JPH033296Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は病傷、身体障害等の理由から歩行困難
な人を、載せて浴室へ運び、浴槽へ移し、入浴さ
せた後、再び浴槽より上げ、元の居場所へ運び戻
すための歩行困難者入浴用手押し車に関するもの
である。

［従来の技術］ 従来、殆ど自身では動けない患者を横に寝せ
て、台上に載せ、そのまま台と共に浴槽に浸し、
入浴させる大がかりなものであるが、この他には
入浴専用の運搬車はない。

［考案が解決しようとする問題点］ 歩行困難者を運搬車へ載せたり、運搬車から降
ろしたりすることは、介護者にとつて大きな労力
を必要とすることである。しかも特に、運搬車か
ら浴槽へ移すことは、介護者にとつて一層困難な
作業である。特に家庭用の広くない浴室に運搬車
を入れて、その運搬車より歩行困難者を浴槽へ移
すに当たつては、運搬車の方向、高さを変更する
ことが殆ど不可能であること、介護者の作業位
置、向きが限定されて自由な動作が取りにくいこ
と、歩行困難者が介護者の希望するように対応す
ることが困難であるだけでなく、姿勢その他によ
つて介護者の行動を束縛することがあること、浴
槽の湯に存在する危険性等種々の問題点があり、
できれば歩行困難者の入浴回数を減らそうとする
傾向がある。

［問題点を解決するための手段］ 以上の問題点を解決するための本考案に掛かる
歩行困難者を浴室へ運び、浴槽へ移し、再び浴槽
より上げ、元の居場所へ戻すための歩行困難者入
浴用手押し車において、歩行困難者を載せるため
の水平面内に回転可能な鉛直な軸を持つ坐り台、
その軸を支承するスラスト軸受を持つ上方支持
台、その支持台を前記坐り台と共に昇降させるた
めのパンタグラフ式昇降機、その昇降機を支持す
るための下方支持台およびその下方支持台下方に
取り付けられた複数のキヤスターより構成される
ことを特徴とする歩行困難者入浴用手押し車。

［作用］ 歩行困難者を手押し車の坐り台に移し、座らせ
たり、座り台から浴槽へ、またその反対に浴槽か
ら坐り台へ抱いて移したりするに当たつて、与え
られた環境の中で簡単な操作で坐り台を昇降させ
たり、座り台の方向を変えたりして、歩行困難者
を楽に目的の場所へ移すことが可能となり、他の
手段に比較して、歩行困難者、介護者の負担が著
しく軽減される。

［実施例］ 図面により本考案の実施例を説明する。本考案
の歩行困難者入浴用手押し車は主として歩行困難
者を載せるための水平面内に回転可能な鉛直の軸
１ａを持つ坐り台１、その坐り台１の直下にあつ
て、前記軸１ａを回転自在に支承するスラスト軸
受２ａを持つ上方支持台２、その上方支持台２を
前記坐り台１と共に昇降させるためのパンタグラ
フ式昇降機３、その昇降機３を支える下方支持台
４、その下方支持台４下側に前後左右に走行可能
に取り付けられた複数のキヤスター５より構成さ
れている。さらに補足すれば、前記パンタグラフ
式昇降機３は一対の細長い板３ｂ，３ｂをＸ字状
に交差させ、さらにその板３ｂ，３ｂの先端に別
にＸ字状に交差させた板３ｂ，３ｂの先端を重
ね、それぞれ交差もしくは重ねた点をヒンジ３ｃ
によつて回転自在に留めて形成させたパンタグラ
フ３ａの４個の自由端にそれぞれコロ３ｄを取り
付けたものを二列に対向するように立て、二組の
パンタグラフ３ａ，３ａ間に水平棒（図示せず）
を渡して、自立可能にしたものである。また上方
支持台２におよび下方支持台４のそれぞれ両側に
はパンタグラフ３のコロ３ｄを挟み、その走行を
案内するためのレール２ｂおよびレール４ａが設
けてある。なお、その他に下方支持台４上にはテ
コ運動することによりパンタグラフ３を伸縮させ
るテコ６、そのテコ６を駆動するための油圧ジヤ
ツキ７および手押しカジ棒８が取り付けてある。

次にこの歩行困難者入浴用手押し車の取り扱い
方法について説明する。まず、病室、居間等に寝
ているかもしくは座つている歩行困難者を坐り台
１に座らせるために、油圧ジヤツキ７を操作し、
テコ６を駆動して、昇降機３のパンタグラフ３ａ
を縮め、坐り台１のレベルを下げる。そこで歩行
困難者を介護者が抱きかかえ、坐り台１上に座ら
せた上、今度は歩行困難者の脚が手押し車の前面
にぶらさがるように昇降機３のパンタグラフ３ａ
を伸ばし、坐り台１を上昇させる。このパンタグ
ラフ３ａの昇降の際、各自由端の取り付けられた
コロ３ｄはそれぞれ上方支持台２のレール２ｂお
よび下方支持台４のレール４ａに案内されて、水
平方向に走行する。

坐り台１に歩行困難者を載せて手押し車のカジ
棒８を押して浴室へ運ぶが、浴室内浴槽前で着衣
を脱がせ、介護者が歩行困難者を抱きかかえ、浴
槽へ入れるにもつとも適した方向、レベルに坐り
台１を軸１ａのまわりに回転させると共に、昇降
機３のパンタグラフ３ａを縮める。入浴後の操作
はほぼ以上の操作を逆順序で行うことになる。

［考案の効果］ 本考案の実施により次の効果が発揮される。

坐り台１のレベルを昇降機３によつて自由に調
節できると共に、坐り台１の方向も軸１ａによつ
て、回転させ、変えることができるため、手押し
車へ載せたり、手押し車より降ろしたりすること
が簡便となると共に、特に家庭用浴室のように広
くない空間において、歩行困難者を抱きかかえ浴
槽へ入れたり、浴槽より手押し車坐り台１へ載せ
たりすることが、著しく容易となり、介護者、歩
行困難者の負担を著しく軽減する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は側面図、第２図は正面図、第３図は第１図の平
面図である。 １……坐り台、１ａ……軸、２……上方支持
台、２ａ……スラスト軸受、２ｂ……レール、３
……パンタグラフ式昇降機、３ａ……パンタグラ
フ、３ｂ……板、３ｃ……ヒンジ、３ｄ……コ
ロ、４……下方支持台、４ａ……レール、５……
キヤスタ、６……テコ、７……油圧ジヤツキ、８
……手押しカジ棒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歩行困難者を運び、浴槽へ移し、再び浴槽より
   上げ、元の居場所へ戻すための歩行困難者入浴用
   手押し車において、歩行困難者を載せるための水
   平面内に回転可能な鉛直の軸を持つ坐り台、その
   軸を支承するスラスト軸受を持つ上方支持台、そ
   の支持台を前記坐り台と共に昇降させるためのパ
   ンタグラフ式昇降機、その昇降機を支持する下方
   支持台、およびその下方支持台下方に取り付けら
   れた複数のキヤスターより構成されることを特徴
   とする歩行困難者入浴用手押し車。