JP2538363Y2 - 熱転写プリンタのサーマルヘッド取付台 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、サーマルヘッドの発熱によりインクリボン
のインクを溶融して用紙に転写することにより印字を行
なう熱転写プリンタにおいてサーマルヘッドを支持する
サーマルヘッド取付台に係り、特に、複数回使用できる
ように幅方向寸法を大きく形成してなるインクリボンを
用いて印字を行なうようにした熱転写プリンタのサーマ
ルヘッド取付台に関する。

〔従来の技術〕

第２図は一般的な熱転写プリンタを示すものであり、
基板１の前方には、ほぼ鉛直面内において水平方向に延
在するプラテン２が配設されており、このプラテン２に
は用紙Ｐの印字位置を規定するプラテンゴム３が取付け
られている。また、前記プラテンゴム３の下方には、用
紙Ｐをプラテン２のプラテンゴム３に沿うように案内す
る弯曲状の紙ガイド４が配設されており、この紙ガイド
４には回転軸５に支持された給紙ローラ6,6…が接合し
て前記プラテンゴム３の前方へ用紙Ｐを搬送するように
なっている。

前記プラテン２のプラテンゴム３に対向する側の基板
１上には、前記プラテン２と平行に延在するシャフト７
が配設されており、このシャフト７に沿ってワイヤ８に
支持されたキャリッジ９が走行し得るようになってい
る。また、このキャリッジ９はワイヤ８を中心として回
動し得るようになっている。

前記回転軸５の回転ならびにワイヤ８の走行は、駆動
源たるパルスモータ10により選択的に行なわれるように
なっており、このためパルスモータ10には、歯車群11を
介してパルスモータ10の駆動力を回転軸５およびワイヤ
８の一方に選択的に伝達するためのクラッチ12が接続さ
れている。

前記キャリッジ９の前端部にはサーマルヘッド取付台
13が取付けられており、このサーマルヘッド取付台13の
前面には、複数の発熱素子を整列配置してなるサーマル
ヘッド14が前記プラテンゴム３に対向するように装着さ
れている。また、前記キャリッジ９には、インクリボン
16の両端が接続されている１対の巻取ボビン17a,17bを
有するリボンカセット15が装着されておりこのリボンカ
セット15内に収納されているインクリボン16の中間部は
サーマルヘッド取付台13および用紙間に臨むようにリボ
ンカセット15から外部に導出されている。

前述した構成によれば、用紙を前記プラテン２のプラ
テンゴム３とサーマルヘッド14との間に挿入し、パルス
モータ10の駆動をクラッチ12により回転軸５およびワイ
ヤ８の一方に選択的に伝達して送り、前記キャリッジ９
のプラテン２に沿った移動とを交互に繰り返し、このキ
ャリッジ９の移動の際に所定の印字信号に基づいてサー
マルヘッド14の発熱素子を選択的に発熱させ、インクリ
ボン16のインクを溶融させて前記用紙に転写して用紙上
に文字、記号などを印字することができる。

ところで、近年、リボンカセット15の長寿命化および
ランニングコストの低減をはかるため、リボンカセット
15内に収納されているインクリボン16の幅方向寸法を通
常のものの整数倍に形成し、インクリボン16をその幅方
向に分割使用することにより複数回使用できるようにし
たものが用いられている。

このようなインクリボン16の一例としての２回使用可
能なインクリボン16に対応するため、従来のサーマルヘ
ッド取付台は、第３図および第４図に示すように、本体
前面13Aをインクリボン16の幅方向の全域に対向し得る
高さ寸法とされているサーマルヘッド取付台13を設け、
このサーマルヘッド取付台13の本体前面13Aに、インク
リボン16の走行方向下流側の側縁と連通する長方形状の
凹部17を形成し、この凹部17にサーマルヘッド基板18を
この本体前面13Aと面一になるように取付けていた。前
記サーマルヘッド基板18の上部には、上下方向に複数の
発熱素子が連設されてなる前記サーマルヘッド14が配設
されている。そして、前記インクリボン16の幅方向にお
ける上半分のインクをサーマルヘッド14の発熱により溶
融して用紙に転写するようにしてインクリボン16の全長
が使用に供されたら、リボンカセット15を上下反対にキ
ャリッジ９に装着することにより、インクリボン16の幅
方向における他の半分をサーマルヘッド14に対向するよ
うにして、インクリボン16の残り半分を使用することが
できる。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前述した従来の熱転写プリンタにおい
ては、印字を行なう際に、サーマルヘッド14によりイン
クリボン16の上半分のみをプラテン２に押付けるので、
インクリボン16は、第５図に矢印Ｆで示すような力をサ
ーマルヘッド14から受けることになり、この力Ｆの垂直
方向分力Ｆ′によりインクリボン16は下向きの力を受け
ることになる。

すなわち、インクリボン16の幅方向の全域が巻取り方
向に均一な引張力により引張られている状態において、
プラテン２に圧接するサーマルヘッド14に対向している
インクリボン16の上半分が、逆方向にも均一な引張力に
より引張られることにより適正に引張られるのに対し、
インクリボン16の下半分には逆方向への引張力が作用し
ないため下半分が若干たるむ状態となり、このインクリ
ボン16の幅方向における引張力の相違により、インクリ
ボン16の下半分に力Ｆが作用し、この力Ｆの垂直方向分
力Ｆ′によりインクリボン16が下方への力を受け、矢印
で示すように左斜め下方に斜行してしまうという問題点
を有している。

この結果、サーマルヘッド14による印字範囲が正規の
位置からずれてインクリボン16からはずれてしまい、印
字の欠けなどが発生してしまうおそれがある。

本考案はこのような点に鑑み、幅寸法の大きいインク
リボンを用いた場合でも、インクリボンの斜行を防止
し、適正な印字を行なうことのできる熱転写プリンタの
サーマルヘッド取付台を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

前述した目的を達成するため本考案は、本体前面がイ
ンクリボンの幅方向の全域に対向し得る高さ寸法とさ
れ、この本体前面の高さ方向の一部に、前記本体前面の
上部に位置し縦方向に整列配置された複数の発熱素子か
らなりプラテンと対向するサーマルヘッドが装着されて
いる熱転写プリンタのサーマルヘッド取付台において、
前記本体前面のインクリボンの走行方向下流側の側円近
傍に前記サーマルヘッドの発熱素子を配置するととも
に、前記本体前面のインクリボンの走行方向上流側の側
縁に、前記サーマルヘッドと対向する部位のインクリボ
ンの幅方向において上半分の張力を減少させるために上
部ほど面取り深さが深くなるように剥落部が逆三角錐形
状をなすテーパ状の面取り部を形成したことを特徴とし
ている。

〔作用〕

前述した構成からなる本考案によれば、インクリボン
の幅方向においてプラテンおよびサーマルヘッド間に狭
持される部位が本体前面の面取り部に対向することによ
りこの部位の張力が減少され、この結果、プラテンおよ
びサーマルヘッド間に狭持されない部位の張力とのバラ
ンスが取れることになり、インクリボンの斜行を防止し
て良好な印字を行なうことができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す実施例により説明する。な
お、前述した従来のものと同一ないしは相当する構成に
ついては同一の符号を用いて説明する。また、本考案の
全体は前述した第２図と同様なので、全体の説明は省略
する。

第１図は本考案に係る熱転写プリンタのサーマルヘッ
ド取付台の実施例を示すものであり、図示しないキャリ
ッジに搭載されているサーマルヘッド取付台13の本体前
面13Aにはサーマルヘッド基板18が取付けられており、
インクリボン16の走行方向下流側となるサーマルヘッド
取付台13の側縁近傍のサーマルヘッド基板18の上部に
は、上下方向に延在する複数の発熱素子からなるサーマ
ルヘッド14が形成されている。このサーマルヘッド14に
は、インクリボン16の幅方向における上半分が圧接する
ようになっており、このインクリボン16の幅方向におけ
る上半分は、前記サーマルヘッド14および図示しないプ
ラテン間に狭持されることになる。

そして、本考案においては、特に、インクリボン16の
走行方向上流側となるサーマルヘッド取付台13の側縁の
インクリボン16の幅方向における上端から下端部と接触
する範囲に、面取り部19が形成されている。この面取り
部19は、インクリボン16の幅方向においてサーマルヘッ
ド14に対向しうる上半分の張力を減少するため、上部ほ
ど面取り深さが深くなるように剥落部が逆三角錐形状を
なすテーパ状に形成されている。

前述した構成によれば、図示しないプラテンおよびサ
ーマルヘッド14間に狭持されて引張られるインクリボン
16の上半分が面取り部19に対向することになるので、こ
の面取り部19によりインクリボン16は上向きの力を受
け、この上向きの力とサーマルヘッド14からの下向きの
力とが相殺されることによりインクリボン16の斜行は防
止される。したがって、インクリボン16がサーマルヘッ
ド14からはずれることがなく、文字の欠けのない良好な
品質の印字を行なうことができる。

なお、本考案は、前述した実施例に限定されるもので
はなく、必要に応じて種々の変更が可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る熱転写プリンタのサ
ーマルヘッド取付台によれば、インクリボンの斜行を確
実に防止することができ、この結果、インクリボンがサ
ーマルヘッドからはずれることを防止して文字などの欠
けのない良好な品質の印字を行なうことができるという
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る熱転写プリンタのサーマルヘッド
取付台の実施例を示す斜視図、第２図は一般的な熱転写
プリンタを示す平面図、第３図および第４図は従来のサ
ーマルヘッド取付台の斜視図および縦断面図、第５図は
インクリボンに加わる引張力を示す説明図である。 ２…プラテン、９…キャリッジ、10…パルスモータ、13
…サーマルヘッド取付台、13A…本体前面、14…サーマ
ルヘッド、15…リボンカセット、16…インクリボン、18
…サーマルヘッド基板、19…面取り部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体前面がインクリボンの幅方向の全域に
   対向し得る高さ寸法とされ、この本体前面の高さ方向の
   一部に、前記本体前面の上部に位置し縦方向に整列配置
   された複数の発熱素子からなりプラテンと対向するサー
   マルヘッドが装着されている熱転写プリンタのサーマル
   ヘッド取付台において、前記本体前面のインクリボンの
   走行方向下流側の側縁近傍に前記サーマルヘッドの発熱
   素子を配置するとともに、前記本体前面のインクリボン
   の走行方向上流側の側縁に、前記サーマルヘッドと対向
   する部位のインクリボンの幅方向において上半分の張力
   を減少させるために上部ほど面取り深さが深くなるよう
   に剥落部が逆三角錐形状をなすテーパ状の面取り部をイ
   ンクリボンの幅方向におけるほぼ上半分に対向するよう
   に形成したことを特徴とする熱転写プリンタのサーマル
   ヘッド取付台。