JP2548439Y2 - 竪形圧延機におけるカリバ−チェンジ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、竪形圧延機におけるカ
リバ−チェンジ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】周知のごとく、スラブ圧延設
備、ビレット圧延設備および線材圧延設備等に用いられ
る孔型ロ−ルは、ロ−ル使用限界とは関係なしに、圧延
サイズの変更や鋼種の変更等により、ロ−ル交換が行わ
れているが、同一のロ−ルに複数種の孔型（溝型または
カリバ−ともいう）がある場合は、ロ−ルを軸方向に移
動させて孔替え作業（カリバ−チェンジ）を行ってい
る。

【０００３】竪形圧延機におけるカリバ−チェンジの概
要を述べると、上方から吊設されたユニバ−サルジョイ
ントおよびスピンドル等を介して駆動される１対の竪ロ
−ルには、複数種のカリバ−があって、このカリバ−を
選択して使用するため、竪ロ−ルをハウジングと共にウ
ォ−ムジャッキによって昇降させている（例えば、実公
昭５６−１３０４１号公報、特公昭５８−４１１２２号
公報等参照）。

【０００４】更に詳しく述べると、例えば、１対の竪ロ
−ルを支持しているボックス状圧延ハウジングを、上下
方向に配置されたサブヘッドに固着し、このサブヘッド
を、立設された柱に形成したガイドレ−ルに上下方向摺
動自在に嵌合し、このサブヘッドを、モ−タにより駆動
されるウォ−ムジャッキによって昇降させている。

【０００５】しかしながら、竪ロ−ルを昇降させるため
にウォ−ムジャッキを用いた圧延機では、カリバ−が多
種類ある竪ロ−ルのときは至便であるものの、カリバ−
が２つしかない簡易形の竪ロ−ルでは、ガイドレ−ル等
が過剰設備となり操作や保守にも手間がかかり、ひいて
は設備費も高くつく、という問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで本考案は、前記問
題を解決するために案出されたもので、その要旨とする
ところは、上方から吊設されたユニバ−サルジョイント
およびスピンドルを介して駆動され、かつ、２つのカリ
バ−を備えた１対の竪ロ−ルを、脚部を有し、かつ、油
圧ジャッキにより昇降可能とした圧延ハウジングに取付
け、前記脚部を油圧クランプにより固定可能とした竪形
圧延機にあって、前記脚部に前記カリバ−の間隔に対応
して油圧クランプのラムピストンが嵌入する嵌合溝を形
成したことを特徴とする竪形圧延機におけるカリバ−チ
ェンジ装置にある。

【０００７】

【実施例】本考案の構成を作用と共に、添付図面に示す
実施例により詳細に述べる。図１は本考案の実施例の全
体外観図、図２は図１のＡ矢視外観図、図３は図２の要
部詳細図、図４は竪ロ−ルの要部図、図５はレ−ルの要
部図、図６は図３の作動説明図である。本実施例は、線
材・棒鋼圧延機に好適であって、特に竪形圧延機と横形
圧延機とを組合せた粗列圧延機における竪形の孔型圧延
機に好適である。

【０００８】これらの図において、１はコンクリ−ト製
の構築物であって、この片側には１対の竪ロ−ル２，２
が配置されている。これらの竪ロ−ル２は、その上、下
端部における軸受部３を介して、圧延ハウジング４で支
持されている。そして、この竪ロ−ル２には、図４に示
すように２つのカリバ−Ｘ，Ｙが形成されており、ま
た、この竪ロ−ル２は、構築物１の上面に配置され、し
かも下向きに伝動する駆動装置５により回転駆動される
ようになっている。この駆動装置５は、モ−タ６、カッ
プリング７、減速機８、上、下のユニバ−サルジョイン
ト（またはスピンドルカップリングともいう）９および
スピンドル１０等から構成されている。

【０００９】以上述べたところは、通常の竪形圧延機に
略共通するものであるが、本実施例は、特に次のように
構成している。すなわち、前記圧延ハウジング４は枠体
を組立てたボックス状に構成され、これには４本の脚部
１１，１１・・・が取付けられており、この脚部１１に
よって支持されている。また、圧延ハウジング４の両外
側面（図２の左右）および構築物１に向う側面（図１の
右側）の３方には、それぞれハウジングサポ−ト１２が
突設されており、これらのハウジングサポ−ト１２は、
基礎部１３に立設された油圧シリンダ１４で持上げ可能
に支持される。したがって、油圧シリンダ１４は３つ設
けられる。

【００１０】また、この基礎部１３には、圧延ラインａ
に直交する方向に１対のソ−ルプレ−ト１５，１５が敷
設されており、このソ−ルプレ−ト１５は、圧延ライン
ａの片側に延出されてレ−ルを構成している。そして、
このソ−ルプレ−ト１５に、前記脚部１１に取付けられ
た走行車輪１６が転動するようになっており、しかも、
このソ−ルプレ−ト１５には、図５に示すようにスロ−
プ溝１５ａが形成されていて、その位置では、このスロ
−プ溝１５ａに走行車輪１６が嵌まり、その代り、脚部
１１の下面がソ−ルプレ−ト１５上に摺動自在に載るよ
うになっている。

【００１１】前記各脚部１１には、その外側面にカリバ
−の間隔に対応して嵌合溝１８Ａ，１８Ｂが上、下２段
に形成されており、これらの嵌合溝１８Ａ，１８Ｂの下
面は、内側より外側に向けて下向きの斜面１８ａを形成
してあって、後述のラムピストン２２が容易に嵌合でき
るようにしている。

【００１２】一方、前記基礎部１３には、４本の脚部１
１にそれぞれ対向する位置に取付枠１９が立設されてお
り、これらの取付枠１９には上段に油圧クランプ２０
Ａ、下段にパッド２０Ｂがそれぞれ水平方向に設けられ
ている。これらの油圧クランプ２０Ａやパッド２０Ｂ
は、シリンダ体２１と、このシリンダ体２１に嵌合した
ラムピストン２２とで構成され、油圧クランプ２０Ａと
なるシリンダ体２１の作動によりラムピストン２２が進
退し、前記嵌合溝１８Ａ，１８Ｂに対し嵌脱する。な
お、これらのラムピストン２２には、固定ピストン２２
ａが内蔵されていて、固定ピストン２２ａ両側に油圧が
供給されてラムピストン２２を往復動させるようにして
いる。また、パッド２０Ｂとなるラムピストン２２が進
出し、このラムピストン２２の上側面に脚部１１を載置
する。したがって、脚部１１の下面は、前記ソ−ルプレ
−ト１５上やパッド２０Ｂとなるラムピストン２２の上
側面上に載置できる平面状に形成されている。また、前
記脚部１１は圧延ラインａに平行な連結部材２３で互に
連結されており、一方の連結部材２３にはフック受２４
が設けられていて、このフック受２４に、圧延ラインａ
に直交したトラバ−スシリンダ２５のロッド２６に設け
たフック２６ａが係止するようになっている。したがっ
て、トラバ−スシリンダ２５の縮み作動により圧延ハウ
ジング４は、圧延ラインａから退避し、新旧ロ−ルの交
換ができるようになっている。また、トラバ−スシリン
ダ２５の伸び作動により圧延ハウジング４はフック２６
ａが連結部材２３を押して圧延ラインａへ戻されるよう
になっている。

【００１３】また、前記スピンドル１０は、構築物１か
ら吊設された１対のスピンドルキャリア２７によって把
持されるようになっている。すなわち、竪ロ−ル２とス
ピンドル１０とはユニバ−サルジョイント９を介して連
動連結されているが、圧延ハウジング４を圧延ラインａ
から退避させるときには、下方のユニバ−サルジョイン
ト９を上方に押上げてロ−ル軸２ａから外し、圧延ハウ
ジング４を退避させる。そのとき、ユニバ−サルジョイ
ント９とスピンドル１０とはスプライン嵌合であるの
で、ユニバ−サルジョイント９はスピンドル１０から落
下するおそれがあって、ロ−ル軸２ａと下方のユニバ−
サルジョイント９とを外すときには、予め、スピンドル
キャリア２７により下方のユニバ−サルジョイント９を
把持しておくようにしている。

【００１４】次に、本実施例の作用を述べると、スピン
ドル１０およびユニバ−サルジョイント９等をスピンド
ルキャリア２６によって把持した状態にして、圧延ハウ
ジング４を退避させ、そこでロ−ル交換をした後、トラ
バ−スシリンダ２５により圧延ハウジング４を圧延ライ
ンａの方に押し込む。そのとき、圧延ハウジング４の走
行車輪１６はソ−ルプレ−ト１５上を転動するが、トラ
バ−スシリンダ２５のストロ−ク終端近傍へくれば、ソ
−ルプレ−ト１５にスロ−プ溝１５ａが形成されている
ので、走行車輪１６はこれに嵌まり、その代り、脚部１
１の下面がソ−ルプレ−ト１５上に載ってスライドす
る。圧延ハウジング４が圧延ラインａの位置にきて停止
すると、油圧シリンダ１４が伸び作動してピストンロッ
ド端をハウジングサポ−ト１２に当てて、圧延ハウジン
グ４を持上げてロ−ル軸２ａをユニバ−サルジョイント
９の下端に嵌合した後、スピンドルキャリア２６を開放
する。その結果、ユニバ−サルジョイント９は自重で伸
長し、ロ−ル軸２ａに嵌合する。次いで、油圧シリンダ
１４を縮み作動させると、圧延ハウジング４が下降し脚
部１１の下面がソ−ルプレ−ト１５上に載置することに
なる。

【００１５】そこで、カリバ−Ｘを使用するには、脚部
１１の下面がソ−ルプレ−ト１５上に載置されているの
で、カリバ−Ｘの中心線は圧延ラインａと一致すること
となり、その状態で、上段の油圧クランプ２０Ａを嵌合
溝１８ａに嵌合させて圧延ハウジング４を固定する。ま
た、カリバ−Ｙを使用するには、油圧シリンダ１４を伸
び作動し、ピストンロッド端をハウジングサポ−ト１２
に当てて、圧延ハウジング４をカリバ−Ｙの中心線が圧
延ラインａより若干上方の位置に迄持上げる。そこで、
下段のパッド２０Ｂを伸び作動させた後、油圧シリンダ
１４を縮み作動させると、パッド２０Ｂのラムピストン
２２上に脚部１１の下面が載り、カリバ−Ｙの中心線が
圧延ラインａと一致するので、上段の油圧クランプ２０
Ａを下方の嵌合溝１８Ｂに嵌合させて圧延ハウジング４
を固定する。

【００１６】なお、本実施例では、ソ−ルプレ−ト１５
上に載置されたり、また、パッド２０Ｂ上に載置された
りする脚部１１を油圧クランプ２０Ａで固定している
が、本考案はこれに限らず、パッド２０Ｂを省略し、油
圧クランプ２０Ａだけで脚部１１を固定するものでもよ
い。また、上記実施例では脚部１１をその外側より油圧
クランプ２０Ａで固定しているが、本考案はこれに限ら
ず、脚部１１を内側より固定してもよい。

【００１７】

【考案の効果】本考案によれば、２つのカリバ−をもつ
竪ロ−ルの組替え装置として、圧延ハウジングの脚部
に、カリバ−の間隔に対応して油圧クランプのラムピス
トンが嵌入する嵌合溝を上、下２段に形成するだけであ
るので、竪ロ−ルのカリバ−チェンジが簡素な機構で行
うことができ、簡易形の竪形圧延機に相応しいものとし
て、設備費を節減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の全体外観図である。

【図２】図１のＡ矢視外観図である。

【図３】図２の要部詳細図である。

【図４】竪ロ−ルの要部図である。

【図５】レ−ルの要部図である。

【図６】図３の作動説明図である。

【符号の説明】

２ 竪ロ−ル、４ 圧延ハウジング、９ ユニバ−サル
ジョイント、１０ スピンドル、１１ 脚部、１４ 油
圧シリンダ、１５ ソ−ルプレ−ト、１８Ａ，１８Ｂ
嵌合溝、２０Ａ 油圧クランプ、２０Ｂ パッド、２２
ラムピストン、Ｘ，Ｙ カリバ−

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−169108（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−54206（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−128309（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−109301（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−82710（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−60203（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方から吊設されたユニバ−サルジョイ
   ントおよびスピンドルを介して駆動され、かつ、２つの
   カリバ−を備えた１対の竪ロ−ルを、脚部を有し、か
   つ、油圧ジャッキにより昇降可能とした圧延ハウジング
   に取付け、前記脚部を油圧クランプにより固定可能とし
   た竪形圧延機にあって、 前記脚部に前記カリバ−の間隔に対応して油圧クランプ
   のラムピストンが嵌入する嵌合溝を形成したことを特徴
   とする竪形圧延機におけるカリバ−チェンジ装置。