JP2550818B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

渦電流式減速装置

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JP2550818B2
JP2550818B2 JP3313563A JP31356391A JP2550818B2 JP 2550818 B2 JP2550818 B2 JP 2550818B2 JP 3313563 A JP3313563 A JP 3313563A JP 31356391 A JP31356391 A JP 31356391A JP 2550818 B2 JP2550818 B2 JP 2550818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主として大型車両の摩擦
ブレーキを補助する渦電流式減速装置、特に制動ドラム
の内周面と永久磁石の間に介在する強磁性板の位相を変
えることにより制動と非制動の切換えを行う、渦電流式
減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】永久磁石(以下単に磁石という)を使用
した渦電流式減速装置には、制動ドラムの内部に、多数
の強磁性板を周方向等間隔に結合する案内筒を配設し、
各強磁性板に対向する磁石を極性が交互に異なるよう支
持した磁石支持輪を引退(非制動)位置から案内筒の内
部へ挿入すると、磁石の磁界が強磁性板を経て制動ドラ
ムの内周面に及び、回転する制動ドラムが磁界を横切る
時渦電流による制動力を受ける磁石支持輪軸移動型のも
のと、案内筒の内部で磁石支持輪の回転位相を変えるこ
とにより制動と非制動の切換えを行う磁石支持輪回動型
(特開平1−298948参照)のものとがある。
【0003】図6の左半部に示すように、前者の渦電流
式減速装置では、周方向等間隔に並ぶ各強磁性板15の
全面に対向する周方向寸法の長い磁石24aが磁石支持
輪14に結合され、相隣接する強磁性板15の周方向隙
間P0(中心角で表す)と、相隣接する磁石24aの周
方向隙間P0(中心角で表す)とは、磁石24aからの
磁気洩れを考慮して決定される。
【0004】ところが、図6の右半部に示すように、後
者の渦電流式減速装置では、強磁性板15を結合する案
内筒10は同形同寸のものであるが、各磁石24aに代
る磁石14aは周方向に2分割され、かつ周方向等間隔
(前者の渦電流式減速装置における磁石24aの配列ピ
ツチpの半分の配列ピツチ)に配設される。強磁性板1
5の回転位相を半配列ピツチp/2だけ変えると、強磁
性板15は互いに極性が異なる2つの磁石14aに跨が
つて短絡的磁気回路を形成し、案内筒10を覆う制動ド
ラム(図示せず)へ磁界が及ぶのを阻止する。上述のよ
うに、後者の渦電流式減速装置では、磁石14aの周方
向寸法が小さくなり、制動能力が低下するという問題が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
問題に鑑み、相隣接する同極性の磁石の周方向の隙間を
狭めて磁石の寸法ないし体積を大きくし、制動能力を高
めるようにした、渦電流式減速装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の構成は回転軸に結合した導体からなる制動
ドラムの内部に、環状の内空部を有しかつ非磁性体から
なる案内筒を配設し、該案内筒の外周壁に周方向の隙間
を存して多数の強磁性板を結合し、前記案内筒の内空部
に回動可能に支持した磁性体からなる磁石支持輪に、各
強磁性板に2つずつ対向しかつ極性が2つずつ異なるよ
う周方向に並べて多数の永久磁石を結合し、相隣接する
同極性の永久磁石の周方向の隙間を相隣接する異極性の
永久磁石の周方向の隙間よりも狭くし、前記強磁性板の
周方向の隙間を相隣接する異極性の永久磁石の周方向の
隙間と同等にしたものである。
【0007】
【作用】非制動時、非磁性体からなる案内筒の強磁性板
は、磁石支持輪の極性が異なる2つの磁石に跨り、各強
磁性板と磁石支持輪との間に短絡的磁気回路を形成し、
磁石は制動ドラムへ磁界を及ぼさない。
【0008】制動時、磁石支持輪を強磁性板の半配列ピ
ツチ分だけ回動すると、各強磁性板は極性が同じ2つの
磁石に跨る。両方の磁石の磁界は強磁性板を透過して制
動ドラムの内周面に垂直に作用する。回転する制動ドラ
ムが磁界を横切る時、制動ドラムに渦電流が流れ、制動
ドラムは制動トルクを受ける。
【0009】本発明によれば、磁石は極性が2つずつ異
なるよう周方向に配設されるが、極性が同じ磁石の隙間
を狭めることにより、磁石の寸法(周方向長さ)を増大
し、制動能力を高めることができる。
【0010】
【実施例】図1は本発明による渦電流式減速装置の側面
断面図、図2は同正面断面図である。本発明による渦電
流式減速装置は、例えば車両用変速機の出力回転軸1に
結合される導体からなる制動ドラム7と、制動ドラム7
の内部に配設される非磁性体からなる不動の案内筒10
と、案内筒10の内空部に回動可能に支持した磁石支持
輪14とを備えている。制動ドラム7はボス5のフラン
ジ部5aを、駐車ブレーキの制動ドラム3の端壁部と一
緒に、回転軸1にスプライン嵌合固定した取付フランジ
2に重ね合され、かつボルト4により締結される。ボス
5から放射状に延びるスポーク6に、冷却フイン8を備
えた制動ドラム7が結合される。
【0011】環状の内空部を有する案内筒10は断面コ
字形をなす筒体に環状の蓋板11を結合して構成され
る。案内筒10は適当な手段により例えば変速機の歯車
箱に固定される。案内筒10の外周壁10aに多数の強
磁性板(ポールピース)15が周方向等間隔(配列ピツ
チp)に結合される。好ましくは、強磁性板15は案内
筒10の成形時鋳ぐるまれる。磁石支持輪14は案内筒
10の内空部、詳しくは内周壁10bに軸受12により
回動可能に支持される。
【0012】案内筒10の左端壁に、好ましくは3つの
流体圧アクチユエータ20が周方向等間隔に結合され
る。流体圧アクチユエータ20はシリンダ18にピスト
ン17を嵌装してなり、ピストン17から外部へ突出す
るロツドは、磁石支持輪14から案内筒10の左端壁の
スリツトを経て突出する腕16を連結される。磁石支持
輪14は各強磁性板15に2つずつ対向する磁石14a
を結合される。
【0013】図2に示すように、磁石支持輪14は磁性
体からなり、多数の磁石14aが、各強磁性板15に2
つずつ対向しかつ強磁性板15に対する極性が周方向に
2つずつ異なるように配設される。詳しくは、極性が同
じ2つの磁石14aを組とする多数組の磁石14aが、
極性が交互に異なるよう周方向等間隔に配設される。各
組の磁石14aの相互の隙間P0(中心角で表す)は強
磁性板15の相互の隙間P0(中心角で表す)と等しく
する。一方、極性が同じ磁石14aの相互の隙間P1は
隙間P0よりも小さくする。具体的には、隙間P1は隙
間P0の1/2〜1/3にするのがよい。
【0014】次に、本発明による渦電流式減速装置の作
動について説明する。制動ドラム7は回転軸1と一緒に
回転するのに対し、図3に示すように、非制動時、各強
磁性板15に対し、極性が異なる2つの磁石14aが対
向する状態では、各強磁性板15と磁石支持輪14との
間で短絡的磁気回路が生じ、制動ドラム7に磁界を及ぼ
さない。各強磁性板15は2つの磁石14aの外周面を
ほぼ全面的に覆うから、制動ドラム7への磁気洩れは殆
ど生じない。
【0015】制動時、流体圧アクチユエータ20により
磁石支持輪14を強磁性板15の半配列ピツチp/2分
だけ回動すると、図2に示すように、各強磁性板15に
対し、極性が同じ2つの磁石14aが対向する。したが
つて、2つの磁石14aが等しく強磁性板15を経て制
動ドラム7に磁界を及ぼす。回転する制動ドラム7が磁
界を横切る時、制動ドラム7に渦電流が流れ、制動ドラ
ム7は制動トルクを受ける。この時、磁石14aから強
磁性板15、制動ドラム7、隣りの強磁性板15、隣り
の磁石14a、磁石支持輪14へと磁気回路が生じる。
相隣接する同極性の磁石14aの周方向の隙間P1を隙
間P0よりも狭くしたことにより、磁石14aの体積
(周方向長さ)を増大し、制動能力を高めることができ
る。
【0016】非制動時、強磁性板15は極性が異なる2
つの磁石14aに跨がり、極性が同じ磁石14aは周方
向の端部が強磁性板15の相互の隙間P0へ少し突出す
ることになる。この時、磁石14aの隙間P0へ突出す
る端部が制動ドラム7へ及ぼす磁界の強さは、制動時磁
石14aが制動ドラム7へ及ぼす磁界の強さに比べて非
常に弱いものになる。何故なら、制動時は磁石14aか
らの磁界が強磁性板15を経て制動ドラム7へ及ぶのに
対し、非制動時は磁石14aの隙間P0へ突出する端部
と制動ドラム7との間隔が大きく、両者の間に非磁性体
からなる案内筒10が存在し、磁石14aから近距離に
ある強磁性板15へと磁界が引かれるからである。
【0017】しかし、図4に示すように、強磁性板15
の周方向端縁部を台形とするか、図5に示すように、強
磁性板15の周方向端縁部の内周側部分を断面楔形に突
出させ、突出部分15aが磁石14aの外周面を覆うよ
うに構成すれば、非制動時、磁石14aの磁界が強磁性
板15の相互の隙間P0から制動ドラム7へ及ぶのを効
果的に防止できる。
【0018】上述の実施例では、磁石支持輪14を流体
圧アクチユエータにより強磁性板15の半配列ピツチ分
だけ正逆回動するようにしたが、電動機により回動して
もよく、また磁石支持輪14を固定し、代りに案内筒1
0を回動してもよい。
【0019】
【発明の効果】本発明は上述のように、回転軸に結合し
た導体からなる制動ドラムの内部に、環状の内空部を有
しかつ非磁性体からなる案内筒を配設し、該案内筒の外
周壁に周方向の隙間を存して多数の強磁性板を結合し、
前記案内筒の内空部に回動可能に支持した磁性体からな
る磁石支持輪に、各強磁性板に2つずつ対向しかつ極性
が2つずつ異なるよう周方向に並べて多数の永久磁石を
結合し、相隣接する同極性の永久磁石の周方向の隙間を
相隣接する異極性の永久磁石の周方向の隙間よりも狭く
し、前記強磁性板の周方向の隙間を相隣接する異極性の
永久磁石の周方向の隙間と同等にしたものであり、相隣
接する同極性の永久磁石の周方向の隙間を狭くしたこと
により、永久磁石の体積(周方向長さ)を増大し、制動
能力を高めることができる。
【0020】相隣接する異極性の永久磁石の周方向の隙
間を、相隣接する同極性の永久磁石の周方向の隙間より
も広く、かつ相隣接する強磁性板の周方向の隙間と同等
にしたから、制動時、永久磁石から制動ドラムを迂回し
ないで相隣接する強磁性板の間を跨いで隣りの永久磁石
へ向う短絡的磁気回路の発生を防止し、制動能力を最大
限に高めることができる。
【0021】相隣接する異極性の永久磁石の周方向の隙
間を、相隣接する強磁性板の周方向の隙間と同等にした
から、非制動時、永久磁石の周方向の端部が相隣接する
強磁性板の周方向の隙間を経て制動ドラムヘ及ぼす洩れ
磁界は、永久磁石と制動ドラムの径方向の間隔が大きい
こともあつて非常に弱く、引摺りトルクを最小限に抑え
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る渦電流式減速装置の側面断面図で
ある。
【図2】制動時の強磁性板と磁石支持輪との関係を示す
部分的正面断面図である。
【図3】非制動時の強磁性板と磁石支持輪との関係を示
す部分的正面断面図である。
【図4】強磁性板の変更実施例を示す正面断面図であ
る。
【図5】強磁性板の変更実施例を示す正面断面図であ
る。
【図6】従来の2形式の渦電流式減速装置を示す正面断
面図である。
【符号の説明】
1:回転軸 7:制動ドラム 10:案内筒 14:磁
石支持輪 14a:磁石15:強磁性板

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸に結合した導体からなる制動ドラム
    の内部に、環状の内空部を有しかつ非磁性体からなる案
    内筒を配設し、該案内筒の外周壁に周方向の隙間を存し
    て多数の強磁性板を結合し、前記案内筒の内空部に回動
    可能に支持した磁性体からなる磁石支持輪に、各強磁性
    板に2つずつ対向しかつ極性が2つずつ異なるよう周方
    向に並べて多数の永久磁石を結合し、相隣接する同極性
    の永久磁石の周方向の隙間を相隣接する異極性の永久磁
    石の周方向の隙間よりも狭くし、前記強磁性板の周方向
    の隙間を相隣接する異極性の永久磁石の周方向の隙間と
    同等にしたことを特徴とする、渦電流式減速装置。
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