JP2545181Y2 - 床吹式空調設備の床吹出口 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はフリーアクセスフロアを使用した場合、ある
いは浮き床等で床下を空調用空気の供給路とする床吹式
空調設備の床吹出口に関する。

《従来の技術》 従来はフリーアクセスフロアや浮き床の場合、浮かせ
た分だけ室内の有効高さが少なくなるので、床下の空間
に空調用空気の給気路を構成し、あるいは給気ダクトを
配していた。そして、空調空気の吹出口は床面に設けら
れている。こうすることにより、床面近くの空気に冷風
を混合させ易くなる。

また、机下にオフィスオートメ機器（OA機器）を設置
した場合には、OA機器が発生する熱の影響で机下に熱が
こもるので、机下にも小さな床吹出口を設けている。

《考案が解決しようとする課題》 しかし、OA機器の運転が停止されると、机下の温熱的
均衡がくずれ、冷房の場合には机下が一方的に冷え、冷
気も床面に漂って温熱環境上好ましくなかった。すなわ
ち、OA機器を停止するとき床吹出口も閉止しないと、こ
の床吹出口から冷風が吹き出し続けて冷気が机下の床面
に漂い、このため温熱環境上好ましくなかった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたものであって、そ
の目的は机下のOA機器が停止したときには、机下の床吹
出口を簡単に閉塞できる廉価な床吹式空調設備の床吹出
口を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために、本考案の床吹式空調設備
の床吹出口は空気流路を開閉できるシャッターを具備し
た床吹式空調設備の床吹出口において、該シャッターは
吹出口外筒に、バネで閉塞方向へ付勢しながら丁番にて
開閉自在に止着し、該バネによる付勢方向と逆の方向へ
の運動を含んで往復動する足踏式軸は該吹出口外筒内に
一押してラッチされ、二押しでラッチが解除されるよう
に遊嵌支持され、かつ該足踏式軸はバネで付勢されてい
るシャッターに反付勢側から当接するように押圧運動し
ながら該足踏式軸が該シャッターの反付勢方向へ運動し
たときに該シャッターを開くのである。

また、別の構成としてもよくシャッターの開口率を上
げるために、前記シャッターは中央から２枚に分断さ
れ、前記吹出口外筒中央に渡した支持部材に中央の分断
部分を前記バネで閉塞方向へ付勢しながら前記丁番にて
連結するようにして装着し、前記足踏式軸の軸端には二
股材を取り付け、その分岐した先端が該シャッターの該
丁番による連結部分両側に跨って当るのである。

《作用》 足踏式軸を押したとき、足踏式軸は一押しでラッチが
解除になるか、押した方向にてラッチされるかであっ
て、これは空気流路を開閉するシャッターの反付勢方向
へ移動するか、戻るかの往復運動を行う。

一方、シャッターは床吹出口を形成する吹出口外筒の
一端にバネで閉塞方向へ付勢しながら丁番で止着してあ
って、丁番の軸を回動軸にしてスイング運動する。

このスイング運動は上記足踏式軸の運動方向がシャッ
ターを開く方向、即ちシャッターの反付勢方向であると
き、空気流路を開く方向への移動となる。

足踏式軸は次の一押しを受けない場合、そのラッチ機
構によって先の押圧運動方向へ位置を維持するため、シ
ャッターは開いた状態を持続している。

次に足踏式軸を押せば、ラッチが解除になり、シャッ
ターはバネによる付勢方向へ移動し、元の流路閉塞位置
へ戻る。

シャッターを中央から２分割した構造の場合には、足
踏式軸が床上に突出する寸法を一定の長さに制限して考
えたとき、シャッターの一端のみをスイング軸とするも
のの方はスイング角に限界があって、流路方向を遮蔽す
る部分が多く残るスイング角に止まるのに対し、二股材
にてシャッターを90度以上スイングさせることも可能な
ので、空気流路を大きく開くことができる。

即ち、足踏式軸の軸端にある二股材がシャッターの丁
番による連結部分両側に跨っていて、シャッターを反付
勢方向へ押すことで、シャッターは二股材の二股部分で
挟む内側へ折り込まれるようにスイング移動するのであ
る。

《実施例》 以下、本考案の好適な実施例について、図面を参照に
して詳細に説明する。

第１図は本考案に基づく床吹式空調設備の床吹出口１
を例示した縦断面図である。

円筒形の吹出口外筒２を垂直に立て、その上端で一体
的に曲成した鍔を床パネル３の吹出口用開口に嵌装した
とき、床吹出口１を構成する吹出口外筒２が床パネル３
に垂下支持される。

更に、吹出口外筒２の上端部分には直径方向に梁４を
渡設し、梁４の中央は足踏式軸５を遊嵌挿通している。

即ち、足踏式軸５は梁４の中央は垂直、かつ上下動自
在に通っている。

また、梁４には略Ｕ字形に形成した支持材６の上端部
が固定してあり、梁４で支持材６を吊持している。

支持材６の中央は足踏式軸５の垂線が通る軸線と一致
する中心点にリング７を支持しており、リング７にはＴ
字形の垂直材８を遊嵌挿通している。

一方、吹出口外筒２の底端部を塞ぐように、その外端
面側において一端を丁番９で止めたシャッター10を設
け、丁番９の軸に巻いたツル巻きバネ11はシャッター10
を閉塞方向へ付勢している。

このシャッター10の裏側、すなわち吹出口外筒２の中
の方では、吹出口外筒２内の前記丁番９側とは反対側の
一端にその回動端部を回動自在に軸着したレバー12があ
り、レバー12の先端にはローラー13を取付け、ローラー
13はシャッター10の裏側に当接している。

そして、レバー12の中途部分に垂直材８下端を軸で連
結している。

垂直材８が下方へ移動すると、レバー12は下へ押さ
れ、ローラー13がバネ11の付勢力に逆ってシャッター10
を押し下げ、吹出口外筒２の底が開かれる。

足踏式軸５は筒状になっていてその下端部が垂直材８
に固設されており、従って足踏式軸５が上下動すると垂
直材８も上下動するようになっているとともに、また足
踏式軸５の内部にはラッチ軸14が通してある。ラッチ軸
14は足踏式軸５の側部にその上下方向に沿って形成した
切欠部5bを介して外側に突出された腕部14aで梁４に固
定されている。切欠部5bは、上下動される足踏式軸５と
梁４に固定されたラッチ軸14との相対移動を許容する。

ラッチ軸14には縦にスリット15が刻設してあって、ス
リット15の下方は左右に広がっており、この左右に広が
った部分の中にハート形の突起15aがある。

他方、足踏式軸５の方には弾性体のピン5aがあり、こ
のピン5aの端部は足踏式軸５を貫通してラっチ軸14のス
リット15内に係合している。

足踏式軸５の上端を踏めば、足踏式軸５は降下し、そ
のピン5aがラッチ軸14のスリット15内を下へ移動してい
くとともに、垂直材８も押し下げられ、レバー12がシャ
ッター10を開く。シャッター10が開いたときに、足踏式
軸５のピン5aがスリット15内のハート形の突起15aの中
央の窪んだ所に収まり、シャッター10の開放状態が保持
される。

次に足踏式軸５を踏み込めば、足踏式軸５のピン5aが
スリット15の下にあるハート形の突起15aから外れ、シ
ャッター10はバネ11の付勢力にて閉じる方向へ戻りなが
ら、これと共にレバー12も押し戻され、垂直材８と共に
足踏式軸５も上昇し、シャッター10が閉じ終る。

上記ラッチ機構のように、足踏式軸５内にラッチ軸14
を収め、このラッチ軸14に対して足踏式軸５のピン5aを
拘束解除するこの種の部材は一般化しており、容易に入
手できるとともに、このような足踏式軸５にて、バネ11
で閉じ方向へ付勢したフラップ型のシャッター10をその
反付勢方向へ押圧する構成であって、机下に配置したOA
機器からの排熱が影響する温熱環境に応じて、足踏み操
作で迅速頻繁にかつ容易にシャッター10を開閉すること
ができる。

この第１図の実施例ではシャッター10の開度が垂直材
８の移動量によって決まるほか、床吹出口１の底の方の
空間はシャッター10の直径よりも長く必要とする。

そこで、第２図には別の構造を示している。

この床吹出口1aは垂直材８の代りに足踏式軸５の下端
部に二股材16の分岐先を下へ向けてビス止めしている。

また、吹出口外筒２の底端部外側に当るシャッター10
aは直径線分にて左右に２分割した半円状になってお
り、この分割部分を丁番9aで連結し、この丁番9aは吹出
口外筒２の底の方で直径方向へ渡設した支持部材17に止
着している。

即ち、支持部材17にシャッター10a-10aを丁番9aにて
連結固定している。

そして、丁番9aの軸に止めたツル巻きバネ11aはシャ
ッター10a-10aを閉じ方向へ付勢しており、二股材16は
支持部材17を跨いで、その先端が夫々シャッター10a-10
aの裏面に当接している。

したがって、足踏式軸５が降下すると、二股材16はシ
ャッター10a-10aをバネ11aに逆って押し開く。

図の二股材16の内側は或る程度の傾斜になっている
が、これは垂直でも差し支えなく、またシャッター10a
は左右が中央から分断した２枚構造なので第１図の１枚
のシャッター10を開く場合に較べると、シャッター開度
が大きい。

第３図は床下の給気路内に埃等が入り込まないように
した実施例である。

この実施例の床吹出口1bは吹出口外筒2aの底に嵌合す
る蓋をちり受兼用シャッター18とし、吹出口外筒2aの底
において、シャッター18が嵌脱することにより、給気路
を開閉するようにしたものである。

ちり受兼用シャッター18の中心部と足踏式軸５とを延
長軸19にて軸方向に連結し、更に延長軸19に、シャッタ
ー18を足踏式軸５側上方へ引張する引張コイルバネ20を
装着している。

足踏式軸５が下がって床吹出口1bが開かれるとき、シ
ャッター18は単に吹出口外筒2aの底から下の方へ離れ
る。他方、足踏式軸５が上昇して床吹出口1bが閉じられ
るときには、シャッター18が吹出口外筒2aの底に嵌合す
る。このとき、吹出口外筒2aとシャッター18との離隔距
離を足踏式軸５の上昇ストロークよりも小さく設定して
おくことにより、床吹出口1bを閉じた際、シャッター18
は引張コイルバネ20の引張力で上方へ強く引き上げられ
ることになり、吹出口外筒2aの底を密閉することができ
る。

上から吹出口外筒2a内に落ちる埃やゴミはシャッター
18内で受け止めることができる。

《効果》 以上詳細に説明したように、本考案の床吹式空調設備
の床吹出口によれば、足踏式軸を足で踏み込むことによ
り、吹出口外筒を閉塞しているシャッターを開閉操作で
きるので、床吹出口を机下に設置した場合、手でシャッ
ターを開閉するものに較べて操作が容易である。

このように容易に机下の床吹出口を開閉できるので、
机下のOA機器を運転または停止させたときに煩わしさを
伴うことなく簡便に床吹出口を開閉操作できる。この結
果、簡易に常時快適な温熱環境を維持できるし、その操
作は足元で迅速頻繁に、かつ容易に行え、便利である。

更に構造が簡単なので低廉に構成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の考案の実施例を示す縦断面図、第２図は
第２の考案の実施例を示す縦断面図、第３図は別の実施
例を示す断面図である。 １……床吹出口、２……吹出口外筒 ３……床パネル、４……梁 ５……足踏式軸、６……支持材 ７……リング、８……垂直材 ９……丁番、10……シャッター 11……バネ、12……レバー 13……ローラー、14……ラッチ軸 15……スリット、16……二股材 17……支持部材、18……ちり受上兼用シャッター 19……延長軸、20……引張コイルバネ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 西尾 敏朗 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株式会社大林組東京本社内

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】空気流路を開閉できるシャッターを具備し
   た床吹式空調設備の床吹出口において、該シャッターは
   吹出口外筒に、バネで閉塞方向へ付勢しながら丁番にて
   開閉自在に止着し、該バネによる付勢方向と逆の方向へ
   の運動を含んで往復動する足踏式軸は該吹出口外筒内に
   一押しでラッチされ、二押しでラッチが解除されるよう
   に遊嵌支持され、かつ該足踏式軸はバネで付勢されてい
   るシャッターに反付勢側から当接するように押圧運動し
   ながら該足踏式軸が該シャッターの反付勢方向へ運動し
   たときに該シャッターを開くことを特徴とする床吹式空
   調設備の床吹出口。
2. 【請求項２】前記シャッターは中央から２枚に分断さ
   れ、前記吹出口外筒中央に渡した支持部材に中央の分断
   部分を前記バネで閉塞方向へ付勢しながら前記丁番にて
   連結するようにして装着し、前記足踏式軸の軸端には二
   股材を取り付け、その分岐した先端が該シャッターの該
   丁番による連結部分両側に跨って当ることを特徴とする
   請求項１に記載の床吹式空調設備の床吹出口。