JP2544019B2 - 大入熱溶接haz靭性の優れた非調質鋼板の製造方法 - Google Patents
大入熱溶接haz靭性の優れた非調質鋼板の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、低温環境での大入熱溶接時においても溶接
熱影響部(以下HAZと称す)の靱性及び鋼材自体の靱性
(以下母材靱性と稱す)が優れた溶接構造用の非調質鋼
板の製造方法に関する。
熱影響部(以下HAZと称す)の靱性及び鋼材自体の靱性
(以下母材靱性と稱す)が優れた溶接構造用の非調質鋼
板の製造方法に関する。
<従来の技術> 近年、海洋構造物、船舶、貯蔵タンク等の大型構造物
に使用される溶接構造用後の材質特性に対する要望は厳
しさを増しており、破壊がもたらす被害の大きさ及び社
会不安の大きさから、母材靱性の厳しい要求と同時に、
HAZの靱性の要望も厳しさを増している。例えば、−50
℃の液化ガスを貯蔵するタンク用鋼材に対するHAZの靱
性の要求値として、−60℃におけるシャルピー試験にお
いて測定される吸収エネルギーが50J以上であることが
求められつつあり、また北極海で使用される海洋構造物
や砕氷船等では、−60℃から−80℃での使用環境での靱
性保証が要求されつつある。
に使用される溶接構造用後の材質特性に対する要望は厳
しさを増しており、破壊がもたらす被害の大きさ及び社
会不安の大きさから、母材靱性の厳しい要求と同時に、
HAZの靱性の要望も厳しさを増している。例えば、−50
℃の液化ガスを貯蔵するタンク用鋼材に対するHAZの靱
性の要求値として、−60℃におけるシャルピー試験にお
いて測定される吸収エネルギーが50J以上であることが
求められつつあり、また北極海で使用される海洋構造物
や砕氷船等では、−60℃から−80℃での使用環境での靱
性保証が要求されつつある。
さらに、これ等の構造物の製造に際しては、溶接の効
率化のため、フラックス−銅バッキング溶接に代表され
る片面1パス溶接法のような大入熱溶接法の適用が望ま
れている。
率化のため、フラックス−銅バッキング溶接に代表され
る片面1パス溶接法のような大入熱溶接法の適用が望ま
れている。
これを受け、代入熱溶接時における鋼材のHAZ靱性に
注目した提案は従来から数多くある。
注目した提案は従来から数多くある。
例えば、鉄と鋼第65年(1979年)第8号102頁から111
頁の「50kgf/mm2級高張力鋼板の大入熱溶接熱影響部の
靱性におよぼすTiおよびN量の影響」に記載されるよう
に、Ti及びNを適当な範囲に制御し、TiNを数多く析出
させることによりHAZの組織を微細なフェライトパーラ
イト組織として所要のHAZ靱性を得る方法がある。
頁の「50kgf/mm2級高張力鋼板の大入熱溶接熱影響部の
靱性におよぼすTiおよびN量の影響」に記載されるよう
に、Ti及びNを適当な範囲に制御し、TiNを数多く析出
させることによりHAZの組織を微細なフェライトパーラ
イト組織として所要のHAZ靱性を得る方法がある。
この方法は、Ti量を0.015%程度、N量を0.0050%程
度とすることを必須としているが、得られる靱性は0℃
程度の保証で、近年の要求である−60℃〜−80℃の靱性
保証を満たすものではない。
度とすることを必須としているが、得られる靱性は0℃
程度の保証で、近年の要求である−60℃〜−80℃の靱性
保証を満たすものではない。
また、特開昭58−110658号公報等に開示されるよう
に、S,N,B,Tiの含有量を一定範囲に規定し、HAZの靱性
を向上させる方法がある。
に、S,N,B,Tiの含有量を一定範囲に規定し、HAZの靱性
を向上させる方法がある。
この方法は、固接Nによる靱性低下を抑制し、さらに
HAZの粗大オーステナイト粒内にフェライトを生成させ
ることにより靱性を向上さる方法であるが、得られる靱
性は−30℃保証であって近年の要求である−60℃〜−80
℃の靱性保証を満たすものではない。
HAZの粗大オーステナイト粒内にフェライトを生成させ
ることにより靱性を向上さる方法であるが、得られる靱
性は−30℃保証であって近年の要求である−60℃〜−80
℃の靱性保証を満たすものではない。
この方法によると、HAZの組織は、オーステナイト粒
界には初析フェライトがあり、オーステナイト粒内には
フェライトが見られる。
界には初析フェライトがあり、オーステナイト粒内には
フェライトが見られる。
また、住友金属Vol.40(1988)No.1の39頁から47頁の
「大入熱溶接用高張力鋼板の開発」に記載されるよう
に、Ca及びTiを添加した鋼において、AlとBとN量を一
定範囲とすることでHAZの靱性を向上する方法がある。
「大入熱溶接用高張力鋼板の開発」に記載されるよう
に、Ca及びTiを添加した鋼において、AlとBとN量を一
定範囲とすることでHAZの靱性を向上する方法がある。
この方法は、Al量を0.01%以下出来るだけ少ない量と
して、N量は50ppm程度、Bは、0.0015〜0.0028%程度
にして、TiN、BN及びCaO析出粒子の微細分散によるHAZ
のオーステナイト粒粗大化の防止とフェライト変態促進
効果、及び溶接後の冷却時に析出するBNが有する固溶N
の低減効果を活用し、−60℃でのHAZの靱性を保証して
いるが、この方法でのHAZの組織は、フェライトパーラ
イト組織で、−80℃でのHAZ靱性を保証するものではな
い。
して、N量は50ppm程度、Bは、0.0015〜0.0028%程度
にして、TiN、BN及びCaO析出粒子の微細分散によるHAZ
のオーステナイト粒粗大化の防止とフェライト変態促進
効果、及び溶接後の冷却時に析出するBNが有する固溶N
の低減効果を活用し、−60℃でのHAZの靱性を保証して
いるが、この方法でのHAZの組織は、フェライトパーラ
イト組織で、−80℃でのHAZ靱性を保証するものではな
い。
また、この方法では、Al量が少ないため、母材組織の
細粒化に有効なA1Nの有効活用できず、母材靱性が著し
く低下して−60℃の保証ができない場合が生じる。
細粒化に有効なA1Nの有効活用できず、母材靱性が著し
く低下して−60℃の保証ができない場合が生じる。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は、上記した従来技術の現状を踏まえ、前記の
大型溶接構造物のHAZ及び母材の両位置で要求されてい
る厳しい靱性を安定して満足させる溶接構造用の非調質
鋼板の製造方法を提供することを課題とするものであ
る。
大型溶接構造物のHAZ及び母材の両位置で要求されてい
る厳しい靱性を安定して満足させる溶接構造用の非調質
鋼板の製造方法を提供することを課題とするものであ
る。
<課題を解決するための手段> 本発明は上記の課題を解決するために、 (1) 重量%で、 C:0.02〜0.06% Si:≦0.70% Mn:0.50〜1.60% Al:0.010〜0.060% Ti:0.005〜0.012% N:0.0020〜0.0050% B:0.0005〜0.0015% を含有し、かつ、 340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al≦40 を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片を
1000℃以上1250℃未満に加熱した後、下記の条件で定ま
る表面温度が760℃以上A℃以下の範囲内で60%以上の
仕上圧延を行うことを特徴とする大入熱溶接HAZ靱性の
優れた非調質鋼板の製造方法を第1の手段とし、 仕上板厚(mm)<16mmの場合 A℃=900−(50/8)×仕上板厚 仕上板厚(mm)≧16mmの場合 A℃=800 (2) 重量%で、 C:0.02〜0.06% Si:≦0.70% Mn:0.50〜1.60% Al:0.010〜0.060% Ti:0.005〜0.012% N:0.0020〜0.0050% B:0.0005〜0.0015% を含有し、さらに Cu≦1.00% Ni:≦1.00% Mo:≦0.50% V:≦0.10% のうち1種または2種以上を含有し、かつ、 340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al≦40 を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片を
1000℃以上1250℃未満に加熱した後、下記の条件で定ま
る表面温度が760℃以上A℃以下の範囲内で60%以上の
仕上圧延を行うことを特徴とする大入熱溶接HAZ靱性の
優れた非調質鋼板の製造方法を第2の手段としている。
1000℃以上1250℃未満に加熱した後、下記の条件で定ま
る表面温度が760℃以上A℃以下の範囲内で60%以上の
仕上圧延を行うことを特徴とする大入熱溶接HAZ靱性の
優れた非調質鋼板の製造方法を第1の手段とし、 仕上板厚(mm)<16mmの場合 A℃=900−(50/8)×仕上板厚 仕上板厚(mm)≧16mmの場合 A℃=800 (2) 重量%で、 C:0.02〜0.06% Si:≦0.70% Mn:0.50〜1.60% Al:0.010〜0.060% Ti:0.005〜0.012% N:0.0020〜0.0050% B:0.0005〜0.0015% を含有し、さらに Cu≦1.00% Ni:≦1.00% Mo:≦0.50% V:≦0.10% のうち1種または2種以上を含有し、かつ、 340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al≦40 を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片を
1000℃以上1250℃未満に加熱した後、下記の条件で定ま
る表面温度が760℃以上A℃以下の範囲内で60%以上の
仕上圧延を行うことを特徴とする大入熱溶接HAZ靱性の
優れた非調質鋼板の製造方法を第2の手段としている。
仕上板厚(mm)<16mmの場合 A℃=900−(50/8)×仕上板厚 仕上板厚(mm)≧16mmの場合 A℃=800 本発明におけるSi、Mn、Alの限定量とその理由は、通
常の溶接構造用鋼が所要の材質を得るために従来から当
業分野での使用で確認されている作用・効果の関係を基
に、例えば特開昭58−110658号公報に記載され以下に示
す様に定めている。
常の溶接構造用鋼が所要の材質を得るために従来から当
業分野での使用で確認されている作用・効果の関係を基
に、例えば特開昭58−110658号公報に記載され以下に示
す様に定めている。
Siは溶鋼の予備脱酸のために添加しているが、HAZの
靱性が低下するのを防止するために0.7%を上限とし、M
nは鋼材の強度を向上する成分として0.5%以上の添加が
必要あり、過剰な含有量ではHAZの靱性が低下するた
め、1.6%を上限とし、Alは、溶鋼の脱酸のため必要で
あり、またAlNの活用によって母材靱性を向上させるた
めにも、0.01%以上の添加が必要であり、Siと同様な作
用効果から0.06%以下に規制している。
靱性が低下するのを防止するために0.7%を上限とし、M
nは鋼材の強度を向上する成分として0.5%以上の添加が
必要あり、過剰な含有量ではHAZの靱性が低下するた
め、1.6%を上限とし、Alは、溶鋼の脱酸のため必要で
あり、またAlNの活用によって母材靱性を向上させるた
めにも、0.01%以上の添加が必要であり、Siと同様な作
用効果から0.06%以下に規制している。
<作用> 本発明は前記従来技術が有する課題を解消するため
に、下記の化学成分を有する一般的な構造用鋼を用い
て、大入熱溶接を行い、種々実験検討を繰り返し第1図
〜第5図を得た。
に、下記の化学成分を有する一般的な構造用鋼を用い
て、大入熱溶接を行い、種々実験検討を繰り返し第1図
〜第5図を得た。
供試鋼の化学成分 C:0.02〜0.12% Si:0.05〜0.30% Mn:0.50〜1.80% P:0.002〜0.020% S:0.0010〜0.0020% Al:0.005〜0.060% Ti:0.003〜0.020% B:0〜0.0020% N:0.0020〜0.0060% 本発明者等は第1図から、C量が0.060%以下に低下
すると−60℃でのHAZの靱性が著しく向上して100Jに達
することを知見した。
すると−60℃でのHAZの靱性が著しく向上して100Jに達
することを知見した。
その際HAZの組織は、粗大なオーステナイトの粒界に
塊状の初析フェライトが生成し、オーステナイト粒内は
微細なベイナイト状の組織であり、粒界のフェライトが
塊状になることにより、HAZの靱性に有害な粒界から成
長する粗大なフェライトサイドプレート組織や上部ベイ
ナイト状組織の生成が抑制され、前記した従来技術から
得られるHAZ組織とは異なることを知見した。
塊状の初析フェライトが生成し、オーステナイト粒内は
微細なベイナイト状の組織であり、粒界のフェライトが
塊状になることにより、HAZの靱性に有害な粒界から成
長する粗大なフェライトサイドプレート組織や上部ベイ
ナイト状組織の生成が抑制され、前記した従来技術から
得られるHAZ組織とは異なることを知見した。
また、C量を低下させることにより、HAZの靱性に有
害とされている、島状マルテンサイトや粗大な炭化物も
減少していることを知見した。
害とされている、島状マルテンサイトや粗大な炭化物も
減少していることを知見した。
さらに詳細に調査した結果、上記の組織は、Ti:0.005
〜0.012%、N:0.0020〜0.0050%、B:0.0005〜0.0015%
と共に、340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al
≦40を満たした場合に安定して形成され、この成分範囲
において、第2図に示すようにHAZで安定して良好な靱
性が得られることを見出した。
〜0.012%、N:0.0020〜0.0050%、B:0.0005〜0.0015%
と共に、340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al
≦40を満たした場合に安定して形成され、この成分範囲
において、第2図に示すようにHAZで安定して良好な靱
性が得られることを見出した。
この時のHAZの靱性は、第3図に示す如く−80℃でも
良好であることも知見した。
良好であることも知見した。
さらに、Cu及びNiは1%まで、Moは0.5%まで、vは
0.1%までの添加であれば、靱性を全く損なうことなく
強度を増加できることを知見した。
0.1%までの添加であれば、靱性を全く損なうことなく
強度を増加できることを知見した。
また、住友金属Vol.40(1988)No.1の39頁から47頁の
「大入熱溶接用高張力鋼板の開発」では、Al量が多くな
るとHAZ内でも溶接ボンド(溶接境界=weld interfac
e)から離れた位置の靱性が低下することが記載されて
おり、その原因は、溶接ボンドから離れた位置では溶接
時の加熱温度が低いためにTiN及びAlNの再固溶がほとん
どなくBが固溶Bとして多く存在して焼入性を上昇する
ことにより靱性が低下するものと推定している。
「大入熱溶接用高張力鋼板の開発」では、Al量が多くな
るとHAZ内でも溶接ボンド(溶接境界=weld interfac
e)から離れた位置の靱性が低下することが記載されて
おり、その原因は、溶接ボンドから離れた位置では溶接
時の加熱温度が低いためにTiN及びAlNの再固溶がほとん
どなくBが固溶Bとして多く存在して焼入性を上昇する
ことにより靱性が低下するものと推定している。
しかし上記の成分範囲の鋼板では、鋼板自体の焼入れ
性が抑えられているため、固溶Bが存在しても、第4
図、第5図に示すように溶接ボンドから離れた位置での
HAZ靱性の低下は起こらないことを知見した。
性が抑えられているため、固溶Bが存在しても、第4
図、第5図に示すように溶接ボンドから離れた位置での
HAZ靱性の低下は起こらないことを知見した。
一方、鋼材にはHAZの靱性向上と共に、高い母材性が
必要なことは言うまでもない。
必要なことは言うまでもない。
その場合、母材靱性で−80℃での靱性保証を行うに
は、線状加熱加工等による若干の靱性低下を考慮する
と、実用上からは保証温度−20℃程度の余裕が必要であ
る。
は、線状加熱加工等による若干の靱性低下を考慮する
と、実用上からは保証温度−20℃程度の余裕が必要であ
る。
そこで本発明者等は、高いHAZの靱性を示す鋼材の製
造条件の中で母材靱性に最も影響の大きい圧延条件につ
いて研究を進め、非常に高い母材靱性が得られる下記の
条件を見出した。
造条件の中で母材靱性に最も影響の大きい圧延条件につ
いて研究を進め、非常に高い母材靱性が得られる下記の
条件を見出した。
一般的に鋼材は、低温で大きな圧下を加えると母材靱
性が向上することが知られている。
性が向上することが知られている。
そこで、本発明の成分を有する鋼板について、鋼板表
面を含む(以下表面部と稱す)シャルピー試験片の板厚
中心つまりt/2部を含む(以下t/2部と稱す)シャルピー
試験片を準備し、低温での圧延条件の実験・検討を重ね
第6図〜第9図に示す知見を得た。
面を含む(以下表面部と稱す)シャルピー試験片の板厚
中心つまりt/2部を含む(以下t/2部と稱す)シャルピー
試験片を準備し、低温での圧延条件の実験・検討を重ね
第6図〜第9図に示す知見を得た。
第6図は、仕上圧延開始温度に関する知見である。こ
の図から、板厚の違いによっても、また同じ板厚でも、
板厚表面部とt/2部で最適な圧延開始温度が異なること
が判明した。
の図から、板厚の違いによっても、また同じ板厚でも、
板厚表面部とt/2部で最適な圧延開始温度が異なること
が判明した。
これにより、鋼板内部を熱伝導により伝わる熱量より
も、鋼板表面から放出される熱量の方が大きいため、通
常、鋼板内部に比べ鋼板表面の温度の方が低いが、一
方、圧延中の鋼板の温度は、鋼板表面でしか測定出来な
いことにより、鋼板の板厚が厚い程表面と内部の温度差
が大きくなり、この差で母材靱性に差が生じることを知
見した。
も、鋼板表面から放出される熱量の方が大きいため、通
常、鋼板内部に比べ鋼板表面の温度の方が低いが、一
方、圧延中の鋼板の温度は、鋼板表面でしか測定出来な
いことにより、鋼板の板厚が厚い程表面と内部の温度差
が大きくなり、この差で母材靱性に差が生じることを知
見した。
この知見に基づき、表面温度で圧延条件を制御する場
合に、板厚により調整が必要な圧延温度について、種々
の試験を行い第7図を得た。
合に、板厚により調整が必要な圧延温度について、種々
の試験を行い第7図を得た。
この図から仕上開始温度(表面温度)は次記の温度と
することが必要であることを知見した。
することが必要であることを知見した。
仕上板厚(mm)<16mmの場合(mm) A℃=900−(50/8)×仕上板厚 仕上板厚(mm)≧16mmの場合 A℃=800 第8図は、仕上圧延終了温度に関する知見である。こ
の図から仕上圧延終了温度は板厚に関係なく、760℃未
満になると板厚表面付近に加工組織ができて、靱性が低
下することが判明した。
の図から仕上圧延終了温度は板厚に関係なく、760℃未
満になると板厚表面付近に加工組織ができて、靱性が低
下することが判明した。
この知見に従って仕上圧延終了温度は760℃以上とし
た。
た。
第9図は、仕上圧延における圧下率の効果に関する知
見である。該圧下率の増加により母材靱性は向上する
が、60%以上の圧下率があれば、本発明が対象とする用
途での要望を十分に満足する母材靱性が得られることが
判明した。
見である。該圧下率の増加により母材靱性は向上する
が、60%以上の圧下率があれば、本発明が対象とする用
途での要望を十分に満足する母材靱性が得られることが
判明した。
また、この効果は圧延前加熱温度が1000〜1250℃の時
に最良となることを知見した。
に最良となることを知見した。
また、仕上圧延後に、強度増加のために制御冷却を行
っても、上記の圧延による母材靱性の向上効果は損なわ
れないことを知見した。
っても、上記の圧延による母材靱性の向上効果は損なわ
れないことを知見した。
本発明は、以上の各知見に基づく新しい作用の適用に
よりなされたもので、これにより本発明の課題を達成し
たのである。
よりなされたもので、これにより本発明の課題を達成し
たのである。
<実施例> 表1に、本発明鋼と比較鋼の成分、及び加熱条件と圧
延条件、並びに大入熱溶接時の母材靱性とHAZ靱性を示
す。
延条件、並びに大入熱溶接時の母材靱性とHAZ靱性を示
す。
本発明例のNo.1〜20は、何れも母材靱性、HAZ靱性と
も優れ、母材のvTrsは−100℃以下で、HAZ靱性は−60
℃、−80℃で50J以上の優れた靱性を示した。
も優れ、母材のvTrsは−100℃以下で、HAZ靱性は−60
℃、−80℃で50J以上の優れた靱性を示した。
比較例のNo.21〜36の中、No.21〜33は成分が範囲外の
もの、No.34〜36は圧延条件が範囲外のものである。
もの、No.34〜36は圧延条件が範囲外のものである。
比較例のNo.21〜33は、高い母材靱性を示したが、HAZ
靱性は−60℃、−80℃で50J未満の低い靱性しか得られ
なかった。
靱性は−60℃、−80℃で50J未満の低い靱性しか得られ
なかった。
340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Alが40を
超えたNo21〜27は、溶接ボンドから離れた位置のHAZ靱
性も低かった。
超えたNo21〜27は、溶接ボンドから離れた位置のHAZ靱
性も低かった。
No.34〜36は、HAZ靱性は良好であったが母材靱性が低
かった。
かった。
<発明の効果> 本発明は、上記した手段で上記した作用を生ぜしめ
て、海洋構造物、船舶、貯蔵タンク等の大型溶接構造物
の破壊に対する厳しいHAZ靱性と母材靱性の要求に応え
る溶接構造溶鋼板の製造方法を提供するもので、構造物
に高い安全性と快適さを確保し保証等を通じて、この種
の産業分野にもたらす効果は大きい。
て、海洋構造物、船舶、貯蔵タンク等の大型溶接構造物
の破壊に対する厳しいHAZ靱性と母材靱性の要求に応え
る溶接構造溶鋼板の製造方法を提供するもので、構造物
に高い安全性と快適さを確保し保証等を通じて、この種
の産業分野にもたらす効果は大きい。
第1図は−60℃でのHAZ靱性とC量の関係を示し、第2
図は−60℃でのHAZ靱性と340×C+42×Si+13×Mn+68
0×P−260×Alの関係を示し、第3図は−80℃でのHAZ
靱性と340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Alの
関係を示し、第4図は−60℃での溶接ボンドから離れた
位置のHAZ靱性と340×C+42×Si+13×Mn+680×P−2
60×Alの関係を示し、第5図はHAZ靱性と340×C+42×
Si+13×Mn+680×P−260×Alの関係を示し、第6図は
表面温度で示す鋼板の仕上圧延開始温度と母材靱性の関
係を示し、第7図は母材靱性と仕上圧延開始温度の関係
を仕上板厚別に示し、第8図は仕上圧延終了温度と母材
靱性の関係を示し、第9図は仕上圧延での圧下率と母材
靱性の関係を示す。
図は−60℃でのHAZ靱性と340×C+42×Si+13×Mn+68
0×P−260×Alの関係を示し、第3図は−80℃でのHAZ
靱性と340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Alの
関係を示し、第4図は−60℃での溶接ボンドから離れた
位置のHAZ靱性と340×C+42×Si+13×Mn+680×P−2
60×Alの関係を示し、第5図はHAZ靱性と340×C+42×
Si+13×Mn+680×P−260×Alの関係を示し、第6図は
表面温度で示す鋼板の仕上圧延開始温度と母材靱性の関
係を示し、第7図は母材靱性と仕上圧延開始温度の関係
を仕上板厚別に示し、第8図は仕上圧延終了温度と母材
靱性の関係を示し、第9図は仕上圧延での圧下率と母材
靱性の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間淵 秀里 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社大分製鐵所内 (56)参考文献 特開 平3−219046(JP,A) 特開 昭58−110658(JP,A) 特開 昭60−67621(JP,A) 特開 昭59−13022(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、 C:0.02〜0.06% Si:≦0.70% Mn:0.50〜1.60% Al:0.010〜0.060% Ti:0.005〜0.012% N:0.0020〜0.0050% B:0.0005〜0.0015% を含有し、かつ、 340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al≦40 を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片を
1000℃以上1250℃未満に加熱した後、下記の条件で定ま
る表面温度が760℃以上A℃以下の範囲内で60%以上の
仕上圧延を行うことを特徴とする大入熱溶接HAZ靱性の
優れた非調質鋼板の製造方法。 仕上板厚(mm)<16mmの場合 A℃=900−(50/8)×仕上板厚 仕上板厚(mm)≧16mmの場合 A℃=800 - 【請求項2】重量%で、 C:0.02〜0.06% Si:≦0.70% Mn:0.50〜1.60% Al:0.010〜0.060% Ti:0.005〜0.012% N:0.0020〜0.0050% B:0.0005〜0.0015% を含有し、さらに Cu≦1.00% Ni:≦1.00% Mo:≦0.50% V:≦0.10% のうち1種または2種以上を含有し、かつ、 340×C+42×Si+13×Mn+680×P−260×Al≦40 を満たし、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片を
1000℃以上1250℃未満に加熱した後、下記の条件で定ま
る表面温度が760℃以上A℃以下の範囲内で60%以上の
仕上圧延を行うことを特徴とする大入熱溶接HAZ靱性の
優れた非調質鋼板の製造方法。 仕上板厚(mm)<16mmの場合 A℃=900−(50/8)×仕上板厚 仕上板厚(mm)≧16mmの場合 A℃=800
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---|---|---|---|
JP2286757A JP2544019B2 (ja) | 1990-10-23 | 1990-10-23 | 大入熱溶接haz靭性の優れた非調質鋼板の製造方法 |
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JPH04160113A JPH04160113A (ja) | 1992-06-03 |
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JP2286757A Expired - Lifetime JP2544019B2 (ja) | 1990-10-23 | 1990-10-23 | 大入熱溶接haz靭性の優れた非調質鋼板の製造方法 |
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KR100489024B1 (ko) * | 2000-11-27 | 2005-05-11 | 주식회사 포스코 | 재결정제어압연에 의한 용접구조용 강재의 제조방법 |
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-
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