JPH0133073Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は寝たきり老人、重度の身心傷害者等、
重度身体不自由者のための入浴装置に関する。

〔従来の技術〕

重度身体不自由者の入浴のためには、屈み込
み、抱き上げのための労力と無理な姿勢を要し、
看護人の腰痛は職業病化している。また、限られ
た時間内に大勢の患者を入浴させるという制約も
あり、看護人に過重な労働を強いている。

このための省力化の装置が種々考案されている
が、いずれも電動、電動油圧、あるいは機械操作
員による駆動を主とするものであるため非常に高
価である。また、安全性と能率とは二律背反の関
係にあり、安全のため速度が極端に遅く設定され
ており、看護人が操作ボタン等を押し続けたり、
操作ハンドルを回し続けなければならず時間の無
駄が多い。さらに、自動化のためにクレーン式、
ロボツト等などの開発も行われているが、完全無
人化は被看護人の心理上問題がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案はかかる従来装置の欠点を解消するもの
で、機構そのものが比較的単純な構造であり安価
であつて、看護人の自然な体位による単純な操作
によつて作動することができ、しかも、被看護者
に何等の不安を与えることがない自然な作動状態
を得ることができる入浴装置を提供するものであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

以下、本考案の実施例を示す添付図によつて説
明する。

本考案は第１図に示すように、台車２７によつ
て浴槽本体１に隣接する位置まで運ばれた洗い台
２４上の患者を、台車２７上から矢印ａの方向に
移動して浴槽本体１の上に一旦停止せしめたの
ち、矢印ｂに示す方向に下降せしめ、さらに入浴
終了後、矢印ｃ，ｄに示すように浴槽中から上昇
せしめて洗い台２４を浴槽本体１上に戻す機構を
有する装置に係るものである。

上記台車２７と洗い台２４は従来の構造のもの
が使用できる。同洗い台２４は被看護者の扱いに
便利なように、頭部に枕２５を有し、第１図の
−線から見た第２図に示すように、洗い台ガイ
ド兼支軸２８によつて洗い台２４を傾斜せしめて
洗い台２４の上の患者の下部を浴槽本体１の湯内
に付けるようになつており、さらに蝶番２６によ
つて洗い台２４が屈曲できる構造になつている。

同図において、１ｂは浴槽本体の上部の両長端
部に設けられた洗い台のガイドであつて、台車２
７上の洗い台２４を洗い台のガイド１ｂに沿つて
矢印ａの方向に移動して浴槽本体１の上に一旦停
止せしめる。

勿論、上記洗い台２４は移動型ではなく、後述
の本考案の装置に組み込み固定された方式のもの
でも適用できる。

本考案は上記浴槽本体１上の洗い台２４を浴槽
中に下げ、さらに浴槽中から浴槽上に上げる操作
を浴槽本体外の前後に配置された第１の足踏みペ
ダル２と第２の足踏みペダル４との両ペダルの２
段階操作によつて行なうように構成されている。

これらの図において、１８は上記第１の足踏み
ペダル２のロツクを確実に行なうためのペダルア
ームロツクバーを示す。同ペダルアームロツクバ
ー１８は浴槽本体１の外部に浴槽本体１に固定し
て取付けられており、上記第１の足踏みペダル２
を数段階の高さに係止できるように、複数の、通
常２段階のロツク点１８ａ，１８ｂが設けられて
いる。第１図〜第３図は上記第１の足踏みペダル
２が下段のロツク点１８ｂに係止され、洗い台２
４が最上位点に維持されている状態を示す。

第３図は、上記２つの足踏みペダル２と４に連
結され、且つ浴槽本体１内に配置された昇降機構
を示す図である。

同図において、第１の足踏みペダル２のアーム
２ａは駆動軸６に、また第２の足踏みペダル４の
アーム４ａは駆動軸５にそれぞれ固定して連結さ
れ、それぞれの駆動軸６，５は浴槽本体１の壁１
ａに軸受３によつて水封状態で枢支されている。

第１の足踏みペダル２のアーム２ａの駆動軸６
は押上げアーム１１と固定的に連結され、その他
端はピン１３によつて押上げアーム１２の一端に
枢着され、さらに、同押上げアーム１２の他端は
洗い台２４の略重心点に位置し、洗い台を側方に
滑り出させるための補助バー２３の支点７と固着
され、洗い台２４を押上げ支持している。また、
前記第１の足踏みペダル２のアーム駆動軸６には
第２の押上げアーム１０の一端が枢着されてお
り、同押上げアーム１０の他端は他の補助バーの
支点８を押上げ支持している。さらに前記押上げ
アーム１２の支点７、即ち洗い台支持杆には、前
記浴槽本体１の頭部に位置する軸１９を中心に回
動し、前記支点７の移動軌跡をコントロールする
ガイドバー２２が連結され、さらに、浴槽の内底
を回転移動できる車輪１６とその軸１７を他端に
有する第３の押上げアーム９が枢着されている。
そして、同押上げアーム９には、前記第２の押上
げアーム１０を支持するための押上げコロ１５が
設けられている。

また、第２の足踏みペダル４の作動アーム４ａ
を固定して連結している駆動軸５には、上記第１
の足踏みペダル２の作動によつてある浴槽の深さ
まで、降下した洗い台２４を押上げ或いは制御状
態で降下させるための押上げアーム１４が固定さ
れている。そして、浴槽外に配置された作動アー
ム４ａは浴槽本体１の外壁上部に取付けられ同作
動アーム４ａを上方に付勢する吊りスプリング２
１に連結されている。

なお、２０は浴槽本体の外側に設けられた油圧
緩衝器であつて、作動アーム２ｂと連動して洗い
台２４の最上位位置からの急激な作動を防止する
ためのものである。

〔作用〕

次ぎに、添付図第１図〜第６図に基づいて本考
案の装置の作動を説明する。

第１図〜第３図に示すように、第１の足踏みペ
ダル２をペダルアームロツクバー１８の最下段ロ
ツク点１８ｂにロツクして置く。この状態で、ガ
イド１ｂに沿つて浴槽本体１上に台車２７から洗
い台２４を浴槽本体１の上方に支持する。

次ぎに、第１の足踏みペダル２のロツクを外
す。

これによつて、洗い台２４の自重によつて洗い
台２４は、浴槽本体１内に下降する。この際、油
圧緩衝器２０とペダル２に加える看護人の足荷重
によつて急激な降下を防止することができる。さ
らに、第４図に示す位置におけるロツク点１８ａ
を外すと洗い台２４は更に降下する。洗い台２４
が水中につかると浮力により荷重は小さくなり、
緩やかに降下する。降下時には、通常第２の足踏
みペダル４は用いる必要はないが、比較的体重が
ある患者のときには、同ペダル４を踏み込むこと
によつて上方位置における洗い台２４を支持で
き、操作をさらに容易にできる。

第５図は第４図の状態にある昇降機構を平面か
ら見た図である。

第６図は上記操作によつて、洗い台２４が浴槽
の底部まで降下した状態を示す。

以上は、洗い台２４を浴槽内に降下する操作に
ついて説明したが、第６図に示す位置から第３図
に示す位置に上昇させるための操作は以下のよう
にして行なう。

第６図に示す位置にある第２足踏みペダル４を
第４図に示す位置に踏み降ろす。これによつて、
第２足踏みペダル４のアーム駆動軸５に連結した
押上げアーム１４が押上機を押上げると同時に、
第１の足踏みペダル２の駆動軸６に連結した押上
げアーム１１と１２を押上げることにより、第１
の足踏みペダル２をロツク点１８ａにロツクし、
中段に一時固定する。次ぎに、第１の足踏みペダ
ル２を踏み込み、ペダルアームロツクバー１８の
下段ロツク位置１８ｂにロツクする。

この操作は、前後の看護人により連続操作する
ことも勿論可能である。

この操作によつて、洗い台２４は最高位の水平
位置に戻る。そして、浴槽本体１のガイド１ｂを
利用して、第１図に示す台車２７上に摺動移送し
て入浴操作を終了する。

〔考案の効果〕

本考案の効果を列記すると以下の通りである。

(1) 電動部分がないので、設備工事費、電気料、
据付工事費が要らない。

(2) 装置前後に位置した看護人のペダル操作によ
り、下降は１動作、上昇は２動作で全作業を行
なうことができるので、操作時間の無駄が省け
る。

(3) 構造が簡単であるので安価であり、故障がな
く、メンテナンスの必要がない。

(4) 患者の健康状態に応じて速度を調整できる。

(5) 両サイドから交互入浴ができるので、短時間
に大勢の看者を入浴させることができる。

(6) 看護人の労力を軽減できて、腰痛問題を解決
し、スリツプによる転倒、落下等の危険がな
く、看護人の精神的負担を少なくできる。

【図面の簡単な説明】

添付図は本考案の実施例を示す。第１図および
第２図は本考案に係る装置の外観であつて、第２
図は第１図における−線から見た図である。
第３図〜第６図は本考案に係る装置の機構を操作
順によつて示す図である。 １……浴槽本体、１ａ……浴槽壁、１ｂ……洗
い台のガイド、２……第１ペダル、２ａ……第１
ペダルアーム、２ｂ……油圧緩衝器作動アーム、
３……軸受、４……第２ペダル、４ａ……第２ペ
ダルアーム、５，６……駆動軸、７，８……洗い
台支持杆、９，１０，１１，１２，１４……押上
げアーム、１３……ピン、１５……押上げコロ、
１６……車輪、１７……軸、１８……ペダルアー
ムロツクバー、１８ａ，１８ｂ……ロツク点、１
９……ガイドバー支点軸、２０……油圧緩衝器、
２１……吊りスプリング、２２……ガイドバー、
２３……洗い台支持バー、２４……洗い台、２５
……洗い台の枕、２６……蝶番、２７……洗い台
移送台車、２８……洗い台ガイド兼支軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 浴槽本体１の外部前後に設けられた第１と第２
   の足踏みペダル２，４と、同両足踏みペダル２，
   ４のそれぞれのペダルアーム２ａ，４ａと固定連
   結し浴槽本体１の内底近傍に貫設した第１の駆動
   軸６と第２の駆動軸５と、同両駆動軸６，５のそ
   れぞれに浴槽本体内において押上げアーム１１，
   １２，１４を連結してなることを特徴とする昇降
   型入浴装置。