JP2672551B2 - チトクロームp−450遺伝子を含有するdna - Google Patents

チトクロームp−450遺伝子を含有するdna

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はストレプトミセス属に存在し、水酸化酵素活
性を有するチトクロームP−450の生成に関与する遺伝
子部分を含有するDNAの単離およびその利用に関する。
さらに詳しくはストレプトミセス属に存在しML−236Bナ
トリウム(以下、「ML−236BNa」という)を6β−ヒド
ロキシ−ML−236Bナトリウム(以下、「CS−514」とい
う)へ変換する水酸化酵素活性を有するチトクロームP
−450を包含する蛋白質の生成に関し、制限酵素Mbo Iの
部分消化によって生成され、約7.1kbからなるDNA断片中
に存在し水酸化酵素活性を有するチトクロームP−450
遺伝子を含有することを特徴とするDNAに関する。
従来の技術 微生物を用いるDNA組み換え実験は特に大腸菌を中心
として枯草菌、酵母において発展してきた。なかでも大
腸菌のDNA組み換え実験の発展はめざましく、種々の遺
伝子の解析のみならずある種の有用ペプチドの工業生産
にまで応用されるに至つている。一方、放線菌は抗生物
質や生理活性物質などの二次代謝産物の生産に関して多
種多様な能力を有すること、あるいは微生物変換におい
て種々機能を発揮することから、醗酵工業の分野では古
くから重要視されてきている。にもかかわらず放線菌の
育種の手法は限られており、この限られた手法の中で生
産性向上などに成果をあげてきた。このような状況のも
とで放線菌の育種改良研究の1つの手法として、DNA組
み換え実験系の確立が望まれ、その手法を用いての生産
性向上や新規物質の生産が期待されるようになつてき
た。現在、放線菌の特定菌種(S.coelicolor A(3)2,
S.lividansなど)では宿主・ベクター系が確立され種々
の放線菌遺伝子がクローニングされている。それらは例
えば抗生物質の生産に関する遺伝子としてのアクチノロ
ジン生合成遺伝子(Nature,309,462(1984)),エリス
ロマイシン生合成遺伝子(Bio technology,,808(198
6))などである。アクチノロジン生合成遺伝子を同類
の抗生物質であるメデルマイシンの生産菌ストレプトミ
セス・エス・ピーに導入すると新規抗生物質のメデルロ
ジンが生産されたとの報告がある(Antimicrob.Agents
Chemother.29,13(1986))。また放線菌の酵素遺伝子
もエンドグリコシダーゼH遺伝子(J.Biol.Chemi.,256,
10640(1981))をはじめとしていくつかの報告があ
る。
発明が解決しようとする問題点 上述のごとく放線菌の遺伝子のクローニングに関する
報告は増えつつあるものの、抗生物質生産、生理活性物
質生産、微生物変換能など放線菌の能力の多様性を考慮
するとこれらの研究ははじまつたばかりである。特に放
線菌を用いての微生物変換に関与する酵素の遺伝子につ
いては、工業上の重要性にも拘わらずいまだにクローニ
ングされた例がない。従つて、放線菌の組み換えDNA技
法をこのような放線菌の育種改良に用いることが望まれ
ている。
問題点を解決する手段 本発明者らは、微生物変換に用いられるストレプトミ
セスの特定の酵素の産生に係る遺伝子を含むDNAを提供
すべく研究した。その結果、ML−236BNaの6β位を水酸
化しCS−514へと変換させ得る水酸化酵素遺伝子を含むD
NAをストレプトミセス属に属する菌株から分離すること
に成功した。ML−236BNaからCS−514への水酸化活性を
欠失しているか、または活性の低い例えばストレプトミ
セス・リビダンス(Streptmyces lividans)に、該DNA
を組み込んだプラスミドを導入することにより、係る遺
伝子が発現し、ML−236BNaからCS−514への変換が可能
であることから該DNAを含有する組み換えプラスミドを
工業生産に用いられる例えばストレプトミセス・カルボ
フイラスに導入することにより、その遺伝子の増幅効果
によつて、変換効率の良い株または単位基質(ML−236B
Na)あたりの変換時間の短い株の造成が期待できること
を見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、ML−236BNaの6β位を水酸化してCS
−514へ変換しうる水酸化酵素活性を有するチトクロー
ムP−450遺伝子に関し、該遺伝子のDNA断片を含有する
組み換えプラスミドが提供される。
本発明のチトクロームP−450遺伝子を含むDNA断片
は、ML−236BNaを基質とし、CS−514へ変換する水酸化
酵素活性を有するチトクロームP−450の遺伝子を含む
ものであれば、それが他の種類の基質をも水酸化するも
のであつてもよい。また、チトクロームP−450遺伝子
を含むDNA断片の起源としては、特にその種類を問わ
ず、ML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514を生成する
能力を有する放線菌の染色体DNAに由来するものが好適
に用いられる。そのようなものとしては例えばストレプ
トミセス・フラボビレンス(Streptomyces flavoviren
s)などを挙げることが出来る。
他方、ベクタープラスミドとしては放線菌内にあつて
自律増殖可能であり、かつ宿主細胞の分裂に際して安定
に娘細胞に受け継がれていく安定保持性に優れたもので
あればよく、使用する宿主によつて自由に選ぶことが出
来る。ベクタープラスミドの具体的なものとしては例え
ば公知のpIJ702(Katz et al.,J.Gen.Microbiol.,129,2
703(1983))等を挙げることができる。
しかしながら、ベクタープラスミドは本発明のDNAを
含む組み換えプラスミドを含有する形質転換体のスクリ
ーニングに適した特定の抗生物質耐性を付与する遺伝子
を有し、且つ挿入失活によつて組み換えプラスミドであ
ることが確認でき、宿主域の広いプラスミドがよい。
従つて、そのようなプラスミドとしてはチオストレプ
トン耐性が付与され、且つ本来pIJ702のメラニン産生遺
伝子を発現できない放線菌においてもメラニン産生遺伝
子を発現できるように設計され、広い宿主で用いること
の可能な例えばプラスミドpMEL16,pMEL18,pMEL25(特願
昭61−193316号)が好適である。
本発明で提供するチトクロームP−450遺伝子を含むD
NAはベクタープラスミドにチトクロームP−450遺伝子
を含むDNAを含有したものであればよく、例えば本発明
者の命名するところの後述するプラスミドpHYO1や宿主
菌の中でプラスミドpHYO1が組み換えられた結果生じた
プラスミドpHYO2またはそれから誘導されるプラスミドp
HYO21を挙げることが出来る。
ここにML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514の生成
に関与する水酸化酵素活性を有するチトクロームP−45
0遺伝子は下図 で示されるようにML−236BNaの6β位の水酸化反応を触
媒する水酸化酵素産生に関与するDNAをいう。
本発明のチトクロームP−450遺伝子を含むDNAを含有
する組み換えプラスミドの調製はそれ自体公知の方法で
行なうことが出来る(例えばD.A.Hopwoodら“Genetic m
anipulation of Streptomyces",a Laboratory Manual,T
he John Innes Foundation,1985)。
組み換えプラスミドの調製方法 (1) ベクタープラスミド ベクタープラスミドとしては上述のように放線菌で安
定に複製増殖を維持出来るものであれば、何でも用いる
ことが出来るが、それらから使用目的に応じて誘導され
るものも含まれる。例えばストレプトミセス・リビダン
スSANK68182〔微工研条寄第1141号(FERM BP−1141)〕
を用いてそれ自体公知の方法(例えばD.A Hopwoodら,
“Genetic Manipulation of Streptomyces",A Laborato
ry Manual,The John Innes Foundation,1985)により採
取出来るプラスミドpIJ702をベクターとして用いること
が出来る。また、プラスミドpIJ702のメラニン産生遺伝
子を発現出来ない放線菌宿主でも使用出来るように調製
されたプラスミドpMEL16,pMEL18,pMEL25も同様に用いる
ことが出来る。これらのプラスミドは選別標識(マーカ
ー)としてチオストレプトン耐性(以下、「Thior」と
いう)とメラニン産生(以下、「Mel+」という)が付与
されており、Thior,Mel-を示す形質転換株を選別するこ
とにより組み換えプラスミドの調製に有利に用いること
が出来る。
(2) 水酸化酵素活性を有するチトクロームP−450
遺伝子を含むDNAのクローニング 上述のML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514に変換
する水酸化酵素活性を有するチトクロームP−450遺伝
子を含む放線菌(例えばストレプトミセス・フラボビレ
ンスなど)の菌体より染色体DNAを公知の方法、例えばM
armurの方法(J.Mol.Biol.,,208(1961))で抽出す
る。抽出された染色体DNAを適当な制限酵素により切断
すれば、目的のチトクロームP−450遺伝子を含むDNA断
片が他のDNA断片と共に得られる。このようにして得ら
れるDNA断片の混合物から目的の遺伝子を含むDNAを含有
する組み換えプラスミドを調製するには、まずチトクロ
ームP−450遺伝子を含むDNA断片の末端と結合し得るよ
うに処理されたベクタープラスミドへ該DNA断片を組み
込む。次に生成された各種の組み換えプラスミドによる
宿主菌の形質転換を行なつた後、例えばThior・Mel-
示す組み換えプラスミド含有形質転換体を選別する。次
いで選別された形質転換体から目的の形質を発現する形
質転換体を選別することにより行なうことが出来る。前
述のプラスミドpMEL18をベクターとして使用する場合を
1例として挙げれば、次の通りである。即ち、染色体DN
Aを制限酵素Mbo Iにより3〜20kbのDNA断片となるよう
部分分解(例えばT.Maniatisら、“Molecular Clonin
g",Cold Spring Harbor Laboratory,282頁,1982)し、
得られる該DNA断片を、Bgl IIにより切断開環したpMEL1
8と混合し、さらにT4DNAリガーゼで連結処理する。これ
によつて、染色体DNAの断片が導入された目的の組み換
えプラスミドを含有する連結混合物を得る。連結混合物
から目的の組み換えプラスミドを選別するには、該混合
物をML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514へ変換する
能力を本来持たないかもしくは極めて低い能力しか持た
ない放線菌のプロトプラストに導入し、寒天平板上に塗
抹する。次いで培養した寒天平板上、チオペプチンを加
えた軟寒天培地を重層する。重層後、該寒天平板を培養
するとThiorを示す形質転換株が生育してくる。このな
かで組み換えプラスミドを有する形質転換株はメラニン
を産生しないので容易に判別可能である。次いで選別さ
れたメラニンを産生しない形質転換株はML−236BNaを添
加した寒天平板上に移植して培養し、コロニーを十分に
生育させる。このコロニーをトロツカーで打抜き寒天プ
ラグを作製する。このようにして作製した寒天プラグ10
個を1つの集団としてマイクロチユーブに入れ、エタノ
ール水溶液を加えよく撹拌、抽出した後、遠心分離しそ
の上清を高速液体クロマトグラフイー(以下、「HPLC」
という)に付す。次いでCS−514に由来するピークの存
在の有無を判別するという一次スクリーニングに供し
た。
二次スクリーニングは一次スクリーニングでCS−514
に由来するピークの存在が認められた集団に含まれるコ
ロニーから夫々をチオペプチンを含む培地に接種し振盪
培養する。次いでML−236BNaを添加しさらに振盪培養を
継続した後、その培養液をマイクロチユーブに採取し、
遠心分離し上清を採取する。採取した上清をHPLCに付し
ML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514に変換している
クローンを選別する。このようにCS−514を生成するク
ローンが本発明の水酸化酵素活性を有するチトクローム
P−450遺伝子を含むDNAを含有する組み換えプラスミド
を保持する。従つてこれを前述のプラスミド抽出法によ
つて抽出すればベクタープラスミドにML−236BNaの6β
位を水酸化しCS−514へ変換する水酸化酵素活性を有す
るチトクロームP−450遺伝子を含むDNAが含有された組
み換えプラスミドを取得出来る。このようにして得られ
た組み換えプラスミドとして例えば具体的にはプラスミ
ドpHYO1またはプラスミドpHYO2を挙げることが出来る。
(3) 組み換えプラスミドの具体的説明 上述の方法によつて得られる組み換えプラスミドpHYO
1およびプラスミドpHYO2(実施例並びに第2図および第
3図参照)、更にプラスミドpHYO2から誘導されるプラ
スミドpHYO21(第4図参照)について、具体的に述べ
る。
(I) プラスミドpHYO1による水酸化酵素活性の確認 プラスミドpHYO1の含有する挿入DNA断片が、ML−236B
Naの6β位を水酸化してCS−514へ変換する水酸化酵素
活性を有するチトクロームP−450遺伝子を含むことは
次のことから理解される。即ちプラスミドpHYO1を含有
する組み換え株からこのプラスミドを除去することによ
つて生ずるプラスミド除去株はチオペプチン感受性とな
り、同時に水酸化活性の消失とCO差スペクトルによる45
0nm付近の吸収極大の消失を伴うことから理解される。
さらに該プラスミド除去株を宿主としてプラスミドpHYO
1を用いて再形質転換すると得られる再形質転換株はす
べてThiorとなると共に水酸化活性の復帰およびCO差ス
ペクトルによる450nm付近の吸収極大の復帰が認められ
ることおよびこの再形質転換株からプラスミドpHYO1が
分離できることから確認される。しかしながら、このプ
ラスミドpHYO1は第2図から明らかの如く、小型化する
には不都合である。小型化の研究には以下に述べるプラ
スミドpHYO2を用いた。
(II) プラスミドpHYO2の存在確認とプラスミドpHYO2
1の誘導 プラスミドpHYO1の形質転換によつて、ML−236BNaをC
S−514へ変換する能力を示す形質転換株の1株から分離
された組み換えプラスミドは、プラスミドpHYO1以外に
ほぼ同じ大きさのプラスミドpHYO2が存在していること
が判明した。即ち、プラスミドpHYO1はSac I消化によつ
て約10kbおよび約5.8kbのDNA断片を生成することがわか
つているが(第2図参照)、該プラスミド混合物はSac
Iは消化によつてプラスミドpHYO1に由来する約10kbおよ
び約5.8kbのDNA断片の他にプラスミドpHYO2に由来する
約13.1kbおよび約2.4kbのDNA断片を生成する。そこで該
プラスミド混合物を用いてストレプトミセス・リビダン
スを形質転換し、Sac I消化によつて約13.1kbと約2.4kb
のDNA断片を生ずるプラスミドのみを含む形質転換株を
分離することによつてプラスミドpHYO2を単独に含む形
質転換株が得られる。この形質転換株はML−236BNaから
CS−514へ変換する能力を有していることからプラスミ
ドpHYO2もプラスミドpHYO1と同様にML−236BNaの6β位
を水酸化してCS−514へ変換する水酸化酵素活性を有す
るチトクロームP−450遺伝子を含む挿入DNA断片を持つ
ていることになる。プラスミドpHYO2は該プラスミドを
単独に含む形質転換株から調製することが出来る。
第3図に示すプラスミドpHYO2の制限酵素切断地図を
作成することにより、該プラスミドのベクター部分に存
在するSph Iサイトを含む約300bpが欠失していること、
水酸化酵素活性を有するチトクロームP−450遺伝子を
含む約10kbの挿入DNA断片において宿主菌体内におい
て、少なくともSac IからSph Iサイトまでの約6.7kbを
含む約7.1kbのDNA断片が組み換えを受け、pHYO1の挿入D
NA断片における当該部分と相同域が逆向きに配位された
ものであることが理解される。このように少なくとも約
6.7kbのDNA断片が逆向きに配位されたにも拘わらずML−
236BNaがCS−514への変換を受けることは、ML−236BNa
をCS−514へ変換する水酸化酵素活性を有するチトクロ
ームP−450遺伝子が、少なくともSac IからSph Iサイ
トまでの約6.7kbを含む約7.1kbのDNA断片内に位置して
いること、および該チトクロームP−450遺伝子のプロ
モーター領域も含有されていることを示唆する。
前述のごとくプラスミドpHYO2において、Sac IからSp
h Iサイトまでの約6.7kbを含む約7.1kbのDNA断片内に水
酸化酵素活性を有するチトクロームP−450遺伝子が含
まれているということは、Sac I消化によつて生ずる約
2.4kbのDNA断片は水酸化酵素活性の発現には不要である
ことを示す。従つてこの約2.4kbのDNA断片を除去するこ
とによつてプラスミドの小型化が可能であることは容易
に理解される。まずプラスミドpHYO2をSac Iで消化し、
約13.1kbと約2.4kbのDNA断片を得、次いで加熱処理した
のちT4DNAリガーゼで連結し連結混合物を得る。次いで
ストレプトミセス・リビダンスのプロトプラストに導入
し、前述の方法によつて形質転換株を得る。さらにこれ
らの形質転換株は前述の二次スクリーニングと同じ方法
によつて培養されHPLCにてCS−514を生成するクローン
を選別する。次いで選別されたクローンについて前述の
プラスミド抽出法によつてプラスミドを抽出取得出来
る。かくして得られる具体的なものとしては第4図に示
す約13.1kbから成りSac I切断サイトが1ケ所となった
プラスミドpHYO21を挙げることが出来る。第4図はプラ
スミドpHYO21の制限酵素切断地図を示すが、該プラスミ
ドはプラスミドpHYO2におけるSac I消化によって生ずる
約2.4kbのDNA断片に相当する領域が除去されたこと以外
はプラスミドpHYO2と同一であることが示される。
(III) チトクロームP−450遺伝子局在領域の決定 プラスミドpHYO21の挿入DNA断片約7.1kb内にML−236B
NaからCS−514へ変換する水酸化酵素活性を有するチト
クロームP−450が位置していることはすでに述べた。
次に、この約7.1kb挿入DNA断片内のどの領域にチトクロ
ームP−450遺伝子が局在するかを検討した。その検討
方法は挿入DNA断片内にある制限酵素部位を利用して行
なった。即ち、pHYO21をSph Iで完全に消化した後、ア
ガロース・ゲル電気泳動すると約11.6kbと約1.5kbのDNA
断片に切断されていることがわかる。この約11.6kbDNA
断片を含むゲルを切出し、電気溶出法によって該DNA断
片を得、これをT4DNAリガーゼで連結処理した後、スト
レプトミセス・リビダンスのプロトプラストに導入す
る。
かくして得られた形質転換株はプラスミドpHYO21の約
7.1kb挿入DNA断片から約1.5kbのSph I断片を欠失した約
5.6kbの挿入DNA断片を含む約11.6kbのプラスミドpHYO22
を含有している。またプラスミドpHYO21をMlu Iで完全
に消化した試料をアガロース・ゲル電気泳動すると約8.
6kb、約3.6kb(ベクターDNA断片の約0.3kbを含む)およ
び約0.9kbのDNA断片に切断されていることがわかる。こ
のなかの約8.6kbのDNA断片を含むゲルを切出し、電気泳
動法によって該DNA断片を得、これをT4DNAリガーゼで連
結処理した後、ストレプトミセス・リビダンスのプロト
プラストに導入する。かくして得られた形質転換株はpH
YO21の約7.1kbの挿入DNA断片からMlu I消化によって生
ずる約4.2kbのDNA断片を欠失した約2.9kbの挿入DNA断片
を含む約8.6kbのプラスミドpHYO23を含有している。
次に、これらのプラスミドpHYO22およびプラスミドpH
YO23を含有する形質転換株について前述の二次スクリー
ニングと同じ方法によって培養されHPLCにてCS−514の
生成量を調べると同時に、菌体を超音波破砕したのち遠
心分離して得られる無細胞抽出液についてOhmuraらの方
法(J.Biol.Chem.,239,2370,1964)に従い、還元型CO差
スペクトルによりチトクロームP−450の有無を判定し
た。
第7図はその結果を示すがチトクロームP−450遺伝
子はpHYO23の挿入DNA断片約2.9kb内に局在することが示
される。また、ML−236BNaからCS−514への十分な変換
活性を宿主ストレプトミセス・リビダンスに与えるため
には約7.1kbの全域が必要であることが示される。
なお、本発明において使用される放線菌の詳細な説明
は次の通りである。
1. ストレプトミセス・フラボビレンスSANK63684(微
工研菌寄第9170号) 本発明に用いたML−236BNaからCS−514への変換能を
有するストレブトミセス・フラボビレンスSANK63684の
形態的諸性質及び生理的諸性質は次の通りである。なお
各種寒天培地の調製、種培養、本培養及び結果の観察は
ISP基準、応用微生物工業審査基準、ワックスマンの勧
告などに従った。各種培地上の生育色調は「色の基準」
(日本色彩研究所版)に従った。
1) 形態学的特徴 形態学的特徴は光学顕微鏡観察のほか、下記の要領で
調製したサンプルを用いた電子顕微鏡観察も行った。
菌株の固定には2%オスミウム酸を用い、室温下約10
時間蒸気固定した。固定サンプルを寒天培地のまま、5
0,70,80,90,95,100%の各濃度のエタノールで15分間脱
水し、媒介液酢酸イソアミルで置換した。乾燥は、臨界
点乾燥装置HCP−1を使用し、液体炭酸を移行液として
用いた臨界点乾燥を行った。乾燥サンプルにはイオンコ
ーターIB−3型を用い、金の膜の厚さが約200Åになる
様に蒸着した。観察は走査電子顕微鏡MSM−4型(日立
明石)によった。この時の加速電圧は25kVである。
2. 各種培地上の培養性状 3. 生理的性質 4. 炭素源の資化性 5. 細胞壁化学組成 Beckerらの方法(Appl.Microbiol.12,236,1965)に依
る分析の結果、細胞壁主要構成物質としてLL−ジアミノ
ピメリン酸およびグリシンを検出した。細胞壁型はI型
である。
以上の結果を要約すると、SANK63684は直状〜曲状の
胞子柄を示し、その先端に50個以上の胞子連鎖を形成す
る。胞子表面は平滑である。基生菌糸は薄オリーブ〜オ
リーブ黄〜明るい茶味灰の生育をし、灰味白〜オリーブ
灰〜灰色の気菌糸を着生する。気菌糸は粉状であり培養
後期に湿潤化(hygroscopic)に伴う黒い斑点が見られ
る場合もある。また、可溶性色素およびメラニン様色素
は産生しない。細胞壁型はLL−DAPとグリシンを含むI
型である。
これらの諸性状から、SANK63684はストレプトミセス
属に属することは明らかである。既知ストレプトミセス
属の中でも特に近緑の種としてストレプトミセス・フラ
ボビレンスが挙げられる。そこで、ストレプトミセス・
フラボビレンスISP5062株と本菌株の同時比較培養を行
った。その結果、両菌株間には形態的諸性状および生理
的諸性質において、ほとんど差異は認められなかった。
従って、SANK63684はストレプトミセス・フラボビレン
と同一種と考えられ、本菌株をストレプトミセス・フラ
ボビレンスSANK63684と同定した。
2. ストレプトミセス・リビダンスSANK68182〔微工研
条寄第1141号(FERM BP−1141)〕 E.Katzによって構築されたプラスミドpIJ702を保持す
るストレプトミセス・リビダンス3131である(J.Gen.Mi
crobiol.129,2703〜2714,1983)。
3. ストレプトミセス・リビダンスSANK63086(微工研
菌寄第9169号) ストレプトミセス・リビダンスTK21である。本菌株は
“Genetic Manipulation of Streptomyces",A Laborato
ry Manual,The John Innes Foundation,1985に記載され
ており、放線菌の宿主として世界中で用いられている。
4. ストレプトミセス・リビダンスSANK60587(微工研
菌寄第9168号) 本発明者らによって構築されたプラスミドpMEL18(特
開昭62−122585,J.Antibiotics,40,1440〜1447,1987)
を保持するストレプトミセス・リビダンスTK21株であ
る。
5. ストレプトミセス・ジューモンジネンシス〔16〕−
8・SANK61185〔微工研条寄第1140号(FERM BP−114
0)〕 本菌株の形態学的諸性質及び生理的諸性質については
特開昭62−122585号公報において詳細に述べている。
実施例1. 組み換えプラスミドの調製法と形質転換 ストレプトミセス・フラボビレンスSANK63684(微工
研菌寄第9170号)をGGCy液体培地(0.4%グリセロール,
0.1%グリシン,0.4%カザミノ酸,0.1%硫酸マグネシウ
ム,0.01%塩化カルシウム,0.1%酵母エキス,微量金属
塩溶液4ml/)に接種し、28℃で3日間振盪培養した。
これを種とし、新鮮なGGCy培地100mlの入つた500ml溶坂
口フラスコに5%量接種し28℃で24時間往復振盪機で培
養した。この培養液から低速遠心で菌糸体を得、この菌
糸体からMarmurの方法(J.Mol.Biol.,.208,(196
1))に準じて全DNAを抽出、精製し、DNA溶解用緩衝液
(10mM Tris(pH7.5),10mM Nacl,1mM EDTA)で透析し
て供与体DNAとした。
このようにして得られた供与体DNA5μgを、1uのMbo
Iを用いて37℃で反応させ、3〜20kbのDNA断片になるよ
う部分分解した。この反応液は70℃で10分間処理するこ
とによつてMbo Iを加熱失活させた。次いで25倍容量の
−20℃のエタノールを加え−70℃で30分間放置後、15,0
00rpmで3分間遠心してDNAを沈澱させた。
他方、ベスタープラスミドpMEL18(参考例参照。本プ
ラスミドはストレプトミセス・リビダンスSANK60587
(微工研菌寄第9168号)からD.A.Hopwoodら“Genetic M
anipulation of Streptomyces",A Labolatory Manual,T
he John Innes Foundation(1985)に記載の方法によつ
て採取される。)の1μgを5uのBgl IIによつて37℃、
2時間反応させ完全に切断した。このBgl IIで切断され
たpMEL18は70℃で10分間加熱してBgl IIを失活させた
後、前述と同じくエタノール沈澱させた。
以上のようにして調製したMbo Iで部分分解した供与
体DNAとBgl IIで完全切断したpMEL18とを、35μの蒸
留水に溶解した。これに10倍濃度のリガーゼ反応用緩衝
液(660mM Tris−HCl,66mM MgCl2,pH7.6)5μ,50mM
のジチオスリトール5μおよび10mMのATP5μを加え
全量を50μとし、これにT4DNAリガーゼ6uを加え、14
℃で16時間反応させた。このようにしてpMEL18とストレ
プトミセス・フラボビレンスSANK63684染色体DNAとの組
み換えプラスミド混合物を調製した。この組み換えプラ
スミド混合物から目的の組み換えプラスミドを選別する
ため、ML−236BNaをCS−514へ変換する能力を本来持た
ないかもしくは極めて低い能力しか持たない放線菌であ
るストレプトミセス・リビダンスSANK63086(微工研菌
寄9169号)のプロトプラストに該組み換えプラスミド混
合物を導入した。即ち、34%蔗糖を含有するGGCy培地で
28℃で3日間培養したストレプトミセス・リビダンスSA
NK63086の菌糸体を含む培養液を種とし、新鮮な34%蔗
糖を含有するGGCy培地100ml(500ml容坂口フラスコ)に
5%量接種し28℃で24時間往復振盪培養した。該培養液
から低速遠心で菌糸体のペレツトを得、これを20mlのP
培地(320mM蔗糖、25mM TES緩衝液、70mM NaCl,10mM Mg
Cl2.6H2O,20mM CaCl2・2H2O)に懸濁し洗浄した。次い
で遠心し得られた菌糸体を20mlのP培地に懸濁した。こ
の菌糸体懸濁液に40mg/ml濃度のリゾチーム溶液1mlを加
え、28℃で1時間加温するとストレプトミセス・リビダ
ンスSANK63086株のプロトプラストが生成した。このプ
ロトプラストと未溶解の菌糸体の混合物をグラスフイル
ター(3G3)にて自然ろ過しプロトプラストを多量に含
有したプロトプラスト液を得た。これを低速遠心しペレ
ツトを再びP培地に懸濁した。この操作を3回繰返し十
分洗浄することにより所望のプロトプラスト数を含有す
るプロトプラスト液を調製した。
得られたプロトプラスト液を遠心してペレツトを得
た。これに先に得られている組み換えプラスミド混合物
を加えおだやかに撹拌しプロトプラストを均一に分散さ
せた。これに20%ポリエチレングリコール1540を含むP
培地0.5mlを加え1分間静置した後、更に4mlのP培地を
加えた。この形質転換操作はすべて0℃で行なわれた。
形質転換後、遠心してプロトプラストペレツトを得た。
これに5mlのP培地を加え十分撹拌・洗浄し遠心した。
この操作は少なくとも3回行ない所望量のP培地に形質
転換済のプロトプラストを懸濁し再生培地(R2MP寒天平
板)上に塗抹した。
R2MP培地(蔗糖120g,K2SO40.25g,K2HPO40.05g,MgCl2
・6H2O10.12g,CaCl2・2H2O2.95g,グルコース4g,カザミ
ノ酸0.1g,L−プロリン3g,DL−ノルロイシン0.05g,チロ
シン0.5g,酵母エキス2g,麦芽エキス5g,250mM TES緩衝液
(pH7.2)100ml,微量金属塩溶液2ml,寒天20gを加え1000
mlとする)はメラニン様色素の産生を強調するために調
製した培地である。R2MP寒天平板上に塗抹後、28℃で20
時間培養したR2MP寒天平板上に最終濃度50μg/mlとなる
ようにチオペプチンを加えた軟寒天R3培地(蔗糖120g,K
2HPO40.2g,MgCl2・6H2O8.1g,CaCl2・2H2O2.2g,250mM TE
S緩衝液(pH7.2)100ml,グルコース10g,酵母エキス4g,
ポリペプトン4g,KCl0.5g,寒天5gを加え1000mlとする)
を3ml重層した。重層後、該寒天平板を28℃で培養を継
続するとチオペプチンに耐性を示す形質転換株の生育が
みられた。これらのチオペプチン耐性株の中でメラニン
を産生しない株(Mel-株)が組み換えプラスミドを持つ
ている形質転換株であるので、Mel-株を選別した。
実施例2. ML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514へ変
換する能力を有する形質転換株のスクリーニング 一次スクリーニングは次の通り実施した。即ち、Mel-
を示す選別された形質転換株を最終濃度300μg/mlのML
−236BNaを添加したGPY寒天平板(2%グルコース,1%
ポリペプトン,0.1%酵母エキス,2%寒天,pH7.0)に移植
し、28℃で7〜10日間培養しコロニーを十分生育させ
た。これらのコロニーをトロツカーで打抜き、直径1.5m
mの寒天プラグを作製した。このようにして各々のコロ
ニーを打抜き作製した寒天プラグ10個を1つの集団とし
て15ml容マイクロチユーブに入れ、20%エタノール200
μを加えよく撹拌、抽出した。次いで15,000rpmで5
分間遠心分離した上清をHPLCにかけ、CS−514に由来す
るピークの存在の有無を判別し一次スクリーニングとし
た。HPLCはカラムとしてラジアルパツクC18を用い移動
相として25%アセトニトリルおよび0.1%トリエチルア
ミン(pH3.2;リン酸によつて調製した)の混合溶剤を用
い、流速は2ml/分で行なつた。
二次スクリーニングは、一次スクリーニングでCS−51
4に由来するピークの存在が認められた集団に含まれる1
0個のコロニーから夫々をチオペプチン25μg/mlを含有
するGPY液体培地に接種し28℃で3日間振盪培養した。
次いでML−236BNaを300μg/ml濃度になるよう添加し、
さらに28℃で2〜3日間振盪培養を継続した。該培養液
を1.5ml容マイクロチユーブに採取し、15,000rpmで5分
間遠心分離して上清を採取しHPLCにかけ、ML−236BNaの
6β位を水酸化しCS−514に変換しているクローンを選
別した。HPLCの条件は一次スクリーニングと同じである
が状況に応じて移動相を30%アセトニトリルおよび0.1
%トリエチルアミン(pH3.2;リン酸によつて調製した)
の混合溶剤、流速を1ml/分に変えて行なつた。
実施例3. ML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514へ変
換する能力を有する形質転換株ストレプトミセス・リビ
ダンスMLR−1528No.416株の培養とプラスミドpHYO1の調
製およびストレプトミセス・リビダンスの再形質転換 実施例2に記載されたスクリーニング方法によつて、
ML−236BNaの6β位を水酸化し、CS−514へ変換する能
力を付与された形質転換株ストレプトミセス・リビダン
スMLR−1528No.416株が選択された。これは、この株が
特定のプラスミド(プラスミドpHYO1)を含有している
ためにML−236BNaをCS−514へ変換できるようになつた
ものと考えられる。このプラスミドpHYO1を調製し、ス
トレプトミセス・リビダンスを再形質転換してその確認
を行なつた。
即ち、34%蔗糖を含有するGGCy培地20mlを50ml容枝つ
きフラスコに入れ、これにMLR−1528No.416株の菌糸体
を接種後、24〜28℃で約72時間,120rpmの往復振盪機上
で培養した。次いで500ml容坂口フラスコに入つた、34
%蔗糖を含有するGGCy培地100mlに上記種培養の懸濁液
を培地の1〜5%相当量を接種し、24〜28℃で24−48時
間往復振盪機上で培養した。
この培養液から低速遠心(例えば10,000g,4℃,20分)
で菌糸体を集菌し、上澄液を傾斜で除いて菌糸体ペレツ
トを得た。菌糸体ペレツトを20mlのTES緩衝液(25mMト
リスヒドロキシメチル アミノメタン(トリス),25mM
EDTAおよび25mM食塩,pH=7.5)に再懸濁し、次いでこの
再懸濁物に40mg/mlの濃度のリゾチーム溶液を1ml加え、
この混合物を37℃で5〜15分緩く撹拌しながら加温し、
次にこれに3mlの10%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶
液を加え、緩く混合したのち37℃で5分間加温して溶菌
した。
次いでこの溶菌物を40,000g,4℃,30分遠心することで
粗製溶菌物を上澄として得、これに1/4容量の5M食塩を
加えて最終食塩濃度を1Mとし、0℃で2〜3時間冷却す
ると先に加えたSDSが沈澱してくるので、3000g,0℃,15
分の遠心を行ない、SDSを除いた。この上澄液にリボヌ
クレアーゼを加えて37℃で20分更にプロナーゼを加えて
37℃で20分消化を行なつた。この消化液に40%ポリエチ
レングリコール(PEG)6000溶液を最終濃度10%になる
よう添加し、この混合物を0℃で1晩保つと、DNAが沈
澱してくるので、緩い遠心(3000g,0℃,15分)後上澄を
捨て、沈澱物を4.7mlのTES緩衝液に懸濁して十分に溶か
し、TES緩衝液中で透析し、DNA抽出サンプルを得た。
このようにして得たDNA抽出サンプルに塩化セシウム
を混合し、更に蛍光発色剤エチジウム・ブロミド(ETB
r)を加え、混合して1.620の密度の溶液を調製した。こ
の溶液は150,000g、18℃で40時間平衡密度勾配遠心を行
ない、この遠心管に320nmの紫外線を照射すると、遠心
管中で染色体由来の線状DNAの強い蛍光帯の下に、閉環
状のプラスミドpHYO1のDNAが蛍光帯として分離している
のが見いだせた。
閉環状のプラスミドDNAの蛍光帯部分を採取し、これ
を等量のn−ブチルアルコールで3回抽出してエチジウ
ム・ブロミドを除去し、次に水層を適当な緩衝液(例え
ば、10mMトリス、10mM食塩および1mM EDTA,pH=7.5)で
透析して純粋な組み換えプラスミドpHYO1を得た。
このようにして得られた純粋な組み換えプラスミドpH
YO1は紫外線260nmの吸光度から濃度が求められた。
組み換えプラスミドpHYO1における挿入DNA断片の大き
さはアガロース・ゲル電気泳動によつて算出された。即
ち、組み換えプラスミド0.5μgを制限酵素Bcl Iで切断
することによりベクタープラスミドpMEL18に挿入されて
いるDNA断片の大きさが判別出来る。挿入DNA断片の大き
さは約10kbであることが判明した。分子量マーカーとし
てラムダDNAのHind III切断片またはφx174DNAのHae II
I切断片を用い、電気泳動の移動度からBcl I消化によつ
て生成する5つのDNA断片の大きさを測定した。これら
の総和(約15.8kb)とベクタープラスミドpMEL18の大き
さ(約5.8kb)との差を挿入DNA断片の大きさとした。
なお、このようにして得られた組み換えプラスミドpH
YO1(第2図参照)を用いて実施例1に記載した方法で
ストレプトミセス・リビダンスSANK63086(微工研菌寄
第9169号)を再形質転換した。この再形質転換によつて
得られた形質転換株50株についてML−236BNaのCS−514
への変換能について検討したところ、すべての株で変換
能が認められた。またこれらの株から分離されたプラス
ミドはpHYO1であつた。
実施例4 形質転換株MLR−1528No.416からのプラスミ
ドpHYO1の除去とpHYO1による形質転換 プラスミドpHYO1が導入されたことによつてML−236BN
aをCS−514へ変換する能力が付与された形質転換株MLR
−1528No.416からアクリフラビンまたはプロトプラスト
再生によつてプラスミドpHYO1が脱落、除去された416P
−7株を取得した。この株はプラスミドpHYO1の除去に
伴つてチオペプチンに感受性であつた。また、この株は
実施例2に記載された二次スクリーニングと同じ方法に
よつてCS−514への変換能の有無を調べたところ、変換
活性は認められなかつた。さらにこの株について先に述
べた無細胞抽出液を用いてCO差スペクトルを測定したと
ころ450nm付近の極大吸収が消失していた。一方、対照
株のプラスミドpHYO1を保持したMLR−1528No.416株にお
いては変換活性およびCO差スペクトルにおける450nm付
近の極大吸収が認められた。
次いでプラスミドpHYO1を用いてこのプラスミド除去
株416P−7を実施例1に記載した方法で形質転換した。
この形質転換で得られた形質転換株はチオペプチンに耐
性となつており、また実施例2に記載された二次スクリ
ーニングと同じ方法によつてCS−514への変換活性を調
べたところ変換活性は復帰していた。さらにCO差スペク
トルを測定したところ450nm付近の極大吸収もまた復帰
していた。このことはML−236BNaの6β位を水酸化しCS
−514へ変換する変換酵素、即ち水酸化酵素はチトクロ
ームP−450である可能性を示し、かつこのチトクロー
ムP−450遺伝子はプラスミドpHYO1の挿入DNA断片中に
存在していることを示すものである。
実施例5. プラスミドpHYO2を単独に含む形質転換株の
造成とML−236BNaからCS−514への形質転換能 実施例3に記載したようにプラスミドpHYO1によつて
再形質転換して得られた形質転換株50株にはすべてプラ
スミドpHYO1が存在していることが確認されたが、これ
らのうちの1株がプラスミドpHYO1を含むほぼ同じ大き
さの2種類のプラスミドを含有しているプラスミドの混
合物であることがSac Iの消化によつて生成するDNA断片
の解析から判明した。
即ち、pHYO1はSac I消化によつて約10kbおよび約5.8k
bのDNA断片を生成するが、該混合物はSac I消化によつ
てプラスミドpHYO1に由来する約10kbと約5.8kbのDNA断
片以外にpHYO2と命名したプラスミドに由来する約13.1k
bと約2.4kbのDNA断片を生成していた。そこでプラスミ
ドpHYO2を分離するために該混合物を用いて実施例1に
記載した方法によつて形質転換を実施し、生育した形質
転換株から実施例3に記載した方法でプラスミドを調製
した。次いで該プラスミドをSac Iで消化することによ
つて約13.1kbと約2.4kbのDNA断片を生ずるものを選択し
て、プラスミドpHYO2を単独に含む形質転換株が得られ
た。プラスミドpHYO2を単独に含む形質転換株のML−236
BNaからCS−514への形質転換能は実施例2に記載した二
次スクリーニングの方法によつて測定し、形質転換能を
保持していることを確認した。
実施例6. プラスミドpHYO21の調製 プラスミドpHYO2はその制限酵素切断地図から、水酸
化酵素活性を有するチトクロームP−450遺伝子を含む
約10kbの挿入DNA断片において宿主菌体内において少な
くともSac IからSph Iサイトまでの約6.7kbを含む約7.1
kbのDNA断片が組み換えをうけプラスミドpHYO1の挿入DN
A断片における当該部分との相同域が逆向きに配位され
たものであつた(第3図参照)。このように少なくとも
Sac IからSph Iサイトまでの約6.7kbを含む約7.1kbのDN
A断片が逆向きに配位されたにも拘わらずML−236BNaがC
S−514への変換を受けたことは、ML−236BNaをCS−514
へ変換する水酸化酵素活性を有するチトクロームP−45
0遺伝子がこの約7.1kbのDNA断片内に位置していること
を示している。このことは、プラスミドpHYO2のSac I消
化によつて生ずる約2.4kbのDNA断片は水酸化酵素活性の
発現には不要であることを示す。従つてこの約2.4kbのD
NA断片を除去することが可能である。この約2.4kbDNA断
片を除去した小型化プラスミドpHYO21の調製は以下の通
りに行なわれた。
プラスミドpHYO2の1μgを5uのSac Iを用いて37℃で
2時間消化した。次いで70℃にて10分間加熱しSac Iを
失活させた後、エタノール沈澱を行なつた。次いでこの
Sac I消化エタノール沈澱物を乾燥後、35μの蒸留水
に溶解し、これに10倍濃度のリガーゼ反応用緩衝液5μ
,50mM、ジチオスリトール5μおよび10mM ATP5μ
を加え全量を50μとした。これにT4DNAリガーゼ2u
加え、14℃で16時間反応させた。このようにしてプラス
ミドpHYO2のSac I消化DNA断片をセルフライゲーシヨン
し、これを実施例3に記載したプラスミドpHYO1の除去
株(416P−7株)のプロトプラストへ実施例1に記載し
た方法によって導入し、Thiorを示す形質転換株を得
た。次いでこれらの形質転換株から実施例3に記載され
た方法によってプラスミドを抽出し約2.4kbDNA断片を失
ったプラスミド、即ち約13.1kbの大きさを有するプラス
ミドを選択した。このようにして得られたプラスミドは
Sac I切断部位を1ケ所持つ約13.1kbのプラスミドpHYO2
1(第4図参照)である。このプラスミドはpHYO2と同じ
ようにML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514へ変換す
る水酸化酵素活性を有するチトクロームP−450遺伝子
を含有する、少なくともSac IからSph Iサイトまでの約
6.7kb部分を含む約7.1kbのDNA断片を持っており、プラ
スミドpHYO1およびpHYO2と同じく宿主細胞にML−236BNa
からCS−514へ変換する能力を付与する。
実施例7. プラスミドpHYO22の調製 プラスミドpHYO21の5μgを15uのSph Iを用いて37℃
で2時間消化した。次いで70℃に10分間加熱しSph Iを
失活させた後、0.8%アガロース・ゲル電気泳動にかけ
た。アガロース・ゲル電気泳動では約11.6kbと約1.5kb
のDNA断片が生成しており、このうち約11.6kbのDNA断片
を含むゲルを切出し、電気溶出法によって該DNA断片を
溶出した。溶出液35μに10倍濃度のリガーゼ反応用緩
衝液5μ,50mMジチオスリトール5μ、および10mM
ATP5μを加え全量を50μとし、これにT4DNAリガー
ゼ2uを加え14℃で16時間反応させた。このようにしてプ
ラスミドpHYO21のSph I消化によって生ずる約11.6kbのD
NA断片をセルフライゲーションし、これを実施例3に記
載した416P−7株のプロトプラストへ実施例1に記載し
た方法によって導入し、Thiorを示す形質転換株を得
た。次いでこの形質転換株から実施例3に記載された方
法によってプラスミドを抽出した。このようにして得ら
れたプラスミドはSph I切断部位を1ケ所持つ約11.6kb
のプラスミドpHYO22(第5図参照)である。このプラス
ミドはpHYO21の持つ約7.1kbの挿入DNA断片からSph I消
化によって生成する約1.5kbが除かれた約5.6kbの挿入DN
A断片を持っているが、宿主細胞(416P−7株)にML−2
36BNaからCS−514へ変換する能力を付与し得ない。
実施例8. プラスミドpHYO23の調製 プラスミドpHYO21の5μgを15uのMlu Iを用いて37℃
で2時間消化した。次いで70℃に10分間加熱しMlu Iを
失活させた後、0.8%アガロース・ゲル電気泳動にかけ
た。アガロース・ゲル電気泳動では約8.6kb、約3.6kb
(ベクターDNA断片の約0.3kbを含む)および約0.9kbのD
NA断片が生成しており、このうち約8.6kbのDNA断片を含
むゲルを切り出し、電気溶出法によって該DNA断片を溶
出した。この溶出液35μに10倍濃度のリガーゼ反応用
緩衝液5μ,50mMジチオスリトール5μおよび10mM
ATP5μを加え全量を50μとしこれにT4DNAリガーゼ2
uを加え14℃で16時間反応させた。このようにしてプラ
スミドpHYO21のMlu I消化によって生ずる約8.6kbのDNA
断片をセルフライゲーションし、これを実施例3に記載
した416P−7株のプロトプラストへ実施例1に記載され
た方法によって導入しThiorを示す形質転換株を得た。
次いでこの形質転換株から実施例3に記載された方法に
よってプラスミドを抽出した。このようにして得られた
プラスミドはMlu I部位を1ケ所持つ約8.6kbのプラスミ
ドpHYO23(第6図参照)である。このプラスミドはpHYO
21の持つ約7.1kbの挿入DNA断片からMlu I消化によって
生成する約0.9kbおよびベクターDNA断片の約0.3kbを含
む約3.6kbが除かれた約2.9kbの挿入DNA断片を持ち、宿
主細胞(416P−7株)にML−236BNaからCS−514へ変換
する能力を付与する。しかしその能力はpHYO21によって
付与される能力に比べると約1/3程度である。
試験例1. (1) ストレプトミセス・リビダンスSANK63086へのM
L−236BNaをCS−514へ変換する能力の付与 それぞれ次の菌株 (a) ストレプトミセス・リビダンスSANK63086(微
工研菌寄第9169号); (b) ベクタープラスミドpMEL18を含むストレプトミ
セス・リビダンスSANK63086であるストレプトミセス・
リビダンスSANK60587(微工研菌寄第9168号); (c) ストレプトミセス・リビダンスSANK63086株の
本発明によるML−236BNaをCS−514へ変換する水酸化酵
素活性を有するチトクロームP−450遺伝子を含むDNAを
含有する組み換えプラスミドpHYO1による形質転換株で
あるMLR−1528・NO416株; (d) MLR−1528・NO416株からプラスミドpHYO1を除
去した株である416P−7株; (e) 416P−7株のプラスミドpHYO1による再形質転
換株であるRTF−85株; (f) 416P−7株のプラスミドpHYO21による再形質転
換株であるRTF−182株; これらのうち(a)のストレプトミセス・リビダンス
SANK63086株と(d)の416P−7株はGPY培地に接種し、
(b)のストレプトミセス・リビダンスSANK60587株、
(c)のMLR−1528NO.416株、(e)のRTF−85株および
(f)のRTF−182株はチオペプチン25μg/mlを含むGPY
培地に接種し、28℃3日間振盪培養した。次いで、これ
を種として新鮮なGPY培地にこれを5%量接種した。次
いで、28℃で1日振盪培養した培養液にML−236BNaを50
0μg/ml濃度になるように添加し更に28℃で3日間振盪
培養した。次いで1.5ml容マイクロチユーブに各培養液
を採取し15,000rpmで5分間遠心分離した後、上清を採
取しHPLCによつて生成したCS−514を測定した。
CS−514の生成量は(a)は1μg/ml、(b)は5μg
/ml、(c)は359μg/ml、(d)は1μg/ml、(e)は
340μg/ml、(f)は390μg/mlであつた。このことはプ
ラスミドpHYO1およびプラスミドpHYO21が本来ML−236BN
aの6β位を水酸化しCS−514へ変換する能力を持たない
か、もしくは極めて低い能力しか持たない宿主、ストレ
プトミセス・リビダンスSANK63086株にML−236BNaからC
S−514へ変換する能力を付与していることを示すもので
ある。
試験例2. プラスミドpHYO1及びプラスミドpHYO21保持
株の水酸化酵素活性測定とチトクロームP−450の測定 プラスミドpHYO1及びプラスミドpHYO21によるストレ
プトミセス・リビダンスの形質転換株(MLR1528No.416,
RTF−85およびRTF−182)対照株としてストレプトミセ
ス・リビダンスSANK63086およびストレプトミセス・リ
ビダンスSANK60587等の「ML−236BNaをCS−514へ変換す
る水酸化酵素活性の測定」と「チトクロームP−450の
測定」のための無細胞抽出液の調製法は次のように行な
つた。GWY培地で前培養した菌株を新鮮なGPY培地100ml
(500ml容三角フラスコに入つたもの)に5%量接種し2
8℃で24時間回転振盪培養した。
ML−236BNaを500μg/mlになるよう添加し、さらに28
℃で24時間回転振盪培養を継続した。培養液を0℃で5,
000×gにて15分間遠心分離して集菌した。氷中で冷却
した0.85%食塩水で3回洗浄後、湿菌体重量の倍量の冷
20%(v/v)グリセロール,2mMジチオスリトールを含む8
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4、以下「A緩衝液」とい
う)を加え、氷冷下超音波破砕した。次いで20,000xgで
30分間遠心分離し、上清を採取し無細胞抽出液とした。
ML−236BNaからCS−514への水酸化酵素活性測定法は
各株の無細胞抽出液を次の条件(反応液組成) 無細胞抽出液 0.8ml NADPH再生系 NADP 0.26ml グルコース・6−リン酸 14mM グルコース・6−リン酸脱水素酵素 0.5u ニコチン酸アミド 10mM 塩化マグネシウム 2.5mM フエレドキシン・NADP+−還元酵素 0.025u (ホウレン草) フエレドキシン(クロストリジウム・ 5μg ハストイリアヌム) ホフフアチジルコリン 2mg 硫酸第1鉄 1mMML−236BNa(基質) 2.33mM 最終容量 1ml で30℃1時間振盪しながら反応させた。次いで6N−NaOH
50μを添加しpHを調整したのち、HPLC(カラム:ウオ
ターズラジアルパツクカートリツジC18,溶出条件:27%
アセトニトリル/0.1%H3PO4,TEA(pH3.2))にて生成し
たCS−514を測定した。酵素活性は酵素液1mlあたり1時
間でCS−514が1μg/ml生成する場合を1ユニツトと定
めた。
チトクロームP−450はOmuraらの方法(J.Biol.Che
m.,239,2370,(1964))に従い還元型Co差スペクトルに
より同定した。またチトクロームP−450は下式に従つ
て定量した。
チトクロームP−450(nmol/ml) =(O.D450−O.D490)×1000/91 結果を第1表に示す。
第1表より、ML−236BNaのCS−514への変換酵素活性
は宿主(ストレプトミセス・リビダンスSANK63086)及
びベクタープラスミドによる形質転換株(ストレプトミ
セス・リビダンスSANK60587)では検出されないがプラ
スミドpHYO1による形質転換株では変換酵素活性が出現
し、同時にチトクロームP−450の産生も認められる。
プラスミド除去株では変換酵素活性と共にチトクローム
P−450の産生は認められなくなり、該菌株をプラスミ
ドpHYO1またはプラスミドpHYO21によつて形質転換する
ことによつて変換酵素活性が再び出現し、同時にチトク
ロームP−450も産生されるようになる。
挿入方向の異なるDNA断片を有するプラスミドpHYO1,p
HYO21がともに、本来ML−236BNaをCS−514へ変換する能
力を持たないか、または持つていても極めて低い能力の
宿主であるストレプトミセス・リビダンスSANK63086ま
たはストレプトミセス・リビダンス416P−7に、該変換
能と同時にチトクロームP−450の産生能をも付与する
ことは、これらの組み換えDNAに含有される挿入DNA断片
に水酸化酵素活性を有するP−450遺伝子がプロモータ
ー領域を持ってクローン化されたことを示す。
試験例3 チトクロームP−450遺伝子の局在領域の検
討 プラスミドpHYO21,pHYO22及びpHYO23によるストレプ
トミセス・リビダンス416P−7の形質転換株(RTF−25
8,RTF−286及びRTF−288)、対照株としてストレプトミ
セス・リビダンスSANK60587等の「ML−236BNaをCS−514
へ変換する水酸化酵素活性の測定」と「チトクロームP
−450の測定」のための無細胞抽出液の調製法、「ML−2
36BNaをCS−514へ変換する水酸化酵素活性の測定」およ
び「チトクロームP−450の測定」は試験例2に従って
行なった。
第7図よりチトクロームP−450生産には少なくともS
ph I消化によって生じる約1.5kbのSph I断片を含むBgl
II/Mbo Iのベクターと挿入DNA断片の連結部位からMlu I
切断部位までの約2.9kbのDNA断片が必要であることが示
される。即ちチトクロームP−450遺伝子はプラスミドp
HYO23の挿入DNA断片とBgl II/Mbo Iの連結部位からMlu
I切断部位までの約2.9kbに存在していることになる。し
かしながら宿主にML−236BNaからCS−514への十分な変
換活性を付与するためにはpHYO21の持つ挿入DNA断片約
7.1kbが必要であると考えられる。
参考例 プラスミドpMEL18の構築と調製方法 プラスミドPIJ702(Katz et al.,J.Gen.Microbiol.,1
29,2703(1983))上に存在するチロシナーゼ遺伝子(m
el gene)はすべてのストレプトミセスで発現されるも
のではない。そこで該mel geneを発現し得ないストレプ
トミセスにおいてもメラニン産生を指標としてクローニ
ング出来るよう設計されたプラスミドpMEL18を構築し
た。PIJ702のmel geneを発現し得ない宿主ストレプトミ
セスとしてストレプトミセス・ジューモンジネンシス
〔16〕−8・SANK61185(以下、〔16〕−8・SANK61185
株)(微工研条寄第1140号(FERM BP−1140))を用い
た。PIJ702のmel geneを発現し得ない宿主〔16〕−8・
SANK61185株に、該mel geneを発現させ得る能力を付与
するDNA断片は全てのストレプトミセスの染色体DNAから
分離することが可能であるが、ここではストレプトミセ
ス・エス・ピーSANK61184の培養菌糸体からMarmur法
(J.Mol.Biol.,,208(1961))によつて抽出したDNA
を外来性DNAとして供試した。
ストレプトミセス・エス・ピーSANK61184のDNA5μg
とプラスミドPIJ702の1μgを混合し、次いで4倍濃度
の制限酵素反応液1/3容量および制限酵素Sph I 9uを加
えた。DNAを完全に切断するため37℃で2時間培養した
後、70℃で10分間加熱し制限酵素を失活させた。この試
料に1/10容量の3M酢酸ナトリウムを加え撹拌し、次いで
25倍量の−20℃で冷却したエタノールを加えた後、−70
℃で10〜20分間冷却した。この試料を微量遠心機にて遠
心し上清を捨てDNA沈澱を−20℃のエタノールで洗浄し
た。次いで真空中で乾燥し滅菌蒸留水にて溶解後、10倍
濃度に調製したリガーゼ反応液(660mMトリス・HCl,66m
M MgCl2・H2O,100mM DTT,1.1mM ATP,pH7.6)を1/9容量
加えた。さらにこれにT4DNAリガーゼを加え、14℃で16
時間インキユベート後、65℃で10分間加熱しリガーゼを
失活させた。これを形質転換用試料として用いた。該形
質転換用試料を用いての〔16〕−8・SANK61185株の形
質転換は次の通りに行なつた。即ち、50ml容枝つきフラ
スコにGGCy培地20mlを入れこれに〔16〕−8・SANK6118
5株の菌糸体を接種後、24〜28℃で72時間、120rpmの往
復振盪機上で培養した。これを種としGGCy培地100mlが
入つた500ml容坂口フラスコに5%量接種し24〜28℃で2
4時間往復振盪機上で培養した。この培養液から低速遠
心で菌糸体のペレツトを得、これを20mlのP培地(320m
M蔗糖、25mM TES緩衝液,70mM食塩,10mM MgCl2、20mM Ca
Cl2)に懸濁し洗浄後、遠心し得られた菌体ペレツトを
再び20mlのP培地に懸濁した。この菌体懸濁液に40mg/m
l濃度のリゾチーム溶液を1ml加え、28℃で1時間加温し
て〔16〕−8・SANK61185株のプロトプラストが生成し
た。プロトプラストと未溶解の菌糸体の混合物は、これ
をグラスフイルター(3G3)にて自然ろ過しプロトプラ
ストを多量に含有したプロトプラスト液を得、これを低
速遠心しペレツトを再びP培地に懸濁した。この操作を
3回繰返し十分洗浄することにより所望のプロトプラス
ト数を含有するプロトプラスト液を調製した。
形質転換は、先に調製した形質転換用試料を用いて、
実施例1に記載した方法によつて行なつた。形質転換操
作を終了したプロトプラストを適宜懸濁しR2MP再生培地
(培地組成は実施例1に記載)上に塗抹した。R2MP寒天
板上に塗抹後、28℃で20時間培養したR2MP寒天平板上に
最終濃度50μg/mlとなるようにチオペプチンを加えた軟
寒天R3培地(培地組成は実施例1に記載)を3ml重層し
た。重層後、該寒天平板を28℃で培養を継続するとチオ
ペプチンに耐性を示す300の形質転換株の生育がみられ
た。その中でメラニン色素を産生する株が7株認められ
た。これらの株から分離したプラスミドは130から1540
ベース・ペア(bp)のDNA断片を保持しており、それぞ
れpMEL18からpMEL24までに命名された。なおこれらのプ
ラスミドpMEL18からpMEL24までが宿主の〔16〕−8・SA
NK61185株にメラニン色素産生を付与することは再形質
転換によつて確認された。
これらの7つのプラスミドのうちpMEL18は130bpのDNA
断片をもち、且つこの130bpの断片中にはBgl IIもしく
はSac Iの制限酵素認識部位が認められないことから、
この部位を用いたクローニングベクターとして、PIJ702
を用いることの出来ない宿主にも使用出来る。純粋なプ
ラスミドpMEL18の抽出,精製のための培養は、pMEL18を
保持する形質転換体(MEL18株)を用いて以下の通り行
なわれた。
培地組成がグルコース0.4%、麦芽エキス1.0%及び酵
母エキス0.4%であつてチオペプチンを25μg/mlになる
よう添加した培地20mlを50ml容枝つきフラスコに入れ、
これにMEL18株の菌糸体を接種後、24〜28℃で約72時間1
20rpmの往復振盪機上で培養した。次に菌糸体回収用培
地組成がグリセロール0.4%、カザミノ酸0.4%、酵母エ
キス0.05%、麦芽エキス0.1%、MgSO40.1%、CaCl2・2H
2O0.01%、KH2PO40.2%及びNa2HPO4・12H2O0.8%(pH7.
2に調整)であつて、チオペプチンを25μg/mlになるよ
う添加した培地100mlを500ml容坂口フラスコに入れこれ
に上記種培養の懸濁液を培地の1〜5%相当量を接種
し、24〜28℃で24−48時間往復振盪機上で培養した。
この培養液から低速遠心(例えば10,000g、4℃、20
分)で菌糸体を集菌し、上澄液を傾斜で除いて菌糸体ペ
レツトを得た。プラスミドpMEL18の抽出精製は、該菌糸
体ペレツトを再懸濁したものより実施例3に記載した方
法に基ずいて行ない純粋なプラスミドpMEL18を得た。
組み換えプラスミドにおける挿入DNA断片の大きさは
アガロース・ゲル電気泳動によつて算出された。即ち、
組み換えプラスミド0.5μgを制限酵素Sph Iで切断する
ことにより、ベクタープラスミドとして用いたPIJ702の
線状化した5.8キロベースの断片と130bpの挿入DNA断片
の2本のバンドが生成した。分子量マーカーとしてラン
ダムDNAのHind III切断断片またはφx174DNAのHae III
切断断片を用い、挿入DNA断片の大きさによつてアガロ
ース・ゲルの濃度を0.8%,1.2%,2%と換えて電気泳動
し分子量マーカーの移動度から挿入DNA断片の大きさを
測定した。
このようにして得られたプラスミドpMEL18はストレプ
トミセス・リビダンスSANK63086に導入し、ストレプト
ミセス・リビダンスSANK60587として寄託されている
(微工研菌寄第9168号)。
【図面の簡単な説明】
第1図はML−236BNaの6β位を水酸化しCS−514へ変換
する水酸化酵素活性を有するチトクロームP−450の遺
伝子を含有する約7.1kbのDNA断片の制限酵素切断地図で
ある。 図中、SaはSac I,KはKpn I、PはPst I,MはMlu I,SpはS
ph I,XはXho I、EはEcoR IおよびBcはBcl Iによる切断
点を示す。数字は各制限酵素切断位置間の距離を示しKb
で表わしている。 第2図は組み換えプラスミドpHYO1の制限酵素切断地図
である。数字はベクタープラスミド(細線で表わされて
いる)として用いたpMEL18に存在するBamH I切断点を座
標点とした場合の各制限酵素切断位置を表わしている。
斜線部分はプラスミドpHYO2およびプラスミドpHYO21の
挿入DNA断片との相同領域を表わしている。 第3図は組み換えプラスミドpHYO2の制限酵素切断地図
である。数字はベクタープラスミド(細線で表わされて
いる)に由来するDNA断片上のBamH I切断点を座標点と
した場合の各制限酵素の切断位置を表わしている。斜線
部分はプラスミドpHYO1の挿入DNA断片との相同領域を表
わしている。 第4図は組み換えプラスミドpHYO21の制限酵素切断地図
である。数字はベクタープラスミド(細線で表わされて
いる)に由来するDNA断片上のBamH I切断点を座標点と
した場合の各制限酵素の切断位置を表わしている。本プ
ラスミドはプラスミドpHYO2のSac I消化で生じる約2.4K
bのDNA断片を除去したものである。斜線部分はプラスミ
ドpHYO2の斜線部分と同一である。 第5図は組み換えプラスミドpHYO22の制限酵素切断地図
である。数字はベクタープラスミド(細線で表わされて
いる)に由来するDNA断片上のBamH I切断点を座標点と
した場合の各制限酵素の切断位置を表わしている。本プ
ラスミドはプラスミドpHYO21のSph I消化で生じる約1.5
KbのDNA断片を除去したものである。 第6図は組み4換えプラスミドpHYO23の制限酵素切断地
図である。数字はベクタープラスミド(細線で表わされ
ている)に由来するDNA断片上のBamH I切断点を座標点
とした場合の各制限酵素の切断位置を表わしている。本
プラスミドはプラスミドpHYO21のMlu I消化で生じる約
3.6Kbと約0.9KbのDNA断片を除去したものである。 第7図はプラスミドpHYO21の持つ挿入DNA断片約7.1Kbに
おけるチトクロームP−450遺伝子の局在部位の検討結
果を示したものである。各プラスミドによって形質転換
された宿主、ストレプトミセス・リビダンスにおける変
換酵素活性とチトクロームP−450産生との関係が示さ
れている。図中、黒線はベクターDNA断片、白線は挿入D
NA断片を表わし、点線は除去されたDNA断片の領域を表
わしている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放線菌のチトクロームP−450遺伝子を含
    み水酸化活性を宿主に付与し得るDNA断片であって、ML
    −236Bナトリウム塩(ML−236BNa)をCS−514へ変換す
    る能力を有する放線菌の染色体に由来し、以下に表わさ
    れる制限酵素切断地図を有することを特徴とする約7.1k
    bのDNA断片。
  2. 【請求項2】放線菌のチトクロームP−450遺伝子を含
    み水酸化活性を宿主に付与し得るDNA断片であって、ML
    −236Bナトリウム塩(ML−236BNa)をCS−514へ変換す
    る能力を有する放線菌の染色体に由来し、以下に表わさ
    れる制限酵素切断地図を有することを特徴とする約2.9k
    bのDNA断片。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    DNA断片を含むことからなる組換えプラスミド。
  4. 【請求項4】以下に表わされる制限酵素切断地図を有す
    るpHYO1: 以下に表わされる制限酵素切断地図を有するpHYO2: 以下に表わされる制限酵素切断地図を有するpHYO21: および以下に表わされる制限酵素切断地図を有するpHYO
    23: からなる群より選択される、特許請求の範囲第3項記載
    の組換えプラスミド。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第3項または第4項記載の
    組換えプラスミドを保持する微生物。
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