量体の種類および割合によって
異なるが、通常−90〜100℃、多くは0〜60℃の範囲に
ある。
本発明の共重合体は、アセトン、酢酸エチル、クロロ
ホルム、トリクロロトリフルオロエタン、ヘキサン、ト
ルエンなどの溶媒に可溶である。共重合体の溶解性は主
として単量体の種類および割合によって定まる。
本発明の重合体の大きな特徴は、これら溶液または水
性懸濁液を固体物質に塗布することによって、その表面
に撥水撥油性や非粘着性を付与することができることで
ある。また、この溶液または水性懸濁液から自立性キャ
ストフィルムを調製することも可能である。このフィル
ムは、同時に特異な撥水撥油性を有している。さらに、
各種の溶媒およびエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂など
の液状樹脂に対して、それらの表面張力を低下させる能
力があって、塗料のレベリング剤に用いることができ
る。
本発明の重合体はそのままの形で、または有機溶剤溶
液あるいは水性乳濁液の形で各種の用途に利用できる
が、パーフルオロアルキル基を側鎖として有するため、
その低い表面エネルギーを利用して特に非粘着剤として
有用である。
非粘着剤とは対象物品表面の臨界表面張力を低下させ
て、粘着性物質の対象物品に対する粘着を防止するもの
で、いわゆる離型剤、背面処理剤、離型紙用加工剤、ア
ンチブロッキング剤などを包含する。離型剤は、ゴム、
合成樹脂などの成型工程において金型、木型などのモー
ルドに噴霧、塗布などの方法で処理しておき、型離れを
よくさせるものであるが、一般に内部離型といわれる樹
脂類に離型剤を混合しておいて型ばなれをよくさせるも
のも含まれる。離型紙用加工剤および背面処理剤には、
セロファンテープ、粘着テープなどの背面に塗布して、
永久的な接着を防止し、巻き戻しを容易にさせるもの
や、ラベル、ワッペンなどの離型紙の製造、フイルム、
合板成型工程に使用される離型紙の製造に用いられるも
のなどを包含する。また、アンチブロッキング剤とは、
シート、フイルムなどを長時間密着保持させた場合のブ
ロッキング防止のための処理剤として使用されるもので
ある。
本発明の重合体を非粘着剤として実用に供するために
は、重合体をアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチ
ル、ジメチルホルムアミド、メチルクロロホルム、トリ
クロロエチレン、トリクロロトリフルオロエタン、テト
ラジフルオロエタン、ヘキサン、トルエンなどの有機溶
剤の1種または2種以上の混合物中に溶解させるか、溶
媒中で重合させた重合体を前記のような溶剤で希釈する
ことにより製剤する。このような溶剤溶液にジクロロジ
フルオロメタン、モノフルオロトリクロロメタン、ジメ
チルエーテルなどの噴射剤を添加して適当な容器に充填
すればエアゾール型のものも調製可能である。また、本
発明の重合体を各種の添加剤と共に適当な界面活性剤を
用いて水性媒体中に乳化分散させることにより、水性乳
濁液としても調製されうる。乳化分散に用いられる界面
活性剤としては陰イオン型、非イオン型、陽イオン型の
いずれも採用可能で、特に限定されることはない。ま
た、場合によっては本発明の重合体をそのままの形で対
象物品に塗布する等の方法により使用することもでき
る。
非粘着剤として使用する場合、本発明重合体の構成単
位の組成について特に限定はなく、種々の種類のものが
利用できるが、前記(a)単位は性能上少なくとも5重
量%、好ましくは20重量%含有される。
本発明の重合体を有効成分とする非粘着剤で処理可能
な物品にも特に限定はなく、繊維織物、紙、木、皮革、
毛皮、フェルト、石綿、レンガなどの多孔性部品や、金
属、タイル、プラスチック、各種塗装面などのように平
滑性表面を有する物品の殆どに適用できる。本発明の非
粘着剤で非粘着の対象となる物質としては、ポリウレタ
ン樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、塩化ビニル樹
脂、アクリル樹脂、天然ゴム、クロロプレンゴム、フッ
素ゴムなどの合成または天然樹脂、合成または天然ゴム
などが挙げられる。非粘着剤の工業的適用例としては、
いわゆる離型剤として、プラスチックやゴムの成型工業
に用いられる金型、木型、プラスチック型、紙型などに
適用できるほか、紙、セロファン、布、プラスチックフ
イルム、金属箔などの粘着テープの背面処理や予め粘着
剤を塗布したラベル、シール、ワッペン類の離型紙の製
造などに適用されうる。
非粘着剤中の重合体濃度は、離型剤として用いる場
合、1回の離型だけを目的とするときは0.01%以下で十
分であるが、一度の離型剤塗布で特に寿命を長期間要求
する場合には、0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜10重
量%が適当である。背面処理剤やアンチブロッキング剤
として用いる場合もこれとほぼ同等量で使用することが
できる。重合体を内部離型剤として使用する場合には、
本発明の重合体を対象樹脂に対して0.05〜10重量%、特
に0.1〜3重量%程度添加して用いるのが適当である。
また、本発明の非粘着剤には、必要に応じて、アクリル
樹脂、酢ビ樹脂等の被膜形成樹脂やラッカー、塩化ビニ
ル塗料等の塗料類、酸化珪素、ポリテトラフルオロエチ
レン等の微粉末、シリコン油、フッ素系オイルなどのオ
イル類などを配合してもよい。
本発明の重合体を有効成分とする非粘着剤の適用方法
は、被処理物の種類や使用目的、非粘着剤の調製形態な
どに応じて、もっとも適切なものを選択すればよい。水
性乳濁液や溶剤溶液型の場合、噴霧、浸漬、塗布などの
既知の方法で被処理物の表面に付着させ乾燥させればよ
く、必要ならばキュアリングを行う。また、エアゾール
型の場合は被処理物に噴射吹き付けして乾燥させるだけ
でもよい。
次に本発明を実施例により説明する。なお、実施例
中、「部」および「%」は特に断わらない限り「重量
部」および「重量%」である。
実施例1 (A)CF3CF2(CF2CF23CH2CH2I(以下、〔I〕と表示
する。)260gおよびメタノール95gを、還流冷却器およ
び攪拌装置を取り付けた1000mlフラスコ中に仕込み、攪
拌した。フラスコの内温を65℃にし、メタノールをフラ
ックスし、あらかじめメタノール150g中にKOH33g溶かし
た溶液を滴下ロートから20分間で滴下し、さらに4時間
反応させた。なお、ガスクロマトグラフー分析によれ
ば、〔I〕からCF3−CF2(CF2CF23CH=CH2(以下、
〔II〕と表示する。)への転化率は100%であった。
反応終了後、攪拌を停止して2相分離した後、上層部
のメタノールを回収した。その後、純水400gをフラスコ
に仕込み、水洗し、分液ロートによりKIを溶解した水を
回収した。このようにして透明な液体である〔II〕195g
を得た。回収率97.5%。
(B)次に単量体〔II〕100gを、還流冷却器および攪拌
装置を取り付けた4フラスコに窒素雰囲気下で仕込
み、攪拌した。フラスコ内温度を110℃一定にしてから
t−ブチルパーオキシプロピルカーボネート5mlを仕込
み、110℃で10時間反応させた。ガスクロマトグラフー
分析によれば、転化率は〔II〕99.7%であった。
この内容物をメタノール中に投ずると白い沈澱物が生
成した。得られた沈澱物をトリクロロトリフルオロエタ
ンに溶解し、メタノール中に投じて再沈澱した。このよ
うにして精製することにより、白い固体の生成物76.2g
を得た。収率76.2%。ガラス転移点(Tg)21.6℃ 1H−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応する
シグナルを解析したところ、※Aのプロトン(5.7〜6.1
ppm)が消失し、※Bのプロトン(1.4〜3.0)が生成し
て、重合体であることが確認された。
また、液体クロマトグラフィ分析により数平均分子量
を測定したところ、2700となり、x=約6.0であった。
元素分析値、実験値:C,27.1%:F,71.2%;H,1.0%、計算
値:C,26.9%;F,72.4%;H,0.7%。
実施例2 (A)CF3CF2(CF2CF2)mCH2CH2I混合物(m=3,61.17
モル%;m=4,24.90モル%;m=5,9.24モル%;m=6,3.24
モル%;m=7,1.09モル%;m=8,0.37モル%)(以下、
〔III〕と表示する。)1.25kgを、還流冷却器および攪
拌装置を取り付けた3フラスコに仕込み、フラスコ内
温度を65℃一定にしてから攪拌した。
あらかじめメタノール625g中にKOH140gを溶かした溶
液を滴下ロートから20分間で滴下し、6時間反応させ
た。なお、ガスクロマトグラフィ分析によれば、〔II
I〕の転化率100%であった。
反応終了後、攪拌を停止して2相分離した後、下層部
の透明液体964gを回収した。その液体を1フラスコに
仕込み、フラスコ内温度150℃、トップ温度100℃、真空
度200mmHgから5mmHgにして単蒸留を行った。このように
して透明な液体であるCF3CF2(CF2CF2)nCH=CH2混合物
(n=3,61,94モル%;n=4,27.89モル%;n=5,8.89モル
%;n=6,1.20モル%;n=7,0.08モル%)(以下、〔IV〕
と表示する。)892gを得た。収率89.2%。
(B)次に、単量体〔IV〕100gおよび酢酸ビニル17.4g
を、還流冷却器および攪拌装置を取り付けた200mlフラ
スコに窒素雰囲気下で仕込み、攪拌した。フラスコ内温
度を110℃一定にしてからt−ブチルパーオキシプロピ
ルカーボネートを7ml仕込み、110℃で2時間反応させ
た。ガスクロマトグラフィ分析によれば、転化率は〔I
V〕および酢酸ビニルのいずれも100%であった。
その後、70℃に加熱し、溶媒を除去して粘性液体であ
る内容物を取り出した。室温まで放置、冷却して透明な
グリス状物質114.8gを得た。収率97.8%。ガラス転移点
(Tg)12.5℃。
1H−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応する
シグナルを解析した。その結果、※Aのプロトン(2.06
ppm)1個当たりのシグナル強度と※Bのプロトン(5.1
5ppm)1個当たりのシグナル強度から計算して求める
と、x=1、y=2.06の二元共重合体であることが確認
された。
また、液体クロマトグラフィ分析により数平均分子量
を測定したところ、Mn=2150であり、z=約3.2であっ
た。
元素分析値、実験値:C,34.8%;H,2.6%;F,52.9%、計算
値:C,34.1%;H,2.3%;F,54.0%。
実施例3〜13 実施例1または2と同様の手順に従い、第1表に示す
ように単量体の種類および仕込比ならびに重合条件を変
更して重合を行った。
結果を第1表に示す。
次に、本発明の重合体の応用例を示す。
1.離型剤 アルミニウム金型(6cmφ×3cm)に各種Rf化合物(2
%)溶液を塗布し、常温乾燥させた。この金型に下記の
半硬質ウレタンフオーム組成A液、B液を5000rpm×10s
ecで攪拌したものを注入する。10分間で硬化させた後、
引張り試験機を用いて離型性を測定した。
A液 スミセン3900(ポリオール) 90 部 水(発泡剤) 1.6部 トリエタノールアミン(触媒) 3 部 トイエチルアミン(〃) 0.5部 カオライザーNo.1(整泡剤) 0.5部 結果を第2表に示す。
2.内部離型剤 実施例4または実施例12において調整した重合体0.2
部とエピコート#828(シエール化学株式会社エポキシ
樹脂)100部をよく混合し、さらにトリエチレンテトラ
ミン10部を混合した。この混合物を4cmφ×2mmの金型に
注入する(金型は予め洗浄を行った後、離型剤の塗布を
行わない。)。その後、常温で2時間放置し、100℃で
1時間加熱して硬化後取り出したところ、いずれも成型
物は極めて容易に金型からはなすことができた。
参考までに本実施例の成形物の接触角を測定したとこ
ろ、水の接触角は119゜、n−ヘキサデカンの接触角は6
7゜であった。また、本成形物において実施例4または
実施例12の重合体を配合しない場合、金型と成形物が完
全に接着してしまった。
3.剥離剤 実施例4,7,11において調整した重合体を用い180゜剥
離強度を測定した。
第3表に示す溶媒に重合体を2%溶解する。この溶液
をポリエステルフィルムにバーコーター#8を用いて塗
布し、乾燥する。次に、ポリエステルテープ(日東電気
工業株式会社製)を用いてテープ剥離試験により測定し
た。結果を第3表に示す。
4.塗料への添加(アンチブロック、防汚性) 塩化ビニール塗料(ビニローゼ:大日本塗料(株)10
0部に実施例9において調整した重合体の10%n−ヘキ
サン溶液5部を混合し、これを化粧紙貼合ベニヤ合板の
上にバーコーター#8で上塗りし、乾燥する。比較のた
め、上記塗料において実施例9の重合体の代りにn−ヘ
キサンのみを5部使用して塗料を調整し、これを前記と
同様の方法で合板に塗布する。
この合板に幅18mmのセロファンテープ(ニチバン
(株))を指で強く圧着した後、勢いよく引きはがす操
作を繰返すと、重合体溶液を加えない塗料で塗布した合
板は1回目で表面がメクレ上ってしまったが、重合体を
加えた塗料を塗布した合板は6回繰返した後も変化がな
かった。
また、この合板を自動車のマフラーよりススで汚し、
布でふき取ったところ、重合体溶液を加えない塗料で塗
布した合板は黒く汚れたのに対し、重合体を加えた塗料
を塗布した合板は汚れも少なく、布でふき取ることによ
りきれいになった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/12 MMA C08F 220/12 MMA (72)発明者 遠上 尚徳 大阪府吹田市垂水町1―32―4 (72)発明者 林 和則 大阪府摂津市一津屋2―21―21 (56)参考文献 特開 昭58−118882(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式: −CHRfCH2− (I) [式中、Rfは炭素数5〜21のパーフルオロアルキル基を
    表す。] で示される構成単位よりなるパーフルオロアルキルビニ
    ル単独重合体、並びに (a)一般式: −CHRfCH2− (I) [式中、Rfは炭素数5〜21のパーフルオロアルキル基を
    表す。] で示される構成単位(a)および (b)一般式: [式中、YはOR1、OCOR1またはCOOR1で示される基、Z
    は水素またはCOOR2(ここで、R1およびR2は、同一また
    は異なって、炭素数1〜18のアルキル基を表す。)で示
    される基、Rは炭素数1〜18のアルキル基を表す。ただ
    し、YがOR1またはOCOR1である時、Zは水素である。] で示される構成単位(b)を含んで成るパーフルオロア
    ルキルビニル共重合体から成る群より選ばれた少なくと
    も一種の重合体から成る非粘着剤。
  2. 【請求項2】ゴム・プラスチック用離型剤である特許請
    求の範囲第1項に記載の非粘着剤。
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