JP2538387B2 - 熱に安定なる塩化ビニル樹脂組成物 - Google Patents

熱に安定なる塩化ビニル樹脂組成物

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JP2538387B2 JP2111338A JP11133890A JP2538387B2 JP 2538387 B2 JP2538387 B2 JP 2538387B2 JP 2111338 A JP2111338 A JP 2111338A JP 11133890 A JP11133890 A JP 11133890A JP 2538387 B2 JP2538387 B2 JP 2538387B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、塩化ビニル樹脂組成物に関するものであ
る。詳しくは、成形加工中の高温の熱履歴に対して安定
な塩化ビニル樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
塩化ビニル樹脂は熱履歴により脱塩酸反応を起し着色
現象が顕われる。さらに劣化反応が進むと、物性の低下
が見られるようになる。塩化ビニル樹脂組成物の熱安定
性が弱いと成形加工中の熱履歴により経時的に着色が進
み、成形品は「色むら」や「焼け」により著しく商品価
値を低下させる。
従来よりこれらの熱による変色劣化を防ぐために種々
の添加剤が提案され実用化されて来た。周期率表第IV族
元素のすず及び鉛化合物、第II族元素の亜鉛、カドミウ
ム、マグネシウム、カルシウム、バリウムあるいはスト
ロンチューム等のカルボン酸塩、フェノール塩が安定剤
として使用されて来た。
以上の化合物のうちカドミウム、鉛化合物は熱安定化
効果において非常に優れており、従来賞用されていた
が、その毒性が強いため使用上厳しい制限があり、他の
無毒乃至低毒性の金属、例えば亜鉛やアルカリ土類金
属、具体的にはマグネシウム、カルシウム、バリウムお
よびストロンチウム等の有機酸塩、無機塩等が代替使用
されるが熱安定化効果が、カドミウム、鉛化合物に比べ
低いために助安定剤としてエポキシ化合物、多価アルコ
ール、亜リン酸エステル、酸化防止剤、初期着色防止剤
等が併用添加され、加熱成形に耐え得る塩化ビニル樹脂
組成物を形成している。成形工程の合理化は加工条件の
厳しさを増し、従来の安定剤では、要求される熱安定性
を得るに必要な添加部数の増大は避けられず、増量によ
る成形品表面での配合剤のプリード・ブルームの現象や
加工性への悪影響が懸念される。
〔発明が解決しようとする課題〕
かかる現状において本発明の解決しようとする課題
は、安定剤の添加量の少なくてすむ熱安定性の優れた塩
化ビニル樹脂組成物を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、かかる問題を鋭意検討した結果、塩化
ビニル樹脂に対して過塩素酸アルミニウムと過塩素酸マ
グネシウムの混合水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を滴
下し反応させ別、乾燥して成る過塩素酸内蔵ハイドロ
タルサイト様化合物を添加することにより優れた熱安定
性を持つ塩化ビニル樹脂組成物が得られることを見い出
し本発明を完成させた。
以下本発明をより詳細に説明する。
本発明で用いられる塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルの
単独重合体、塩化ビニルを主成分とする共重合体、これ
らの塩化ビニル重合体の相互の混合体又は上記重合体と
他の重合体との混合物等である。具体的にはポリ塩化ビ
ニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩
化ビニル共重合体,プロピレン−塩化ビニル共重合体、
エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体、
アクリル酸エステル−塩化ビニルグラフト共重合体等で
あり、塩化ビニルを含まない重合体の例として、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸
化炭素共重合体、アクリル酸エステル重合体、メタアク
リル酸エステル−ブタジエン−スチレングラフト共重合
体、あるいは特殊ウレタン樹脂等である。
また、架橋可能なモノマー、例えばアリルアクリレー
ト、アリルメタアクリレート、ジアリルアジペート、ジ
アリルマレート、ジアリルフタレート等と塩化ビニルと
共重合、架橋させた重合体等である。
本発明に用いられる過塩素酸内蔵ハイドロタルサイト
様化合物は次の合成例で示す様な方法で調製することが
出来るが、本発明はこの合成例により限定されるもので
はない。
過塩素酸アルミニウムと過塩素酸マグネシウムの混合
水溶液りの中に倍モルの水酸化ナトリウム水溶液を滴下
し、撹拌する。反応液のpHを10〜10.2に調整し、生成し
た結晶を過、水洗し、70℃で乾燥する。
本発明において必要に応じて他の安定化剤と過塩素酸
内蔵ハイドロタルサイト様化合物を併用する。
併用する他の安定化剤の例としては周期率第IV族元素
のすず化合物、第II族元素の亜鉛、マグネシウム、カル
シウム、バリウムあるいはストロンチューム等の化合物
あるいはエポキシ化合物、多価アルコール、有機亜リン
酸エステル等である。
すず化合物の例としては、すず(II)、モノアルキル
すずジアルキルすずのカルボン酸塩、マレイン酸塩、ア
ルキルマレイン酸塩、アラルキルマレイン酸塩、アルキ
ルオキシニルアルキレンメルカプト塩、カルボキシアル
キレンメルカブト塩等であり、より具体的にはすず(I
I)オクトエート、モノブチルすずトリラウレート、ジ
ブチルすずジ(トリデカネート)、ジオクチルすずジラ
ウレート、モノブチルすずトリス(トリデシロキシカル
ボニルメチレンメルカプタイド)、ジブチルすずビス
(3−オクチロキシカルボニルエチレンメルカプタイ
ド)、ジオクチルすずビス(オクチロキシカルボニルメ
チレンメルカプタイド)、ジブチルすず−3−カルボニ
ルエチレンメルカプタイド等である。
第II族元素の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウムあるいはストロンチューム等の化合物の例としては
それらのカルボン酸塩、フェノール塩、無機塩や複塩で
あり、カルボン酸塩の例としてはオクチル酸、ラウリン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、
オレイン酸、リシノレイン酸等の脂肪族カルボン酸、ま
たは安息香酸、パラターシャリーブチル安息香酸、m−
トルイル酸等の芳香族カルボン酸との塩であり、フェノ
ール塩の例としてはフェノール、ジメチルフェノール、
ターシャリーブチルフェノール、オクチルフェノール、
ノニルフェノール、ジノニルフェノール等との塩が上げ
られる。また無機塩や複塩の例としては、塩基性炭酸
塩、塩基性ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類、ゼオライ
ト類等が上げられる。
本発明に用いられるエポキシ化合物としては、オキシ
ラン酸素を構造中に持つ化合物で、窒素を含有しないも
のが好ましい。例えば動植物不飽和油脂のエポキシ化
物、不飽和脂肪酸エステルのエポキシ化物、芳香族及び
脂肪族のグリシジルエーテルあるいは不飽和脂環化合物
のエポキシ化物等である。動植物不飽和油脂のエポキシ
化物としては、エポキシ化亜麻仁油等であり、不飽和脂
肪酸エステルのエポキシ化物としては、エポキシ化ステ
アリン酸オクチルエステル、エポキシ化ステアリン酸ブ
チルエステル等である。芳香族のグリシジルエーテルと
しては、フェノール、p−第三級ブチルフェノール、o
−フェニルフェノール、レゾルシン、クレゾールノボラ
ック、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノ
ール化合物のグリシジルエーテルである。脂肪族のグリ
シジルエーテルとしてはジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタ
ン、マンニット等のポリオールのグリシジルエーテルで
ある。不飽和脂環化合物のエポキシ化物の例としては3,
4−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジステアリル、3,4−
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシル、
3,4−エポキシヘキサヒドロフタル酸ビス(9′,10′−
エポキシオクタデシル)、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ
ート、エチレングルコールビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキサカルボキシレート)、リモネン−ジオキサイド等
が上げられる。
多価アルコールの例としては、ネオペンチルグリコー
ル、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、多縮合ペンタエリスリト
ール、マンニット、ソルビット、ジグリセリンモノアセ
テート、ジグリセリンアジペート、トリメチロールプロ
パンジメチロールプロピオネート、ジトリメチロールプ
ロパンアセテート、ペンタエリスリトールアジペート、
ペンタエリスリトールステアレート、ジペンタエリスリ
トールアセテート、ジペンタエリスリトールステアレー
ト、ジペンタエリスリトールアジペート、ジペンタエリ
スリトールフタレート、マンニットアセテート、ソルビ
ットアセテート等である。
本発明に用いられる有機亜リン酸エステルの例として
は、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニル
ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニ
ルジデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、ト
リス(2−エチルヘキサシル)ホスファイト、トリブチ
ルホスファイト、ジフェニルブトキシエトキシエチルホ
スファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイ
ト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、4,4′−イソプロピリデンジフェニルテトラアルキ
ル(C12〜C15)ホスファイト等がある。
本発明に係る塩化ビニル樹脂組成物は、その使用目的
に応じた量の可塑剤、高級脂肪酸及びそのエステル、あ
るいは金属塩を含む滑剤、防曇剤、高分子改質剤、高分
子加工助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、粘
着防止剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等が併用され
る。
本発明で用うる可塑剤は、フタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸、セバチン酸、アゼライン酸、マレ
イン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸等の2価乃至4価
のカルボン酸より選ばれた1種または2種以上のカルボ
ン酸と1個乃至2個の水酸基を持つアルコールとのエス
テル、1価乃至4価のフェノールあるいはアルコールよ
り選ばれた1種乃至3種とリン酸とよりなる有機リン酸
エステル、塩素化パラフィン等である。
より具体的に記せばカルボン酸とアルコールとのエス
テルの例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、
ジセチルフタレート、ジイソドデシルフタレート、ジト
リデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジメ
チルアジペート、ジエチルフタレートアジペート、ジブ
チルアジペート、ジオクチルアジペート、ジセチルアジ
ペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペ
ート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ
メチルアゼレート、ジブチルアゼレート、ジオクチルア
ゼレート、ジブチルマロネート、ジオクチルマロネー
ト、ジブチルタータレイト、ジオクチルタータレイト、
ジブチルマレート、ジオクチルマレート、トリブチルシ
トレート、トリオクチルシトレート、トリブチルシトレ
ートアセテート、トリオクチルシトレートアセテート、
トリオクチルトリメリテート、テトラオクチルピロメリ
テート、エチレングリコールとアジピン酸とのポリエス
テル、フロピレングルコールとアジピン酸とのポリエス
テル、プロピレングリコールとアジピン酸、テレフタル
酸のポリエステル、リン酸のエステルとしてはトリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキ
シレニルホスフェート、トリスイソプロペニルホスフェ
ート、ビス{[ビス((モノ,ジ)メチルフェノキシ)
ホスホリルオキシ]フェニル}プロパン、トリス1,2−
ジクロロプロピルホスフェイト、塩素化率の異なる各種
塩素化パラフィン等である。
〔実施例〕
本発明の優れたる効果について実施例をもって説明す
るが本発明は以下に示す実施例によって限定されるもの
ではない。
実施例1 塩化ビニル樹脂(スミリット SX−11F:住友化学工業
(株)製)100重量部、ジオクチルフタレート60重量
部,エポキシ化大豆油4重量部に第1表の安定化剤を加
え混合後160℃に加熱したテスト用6インチ2本ロール
にて4分間混練、圧延しシートを作製した。このシート
を細片とし試験管に入れ、グリセリンを湿らせたコンゴ
ーレッド試験紙を脱脂綿で保持し蓋をし、190℃に加熱
したオイルバスに浸し脱塩酸によるコンゴーレッド試験
紙が青変を開始するまでの時間を測定した。(JIS K
−6723に示された方法に準じた) このフィルムのギヤーオーブン中での熱による着色を
20分経過後の色調をもって評価した。
その結果を第1表に示した。
実施例2 プロピレン−塩化ビニル共重合樹脂(ソナーOV−3:サ
ンアロー化学(株)製)100重量部、ステアリン酸亜鉛
0.9重量部、ステアリン酸バリウム0.45重量部、ジペン
タエリスリトールアジペート0.25重量部、ハイドロタル
サイト(アルカマイザーNo.1:協和化学工業(株)製)
1.8重量部に第2表の安定化剤を加え140℃でホットブレ
ンドしたパウダーコンパウンドを作り、その一部を195
℃に加熱したテスト用6インチ2本ロールにて5分間混
練、圧延しシートを作製した。このシートを細片とす
る。パウダーコンパウンドとこの細片を試料として実施
例1のコンゴーレッド試験を行なった。190℃における
コンゴーレッド試験紙の青変までの時間を第2表に示し
た。
実施例3 塩化ビニル樹脂(ゼオン103EP−8:日本ゼオン(株)
製)100重量部、MBS樹脂強化剤(カネエースB−12:鐘
渕化学工業(株)製)5重量部、エポキシ化大豆油3重
量部、ローダミン系顔料(スカーレットVC−1000:住化
カラー(株)製)2重量部、チタン白(TR−550:富士チ
タン工業(株)製)0.4重量部、滑剤(LX−3A−6:共同
薬品(株)製)1.0重量部に第3表の安定化剤を加えて
混合し180℃に加熱したテスト用6インチロールにて混
練し、シートとし、さらに185℃に加熱せるテスト用8
インチロールにて混練を続け3分毎に試料を切り出し、
その色調、表面の艶、ロール面への粘着を観察し熱劣化
の程度とした。結果を第3表に示した。
実施例4 塩化ビニル樹脂(デンカビニルSH−170:電気化学工業
(株)製)100重量部、ポリウレタン樹脂(パンデック
スJ−5880:大日本インキ化学工業(株)製)5重量
部、ジイソオクチルフタレート120重量部、炭酸カルシ
ウム(ホワイトンSB:白石カルシウム工業(株)製)10
重量部に第4表の安定化剤を加え混合し160℃に加熱し
たテスト用6インチロールで、混練、圧延しシートと
し、190℃および110℃のギヤーオーブンで加熱し、その
色調の変化を調べた。結果を第4表に示した。
〔発明の効果〕
本発明の過塩素酸内蔵ハイドロタルサイト様化合物を
用いた塩化ビニル樹脂組成物は従来の組成物に比べて同
等の熱安定性を得るのに安定化剤の添加量を減ずること
ができた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル樹脂に過塩素酸アルミニウムと
    過塩素酸マグネシウムの混合水溶液に水酸化ナトリウム
    水溶液を滴下し反応させたものを取し乾燥して成る過
    塩素酸内蔵ハイドロタルサイト様化合物を添加すること
    を特徴とした熱に安定なる塩化ビニル樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101169481B1 (ko) * 2004-03-16 2012-07-27 니폰 고쿠도 가이하츠 가부시키가이샤 하이드로탈사이트형 물질 및 그 제조 방법, 및 유해 물질의고정화 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101169481B1 (ko) * 2004-03-16 2012-07-27 니폰 고쿠도 가이하츠 가부시키가이샤 하이드로탈사이트형 물질 및 그 제조 방법, 및 유해 물질의고정화 방법

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