JP2540677B2 - 新規なdna断片、これを組み込んだプラスミドdna及び微生物検出方法 - Google Patents

新規なdna断片、これを組み込んだプラスミドdna及び微生物検出方法

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JP2540677B2 JP29170391A JP29170391A JP2540677B2 JP 2540677 B2 JP2540677 B2 JP 2540677B2 JP 29170391 A JP29170391 A JP 29170391A JP 29170391 A JP29170391 A JP 29170391A JP 2540677 B2 JP2540677 B2 JP 2540677B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセルロース分解菌である
中高熱性絶対嫌気性桿菌クロストリジウム・ジョースイ
の染色体DNAの一部であり、大腸菌等の微生物細胞中
で、400nm付近の光を照射することにより蛍光を発
する物質の高度な生産又は蓄積をもたらす新規なDNA
断片、これを組み込んだプラスミドDNAおよび前記D
NA断片またはプラスミドDNAにより形質転換された
微生物体内に生産または蓄積された物質を標識とする微
生物検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】遺伝
子工学の分野において、種々の抗生物質耐性遺伝子やβ
−ガラクトシダーゼ等の酵素遺伝子を遺伝子組み換え菌
の検出マーカーとして使用する微生物検出方法が行われ
ている。これらの方法では、微生物生育用培地に標識物
質となる抗生物質又は発色基質を添加し、これらの物質
を微生物体内に取り込ませることが必須となっている。
また、これらの抗生物質または発色基質は、高価であ
り、毒性を持つものも多く危険であり、取扱が容易では
なかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】上述の状況を背景とし
て、本発明者らは、セルロース分解菌として本発明者ら
が発見した中高熱性絶対嫌気性桿菌クロストリジウム・
ジョースイが、波長400nm付近の光の照射により蛍
光を発する物質を生産または蓄積していることを発見
し、クロストリジウム・ジョースイの培養液上清からこ
の蛍光物質を分離することに成功した。さらに、この蛍
光物質について、照射光の波長を様々に変化させての照
射−蛍光反応実験を繰り返し、蛍光を発生させる照射光
の良好な波長域が365nm〜430nmであることを
確認するとともに、この蛍光物質を生産または蓄積し得
るポリペプチドの遺伝情報を担っているDNA断片を、
クロストリジウム・ジョースイから分離し、ベクターに
組み込むことに成功し、本発明を完成するに至った。
【0004】なお、クロストリジウム・ジョースイの形
態学的性質、生理的性質は下記のとおりで、従来公知の
いかなるセルロース分解菌とも異なっているため新種と
同定したものであり、詳細は"International Journal o
f Systematic Bacteriology,1988,Vol.38,179-182"に発
表されている。 〈形態学的性質〉 菌形 :短桿菌、または長桿菌(0.2〜0.3x3〜5μm) 運動性 :無し グラム染色:グラム陽性(ヤングセル) 胞子形成 :有り(卵型、0.4〜0.5μm) 〈生理的性質〉 増殖温度 :25〜60℃ 最適増殖温度 :45℃ 増殖pH :4.5〜8.0 最適増殖pH :7.0 酸素要求 :絶対嫌気性 グアニン+シトシン含有率:40% ゼラチンの液化:無し 澱粉分解性 :無し アビセル分解性:有り 糖の発酵性 : (1)アドニトール、アミグダリン、胆汁、ズルシトー
ル、デキストリン、 エリスリトール、フルクトース、ガ
ラクトース、グリセロール、グリ コーゲン、イノシトー
ル、イヌリン、ラムノース、サリシン、マンニ トール、
マンノース、メレジトース、ペクチン、ラフィノース、
ソル ビトール、ソルボース、スクロース、トレハロース
から酸を生成しな い。
【0005】(2)ラクトース、メリビオースから少量
の酸を生成する。 (3)アラビノース、セロビオース、エスキュリン、グ
ルコース、マルトー ス、リボース、キシロース、キシラ
ンから酸を生成する。 ブドウ糖から酸の生成:酢酸、エ
タノール、プロピオン酸、酪酸を生成する。
【0006】このクロストリジウム・ジョースイ由来の
DNA断片に関わる本発明の要旨は、以下に記すところ
にある。 請求項1記載の発明は、クロストリジウム・ジ
ョースイ(Clostridium josui)(微
工研寄託 第FERM P−9684号)の染色体DN
AをSau3AIにて部分分解して分離される下記の制
限酵素地図を有する6.2kbpのDNA断片をPst
Iサイト(1)および該PstIサイト(1)からPs
tIサイト(2)側へ1.1kbpの位置で切断して得
られる1.1kbpの断片と同じ塩基配列を含み、波長
365nm〜430nmの光の照射により蛍光を発する
物質の生産または蓄積をもたらす遺伝情報を担うDNA
断片である。
【0007】
【化4】
【0008】ただし、制限酵素地図上の記号は、以下の
制限酵素を示す。 B:BamHI、D:DraI、E:EcoRI、E
v:EcoRV、 H:HindIII、P:PstI、Sa:Sau3A
I、Sl:SalI、 X:XbaI。
【0009】請求項2記載の発明は、クロストリジウム
・ジョースイ(Clostridium josui)
(微工研寄託 第FERM P−9684号)の染色体
DNAをSau3AIにて部分分解して分離される下記
の制限酵素地図を有する6.2kbpのDNA断片をP
stIサイト(1)およびPstIサイト(2)で切断
して得られる2.3kbpの断片と同じ塩基配列を含
み、波長365nm〜430nmの光の照射により蛍光
を発する物質の生産または蓄積をもたらす遺伝情報を担
うDNA断片である。
【0010】
【化5】
【0011】ただし、制限酵素地図上の記号は、以下の
制限酵素を示す。 B:BamHI、D:DraI、E:EcoRI、E
v:EcoRV、 H:HindIII、P:PstI、Sa:Sau3A
I、Sl:SalI、 X:XbaI。
【0012】請求項3記載の発明は、クロストリジウム
・ジョースイ(Clostridium josui)
(微工研寄託 第FERM P−9684号)の染色体
DNAをSau3AIにて部分分解して分離される下記
の制限酵素地図を有する6.2kbpのDNA断片であ
って、波長365nm〜430nmの光の照射により
光を発する物質の生産または蓄積をもたらす遺伝情報を
担うDNA断片。
【0013】
【化6】
【0014】ただし、制限酵素地図上の記号は、以下の
制限酵素を示す。 B:BamHI、D:DraI、E:EcoRI、E
v:EcoRV、 H:HindIII、P:PstI、Sa:Sau3A
I、Sl:SalI、 X:XbaI。
【0015】請求項4記載のプラスミドDNAは、請求
項1ないし3のいずれか記載のDNA断片をベクターに
組み込んだことを特徴とする。 請求項5記載のプラスミ
ドDNAは、請求項4記載のプラスミドDNAにおいて
ベクターがpBR322であることを特徴とする。
【0016】請求項6記載の微生物検出方法は、請求項
1ないし3のいずれか記載のDNA断片または請求項4
もしくは請求項5記載のプラスミドDNAで微生物を形
質転換することによりこの微生物体内に生産または蓄積
された物質で該微生物を標識し、該微生物に波長365
nm〜430nmの光を照射し、該照射による蛍光によ
って前記物質で標識された微生物を検出することを特徴
とする。
【0017】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明で使用するクロストリジウム・ジョースイはCl
ostridium属の中高熱性絶対嫌気性桿菌であっ
て、その形態学的性質並びに生理的性質は前 述のとおり
である。
【0018】クロストリジウム・ジョースイは、培地で
育成された後、集菌される。培地は、例えば、グルコー
ス、セビオース、ボールミルドセルロース、稲わら、
とうもろこしの皮などを含む培地であれば特に限定され
ないが、染色体DNA調製操作を容易にする為にはグル
コース培地が好ましい。
【0019】集菌されたクロストリジウム・ジョースイ
から、染色体DNAが調製される。染色体DNAの調製
は、既知のいずれの方法によってもなすことができる。
調製された染色体DNAは、切断され、DNA断片とさ
れる。該DNA断片は、別途切断調製されたベクターと
混合されリゲーションされ、プラスミドDNAが構築さ
れる。染色体DNA及びベクターの切断方法は特に限定
されないが、リゲーションのためには、同一の制限酵素
を用いるのが好ましい。また、ベクターをアルカリフォ
スファターゼ処理をすると効率を上げることができる。
リゲーション反応は通常12℃〜16℃、30分〜60
分で完了する。
【0020】前記プラスミドDNAを、別途調製された
コンピテントセルに受容させ、形質転換菌を得る。コン
ピテントセルは大腸菌、枯草菌、酵母などが使用でき
る。また、コンピテントセルの調製は、塩化カルシウム
処理法、プロトプラスト法など従来知られている如何な
る方法でも可能である。
【0021】この形質転換菌の体内にて、前記プラスミ
ドDNAは自己複製し、増殖する。前記形質転換菌か
ら、蛍光物質を生産または蓄積する形質を有する菌が検
出され、培養され、集菌される。蛍光物質を生産または
蓄積する形質転換菌の検出方法は特に限定されないが、
波長域に365nm〜430nmを含む紫外線ランプに
よる照射にともなう蛍光で検出するのが簡便である。
【0022】培養は、形質転換菌の生育に適した種々の
培地で可能である。コンピテントセルが大腸菌の場合
は、その後の操作が容易であることから、LB(Lur
iaBertani)培地でなされるのが望ましい。ま
た、集菌は遠心法によるのが簡便である。
【0023】集菌された形質転換菌からプラスミドDN
Aが抽出・精製される。この抽出・精製は、溶菌−遠心
分離−塩化セシウム密度勾配遠心分離の常法によって行
うことができる。こうして得られたプラスミドDNAを
受容させ形質転換した大腸菌に、波長365nm〜43
0nmの紫外線を照射し、これにより大腸菌が蛍光を発
することで、該プラスミドDNAが、蛍光物質の生産ま
たは蓄積をもたらす遺伝情報をになっていることが確認
される。
【0024】前記プラスミドDNAにより形質転換され
た形質転換菌においては、該DNAの関与により該形質
転換菌が生産または蓄積した物質が、波長365nm〜
430nmの光の照射によって蛍光を発するため、この
物質を標識として、他の菌と区別が可能となる。
【0025】照射する光の波長が365nm〜430n
mの範囲外となることで、直ちに蛍光を発しなくなるわ
けではないが、蛍光は微弱なものとなり検知が困難とな
ってくる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明のDNA断片、プラスミドD
NA、プラスミドDNAによる形質転換菌並びにこれら
の調製および前記DNAにより形質転換された微生物の
体内に生産または蓄積された蛍光物質を標識とする微生
物検出方法について、本発明の一実施例により説明す
る。 (1)クロストリジウム・ジョースイからの染色体DN
Aの調製。
【0027】クロストリジウム・ジョースイを、下記の
グルコース培地をpH7.0に調製して、CO2 ガスを
30分間通気した後、110℃、10分間オートクレー
ブにて加熱処理した培地500mlに植菌し、45℃で
8時間培養し、対数増殖前期の菌体約0.5gを冷却遠
心分離機にて集菌した。
【0028】 DNA分離用グルコース培地 培地組成 100ml中 ミネラル溶液I 7.5ml ミネラル溶液II 7.5ml VFA 0.31ml 0.1%レサズリン溶液 0.1ml 酵母エキス 0.1g グルコース 1.0g Na2CO3 0.5g 2.5%システイン溶液 1.0ml ミネラル溶液I組成 成分 500g中 K2HPO4 3.0g H2O 497ml ミネラル溶液II組成 成分 500g中 KH2PO4 3.0g NaCl 6.0g (NH42SO4 6.0g MgSO4・7H2O 0.6g CaCl2 0.6g H2O 483.8ml VFA組成 成分 31ml中 酢酸 17ml プロピオン酸 6ml n−酪酸 4ml iso−酪酸 1ml n−バレリン酸 1ml DL−2−メチル酪酸 1ml iso−バレリン酸 1ml 集菌された菌体をsaline−EDTA(0.5M
NaCl,0.1MEDTA,pH8.0 )で洗浄し
た後、0.5mlのsaline−EDTAに懸濁し
た。この懸濁液に1mgのリゾチームを加え攪拌し、3
7℃で10分間静置した後、10mlのトリス−SDS
−バッファー(0.1M Tris,1%SDS,0.
1M NaCl,pH9.0)を加え60℃で5分間保
持し溶菌させた。
【0029】これにトリス−SDS−フェノール(再蒸
溜フェノールをトリス−SDS−バッファーに飽和させ
たもの)を10.5ml加え、0℃で20分間静置した
後、1500×g、10分間遠心分離してクリアードラ
イゼートを得た。このクリアードライゼートに21ml
の冷エタノールを加えた後、糸状の染色体DNAを減菌
したガラスロッドでまきとり減菌水に溶かし、濃度50
0μg/mlとした。
【0030】このDNA溶液に、100℃で15分間加
熱しデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)を失活さ
せた、リボヌクレアーゼ(RNase)Aを最終濃度5
0μg/mlとなるように加え、37℃で30分間保持
し、共存するRNAを分解した。
【0031】その後、トリス−SDS−フェノールで処
理してリボヌクレアーゼAの反応を止め、エタノール沈
澱を行い、更にエタノールリンスした後、沈澱を真空乾
燥し、適当量の減菌水に溶かして純粋な染色体DNAを
得た。 (2)染色体DNAおよびベクターDNAの切断 (1)で得られた染色体DNAにSau3AIを加え、
37℃で1時間反応させ部分分解した後、0.8%アガ
ロースゲルで電気泳動し、その約3〜10kbpの断片
を、透析チューブ内にて溶出後、フェノール処理、エー
テル処理、エタノール沈澱し回収した。回収した染色体
DNAは、120℃で10分間オートクレーブ処理した
蒸留水に溶解させた。
【0032】染色体DNAの切断は、Sau3AIの
他、PstI、EcoRI等の制限酵素によってもよ
く、また、ホモジナイザー等で物理的に切断してもよ
い。染色体DNAとは別に、ベクターDNAの切断も行
われた。本実施例ではベクターとして大腸菌内で複製可
能なプラスミドであるpBR322を用いた。このpB
R322をBamHIで同様に完全分解し、アルカリフ
ォスファターゼで処理後、フェノール処理、エーテル処
理、エタノール沈澱し回収した。回収したベクターDN
Aは、120℃で10分間オートクレーブ処理した蒸留
水に溶解させた。
【0033】ベクターとしては、pUC18、pUC1
9、pACYC184等、公知のいかなるプラスミドも
使用できる。また、ベクターDNAの切断は、BamH
Iの他、PstI、EcoRI等の制限酵素によっても
よい。アルカリフォスファターゼ処理は不可欠ではない
が、これを行うと効率を上げることができる。 (3)ベクターへの染色体DNA断片の組み込み (2)で得られた染色体DNA断片およびベクターDN
Aを、およそ1:2の重量比で混合し、T4 リガーゼを
用い16℃で1時間反応させた。リゲーション反応が完
全に行われ、DNAサイズが約7〜14kbとなったこ
とが、アガロースゲル電気泳動により確認された。 (4)コンピテントセルの調製 本実施例ではコンピテントセルとして大腸菌HB101
株を用いた。HB101をLB(Luria Bert
ani)培地に植菌し37℃で一晩培養した。これより
1mlを採り、新たなLB培地100mlに植菌した。
培養液の濁度がOD600 =0.4となったところで冷却
遠心分離機で集菌し塩化カルシウム処理を行い、8ml
のコンピテントセルを得た。
【0034】コンピテントセルとしては、大腸菌の他に
枯草菌、酵母などが使用できる。また、コンピテントセ
ルの調製は、塩化カルシウム処理法に限らず、プロトプ
ラスト法など、従来知られている方法でも可能である。 (5)コンピテントセルの形質転換 (4)にて調製されたコンピテントセルとしての大腸菌
HB101から200μlを採り、50mMCaCl
2 、20%グリセロール溶液に懸濁したものに、(3)
で得られた組み換えプラスミド0.1μgを加え氷水中
で30分間保持した。その後42℃で1分間保持し、更
に氷水中で2分間保持した。これにLB培地1mlを加
え37℃で1時間振とう培養した。 (6)蛍光物質を生産又は蓄積する組み換え菌の検出方
法 (5)で得られた形質転換菌を、選択圧として0.00
01%D−アミノベンジルペニシリン(商品名アンピシ
リン)を含むLB寒天培地にまいて37℃で12時間培
養した。この寒天培地に形成されたコロニーを波長37
5nmの紫外線ランプで照射して、これに反応する蛍光
物質の有無を調べた。その結果、1株のオレンジ色の蛍
光を発する組み換え菌を得た。 (7)組み換え菌のプラスミドの確認 オレンジ色の蛍光を発する組み換え菌の菌体よりプラス
ミドDNAをアルカリ−SDS法で抽出、精製した。つ
まり、組み換え菌を0.0001%D−アミノベンジル
ペニシリン(商品名アンピシリン)を含むLB培地で3
7℃にて12時間培養後、7,700×g、10分間の
遠心分離により集菌した。菌体ペレットを2mg/ml
リゾチーム溶液に懸濁後、氷水中で30分間保持し、1
%SDS、0.2N水酸化ナトリウム溶液を加え溶菌さ
せた。これに、3M酢酸ナトリウムpH4.8をくわえ
20,000×g、30分間遠心分離後、クリアードラ
イゼートを得た。このクリアードライゼートをエタノー
ル沈澱し、この沈澱をTEバッファー(10mM Tr
is−HCl pH8.0、1mM EDTA)に溶解
し、塩化セシウム密度匂配遠心分離によりプラスミドD
NAを単離した。 (8)組み換えプラスミドDNAの制限酵素地図の作成 (7)によって得られたプラスミドDNAの主な制限酵
素切断部位を図1に示した。1株の組み換え菌から単離
されたプラスミドDNAは約6.2kbpのSau3A
I断片を含んでおり、このDNA断片上に蛍光物質の生
産または蓄積をもたらす遺伝子がコードされていた。そ
こで、このプラスミドDNAをpORANGEIと命名
した。pORANGEIの蛍光物質の生産または蓄積活
性は、波長375nmの光の照射にて蛍光を発すること
によって確認された。 (9)プラスミドpORANIの構築 (8)のプラスミドDNAにおいて蛍光物質の生産また
は蓄積活性に必要な部分を限定するため、約6.2kb
pのDNAを種々の制限酵素で切断後ベクターpUC1
18にサブクローニングした。その結果約2.3kbp
のPstI断片上にこの遺伝子がコードされていること
がわかった。これをpORANIと命名した。pORA
NIの活性は(8)と同様に確認された。 (10)プラスミドpORIの構築 (9)のプラスミドDNAにおいて蛍光物質の生産また
は蓄積活性に必要なPstI断片(2.3kbp)をp
UC119に組みこんだ後にディレーションを行いDr
aIサイトを越えて短縮してもなおかつ上記活性を発現
できる約1.1kbpの断片を保有するプラスミドDN
Aを構築し、pORIと命名した。このpORI上の約
1.1kbp断片は図1及び図2の斜線を施した部分に
相当する。
【0035】なお、(9)プラスミドpORANIの構
築および(10)プラスミドpORIの構築において、
サブローニングに用いるプラスミドベクターは特に限定
されない。また、挿入サイトも特に限定されない。
【0036】
【発明の効果】本発明で得られるDNA断片上にコード
されている遺伝子は、菌細胞内において、波長365n
m〜430nmの光を照射することにより蛍光を発する
物質を生産又は蓄積し得る。このため、本発明のDNA
断片で形質転換された微生物は、体内に生産または蓄積
された蛍光物質を標識として、波長365nm〜430
nmの光を照射することで容易に検出できる。また、照
射する光も波長365nm〜430nmと微生物に対し
て変異を誘発しにくい波長である為、微生物試料に影響
を与えにくく安全である。
【0037】さらに、従来公知の標識遺伝子が必要とし
た、高価で、しばしば有毒である基質物質の培地への添
加は不要となるので、通常の生育用培地で経済的にかつ
安全に、しかも簡便に培養選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 蛍光物質を生産又は蓄積させる遺伝情報をコ
ードするプラスミドpORANGEIの制限酵素地図で
ある。
【図2】 活性発現に必要なPstI断片を組み込んだ
プラスミドpORANIの制限酵素地図である。
【図3】 第2図に示したPstI断片のDraIサイ
トを越えて短縮した断片を保有するプラスミドpORI
の制限酵素地図である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロストリジウム・ジョースイ(Clo
    stridium josui)(微工研寄託 第FE
    RM P−9684号)の染色体DNAをSau3AI
    にて部分分解して分離される下記の制限酵素地図を有す
    る6.2kbpのDNA断片をPstIサイト(1)お
    よび該PstIサイト(1)からPstIサイト(2)
    側へ1.1kbpの位置で切断して得られる1.1kb
    pの断片と同じ塩基配列を含み、波長365nm〜43
    0nmの光の照射により蛍光を発する物質の生産または
    蓄積をもたらす遺伝情報を担うDNA断片。 【化1】 ただし、制限酵素地図上の記号は、以下の制限酵素を示
    す。 B:BamHI、D:DraI、E:EcoRI、E
    v:EcoRV、 H:HindIII、P:PstI、Sa:Sau3A
    I、Sl:SalI、 X:XbaI。
  2. 【請求項2】 クロストリジウム・ジョースイ(Clo
    stridium josui)(微工研寄託 第FE
    RM P−9684号)の染色体DNAをSau3AI
    にて部分分解して分離される下記の制限酵素地図を有す
    る6.2kbpのDNA断片をPstIサイト(1)お
    よびPstIサイト(2)で切断して得られる2.3k
    bpの断片と同じ塩基配列を含み、波長365nm〜4
    30nmの光の照射により蛍光を発する物質の生産また
    は蓄積をもたらす遺伝情報を担うDNA断片。 【化2】 ただし、制限酵素地図上の記号は、以下の制限酵素を示
    す。 B:BamHI、D:DraI、E:EcoRI、E
    v:EcoRV、 H:HindIII、P:PstI、Sa:Sau3A
    I、Sl:SalI、 X:XbaI。
  3. 【請求項3】 クロストリジウム・ジョースイ(Clo
    stridium josui)(微工研寄託 第FE
    RM P−9684号)の染色体DNAをSau3AI
    にて部分分解して分離される下記の制限酵素地図を有す
    る6.2kbpのDNA断片であって、波長365nm
    〜430nmの光の照射により蛍光を発する物質の生産
    または蓄積をもたらす遺伝情報を担うDNA断片。 【化3】 ただし、制限酵素地図上の記号は、以下の制限酵素を示
    す。 B:BamHI、D:DraI、E:EcoRI、E
    v:EcoRV、 H:HindIII、P:PstI、Sa:Sau3A
    I、Sl:SalI、 X:XbaI。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか記載のDN
    A断片をベクターに組み込んだことを特徴とするプラス
    ミドDNA。
  5. 【請求項5】 ベクターがpBR322であることを特
    徴とする請求項4記載 のプラスミドDNA。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし3のいずれか記載のDN
    A断片または請求項4もしくは請求項5記載のプラスミ
    ドDNAで微生物を形質転換することによりこの微生物
    体内に生産または蓄積された物質で該微生物を標識し、
    該微生物に波長365nm〜430nmの光を照射し、
    該照射による蛍光によって前記物質で標識された微生物
    を検出することを特徴とする微生物検出方法。
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