JP2535075B2 - 作業車のクロ―ラ式走行装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は作業車のクローラ式走行装置に関する。

〔従来の技術〕

クローラ式走行装置を有した作業車において、従来、
例えば実開昭58−22384号公報に示されるように、左右
走行装置のトラックフレームをクローラ駆動輪体の回転
軸芯周りでシリンダによって対機体揺動昇降できるよう
に構成し、トラックフレームの揺動操作をすることによ
って機体のピッチング調節ができるようになったものが
あった。

また、例えば特開昭63−149274号公報に示されるよう
に、トラックフレームを揺動リンク機構を介して昇降自
在に機体に取付けると共に、揺動リンク機構をシリンダ
によって操作できるように構成し、シリンダによるトラ
ックフレームの昇降操作をすることによって機体のロー
リング調節ができるようになったものがあった。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来、ピッチング調節とローリング調節のいずれか一
方しかできず、地盤が機体横方向に傾斜しているとか、
機体左右の重量差に起因して左右走行装置に沈込み差が
発生した場合に、機体が左右に傾斜したままになること
があった。また、地盤が機体前後方向に傾斜していると
か、機体前後の重量差に起因して走行装置の前後に沈込
み差が発生した場合に、機体が前後に傾斜したままにな
ることがあった。

本発明の目的は、ピッチング調節とローリング調節の
いずれもができ、しかも、調節面や構造面等での有利化
が可能なものを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明による作業車のクローラ式走行装置にあって
は、目的達成のために、揺動軸芯周りで機体に枢着され
た枢支フレームを、ピッチング駆動機構によって駆動上
下揺動可能に構成し、 機体に支承されるクローラ駆動輪と、トラックフレー
ムに支承されたクローラ緊張輪及び接地転輪とから成る
クローラ走行装置を、機体の左右夫々に配備し、 トラックフレームと枢支フレームとを、この枢支フレ
ームに枢支された前後一対の揺動リンクで成る揺動リン
ク機構によって相対昇降自在に構成するとともに、これ
ら左右の揺動リンク機構を各別に駆動操作する一対のロ
ーリング駆動機構を設け、 一対の揺動リンクのうちのクローラ駆動輪に近い側の
揺動リンクの枢支軸心を、枢支フレームの揺動軸心に一
致させてある。

そして、その作用及び効果は次のとおりである。

〔作 用〕

ローリング駆動機構を作動させると、この駆動機構に
よる揺動リンク機構の操作によってトラックフレームと
枢支フレームとが相対昇降し、その結果、トラックフレ
ームの、すなわちクローラ走行装置の対機体取付け高さ
を変化させることができる。よって、各ローリング駆動
機構の作動により、機体左右側夫々の対地高さを各別に
変化させて機体を地盤に対して左右傾動操作することが
できる。

ピッチング駆動機構を作動させると、枢支フレームが
その機体への枢着軸心を中心にして揺動し、その結果、
揺動リンク機構を介して枢支フレームに取付けられてい
る左右のクローラ走行装置が一体的に揺動昇降すること
になり、機体を地盤に対して前後傾動することができ
る。

又、枢支フレームの揺動軸心を、クローラ駆動輪に近
い側の揺動リンクの揺動軸心に一致させてあるから、軸
心数を１つ減らして構造の簡素化や部品点数削減が可能
になるとともに、枢支フレームの揺動軸心とクローラ駆
動輪の回転軸心とが比較的接近することになる。従っ
て、ピッチング駆動機構を作動させての機体の対地前後
傾動に拘らずに、クローラベルトの張力変化が生じない
とか、生じても極力少なくて済むようにすることができ
る。

しかも、左右のクローラ走行装置の揺動リンク夫々を
各別な枢支フレームに支持させて、各枢支フレーム夫々
にピッチング駆動機構を作用させる構造に比べて、ピッ
チング駆動機構の必要数を少なくすることができる。

〔発明の効果〕

その結果、地盤の前後左右傾斜や機体の前後左右重量
差に拘らずに機体が水平となるように、又は、水平地盤
において機体を所望の傾斜姿勢となるように、ローリン
グ及びピッチングの各調節の単独操作、及び複合操作が
行えるものを提供できた。

しかも、枢支フレームの枢着構造工夫によって、ロー
リングやピッチングの各調節を行ってもクローラ緊張力
の変化が極力発生しないようにでき、クローラ駆動輪を
対機体固定構造としながらも、クローラが外れが生じ難
いようにすることが可能になった。

又、左右の揺動リンク機構を単一の枢支フレームに備
えることによって、ピッチング駆動機構の必要数を少な
くでき、伝動系や制御系の構造簡略化が可能になる利点
もある。

〔実施例〕

次に実施例を示す。

第４図に示すように、植立殻稈を引起こすと共に刈取
り、刈取り殻稈を脱穀装置（１）に供給する刈取前処理
装置（２）を、脱穀装置（１）、脱穀粒タンク（３）、
脱穀排ワラ処理装置（４）及び搭乗型運転部（５）等が
備えられたクローラ式走行装置の前部に取付けて、コン
バインを構成してある。

左右のクローラ走行装置（６），（６）夫々を構成す
るに、第１図及び第３図に示すように、走行機体を形成
する機体フレーム（７）の左横側又は右横側において、
機体フレーム（７）の前端側の支持フレーム部（7a）に
クローラ駆動用伝動ケース（８）を介してクローラ駆動
輪（９）を取付け、機体フレーム（７）に揺動リンク機
構（10）を介して取付けたトラックフレーム（11）の後
端部にクローラ緊張輪（12）を取付ける。クローラ緊張
輪（12）とクローラ駆動輪（９）の間に配置した複数個
の接地転輪（13）又は（14）及び１個の上部転輪（15）
を回転のみ可能にして、又は、支持アーム（16）の揺動
によって昇降するようにしてトラックフレーム（11）に
取付け、そして、全ての輪体（９），（12），（13），
（14）及び（15）に亘ってゴム製クローラ（17）を巻回
してある。

左右走行装置（６），（６）夫々の揺動リング機構
（10）を構成するに、支持フレーム部（7a）に回転支軸
（18）を介して、その軸芯（P₁）周りで上下に揺動する
ように枢着した前揺動リンク（19）の遊端側を連結リン
ク（20）を介してトラックフレーム（11）の前端側に連
結し、機体フレーム（７）による枢支フレーム（21）及
び回転支軸（22）を介して軸芯（P₂）周りで上下に揺動
するように枢支させた後揺動リンク（23）の遊端側をト
ラックフレーム（11）の後端側に枢着し、前揺動リンク
（19）を回転支軸（18）を介して揺動操作する操作アー
ム（24）と、後揺動リンク（23）を回転支軸（22）を介
して揺動操作する操作アーム（25）とを連動ロッド（2
6）によって連動連結するとともに、操作アーム（25）
と機体フレーム（７）とにわたってローリングシリンダ
（C₁）を連結してある。

枢支フレーム（21）は左走行装置（６）の方の後揺動
リンク（23）と右走行装置（６）の方の後揺動リンク
（23）とを各別に枢支するとともに、機体前後方向に沿
う左右一対のサイドフレーム部分（21a），（21a）と、
これらサイドフレーム部分（21a），（21a）の後端側を
機体横方向に沿う状態で連結する連結フレーム部分（21
b）とによって形成してある。

サイドフレーム部分（21a），（21a）の前端側を、左
走行装置（６）の方の前揺動リンク（19）の回転支軸
（18）と、右走行装置（６）の方の前揺動リンク（19）
の回転支軸（18）とに各別に回動自在に取付けるととも
に、連結フレーム部分（21b）を、左右一対の連動ロッ
ド（27）と、機体フレーム（７）によって左右一対の枢
支軸（28），（28）を介して枢支させた揺動連結部材
（29）及びピッチングシリンダ（C₂）を介して機体フレ
ーム（７）によって支持されるように構成してある。

そして、枢支フレーム（21）が前揺動リンク（19）の
機体に対する揺動軸芯（P₁）の周りで機体に対して上下
に揺動するとともにピッチングシリンダ（C₂）によって
上下に揺動操作されるように構成し、さらに、左右走行
装置（６），（６）夫々において、揺動リンク機構（1
0）が支持フレーム部（7a）、ローリングシリンダ
（C₁）、枢支フレーム（21）、ピッチングシリンダ
（C₂）を介して機体フレーム（７）により支持されてト
ラックフレーム（11）を昇降自在に支持するとともに、
ローリングシリンダ（C₁）により揺動操作されてトラッ
クフレーム（11）の機体フレーム（７）に対する昇降操
作をするように構成してある。

要するに、揺動軸芯（P₁）周りで機体（７）に枢着さ
れた枢支フレーム（21）を、ピッチング駆動機構（C₂）
で駆動上下揺動可能に構成し、機体（７）に支承される
クローラ駆動輪（９）と、トラックフレーム（11）に支
承されたクローラ緊張輪（12）及び接地転輪（13），
（14）とから成るクローラ走行装置（６）を、機体
（７）の左右夫々に配備し、トラックフレーム（11）と
枢支フレーム（21）とを、この枢支フレーム（21）に枢
支された前後一対の揺動リンク（19），（23）で成る揺
動リンク機構（10）によって相対昇降自在に構成すると
ともに、これら左右の揺動リンク機構（10），（10）を
各別に駆動操作する一対のローリング駆動機構（C₁），
（C₁）を設け、一対の揺動リンク（19），（23）のうち
のクローラ駆動輪（９）に近い側の揺動リンク（19）の
枢支軸心を、枢支フレーム（21）の揺動軸心（P₁）に一
致させてある。

つまり、左右の走行装置（６），（６）夫々におい
て、ローリング駆動機構としてのローリングシンダ
（C₁）により揺動リンク機構（10）を操作してトラック
フレーム（11）の機体フレーム（７）に対する取付け高
さを変更することにより、機体左右側の対地高さを変更
調節して機体の対地ローリング調節をするようにしてあ
る。

又、ピッチング駆動機構としてのピッチングシリンダ
（C₂）により枢支フレーム（21）を揺動操作して左右走
行装置（６），（６）いずれもにおける前後一対の揺動
リンク（19），（23）のうちのクローラ駆動輪（９）と
の間隔が大であるところの後揺動リンク（23）の機体フ
レーム（７）に対する取付け高さを変更することによ
り、トラックフレーム（11）をクローラ駆動輪（９）と
の間隔が小であるところの前揺動リンク（19）との連結
部の周りで機体フレーム（７）に対して揺動昇降させ
て、クローラ（17）の緊張力変化が生じ難いようにしな
がら機体の対地ピッチング調節をするようにしてある。

揺動リンク機構（10）は、一対の揺動リンク（19），
（23）の形状、すなわち、前方に枢支点を有した後向き
Ｌ字形状により、トラックフレーム（11）を機体フレー
ム（７）に対して下降させるほどクローラ駆動輪（９）
の方に寄る状態に構成してあり、機体のローリング調節
がクローラ（17）の緊張力変化が生じ難いようにしなが
らできるように配慮してある。

つまり、「揺動リンクの形成具合いによってトラック
フレームが対機体下降するほどクローラ駆動輪の方に移
動してクローラ緊張輪がクローラ駆動輪の方に移動し、
クローラ駆動輪を機体に移動不能に取付けても、機体の
対地左右傾動にかかわらずクローラベルトの張力変化が
生じないとか、生じても少なくて済むようにすることが
できる。」のである 尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る作業車のクローラ式走行装置の実施
例を示し、第１図及び第２図は走行装置の側面図、第３
図は走行装置全体の概略斜視図、第４図はコンバイン全
体の側面図である。 （６）……クローラ走行装置、（７）……機体、（９）
……クローラ駆動輪、（10）……揺動リンク機構、（1
1）……トラックフレーム、（12）……クローラ緊張
輪、（13），（14）……接地転輪、（19），（23）……
揺動リンク、（21）……枢支フレーム、（C₁）……ロー
リング駆動機構、（C₂）……ピッチング駆動機構、
（P₁）……揺動軸芯。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−242787（ＪＰ，Ａ) 実開 昭56−97182（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭63−22154（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】揺動軸芯（P₁）周りで機体（７）に枢着さ
   れた枢支フレーム（21）を、ピッチング駆動機構（C₂）
   によって駆動上下揺動可能に構成し、 前記機体（７）に支承されるクローラ駆動輪（９）と、
   トラックフレーム（11）に支承されたクローラ緊張輪
   （12）及び接地転輪（13），（14）とから成るクローラ
   走行装置（６）を、前記機体（７）の左右夫々に配備
   し、 前記トラックフレーム（11）と前記枢支フレーム（21）
   とを、この枢支フレーム（21）に枢支された前後一対の
   揺動リンク（19），（23）で成る揺動リンク機構（10）
   によって相対昇降自在に構成するとともに、これら左右
   の揺動リンク機構（10），（10）を各別に駆動操作する
   一対のローリング駆動機構（C₁），（C₁）を設け、 前記一対の揺動リンク（19），（23）のうちの前記クロ
   ーラ駆動輪（９）に近い側の揺動リンク（19）の枢支軸
   心を、前記枢支フレーム（21）の揺動軸心（P₁）に一致
   させてある作業車のクローラ式走行装置。