JP2525729Y2

JP2525729Y2 - マスタシリンダ用リザーバ

Info

Publication number: JP2525729Y2
Application number: JP1991006343U
Authority: JP
Inventors: 孝義篠原
Original assignee: Nissin Kogyo Co Ltd
Current assignee: Nissin Kogyo Co Ltd
Priority date: 1991-02-15
Filing date: 1991-02-15
Publication date: 1997-02-12
Anticipated expiration: 2006-02-15
Also published as: JPH04104069U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、車両のブレーキ装置や
クラッチ装置に圧油を供給するためのマスタシリンダに
接続されるマスタシリンダ用リザーバに関する。

【０００２】

【従来の技術】かかるマスタシリンダ用リザーバとし
て、例えば実公昭５９−４３１５９号公報に記載された
ものが公知である。上記リザーバのキャップに設けられ
るブリーザ通路には作動オイルがリザーバの外部に漏れ
ることを防止するための複数の中空室が形成され、それ
ら中空室は上下動自在なプレートにより相互に連通ある
い遮断されるように構成される。そして、リザーバ内部
の作動オイルが波立つとプレートが上昇して作動オイル
の漏出が防止されるとともに、作動オイルの油面が平静
になるとプレートが下降して中空室の作動オイルが速や
かにリザーバ内部に戻される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のマスタシリンダ用リザーバは、振動により上下動す
るプレートが作動オイルの粘性で壁面に付着して機能し
なくなる可能性があり、信頼性の面で必ずしも満足でき
るものではない。

【０００４】本考案は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、可動部材を用いることなくブリーザ通路からの作動
オイルの漏れを確実に防止できるマスタシリンダ用リザ
ーバを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本考案は、マスタシリンダに接続されるリザーバ本
体の上部に形成したキャップ装着部を着脱自在なキャッ
プで閉塞してなるマスタシリンダ用リザーバにおいて、
前記キャップの下面に、キャップ装着部の内周との間に
微小な隙間を形成する邪魔板と、邪魔板の上部に間隔を
存して設けられ、その下面に邪魔板の上面に対向する第
１エアー孔を有する下部中空室と、前記第１エアー孔と
偏心する第２エアー孔を有する仕切板を介して下部中空
室の上部に設けられ、その外周に環状の塵溜りを有して
大気に連通する上部中空室とを設けるとともに、前記下
部中空室の内部に第１エアー孔と第２エアー孔の直接の
連通を遮る隔壁を形成し、前記下部中空室の底面に、第
１エアー孔の開口よりも高い頂面を有する台状突起を設
け、この台状突起の頂面を第２エアー孔の下部に対向さ
せたことを特徴とする。

【０００６】

【０００７】

【実施例】以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明
する。

【０００８】図１〜図３は本考案の一実施例を示すもの
で、図１はリザーバの部分断面図、図２はリザーバのキ
ャップ装着部を示す図、図３は図１の３−３線断面図で
ある。

【０００９】図１に示すように、リザーバＲは中空の合
成樹脂製容器よりなるリザーバ本体１と、その上部に着
脱自在に装着されるキャップ２とを備え、このキャップ
２は合成樹脂製のキャップボディ３、合成樹脂製のシー
ルキャップ４、およびゴム製のパッキン５の３部材より
構成される。

【００１０】概略円筒状に形成されたリザーバ本体１の
側面には、３本の補強突起６，７，８と２個の取付部
９，１０が形成され、更にその底部にはブレーキ装置の
マスタシリンダにホースを介して接続される継手部１１
が突設される。リザーバ本体１の上面には前記キャップ
２を装着するための円筒状のキャップ装着部１２が一体
に形成され、そのキャップ装着部１２の下端中央には円
形のオイル供給孔１５が形成される。

【００１１】図２を併せて参照すると明らかなように、
キャップ２の外郭を構成するキャップボディ３は円形の
頂壁１６の周縁に接続する側壁１７を備え、その側壁１
７にはＬ字状に屈曲する２個の鉤部１８が下向きに突設
される。またキャップ装着部１２の上縁に外向きに突設
したフランジ１９には前記鉤部１８を上下に通過させる
ための２個の切欠き２０が形成されるとともに、各切欠
き２０に接続するようにカム面２１と係止段部２２がフ
ランジ１９下面に沿って形成される。

【００１２】シールキャップ４の外周はキャップボディ
３の側壁１７の内周に形成した環状溝２３に係合してお
り、これにより前記シールキャップ４はキャップボディ
３の内部から脱落しないように保持される。シールキャ
ップ４の下面に突設したパッキン支持部２４にはリング
状のパッキン５が嵌合しており、キャップ２がリザーバ
本体１に装着された図１の状態では、キャップ装着部１
２の上端とシールキャップ４の間に前記パッキン５が挟
圧保持される。

【００１３】次に、図１および図３に基づいてシールキ
ャップ４のブリーザ通路の構造を詳述する。シールキャ
ップ４の下面中央部にはボス２５を介して円盤状の邪魔
板２６が設けられ、その邪魔板２６の外周と前記オイル
供給孔１５の内周は上下方向に僅かにオーバーラップし
て両者の間に環状の隙間２７が形成される。邪魔板２６
の上部には環状の側壁２８により外周を区画された下部
中空室２９が一体に形成され、更にその外周を覆うよう
に前記側壁２８よりも背が高く且つ同心円状の側壁３０
により上部中空室３１が一体に形成される。前記内側の
側壁２８の上部には円形の仕切板３２が嵌め込みにより
固着され、この仕切板３２により下部中空室２９と上部
中空室３１が上下に区画される。

【００１４】下部中空室２９の下面には邪魔板２６の上
面に対向する２個の第１エアー孔３３が穿設されるとと
もに、下部中空室２９と上部中空室３１を区画する仕切
板３２の中心には前記２個の第１エアー孔３３と偏心す
るように１個の第２エアー孔３４が穿設される。第１エ
アー孔３３は、作動オイルを下部中空室２９からリザー
バ本体１へスムーズに戻すべく、その上端開口が漏斗状
に形成される。上部中空室３１の底部、すなわち一対の
側壁２８，３０の間には下部中空室２９を囲むように環
状の塵溜り３５が形成される。

【００１５】下部中空室２９は、その底壁から上方に延
びる一対の円弧状の隔壁４０を備える。隔壁４０は下部
中空室２９を画成する環状の側壁２８と協働して第１エ
アー孔３３を囲むように配設され、側壁２８と隔壁４０
の間には各２個の隙間４１が形成される。一対の隔壁４
０の間は、下部中空室２９の底壁から段差４２を介して
一段高く形成された台状突起４３が設けられ、この台状
突起４３の頂面に仕切板３２の第２エアー孔３４が対向
する。

【００１６】シールキャップ４の上面には、キャップボ
ディ３の頂壁１６の下面と協働してラビリンスを構成す
る２本の環状突起３６，３７が上部中空室３１の外周を
囲繞して同心円状に突設される。また、前記シールキャ
ップ４の上面とキャップボディ３の下面により画成され
る空間は、キャップボディ３の側壁１７の内周に形成し
た切欠き３８，３９により大気に連通する。

【００１７】次に、前述の構成を備えた本考案の一実施
例の作用について説明する。

【００１８】キャップ２をリザーバ本体１に装着するに
は、キャップボディ３の２個の鉤部１８をキャップ装着
部１２の２個の切欠き２０に挿入した後、そのキャップ
２を時計方向に回転させる。すると、前記鉤部１８がカ
ム面２１を乗り越えて係止段部２２に安定的に係合し、
キャップ２は下向きのセット荷重を与えられた状態でキ
ャップ装着部１２に固定される。なお、キャップ２を取
り外すには、鉤部１８が係止段部２２から離脱するよう
にキャップ２を下向きに押圧しながら反時計方向に回転
させれば良い。

【００１９】上述のようにしてキャップ２がリザーバ本
体１に装着されると、そのパッキン５がキャップ装着部
１２の上端とシールキャップ４の外周との間に挟圧され
る。これにより、リザーバ本体１の内部は邪魔板２６の
外周の隙間２７、２個のエアー孔３３、下部中空室２
９、仕切板３２に形成した１個のエアー孔３４、上部中
空室３１、キャップボディ３の頂壁１６とシールキャッ
プ４の環状突起３６，３７の隙間、およびキャップボデ
ィ３の側壁１７の内周に形成した切欠き３８，３９によ
り構成されるブリーザ通路を介してのみ大気に連通し、
作動オイルの油面の変動による内圧の変化が補償され
る。この場合、シールキャップ４上に流入した空気中の
塵埃は塵溜り３５に落下して保持され、リザーバ本体１
への浸入が阻止される。

【００２０】車両の振動等によって作動オイルの油面が
波立った場合、その作動オイルが前記ブリーザ通路を介
して外部に漏れる虞れがあるが、作動オイルは先ず邪魔
板２６に衝突して勢いを弱められるため、極少量のみが
隙間２７を介して邪魔板２６の上部に流入する。邪魔板
２６の上部から２個の第１エアー孔３３を通って下部中
空室２９に浸入した作動オイルは、隔壁４０に遮られる
ために隙間４１に沿って迂回し、更に台状突起４３の段
部４２に衝突して勢いを弱められる。その結果、第１エ
アー孔３３と第２エアー孔３４が互いに偏心するように
形成されていることと相俟って、台状突起４３の頂面か
ら第２エアー孔３４を介して上部中空室３１に達する作
動オイルは極僅かな量となり、万一作動オイルが上部中
空室３１に達しても、その作動オイルは２本の環状突起
３６，３７により構成されるラビリンスによって阻止さ
れ、且つ塵溜り３５に流入して保持されることにより、
キャップ２の切欠き３８，３９から外部に漏出するに至
らない。

【００２１】リザーバＲに対する作動オイルの補給は、
キャップ２を取り外した状態でキャップ装着部１２を介
して行われるが、そのキャップ装着部１２の内周により
形成されるオイル供給孔１５は充分大きな開口面積を備
えることから、作動オイルの供給作業を速やかに且つ容
易に行うことができる。

【００２２】以上、本考案の実施例を詳述したが、本考
案は前記実施例に限定されるものではなく、実用新案登
録請求の範囲に記載された本考案を逸脱することなく種
々の小設計変更を行うことが可能である。

【００２３】例えば、実施例のリザーバＲはマスタシリ
ンダと別体に設けられるものであるが、本考案はマスタ
シリンダと一体のリザーバに対しても適用することが可
能である。

【００２４】

【考案の効果】以上のように本考案の第１の特徴によれ
ば、リザーバ本体のキャップ装着部を覆うキャップの下
面に、下から順に邪魔板、下部中空室、および大気に連
通する上部中空室を配設し、リザーバ本体の内部と上部
中空室とを、邪魔板とキャップ装着部との間に形成した
隙間、下部中空室の下面に設けた第１エアー孔、下部中
空室と上部中空室とを区画する仕切板に第１エアー孔と
偏心して形成した第２エアー孔により構成される複雑な
迷路を介して連通させるとともに、互いに偏心する第１
エアー孔と第２エアー孔の間を隔壁で遮っているので、
作動オイルの外部への漏出を確実に防止することができ
る。また、上部中空室の外周に環状の塵溜りを形成した
ので、空気中の塵埃のリザーバ本体への浸入と作動オイ
ルの外部への漏出を効果的に阻止することが可能とな
る。しかも、このリザーバは可動部材を一切持たないた
め、その可動部材が作動オイルの粘性で他部材に密着し
て作動不良を起こす虞れがない。

【００２５】また下部中空室の底面に開口する第１エア
ー孔よりも高い頂面を有する台状突起を第２エアー孔の
下部に形成したので、その台状突起の段部で作動オイル
を遮ることにより、下部中空室から上部中空室への作動
オイルの漏出をより確実に阻止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】リザーバの部分断面図

【図２】リザーバのキャップ装着部を示す図

【図３】図１の３−３線断面図

【符号の説明】１・・・リザーバ本体２・・・キャップ１２・・キャップ装着部２６・・邪魔板２７・・隙間２９・・下部中空室３１・・上部中空室３２・・仕切板３３・・第１エアー孔３４・・第２エアー孔３５・・塵溜り４０・・隔壁４３・・台状突起

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】マスタシリンダに接続されるリザーバ本
体（１）の上部に形成したキャップ装着部（１２）を着
脱自在なキャップ（２）で閉塞してなるマスタシリンダ
用リザーバにおいて、前記キャップ（２）の下面に、キャップ装着部（１２）
の内周との間に微小な隙間（２７）を形成する邪魔板
（２６）と、邪魔板（２６）の上部に間隔を存して設け
られ、その下面に邪魔板（２６）の上面に対向する第１
エアー孔（３３）を有する下部中空室（２９）と、前記
第１エアー孔（３３）と偏心する第２エアー孔（３４）
を有する仕切板（３２）を介して下部中空室（２９）の
上部に設けられ、その外周に環状の塵溜り（３５）を有
して大気に連通する上部中空室（３１）とを設けるとと
もに、前記下部中空室（２９）の内部に第１エアー孔
（３３）と第２エアー孔（３４）の直接の連通を遮る隔
壁（４０）を形成し、前記下部中空室（２９）の底面
に、第１エアー孔（３３）の開口よりも高い頂面を有す
る台状突起（４３）を設け、この台状突起（４３）の頂
面を第２エアー孔（３４）の下部に対向させたことを特
徴とする、マスタシリンダ用リザーバ。