JP2545878Y2

JP2545878Y2 - 密封装置

Info

Publication number: JP2545878Y2
Application number: JP1989004306U
Authority: JP
Inventors: 純一中山
Original assignee: エヌオーケー株式会社
Priority date: 1989-01-18
Filing date: 1989-01-18
Publication date: 1997-08-27
Anticipated expiration: 2004-01-18
Also published as: JPH0296079U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）この考案は、自動車のパワーステアリングロッド等に
用いられる密封装置、特にバックアップリングを有する
密封装置に関するものである。

（従来の技術）従来、この種の密封装置は第２図に示すように、補強
環100と一体に成形した環状のシールリップ101の先端10
2をバネ103によって可動軸104の外周面に密封接触し、
密封流体側ａの流体が大気側ｂに漏れないように構成さ
れている。また、シールリップ101の内周面にはバック
アップリング105が装着され、密封流体側ａから矢印ｃ
方向の圧力が発生した際に、シールリップ101の先端102
側を保持することにより、シールリップ101の変形によ
り起こる密封性能の低下を防止できるようになってい
る。

（考案が解決しようとする課題）しかしながら、バックアップリング105と可動軸104と
の対向面には、可動軸104が径方向に振動した際を考慮
して隙間ｄが存在しているため、大気側ｂのゴミ，埃等
のダストが隙間ｄを通ってシールリップ101の先端102と
可動軸104との密封接触部分に侵入してしまい、密封性
能が低下して密封流体側ａの流体が隙間ｄを介して大気
側ｂに漏れるという問題があった。

この考案は上記問題を解消するためのもので、大気側
のダストが侵入することを防止し、高い密封性能を維持
できる密封装置を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段）上記目的を達成するためこのハウジングと該ハウジン
グと相対移動する可動軸との間を密封するものであっ
て、前記ハウジングにシール本体を装着し、該シール本
体に前記可動軸の外周面に密封接触する弾性材料製シー
ルリップと、該シールリップが加圧されたときにこれを
保持するバックアップリングとを有し、該バックアップ
リングは、前記シールリップの内周面に形成された溝に
装着され、径方向外方部は弾性材料によってのみ支持さ
れる密封装置において、前記バックアップリングには、
大気側に傾斜しかつ可動軸の外周面に密封接触する前記
バックアップリングの径方向厚さに対し十分に薄肉状の
突条を形成し、該突条の外周側には溝が形成されるとと
もに、前記突条の先端は前記シール本体の軸方向大気側
端部から大気側に突出させないものである。

（作用）上記構成に基づくこの考案の作用は、バックアップリングと可動軸との隙間が突条によって
遮断され、大気側のダストがシールリップと可動軸との
密封接触部分に侵入することはない。

バックアップリングが弾性体によってのみ支持される
ため、可動軸が偏心し前記バックアップリングに当接し
ても弾性体の弾力により可動軸の偏心により加わる密封
装置への荷重を柔軟に受け止めることができる。従っ
て、可動軸の偏心により突条が損傷することを防止し、
可動軸に対する偏心追随性を向上させると共に、可動軸
の偏心により密封装置に加わる荷重を低減し、可動軸の
移動に際する抵抗を低減することによって、可動軸の移
動をスムーズに行うことができる。

更に、バックアップリングの径方向移動を許容するた
め、バックアップリングと可動軸との間隙を狭くするこ
とができる。よって、密封装置の大気側からのダスト等
の侵入を低減し、密封装置の小型化にもなる。

バックアップリングに設けた突条の外周側に溝を設け
たことによって、前記突条に柔軟性を持たせて、シール
本体の軸方向大気側端部から大気側に突出しない構成を
実現できる。また、前記構成及び前記突条の厚さが前記
バックアップリングの径方向厚さに対し十分に薄肉状と
した構成により、前記突条がダストリップとしての柔軟
性を有し、前記突条の損傷を防止し、大気側からのダス
ト等の侵入を効果的に防止できる。

バックアップリング部分がシール本体の軸方向大気側
へ突出しないので、搬送中及び装着時に損傷を受けるこ
となく、ハウジングへの装着時に、シール本体の大気側
端面の広い面で軸方向位置を決めることができる。更
に、密封装置を装着するハウジング端面の形状も面一の
平面とすれば良いので、密封装置が取り付けられる装置
全体の簡略化となる。従って、前述のような形状の簡略
化により、取り付けも簡単となり、取付精度も向上す
る。（実施例）次に、この考案を第１図に示す実施例に基づいて説明
する。

まず、本考案に係る密封装置は、ハウジングと該ハウ
ジングと相対移動する可動軸との間を密封するもので、
ハウジングにシール本体が装着されるものである。

図において、１はハウジング２の内周面に嵌合したシ
ール本体を成す環状のシールリップで、該シールリップ
１はゴム等の弾性材料によって形成されている。３はシ
ールリップ１の内周側に設けた断面楔形のリップ先端
で、該リップ先端３は可動軸４の外周面に密封接触し、
密封流体側Ａ内の流体が可動軸４側から大気側Ｂに漏れ
ないように構成されている。なお、ハウジング２の内周
面とシールリップ１との嵌合面も密封状態にある。

５はシールリップ１の外気側Ｂの面から内部にかけて
一体装入したシール本体を成す断面Ｌ字形の補強環で、
該補強環５はシールリップ１に一定の強度を付与するた
めのものである。

６はリップ先端３の外周面に装着したばねで、該ばね
６は可動軸４に対するリップ先端３の押し付け力を高
め、長期間に亘って密封性能を維持させるためのもので
ある。

７はシールリップ１の内周面であって、リップ先端３
よりも大気側Ｂ寄りに装着したバックアップリングで、
該バックアップリング７はシールリップ１の内周面に沿
って設けた溝８に嵌合することによって、装着または固
定されている。すなわち、バックアップリング７の径方
向外方部はシールリップ１の弾性材料によってのみ支持
される。このバックアップリング７はリップ先端３に矢
印Ｃ方向の圧力が加わった際に、リップ先端３が大気側
Ｂ方向に変形して先端３と可動軸４との密封性能が低下
することを防止するためのもので、樹脂等によって形成
されている。

また、可動軸４の外周面とバックアップリング７の対
向面には隙間Ｄが設けられ、可動軸４の径方向への振動
に対応できるようになっている。

９はバックアップリング７の内周面に沿って形成した
突条で、該突条９は大気側Ｂに向けて一定角度傾斜する
とともに、その先端９′が締め代Ｅをもって可動軸４の
外周面に密封接触している。そして、その先端９′はシ
ール本体を成すシールリップ１及び補強環５の軸方向大
気側Ｂの端部から大気側Ｂに突出しないようになってい
る。なお、10はバックアップリング７の大気側Ｂの面に
設けた切欠溝で、該切欠溝10によって突条９は径方向に
弾性力を備えることとなっている。

次に、この考案の作用を説明する。

回転中の可動軸４の外周面にはシールリップ１のリッ
プ先端３が密封接触しているため、密封流体側Ａ内の流
体は大気側Ｂに漏れることはない。また、ハウジング２
の内周面とシールリップ１との嵌合面からも漏れない。

そして、大気側Ｂにゴミ，埃等のダストが存在してい
ても、バックアップリング７と可動軸４との対向面の隙
間Ｄは突条９によって遮断されているため、シールリッ
プ１と可動軸４との密封接触部に侵入することはない。
また、可動軸４が回転中に径方向に振動しても、突条９
は弾性を備えているためこれに追従でき、ダストの侵入
防止作用には支障がない。さらに、バックアップリング
７はゴム等の弾性材料により形成されたシールリップ１
の内周面に形成された溝８に装着され、径方向外方部は
シールリップ１の弾性材料によってのみ支持されている
ので、可動軸４の径方向偏心時に、突状９の弾性だけで
なく、シールリップ１の弾性も利用できるため、偏心追
随性の向上を図ることができる。

また、突状９の先端９′をシール本体を成すシールリ
ップ１及び補強環５の軸方向大気側Ｂの端部から大気側
Ｂに突出しないこととしているので、バックアップリン
グ７を密封装置が装着されるハウジング２等に干渉しな
いものとすることができ、ハウジング２に対する汎用性
が高くなる。加えて密封装置及び装着された構造全体の
コンパクト化を図ることができる。

（考案の効果）以上説明したように、この考案はハウジングと該ハウ
ジングと相対移動する可動軸との間を密封するものであ
って、前記ハウジングにシール本体を装着し、該シール
本体に前記可動軸の外周面に密封接触する弾性材料製シ
ールリップと、該シールリップが加圧されたときにこれ
を保持するバックアップリングとを有し、該バックアッ
プリングは、前記シールリップの内周面に形成された溝
に装着され、径方向外方部は弾性材料によってのみ支持
される密封装置において、前記バックアップリングに
は、大気側に傾斜しかつ可動軸の外周面に密封接触する
前記バックアップリングの径方向厚さに対し十分に薄肉
状の突条を形成し、該突条の外周側には溝が形成される
とともに、前記突条の先端は前記シール本体の軸方向大
気側端部から大気側に突出しない構成としているから、
突条によって大気側のダストがシールリップと可動軸と
の密封接触部に侵入することを防止できる。従って、密
封流体側の流体が大気側に漏れるおそれがない。また、
バックアップリングは弾性材料により形成されたシール
リップの内周面に形成された溝に装着され、径方向外方
部は弾性材料によってのみ支持されているので、可動軸
の径方向偏心時に、バックアップリングの径方向外方部
を支持しているシールリップの弾性も利用できるため、
偏心追随性の向上を図るとともに、バックアップリング
に設けられた突条の損傷を防止できる。そして、突条の
先端をシール本体の軸方向大気側端部から大気側に突出
しないこととしているので、バックアップリングを密封
装置が装着されるハウジング等に干渉しないものとする
ことができ、ハウジングに対する装着が容易となり、汎
用性が高くなる。加えて密封装置及び装着された構造全
体のコンパクト化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す要部断面図、第２図は
従来例を示す要部断面図である。符号の説明１……シールリップ、４……可動軸７……バックアップリング、９……突条Ｂ……大気側

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ハウジングと該ハウジングと相対移動する
可動軸との間を密封するものであって、前記ハウジングにシール本体を装着し、該シール本体に
前記可動軸の外周面に密封接触する弾性材料製シールリ
ップと、該シールリップが加圧されたときにこれを保持
するバックアップリングとを有し、該バックアップリン
グは、前記シールリップの内周面に形成された溝に装着
され、径方向外方部は弾性材料によってのみ支持される
密封装置において、前記バックアップリングには、大気側に傾斜しかつ可動
軸の外周面に密封接触する前記バックアップリングの径
方向厚さに対し十分に薄肉状の突条を形成し、該突条の
外周側には溝が形成されるとともに、前記突条の先端は
前記シール本体の軸方向大気側端部から大気側に突出し
ないことを特徴とする密封装置。