JP2541146B2 - トンネル換気制御方法 - Google Patents

トンネル換気制御方法

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JP2541146B2 JP6053093A JP5309394A JP2541146B2 JP 2541146 B2 JP2541146 B2 JP 2541146B2 JP 6053093 A JP6053093 A JP 6053093A JP 5309394 A JP5309394 A JP 5309394A JP 2541146 B2 JP2541146 B2 JP 2541146B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路トンネル内を縦流
換気して車より発生する煤煙による汚染濃度を設定濃度
以下に制御するトンネル換気制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高速道路等の道路トンネルにお
いては、車より発生する煤煙によってトンネル内が汚染
されるため、トンネル内に複数台のジェットファン等の
換気機を配設して例えばトンネルの入口から出口に向か
う空気流を形成し、いわゆる縦流換気によって汚染状態
を解消するようにしている。
【0003】この場合、トンネルにおける車の通行量は
時間帯や曜日によって大きく変動するため、複数台のす
べての換気機を常時運転すると、通行量の少ない時には
換気過剰となり、無駄に電力を消費する不都合を生じ
る。このため、トンネル内の空気の汚染濃度を車の走行
等に支障のない範囲に収めかつ換気機の運転台数を最少
限に抑えるような制御が必要になる。
【0004】そこで、従来では、トンネル端に設置した
トラフィックカウンタで車の通行量を計数すると共に、
この通行量から所定時間後の交通量を予測し、この予測
に基づいてトンネル内の汚染濃度が設定範囲に収まるよ
う換気機の運転台数を制御するようにしている。
【0005】すなわち、図7は従来の換気制御方法を実
現する概略ブロック構成を示しており、交通量予測部1
において、トラフィックカウンタTCが出力する通行検
出パルスから通行量が計数されると共に、この通行量よ
り長期的(例えば1時間後)及び短期的(例えば5分
後)に交通量が予測され、次に、必要換気量算出部2に
おいて、予測された交通量と車1台当りの煤煙排出量と
から煤煙発生量が予測され、これに対応する必要換気量
が算出される。
【0006】更に、換気機設定部3において、算出され
た必要換気量を得るためにどの換気機(ジェットファ
ン,排風機,送風機)にどれだけの風量を分担させるか
といった換気機の組合せが決定され、台数制御部4にお
いて、この分担風量に基づいて換気機の運転台数が制御
され、この制御出力によりトンネル内の換気機が運転さ
れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の換気制
御にあっては、現在の通行量からある時間後の交通量を
予測して換気量を制御する方法であるが、実交通量が過
去に例のない異常なパターンを示した場合、長期的な交
通量の予測は外れやすく、実交通量が少ない場合には、
単発的な交通変動により短期的な交通量の予測は外れや
すい傾向にあり、このような予測外れを生じると、トン
ネル内の汚染濃度が設定範囲より逸脱し、結果的に制御
が失敗するといった重大な欠点がある。
【0008】又、通行量から予測交通量を算出する場合
や,予測交通量から必要換気量を算出する場合には、種
々の条件を加味したパラメータを用いて演算を行うた
め、調整すべきパラメータが多くなり、チューニングが
非常にやりにくく、現地での調整作業に時間がかかる難
点がある。更に、トラフィックカウンタを設置しないト
ンネルでは、交通量の予測がたてられず、換気制御の自
動化が行えないことになる。
【0009】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に留意してなされたものであり、その目的とする
ところは、トンネル内の風速及び煤煙濃度の計測値から
より精度良く換気量を制御できるトンネル換気制御方法
を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のトンネル換気制御方法においては、道路ト
ンネルに設置された風速計及び煤煙濃度計のそれぞれの
計測値から前記トンネル内の煤煙分布モデルを形成し、
前記風速計及び煤煙濃度計のそれぞれの計測値と一定時
間前の前記煤煙分布モデルとにより前記一定時間におけ
る煤煙発生量を算出すると共に、各時刻毎のそれぞれの
前記煤煙発生量を煤煙発生パターンとして保持し、任意
時の前記煤煙分布モデルと前記煤煙発生パターンから求
めた前記任意時に対応する煤煙発生量とにより前記任意
時から所定時間後における必要換気量を算出し、前記所
定時間後における前記トンネル内の換気量を前記必要換
気量に従って制御することを特徴とするものである。
【0011】
【作用】前述した本発明のトンネル換気制御方法にあっ
ては、風速計及び煤煙濃度計のそれぞれの計測値からト
ンネル内の煤煙分布モデルを形成すると共に、各時刻毎
の煤煙発生量を算出して煤煙発生パターンとして保持
し、この過去の実績値と現在の煤煙分布モデルとを用い
て必要換気量を算出するため、煤煙発生量の予測の的中
率が格段に向上する上、現在のトンネル内の汚染状態を
基にした前記煤煙発生量に対する最適な換気量が得られ
ることになり、精度の高い換気制御が実現する。
【0012】
【実施例】本発明の実施例につき、図1ないし図6を用
いて説明する。図1は機能ブロック構成を示しており、
5はデータ収集部であり、道路トンネル内に設置された
風向風速計(以下WS計という)及びトンネル出口付近
に設置された煙霧透過度計(以下VI計という)からの
計測値をそれぞれ平均化処理して保持する平均化処理部
6,7により構成されている。
【0013】前記VI計は、投光部とこの光を受光する
受光部とを用いて両者の設置されている区間の光の透過
度を検知するものであり、この透過度より煤煙濃度を得
ることができる。すなわち、VI計の計測値をVIとす
ると、これに対応する煤煙濃度Kは次式で算出すること
ができる。 K=(−1/100)log(VI/100)
【0014】8は煤煙モデル作成部であり、煤煙分布モ
デル形成部9と,煤煙発生量算出部10と,煤煙発生パ
ターン登録部11とにより構成されている。前記形成部
9は、データ収集部5で得られた風向風速及び煙霧透過
度(煤煙濃度)のそれぞれの値によりトンネル内の煤煙
分布モデルを形成するものであり、これを図2及び図3
を用いて説明する。
【0015】煤煙の全く無いトンネル内をある量の煤煙
を排出する車両あるいは車群が通過した時、トンネル内
に残る煤煙は、図2aのようにその煤煙濃度に比例した
幅でトンネル入口位置から出口位置までの長さの帯Bで
表わすことができる。
【0016】一方、ジェットファン等によりトンネル内
に入口から出口に向って風が吹いている状態において
は、一定時間後,前記帯Bは図2bのように風と同じ速
度で風の吹く方向に平行移動する。
【0017】この一定時間において、次の車両あるいは
車群がトンネル内を通過した場合、これがトンネル内に
排出する煤煙は、図2cのようにその煤煙による煤煙濃
度に比例した幅でかつトンネル入口位置から出口位置ま
での長さの帯B’で表わされ、これがそれまでの帯Bの
下に重ねられる。
【0018】その後、一定時間毎に、トンネル内の風速
に比例した速度の平行移動と,この一定時間において発
生した新たな煤煙の帯の積重ねとを繰返すことにより、
図2dのようにトンネル内の煤煙分布を得ることができ
る。
【0019】今,トンネル内の煤煙分布を図3aのよう
に仮定すると、WS計によりトンネル内の風速がわかる
ため、一定時間後における空気移動量mが求まり、トン
ネル内の煤煙が図3bのように空気移動量mだけ出口方
向へ平行移動する。
【0020】この時、VI計によりトンネル出口付近の
煤煙濃度がわかるため、この計測濃度K1 と移動後の煤
煙分布におけるトンネル出口の煤煙濃度K2 との差ΔK
が求まり、前記一定時間において新たに入って来た車両
による煤煙排出量が求まる。
【0021】従って、この差ΔKに比例した幅でトンネ
ル入口から出口までの長さの横方向の帯により一定時間
に発生した新たな煤煙を表わすことができ、図3cのよ
うにそれまでの煤煙分布の下に新たな煤煙の帯(斜線
部)を重ねることにより、この時の煤煙分布を得ること
ができる。
【0022】その後、一定時間毎に、風速により求まる
空気移動量の平行移動と、計測煤煙濃度と分布上におけ
るトンネル出口の煤煙濃度との差により求まる新たな煤
煙の帯の形成とを繰返すことにより、トンネル内の風速
と煤煙濃度との計測値だけで、時間を追った形での煤煙
分布モデルを形成できることになる。
【0023】次に、前記算出部10は、データ収集部5
で得られたWS計及びVI計のそれぞれの計測値と,一
定時間前のそれぞれの計測値で形成部9において形成さ
れた一定時間前の煤煙分布モデルとにより、一定時間の
煤煙発生量を形成するものである。
【0024】すなわち、形成部9で形成された前回計測
時の煤煙分布モデルが図4に示すような分布関数fK
n-1 (x)であった場合、今回のVI計の計測値による
煤煙濃度をKn、前回のWS計の計測値,すなわち風速
をυn-1 、計測周期(一定時間)をTとすると、今回の
煤煙発生量KT n は次式で求められる。 KT n =Kn−fK n-1 (X0 −υn-1 ・T) 尚、X0 はトンネル出口のトンネル入口からの距離を示
す。そして、前記煤煙発生量KT n を設定回数(5回,
10回等)だけ求めてこれを平均化し、計測時間帯にお
ける実績煤煙発生量KT n ’を得る。
【0025】更に、前記登録部11は、算出部10より
得られた各時刻毎の実績煤煙発生量を図5に示すような
煤煙発生パターンとして保持するものであり、このよう
な煤煙発生パターンが日毎に形成され、平日,土曜日,
日曜日,祝祭日等の特殊日のそれぞれのパターンが登録
されている。そして、登録部11では、既に登録されて
いる煤煙発生パターンを、日毎,時刻毎に更新する動作
を行う。
【0026】すなわち、ある曜日のある時刻の実績煤煙
発生量KT n ’が算出部10より出力されると、この曜
日の煤煙発生パターンにおいてこの時刻に登録されてい
る既登録煤煙発生量をKT ’、登録回数をNとした場
合、次式で得られる新登録煤煙発生量KT ''が新たに登
録され、過去の実績を踏まえた煤煙発生パターンに更新
されていく。 KT ''=(KT ’・N+KT n ’)/(N+1)
【0027】12は制御周期(例えば5分)毎に次の制
御周期内に発生する煤煙量を予測する煤煙量予測部であ
り、前述したように登録部11に前日までの実績がパタ
ーンとして登録されているため、予測部12は該当する
日の煤煙発生パターンから該当する時刻の煤煙発生量を
読出し、これを出力する。
【0028】13は必要換気量計算部であり、予測部1
2より得られた煤煙発生量と,形成部9で形成された現
在の煤煙分布モデルと,データ収集部5からの現在のト
ンネル内風速とにより、必要換気量を計算する。
【0029】例えば、現在の煤煙分布モデルが図6の分
布関数fK (x)で表されるものの場合、予測部12か
らの予測煤煙発生量をKp、煤煙量許容限界値をKL
すると、fK (x)+Kp=KL になるようなトンネル
位置X〔m〕が計算され、この位置Xからトンネル出口
0 〔m〕までに残留している煤煙(同図斜線部)を次
制御周期Tc〔sec〕内に排気してやる必要があるこ
とから、必要換気風速υ0 〔m/sec〕が次式を用い
て計算される。 υ0 =(X0 −X)/Tc
【0030】更に、現在風速をυn〔m/sec〕とす
ると、(υ0 −υn)の風速増加が必要となり、この風
速増分が計算部13より出力される。14は計算部13
で得られた風速増分に対応する換気機の台数増分を求め
る台数制御部であり、この台数増分に対応する制御出力
が制御部14より出力され、換気機の運転が制御され
る。
【0031】前述の構成によれば、トンネル内の風速と
煤煙濃度とのそれぞれの計測値から形成部9で煤煙分布
モデルが形成されると共に、算出部10で煤煙発生量が
求められ、これが各時刻毎に登録部11に入力されて登
録値が順次更新され、過去の実績を反映した煤煙発生パ
ターンが保持される。
【0032】この登録動作は換気制御動作と同時進行の
形で順次実施され、過去の実績が蓄積されることにな
る。一方、換気制御に際しては、登録部11の該当する
煤煙発生量が読出されてこれと現在の煤煙分布モデルと
で必要換気量が計算部13で計算され、この場合、現在
のトンネル内の煤煙分布上において過去の実績である煤
煙発生量に対する必要換気量を求めるため、現在のトン
ネル内の状況を十分に考慮した最適な換気量が得られる
ことになり、これに基づいて換気機の制御が行われるこ
とにより、トンネル内が最適な換気状態に制御されるこ
とになる。
【0033】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、次に記載する効果を奏する。トンネル内の
風速計及び煤煙濃度計のそれぞれの計測値から煤煙分布
モデルを形成すると共に、これらの計測値と一定時間前
の煤煙分布モデルとにより煤煙発生量を求めて煤煙発生
パターンを構成し、このようにして得られた煤煙発生パ
ターンから煤煙発生量を予測するようにしているため、
煤煙発生量の予測に過去の実績を用いることになり、予
測の的中率が格段に向上する。
【0034】しかも、現在の煤煙分布モデルを用いて過
去の実績である前記煤煙発生量から必要換気量を求める
ため、トンネル内の汚染状態を解消するための最適な換
気量が得られることになり、精度の高い換気制御が実現
し、トンネル内に配設された複数の換気機を煤煙分布モ
デルの採用によりきめ細かく運転制御することが可能に
なるものである。
【0035】又、前記煤煙分布モデルがトンネル内の風
速及び煤煙濃度の計測値によって得られるため、トラフ
ィックカウンタのないトンネルにおいても前述した換気
制御が実現し、更に、これらの計測値による実績を利用
して各種演算を行う構成であるため、調整すべきパラメ
ータが格段に少なくなり、この結果、現地での調整作業
が少なくてすむ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の機能ブロック図である。
【図2】a〜dは煤煙分布モデルの形成原理を説明する
ための煤煙分布図である。
【図3】a〜cは煤煙分布モデルの形成原理を説明する
ための煤煙分布図である。
【図4】煤煙発生量の算出説明用の煤煙分布図である。
【図5】煤煙発生パターンの一例の特性図である。
【図6】必要換気量の算出説明用の煤煙分布図である。
【図7】従来例の機能ブロック図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 道路トンネルに設置された風速計及び煤
    煙濃度計のそれぞれの計測値から前記トンネル内の煤煙
    分布モデルを形成し、 前記風速計及び煤煙濃度計のそれぞれの計測値と一定時
    間前の前記煤煙分布モデルとにより前記一定時間におけ
    る煤煙発生量を算出すると共に、各時刻毎のそれぞれの
    前記煤煙発生量を煤煙発生パターンとして保持し、 任意時の前記煤煙分布モデルと前記煤煙発生パターンか
    ら求めた前記任意時に対応する煤煙発生量とにより前記
    任意時から所定時間後における必要換気量を算出し、前
    記所定時間後における前記トンネル内の換気量を前記必
    要換気量に従って制御することを特徴とするトンネル換
    気制御方法。
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JP6681497B2 (ja) * 2019-05-13 2020-04-15 ホーチキ株式会社 煙感知器、及び煙濃度推定方法

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