JP2543710Y2 - 合成樹脂製ステアリング用ブーツ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は合成樹脂製ブーツに関する。更に詳述する
と、本考案は、車両用ステアリング装置のラックハウジ
ングとステアリングラック側部材との間に装着される合
成樹脂製ステアリング用ブーツに関する。

（従来の技術） ステアリング装置のラックハウジングとステアリング
ラック側部材との間には、外部からの水や塵埃等の侵入
を防止するため、ステアリング用ブーツとよばれている
伸縮自在なベローズが取付けられている。このステアリ
ングブーツとしては、従来ゴム製ブーツが一般的であっ
たが、剛性がなく耐久性が低いことから、強度が高く耐
久性に優れる合成樹脂製ブーツが最近提案されている。

しかしながら、この合成樹脂製ブーツは、材料自体が
ゴムに比べて硬いため共鳴し易い構造となってしまう。
しかも、ブーツは内部が密閉されているため、内部温度
の上昇やステアリングラックの移動によって内圧が大気
圧より上昇したり低下したりすることとなる。このた
め、剛性が高い合成樹脂製ブーツは内圧低下については
問題ないが、内圧上昇の場合にはブーツが屈曲する所謂
蛇行を起し、ブーツ内部の相手部品即ちボールジョイン
トやその他の部品と干渉し、車室内にまで聞こえる高い
響きの異音を発生することがある。

従来、このブーツ内外の圧力差を解消する手段として
は、ラックハウジングのステアリングブーツを取付けよ
うとする部分に通気溝を形成し、ブーツ内外を連通させ
るもの（実開昭62−43869号）や、ブーツにチューブを
連結して車体の水を被らないような箇所例えばクロスメ
ンバーの中に開放する構造のもの（実開昭57−45476
号）が提案されている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前者の場合、ラックハウジング部分は
水を被り易く水の侵入を防ぐことができない。しかも、
ステアリング用ブーツの改良とは異なりラックハウジン
グに通気溝を形成することは加工を複雑にし、製作コス
トを高くする問題がある。また、ブーツ内部と連通する
チューブをクロスメンバー内に引き込んで開放する後者
の場合、長いチユーブを必要とするし、ブーツだけの加
工で済まず車体本体までも加工しなければならずコスト
高となる問題を有する。更に、ブーツ自体を変えるわけ
ではないので、合成樹脂製ブーツを使用する限り、何ら
かの原因で相手部品等と干渉を起した際に異音が発生す
ることを防止できない。本考案は、ブーツの中の相手部
品等との干渉によって発生する異音を抑制した合成樹脂
製ステアリングブーツを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） かかる目的を達成するため、本考案の合成樹脂製ステ
アリングブーツは、蛇腹部の少なくとも１箇所以上の谷
部にブーツを振動的に２つ以上の要素に分断する防振材
からなるリングを直に装着するようにしている。

（作用） したがって、防振材リングによってブーツが振動的に
２つ以上の要素に分断され、共鳴周波数帯域を変える。

（実施例） 以下、本考案の構成を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

本実施例のステアリングブーツ１は、一般に伸縮可能
な蛇腹部1aと、その両端部に連設されたテーパ部1b,1c
と、各テーパ部1b,1cの末端に連設された筒状の取付部1
d,1eから成り、ポリエステルエラストマー等の合成樹脂
で一体成形されている。このブーツ１は、ステアリング
ラック２側部材とラックハウジング３に両端の取付部1
d,1eを固定し、これらの間を大気から密閉している。例
えば、大径側の取付部1dはラックハウジング３に、また
小径側の取付部1eはステアリングラック２あるいは該ラ
ック２にボールジョイント2bを介して連結されているタ
イロッド2aに、それぞれ図示しない締結バンドで固定さ
れている。

ブーツ１の蛇腹部1aには谷部４に防振材から成るリン
グ５が少なくとも１本以上、好ましくは３〜５本が一定
間隔置きにあるいは間隔を不規則にして装着されてい
る。防振材としては、一般に弾性のあるゴムあるいはプ
ラスチック等のエラストマー材が好適である。このＯリ
ング５の装着によって蛇腹部1aが振動的に分断され、振
幅が変わって共鳴周波数が変化すると共にリング５の弾
性振動が吸収され、減音される。

尚、上述の実施例は本考案の好適な実施の一例である
がこれに限定されるものではなく本考案の要旨を逸脱し
ない範囲において種々変形実施可能である。

（考案の効果） 以上の説明より明らかなように、本考案の合成樹脂製
ステアリングブーツは、蛇腹部の少なくとも１箇所以上
の谷部にブーツを振動的に２つ以上の要素に分断する防
振材からなるリングを直に装着しているので、蛇腹部が
振動的に複数に分断され、ブーツ本来の共鳴周波数を変
更して音を変えると共にリングで振動を吸収して減音
し、反響音を小さく抑制する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す中央縦断面図である。 １…ブーツ、1a…蛇腹部、４…谷部、５…防振材のリン
グ。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】蛇腹部の少なくとも１箇所以上の谷部にブ
   ーツを振動的に２つ以上の要素に分断する防振材からな
   るリングを直に装着したことを特徴とする合成樹脂製ス
   テアリング用ブーツ。
2. 【請求項２】前記リングはエラストマー材であることを
   特徴とする請求項１記載の合成樹脂製ステアリング用ブ
   ーツ。