JP2547405B2 - 磁気浮上搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、容器例えば真空容器の中で、半導体ウエ
ハなどの物品を、無接触状態で搬送するに適した磁気浮
上搬送装置に関する。

（従来の技術） 従来のかかる磁気浮上搬送装置では、容器の中に、永
久磁石を取付けた浮上体が配置され、この容器の外部
に、物品の搬送路の全長に沿つて配列させる電磁石と、
同じく搬送路の全長に渉つて配列され、浮上体と共にリ
ニアモータ機構を構成するリニアモータ固定子とが設け
られる。かかる磁気浮上搬送装置において、電磁石が付
勢されると、これと永久磁石の相互磁気作用によつて、
浮上体が浮上し、同時にリニアモータ固定子が付勢され
ると、これとリニアモータ可動子を構成する浮上体との
交互作用によつて、浮上した状態の浮上体が、容器の中
で無接触状態で移動する。従つて、物品を浮上体に載置
すれば、物品は、容器の中で無接触状態で搬送される。

（発明が解決しようとする問題点） このような磁気浮上搬送装置は、搬送路の全長に渉つ
て電磁石が配列されているので、搬送路が長くなると、
大量の電磁石が必要になり、その制御も複雑になる。こ
の発明は、かかる従来の欠点を解決することを、その主
な目的とする。

（問題点を解決するための手段） この目的を達成するために、この発明の磁気浮上搬送
装置は、容器の内部に配置した浮上体と、容器の外部に
配置した可動の案内子と、該案内子を動かす駆動機構と
を有し、浮上体にはその少なくとも四箇所に永久磁石を
設け、案内子には浮上体上の各永久磁石を挾んで位置決
めされ、浮上体上の各永久磁石との相互磁気作用により
浮上体を浮上させると共に浮上体を案内子の動きに追従
させる電磁石と、各永久磁石にほぼ対応した位置で浮上
体の水平位置を検出する位置センサとを設け、さらに各
位置センサからの位置信号に応じて各電磁石の励磁電流
を制御する制御手段を設けたことを特徴としている。

（作用） このような構成の磁気浮上搬送装置において、電磁石
を付勢すれば、この電磁石と永久磁石の交互磁気作用に
よつて、浮上体が浮上し、次いで駆動機構によつて案内
子を移動させれば、浮上体は、浮上した状態で、同じく
電磁石と永久磁石の交互磁気作用によつて、案内子の移
動に追従して移動する。位置センサおよび制御手段によ
つて、浮上体は、所望の高さで平衡するように浮上でき
る。

すなわち、この発明においては浮上体上の各永久磁石
を挾んで電磁石を設けているので、それぞれの電磁石の
励磁電流の極性を制御手段で変えることにより一方を吸
引、他方を反発とそれぞれ異なる作用をさせることがで
き、それにより浮上体の高さ位置の制御が容易となる。
また位置センサが各永久磁石にほぼ対応した位置で浮上
体の水平位置を検出するように構成しているので浮上位
置制御は極めて正確に実施できるようになる。

（実施例） 以下、図面を参照しながら、この発明の実施例につい
て説明する。

磁気浮上搬送装置の一実施例を示す第１図において、
非磁性材料で作られた容器例えば真空容器10の中には、
同じく非磁性材料で作られた浮上体11が配置される。浮
上体11は上方部分11aおよび下方部分11bからなり、上方
部分11aの上面および下面の四隅には、第２図に示され
るような配置で、永久磁石12と、これをはさむように配
置された２個の磁性体部材13とが、固定取付けされる。
第２図において、符号13−12−13は、永久磁石と２個の
磁性体部材の組合わせを示す。下方部分116の下面の四
隅には、後述する目的のための下向き突起14が設けられ
る。

容器10の外部に配備される案内子15は、リニアモータ
16によつて構成された駆動機構によつて、紙面に直交す
る方向に移動できる。案内子15は、浮上体11の計８個の
永久磁石12にそれぞれ対面するように位置できる計８個
の電磁石17を有し、この電磁石17のおのおのは、二方を
磁性体部材18で囲まれる。磁性体部材18の両脚は、浮上
体11の一個の電磁石12をはさむ二個の磁性体部材13にそ
れぞれ対面できる。

浮上体11および案内子15が第１図のように位置してい
るときに、すなわち永久磁石12と電磁石17が対面してい
るときに、電磁石17が付勢されると、すなわちこれに励
磁電流が流されると、磁束流れを第３図に破線矢印で示
したようなまたは反対向きの磁気回路が生じ、この磁気
回路による永久磁石12と電磁石17の相互磁気作用によつ
て、浮上体11が浮上し、また案内子15が駆動機構16によ
つて移動するときも、浮上体11も、浮上しながら、案内
子15の移動に追従して移動する。

案内子15はさらに、位置センサ19を有する。この位置
センサ19は、案内子15および浮上体11が第１図のように
位置しているときに、容器10の底壁に設けられたガラス
などの絶縁性の窓20を介して、浮上体11の下向き突起14
に対面するように位置する。窓20は、案内子15の移動方
向すなわち紙面に直交する方向に延長する。位置センサ
19は、浮上体11の浮上位置すなわち下向き突起14の高さ
位置を検出して、その検出値を表わす位置信号を発する
ように構成される。

位置センサ19は、図示なしの制御手段を介して、電磁
尺17の電流回路に接続される。この制御手段によれば、
浮上体11が上下方向に変位したときに、位置センサ19か
ら発する位置信号が変化し、これに伴つて、変位方向と
逆方向の電磁石側の磁束が増加するように、電磁石17の
励磁電流が変化する。この制御によつて、浮上体11の変
位は打消され、この浮上体11は、所定の基準浮上位置に
維持される。この基準浮上位置は、勿論、制御手段で任
意に設定できる。位置センサ19が、第２図に13−12−13
で示される永久磁石と磁性体部材の組合せのそれぞれの
ほぼ下方の四ケ所に設けられているので、上述した浮上
位置制御は、極めて正確に達成できる。

上述したような構成の磁気浮上搬送装置において、電
磁石17に励磁電流を流せば、浮上体11は浮上し、さらに
駆動機構16によつて案内子15を移動させれば、浮上体11
は、浮上した状態ですなわち無接触状態で、案内子15の
移動に追従して移動する。前述した制御手段で基準浮上
位置を変える作動をすれば、浮上体11は、停止状態にお
いても移動状態においても、上下に変位できる。

駆動機構16として、前述したリニアモータ以外の機構
例えばステツピングモータとボールねじの組合わせも採
用できる。

浮上体11には、例えば第４図に示されるように、搬送
すべき物品（図示なし）を支持する搬送台21が取付けで
きる。搬送台21は、任意の形状でよく、浮上体11に固定
されてもよく、これに可動に取付けられてもよい。

（発明の効果） この発明によれば、電磁石を取付けた案内子が移動す
るように構成されているので、従来のように搬送路の全
長に渉つて多数の電磁石を配列する必要はなく、従つて
装置の構成が簡単になり、その価格も低廉になる。さら
に制御も簡単になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明による磁気浮上搬送装置の一実施例
の、搬送方向に直交する図解的垂直断面図である。第２
図は、第１図の装置に使用される浮上体の図解的平面図
である。第３図は、第１図の装置における永久磁石、電
磁石および磁性部材からなる系の磁気回路を示す。第４
図は、第１図の装置における浮上体に取付けた搬送台を
示す。 図面において、10は容器、11は浮上体、12は永久磁石、
15は案内子、16は駆動機構、17は電磁石を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器の内部に配置した浮上体と、容器の外
   部に配置した可動の案内子と、該案内子を動かす駆動機
   構とを有し、浮上体にはその少なくとも四箇所に永久磁
   石を設け、案内子には浮上体上の各永久磁石を挾さんで
   位置決めされ、浮上体上の各永久磁石との相互磁気作用
   により浮上体を浮上させると共に浮上体を案内子の動き
   に追従させる電磁石と、各永久磁石にほぼ対応した位置
   で浮上体の水平位置を検出する位置センサとを設け、さ
   らに各位置センサからの位置信号に応じて各電磁石の励
   磁電流を制御する制御手段を設けたことを特徴とする磁
   気浮上搬送装置。