JP2537696Y2 - 入浴装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、身体障害者、老人、
患者などの介助者を必要とする入浴者を、多数、効率良
く入浴させることができる入浴装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、身体障害者、老人等を入浴させる
ための入浴装置として、浴槽本体あるいは担架台が昇降
して入浴者を入浴させる昇降式浴槽の片側に、連結台、
洗浄台、およびストレッチャを順に配置するとともに、
昇降式浴槽の他側に、受け側のストレッチャを配置した
ものが知られている。

【０００３】この入浴装置では、担架を介してストレッ
チャ上に乗せた入浴者を、まず担架ごと洗浄台上に移
し、ここで体を洗う。その後、入浴者を連結台を介して
昇降式浴槽に移し、浴槽本体あるいは担架台を昇降させ
て入浴させる。入浴が終わったら、入浴者を受け側のス
トレッチャ上に移し換えて、所定の室まで移送する。

【０００４】すなわち、入浴者を、ストレッチャ→洗浄
台→連結台→昇降式浴槽→ストレッチャの順で移送しな
がら、洗浄・入浴を連続的に行なうようになっている。

【０００５】ところで、上記した入浴装置では、入浴の
際あるいは洗浄の際いずれにあっても、入浴者の横に介
助者がついて介助を行なうこととなるが、このとき、浴
槽あるいは洗浄台の横に連結台が存するため作業が行な
いずらい不満があった。

【０００６】また、日本人の入浴習慣は、下洗い→入浴
→本洗い→入浴の順に行なうのが通例であるが、上記し
た入浴装置を用いてこれを行なうとすると、浴槽が２台
必要となり、しかもそれら浴槽の間に洗浄台および連結
台を配さなければならず、一方向に長くなることから、
設置の点で問題が生じる。

【０００７】このような問題に対処する入浴装置として
本出願人は実願昭６３ー１５７２６８号に入浴者を乗せ
換える乗せ換台と、入浴者を入浴させる昇降式浴槽と、
入浴者を洗浄する洗浄台を、乗せ換台、昇降式浴槽、洗
浄台、昇降式浴槽の順に、中央に介助スペースができる
ようほぼ円周状に配置し、隣接する前記乗せ換台、昇降
式浴槽、洗浄台どうしをつなぐよう、それら台および浴
槽の上部にレールをほぼ円を描くように配置し、該レー
ルの上部に入浴者移送用の担架を走行自在に配置したも
のを提案した。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】上記した入浴装置にあ
っては、乗せ換台や、浴槽をピット内に配置してそれら
の上面を床面と同一平面上となるように配置するもので
あった。このため、据付工事が面倒になり工期が長びく
とともに工事費が嵩む等の欠点があった。

【０００９】この欠点を取り除くために、本願考案者ら
は乗せ換台や浴槽等を床面上に直接乗せることを考え
た。しかしながらこの場合、乗せ換台の上面が床面から
相当高いところに位置するため、ストレッチャー等から
の入浴者の移し換える作業が大変面倒になるというの新
たな問題が生じた。

【００１０】本考案は上記事情に鑑みてなされたもの
で、ストレッチャーあるいは車椅子等の移送手段から入
浴者を入浴装置へ容易に移し換えたり、逆に入浴を終え
た者を入浴装置から移送手段へ容易に移し換えることが
できる入浴装置を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案では上記課題を解
決するために、前記入浴者移送用の担架を、前記レール
上を走行する担架台車と、該担架台車上の所定位置に固
定可能かつ側方へスライド可能に設けられた担架本体と
から構成してなり、前記担架台車を前記乗せ換台上の所
定位置に停止させたときに、該担架台車に隣接するよう
に前記乗せ換台に固定された前記移送手段と担架台車と
の間で前記担架本体を側方にスライドさせて相互に乗せ
換え可能に構成したことを特徴としている。

【００１２】

【作用】入浴者を担架本体に乗せた状態のまま、担架本
体ごとストレッチャー等の移送手段から担架台車上に移
し換えることができ、また逆に入浴者を乗せ換台から移
動手段へ移し換えることができる。このため、入浴装置
から移動手段への入浴者の移し換え作業に要する介助者
の負担を大幅に軽減することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照して説明
する。図１は本考案にかかる入浴装置を備えた浴室の平
面図、図２は同断面図である。図１で示す入浴装置１
は、入浴者を乗せ換える乗せ換台２と、入浴者を入浴さ
せる昇降式浴槽３(３ａ・３ｂ)と、入浴者を洗浄する洗
浄台４を備え、それらを乗せ換台２、昇降式浴槽３ａ、
洗浄台４、昇降式浴槽３bの順に、中央に介助スペース
Ｓ１ができるよう、ほぼ円周状に配置した構造になって
いる。また、乗せ換台２、昇降式浴槽３、洗浄台４の間
には、それらをつなぐようにレール受け台５が配置され
ている。

【００１４】乗せ換台２、昇降式浴槽３、洗浄台４およ
びレール受け台５は、図２に示すように、フロアＦ上に
直接載せられた状態で配置されている。

【００１５】乗せ換台２、昇降式浴槽３、洗浄台４およ
びレール受け台５の上部には、それらを互いにつなぐよ
うに、２本のレール６・６が、互いに径の異なる２つの
円を描くように同心上に配置されている。レール６の上
部には入浴者移送用の担架７が複数台（例えば４台)、
走行自在に配置されている。

【００１６】担架７は、レール上を走行する担架台車８
と、該担架台車８上に固定可能かつかつ側方へスライド
自在に設けられた担架本体９とから構成されている。

【００１７】担架台車８は、図５および図６に示すよう
に、左右のサイドフレーム１０，１１と、それらサイド
フレーム１０，１１間に渡されたフロントフレーム１
２、中央フレーム１３およびバックフレーム１４と、サ
イドフレーム１０，１１の上部に該サイドフレームに直
交するように取り付けられたロール受け部材１５とから
構成され、ロール受け部材１５には複数の搬送用ローラ
１６…がそれぞれ直列に配置されている。フロントフレ
ーム１２およびバックフレーム１４の下部にはそれぞれ
図４にも示すように、前記レール６上を走行する車輪１
８，１８が左右に適宜間隔をあけて配置され、またそれ
ら車輪１８の中央には案内輪１９，１９が配置されてい
る。案内輪１９は、前記レール６の中央に配される案内
レール２０を両側から挟むものであって、担架台車８が
案内レール２０から左右にずれないように、主に当該担
架台車８にくわわる左右方向の荷重を支えるものであ
る。

【００１８】担架本体９は、図７および図８に示すよう
に、固定部９aと可動部９bとから成り、可動部材９ｂを
適宜角度に設定することで、入浴者の上半身を任意の角
度に傾斜保持できるようになっている。固定部９ａの前
後下部には前記の搬送用ローラ１６上を走行するレール
２１、２１が固定され、かつそれらレール２１の間には
担架ストッパー２２が取り付けられている。担架ストッ
パー２２は前記担架台車８の略中央に設けられた担架本
体ストッパー金具２３に係止され（図５参照）、これに
より当該担架本体９が担架台車８上の所定位置に固定さ
れるようになっている。なお、符号２５は手摺を示す。
前記昇降式浴槽３は、図９に示すように浴槽本体２６あ
るいは担架台２７が昇降して、担架台２７上の入浴者を
担架７ごと入浴させるものである。

【００１９】図はその一例を示す。この例は、浴槽本体
２６が固定で、担架台２７が昇降するタイプのものであ
る。浴槽本体２６の側壁上面２６ａおよび担架台２７の
上面には、前記レール６および案内レール２０が配され
る。それらレール６、２０は、担架台２７が自由に昇降
できるよう、浴槽本体側と担架台側とで別体とされてい
て、担架台２７が上昇位置になったときにのみ面一とな
って、担架７の受け渡しが可能となる構成になってい
る。また、担架ごと浴槽本体内に下降されるため、当然
に担架台２７は担架７よりも大きく設定されている。

【００２０】図において、符号２９はチエーン３０が巻
回されたスプロケットで、浴槽本体２６の側壁に収納さ
れている。３１はスプロケット２９の中心軸に取り付け
た回転アームで、これは浴槽本体２６内に入浴者に危険
を及ぼさないような形状で露出しており、スプロケット
２９との連結軸部分が水密構造になっている。３２はモ
ータであり、このモータ３２を駆動することにより、図
１０に示すようにチエーン３０およびスプロケット２９
を介して回転アーム３１を回転させ、回転アーム３１の
先端に取り付けた回転車３１ａ上に乗せた担架台２７を
上昇・下降させる。つまり、前記、スプロケット２９、
チェーン３０、回転アーム３１、モータ３２等は、担架
台２７を昇降させる昇降機構３３を構成する。

【００２１】なお、担架台２７には図示せぬストッパが
設けられ、昇降時に移動しないよう、その上部の担架７
を所定位置に固定できるようになっている。なお、同様
のストッパは、乗せ換台２および洗浄台４にも設けられ
ている。

【００２２】他方、図１において符号４０はストレッチ
ャーを示す、ストレッチャー４０は図１１および図１２
にも示すように公知のものであり、本体枠４１の上部に
水受盤４２、および担架本体９の下部のレール走行自在
に案内する搬送用ローラ４３がローラ受け部材４４に支
持されて取り付けられている。ストレッチャー４０は、
前記担架台車８が入浴装置１の乗せ換台２上の所定位置
に停止させたときに、該担架台車８に隣接した状態で乗
せ換台２の側部に固定されるよう、ストレッチャー４０
の側部に設けられたガイド４５が案内されて位置決めさ
れ、かつ乗せ換台２との間に設けられた図示せぬロック
機構によってその位置に保持されるようになっている。
また、ストレッチャー４０の搬送用ローラ４３の高さ
と、前記入浴装置１の担架台車８上の搬送用ローラ１６
とはともに同じ高さになるように、ストレッチャー４０
の脚の長さあるいは乗せ換台２や担架台車８の高さが決
定されている。なお、図１中５０は介助者が入浴装置１
の外側から中央の介助スペースＳ１に移動する際に用い
る階段を示す。

【００２３】次に、この入浴装置２１を用いて入浴者を
入浴させる手順について説明する。まず、入浴者を、ス
トレッチャ４０上にセットした担架本体９の上部に移し
換えて図１に示す浴室まで移送する。

【００２４】次いで、入浴者を載せたストレッチャ４０
を乗せ換台２の側部にガイド４５を利用して所定位置に
位置決めし、図示せぬロック機構によってその位置にロ
ックする。それと同時に、図１に示すように乗せ換台２
上の所定箇所に担架台車８を位置決めして固定する。こ
のとき、前記ストレッチャ４０と、担架台車８の双方の
搬送ローラ１６，４３は同一線上に位置することとな
り、これら同一線上に配置された搬送用ローラ１６，４
３を利用して、上部に入浴者を載せた状態のまま担架本
体９をストレッチャー４０から担架台車８上へ移し換え
る。そして、ここで入浴者の下洗いをする。

【００２５】下洗いが終わったら、担架７を、円形のレ
ール６に添わせながら反時計回りで回転させ、第１の昇
降式浴槽３ａへ移動させる。なお、昇降式浴槽３ａで
は、レール６を連続させるために、予め担架台２７を上
昇位置に位置させておく。そして、担架７が担架台７上
の所定箇所に来た時点で担架７をその位置に固定し昇降
機構３３を駆動させて担架台２７を下げ、入浴者を担架
７ごと浴槽本体２６内に入浴させる。

【００２６】次に、入浴が終わったら、昇降機構３３を
駆動させて担架台２７を上げ、担架台２７上のレール６
を再度浴槽本体２６側のレールに対して面一にした後、
入浴者を担架７ごと反時計方向へ回転させて、次の洗浄
台４上に移送する。ここで、本洗いをする。本洗いは、
洗浄第４を間に挟んでその両側に介助スペースがあるた
め、左右両側から２人がかりの効率の良い本洗いが行え
る。

【００２７】本洗いが完了したら、入浴者を再び反時計
方向へ回転させて第２の昇降式浴槽３ｂへ至らしめ、前
記したと同様の操作により、入浴させる。入浴が完了し
たら、入浴者をさらに反時計方向に回転させて元の乗せ
換え台２上に移す。そして、この乗せ換台２２上の担架
台車８から前記と同様な手順で入浴者を担架本体９ごと
ストレッチャ４０に移し換える。

【００２８】以上が入浴者一人に対する入浴プロセスで
ある。この例では、円形のレール６上に４台の担架７を
乗せ、一人は第２の昇降式浴槽３ｂでの入浴段階、他の
一人は本洗い段階、残りの入浴者は下洗いの段階という
ふうに、一度で複数の人を効率良く入浴させることがで
きる。

【００２９】なお、上記実施例では入浴者を浴室へ移送
させるのにストレチャーを用いた例について説明してい
るが、これに限られることなく車椅子等の他の移送手段
を用いた場合にも本考案は適用可能である。

【００３０】

【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、日
本人の入浴習慣にあった入浴プロセス(下洗い→入浴→
本洗い→入浴)での入浴が効率良く行えるのは勿論のこ
と、それに加えて、入浴者をストレッチャー等の移送手
段から入浴装置へ担架本体ごとスライドさせて移送させ
ることができ、移し換えに要する介助者の作業は極めて
容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は入浴装置が設置された浴室の平面図であ
る。

【図２】図２は入浴装置のＡ方向矢視図である。

【図３】図３は入浴装置のＢ方向矢視図である。

【図４】図４は担架台車下部の詳細図である。

【図５】図５は担架台車の平面図である。

【図６】図６は担架台車の側面図である。

【図７】図７は担架本体の平面図である。

【図８】図８は担架本体の側面図である。

【図９】図９は昇降式浴槽の斜視図である。

【図１０】図１０は昇降式浴槽の部分断面図である。

【図１１】図１１はストレッチャーの平面図である。

【図１２】図１２はストレッチャーの側面図である。

【符号の説明】

１ 入浴装置 ２ 乗せ換台 ３ 昇降式浴槽 ４ 洗浄台 ５ レール受け台 ６ レール ７ 担架 ８ 担架台車 ９ 担架本体 １６ 搬送ローラ ２０ 案内レール ３３ 昇降機構 ４０ ストレッチャー ４３ 搬送ローラ Ｓ１ 介助スペース

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 入浴者をストレッチャーあるいは車椅子
   等の移送手段から乗せ換える乗せ換台と、入浴者を入浴
   させる昇降式浴槽と、入浴者を洗浄する洗浄台とを、乗
   せ換台、昇降式浴槽、洗浄台、昇降式浴槽の順に、中央
   に介助スペースができるようほぼ円周状に配置し、隣接
   する前記乗せ換台、昇降式浴槽、洗浄台どうしをつなぐ
   よう、それら台および浴槽の上部にレールをほぼ円を描
   くように配置し、該レールの上部に入浴者移送用の担架
   を走行自在に配置した入浴装置において、前記入浴者移
   送用の担架を、前記レール上を走行する担架台車と、該
   担架台車上の所定位置に固定可能かつ側方へスライド可
   能に設けられた担架本体とから構成してなり、前記担架
   台車を前記乗せ換台上の所定位置に停止させたときに、
   該担架台車に隣接するように前記乗せ換台に固定された
   前記移送手段と担架台車との間で前記担架本体を側方に
   スライドさせて相互に乗せ換え可能に構成したことを特
   徴とする入浴装置。