JP2546080Y2 - 引出形遮断器の位置表示機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、引出枠とこの引出枠
に引出し，挿入自在に装着される遮断器とからなり、か
つ前記遮断器の断路状態，試験状態，接続状態の各位置
を表示する引出形遮断器の位置表示機構に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、引出形遮断器の位置表示機構とし
て遮断器の大きい引出しストロークを位置を表示するイ
ンジケータの小さいストロークとするためにインジケー
タカムを利用するものが提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の引出形遮断器の
位置表示機構は、インジケータカムが自由に回転する構
造のものであるので、外部振動などによってインジケー
タカムが思わぬ方向に回動すると、装置が破損するとい
う問題点があった。

【０００４】この考案はかかる問題点を解消するために
なされたもので、インジケータカムの回転を制動板およ
び引きバネにより規制することにより装置の破壊が防止
できる信頼性の高い引出形遮断器の位置表示機構を得る
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案に係る引出形遮
断器の位置表示機構は、引出枠に設けられるインサート
スクリューと、遮断器に定位置で回転するように挿着さ
れかつ引出ハンドルによって回動されて前記インサート
スクリューと螺合するメインスクリューと、このメイン
スクリューの軸線方向に沿って移行するように保持され
かつ一端はインジケータカムのカム溝に係合すると共に
他端は前記メインスクリューの先端近くまで延びて試験
位置の手前から接続位置までの間前記インサートスクリ
ューに当接して前記遮断器の移動に伴って前記インサー
トスクリューにより移行される連結ピンと、前記インジ
ケータカムを回転可能に支持する支軸と、この支軸に回
転可能に支持される制動板と、この制動板の端部と前記
インジケータカムの突片とが常時係合するように両者を
付勢する制動板用引きバネと、前記引出枠の側面に沿っ
て移行するように設けられかつ前記インジケ−タカムを
介して各位置にセットされるインジケータとを備え、さ
らに前記インジケータカムのカム溝を、前記連結ピンの
移行方向に沿って延びる非駆動溝部と、この非駆動溝部
の両端部にそれぞれ連設されてこれと交わる方向線上に
沿って延びる駆動溝部とで構成し、かつ前記カム溝の非
駆動溝部に前記連結ピンの一端が試験位置から移行した
ときに、前記制動板が前記引出枠側にロックされること
により、前記インジケータカムは以後前記制動板用引き
バネに抗して回動するようにしたものである。

【０００６】

【作用】この考案においては、遮断器の移動に伴ってイ
ンサートスクリューにより移行される連結ピンによりイ
ンジケータカムが移行するので、各位置にインジケータ
がセットされて各位置表示がなされる。その際、インジ
ケータカムのカム溝の非駆動溝部に連結ピンの一端が試
験位置から移行したときに、制動板が引出枠側にロック
されるので、インジケータカムは以後制動板用引きバネ
に抗して回動する。

【０００７】

【実施例】この考案の一実施例を図１〜図１６について
説明する。図１は断路状態にある引出形遮断器を示す概
略側面図、図２は接続状態にある引出形遮断器を示す概
略側面図である。図において、１は引出枠、２は引出枠
１に引出し，挿入自在に装着される遮断器、３は引出枠
１に設置される引出枠側導体、４は引出枠側導体３に設
けられるジャンクション、５は遮断器２に突設される遮
断器側導体、６は引出枠１に突設されるインサートスク
リュー（雌ねじ部材）、７は遮断器２に定位置で回転す
るように挿着されるメインスクリュー（雄ねじ部材）で
ある。

【０００８】図３は図１の引出形遮断器の引出機構を示
す横断平面図、図４は図３の縦断側面図、図５は図３の
引出機構のロック状態を示す横断平面図、図６は図５の
縦断側面図、図７は図３の引出機構のメインスクリュー
とスクリューロックとの関係を示す図、図８はロックプ
レートを示す図、図９はインジケータカバーを示す図、
図１０はロックプレートとインジケータカバーとの係合
状態（図４の状態）を示す図である。

【０００９】図において、８は遮断器２のフレーム、９
はフレーム８に固定される引出機構フレーム、１０はメ
インスクリュー７の中間部に形成した鍔部で、フレーム
８に係合してメインスクリュー７の前進を規制する。１
１はメインスクリュー７の中間部でかつ鍔部１０よりも
後方に突設したピンで、引出機構フレーム９の桟９ａに
係合してメインスクリュー７の後進を規制する。１２は
引出機構フレーム９に前後方向に移動するように挿入さ
れたスクリューロックで、中央にメインスクリュー７が
回動可能に貫通する穴１２ａを有している。１３はスク
リューロック１２を鍔部１０とピン１１との間に付勢状
態で保持するスクリューロックバネ、１４はスクリュー
ロック１２の後面に設けた凹部で、ピン１１が係合する
位置関係を有している。１５は引出機構フレーム９に固
定したインジケータカバーで、引出ハンドル（図示せ
ず）を挿入するための丸穴１５ａと後記するロックプレ
ートが突出するための角穴１５ｂと各表示孔１５ｃとを
有している。１６は引出機構フレーム９に前後方向に移
動するように設けられたロックプレートで、一端１６ａ
がインジケータカバー１５の角穴１５ｂから突出する方
向にロックプレートバネ１７により付勢されていると共
にこのロックプレートバネ１７に抗して一端１６ａを押
し込んだ状態では他端１６ｂによりスクリューロック１
２をスクリューロックバネ１３に抗して前進させたまま
段部１６ｃが角穴１５ｂの内周縁に係合している。

【００１０】図１１は図３の断路状態における位置表示
機構の要部を示す平面図、図１２は試験状態を表示する
状態を示す平面図、図１３は試験位置から非駆動溝部に
移行した状態を示す図１１と同じ平面図、図１４はイン
ジケータの非駆動状態を示す図１２と同じ平面図、図１
５は接続状態を表示する状態を示す図１２と同じ平面
図、図１６はインジケータを示す図である。図におい
て、１８はインジケータカバー１５内にあって引出機構
フレーム９に沿って摺動するインジケータで、断路状態
の表示１８ａと試験状態の表示１８ｂと接続状態の表示
１８ｃとを有している。１９は引出機構フレーム９に支
軸２０により回転可能に支持されるインジケータカム
で、後記する連結ピンの移行方向に沿って延びる非駆動
溝部１９Ａと、この非駆動溝部１９Ａの両端部にそれぞ
れ連設されてこれと交わる方向線上に沿って延びる駆動
溝部１９Ｂ，１９Ｃとで構成されるカム溝１９ａを有し
ている。２１は支軸２０に回転可能に支持される連動板
で、ピン２１ａによりインジケータ１８と係合してい
る。２２は連動板用引きバネで、インジケータカム１９
の突部１９ｂと連動板２１のピン２１ａとが常時係合す
るように両者を付勢している。２３は支軸２０に回転可
能に支持される制動板、２４は制動板用引きバネで、制
動板２３の端部２３ａとインジケータカム１９の突片１
９ｃとが常時係合するように両者を付勢している。２５
はメインスクリュー７に沿って前後方向に移行するよう
に引出機構フレーム９に保持される連結ピンで、一端２
５ａはカム溝１９ａに係合すると共に他端２５ｂはメイ
ンスクリュー７の先端近くまで延長されてインサートス
クリュー６の先端に当たる位置関係を有している。

【００１１】次に動作について説明する。図１に示す引
出形遮断器２の断路状態では、メインスクリュー７がイ
ンサートスクリュー６に噛み合いを始める状態であるの
で、図３に示すように連結ピン２５の他端２５ｂがイン
サートスクリュー６に当接せず、連結ピン２５，インジ
ケータカム１９，連動板２１，制動板２３，インジケー
タ１８が動作しないでインジケータ１８の断路状態の表
示１８ａがインジケータカバー１５の上段表示孔１５ｃ
から臨める状態にある。

【００１２】この断路状態において、図５，図６に示す
ようにロックプレート１６の一端１６ａをロックプレー
トバネ１７により突出させると、図５および図７中想像
線で示すようにロックプレート１６の他端１６ｂから解
放されたスクリューロック１２がスクリューロックバネ
１３により押圧されてピン１１が凹部１４に係合するの
で、インジケータカバー１５の丸穴１５ａから挿入する
引出ハンドルによってメインスクリュー７を回動するこ
とができず、ロック状態となる。

【００１３】図５，図６に示すロック状態から、ロック
プレート１６の一端１６ａをロックプレートバネ１７に
抗して押し込めば、ロックプレートバネ１７の力により
段部１６ｃが図１０に示すように角穴１５ｂの内周縁に
係合した状態で保持される。このようにロックプレート
１６が保持された状態では、図３，図４，図７中実線で
示すようにロックプレート１６の他端１６ｂがスクリュ
ーロック１２をスクリューロックバネ１３に抗して前進
させるので、ピン１１と凹部１４との係合が外れ、ロッ
ク解除の状態となる。

【００１４】図１，図３，図４に示すロックの解除され
た断路状態から、引出ハンドルによってメインスクリュ
ー７を右回転させると、メインスクリュー７がインサー
トスクリュー６に螺入することによって遮断器２が挿入
されてゆく。途中インサートスクリュー６に連結ピン２
５の他端２５ｂが当たって連結ピン２５が図１１の矢印
２６の方向に押されると、駆動溝部１９Ｂによってイン
ジケータカム１９，およびインジケータカム１９と連動
板用引きバネ２２により一体化した連動板２１と同じく
インジケータカム１９と制動板用引きバネ２４により一
体化した制動板２３とが図１１の矢印２７の方向に回動
されてインジケータ１８が図１１の矢印２８の方向に移
行し、図１２に示す試験状態となる。この試験状態で
は、インジケータ１８がベース距離ｌ₀ に対してストロ
ークｌ₁ だけ移動したことになり、インジケータ１８の
試験状態の表示１８ｂがインジケータカバー１５の中段
表示孔１５ｃから臨める状態にある。

【００１５】図１２の試験状態から再び，あるいは断路
状態から継続して、、引出ハンドルによってメインスク
リュー７を右回転させると、メインスクリュー７がイン
サートスクリュー６に螺入することによって遮断器２が
挿入されてゆく。このとき、連結ピン２５はインジケー
タスクリュー６によって継続して押され続けるが、図１
２の試験状態を過ぎたわずかのストロークだけは駆動溝
部１９Ｂによってインジケータカム１９および連動板２
１と制動板２３とが回動されてインジケータ１８が図１
４に示すストロークｌ₂ だけ移行する。そして、図１
３，図１４に示すように非駆動溝部１９Ａ内を連結ピン
２５の一端２５ａが移動する間はインジケータカム１９
および連動板２１は回動しないが、図１３に示すように
連結ピン２５の一端２５ａが試験位置から非駆動溝部１
９に移行したときに、制動板２３の端部２３ｂが遮断器
２のフレーム８に係合してロックされるので、以後イン
ジケータ１９が矢印２７の方向に回動するときには制動
板用引きバネ２４に抗することになる。そして、連結ピ
ン２５の一端２５ａが図１３から図１４を経て図１５に
示すように非駆動溝部１９Ｂから駆動溝部１９Ｃに入る
と、再びこの駆動溝部１９Ｃによってインジケータカム
１９および連動板２１が回動されてインジケータ１８が
図１５に示すストロークｌ₃ だけ移行し、図１５に示す
接続状態となる。

【００１６】この接続状態では、図２に示すように遮断
器側導体５がジャンクション４を介して引出枠側導体３
に接続され、かつインジケータ１８の接続状態の表示１
８ｃがインジケータカバー１５の下段表示孔１５ｃから
臨める状態にある。

【００１７】以上のように制動板２３を設け、連結ピン
２５の一端２５ａがカム溝１９ａの非駆動溝部１９Ａに
移行したときに制動板２３をロックしておくと、図１
３，図１４に示すように一端２５ａが非駆動溝部１９Ａ
にあってインジケータカム１９が一端２５ａによって駆
動されない状態において、インジケータカム１９は制動
板用引きバネ２４により付勢されるので、インジケータ
カム１９が外部振動などによって回動することがなく、
回動して連結ピン２５と係合することにより破損すると
いうことがない。

【００１８】上記実施例ではインジケータカム１９と連
動板用引きバネ２２により一体化される連動板２１を有
し、この連動板２１にピン２１ａを設けたものを示した
が、連動板２１と連動板用引きバネ２２を無くしてピン
２１ａをインジケータカム１９に直接設け、インジケー
タカム１９により直接インジケータ１８を動作させても
よい。

【００１９】

【考案の効果】以上のように、この考案によればインジ
ケータカムの回転を制動板および引きバネにより規制す
ることにより装置の破損が防止できる高い信頼性が得ら
れるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す断路状態の概略側面
図である。

【図２】接続状態を示す概略側面図である。

【図３】図１の引出機構を示す横断平面図である。

【図４】図３の縦断側面図である。

【図５】図３の引出機構のロック状態を示す横断平面図
である。

【図６】図５の縦断側面図である。

【図７】図３のメインスクリューとスクリューロックと
の関係を示す図である。

【図８】ロックプレートを示す図である。

【図９】インジケータカバーを示す図である。

【図１０】ロックプレートとインジケータカバーとの係
合状態を示す図である。

【図１１】図３の断路状態における位置表示機構を示す
平面図である。

【図１２】試験状態を表示する状態を示す平面図であ
る。

【図１３】試験位置から非駆動溝部に移行した状態を示
す図１１と同じ平面図である。

【図１４】インジケータカムの非駆動状態を示す図１２
と同じ平面図である。

【図１５】接続状態を表示する状態を示す図１２と同じ
平面図である。

【図１６】インジケータを示す図である。

【符号の説明】

１ 引出枠 ２ 遮断器 ３ 引出枠側導体 ４ ジャンクション ５ 遮断器側導体 ６ インサートスクリュー ７ メインスクリュー １１ ピン １２ スクリューロック １３ スクリューロックバネ １６ ロックプレート １７ ロックプレートバネ １８ インジケータ １９ インジケータカム １９ａ インジケータカムの溝 １９Ａ カム溝の非駆動溝部 １９Ｂ カム溝の駆動溝部 １９Ｃ カム溝の駆動溝部 ２０ 支軸 ２１ 連動板 ２１ａ ピン ２２ 連動板用引きバネ ２３ 制動板 ２３ａ 制動板の端部 ２３ｂ 制動板の端部 ２４ 制動板用引きバネ ２５ 連結ピン ２５ａ 連結ピンの一端 ２５ｂ 連結ピンの他端

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 引出枠と、この引出枠に引出し，挿入自
   在に装着される遮断器と、この遮断器に突設される遮断
   器側導体と、前記引出枠に設けられて前記遮断器側導体
   がジャンクションを介して接続される引出枠側導体とを
   有する引出形遮断器において、 前記引出枠に設けられるインサートスクリュー、前記遮
   断器に定位置で回転するように挿着されかつ外部からの
   引出ハンドルによって回動されて前記インサートスクリ
   ューと螺合するメインスクリュー、このメインスクリュ
   ーの軸線方向に沿って移行するように前記引出枠側に保
   持されかつ一端はインジケータカムのカム溝に係合する
   と共に他端は前記メインスクリューの先端近くまで延び
   て試験位置の手前から接続位置までの間前記インサート
   スクリューに当接して前記遮断器の移動に伴って前記イ
   ンサートスクリューにより移行される連結ピン、前記イ
   ンジケータカムを回転可能に支持する支軸、この支軸に
   回転可能に支持される制動板、この制動板の端部と前記
   インジケータカムの突片とが常時係合するように両者を
   付勢する制動板用引きバネ、および前記引出枠の側面に
   沿って移行するように設けられかつ前記インジケータカ
   ムを介して各位置にセットされるインジケータを備え、 さらに前記インジケータカムのカム溝を、前記連結ピン
   の移行方向に沿って延びる非駆動溝部と、この非駆動溝
   部の両端部にそれぞれ連設されてこれと交わる方向線上
   に沿って延びる駆動溝部とで構成し、 かつ前記カム溝の非駆動溝部に前記連結ピンの一端が試
   験位置から移行したときに、前記制動板が前記引出枠側
   にロックされることにより、前記インジケータカムは以
   後前記制動板用引きバネに抗して回動するようにしたこ
   とを特徴とする引出形遮断器の位置表示機構。