JP2544640B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2544640B2 JP62305901A JP30590187A JP2544640B2 JP 2544640 B2 JP2544640 B2 JP 2544640B2 JP 62305901 A JP62305901 A JP 62305901A JP 30590187 A JP30590187 A JP 30590187A JP 2544640 B2 JP2544640 B2 JP 2544640B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐熱性、耐衝撃性および外観の優れた熱可
塑性樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、耐摩耗性、電気
特性などが優れ、エンジニアリングプラスチックスとし
て好ましい特性を有している反面、耐衝撃性に劣るとい
う欠点を有している。この欠点を改善するため、種々の
改質用樹脂を配合する方法が提案されている。例えば、
特開昭60−69159号公報によれば、不飽和化合物グラフ
トエチレン系重合体、例えば、エチレン−アクリル酸エ
チル共重合体やアイオノマーに、無水マレイン酸やビシ
クロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水
物をグラフトしたものを改質剤とする方法が提案されて
おり、一応の成果をあげている。しかしながらこのよう
な改質剤を配合したポリアミド組成物は、好適な成形温
度巾が狭かったりあるいは成形品の外観が必らずしも良
好でなかったりすることがあり、満足べきするものとは
いえなかった。
〔発明の目的〕
本発明は、上記欠点を改善するためになされたもので
あって、その目的とするところは、比較的柔軟なものか
ら剛直なものまで品質設計が可能であり、しかも耐熱
性、耐衝撃性および外観の優れた熱可塑性樹脂組成物を
提供することにある。
〔発明の概要〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリアミド35
〜90重量部に対し、(B)(B1)α,β−不飽和カルボ
ン酸エステル含有量が8〜20モル%であるエチレン−
α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体に、不飽和
カルボン酸またはその無水物を0.01〜5重量%の割合で
グラフト重合させたメルトフローレートが0.01〜100dg/
分の酸変性重合体10〜90重量%と(B2)エチレン含有量
が80〜95モル%、メルトフローレートが0.3〜300dg/分
のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽
和カルボン酸の金属塩及びα,β−不飽和カルボン酸エ
ステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体
との共重合体10〜90重量%の割合からなるエチレン系重
合体成分を10〜65重量部〔(A)(B)両成分で100重
量部〕の割合で配合されてなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリアミド、
前記(B1)酸変性重合体及び前記(B2)エチレン共重合
体からなる。これら3成分は任意の順序で混合すること
ができる。
(A)ポリアミドとして代表的なものは、ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6−66、ナイロン1
1、ナイロン12のような脂肪族ポリアミド、テレフタル
酸系ポリアミド、イソフタル酸系ポリアミドのような芳
香族ポリアミドを例示することができる。これらポリア
ミドとして数平均分子量が1000〜100,000程度のものを
用いるのが好ましい。
本発明で用いる(B1)酸変性重合体は、α,β−不飽
和カルボン酸エステル含有量が8〜20モル%のエチレン
−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体に、不飽
和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5重量%、好ま
しくは0.1〜4重量%をグラフト重合したものである。
共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸エステル
としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルが好
適であり、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸イソブチルなどを代表例としてあげることができ
る、共重合体中、これらエステルが2種以上用いられて
いてもよく、あるいは少量であれば他の単量体が共重合
されていてもよい。共重合体中のエステル含有量は組成
物の耐衝撃改良効果を勘案すると、前記のような範囲と
するのが好ましい。該共重合体として、メルトフローレ
ート(JIS−K−6760,190℃,2160g)が通常0.3〜300dg/
分、とくに0.5〜200dg/分の範囲のものを使用するのが
好ましい。
上記共重合体にグラフトされる不飽和カルボンまたは
その無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸モノエチルのような一塩基酸、フマル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン
−2,3−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物のような二塩基酸またはその無水物を例示す
ることができる。これらの中では、とくに二塩基酸また
はその無水物がとくに好適である。エチレン−α,β−
不飽和カルボン酸エステル共重合体への不飽和カルボン
酸またはその無水物の好適なグラフト量は、その種類に
よっても若干異なるが、組成物の耐衝撃改善効果や色相
などを考慮すると、0.01〜5重量%、とくに0.1〜4重
量%である。これらのグラフト方法はすでに知られてい
るように、代表的には過酸化物のようなラジカル開始剤
を用い、適当な溶媒中で、あるいは押出機などを用いる
溶融法で行うことができる。
このような方法で得られる酸変性重合体として好適な
ものは、メルトフローレートが0.01〜100dg/分のもので
ある。かかるメルトフローレートのものを得るために
は、グラフト重合における反応条件、例えばラジカル開
始剤の種類、量、反応温度、圧力、時間などを適宜選択
すればよい。
本発明の(B2)成分としては、エチレン含有量が80〜
95モル%であるエチレンとα,β−不飽和カルボン酸、
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩及びα,β−不飽和
カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少くとも1
種の単量体との共重合体である。ここにα,β−不飽和
カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸など、
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩としてはアクリル
酸、メタクリル酸などのリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウムな
どの塩など、またα,β−不飽和カルボン酸エステルと
しては(B1)成分においてすでに例示したと同様のもの
を使用することができる。より具体的には、エチレン−
α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α,β
−不飽和カルボン酸金属塩共重合体,エチレン−α,β
−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,
β−不飽和カルボン酸−α,β−不飽和カルボン酸金属
塩共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸−
α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン
−α,β−不飽和カルボン酸−α,β−不飽和カルボン
酸金属塩−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体
などを例示することができる。これらの中で、α,β−
不飽和カルボン酸及び又はその塩を含有する共重合体に
あってはその総量が15モル%、とくに10モル%以下のも
のが好ましく、またα,β−不飽和カルボン酸エステル
を含有する共重合体にあっては、その含有量が4ないし
22モル%、とくに10ないし20モル%であるものが好まし
い。これら(B2)成分としては、メルトフローレートが
0.3〜300dg/分、とくに0.5〜200dg/分のものを使用する
のがよい。
(A)(B1)(B2)成分の配合割合は、(A)35〜90
重量部に対し、(B1)+(B2)が10〜65重量部〔総計10
0重量部〕である。剛性、耐熱性の高い組成物を得るた
めには、(A)60〜90重量部に対し、(B1)+(B2)を
10〜40重量部の割合となるように配合すればよい。また
耐熱性は若干低下するが、柔軟性に富む組成物を得るた
めには、(A)35〜59重量部に対し、(B1)+(B2)を
41〜65重量部の割合となるように配合すればよい。
(B1)成分と(B2)成分の使用比率は、前者10〜90重
量%に対し、後者90〜10重量%、好ましくは前者20〜85
重量%に対し、後者15〜80重量%(合計100重量%)と
なるような割合で配合するのが好ましい。また(B1)成
分と(B2)成分の総量に対し、(B1)成分中のグラフト
成分である不飽和カルボン酸またはその無水物が0.01〜
3重量%含有するように配合することが望ましい。かか
る配合割合を採用することによって、耐衝撃性と外観の
改良が同時に達成される。本発明の組成物は、前記
(A)(B1)(B2)成分を同時に、あるいは任意の順序
で混合することによって行われる。一般には単軸押出
機、2軸押出機、ニーダーなどを用い、240〜300℃程度
で溶融混練するのがよい。本発明の組成物には、酸化防
止剤、耐候安定剤、滑剤、帯電防止剤、有機又は無機の
顔料、難燃剤、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、マイ
カ、ガラス繊維などの充填剤などが添加されていてもよ
い。
本発明の組成物は、押出成形、射出成形、ブロー成形
などの各種形成法によって種々の成形品とすることがで
きる。例えばホース、チューブ、各種パッキング、ゴル
フシューズ、ベルト、スキー靴、各種自動車部品、例え
ばバンパーコーナー、マッドガード、サイドモール、ス
トーンガード、コンソールボックス、インスツルメント
パネル、窓枠など、電気部品、接着剤などの種々の用途
に供することが可能である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性、外観の優れた製
品を得ることができる。また配合処方を適宜変えること
により、柔軟な製品から剛直な製品まで、任意の硬さを
有する製品を得ることも可能である。本発明の組成物か
ら得られる成形品は、塗装性、印刷性にも優れている。
表−1:実施例、比較例に用いた材料について記した。
又、実施例、比較例における物性の測定方法を下記へ示
す。
・MFR(メルトフローレート) :JIS−K−6760 温度190℃、荷重2160g ・曲げ剛性率 :ASTM−D−747準拠 250℃で射出成形した角板(150×80×2mm)から試片
を打抜き、測定試片とした。
・引張衝撃強度 :ASTM−D−1822準拠 250℃で射出成形した角板(150×80×2mm)から試片
を打抜き、測定試片とした。
測定は流れ方向(タテ方向)及びこれを直角方向(ヨ
コ方向)について行った。
・アイゾット衝撃強度 ASTM−D−256 250℃で射出成形したIZOD試片(幅5mm)に後ほど切削
でVノッチを入れたものを測定試片とした。
・成形収縮率 250℃で射出成形した角板(150×80×2mm)のタテ方
向及びヨコ方向の成形収縮率の測定を行った。
成形収縮率は成形物外寸法と金型内寸法との比較によ
り変化率として算出した。
・加熱収縮率 250℃で射出成形した角板(150×80×2mm)を110℃の
エアーオーブン中に1時間放置した後、取り出し24時間
経過後、収縮率の測定を行った。
収縮率は加熱後成形物外寸法と金型寸法との比較によ
り変化率として算出した。
・外観 250℃で射出成形した角板(150×80×2mm)を目視に
より評価した 実施例の説明 実施例−1 酸変性共重合体−1の作製 共重合体−100重量部へ無水マレイン酸0.3部を単軸
押出機を用いて、200℃の温度下で2.5−ジメチル−2.5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3を使用して
グラフト重合させた。
組成物の調整及び測定 ポリアミド55重量部と酸変性共重合体−1 15重
量部と共重合体30重量部とを2軸押出機を用いて250
℃で混練を行った。
得られた組成物の物性を測定する為に、射出成形(成
形温度250℃)にて測定用の試片作製を行った。
これらの試片を用いて前述の方法で、曲げ剛性率、引
張衝撃強度、IZOD衝撃強度、成形収縮率、加熱収縮率、
外観の評価を行った。
実施例2〜14、比較例−1〜8も表−2、表−3に示す
組成内容で実施例−1と同様な方法にて実験を行った。
結果を表−2、表−3へ示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 123/26 JCL C09J 123/26 JCL 151/06 JDH 151/06 JDH 177/00 JGA 177/00 JGA

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアミド35〜90重量部に対し、 (B)(B1)α,β−不飽和カルボン酸エステル含有量
    が8〜20モル%であるエチレン−α,β−不飽和カルボ
    ン酸エステル共重合体に、不飽和カルボン酸またはその
    無水物を0.01〜5重量%の割合でグラフト重合させたメ
    ルトフローレートが0.01〜100dg/分の酸変性重合体10〜
    90重量%と(B2)エチレン含有量が80〜95モル%、メル
    トフローレートが0.3〜300dg/分のエチレンとα,β−
    不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩
    及びα,β−不飽和カルボン酸エステルからなる群より
    選ばれる少なくとも1種の単量体との共重合体10〜90重
    量%の割合からなるエチレン系重合体成分を10〜65重量
    部〔(A)(B)両成分で100重量部〕 の割合で配合されてなる熱可塑性樹脂組成物。
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