JP2550125B2 - 燃料集合体 - Google Patents

燃料集合体

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JP2550125B2
JP2550125B2 JP63000368A JP36888A JP2550125B2 JP 2550125 B2 JP2550125 B2 JP 2550125B2 JP 63000368 A JP63000368 A JP 63000368A JP 36888 A JP36888 A JP 36888A JP 2550125 B2 JP2550125 B2 JP 2550125B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、燃料集合体に係り、特に沸騰水型原子炉に
適用して核燃料物質の消費を節約するのに好適な燃料集
合体に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の沸騰水型原子炉は、特開昭54-121389号公報に
記載されているように、中性子の減速を促進させるため
に冷却水のみが流れる管(以下、水ロッドと称する)を
有する燃料集合体を炉心内に装荷している。このような
水ロッドの使用は、従来の沸騰水型原子炉の運転条件下
では、ウラン原子に対する水素原子の数が多いほど反応
度が高く、炉心に装荷された核燃料物質を有効に活用で
きる。
しかし、さらに核燃料物質の有効活用を図るために
は、核燃料物質の燃焼に伴つて炉心内の水素原子数を変
えたほうがよい。
特開昭57-125390号公報及び特開昭57-125391号公報
は、その1つの方法を示している。すなわち、これらの
公報は、低速中性子吸収水押棒及びこの水押棒よりも反
応度価値が大きいステンレス鋼にて構成される中速中性
子吸収水押棒を設け、これらの水押棒の炉心内への挿入
量を制御して炉心内の冷却水量を調節することを述べて
いる。水押棒が、炉心内の水素原子数を変える手段であ
る。水押棒の炉心内への挿入量を増すと炉心内の冷却水
量が減り、この挿入量を減らすと炉心内の冷却水量が増
加する。以上述べた方法は種類の異なる水押棒を新たに
設け、駆動手段にて水押棒を操作しなければならなく、
構造,操作上複雑になる。
このような問題を解決するための静的な手段を用いた
燃料集合体が特開昭61-38589号公報に示されている。こ
の公報は、水素原子数を変える手段として燃料集合体の
水ロツド内にウラン235濃度の低い燃料棒を設置し、こ
の燃料棒のウラン235の消失前後における水ロツド内の
ボイド量の変化を利用することを記載している。
また、水押棒のような新たな操作手段を設ける必要の
ない方法として、炉心を流れる冷却水流量を調節する方
法がある。燃料サイクル始めの炉心を流れる冷却水流量
を少なくし、燃料サイクル途中からその冷却水流量を増
やすものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
炉心内の水素原子数を核燃料物質の燃焼に伴つて変え
た場合の利点を以下に説明する。
第2図は、沸騰水型原子炉に用いられる代表的な燃料
集合体について横軸に燃焼度、縦軸の反応度の一つの指
標である無限増倍率をとつて特性を示したものである。
2本の線はいずれも同一の燃料集合体であるが、破線は
燃料集合体内の冷却材流路における蒸気泡の体積率(ボ
イド率)を一定(ボイド率30%)にして燃焼させた場合
を、実線は最初高ボイド率(ボイド率50%)で運転して
途中でボイド率を下げた(ボイド率30%)場合を示す。
第2図より明らかなように、始めボイド率を高くして燃
焼させて後でボイド率を下げた方が、より高い燃料度を
得ることができる。
これは、ボイド率が高く、ウラン原子数に対する水素
原子数の比が小さい、すなわち水素原子数が小さいほう
が、中性子の平均速度が大きく、ウラン238に吸収され
やすいためである。沸騰水型原子炉で用いられる核燃料
物質中には、ウラン235とウラン238とが含まれており、
ウラン235が核燃料物質全体の数%で大部分をウラン238
が占めている。このうち、中性子を吸収して核分裂を生
じるのは主にウラン235のみであり、ウラン238はほとん
ど核分裂を生じない。したがつて、ウラン235が燃焼に
よつて減少すると反応度は低下する。
しかし、ウラン238も核分裂によつて生じる高エネル
ギの中性子を吸収するとプルトニウム239に変わる。プ
ルトニウム239は、ウラン235と同じく、減速された熱中
性子を吸収して核分裂を起こす。ボイド率が高い程、中
性子のエネルギが高くてウラン238からプルトニウム239
に転換される場合いが大きく、ウラン235及びプルトニ
ウム239の核分裂が抑制される。従つて、ボイド率が高
い程、ウラン235とプルトニウム239の総量の減少が遅
い。
ただし、ボイド率が高いと、反応度の絶対値は低い。
このため、ボイド率が高いままでは、ボイド率が低い場
合に比べて反応度が臨界を維持できる最低レベルに早く
達してしまう。そこで、その時点でボイド率を下げる
と、中性子の減速効果が増し、高ボイド率一定で燃料し
た場合に比べてウラン235及びプルトニウム239の核分裂
が増し、反応度はより高くなる。従つて、臨界に必要な
最低反応度になるまで、核燃料物質に含まれる核分裂物
質をより長く燃焼させることができる。
以上述べたことが、核分裂性物質の燃焼に伴つてボイ
ド率を変化させることにより核燃料物質の有効活用を図
る原理であつて、スペクトルシフト運転と呼ばれる。
構造の単純な水ロッド内に静的手段を設ける方法及び
炉心を流れる冷却水流量(炉心流量という)を変えるこ
とによつて炉心内の水素原子数を変更する方法は、いず
れも、炉心のボイド率の変化幅があまり大きくとれない
という問題があり、実際の原子炉に適用が困難である。
第3図は炉心流量に対する炉心平均ボイド率の依存性
を示すものである。炉心流量は、下限を熱的限界によつ
て制限され、上限を際循環ポンプ能力および流動振動に
よつて制限されている。従つて、沸騰水型原子炉が定格
の熱出力を出している状態では、定格の100%炉心流量
を中心に、ある狭い範囲でしかボイド率を変化させるこ
とができない。例えば、炉心流量を変化できる幅を80〜
120%までとすると、ボイド率の変化幅は約9%とな
る。
また特開昭61-38589号公報に示されたように水ロツド
内に燃料に伴つて発熱量の低下する発熱体(核燃料物
質)を置いた場合でも、水ロツド内のボイド率は高々30
%程度しか変化しない。水ロツド内の水は冷却に寄与し
ないので、水ロツドの燃料集合体内に占める横断面積は
あまり大きくできない。仮りに燃料集合体内の冷却水流
路の3割を水ロツドの横断面積にあてたとしても、30%
のボイド率変化は燃料集合体全体にならすと9%(30%
×0.3)に相当する。また、発熱体として濃縮度の低い
燃料棒を用いているので、構造が複雑であり、構造が面
倒である。
より大きなボイド率変化幅を達成するには、水ロツド
内の流量を極端に大きく変化させるか、あるいは水ロツ
ド内の核燃料物質の発熱量をもつと大幅に変化させるか
すれば良いが、そのような大幅な流量,発熱量の変化を
可動部なしに行うことはできない。可動部をつけた場
合、信頼性に問題が生じ、また機構が複雑となる等の問
題がある。
本発明の目的は、単純な構造で燃料集合体内平均ボイ
ド率を大幅に変化させことができ、かつ熱的余裕の低下
を抑制できる燃料集合体を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、複数の燃料棒と、これらの燃料棒の下
端部を保持する燃料保持部を有する下部タイプレート
と、前記燃料棒間に配置される水ロッドとを備え、前記
水ロッドが、前記燃料保持部よりも下方で開口する冷却
剤上昇流路、及び前記冷却材上昇流路と上端部で連絡さ
れ、前記冷却材上昇流路内を上昇した冷却材を下方に導
き、かつ前記燃料保持部よりも上方で開口する冷却材下
降流路を、内部に有している燃料集合体において、 単位体積当りの水素含有量が大きくかつ熱中性子吸収
断面積の小さい固体減速材が充填された領域を、前記水
ロッドの上部に配置したことにある。
〔作用〕
炉心を通過する冷却材の流量が低下すると、水ロツド
の冷却材下降流路内に蒸気が充満され、その冷却材流量
が増加すると冷却材下降流路内の蒸気量が著しく減少す
る。従つて、燃料サイクル末期での反応度増加が可能に
なる。また、単位体積当りの水素含有量が大きくかつ熱
中性子吸収断面積の小さい固体減速材が充填された領域
を、水ロッドの上部に配置しているので、燃料有効長部
の範囲において、水ロッド上方に周囲から冷却材が流入
することを抑制できる。このため、熱的余裕の低下を抑
制できる。
〔実施例〕
本発明の実施例を説明する前に、本発明の原理を説明
する。第4図は、その構造を示している。基本的には、
燃料集合体の下部に設けられた抵抗体(例えば下部タイ
プレート)6よりも下方の領域に冷却材流入口4が開口
した冷却材上昇流路2と、この冷却材上昇流路内を流れ
る冷却材流を反転させて下方に導き、しかも冷却材吐出
口5が抵抗体6よりも上方の領域に開口した冷却材下降
流路3とを有する水ロツド1を、燃料集合体に設けたも
のである。抵抗体6には、複数の冷却材流通孔7が設け
られている。
抵抗体6に設けられた冷却材流通孔7を流れる冷却材
(冷却水)の流量が変化すると、抵抗体6より下方の領
域と抵抗体6より上方の領域との間の差圧ΔPが変化す
る。縮流抗大による差圧は冷却水流量のほぼ2乗に比例
するので、たとえば抵抗体6を通過する冷却水流量が80
%から120%に変わつたとすると、差圧ΔPは約2.25倍
になる。
一方、水ロツド1内の冷却水量と水ロツド1における
出入口間の差圧(冷却材流入口4と冷却材吐出口5との
間の差圧との関係は第13図に示すようになる。冷却水流
量を零から増加させると水ロツド1の出入口間の差圧は
極大値に達し、さらに冷却水流量を増加すると水ロツド
1の出入口間の差圧は一たん極小になつたのち単調に増
加する。これは、第6図に示した現象に起因している。
第6図(a)は第5図のS点での水ロツド1内の状態を
示し、第6図(b)は第5図のT点での、及び第6図
(c)は第5図のU点での水ロツド1内の状態をそれぞ
れ示している。
水ロツド1内の冷却水も、水ロツド1の周囲にある燃
料棒から照射される中性子及びガンマ線によつて、0.5
〜2W/cm2程度の割合で発熱する。水ロツド1内を流れる
冷却水の流量が非常に少ない場合(第5図のS点の状
態)は、水ロツド1内の冷却水が中性子等の照射によつ
て発熱するとともに蒸発し、この蒸気が第6図(a)に
示すように冷却材上昇流路2及び冷却材下降流路3の上
部に充満する。冷却材上昇流路2内には液面L1がで
き、水ロツド1の出入口間の差圧はこの液面L1と水ロ
ツド1の冷却材吐出口5(冷却材下降流路3の出口)の
液面L2の静水頭差によつて発生する。冷却材上昇流路
2内に流入する冷却水流量は、蒸気になつて冷却材吐出
口5から流出する流量とバランスする。
冷却水流量を第5図のS点から増加していくと、冷却
材上昇流路2内への冷却水の流入量が冷却水の蒸発量を
上回わる。このような場合(例えば第5図のT点)には
第6図(b)に示すように冷却材が冷却材下降流路3内
を流下する。このとき、冷却水上昇流路2内の静水頭の
一部分が冷却材下降流路3内を流れる冷却水の重量によ
つて打消されるため、水ロツド1の出入口間の差圧は極
大値S0よりも減少する。しかし、さらに冷却水流量を
増加すると、冷却材流入口4から流入した未飽和水は冷
却材上昇流路2及び冷却材下降流路3内で沸騰が抑制さ
れたまま(ボイド率が著しく低減された状態で)冷却材
吐出口5から流出する(第5図のU点の状態、第6図
(c))。このため冷却材上昇流路2及び冷却材下降流
路3内はほとんど単相流となる。従つて、第6図(a)
の状態で冷却材上昇流路2及び冷却材下降流路3内の冷
却材吐出口5のレベルにおける各静水頭は打消し合つて
それらの静水頭差が非常に小さくなる。しかし、水ロツ
ド1内を流れる冷却水流量が大きいため、摩擦や冷却水
流れの反転による圧力損失が増大し、水ロツド1の出入
口間の差圧は再び上昇する。
以上述べた現象によつて、水ロツド1の出入口間の差
圧の変化量が少なくても、水ロツド1内の冷却水流量の
変化幅は非常に大きくなり、ボイド率の変化幅も著しく
増大する。
従つて、例えば炉心流量が80%の時における水ロツド
1の出入口間の差圧が第5図の極小値T0に対応する水
ロツド1の出入口間の差圧以下で、炉心流量120%の時
における水ロツド1の出入口間の差圧が第5図の極大値
0に対応する水ロツド1の出入口間の差圧を越えるよ
うに抵抗体6の抵抗を調節しておけば、燃料集合体内を
流れる冷却水流量(炉心流量)の変化によつて大幅なボ
イド率変化を実現することができる。上記の例で炉心流
量80%は極大値S0よりも左側、好ましくは第5図のQ
点(極小値T0と同じ入口間の差圧)よりも左側にあ
り、炉心流量120%は極小値T0よりも右側、好ましくは
第5図のR点(極大値S0と同じ出入口間の差圧)より
も右側にある。
以上述べた原理を利用した本発明の好適な一実施例、
すなわち沸騰水型原子炉に適用する燃料集合体を第1
図,第7図,第8図及び第9図に基づいて説明する。
第7図に示すように本実施例の燃料集合体10は、燃料
棒11,上部タイプレート12,下部タイプレート13,燃料ス
ペーサ16,チヤンネルボツクス17、及び水ロツド18から
なつている。燃料棒11の上下端部は、上部タイプレート
12及び下部タイプレート13にて保持される。水ロツド19
も、両端部が上部タイプレート12及び下部タイプレート
13に保持される。燃料スペーサ16は、燃料集合体10の軸
方向に幾つか配置され、燃料棒11相互間の間隙を適切な
状態に保持している。燃料スペーサ16は、水ロツド19に
て保持される。チヤンネルボツクス17は、上部タイプレ
ート12に取付けられ、燃料スペーサ16で保持された燃料
棒11の束の外周を取囲んでいる。下部タイプレート13
は、上端部に燃料棒支持部14を有し、しかも燃料棒支持
部14の下方に空間15を有している。燃料棒支持部14が、
燃料棒11及び水ロツド19の下端部を支持している。燃料
棒11は、第8図に示すように上部端栓31及び下部端栓32
にて両端が密封された被覆管30内に多数の燃料ペレツト
33を装荷したものである。ガスプレナム34が、被覆管30
内の上端部に形成される。水ロツド19の直径(後述する
外管21の外径)は燃料棒11の直径よりも大きく、水ロツ
ド19は燃料集合体10の横断面の中央部に配置されてい
る。
水ロツド19の詳細構造を第4図により説明する。水ロ
ツド19は、内管20,外管21及びスペーサ22から構成され
る。外管21と内管20とは同心円状に配置され、外管21が
内管20の外周を取囲んでいる。外管21の上端はカバー部
23にて密封されており、カバー部23の上部が上部タイプ
レート12内に挿入されて保持される。カバー部23は、内
管20の上端との間に間隙を形成するように内管20の上端
を被つている。内管20の上端部は、水ロツド19の軸心か
ら放射状に配置された板状のスペーサ22を介して外管21
の内面に固定される。外管21の下端は封鎖部24にて封鎖
される。内管20の下端部は、封鎖部24を貫通してそれよ
りも下方に突出している。内管20の下端部は、下部タイ
プレート13の燃料棒支持部14を貫通している。内管20の
下端に形成された冷却水流入口28は、下部タイプレート
13の空間15に開口している。内管20の内部が、冷却水上
昇流路25である。内管20と外管21との間に形成される環
状通路が、冷却水下降流路26である。外管21の下端部の
管壁に、周方向に複数の冷却水吐出口29が形成される。
これらの冷却水吐出口29は、周方向に等間隔に設けられ
ている。冷却水吐出口29は、燃料棒支持部14よりも上方
の領域に開口している。本実施例では、燃料棒支持部14
が第4図に示す抵抗体6の機能を有している。冷却水上
昇流路25と冷却水下降流路26とは、水ロツド19の上端部
に形成された反転部27によつて連絡されている。このよ
うに水ロツド19は、内部に冷却水上昇流路25,冷却水下
降流路26及び反転部27からなる逆U字状の冷却水流路を
有している。
本実施例の燃料集合体1を沸騰水型原子炉の炉心内に
装荷して(全燃料集合体が燃料集合体1)沸騰水型原子
炉を運転すると、冷却水の大部分は、下部タイプレート
13の空間15及び燃料棒支持部14に設けられた貫通孔18
(第9図)を通つて炉心に装荷された燃料集合体10の燃
料棒11相互間に直接導入される。下部タイプレート13の
空間に流入した冷却水の残りの部分は、冷却水流入口28
から水ロツド19の冷却水上昇流路25内に流入し、さらに
反転部27及び冷却水下降流路26を介して冷却水吐出口29
から燃料棒支持部14より上方の領域に吐出される。冷却
水吐出口29から吐出される冷却水は、冷却水流入口28か
ら水ロツド19内に流入する冷却水の流量の多少に応じて
前述したように液体または気体(蒸気)とする。本実施
例は、炉心流量100%(水ロツド19内では第5図の極大
値S0での流量状態)以下で第6図(a)の状態が水ロ
ツド19内に生じ、炉心流量110%(水ロツド19内では第
5図のR点での流量状態)で第6図(c)の状態が水ロ
ツド19内に生じるように、燃料棒支持部14の圧力損失,
内管20及び外管21の仕様があらかじめ設定されている。
スペクトルシフト運転の効果を上げるには、本実施例
による二重管の水ロツド内の蒸気領域を第1図に示すよ
うに、燃料ペレツト33に対応する位置に配置するのが望
ましい。
これは、核分裂を起こさないガスプレナム部に蒸気領
域を配置するより、核分裂を起こす燃料ペレツト33部に
蒸気領域を配置する方がスペクトルシフト運転の効果が
高まることによる。その対策としては、二重管水のロツ
ド高さl4を高くする方法も考えられるが、l4を高くす
るには炉心流量を増加させる必要が生じ、再循環系のポ
ンプ駆動能力を高める必要がある。水ロツドの蒸気領域
を下部に位置させると、その上部領域に空間ができ集合
体内の冷却材が水ロツド上部に流れ込み燃料集合体内の
周辺部の冷却材が少なくなり、熱的余裕が少なくなる。
本実施例の効果を大きくするには、減速効果が大きな
固体減速材を用いるのがよい。中性子減速能力の最も大
きい物質は水素である。したがつて、水素含有量の大き
な材料が減速材として好ましい。上記の条件を満たすも
のとしては、例えばジルコニウムハイドライド(ZrH
x)、セシウムハイドロイド(CeH2)等の金属水素化物
がある。本実施例では、燃料棒支持部からの水ロツド高
さl2は、燃料ペレツト高さl1よりも低くしている。燃
料棒11は、照射変形により燃料有効部が5cm程度伸長す
る。以上述べた点を考慮し水ロツド高さl2及び燃料ペ
レツド高さl1が決定される。
前述の実施例では、燃料有効部全体が、濃縮された燃
料ペレツトを充填しているが、燃料経済性を向上させる
こと及び炉心の停止余裕の増大をはかるため、燃料有効
部の上端部に天然ウランブランケツト領域を設置するこ
とが有効である。
以下に、燃料有効部の上端が天然ウランブランケツト
領域になつている場合の本発明の他の実施例を示す。
第10図は、燃料有効部の上端が天然ウランブランケツ
ト領域になつている場合の、水ロツド上端部の高さ位置
を示した模式図である。本実施例では、燃料有効部は、
濃縮された燃料有効部33とその上方にある天然ウランブ
ランケツト領域81より構成されており、プレナム部34は
天然ウランブランケツト領域81の上部に位置している。
水ロツド19A上端高さ位置は、燃料有効部の上端ではな
く、濃縮された燃料有効部33の上端にすなわち、天然ウ
ランブランケツト領域81の下端にほぼ一致させている。
水ロツド上端を天然ウランブランケツト領域にまで拡張
しない理由は、天然ウランブランケツト領域の核的特性
を考慮したためである。以下それについて説明する。
一般に、燃料の無限増倍率は、減速材の量を増加させ
ると最大になる値があり、それ以上減速材を増加させる
と減少する傾向を持つ。第11図に、減速材に対する無限
増倍率の関係を示す。横軸は、水素対ウラン原子数比
(H/U比)をとつており、減速材である水が増加する
と、H/U比は増加する。
無限増倍率が減速材に対して最大値をもつのは、H/U
比が増加すると、中性子の減速が促進され、共鳴吸収か
ら逃れる確率Pが増加する一方、減速材の熱中性子吸収
が増えるので熱中性子利用率fが減少することから、P
とf両者が相殺し合うためである。沸騰水型原子炉の燃
料は、通常の運転領域では、出力反応度係数を負にして
自己制御しやすい状態に保つ意味から、第11図の領域A
で示す減速不足状態の範囲に入つている。
ところが、天然ウランの場合、ウラン235の量が通常
の燃料の1/3〜1/4であるため、ウラン235の熱中性子吸
収断面積が減少し、熱中性子利用率fが低下する。ま
た、全体の熱中性子吸収断面積も減少するので、減速材
の熱中性子吸収断面積の割合が相対的に増加する。した
がつて、H/U比が変化したとき、熱中性子利用率fの変
化の割合が大きい。そのため、第12図の破線に示すよう
に、天然ウランは通常燃料と比べ、fは右下がりで急な
傾きをもち、無限増倍率は最大値が左にずれる。以上か
ら天然ウランは通常の運転領域で、減速過剰の状態にな
り、H/U比が増加すると無限増倍率は減少する。
以上のような核特性から、水ロツドを天然ウランブラ
ンケツト領域まで拡張することは、炉心反応度を若干損
失することになるため、第10図に示すごとく、水ロツド
の上端を定めた。これにより、燃料の核的特性上不利に
ならない範囲で、水ロツド高さを短縮し、炉心流量を変
えることによりスペクトルシフト運転を効率よく行うこ
とができる。
第15図には、本発明の他の実施例を示す。
本実施例の燃料集合体51は、特願昭60-126109号の第1
5図に示された燃料集合体に本発明を適用したものであ
る。本実施例が先の燃料集合体57と異なる点は、燃料集
合体57の水ロツド19Aを内管20Aと外管21Bからなる水ロ
ツド19Hに取替えたものであつて、他の構成は燃料集合
体57と同一である。また水ロツド19Hは、内管20A及び外
管21Bの長さが第13図の水ロツドより短かいだけであつ
て構造的には水ロツド19Aと同じである。本実施例で
は、水ロツド19Hが燃料支持部14を貫通していない。そ
のため、燃料集合体51は、燃料集合体57に比べて製作が
容易でかつ、燃料集合体57と同様の効果を得ることがで
きる。
以上の燃料集合体57,51では、下部タイプレートにオ
リフイス52のように圧力損失を変化させる機能を有して
いるが、その効果を期待しないのであれば、一般的な1
つの丸い孔のあいたオリフイス板を、燃料集合体57及び
51のオリフイス52の替わりに用いることもできる。ま
た、オリフイス52の第18図記載の燃料集合体10にも適用
可能である。
以上述べた水ロツド内の冷却材流れは、内管20から外
管21への流れの水ロツドの実施例であったが、本発明
は、水ロツド内の冷却材流れが逆の場合にも適用可能で
ある。以下その例について説明する。第19図は、その一
実施例を示す。本実施例では、水ロツド内の冷却材の流
れが外管21から内管20へ流れるときの一例を示す。本例
のように冷却材を外管から内管へ流し、冷却材上昇流路
25の横断面積を、冷却材下降流路26の横断面積より小さ
くすることにより、第6図(b)に示した現象の接続時
間を短かくしつつ、前述の実施例と同等の効果を得るこ
とが可能となる。
第20図に、本発明による水ロツドと部分長燃料棒を組
合せた他の実施例を示す。本図は、水ロツドを燃料棒11
と短かい燃料棒11′からなる燃料集合体に適用した例で
ある。一般に、燃料集合体において、熱的に最も厳しい
燃料棒の最も熱的に厳しくなる上部を除去して短かくす
ると、大幅に熱的余裕が増大する。なぜなら、通常燃料
集合体において、出力が異常に高くなって除熱不足状態
が現われるのは、燃料棒の最上部または、2番目のスペ
ーサ付近であるから、これらの領域部分の燃料棒を除去
すれば、短かい燃料棒自身の熱的問題は無くなくなる。
また、同時に短かい燃料棒に隣接する燃料棒の熱的余
裕も増大する。これは、燃料棒の上部を除去したことに
より、周囲の燃料棒1本当りの冷却水量が増加するため
である。すなわち、燃料棒の限界出力は、冷却水量の増
加に伴って増加する性質があり、短かい燃料棒に隣接す
る通常の長尺な燃料棒の限界出力は、向上されることと
なる。
一方、一部の燃料棒を短かく形成すると、燃料集合体
内の核分裂物質部が減少してしまい、残りの長尺な燃料
棒1本当りの出力負担が増大するという難点がある。そ
こで、本実施例においては、短かくする燃料棒の数を少
なくし、かつ熱的余裕を均一にするのに効果的な位置に
短かい燃料棒を配置した燃料棒と本発明による水ロッド
を組合せたものである。本実施例によれば、水平断面内
における各所の熱的余裕が均一化され、全体としての熱
的余裕が大きくなり、除熱特性が優れ、燃料の核特性上
不利にならない範囲でのスペクトルシフト運転が可能と
なる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、単純な構造で燃料集合体の平均ボイ
ド率の変化幅が大幅に増大し、燃料の核的特性上不利に
ならない範囲でのスペクトルシフト運転により、核燃料
物質の有効利用を図ることができる。また、熱的余裕の
低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の好敵な一実施例である水ロッド及び
燃料棒の図、第2図はスペクトルシフト運転を実施しな
い場合及びした場合における燃焼度に対する無限増倍率
の変化を示す特性図、第3図は、炉心流量と炉心平均ボ
イド率との関係を示す特性図、第4図は本発明に用いる
水ロッドの源理を示す説明図、第5図は、第4図の水ロ
ッドの出入口間に生じる差圧特性の概念図、第6図
(a),(b)、及び(c)は第3図のS,T及びU点で
の水ロッド内の流動状態を示す説明図、第7図は、本発
明を高燃焼度型炉心に適用した一実施例、第8図は、第
1図に示された燃料棒の部分断面図、第9図は、第1図
の水ロッドの詳細構造を示し、第9図(a)は水ロッド
の局部縦断面図、第9図(b)は、第9図(a)のI−
Iの断面図、第10図は、本発明の水ロッド高さの位置を
示す模式図、第11図、第12図は無限増倍率などのH/U依
存性を示した概念図、第13図は、第1図の燃料集合体全
体図、第14図は、第13図の断面II-IIの横断面図、第15
図は、本発明の他の実施例である燃料集合体の縦断面
図、第16図は、第15図のオリフィスの局所平面図、第17
図は、第16図のX1−X1断面図、第18図,第19図(a)
は、各々本発明の他の一実施例である燃料集合体の縦断
面図、第19図(b)は、第19図(a)のIII-IIIでの横
断面図であり、第20図は、本発明の他の一実施例である
燃料集合体の燃料棒と水ロッドの位置関係を示す模式図
である。 10,35,51,57……燃料集合体、11……燃料棒、11A……短
かい燃料棒、12……上部タイプレート、13……下部タイ
プレート、14……燃料棒支持部、19,19A〜19I……水ロ
ッド、20,20A……内管、21,21A,21B……外管、25……冷
却水上昇流路、26……冷却水下降流路、28……冷却水流
入口、29……冷却水吐出口、52……オリフィス、54……
丸棒、55……隙間。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の燃料棒と、これらの燃料棒の下端部
    を保持する燃料保持部を有する下部タイプレートと、前
    記燃料棒間に配置される水ロッドとを備え、 前記水ロッドが、前記燃料保持部よりも下方で開口する
    冷却材上昇流路、及び前記冷却材上昇流路と上端部で連
    絡され、前記冷却材上昇流路内を上昇した冷却材を下方
    に導き、かつ前記燃料保持部よりも上方で開口する冷却
    材下降流路を、内部に有している燃料集合体において、 単位体積当りの水素含有量が大きくかつ熱中性子吸収断
    面積の小さい固体減速材が充填された領域を、前記水ロ
    ッドの上部に配置したことを特徴とする燃料集合体。
  2. 【請求項2】前記固体減速材充填領域の下端が燃料ペレ
    ット充填領域の上端とほぼ等しい又はそれより下方に位
    置する請求項1の燃料集合体。
  3. 【請求項3】前記燃料棒は、燃料有効長部の上端部に天
    然ウランブランケット領域を有し、前記水ロッドの上端
    が前記天然ウランブランケット領域の下端とほぼ等しい
    又はそれより下方に位置する請求項1の燃料集合体。
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