JPH025786Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 この考案は歩行困難な不肢不自由者や長期臥床
患者等の入浴を能率よく、かつ介助者の労力を軽
減して行うようにした患者用入浴装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、歩行困難な下肢不自由者や長期臥床患者
を多数収容する療養施設等において、多数の患者
の入浴を能率よく、かつ介助者の疲労を少なくし
て行うため連続入浴システムが導入されている。

この種の入浴装置として例えば特公昭52−
41595号公報に開示された肢体不自由者入浴装置
がある。この入浴装置の基本は、患者を担架にの
せたまま洗う洗い台と、昇降部を有する浴槽と、
浴槽から引上げた架者を担架に乗せたまま清拭す
る清拭台と、洗い台、浴槽および清拭台間に設置
される移動台とを組合わせ構成したものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この組合わせの構成は当該公報記載の第１図及
び第１１図Ａ〜Ｄに各種配置構成が示されている
が、移動台を洗い台あるいは清拭台と浴槽との間
に介在する構成（第１１図Ａ，Ｂ）は移動台の設
備を余分に必要とし、かつ介助者が移動台側に回
り込んで患者を介助するためには移動台を一時徹
去する等の手間を要する。

又浴槽に洗い台を直結する構成（第１１図Ｃ，
Ｄ）は洗浄水の飛沫が浴槽内に飛散する不都合が
あり、かつレイアウトのまとまりが悪い。

又特に位置決め連結をしない浴槽、移動台、洗
い台あるいは清拭台、搬送車（ストレツチヤ）相
互間を円滑に担架を移動させるために、各台上面
のローラは各台の全面に亘つて均一に配置して一
部のローラが常に担架の下面に当接するようにし
なければならない。この結果各台の重量が増大す
ると共に価格が上昇するという不利を招く。

ロ 考案の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本考案は上記問題点に鑑み、洗浄水の飛沫が浴
槽内に飛散することなく、介助者が入浴患者の全
周に回つて洗浄、入浴及び清拭の介助を行うこと
が可能であり、又中間の移動台を介することなく
洗浄台あるいは清拭台と浴槽との相互間に患者を
容易に移動でき、かつ軽量コンパクトで価格を低
減し得る患者用入浴装置を提供することを目的と
してなされたものである。

この目的を達成するため本考案では第１図及び
第２図に示すように、上部に担架移動用の滑走部
材の一方６１を有する担架昇降台１１を槽内に備
えた浴槽１０と、該浴槽１０の少なくとも一側に
配置し、その浴槽側の長さ方向一端部と前記浴槽
１０の対向側部とを枢着部６３にて枢着して浴槽
１０に横付けした位置からストツパ６４にて設定
される所定の角度位置まで前記枢着部６３を軸と
して回動可能にし、かつ浴槽１０に横付け時前記
浴槽１０の一方の滑走部材６１と整合する同様の
滑走部材６１′を上面に備え、更に担架搬送車４
０をその反浴槽側の所定位置に横付け直結する連
結部材６５の一方６６を備えた患者の入浴前の洗
浄又は入浴後の清拭用の担架載置台３０と、患者
入浴用の担架５０に備えた担架移動用の他方の滑
走部材６２に係合可能の前記と同様の一方の滑走
部材６１″を有し、かつ前記担架載置台３０の一
方の位置決め連結部材６６に係脱自在に係合する
他方の位置決め連結部材６７を備え、担架載置台
３０に横付け連結時前記一方の滑走部材６１″が
前記担架載置台３０の同様の滑走部材６１′と整
合するようにされた担架搬送車４０とから構成す
る。

尚第１図及び第２図に示すごとく、全く同様に
構成される洗浄又は清拭用の担架載置台３０を浴
槽１０に対して左右対称に配置することによつ
て、入浴患者を浴槽１０の一側方から他側方へ順
送式に入浴させることができる。

〔作用〕

次に担架載置台３０を浴槽１０の両側に対称に
配置した場合についてその作用を説明する。

両担架載置台は全く対称同形のものであつて、
この場合浴槽１０の一側のものは洗浄台３０、他
側のものは清拭台３０′となる。両台３０，３
０′はストツパ６４にて設定される角度に枢着部
６３を軸として浴槽１０から回動離間され停止さ
れている。一方担架搬送車４０上面に患者入浴用
の担架５０が夫々の担架移動用の滑走部材の一方
６１″と他方６２とが係合されて載置されており、
患者は介助者によつてベツドから担架５０に移さ
れて浴湯に押送される。押送されてきた担架搬送
車４０は洗浄台３０の反浴槽側に横付けし、洗浄
台３０の一方の位置決め連結部材６６に担架搬送
車４０の他方の位置決め連結部材６７を係合し互
いに連結する。この状態で担架搬送車４０の一方
の滑走部材６１′と洗浄台３０の同様の滑走部材
６１′とは互いにその軸線が自動的に整合される。
そこで担架５０を洗浄台３０の方へ移動させれば
担架５０の他方の滑走部材６２は洗浄台３０の一
方の滑走部材６１′に円滑に受け継がれ、患者を
乗せた担架５０は洗浄台３０上に載置される。こ
こで双方の連結部材６６，６７を解離して洗浄台
３０から担架搬送車４０を分離し、担架搬送車４
０を次の入浴患者の搬送に当てる。

洗浄台３０上で患者の身体は洗浄されるが、こ
の時浴槽１０と洗浄台３０とは回動離間されてい
るから介助者は洗浄台３０の両側に回つて十分な
介助を行うことができ、又洗浄水の飛沫が浴槽内
に飛散するのも避けられる。

患者の身体の洗浄後、ストツパ６４を解除して
洗浄台３０を浴槽１０に横付けすれば洗浄台３０
の一方の滑走部材６１′は浴槽１０内を上昇させ
ておいた同様の滑走部材６１と互いに軸線を自動
的に整合させる。そこで担架５０を浴槽１０の方
へ移動させると担架５０の他方の滑走部材６２は
浴槽１０内の担架昇降台１１の一方の滑走部材６
１に円滑に受け継がれ、患者を乗せた担架５０は
担架昇降台１１上に載置される。次いで洗浄台３
０を回動して浴槽１０縁から離間し次の入浴患者
を乗せた担架搬送車４０の到着を待つ。

浴槽１０の患者は担架５０ごと担架昇降台１１
を下降させて湯浴させ、湯浴が終つたら担架昇降
台１１を上昇させると共に浴槽１０他側の清拭台
３０′を回動して浴槽１０縁に横付けすれば担架
昇降台１１の一方の滑走部材６１は清拭台３０′
の同様の滑走部材６１′と互いに軸線を整合し、
担架５０は清拭台３０′に円滑に移動させること
ができる。清拭台３０′で身体を清拭された担架
５０上の患者は清拭台３０′の反浴槽側に位置決
め連結部材６５にて連結された担架搬送車４０に
担架５０ごと移された後、双方の連結部材６６，
６７を解離して担架搬送車４０を押送し患者をベ
ツドへ戻す。患者の入浴及び清拭中は前記洗浄と
同様に介助者は浴槽１０及び清拭台３０′の両側
に回つて十分な介助を行うことができる。そして
上述のごとく洗浄台３０、浴槽１０、清拭台３
０′を直列し入浴患者を一方から他方へ順次連続
的に移動することによつて多人数の患者を極めて
能率よく入浴させることができる。

入浴者が小人数の場合は、浴槽１０の一側のみ
に担架載置台３０を配置し、これを洗浄台と清拭
台とに兼用させてもよい。

〔実施例〕

次に本考案の一実施例を第１図乃至第７図を参
照して説明する。

浴槽１０の槽内に図示しない駆動装置により上
昇、下降されるパンタグラフ式の担架昇降台１１
が装置され、その上部に浴槽１０の長さ方向に所
定間隔を存して並列された管材で成る２本のレー
ル（一方の滑走部材）６１，６１が設けられてい
る。

尚、浴槽には排水栓１２、気泡噴出孔１３、浴
槽用のストツプバルブ１４、給湯バルブ１５、給
水バルブ１６、給水ストツプバルブ１７、給湯ス
トツプバルブ１８、浴槽内湯温度計１９、給湯口
湯温度計２０、ハンドシヤワー２１、シヤワー用
ミキシングバルブ２２、担架昇降台１１の電源の
オン・オフスイツチ２３、担架昇降台１１の上
昇、停止、降下用スイツチ２４、気泡のオン・オ
フスイツチ２５、漏電防止用のブレーカ２６が配
備されている。

洗浄台３０は管材で長方形枠状に組立てられた
上部フレーム３１と下部フレーム３２とが移動用
のキヤスタ３３に支持されて成る。上部フレーム
３１の上面に前記浴槽１０の担架昇降台１１上面
のレール６１，６１に対応する同様のレール（一
方の滑走部材）６１′，６１′が固設され、上部フ
レーム３１の下側には排水孔３４を有する水受け
３５が備えられている。この洗浄台３０を浴槽１
０に対して回動自在に枢着する枢着部６３は第３
図に拡大して示すように、下部フレーム３２の浴
槽側の長さ方向一端部に形成された下方に向く枢
軸６３ａがこれに対向する浴槽１０を支持する下
部の側枠１０ａに取着された受け部６３ｂに回動
自在に嵌合されて成る。又下部フレーム３２の浴
槽側には２個のストツパ３６，３６が設けられ、
洗浄台３０が浴槽１０に横付けした時上記ストツ
パ３６，３６が浴槽１０下部の側枠１０ａに当接
し、この時該洗浄台３０のレール６１′と上昇時
の浴槽１０のレール６１と整合する。

洗浄台３０の浴槽１０に対する回動角度を設定
するストツパ６４は第４，５図に拡大して示すよ
うに、浴槽１０の下部の側枠１０ａに取着された
受け部６４ａにチヤンネル状のストツパレバー６
４ｂの一端が枢着され、ストツパレバー６４ｂの
他端は洗浄台３０の下部フレーム３２に設けられ
た垂直中空軸６４ｃに回動自在に取着された摺動
部材６４ｄに嵌合されている。垂直中空軸６４ｃ
にはスプリング６４ｅにて常時圧下されるピン６
４ｆが挿入され、該ピン６４ｆの下端はストツパ
レバー６４ｂに穿設された複数の係止孔６４ｄに
係合可能にされ、ピン６４ｆの上端は解除レバー
６４ｈの一端に結合されている。解除レバー６４
ｈの略中央部は支軸６４ｉにて下部フレーム３２
に軸支され、他端部は洗浄台３０の反浴槽側に突
出し踏面６４ｊを形成している。従つてピン６４
ｆをストツパレバー６４ｂの係止孔６４ｇに係合
させれば洗浄台３０の回動位置は固定され、スト
ツパレバー６４ｂの踏面６４ｉを足で踏み下げれ
ばピン６４ｆは係止孔６４ｇから抜去されて洗浄
台３０の固定が解除され、ピン６４ｆが他の係止
孔６４ｇに係合する位置でストツパレバー６４ｂ
から足を離せば洗浄台３０は浴槽１０に対して他
の角度で固定される。

担架搬送車４０も前記洗浄台３０と同様に上部
フレーム４１、下部フレーム４２、排水孔４４を
有する水受け４３及びキヤスタ４５で構成され、
上部フレーム４１の上面に洗浄台３０上面のレー
ル６１′，６１′に対応する同様のレール（一方の
滑走部材）６１″，６１″が設けられている。

洗浄台３０と担架搬送車４０とを位置決め連結
する連結部材６５は第６，７図に拡大して示すよ
うに、洗浄台３０側の一方の連結部材６６と担架
搬送車４０側の他方の連結部材６７とから成る。
洗浄台３０側の一方の連結部材６６は、洗浄台３
０の下部フレーム３２の反浴槽側に添設された案
内部材６８の所定位置に取着され、平面部６６ａ
と、該平面部６６ａに設けられた係合孔６６ｂ
と、前記平面部６６ａより一段高い段差を形成す
る段差部６６ｃと、該段差部６６ｃに続き外側方
へ下傾する傾斜部６６ｄと、前記係合孔６６ｂへ
誘導するＶ字状の誘導部６６ｅとを有する。

担架搬送車４０側の他方の連結部材６７は、担
架搬送車４０の下部フレーム４２の洗浄台３０側
の所定位置にブラケツト３７ａが外側方へ向けて
取着され、該ブラケツト６７ａの先端に下向きに
固着されたパイプ６７ｂ内にピン６７ｄがスプリ
ング６７ｃに圧下されて挿入されている。ピン６
７ｄは円柱部６７ｅの先端に円錐部６７ｆが形成
されていて、該円錐部６７ｆのみが洗浄台３０側
の連結部材６６の係合孔６６ｂに係合するように
係合孔６６ｂの深さが設定されている。従つて洗
浄台３０と担架搬送車４０とを双方３０，４０の
連結部材６６，６７を対向させて接近させること
によつて、担架搬送車４０の連結部材６７のピン
６７ｄは洗浄台３０の連結部材６６のＶ字状の誘
導部６６ｅに誘導されて双方３０，４０の連結位
置が整合されると共に、ピン６７ｄは傾斜部６６
ｄに押上げられてスプリング６７ｃを圧縮し、次
いで段差部６６ｃを越えるとピン６７ｄはスプリ
ング６７ｃの伸張によつて先端の円錐部６７ｆが
係合孔６６ｂに係合する。この時担架搬送車４０
の下部フレーム４２に設けられている２個のスト
ツパ４５，４５は洗浄台３０の案内部材６８の側
面に当接する一方、ピン６７ｄの円柱部６７ｅが
段差部６６ｃに当接し、担架搬送車４０と洗浄台
３０とは巾方向に分離下能に横付け連結される。
この連結状態において双方の洗浄台３０のレール
６１′と担架搬送車４０のレール６１″は互いに整
合する。

洗浄台３０と担架搬送車４０との連結を解除す
るには担架搬送車４０を洗浄台３０に対して長さ
方向に移動することにより、ピン６７ｄ先端の円
錐部６７ｆは係合孔６６ｂを乗り上げて平面部６
６ａを摺動し、連結部材６６を外れた位置で担架
搬送車４０と洗浄台３０とは分離される。

浴槽１０の他側の清拭台３０′は前記洗浄台３
０と対称同形に構成され、かつ作用も同様である
ためその説明を省略する。

入浴用の担架５０は管材で成る長方形枠状のフ
レーム５１上に水抜き孔５２ａ及びマツト５２ｂ
を有する躯幹台５２、同じく水抜き孔５３ａ及び
マツト５３ｂを有する上肢台５３及び水抜き孔５
４ａを有する下肢台５４が互いにヒンジで屈曲可
能に載設されている。又躯幹台５２には介助者が
躯幹台を起倒操作するためのハンドグリツプ５
５、患者が姿勢を保持するのに握る起倒可能のハ
ンドグリツプ５６及び安全ベルト５７が、上肢台
５３には安全ベルト５８が、下肢台５４には下肢
台５４と上肢台５３を山形に起伏操作するハンド
グリツプ５９が夫々装着されている。そしてフレ
ーム５１下面には浴槽１０、洗浄台３０、清拭台
３０′及び担架搬送車４０の各レール（一方の滑
走部材）６１，６１′，６１″に係合可能の複数の
ローラ（他方の滑走部材）６２…が配設されてい
る。従つて浴槽１０、洗浄台３０、清拭台３０′、
担架搬送車４０が相互に横付け連結された時夫々
のレール６１，６１′，６１″は互いに整合すると
共に担架５０を巾方向に移動する時複数のローラ
６２…の内の１個以上は必らず整合する双方のレ
ールに同時に係合するため担架５０は円滑に一方
から他方へ移動される。

ハ 考案の効果 以上述べたように本考案によれば、洗浄台又は
清拭台となる担架載置台３０は、その一端部を浴
槽１０に枢着し浴槽１０から離間可能としたため
介助者は担架載置台３０及び浴槽１０の全周に回
つて入浴患者の洗浄、入浴、清拭の介助を十分に
行うことができ、かつ洗浄水の飛沫が浴槽１０内
に飛散し浴湯を汚すのが防止されると共に担架載
置台３０から浴槽１０へ担架５０を移動させる移
動台を省くことができる。

又担架載置台３０は浴槽１０に枢着部６３に
て、担架搬送車４０は担架載置台３０に位置決め
連結部材６５にて相互位置が規制されるため、
夫々を無造作に横付けするだけで夫々が一定位置
関係で連結される。このため浴槽１０、担架載置
台３０、担架搬送車４０の担架移動用の一方の滑
走部材６１，６１′，６１″は各最小数を夫々が整
合するように配設し、一方担架５０の他方の滑走
部材６２も前記滑走部材６１，６１′，６１″に対
応して最小数を備えればよく、従つて浴槽１０、
担架載置台３０、担架搬送車４０は軽量、コンパ
クトに構成でき、前記移動台の省略と相俟つて装
置全体の価格を低減することが可能となる。そし
て実施例のごとく浴槽１０の両側に担架載置台３
０を配置し、一方を洗浄台、他方を清拭台とする
ことにより入浴患者を洗浄台側から清拭台側へ順
次連続的に移動することにより多人数の患者を極
めて能率よく入浴させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部切欠平面
図、第２図は同正面図、第３図は枢着部６３の拡
大斜視図、第４図はストツパの一部切欠拡大斜視
図、第５図は第４図の−線矢視断面図、第６
図は位置決め連結部材の拡大斜視図、第７図は同
位置決め連結部材の連結時の縦断面図である。 １０……浴槽、１１……担架昇降台、３０……
担架載置台（洗浄台）、３０′……担架載置台（清
拭台）、４０……担架搬送車、５０……担架、６
１，６１′，６１″……一方の滑走部材（レール）、
６２……他方の滑走部材（ローラ）、６３……枢
着部、６４……ストツパ、６５……位置決め連結
部材、６６……一方の連結部材、６７……他方の
連結部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に担架移動用の滑走部材の一方を有する担
   架昇降台を槽内に備えた浴槽と、該浴槽の少なく
   とも一側に配置し、その浴槽側の長さ方向一端部
   を前記浴槽の対向側部に枢着して浴槽に横付けし
   た位置からストツパにて設定される所定の角度位
   置まで前記枢着部を軸として回動可能にし、かつ
   浴槽に横付け時前記浴槽の一方の滑走部材と整合
   する同様の滑走部材を上面に備え、更に担架搬送
   車をその反浴槽側の所定位置に横付け直結する連
   結部材の一方を備えた入浴患者の洗浄又は清拭用
   の担架載置台と、患者入浴用の担架に備えた担架
   移動用の他方の滑走部材に係合可能の前記と同様
   の一方の滑走部材を有し、かつ前記担架載置台の
   一方の位置決め連結部材に係脱自在に係合する他
   方の位置決め連結部材を備え、担架載置台に横付
   け連結時前記一方の滑走部材が前記担架載置台の
   同様の滑走部材と整合するようにされた担架搬送
   車とから成る患者用入浴装置。