JP2541392Y2 - シート用ミシン加工装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、伝票、チケットなどの
シートに切取りのためのミシンを加工するミシン加工装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】シート用ミシン加工装置において、回転
するドラムに添って送られてくるシートにミシン刃を押
しつけて加工する押切り形の装置が知られている。従来
のこの種装置は、ドラムの回転軸と平行して設置された
ガイド軸に、ミシン刃を固定したカッタベースをスライ
ド自在に支持して構成されていた。そして送られてくる
シートのミシン加工位置に合わせてカッタベースをスラ
イドさせ、その位置でガイド軸にネジによって固定して
加工するようにしている。

【０００３】一般にミシン加工する位置は、シート上に
印刷によって定められている。その位置に正しく加工し
なければならないが、そのためにはカッタベースをその
加工位置に正しく固定することが要求される。しかしカ
ッタベースをガイド軸上の正しい位置にセットしたとし
ても、固定用のネジを締め付けたとき微動してしまうこ
とがある。

【０００４】このようなときは、再度カッタベースの位
置を調整する必要があるが、たとえば１ｍｍ以下の微調
整は極めて面倒であり、困難である。しかも多数個所に
ミシン加工することが要求されている場合は、各カッタ
ベースごとにその調整を実行しなければならないことも
あり、その調整に多大の時間を費やすこととなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、シート上の
予定ミシン加工位置に対するミシン刃の位置調整が、簡
単に実行できるようにすることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、ミシン加工対
象のシートが添って送られてくるドラムと、このドラム
と平行するガイド軸と、このガイド軸にスライド自在に
取り付けられ前記ガイド軸と直交する方向の先端に位置
再現用の係合部を備えるカッターベースと、このカッタ
ベースに、前記カッタベースの位置再現用の係合部に係
合自在、かつ前記係合の離脱により前記ガイド軸の軸方
向に微調整可能にねじ締めにより固定されるホルダと、
前記ホルダに設置され前記ドラムに対して圧接される回
転自在のミシン刃とからなることを特徴とする。

【０００７】

【実施例】本考案の実施例を図によつて説明する。１は
ガイド軸で、これに沿ってカッタベース２がスライド自
在とされている。ガイド軸１には目盛３が付されてあ
り、この目盛３からカッタベース２の位置を設定する。
カッタベース２はその設定位置において、ねじ４によっ
てガイド軸１に固定される。

【０００８】カッタベース２にはミシン刃５を支持して
いるホルダ６が、前後左右に微動可能に取り付けられて
いる。具体的にはカッタベース２にはピン７及びねじ孔
８が設けられてあり、またホルダ６にはピン７が差し込
まれる長孔９と、固定用のねじ１０が挿通される長孔１
１が設けられてある。そして長孔１１に挿通されたねじ
１０がねじ孔８にねじ込まれることによって、ホルダ６
がカッタベース２に強固に固定される。

【０００９】ピン７に対してホルダ６は前後方向（ガイ
ド軸１の長手方向に対して直交する方向）に移動可能と
なるように、長孔９の長手方向の長さが設定されてあ
る。また長孔１１の長手方向の長さも、前記したホルダ
６の前後方向の移動が可能となるように設定されてある
が、同時にピン７を中心としてホルダ６の左右方向の微
細な揺動（たとえばミシン刃５の約１ｍｍ前後の揺動）
が可能となるように、長孔１１の横幅が設定されてあ
る。

【００１０】ホルダ６の先端にハウジング１２が軸１３
を中心として揺動自在に設置されてあり、このハウジン
グ１２にミシン刃５が回転自在に支持されている。ハウ
ジング１２は圧力調整用のつまみ１４によって加工対象
のシートに対する加圧力が調整される。

【００１１】つまみ１４はホルダ６を貫通し、その段部
１５とハウジング１２の上面との間に配置されてある押
しばね１６を加圧するようにしてある。この加圧によっ
てハウジング１２が前方に押されるようになる。Ｎはつ
まみ１４を固定するためのロックナットである。

【００１２】１７はドラムで、ガイド軸１と平行に設置
されてあり、ミシン加工対象のシート１８がこのドラム
１７に添って送られてくる。ドラム１７はシート１８の
送り速度に周速で同期して回転される。

【００１３】前記のようにホルダ６はカッタベース２に
対して前後左右に移動自在とされているが、その移動が
あったとしても、予め当初に設定した相対的位置に復元
できるように、再現用の係合部が形成されてある。具体
的にはカッタベース２の先端に係合溝１９が形成されて
あり、この係合溝１９にホルダ６の一部が嵌合されるよ
うにしてある。常時はこの嵌合状態が維持されている
が、ホルダ６を左右に揺動させるときは、ホルダ６をカ
ッタベース２に対して前方に僅かに移動させ、この嵌合
状態を外すようにしてある。係合溝１９に代えて、カッ
タベース２とホルダ６の一方に係合用の突起を、他方に
この突起が嵌合する孔を形成してもよい。

【００１４】最初につまみ１４をゆるめてミシン刃５を
ドラム１７から離しておく。そしてカッタベース２をガ
イド軸１に沿って移動させ、加工位置に対応するように
目盛３を利用して位置調整する。そしてその位置をねじ
４によって固定する。そのあとつまみ１４を締めてミシ
ン刃５をドラム１７に押しつける。

【００１５】ここで試験的にシート１８をドラム１７に
添って供給する。このときミシン刃５が加工予定位置よ
りずれていたとすると、まずつまみ１４をゆるめてミシ
ン刃５をドラム１７から離し、次いでねじ１０をゆるめ
て、カッタベース２に対してホルダ６を分離して移動自
在とする。そしてホルダ６を前方に移動させて、係合溝
１９との係合を解く。

【００１６】そのあとピン７を中心としてホルダ６の先
端を左右いずれかに振らせる。この移動によってミシン
刃５を加工予定位置に調整する。その位置でねじ１０を
締めてホルダ６をカッタベース２に固定する。この固定
状態では、ホルダ６は係合溝１９から離脱している。

【００１７】以上によってミシン刃５を正しい加工位置
にセットすることができたのであるが、これを別のシー
トに対してミシン加工する場合は、ねじ１０をゆるめて
ホルダ６を係合溝１９に嵌合させ、その嵌合状態でねじ
１０を締めてホルダ６をカッタベース２に固定する。こ
れによってホルダ６をカッタベース２の規定位置に正し
く再現してセットすることができる。この位置状態で次
のミシン加工のための位置調整を開始すればよい。

【００１８】

【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、カ
ッタベースをガイド軸に対して規定位置に固定したあと
でも、カッタ刃の位置がずれていた場合は、カッタベー
スを移動させる必要なくカッタ刃の位置を微調整するこ
とができ、これによって正しい加工位置に簡単にカッタ
刃をセットすることができるとともに、ホルダはカッタ
ーベースにねじ締めにより強固に固定することができる
ので、動作時その位置は安定する。また、カッタベース
に対してホルダを係合自在としているので、前記のよう
にカッタ刃の微調整をした場合でも、ホルダをカッタベ
ースに対する規定位置に簡単に再現してセットすること
ができるという効果を奏する。さらに、ガイド軸に目盛
を付すと、カッタベースの位置決めが容易にできるとい
う効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す斜視図である。

【図２】図１の側面図である。

【図３】カッタベースとホルダとの関係を示す分解斜視
図である。

【図４】ホルダとミシン刃との関係を示す側断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ガイド軸 ２ カッタベース ５ ミシン刃 ６ ホルダ ７ ピン １０ ねじ １７ ドラム １８ シート １９ 係合部（係合溝）

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミシン加工対象のシートが添って送られ
   てくるドラムと、前記ドラムと平行するガイド軸と、前
   記ガイド軸にスライド自在に取り付けられ前記ガイド軸
   と直交する方向の先端に位置再現用の係合部を備えるカ
   ッターベースと、前記カッタベースに、前記カッタベー
   スの位置再現用の係合部に係合自在、かつ前記係合の離
   脱により前記ガイド軸の軸方向に微調整可能にねじ締め
   により固定されるホルダと、前記ホルダに設置され前記
   ドラムに対して圧接される回転自在のミシン刃とからな
   るシート用ミシン加工装置。
2. 【請求項２】 ガイド軸に目盛を付してなる請求項１に
   記載のシート用ミシン加工装置。